JP2001199073A - 液体吐出ヘッド - Google Patents

液体吐出ヘッド

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JP2001199073A
JP2001199073A JP2000009301A JP2000009301A JP2001199073A JP 2001199073 A JP2001199073 A JP 2001199073A JP 2000009301 A JP2000009301 A JP 2000009301A JP 2000009301 A JP2000009301 A JP 2000009301A JP 2001199073 A JP2001199073 A JP 2001199073A
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orifice plate
head
orifice
liquid
liquid flow
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Shuji Koyama
修司 小山
Hiroaki Mihara
弘明 三原
Takeshi Ikegame
健 池亀
Toshio Kashino
俊雄 樫野
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オリフィスが形成されたオリフィスプレート
と液流路が形成されたヘッド本体とを高精度に位置決め
する。 【解決手段】 ヘッド本体3は、それぞれ発熱素子5を
備えた複数の流路6が配列され端面に開口している。ヘ
ッド本体3の端面の流路6の開口列の更に両側方には、
流路6と等しい構造を有するダミー凹部13が開口して
いる。オリフィスプレート4には、各流路6に対応する
オリフィス12が形成されているとともに、ヘッド本体
3のダミー凹部13に対応するダミー凸部14が形成さ
れており、オリフィスプレート4はダミー凸部14をダ
ミー凹部13に嵌合させてヘッド本体3の端面に接合さ
れる。流路6及びダミー凹部13の寸法、ダミー凸部1
4の寸法等は、ヘッド本体3とオリフィスプレート4と
の接合前後での環境温度の変化による寸法変化を考慮し
て規定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体を吐出させる
ことにより飛翔液滴を形成して記録を行う液体吐出ヘッ
ドに関し、特に、液体を吐出する吐出口(以下、オリフ
ィスという)が形成されたオリフィスプレートと、吐出
口に連通する液流路を有するヘッド本体とが別部材で構
成されている液体吐出ヘッドに関する。
【0002】また本発明は、紙、糸、繊維、布帛、皮
革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス
等の被記録媒体に対して記録を行うプリンタ、複写機、
通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有す
るワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と
複合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明
である。
【0003】なお、本発明における「記録」とは、文字
や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与す
ることだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を
付与することも意味する。
【0004】
【従来の技術】従来、液体吐出ヘッドのオリフィスから
記録液(インク)を吐出することにより記録を行うイン
クジェット記録装置が、低騒音、高速記録などの点で優
れた記録装置として知られている。
【0005】従来のこの種の液体吐出ヘッドの一例につ
いて、図15を参照して説明する。図15に示す液体吐
出ヘッドは、インクを吐出するためのエネルギーを発生
するエネルギー発生素子である発熱素子1005が複数
個並列に設けられた基板1001と、基板1001の上
面に接合され各発熱素子1005と対応する位置にそれ
ぞれインクの流路1006を構成する溝が形成された天
板1002と、これら基板1001及び天板1002の
端面と接合され、インクを吐出するためのオリフィス1
012が上記流路1006と連通する位置に形成された
オリフィスプレート1004とを有する。
【0006】オリフィスプレート1004に形成される
オリフィス1012は非常に微細なものであり、このオ
リフィス1012が、液体吐出ヘッドの吐出特性を左右
する重要な要素の一つとなっている。すなわち、液体吐
出ヘッドのオリフィスプレート1004は、微細なオリ
フィス1012が形成されることから加工性に優れ、ま
た、インクに直接接触するものであるから耐インク性が
よいことが必要とされる。
【0007】上記の要件を満たすオリフィスプレート1
004の材料としては、SUS、Ni、Cr、Alなど
の金属薄板や、所望の厚みや性質を簡易にしかも安価に
得られるポリイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサ
ルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレン
サルファイド、ポリプロピレンなどの樹脂フィルムが用
いられている。
【0008】一方、近年の記録技術の進歩に伴って、高
速、高精細な記録が要求されるようになっている。この
ためオリフィスは、大きさ(径)がますます微細にな
り、かつ、高密度に形成されるようになってきた。これ
に対応してオリフィスの加工法も様々な工夫がなされて
おり、オリフィスプレートとして樹脂フィルムを用いた
場合、微細加工に適したレーザ加工によってオリフィス
を形成している。また、金属プレートを用いる場合に
は、電鋳などの方法によってオリフィスを形成してい
る。
【0009】ところが、オリフィスの微細化、高密度化
に伴い、オリフィスが形成されたオリフィスプレートを
流路に対して正確にかつ隙間なく接合することは極めて
難しい。そこで、特開平2−187342号公報には、
樹脂フィルムからなるオリフィスプレートを、基板と天
板とを接合したヘッド本体に接合した後にオリフィスプ
レートにレーザ加工によってオリフィスを形成する方法
が開示されている。また、特開平2−204048号公
報には、図16に示すように、ドライフィルムなど樹脂
からなるオリフィスプレート1024を、加熱により軟
化した状態で、基板1021と天板1022とを接合し
たヘッド本体1023の接合面に圧着し、これによりオ
リフィスプレート1024の一部を流路1026内に侵
入させ、その後、フォトリソグラフィ技術あるいはレー
ザ加工によって、流路1026に対応する位置にオリフ
ィス1032を形成した液体吐出ヘッドが開示されてい
る。
【0010】一方、オリフィスは、インクの吐出方向を
安定させるために、その形状は、インクの吐出方向に向
かって径が小さくなる、いわゆるテーパ形状とすること
が望ましい。このようなテーパ形状のオリフィスを得る
ためには、オリフィスプレートにオリフィスを予め形成
しておき、これをヘッド本体に接合することが望まし
い。ヘッド本体とオリフィスプレートとの接合には、接
着樹脂をオリフィスプレートに転写法などにより塗布し
てヘッド本体とオリフィスプレートとを貼り合わせ、接
着樹脂を硬化させる方法が一般的に用いられる。
【0011】しかし、この方法では、ヘッド本体とオリ
フィスプレートとを貼り合わせた際に接着樹脂がオリフ
ィス内に侵入してしまい、テーパ形状のオリフィスが得
られなくなってしまう場合がある。また、ヘッド本体と
オリフィスプレートとの密着が不十分であると両者の間
に隙間が生じる場合があり、特に隣接するオリフィス間
でヘッド本体とオリフィスプレートとの間に隙間が生じ
ると、吐出不良を引き起こしてしまう。そこで、特開平
5−330061号公報には、流路及びオリフィス内部
に接着樹脂が入り込まないようにするために、オリフィ
スの近傍に段差加工を施した液体吐出ヘッドが開示され
ている。
【0012】また、オリフィスが形成されたオリフィス
プレートを接着樹脂でヘッド本体に接合した場合、接着
樹脂が硬化した際の収縮により流路とオリフィスとの位
置ずれが生じてしまう。この、オリフィスプレートの接
合に用いる材料の硬化収縮による影響を防ぐために、特
開平2−78560号公報には、接合面に凹凸を形成し
たオリフィスプレートを用いる方法が開示されている。
さらに、米国特許第5604521号明細書には、図1
7に示すように、オリフィス1052を開口させた凸部
1053をヘッド本体1043との接合面に設けたオリ
フィスプレート1044を用い、このオリフィスプレー
ト1044の接合面に接着樹脂1054を塗布した後、
凸部1053を、ヘッド本体1043の流路1046に
嵌め込んだ液体吐出ヘッドが開示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の液体吐出ヘッドには以下に示すような問題点が
あった。
【0014】オリフィスプレートをドライフィルムなど
樹脂で構成し、これを軟化させた状態でヘッド本体の接
合面に圧着することでオリフィスプレートの一部を流路
に侵入させるものでは、流路内への樹脂の入り込み量の
制御が難しい。オリフィスの径が微小かつ高密度に形成
されるようになると、流路内に入り込んだ樹脂の量が吐
出性能に大きく影響し、流路ごとの吐出量にばらつきが
生じてしまう。
【0015】また、オリフィスプレートに樹脂フィルム
を用いた場合には、レーザ加工によってオリフィスを形
成しているが、オリフィスプレートを接合した後にレー
ザ加工を施すと、レーザ加工のアブレーションによって
生じるカーボンなどの異物が流路内に侵入してしまうこ
とがある。このような異物が流路内に侵入すると、オリ
フィスを目詰まりさせたり発熱素子上へ固着し、吐出不
良の原因となる。
【0016】一方、オリフィスプレートに凸部を設け、
この凸部を流路に嵌め込む構成をとった場合、線膨張率
の異なったヘッド本体とオリフィスプレートとを接合し
たとき、環境温度の違いによって嵌め合いがうまく行か
ない場合がある。これは、接着樹脂として熱硬化性の接
着剤を用いたときに顕著である。さらに、この構成をと
った場合、オリフィスの高密度化に伴い、嵌め合いの公
差が厳しくなり、うまく嵌合しない場合がある。特に、
フルラインヘッドのように一列に多数のオリフィスが形
成されている場合には、両端でのずれ量も大きくなり、
嵌合不良が発生し易くなる。
【0017】本発明の第1の目的は、オリフィスプレー
トとヘッド本体とが接合された液体吐出ヘッドにおい
て、環境温度の変化があってもオリフィスと流路とが高
精度に位置決めされた液体吐出ヘッドを提供することで
ある。
【0018】本発明の第2の目的は、オリフィスをレー
ザ加工によって形成した際に生じる異物が流路内に存在
しない液体吐出ヘッドを提供することである。
【0019】本発明の第3の目的は、オリフィスが高密
度に配列され、あるいは多数個のオリフィスが配列され
ていてもオリフィスプレートとヘッド本体とが精度良く
確実に接合される液体吐出ヘッドを提供することであ
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の液体吐出ヘッドは、それぞれ液体を吐出させる
ために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生
素子を備え所定のピッチで配列された複数の液流路が端
面に開口するヘッド本体と、該ヘッド本体の端面に接合
され、前記液流路に対応する部位にそれぞれ前記液流路
と連通するオリフィスが形成されたオリフィスプレート
とを有する液体吐出ヘッドにおいて、前記ヘッド本体の
端面の、前記液流路の開口列の更に両側方に、前記流路
の幅及び高さと等しい幅及び高さを有する2つの凹部が
前記液流路の配列ピッチと等しいピッチで設けられると
ともに、前記オリフィスプレートの前記ヘッド本体との
接合面に、前記凹部にそれぞれ嵌合されている2つの位
置決め凸部が設けられ、前記液流路の配列ピッチをA、
前記液流路の幅をB、前記液流路の高さをD、前記位置
決め凸部の前記液流路の配列方向での幅を根元部でC
1、先端部でC2、前記位置決め凸部の前記液流路の配
列方向と直交する方向での幅を根元部でE1、先端部で
E2、前記ヘッド本体の線膨張係数をa、前記オリフィ
スプレートの線膨張係数をb、前記液流路の数と前記凹
部の数を加えた数をn、前記ヘッド本体と前記オリフィ
スプレートとの接合の前後での環境温度変化をΔtとし
たとき、(B−C1)/2≧|(a−b)×n×A×Δ
t|、(D−E1)/2≧|(a−b)×D×Δt|、
C1≧C2、及びE1≧E2の不等式を満足することを
特徴とする。
【0021】上記の発明によれば、ヘッド本体とオリフ
ィスプレートとは、オリフィスプレートの位置決め凸部
をヘッド本体の凹部に嵌合させて接合される。ここで、
ヘッド本体とオリフィスプレートとの接合前後での環境
温度の変化による各部の寸法変化を考慮して、ヘッド本
体及びオリフィスプレートの各部の寸法を上記の各不等
式を満足するように規定しているので、オリフィスプレ
ートとヘッド本体とは接合の前後に環境変化があっても
位置精度よく確実に接合される。
【0022】また、本発明の液体吐出ヘッドは、上記の
位置決め凸部及び凹部の他に、オリフィスプレートのヘ
ッド本体との接合面に、それぞれ液流路に対応する部位
に設けられて液流路に嵌合されている、位置決め凸部と
は異なる複数の嵌合凸部を有し、これら嵌合凸部にオリ
フィスが形成されているものであってもよい。この場
合、嵌合凸部の液流路の配列方向での幅を根元部でF
1、先端部でF2、嵌合凸部の液流路の配列方向と直交
する方向での幅を根元部でG1、先端部でG2としたと
き、(B−F1)/2≧|(a−b)×n×A×Δt
|、(D−G1)/2≧|(a−b)×D×Δt|、F
1≧F2、G1≧G2、C1≧F1、及びE1≧G1の
不等式を更に満足している。このように、嵌合凸部の寸
法についても位置決め凸部と同様に規定することによ
り、流路とオリフィスとの位置決めが正確に行われる。
【0023】オリフィスは、液体の吐出方向に向かって
径が小さくなるテーパ形状であることが好ましい。これ
により、液体の吐出方向が安定する。このようなテーパ
形状は、オリフィスプレートを樹脂フィルム材で構成す
れば、オリフィスプレートのヘッド本体との接合面側か
らのレーザ光の照射によりオリフィスを形成することで
得ることができる。さらに、上述したように本発明によ
ればオリフィスプレートとヘッド本体との接合が位置精
度良く行えるので、オリフィスはオリフィスプレートの
接合前に予め形成しておくことができ、レーザ加工によ
り発生する異物が液流路内に侵入することもない。
【0024】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0025】(第1の実施形態)図1は、本発明の第1
の実施形態の液体吐出ヘッドの一部を破断した模式的斜
視図である。
【0026】図1に示すように、本実施形態の液体吐出
ヘッドは、インクに与える吐出エネルギーを発生させる
ためのエネルギー発生素子である複数の発熱素子5、及
び各発熱素子5に対応した複数の流路6を備えるヘッド
本体3と、このヘッド本体3に接合されたオリフィスプ
レート4とを有する。ヘッド本体3は、その端面におい
て各流路6が開口しており、オリフィスプレート4は、
この端面に接着樹脂15によって接合される。また、オ
リフィスプレート4には、各流路6と連通する複数のオ
リフィス12が形成されている。
【0027】ヘッド本体3は、基板1と、基板1の上面
に接合された天板2とで構成される。基板1には、上記
の発熱素子5及びこれら発熱素子5に電気信号を供給す
るためのAl配線が成膜技術によって形成されている。
天板2には、上記の各流路6を仕切る流路壁9及び各流
路6に供給するインクを一時的に保持する共通液室7を
形成するための液室枠10が一体に形成され、基板1に
天板2を接合することで、これら流路6及び共通液室7
が構成される。また、天板2には、外部から共通液室7
にインクを供給するためのインク供給口11が開口して
いる。なお、基板1の各発熱素子5の間の部位には天板
2の流路壁9が嵌め込まれる溝8が形成されており、天
板2と基板1とを接合する際に、流路壁9を溝8に嵌め
込むことで天板2と基板1との位置決めがなされる。
【0028】また、ヘッド本体3の端面において各流路
6の開口列の更に両側方には、流路6と同じ配列ピッチ
で配置されかつ流路6と同じ構造を有するが実際には記
録には寄与しない2つのダミー凹部13がピッチで構成
されている。図1に示す例では、基板1のダミー凹部1
3に対応する位置にも発熱素子5が設けられているが、
ダミー凹部13においては必ずしも発熱素子5は設けな
くてもよい。
【0029】オリフィスプレート4としては、SUS、
Niなどの金属フィルム、または耐インク性に優れたプ
ラスチックフィルム、例えば、ポリイミド、ポリサルフ
ォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンオキサ
イド、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロピレンな
どの樹脂フィルム材を用いることが望ましい。本実施形
態では、オリフィスプレート4として、厚さが50μm
のPSFフィルムを用いた。
【0030】また、オリフィスプレート4とヘッド本体
3とを接合する接着樹脂15としては、紫外線照射、赤
外線照射あるいは加熱などの処理やそれらの処理を併用
することにより、タック性を保持したままBステージ化
して硬化収縮が終了し、更なる上記の処理により硬化す
るものが用いられる。本実施形態では、紫外線照射によ
りBステージ化し、更なるUV照射、もしくは加熱によ
り硬化するエポキシ系の接着剤を用いた。なお、この接
着剤は、加熱圧着のみでも接着が可能である。
【0031】上記の液体吐出ヘッドでは、共通液室7か
ら流路6に供給されたインクは、オリフィス12でメニ
スカスを形成して流路6を満たしている。この状態で発
熱素子5を駆動し発熱させると、発熱素子5上のインク
が急激に加熱されて流路6内に膜沸騰に伴う気泡が発生
し、この気泡の成長による圧力でオリフィス12からイ
ンクが吐出される。
【0032】ここで、ヘッド本体3およびオリフィスプ
レート4の接合部の構造について詳細に説明する。
【0033】図2は、図1に示すヘッド本体をオリフィ
スプレートが接合される面から見た図である。図2に示
すように、流路6およびダミー凹部13は、天板2と基
板1とにより開口端から見てともに等しい幅および高さ
を有する矩形状に形成されており、所定の配列ピッチで
等間隔に配列されている。
【0034】図3は、図1に示すオリフィスプレートを
表面(ヘッド本体との非接合面)から見た図である。図
4は、図3に示すオリフィスプレートの断面図であり、
(a)はA−A線断面図、(b)はB−B線断面図を示
す。なお、図4は、オリフィスプレートの裏面(ヘッド
本体との接合面)に接着樹脂15を塗布した状態が示さ
れている。
【0035】オリフィスプレート4には、ヘッド本体3
の流路6(図1,2参照)に対応するオリフィス12の
他に、ダミー凹部13(図1,2参照)に対応するダミ
ー凸部14が設けられている。つまり、オリフィス12
およびダミー凸部14の配列ピッチは、ヘッド本体3の
流路6およびダミー凹部13の配列ピッチと実質的に等
しい。
【0036】オリフィス12は、オリフィスプレート4
の裏面に接着樹脂15が塗布された後、オリフィスプレ
ート4の裏面側からのレーザビームの照射によって開口
される。従って、オリフィス12は、図4(b)に示す
ようにインクの吐出方向に向かって径が小さくなるテー
パ状に形成されている。ダミー凸部14は、オリフィス
プレート4の裏面から突出した菱形の突起であり、接着
樹脂15が塗布される前に、ダミー凸部14の部分をマ
スクしてオリフィスプレート4の裏面側からレーザビー
ムを照射することによって形成される。従って、ダミー
凸部14も根元から先端に向かって細くなるテーパ状に
形成されている。
【0037】そして、オリフィスプレート4のダミー凸
部14をヘッド本体3のダミー凹部13に嵌合させてオ
リフィスプレート4とヘッド本体4とを接合すること
で、流路6が高密度に配列されていても、オリフィス1
2を流路6と対応させてオリフィスプレート4とヘッド
本体3とを接合することができる。
【0038】次に、上述した液体吐出ヘッドの製造方法
の一例を説明する。
【0039】まず、基板1と天板2とを作製し、両者を
接合する。基板1及び天板2の作製方法、両者の接合方
法は、従来と同様であるのでその説明は省略する。
【0040】次いで、オリフィスプレート4にダミー凸
部14をレーザ加工によって形成する。図5に、オリフ
ィスプレート4の加工に用いるレーザ加工装置の一例を
示す。図5に示すように、このレーザ加工装置500
は、レーザ光源501から出射したレーザ光505を集
光レンズ502で集光した後、マスク503を介して所
定の形状に整え、オリフィスプレート4の裏面のダミー
凸部14となる部位以外の領域に照射する構成となって
いる。これにより、オリフィスプレート4はレーザ光5
05が照射された領域のみが除去され、ダミー凸部14
が形成される。本実施形態では、レーザ光505とし
て、波長が248nmのKrFエキシマレーザ光を使用
した。
【0041】次に、オリフィスプレート4の裏面に、接
着樹脂15を均一の厚さで塗布し、UV照射によりタッ
ク性を保持したままBステージ化した状態とする。
【0042】その後、レーザ加工によりオリフィスプレ
ート4にオリフィス12を形成する。オリフィス12の
形成には、図5に示した、ダミー凸部14の形成に用い
たものと同じレーザ加工装置500を、マスク503の
パターンを変更して使用することができる。また、オリ
フィス12の形成に際しては、レーザ光505をヘッド
本体3との接合面側からする。これにより、オリフィス
プレート4がヘッド本体3と接合されたとき、オリフィ
ス12はインクの吐出方向に向かって径が小さくなるテ
ーパ状とされるので、インクの吐出方向が安定する。
【0043】以上のようにしてオリフィスプレート4を
作製したら、オリフィスプレート4のダミー凸部14を
ヘッド本体3のダミー凹部13に嵌合させ、オリフィス
プレート4をヘッド本体3に向けて約1×105Nの圧
力で押し付けてオリフィスプレート4とヘッド本体3と
を密着させる。その状態を保持したまま60℃で両者を
加熱圧着して、接着樹脂14の硬化を終了させる。これ
により、図6および7に示すようにヘッド本体3とオリ
フィスプレート4とが接着樹脂14を介して隙間なく接
着され、液体吐出ヘッドが完成する。
【0044】ここで、レーザ加工によるオリフィス12
の形成はヘッド本体3とオリフィスプレート4との接合
前に行っているので、レーザ加工のアブレーションによ
って生じるカーボンなどの異物が流路6内に侵入するこ
とはない。従って、このような異物によるオリフィス1
2の目詰まりや、発熱素子5上への異物の固着も発生せ
ず、これらに起因する吐出不良が防止される。
【0045】上述のように、本実施形態では、熱硬化性
の接着樹脂15を用いてオリフィスプレート4とヘッド
本体3とを接合しているので、オリフィスプレート4の
線膨張率とヘッド本体3の線膨張率とが異なると、両者
の接合前後の環境温度の変化によってはダミー凸部14
がダミー凹部13に嵌合できなくなったり、オリフィス
12の配列ピッチと流路6の配列ピッチとのずれが大き
くなり、オリフィスプレート4とヘッド本体3とが良好
に接合できなくなったりする場合がある。
【0046】そこで本実施形態では、環境温度変化によ
るオリフィスプレート4とヘッド本体3との、流路6の
配列方向及び高さ方向における膨張量の差が、ダミー凸
部14をダミー凹部13に嵌合させた状態での両者の隙
間の大きさよりも小さくなるように、ダミー凸部14及
びダミー凹部13の大きさを設計している。すなわち、
オリフィスプレート4に関しては、図3に示すようにダ
ミー凸部14の横幅(液流路6の配列方向の幅)を根元
部でC1、先端部でC2、ダミー凸部14の縦幅(液流
路6の配列方向と直交する方向の幅)を根元部でE1、
先端部でE2、線膨張係数をbとし、ヘッド本体3に関
しては、図2に示すように流路6およびダミー凹部13
の配列ピッチをA、幅をB、高さをD、線膨張係数をa
とし、さらに、流路6の数+ダミー凹部13の数=n、
ヘッド本体3とオリフィスプレート4との接合前後での
環境温度差をΔtとしたとき、以下の、 (B−C1)/2≧|(a−b)×n×A×Δt| … (式1) (D−E1)/2≧|(a−b)×D×Δt| … (式2) C1≧C2 … (式3) E1≧E2 … (式4) を満足するように、オリフィスプレート4及びヘッド本
体3の材料が選定され、かつ、各部の寸法が設計されて
いる。
【0047】上記の(式1)〜(式4)を満足するよう
に、オリフィスプレート4及びヘッド本体3の材料を選
定し、各部の寸法を設計することで、オリフィスプレー
ト4とヘッド本体3との加熱圧着の際に、それぞれの熱
膨張率が異なっていても、オリフィスプレート4のダミ
ー凸部14とヘッド本体3のダミー凹部13との位置が
ずれることはなく、両者が接合できなくなるということ
はなくなる。また、上記(式2)では流路6の配列ピッ
チ及び配列方向における全体の幅も考慮しているので、
流路6が高密度に配列されていたり、ラインヘッドのよ
うに多数の流路6を有する場合でも、オリフィスプレー
ト4とヘッド本体3とを確実に接合することができる。
オリフィスプレート4が光を透過する材料であれば、紫
外線や赤外線で接着樹脂15を硬化させた後に熱をかけ
てもオリフィスプレート4とヘッド本体3とのずれは生
じない。
【0048】ここで、上記の(式1)〜(式4)ににつ
いて具体的な数値を挙げて説明する。例えば、第1の例
として、ヘッド本体3をシリコンで構成し、オリフィス
プレート4をポリサルフォンで構成した。この場合、ヘ
ッド本体3の線膨張率aは2.42×10--6、オリフ
ィスプレート4の線膨張率bは5.5×10-5である。
このとき、ヘッド本体3の各部の寸法を、A=0.04
25mm、B=0.033mm、D=0.05mmと
し、オリフィスプレート4の各部の寸法を、C1=0.
030mm、C2=0.028mm、E1=0.049
mm、E2=0.047mmとし、さらに、n=120
0、環境温度差Δt=2℃とする。
【0049】これらの値を(式1)〜(式4)に当ては
めると、(式3)および(式4)については明らかに不
等式を満足する。また、(式2)についても、左辺が1
×10-3mm、右辺が5.3×10-6mmとなり、不等
式を満足する。しかし、(式1)については、左辺が
1.5×10-3mm、右辺が5.4×10-3mmとな
り、不等式を満足しない。つまり、ダミー凹部13の高
さ方向については問題ないが、幅方向については熱膨張
によるダミー凸部14とダミー凹部13との位置ずれが
大きくなりすぎ、オリフィスプレート4とヘッド本体3
との接合ができなくなってしまう。
【0050】そこで、第2の例として、ヘッド本体3に
ついてはダミー凹部12の幅Bを0.035mmに変更
するとともに、オリフィスプレート4については、ダミ
ー凸部14を根元部の横幅C1を0.026mm、先端
部の横幅C2を0.024mmに変更し、その他の条件
については第1の例と同じとすると、(式2)は左辺が
5.5×10-3mm、右辺が5.4×10-3mmとな
り、不等式を満足する。従って、環境温度変化によりオ
リフィスプレート4及びヘッド本体3の各部の寸法が変
化したとしても、両者を確実に接合することができる。
【0051】次に、オリフィスプレート4の材料を変更
した場合の具体的な例を挙げる。この第3の例では、オ
リフィスプレート4としてポリイミド(例えば、ユーピ
レクスS(商品名)、宇部興産社製)を用いた。ポリイ
ミドの線膨張率bは1.1×10-5であり、ポリサルフ
ォンの線膨張率よりも小さい。従って、ポリサルフォン
を用いた場合よりも、流路6の配列方向におけるダミー
凸部14とダミー凹部13との隙間を小さくしても、オ
リフィスプレート4とヘッド本体3との接合を行うこと
ができる。そこで、上記の第1の例においてオリフィス
プレート4の材料をポリイミドに変更して(式1)〜
(式4)に当てはめると、(式1)〜(式4)の全てを
満足する。従って、この条件でもオリフィスプレート4
とヘッド本体3との接合を確実に行えることが分かる。
【0052】上記の液体吐出ヘッドを用いて印字を行っ
たところ、印字にヨレやムラは発生せず、オリフィスプ
レート4が剥がれることもなく、良好な印字が得られ
た。さらに、この液体吐出ヘッドを分解して観察したと
ころ、オリフィス12の内部及び流路6内に異物は存在
していなかった。
【0053】上述した実施形態では表面に何の処理も施
されていないオリフィスプレート4を用いた例を示した
が、オリフィスプレート4の表面に表面に撥水層を形成
してもよい。このように表面に撥水処理を施すことで、
オリフィスプレート4の表面へのインクの付着が防止さ
れる。また、オリフィスプレート4の裏面については、
ダミー凸部14以外は平坦なものを示したが、オリフィ
ス12の近傍のヘッド本体3と接合される部位に、接着
樹脂15の逃げのための溝を形成してもよい。これによ
り、オリフィスプレート4とヘッド本体3とを圧着した
際に、接着樹脂15が流路6内に侵入しにくくなる。こ
の溝は、オリフィス12の形成の際にオリフィス12の
形成と同様の方法で形成することができる。
【0054】さらに、オリフィスプレート4とヘッド本
体3とを接合するための接着樹脂15は、オリフィスプ
レート4ではなくヘッド本体3に塗布してもよい。この
ように接着樹脂15をヘッド本体3に塗布しても、オリ
フィスプレート4に接着樹脂15を塗布した場合と同様
にオリフィスプレート4とヘッド本体3とを接合するこ
とができる。
【0055】(第2の実施形態)図8は、本発明の第2
の実施形態の液体吐出ヘッドのオリフィス近傍の正面図
である。図9は図8に示す液体吐出ヘッドの断面図であ
り、(a)はC−C線断面図、(b)はD−D線断面図
を示す。
【0056】本実施形態の液体吐出ヘッドも第1の実施
形態と同様に、ヘッド本体23に2つのダミー凹部33
を有するとともに、オリフィスプレート24にはヘッド
本体23のダミー凹部33に嵌合するダミー凸部34を
有する。更に本実施形態では、オリフィスプレート24
のヘッド本体23との接合面に、ヘッド本体23の流路
26に嵌合する複数の凸部36が流路と同じ配列ピッチ
で形成されており、これら凸部36にオリフィス32が
開口している。オリフィスプレート24のヘッド本体2
3との接合面には第1の実施形態と同様の接着樹脂35
が塗布され、この接着樹脂35を介してオリフィスプレ
ート24とヘッド本体23とが接合される。その他の構
造は第1の実施形態と同様であるので詳細な説明は省略
する。
【0057】本実施形態のオリフィスプレートについて
図10および図11を参照して詳細に説明する。図10
は、図8に示す液体吐出ヘッドのオリフィスプレートを
ヘッド本体との非接合面から見た図である。図11は図
10に示すオリフィスプレートの断面図であり、(a)
はC−C線断面図、(b)はD−D線断面図を示す。
【0058】オリフィスプレート24の凸部36は、ダ
ミー凸部34と同様にして形成することができる。本実
施形態では、図5に示したものと同様のレーザ加工装置
を用い、オリフィスプレート24のヘッド本体23(図
9参照)との接合面側からレーザ光を照射することによ
ってダミー凸部34の形成と同時に凸部36を形成し
た。接着樹脂35は、ダミー凸部34および凸部36の
形成後に均一の厚さで塗布される。オリフィス32は、
この接着樹脂35にUV照射して接着樹脂35をBステ
ージ化した後、ヘッド本体23との接合面側からレーザ
光を照射することにより、各凸部36に一つずつ形成さ
れる。
【0059】ここで、オリフィスプレート24の線膨張
係数をbとし、ダミー凸部34および凸部36の寸法に
ついては、ダミー凸部34の横幅を根元部でC1、先端
部でC2、ダミー凸部34の縦幅を根元部でE1、先端
部でE2、凸部36の横幅を根元部でF1、先端部でF
2、凸部36の縦幅を根元部でG1、先端部でG2とす
る。また、ヘッド本体23については、図2に示したも
のと同様に、流路26およびダミー凹部33の配列ピッ
チをA、幅をb、高さをD、線膨張係数をaとし、さら
に、流路26の数+ダミー凹部33の数=n、ヘッド本
体23とオリフィスプレート24との接合前後での環境
温度差をΔtとする。このとき、第1の実施形態で定義
した(式1)〜(式4)に加え、更に、オリフィスプレ
ート24の凸部36とヘッド本体23の流路26との嵌
め合いを考慮した以下の式、 (B−F1)/2≧|(a−b)×n×A×Δt| … (式5) (D−G1)/2≧|(a−b)×D×Δt| … (式6) F1≧F2 … (式7) G1≧G2 … (式8) C1≧F1 … (式9) E1≧G1 … (式10) を満足するように、オリフィスプレート24およびヘッ
ド本体23の材料が選定され、かつ、各部の寸法が設計
されている。
【0060】このように、(式1)〜(式10)を満足
するようにオリフィスプレート24およびヘッド本体2
3の材料を選定し、各部の寸法を設計することで、オリ
フィスプレート24とヘッド本体23との加熱圧着の際
に、流路26が高密度に配列されていたりラインヘッド
のように多数の流路26を有する場合であっても、両者
を確実に接合することができる。しかも、本実施形態で
は、オリフィス32が開口し流路26に嵌合する凸部3
6をオリフィスプレート24に設けており、これら凸部
36についても上記のように寸法を規定しているので、
オリフィス32も流路26に対して正確に位置決めされ
る。オリフィスプレート24が光を透過する材料であれ
ば、紫外線や赤外線で接着樹脂を硬化させた後に熱をか
けてもオリフィスプレート24とヘッド本体23とのず
れは生じない。
【0061】上記の(式1)〜(式10)について具体
的な数値を挙げて説明する。例えば、第4の例として、
ヘッド本体23をシリコンで構成し、オリフィスプレー
ト24をポリサルフォンで構成した。この場合、ヘッド
本体23の線膨張率aは2.42×10-6、オリフィス
プレート24の線膨張率bは5.5×10-5である。こ
のとき、ヘッド本体23の各部の寸法を、A=0.04
25mm、B=0.033mm、D=0.05mmと
し、オリフィスプレート24の各部の寸法を、C1=
0.030mm、C2=0.028mm、E1=0.0
49mm、E2=0.047mm、F1=0.028m
m、F2=0.026mm、G1=0.048mm、G
2=0.046mmとし、さらに、n=1200、環境
温度差Δt=2℃とする。
【0062】これらの値を(式1)〜(式10)に当て
はめると、(式3)、(式4)、(式7)〜(式10)
については明らかに不等式を満足する。また、(式2)
は5×10-4mm≧5.3×10-6mm、(式6)は1
×10-3mm≧5.3×10 -6mmとなり、(式2)、
(式6)も不等式を満足する。しかし、(式1)および
(式5)については、右辺はそれぞれ5.4×10-3
mとなるのに対し、左辺は(式1)では1.5×10-3
mm、(式5)では2.5×10-3mmとなり、不等式
を満足しない。つまり、流路26の高さ方向については
問題ないが、幅方向については熱望量によるダミー凸部
34とダミー凹部33、および凸部36と流路26との
位置ずれが大きくなりすぎ、オリフィスプレート24と
ヘッド本体23との接合ができなくなってしまう。
【0063】そこで、第5の例として、上記の第4の例
に対して流路26の幅方向についてのヘッド本体23お
よびオリフィスプレート24の寸法を変更した。具体的
には、ヘッド本体23についてはB=0.035mmと
し、オリフィスプレート24については、C1=0.0
26mm、C2=0.024mm、F1=0.024m
m、F2=0.022mmとした。これにより、(式
1)および(式5)の左辺はいずれも5.5×10-3
mとなり、不等式を満足する。もちろん、(式3)、
(式7)〜(式10)も満足している。従って、環境温
度変化によりオリフィスプレート24及びヘッド本体2
3の各部の寸法が変化したとしても、両者を確実に接合
することができる。
【0064】次に、オリフィスプレート24の材料を変
更した場合の具体的な例を挙げる。この第6の例では、
オリフィスプレート24としてポリイミド(例えば、ユ
ーピレクスS(商品名)、宇部興産社製)を用いた。ポ
リイミドの線膨張率bは1.1×10-5であり、ポリサ
ルフォンの線膨張率よりも小さい。従って、ポリサルフ
ォンを用いた場合よりも、流路26の配列方向における
ダミー凸部34とダミー凹部33との隙間および凸部2
6と流路26との隙間を小さくしても、オリフィスプレ
ート24とヘッド本体23との接合を行うことができ
る。そこで、上記の第4の例においてオリフィスプレー
ト24の材料をポリイミドに変更して(式1)〜(式1
0)に当てはめると、(式1)〜(式10)の全てを満
足する。従って、この条件でもオリフィスプレート24
とヘッド本体23との接合を確実に行えることが分か
る。
【0065】上記の液体吐出ヘッドを用いて印字を行っ
たところ、印字にヨレやムラは発生せず、オリフィスプ
レート24が剥がれることもなく、良好な印字が得られ
た。さらに、この液体吐出ヘッドを分解して観察したと
ころ、オリフィス32の内部及び流路内に異物は存在し
ていなかった。
【0066】上述した実施形態では表面に何の処理も施
されていないオリフィスプレート24を用いた例を示し
たが、オリフィスプレート24の表面に表面に撥水層を
形成してもよい。このように表面に撥水処理を施すこと
で、オリフィスプレート24の表面へのインクの付着が
防止される。また、オリフィスプレート24の裏面につ
いては、ダミー凸部34及び凸部36以外は平坦なもの
を示したが、凸部36の近傍のヘッド本体23と接合さ
れる部位に、接着樹脂35の逃げのための溝を形成して
もよい。これにより、オリフィスプレート24とヘッド
本体23とを圧着した際に、接着樹脂35が流路26内
に侵入しにくくなる。この溝は、オリフィス32の形成
の際にオリフィス32の形成と同様の方法で形成するこ
とができる。
【0067】さらに、オリフィスプレート24とヘッド
本体23とを接合するための接着樹脂35は、オリフィ
スプレート24ではなくヘッド本体23に塗布してもよ
い。このように接着樹脂35をヘッド本体23に塗布し
ても、オリフィスプレート24に接着樹脂35を塗布し
た場合と同様にオリフィスプレート24とヘッド本体2
3とを接合することができる。
【0068】(その他の実施形態)次に、上述した液体
吐出ヘッドを用いたヘッドカートリッジ及び液体吐出記
録装置について説明する。
【0069】図12は、本発明の液体吐出ヘッドを用い
たヘッドカートリッジの一例の斜視図である。このヘッ
ドカートリッジ100は、上述した実施形態に示した液
体吐出ヘッド101と、液体吐出ヘッド101に供給す
るインクを保持するインク容器102とを一体化したも
のである。なお、インク容器102は、インク消費後に
インクを再充填して使用することが可能である。
【0070】図13は、本発明の液体吐出ヘッドを用い
たシリアルタイプの液体吐出記録装置の概略斜視図であ
る。図13に示すように、フレーム201には、螺旋溝
203が刻まれたリードスクリュー202が回転可能に
軸支されているとともに、ガイドシャフト204がリー
ドスクリュー202と平行に支持されている。キャリッ
ジ205は、不図示のピンによって螺旋溝203に対し
て係合し、かつ、ガイドシャフト204に摺動自在に案
内されており、駆動モータ206の正逆転を、駆動力伝
達ギア207,208を介してリードスクリュー202
に伝達することで、キャリッジ205は図示矢印a、b
方向に往復移動される。
【0071】キャリッジ205には、上述の実施形態で
示した液体吐出ヘッドを有するヘッドユニット221と
液体吐出ヘッドに供給するインク容器222とが互いに
分離可能なヘッドカートリッジ220が着脱可能に保持
されている。ヘッドカートリッジ220としては、図1
2に示したような、液体吐出ヘッド101とインク容器
102とが一体化されて分離できないものでもよい。
【0072】紙押え板210は、キャリッジ205の移
動方向にわたって、紙送りモータ209の駆動により回
転されるプラテンローラ212に対して被記録媒体23
0に押圧し、プラテンローラ212が回転することによ
って、プラテンローラ212と被記録媒体230との摩
擦力で被記録媒体230が搬送される。そして、キャリ
ッジ205の往復移動と被記録媒体230のピッチ送り
とを繰り返しながら液体吐出ヘッドからインクを吐出す
ることで、被記録媒体230に記録が行われる。
【0073】また、キャリッジ205がホームポジショ
ンに位置するときに液体吐出ヘッドの前面(オリフィス
プレートの表面)と対向する位置には、液体吐出ヘッド
の前面をキャップするキャップ部材211が配置されて
いる。キャップ部材211は吸引手段(不図示)と接続
されており、液体吐出ヘッドの前面をキャップした状態
で吸引手段を駆動して液体吐出ヘッド内の異物や増粘イ
ンクなどを強制的に吸引する吸引回復動作を行うこと
で、液体吐出ヘッドの吐出特性を維持することができ
る。
【0074】図14は、本発明の液体吐出ヘッドを用い
たフルラインタイプの液体吐出記録装置の概略斜視図で
ある。図14に示す液体吐出記録装置は、2つの搬送ロ
ーラ312によって搬送される被記録媒体330に対向
して、液体吐出ヘッド320が配置される。液体吐出ヘ
ッド320は、上述した実施形態に示したものと同様の
構造を有し、被記録媒体330の記録可能領域の全幅に
わたってオリフィスが形成されている。上述したように
本発明の液体吐出ヘッドは、ヘッド本体及びオリフィス
プレートの材料、両者の嵌合部の寸法を、ヘッド本体と
オリフィスプレートとの接合前後での環境温度変化を考
慮して、前述した第1の実施形態または第2の実施形態
で述べたように設定しているので、フルラインヘッドの
ような長尺の液体吐出ヘッドにおいても、ヘッド本体の
流路とオリフィスプレートの凸部との配列ピッチがずれ
て両者が接合できなくなるといった不具合は発生しな
い。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ヘ
ッド本体とオリフィスプレートとの接合前後での環境温
度の変化による各部の寸法変化を考慮して、ヘッド本体
及びオリフィスプレートの各部の寸法を規定することに
より、液流路の数や配列ピッチにかかわらず、オリフィ
スプレートとヘッド本体とを位置精度よく確実に接合す
ることができる。また、オリフィスプレートのヘッド本
体との接合面に、ヘッド本体の各液流路の開口にそれぞ
れ嵌合する嵌合凸部を設けた場合にも、これら嵌合凸部
の寸法を規定することにより、嵌合凸部を液流路に確実
に嵌合させてオリフィスプレートとヘッド本体とを接合
することができるので、流路とオリフィスとを正確に位
置決めすることができる。さらに、液流路とオリフィス
との位置精度が向上することにより、オリフィスプレー
トへのオリフィスの形成をヘッド本体との接合前に行う
ことができるので、オリフィスをレーザ加工で形成して
も、レーザ加工により発生する異物が液流路内に侵入す
るのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の液体吐出ヘッドの一
部を破断した模式的斜視図である。
【図2】図1に示すヘッド本体をオリフィスプレートが
接合される面から見た図である。
【図3】図1に示すオリフィスプレートを表面から見た
図である。
【図4】図3に示すオリフィスプレートの断面図であ
り、(a)はA−A線断面図、(b)はB−B線断面図
を示す。
【図5】オリフィスプレートの加工に用いるレーザ加工
装置の一例を示す図である。
【図6】図1に示す液体吐出ヘッドをオリフィスプレー
ト側から見た正面図である。
【図7】図6に示す液体吐出ヘッドの断面図であり、
(a)はA−A線断面図、(b)はB−B線断面図を示
す。
【図8】本発明の第2の実施形態の液体吐出ヘッドのオ
リフィス近傍の正面図である。
【図9】図8に示す液体吐出ヘッドの断面図であり、
(a)はC−C線断面図、(b)はD−D線断面図を示
す。
【図10】図8に示す液体吐出ヘッドのオリフィスプレ
ートをヘッド本体との非接合面から見た図である。
【図11】図10に示すオリフィスプレートの断面図で
あり、(a)はC−C線断面図、(b)はD−D線断面
図を示す。
【図12】本発明の液体吐出ヘッドを用いたヘッドカー
トリッジの一例の斜視図である。
【図13】本発明の液体吐出ヘッドを用いたシリアルタ
イプの液体吐出記録装置の概略斜視図である。
【図14】本発明の液体吐出ヘッドを用いたフルライン
タイプの液体吐出記録装置の概略斜視図である。
【図15】従来の液体吐出ヘッドの一例の分解斜視図で
ある。
【図16】従来の液体吐出ヘッドの他の例の、オリフィ
スプレート近傍での断面図である。
【図17】従来の液体吐出ヘッドの更に他の例の、オリ
フィスプレート近傍での断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 天板 3,23 ヘッド本体 4,24 オリフィスプレート 5 発熱素子 6,26 流路 7 共通液室 8 溝 9 流路壁 10 液室枠 11 インク供給口 12,32 オリフィス 13,33 ダミー凹部 14,34 ダミー凸部 15,35 接着樹脂 36 凸部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池亀 健 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 樫野 俊雄 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF24 AG01 AG12 AP02 AP13 AP23 AP24 AP72 AP77

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれ液体を吐出させるために利用さ
    れるエネルギーを発生するエネルギー発生素子を備え所
    定のピッチで配列された複数の液流路が端面に開口する
    ヘッド本体と、該ヘッド本体の端面に接合され、前記液
    流路に対応する部位にそれぞれ前記液流路と連通するオ
    リフィスが形成されたオリフィスプレートとを有する液
    体吐出ヘッドにおいて、 前記ヘッド本体の端面の、前記液流路の開口列の更に両
    側方に、前記流路の幅及び高さと等しい幅及び高さを有
    する2つの凹部が前記液流路の配列ピッチと等しいピッ
    チで設けられるとともに、前記オリフィスプレートの前
    記ヘッド本体との接合面に、前記凹部にそれぞれ嵌合さ
    れている2つの位置決め凸部が設けられ、 前記液流路の配列ピッチをA、前記液流路の幅をB、前
    記液流路の高さをD、前記位置決め凸部の前記液流路の
    配列方向での幅を根元部でC1、先端部でC2、前記位
    置決め凸部の前記液流路の配列方向と直交する方向での
    幅を根元部でE1、先端部でE2、前記ヘッド本体の線
    膨張係数をa、前記オリフィスプレートの線膨張係数を
    b、前記液流路の数と前記凹部の数を加えた数をn、前
    記ヘッド本体と前記オリフィスプレートとの接合の前後
    での環境温度変化をΔtとしたとき、 (B−C1)/2≧|(a−b)×n×A×Δt|、 (D−E1)/2≧|(a−b)×D×Δt|、 C1≧C2、及び E1≧E2 の不等式を満足することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記オリフィスプレートの前記ヘッド本
    体との接合面に、それぞれ前記液流路に対応する部位に
    設けられるとともに前記オリフィスが一つずつ開口され
    て前記液流路に嵌合されている、前記位置決め凸部とは
    異なる複数の嵌合凸部が設けられ、 前記嵌合凸部の前記液流路の配列方向での幅を根元部で
    F1、先端部でF2、前記嵌合凸部の前記液流路の配列
    方向と直交する方向での幅を根元部でG1、先端部でG
    2としたとき、 (B−F1)/2≧|(a−b)×n×A×Δt|、 (D−G1)/2≧|(a−b)×D×Δt|、 F1≧F2、 G1≧G2、 C1≧F1、及び E1≧G1 の不等式を更に満足する、請求項1に記載の液体吐出ヘ
    ッド。
  3. 【請求項3】 前記オリフィスは、液体の吐出方向に向
    かって径が小さくなるテーパ形状である、請求項1また
    は2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記オリフィスプレートが樹脂フィルム
    材からなり、前記オリフィスは、前記オリフィスプレー
    トが前記ヘッド本体と接合される前に、前記オリフィス
    プレートの前記ヘッド本体との接合面側からのレーザ光
    の照射により予め形成されている、請求項3に記載の液
    体吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記オリフィスプレートと前記ヘッド本
    体とが接着剤により接合されている、請求項1ないし4
    のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記オリフィスプレートの前記ヘッド本
    体との接合面の、前記オリフィスの近傍かつ前記ヘッド
    本体と接合される部位に、前記接着剤の逃げ溝が形成さ
    れている、請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記オリフィスプレートの前記ヘッド本
    体との非接合面に撥水処理が施されている、請求項1な
    いし6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102259494A (zh) * 2010-05-27 2011-11-30 施乐公司 用于简化装置的具有对准特征的模制喷嘴板

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