JP2001199202A - 車輪軸受装置 - Google Patents

車輪軸受装置

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JP2001199202A
JP2001199202A JP2000011347A JP2000011347A JP2001199202A JP 2001199202 A JP2001199202 A JP 2001199202A JP 2000011347 A JP2000011347 A JP 2000011347A JP 2000011347 A JP2000011347 A JP 2000011347A JP 2001199202 A JP2001199202 A JP 2001199202A
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bearing device
wheel bearing
outer ring
ring
fitted
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JP2000011347A
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Akio Sakaguchi
明夫 坂口
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外輪のナックルへのボルト締めを廃止して、
部品点数、組み立て工数並びに外輪の加工工数を削減
し、軽量、コンパクト化を容易に実現する。 【解決手段】 車体に取り付けられるナックル35と、
そのナックル35の内径に嵌合され、内周に複列の軌道
面16,17が形成された外輪36と、その外輪36の
軌道面16,17と対向する複列の軌道面18,19が
外周に形成され、車輪取付けフランジ29を有するハブ
輪1およびハブ輪1の端部に嵌着された内輪20と、前
記外輪36とハブ輪1および内輪20のそれぞれの軌道
面16〜19間に介装された複列の転動体21,22と
からなり、車輪を車体に回転自在に支持するものにおい
て、前記ナックル35と外輪36の径方向に連通して貫
設された孔39に回転数検出用センサ40を嵌着し、前
記ハブ輪1および内輪20の軌道面18,19間に配設
されたパルサーリング38に対峙させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車輪軸受装置に関
し、詳しくは、自動車用の駆動側又は従動側車輪を車体
に回転自在に支持する車輪軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図8は自動車に用いられる車輪軸受装置
の一例で、駆動側車輪に用いられた構造例を示す。この
軸受装置は、ハブ輪1と等速自在継手2の外方継手部材
3と車軸軸受4がユニット化されている。なお、等速自
在継手2の外方継手部材3は、軸方向に延びるステム部
5をハブ輪1の貫通孔6に挿通し、そのステム部5の外
径及び貫通孔6の内径に形成されたセレーション7,8
によりハブ輪1とトルク伝達可能なように結合されてナ
ット9で螺着固定されている。
【0003】この等速自在継手2は、前記外方継手部材
3の他、ドライブシャフト10の端部に取り付けられた
内方継手部材11と、内方継手部材11及び外方継手部
材3のトラック溝間に組み込まれた複数のトルク伝達ボ
ール12と、内方継手部材11の外球面と外方継手部材
3の内球面との間に介在してトルク伝達ボール12を支
持する保持器13とで構成されている。
【0004】この軸受装置は、ハブ輪1を車軸軸受4に
よって回転自在に支持した構造を有し、そのハブ輪1に
車輪ホイール(図示せず)が固定され、車軸軸受4をナ
ックル14を介して車体の懸架装置(図示せず)によっ
て支持する。
【0005】車軸軸受4は、複列アンギュラ玉軸受構造
で、外輪15の内径面に複列の軌道面16,17が形成
され、ハブ輪1の外周面に形成された一方の軌道面18
とそのハブ輪1の端部外周に圧入された内輪20の外周
面に形成された他方の軌道面19とで、前記外輪15の
軌道面16,17と対向する複列の軌道面18,19が
形成され、外輪15とハブ輪1及び内輪20の軌道面間
に複列の転動体21,22を介在させ、各列の転動体2
1,22を保持器23,24により円周方向等間隔に支
持した構造を具備する。
【0006】外輪15の外周には車体取付けフランジ2
5が突設され、そのフランジ25に円周方向に沿って複
数箇所に形成された雌ねじ26にボルト27を螺着する
ことによりナックル14に固定するようにしている。な
お、車軸軸受4に対して外部からの異物の侵入や内部に
充填したグリースの漏出を防止するため、シール28が
設けられている。
【0007】ハブ輪1は車輪取付けフランジ29を備
え、このフランジ29の円周方向等間隔位置に車輪ホイ
ールを固定するためのハブボルト30が取り付けられて
いる。このハブ輪1のフランジ29には、前記ハブボル
ト30によりブレーキロータ31が固定されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の車輪
軸受装置では、ハブ輪1を回転自在に支持する車軸軸受
4を構成する外輪15を製作する上で、その外輪15の
フランジ25の円周方向等間隔位置にナックル14に固
定するための複数の雌ねじ26を螺設しなければならな
いことから、雌ねじ26の加工が必要となっている。ま
た、この雌ねじ26を利用してナックル14に外輪15
のフランジ25をボルト締めしなければならないので、
ナックル14との組み立て工数がかかるという問題があ
った。
【0009】また、ナックル14に外輪15を固定する
ためのボルト27(例えば200〜300g程度)の重
量分を支持しなければならない点などの強度面から、ナ
ックル14との結合部位であるフランジ25に余肉が必
要となり、装置全体の軽量、コンパクト化が困難であっ
た。
【0010】そこで、本発明は前記問題点に鑑みて提案
されたもので、その目的とするところは、外輪のナック
ルへのボルト締めを廃止して、部品点数、組み立て工数
並びに外輪の加工工数を削減し、軽量、コンパクト化を
容易に実現し得る車輪軸受装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の技術的手段として、本発明は、車体に取り付けられる
固定部材と、その固定部材の内径に嵌合され、内周に複
列の軌道面が形成された外方部材と、その外方部材の軌
道面と対向する複列の軌道面が外周に形成され、車輪取
付けフランジを有する内方部材と、前記外方部材と内方
部材のそれぞれの軌道面間に介装された複列の転動体と
からなり、車輪を車体に回転自在に支持する車輪軸受装
置において、前記固定部材と外方部材の径方向に連通し
て貫設された孔に回転数検出用センサを嵌着し、前記内
方部材の軌道面間に配設された被センシング部に対峙さ
せたことを特徴とする(請求項1)。
【0012】本発明の車輪軸受装置では、固定部材と外
方部材の径方向に連通して貫設された孔に回転数検出用
センサを嵌着し、前記内方部材の軌道面間に配設された
被センシング部に対峙させたことにより、外方部材の外
周に車体取付けフランジを形成してナックルにボルト締
めする必要がなくなり、少なくともボルト分の軽量化及
びコストダウンが実現でき、しかもフランジを形成する
必要もないので軽量化及びコストダウンが更に容易とな
り、ユニット化(モジュール化)ができて車体への組み
付け作業が削減できる。なお、前記センサを筒状部材を
介して固定部材と外方部材の孔に嵌着すれば(請求項
2)、センサ自体の強度を向上させることができ、固定
部材の内径に嵌合された外方部材の締め代がなくても、
前記センサにより外方部材のクリープを防止できる。
【0013】前記固定部材と外方部材の径方向に連通し
て貫設された孔にピン状部材を嵌着した構造(請求項
3)、または、前記固定部材の径方向に貫設された孔に
ピン状部材を嵌着し、外方部材の外径面に環状溝を形成
して係合させた構造とすれば(請求項4)、外方部材を
その軸方向に位置決め固定することができ、外方部材の
クリープを防止することも可能である。
【0014】前記ピン状部材が弾性部材を介して固定部
材の孔に突出退入自在に嵌着された構造とすれば(請求
項5)、ピン状部材を所定の付勢力で外方部材の環状溝
に係合させることができる。この場合、弾性部材の変形
によって、固定部材にピン状部材を予め嵌着しておくこ
ともでき、組み立て性の向上が図れ、センサを取り外せ
ば、所定の軸方向荷重で外方部材を抜脱することもでき
る。
【0015】前記固定部材の内径面と外方部材の外径面
に環状溝をそれぞれ形成し、その環状溝に噛み込む係止
部材を装着すれば(請求項6)、外方部材をその軸方向
に位置決め固定することができる。なお、前記係止部材
は、弾性復元力を有する縮径可能な有端形状のスナップ
リングが好適である(請求項7)。さらに、前記スナッ
プリングは、その周方向に凹凸形状を有するものであれ
ば(請求項8)、外方部材の軸方向のがたつきを防止で
きる。
【0016】また、前記固定部材の内径面と外方部材の
外径面に環状溝をそれぞれ形成すると共に、その環状溝
と連通する接線孔を固定部材に形成し、前記接線孔から
挿入されて環状溝に噛み込む係止部材を装着すれば(請
求項9)、前述とは異なる構造でもって、外方部材をそ
の軸方向に位置決め固定することができる。なお、前記
係止部材は、固定部材の環状溝に連通する接線孔から挿
入されたワイヤまたは軸受用鋼球が好適である(請求項
10)。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明に係る車輪軸受装置の実施
形態を以下に詳述する。なお、図8と同一部分には同一
参照符号を付す。
【0018】図1に示す実施形態の車輪用軸受装置は、
自動車の駆動側車輪に用いられた構造例を示す。この軸
受装置は、ハブ輪1と等速自在継手2の外方継手部材3
と車軸軸受4がユニット化されている。なお、等速自在
継手2の外方継手部材3は、軸方向に延びるステム部5
をハブ輪1の貫通孔6に挿通し、そのステム部5の外径
及び貫通孔6の内径に形成されたセレーション7,8に
よりハブ輪1とトルク伝達可能なように結合されてナッ
ト9で螺着固定されている。
【0019】なお、この実施形態では、ハブ輪1と等速
自在継手2の外方継手部材3とをナット9により結合さ
せた構造であるが、本発明はこれに限定されることな
く、ハブ輪1の貫通孔6に外方継手部材3の中実状のス
テム部5を挿通し、ハブ輪1の端部から突出するステム
部5の端部を加締めによる塑性変形でもって両者を結合
させた構造であっても適用可能である。また、前記外方
継手部材3のステム部5が中空状で、ハブ輪1の貫通孔
6に挿通されたステム部5の端部を径方向内側から外側
に向けて拡径させ、この加締めによる塑性変形でもって
両者を結合させた構造であってもよい。
【0020】この等速自在継手2は、前記外方継手部材
3の他、ドライブシャフト10の端部に取り付けられた
内方継手部材11と、内方継手部材11及び外方継手部
材3のトラック溝間に組み込まれた複数のトルク伝達ボ
ール12と、内方継手部材11の外球面と外方継手部材
3の内球面との間に介在してトルク伝達ボール12を支
持する保持器13とで構成されている。
【0021】この軸受装置は、内方部材であるハブ輪1
を車軸軸受4によって回転自在に支持した構造を有し、
そのハブ輪1に車輪ホイール(図示せず)が固定され、
車軸軸受4を固定部材であるナックル35を介して車体
の懸架装置(図示せず)によって支持する。ハブ輪1は
車輪取付けフランジ29を備え、このフランジ29の円
周方向等間隔位置に車輪ホイールを固定するためのハブ
ボルト30が取り付けられている。このハブ輪1のフラ
ンジ29には、前記ハブボルト30によりブレーキロー
タ31が固定されている。
【0022】車軸軸受4は、複列アンギュラ玉軸受構造
で、外方部材である外輪36の内径面に複列の軌道面1
6,17が形成され、ハブ輪1の外周面に形成された一
方の軌道面18とそのハブ輪1の小径端部の外周に圧入
された内輪20の外周面に形成された他方の軌道面19
とで、前記外輪36の軌道面16,17と対向する複列
の軌道面18,19が形成され、外輪36とハブ輪1及
び内輪20の軌道面間に複列の転動体21,22を介在
させ、各列の転動体21,22を保持器23,24によ
り円周方向等間隔に支持した構造を具備する。なお、車
軸軸受4に対して外部からの異物の侵入や内部に充填し
たグリースの漏出を防止するため、シール28が設けら
れている。
【0023】外輪36のアウトボード側端部にナックル
35との位置決め用として大径段部37を形成し、ナッ
クル35のアウトボード側から車軸軸受4を圧入するに
際してそのナックル35の端部に外輪36の大径段部3
7が係合することにより位置決めされる。
【0024】ここで、この車輪軸受装置にはABS(ア
ンチロックブレーキシステム)の車輪回転数検出手段が
組み込まれるのが一般的であり、そこで、パルス発生器
としてのパルサーリング38(被センシング部)をハブ
輪1の外径面に形成された一方の軌道面18と内輪20
の外径面に形成された他方の軌道面19との間に装着す
る。なお、前記パルサーリング38の代わりに、SN極
を着磁したエンコーダを使用することも可能である。
【0025】この実施形態では、前記外輪36とナック
ル35にその径方向に孔39を貫設し、その孔39にパ
ルス検出器としての円筒状の回転数検出用センサ40を
挿通して前記パルサーリング38と対峙させる。これに
より、外輪36に車体取付けフランジを形成してナック
ルにボルト締めする必要がなくなり(図8参照)、少な
くともボルト分の軽量化及びコストダウンが実現でき、
しかもフランジを形成する必要もないので軽量化及びコ
ストダウンが更に容易となり、ユニット化(モジュール
化)ができて車体への組み付け作業が削減できる。ま
た、ナックル35の内径に嵌合された外輪36の締め代
がなくても、前記センサ40により外輪36のクリープ
を防止できる。
【0026】ナックル35と外輪36との嵌合面に形成
された環状溝41,42に係止部材であるスナップリン
グ43を噛み込ませて装着する。このナックル35及び
外輪36の環状溝41,42にスナップリング43を噛
み込ませたことにより、ナックル35に対する外輪36
の軸方向の位置決め固定が可能となる。
【0027】前記スナップリング43は、図2(a)
(b)に示すように弾性復元力を有する縮径可能な有端
形状のもので、ナックル35及び外輪36間への組み付
けは以下の要領でもって行われる。まず、ナックル35
の内径の環状溝41に収容されたスナップリング43
を、ナックル35への外輪36の圧入により拡径させ、
両者の環状溝41,42の軸方向位置が合致したとき、
スナップリング43がその弾性復元力でもって縮径し、
外輪36の環状溝42に係合することによりナックル3
5と外輪36を軸方向に位置決め固定する。
【0028】なお、前述したスナップリング43は、そ
の内径部のアウトボード側にテーパ面44が形成され、
ナックル35のアウトボード側から外輪36を圧入する
ときに、外輪36のインボード側端部の外径に形成され
た面取り部45に当接して容易に拡径させることができ
るようになっている。また、スナップリング43とし
て、その周方向に連続的に形成された波形状などの凹凸
形状のものを使用すれば、外輪36の軸方向のがたつき
を防止することができる。
【0029】次に本発明の他の実施形態を以下に詳述す
る。なお、前述した図1の実施形態の場合と同一部分に
は同一参照符号を付して重複説明は省略する。
【0030】図3に示す実施形態の車輪軸受装置は、図
1のセンサ40の取付け構造に加えて、センサ自体の強
度を向上させるために、ロールスプリングピン等の筒状
部材46を介してセンサ40をナックル35及び外輪3
6の孔39に嵌着したものである。この構造では、セン
サ40により外輪36のクリープを防止できると共に、
外輪36の軸方向の位置決め固定も可能であるが、図1
の実施形態の場合と同様に、ナックル35と外輪36の
嵌合面にスナップリング43を装着すれば、外輪36の
軸方向の位置決め固定がより一層確実なものとなる。
【0031】また、前述した図1および図3の実施形態
では、図2(a)(b)に示すようなスナップリング4
3を係止部材として使用したが、スナップリング以外の
他の係止部材として、ワイヤを使用することも可能であ
る。すなわち、図4に示すようにナックル35の内径面
と外輪36の外径面に環状溝41,42をそれぞれ形成
すると共に、前記ナックル35の環状溝41と連通し、
その環状溝41から一箇所接線方向に延びてナックル3
5の外周に開口した接線孔48を形成する。なお、この
接線孔48は、ナックル35の周方向複数箇所に形成す
るようにしてもよい。
【0032】この場合、外輪36をナックル35に圧入
して両者の環状溝41,42を軸方向で位置合わせした
状態でナックル35の接線孔48の開口からワイヤ49
を挿入する。このワイヤ49は、接線孔48から両者の
環状溝41,42に導入され、ナックル35と外輪36
の両者の環状溝41,42に係合し、これにより、ナッ
クル35に対する外輪36の回り止めとすることができ
ると共に、ナックル35に対する外輪36の軸方向の位
置決め固定が可能となる。
【0033】さらに、図5に示すようにナックル35と
外輪36との嵌合面に形成された環状溝41,42の軸
方向位相を僅かにずらせた構造、すなわち、ナックル3
5の内径面の環状溝41と外輪36の外径面の環状溝4
2とを軸方向にずらせた位置に形成した構造とすれば、
ワイヤ49とナックル35及び外輪36の両部材との弾
性変形及び塑性変形を利用して、ナックル35と外輪3
6とを軸方向に予圧の作用した状態で位置決めし、か
つ、固定することができるので、ナックル35と外輪3
6との位置決め固定が軸方向でより強固なものとなる。
【0034】なお、前述したようにナックル35と外輪
36との嵌合面に形成された環状溝41,42の軸方向
位相を僅かにずらせた構造としない場合であっても、環
状溝41,42の幅(軸方向寸法)をワイヤ49の径よ
りも僅かに小さく設定しておけば、ナックル35及び外
輪36を軸方向に位置決め固定した場合、ワイヤ49、
ナックル35及び外輪36の材質によっては、ワイヤ4
9とナックル35及び外輪36のいずれか一方又は両方
が弾性変形及び塑性変形し、軸方向に予圧の作用した状
態が得られる。
【0035】また、係止部材にワイヤ49を使用する場
合には、接線孔48の径については、この部分は予圧を
かける必要がないので、ワイヤ49を挿通しやすくする
ためにワイヤ49の径よりも若干大きく設定してもよ
い。さらに、ワイヤ49の先端には、ワイヤ挿通時の抵
抗を極力減少させ、ワイヤ49を容易に挿通させるため
に丸みをつけておくことが好ましい。
【0036】さらに、係止部材としてワイヤ49を使用
する以外にも、軸受用鋼球を使用することも可能であ
る。すなわち、ナックル35と外輪36の両者の環状溝
41,42に係合するようにナックル35の接線孔48
の開口から軸受用鋼球を順次挿入する。このようにナッ
クル35の環状溝41,42と接線孔48に軸受用鋼球
を係合させることにより、ナックル35と外輪36との
位置決め固定が可能な構造となる。
【0037】さらに、本発明の他の実施形態を図6に示
す。この実施形態では、外輪36の外径面のほぼ中央部
位に環状溝51を形成し、その径方向に一つの孔52を
貫設すると共に、ナックル35にその径方向に三つの孔
53を貫設する。外輪36に貫設された一つの孔52と
ナックルの三つの孔53のうち、前記外輪36の孔52
と連通する一つの孔53にセンサ40を嵌着してパルサ
ーリング38と対峙させる。また、ナックル35の残り
二つの孔53にピン状部材54を嵌着して外輪36の環
状溝51に係合し、これにより、外輪36を軸方向に位
置決め固定する。(図7参照) ここで、ナックル35および外輪36の孔53,52に
嵌着されたセンサ40により、外輪36のクリープを防
止するか、あるいは、図7(a)に示すように前述した
ナックル35の孔53に嵌着されて外輪36の環状溝5
1に係合したピン状部材54の先端を凹面にして外輪3
6の環状溝51の曲率に合致させることにより、外輪3
6のクリープを防止することができる。さらに、外輪3
6の環状溝51の代わりに、図7(b)に示すように外
輪36の外径面の一部に平坦面55を形成し、前記ピン
状部材54の先端をフラット面にして当接させることに
より、外輪36のクリープを防止することができる。
【0038】また、前記ピン状部材54を皿ばね56を
介して径方向に突出退入自在にナックル35の孔53に
嵌着した構造とすれば、外輪内方へ向く皿ばね56の弾
性力により所定の付勢力でもってピン状部材54を外輪
36の環状溝51に係合させることができる。この場
合、ナックル35を外輪36に圧入するに際して、皿ば
ね56の弾性変形によって、ナックル35にピン状部材
54を予め嵌着しておくことも可能である。これによ
り、組み立て性が向上すると共に、センサ40を取り外
せば、所定の軸方向荷重をかけて外輪36を抜脱するこ
とも可能となる。
【0039】以上の実施形態では、車軸軸受4におい
て、外輪36の内径に形成された複列の軌道面16,1
7に対向する複列の軌道面18,19のうち、一方の軌
道面19(インボード側)をハブ輪1とは別体の部材
(内輪20)で形成した第三世代の構造であるが、本発
明はこれに限定されることなく、他方の軌道面18(ア
ウトボード側)もハブ輪1と別体の部材で形成した第二
世代の構造のものにも適用可能であり、また、アウトボ
ード側の軌道面18をハブ輪1の外周面に形成し、イン
ボード側の軌道面19を等速自在継手2の外周面に形成
した第四世代の構造のものにも適用可能である。また、
本発明は、駆動側車輪を車体に回転自在に支持する構造
以外にも、従動側車輪を車体に回転自在に支持する構造
にも適用可能であるのは勿論である。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、外輪の外周にフランジ
を形成して固定部材にボルト締めする必要がなくなり、
少なくともボルト分の軽量化及びコストダウンが実現で
き、しかも位置決め固定用のフランジを形成する必要も
ないので軽量化及びコストダウンが更に容易となり、ユ
ニット化(モジュール化)ができて車体への組み付け作
業が削減できる。このように部品点数、組み立て工数、
軸受外輪の加工工数が削減することができ、装置全体の
軽量、コンパクト化を実現することができ、その実用的
価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車輪軸受装置の実施形態を示す断
面図
【図2】図1の実施形態で使用するスナップリングを示
し、(a)は断面図、(b)は側面図
【図3】本発明の他の実施形態を示す断面図
【図4】外輪とナックルの軸方向位置決め手段にワイヤ
を使用した状態を示す断面図
【図5】外輪とナックルの環状溝の軸方向位相をずらし
た状態を示す部分拡大断面図
【図6】本発明の他の実施形態を示す断面図
【図7】(a)は外輪の環状溝の曲率に合わせた凹面を
有するピン状部材を装着した状態を示す断面図 (b)は外輪の平坦面に合わせたフラット面を有するピ
ン状部材を装着した状態を示す断面図
【図8】車輪軸受装置の従来例を示す断面図
【符号の説明】
1 内方部材(ハブ輪) 16,17 軌道面 18,19 軌道面 20 内輪 21,22 転動体 29 車輪取付けフランジ 35 固定部材(ナックル) 36 外方部材(外輪) 38 被センシング部(パルサーリング) 39 孔 40 回転数検出用センサ 41,42 環状溝 43 スナップリング 46 筒状部材 48 接線孔 49 ワイヤ 51 環状溝 52,53 孔 54 ピン状部材 56 弾性部材(皿ばね、コイルばね)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体に取り付けられる固定部材と、その
    固定部材の内径に嵌合され、内周に複列の軌道面が形成
    された外方部材と、その外方部材の軌道面と対向する複
    列の軌道面が外周に形成され、車輪取付けフランジを有
    する内方部材と、前記外方部材と内方部材のそれぞれの
    軌道面間に介装された複列の転動体とからなり、車輪を
    車体に回転自在に支持するものにおいて、前記固定部材
    と外方部材の径方向に連通して貫設された孔に回転数検
    出用センサを嵌着し、前記内方部材の軌道面間に配設さ
    れた被センシング部に対峙させたことを特徴とする車輪
    軸受装置。
  2. 【請求項2】 前記センサを筒状部材を介して固定部材
    と外方部材の孔に嵌着したことを特徴とする請求項1に
    記載の車輪軸受装置。
  3. 【請求項3】 前記固定部材と外方部材の径方向に連通
    して貫設された孔にピン状部材を嵌着したことを特徴と
    する請求項1又は2に記載の車輪軸受装置。
  4. 【請求項4】 前記固定部材の径方向に貫設された孔に
    ピン状部材を嵌着し、前記外方部材の外径面に環状溝を
    形成して係合させたことを特徴とする請求項1又は2に
    記載の車輪軸受装置。
  5. 【請求項5】 前記ピン状部材が弾性部材を介して固定
    部材の孔に突出退入自在に嵌着されていることを特徴と
    する請求項3又は4に記載の車輪軸受装置。
  6. 【請求項6】 前記固定部材の内径面と外方部材の外径
    面に環状溝をそれぞれ形成し、その環状溝に噛み込む係
    止部材を装着したことを特徴とする請求項1又は2に記
    載の車輪軸受装置。
  7. 【請求項7】 前記係止部材が、弾性復元力を有する縮
    径可能な有端形状のスナップリングであることを特徴と
    する請求項6に記載の車輪軸受装置。
  8. 【請求項8】 前記スナップリングは、その周方向に凹
    凸形状を有することを特徴とする請求項7に記載の車輪
    軸受装置。
  9. 【請求項9】 前記固定部材の内径面と外方部材の外径
    面に環状溝をそれぞれ形成すると共に、その環状溝と連
    通する接線孔を固定部材に形成し、前記接線孔から挿入
    されて環状溝に噛み込む係止部材を装着したことを特徴
    とする請求項1又は2に記載の車輪軸受装置。
  10. 【請求項10】 前記係止部材が、固定部材の環状溝に
    連通する接線孔から挿入されたワイヤまたは軸受用鋼球
    であることを特徴とする請求項9に記載の車輪軸受装
    置。
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