JP2001195922A - 光透過性導電性膜、これを有する光学部材、電子部品および装置 - Google Patents

光透過性導電性膜、これを有する光学部材、電子部品および装置

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JP2001195922A
JP2001195922A JP2000009978A JP2000009978A JP2001195922A JP 2001195922 A JP2001195922 A JP 2001195922A JP 2000009978 A JP2000009978 A JP 2000009978A JP 2000009978 A JP2000009978 A JP 2000009978A JP 2001195922 A JP2001195922 A JP 2001195922A
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transmitting conductive
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Tatsuo Ota
達男 太田
Tomohito Nakano
智史 中野
Setsuo Tokuhiro
節夫 徳弘
Shingo Nakamura
新吾 中村
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた電磁波低減機能を有しながら、高い光
透過性、導電性、耐環境性および耐久性を有することに
より、所望の機能を有する機能性膜として用いることが
できる光透過性導電性膜、光学部材、電子部品および装
置の提供。 【解決手段】 本発明の光透過性導電性膜は、プラスチ
ック基材の少なくとも表面の一部に形成された、表面抵
抗が100Ω/cm2 以下である光透過性導電性膜であ
って、複数の層が積層されて形成されており、プラスチ
ック基材の表面に対して遠位側に位置する基準層よりも
近位側に位置する少なくとも1つの層が当該基準層より
稠密度が小さい低稠密度層である。本発明の光学部材
は、光学機能を有するプラスチック基材と、これに形成
された上記光透過性導電性膜とよりなる。本発明の電子
部品は、上記光透過性導電性膜が形成されたプラスチッ
ク基材を有してなり、本発明の装置は、当該電子部品を
有してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光透過性を有する
と共に導電性を有する機能性膜(この明細書において
「光透過性導電性膜」という。)、これを有する光学部
材、電子部品および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光透過性導電性膜は、例えば、液
晶表示装置などの表示用電極、冷凍食品ケースのガラス
窓の凍結防止膜、太陽電池用の透明電極、タッチパネル
用スイッチ電極などとして実用化されており、具体的に
は、アルミニウム、クロム、白金などから形成され
る、厚さが例えば30〜100Åの金属薄膜、金属
網、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化カド
ミウムなどから形成される金属酸化物膜などである。
【0003】しかしながら、以上のような光透過性導電
性膜は、通常、高温下で形成されるものであるため、ガ
ラス基材などの耐熱性の高い基材に対してはともかく、
プラスチックなどよりなる耐熱性が150℃以下の基材
に対しては、優れた電磁波低減機能を有しながら、光透
過性、耐環境性および耐久性が高い光透過性導電性膜を
形成することができない、という問題がある。そして、
このような光透過性導電性膜を高温高湿環境下に保管し
た場合には、光透過性導電性膜の一部に色のズレが生ず
る、いわゆる色ムラが発生することがあり、また、光透
過性導電性膜とプラスチック基材との密着性が劣化して
光透過性導電性膜の一部がプラスチック基材から離れ
る、いわゆる膜浮きが発生することもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
事情に基づいてなされたものであって、その第1の目的
は、優れた電磁波低減機能を有しながら、高い光透過
性、導電性、耐環境性および耐久性を有し、これによ
り、所望の機能を有する機能性膜として用いることがで
きる光透過性導電性膜を提供することにある。また、本
発明の第2の目的は、所望の機能を有する機能性膜とし
て有用な光透過性導電性膜が形成された光学部材を提供
することにある。更に、本発明の第3の目的は、所望の
機能を有する機能性膜として有用な光透過性導電性膜が
形成された電子部品および当該電子部品を有する装置を
提供することにある。ここに、「光透過性」とは、透過
させたい所望の波長の光が特定されている場合には、そ
の波長の光を透過させることのできる性質のことをい
い、好ましくは、例えば波長380nm〜780nmの
光に対する透過率が80%以上である性質のことをい
う。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の光透過性導電性
膜は、プラスチック基材の少なくとも表面の一部に形成
された、表面抵抗が100Ω/cm2 以下である光透過
性導電性膜であって、当該光透過性導電性膜は、複数の
層が積層されて形成されており、プラスチック基材の表
面に対して遠位側に位置する基準層よりも近位側に位置
する少なくとも1つの層が当該基準層より稠密度が小さ
い低稠密度層であることを特徴とする。ここで、「基準
層」とは、特定の層を示すものではなく、或る層との間
において、稠密度の大きさによる相対的な関係を示すた
めに基準となる任意の層のことである。
【0006】本発明の光透過性導電性膜においては、前
記基準層の光学膜厚に比して、前記低稠密度層の光学膜
厚が小さいことが好ましい。
【0007】本発明の光透過性導電性膜においては、前
記基準層および前記低稠密度層は、いずれも、導電性層
であってもよい。
【0008】本発明の光透過性導電性膜においては、前
記基準層は、酸化インジウムを90質量%以上の割合で
含有することが好ましい。
【0009】本発明の光透過性導電性膜においては、前
記基準層および前記低稠密度層は、いずれも、酸化イン
ジウムと酸化スズとの混合物よりなることが好ましく、
また、前記基準層および前記低稠密度層は、いずれも、
酸化インジウムの含有割合が95〜97質量%であり、
酸化スズの含有割合が3〜5質量%であることが好まし
い。
【0010】本発明の光透過性導電性膜においては、プ
ラスチック基材の表面に対して前記低稠密度層よりも近
位側の位置であって、プラスチック基材の表面に接する
位置に、二酸化シリコンよりなる層を有することが好ま
しい。
【0011】本発明の光透過性導電性膜においては、前
記基準層および前記低稠密度層は、いずれも、誘電体層
であってもよい。
【0012】本発明の光透過性導電性膜においては、前
記基準層および前記低稠密度層は、いずれも、二酸化シ
リコンよりなることが好ましい。
【0013】本発明の光透過性導電性膜においては、前
記低稠密度層は、プラスチック基材の表面に接した状態
に形成されていることが好ましい。
【0014】本発明の光透過性導電性膜においては、前
記基準層および前記低稠密度層は、互いに接した状態に
形成されていることが好ましい。
【0015】本発明の光透過性導電性膜においては、プ
ラスチック基材の表面に対して最も遠位側に位置する最
外層は、二酸化シリコンよりなることが好ましい。
【0016】本発明の光透過性導電性膜においては、表
面抵抗が50Ω/cm2 以下であることが好ましい。
【0017】本発明の光透過性導電性膜においては、波
長450nm〜700nmの光に対する透過率が70%
以上であることが好ましい。
【0018】本発明の光透過性導電性膜においては、波
長450nm〜700nmの光に対する吸収率が20%
以下であることが好ましい。
【0019】本発明の光学部材は、光学機能を有するプ
ラスチック基材と、このプラスチック基材の少なくとも
表面の一部に形成された、上記の光透過性導電性膜とを
有することを特徴とする。
【0020】本発明の電子部品は、上記の光透過性導電
性膜が形成されたプラスチック基材を有することを特徴
とする。
【0021】本発明の電子部品においては、前記プラス
チック基材は、電子部品本体の少なくとも一部を覆うカ
バー部材であってもよく、あるいは、前記プラスチック
基材は、電子部品本体を収容する容器の少なくとも一部
であってもよい。
【0022】本発明の装置は、上記の電子部品を有する
ことを特徴とする。
【0023】
【作用】以上のような構成によれば、次のような作用効
果が奏される。表面抵抗が100Ω/cm2 以下である
ので、当該光透過性導電性膜の厚さが小さくても十分に
高い導電性が得られると共に、優れた電磁波低減機能を
得ることができ、また、当該光透過性導電性膜は、複数
の層が積層されてなる多層構成において、基準層よりも
近位側に低稠密度層が存在することにより、高い耐環境
性および耐久性が得られる。
【0024】低稠密度層の光学膜厚が基準層の光学膜厚
よりも小さいものとすることにより、耐環境性および耐
久性を更に向上させることができ、また、当該光透過性
導電性膜全体の厚さが必要以上に大きくなることを抑制
することができる。
【0025】基準層および低稠密度層を導電性層とする
ことにより、十分に高い導電性を有する光透過性導電性
膜が得られ、当該導電性層を混合物により形成する場合
には、当該混合物を構成する導電性材料の組成比を変更
することにより容易に制御された程度の稠密度を有する
光透過性導電性膜を得ることができる。
【0026】基準層に、その主成分として酸化インジウ
ムが含有されることにより、容易に光透過性および導電
性を有する光透過性導電性膜が得られる。また、基準層
および低稠密度層が、いずれも、酸化インジウムと酸化
スズとの混合物よりなる場合には、容易に、しかも確実
に優れた光透過性および導電性を有する光透過性導電性
膜が得られる。
【0027】プラスチック基材の表面に二酸化シリコン
よりなる層が形成されることにより、プラスチック基材
との密着性が高い光透過性導電性膜が得られる。
【0028】基準層および低稠密度層を、誘電体層、特
に二酸化シリコンよりなる層(以下、「二酸化シリコン
層」ともいう。)とすることにより、当該誘電体層の形
成時において、その形成条件を変化させることにより、
容易に制御された稠密度を有する光透過性導電性膜が得
られ、また、可視領域の波長の光に対して十分な光透過
性を有する光透過性導電性膜が得られる。
【0029】プラスチック基材の表面に低稠密度層であ
る二酸化シリコン層が形成されることにより、プラスチ
ック基材との密着性が高い光透過性導電性膜が得られ、
また、当該二酸化シリコン層の形成時において、その形
成条件を変化させることにより、容易に制御された稠密
度を有する光透過性導電性膜が得られ、更に、可視領域
の波長の光に対して十分な光透過性を有する光透過性導
電性膜が得られる。
【0030】基準層および低稠密度層が互いに接した状
態に形成されることにより、十分に高い耐環境性および
耐久性を有する光透過性導電性膜が得られる。
【0031】最外層を二酸化シリコンよりなる層とする
ことにより、当該最外層が密着性に優れたものとなり、
例えば反射防止膜、撥水膜などの各種機能性膜との一体
性が良好となる光透過性導電性膜が得られる。
【0032】表面抵抗が50Ω/cm2 以下であること
により、より十分に高い導電性および電磁波低減機能を
有する光透過性導電性膜が得られる。
【0033】波長450nm〜700nmの光に対する
透過率が70%以上であることにより、可視光線に対す
る光透過性が十分に高く、その結果、光量の損失が少な
く、プラスチック基材の色の再現性に優れた光透過性導
電性膜が得られる。ここに、「プラスチック基材の色の
再現性」とは、プラスチック基材に膜を形成した場合
に、当該膜を介して視認されるプラスチック基材の色
が、プラスチック基材そのものの色に比して、どの程度
再現されているかを示す度合のことをいい、「プラスチ
ック基材の色の再現性に優れた」とは、膜を介して視認
されるプラスチック基材の色と、プラスチック基材その
ものの色との差が微差であることをいう。
【0034】波長450nm〜700nmの光に対する
吸収率が20%以下であることにより、プラスチック基
材の色の再現性に優れた光透過性導電性膜が得られ、こ
れにより、実際に見える色の状態が大きく変化すること
がない。
【0035】光学部材は、上記の光透過性導電性膜を有
するので、限られた光量を有効に利用しながら、当該光
透過性導電性膜によって優れた電磁波低減機能が発揮さ
れ、電磁波による悪影響を抑制することができると共
に、当該光学部材から周囲に対しての電磁波による悪影
響を抑制することができる。また、当該光学部材への入
射光と、光学部材からの出射光との間の色の変化が少な
い。
【0036】電子部品は、上記の光透過性導電性膜を有
するので、電子部品本体から発せられる電磁波が外部に
漏れること、あるいは、外部から電子部品本体への電磁
波の影響を抑制することができ、いずれの場合において
も当該電子回路の誤作動を防止することができる。ま
た、電子回路の状態または表示部により示される表示の
視認が容易で確実となる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0038】<光透過性導電性膜>本発明の光透過性導
電性膜は、プラスチック基材の少なくとも表面の一部に
形成されるものであって、プラスチック基材が板状の場
合に一方または両方の面に形成される。この光透過性導
電性膜は、表面抵抗が100Ω/cm2 以下、好ましく
は50Ω/cm2 以下、更に好ましくは40Ω/cm2
以下のものである。
【0039】光透過性導電性膜の表面抵抗が100Ω/
cm2 以下では、膜厚にもよるが、得られる電磁波低減
率は例えば10dBであり、表面抵抗が50Ω/cm2
以下では、電磁波低減率は例えば20dBであり、表面
抵抗が40Ω/cm2 以下では、得られる電磁波低減率
は例えば25dBである。しかしながら、当該光透過性
導電性膜の表面抵抗が120Ω/cm2 以上では、有効
な電磁波低減能を期待することができない。
【0040】以上のような特性を有する光透過性導電性
膜は、プラスチック基材の表面上に複数の層が積層され
て形成される。このプラスチック基材は、例えば、アク
リル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ノルボルネン系樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、
ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポ
リオレフィン系樹脂などにより形成されるが、これら熱
可塑性樹脂に限られるものではなく、熱硬化性樹脂やエ
ネルギー線硬化性樹脂などにより形成されたものでもよ
い。形成されたプラスチック基材は、光透過性のもので
あることが好ましく、特に透明なものであることが好ま
しい。
【0041】このプラスチック基材は、具体的に、光学
レンズ本体、フィルター本体、プリズム本体、回折格子
本体、近接場光学素子本体もしくは導光板本体などの光
学機能を有する光学素子本体としての機能を有する光学
部材であり、あるいは、電子回路などを内蔵する電子部
品やそのような電子部品などを有する各種測定器、医療
機器もしくはオフィスオートメーション機器などの電子
機器の筐体、カバーまたは表示部(例えば、ブラウン
管、プラズマディスプレイ、カーナビゲーションシステ
ムのディスプレイあるいは車のメータパネルなどの前部
パネルまたはそのフィルター)などを構成する部材の一
部であってもよく、特に限定されるものではない。この
プラスチック基材は光透過性導電性膜の形成工程におけ
るコーティング作業時の加熱や温度上昇に耐えるに十分
な耐熱性を有することが望ましい。
【0042】光透過性導電性膜は、複数の層が積層され
て形成されてなるものであり、例えば複数の導電性層と
誘電体層とが積層されて形成されている場合には、下記
のいずれかの構成であることが好ましい。 (1)プラスチック基材の表面に対して遠位側に位置す
る導電性層(以下「基準導電性層」ともいう。)よりも
近位側に位置する少なくとも1つの層が当該基準導電性
層より稠密度が小さい導電性層(以下「低稠密度導電性
層」ともいう。)であること。 (2)プラスチック基材の表面に対して遠位側に位置す
る誘電体層(以下「基準誘電体層」ともいう。)よりも
近位側に位置する少なくとも1つの層が当該基準誘電体
層より稠密度が小さい誘電体層(以下「低稠密度誘電体
層」ともいう。)であること。
【0043】ここに、或る層についての「稠密度(Pack
ing Density )」は、当該層のみからなる単層構造の膜
を形成した試料を真空中に置いたときの水晶振動子膜厚
計による膜厚表示値と、試料を大気中に戻したときの当
該膜の膜厚表示値とを、下記式(1)に代入して求める
ことができる。
【0044】
【数1】 ここで、「Tv」は、真空中での膜厚表示値であり、
「Ta」は、大気中に戻したときの膜厚表示値であり、
「ρ」は、水晶振動子膜厚計に入力された膜の密度であ
る。この稠密度が大きい層は、緻密性の高い構造を有
し、稠密度が小さい層は、緻密性が低い構造を有するも
のとなる。この稠密度の相対的な大小、すなわち緻密性
の相対的な高低は、試料を電子顕微鏡あるいは原子間力
顕微鏡で観察することによって容易に知ることができ
る。相対的に比較した際に、空隙がより少ない層が稠密
度がより大きい層であり、空隙がより多い層が稠密度が
より小さい層であり、稠密度がより小さい層の方がいわ
ゆるボソボソとした感じを与える。
【0045】光透過性導電性膜を構成する導電性層は、
導電性材料を含有してなる層であり、好ましくは導電性
材料よりなる層である。ここに、導電性材料としては、
例えば、アルミニウム、クロム、白金などから形成され
る金属薄膜、金属網またはインジウム、スズ、亜鉛、カ
ドミウムなどの酸化物もしくはこれらの混合物が挙げら
れる。また、更に好ましくは、導電性層は、その層を形
成する同一の導電性材料からなる光学膜厚が0.1μm
の単層構造の膜をプラスチック基材の表面に形成した場
合に、その膜の表面抵抗が500Ω/cm2 以下となる
ものである。
【0046】光透過性導電性膜においては、基準導電性
層は、酸化インジウムがその含有割合が90質量%以上
となるよう含有されてなるものであることが好ましく、
更に酸化インジウムと酸化スズとの混合物よりなるもの
であることが好ましく、特に酸化インジウムの含有割合
が95〜97質量%であり、酸化スズの含有割合が3〜
5質量%である混合物よりなるものであることが好まし
い。また、低稠密度導電性層は、酸化インジウムと酸化
スズとの混合物よりなるものであることが好ましく、更
に酸化インジウムの含有割合が95〜97質量%であ
り、酸化スズの含有割合が3〜5質量%である混合物よ
りなるものであることが好ましい。このように、基準導
導電性層および低稠密度導電性層が、酸化インジウムを
主成分として、当該酸化インジウムと酸化スズとの混合
物により構成されていることにより、十分に高い光透過
性および導電性を有する膜が形成しやすくなる。
【0047】光透過性導電性膜においては、低稠密度導
電性層の光学膜厚が基準導電性層の光学膜厚よりも小さ
いことが好ましい。また、光透過性導電性膜において
は、プラスチック基材上に二酸化シリコンよりなる誘電
体層が形成され、この誘電体層の上に、低稠密度導電性
層および基準導電性層が互いに接する状態に形成されて
いること、あるいは、低稠密度導電性層がプラスチック
基材上に接した状態に形成されていることが好ましい。
【0048】光透過性導電性膜を構成する誘電体層は、
上記の導電性層以外の層である。この誘電体層を形成す
る材料としては、例えば、シリコン、ジルコニウム、チ
タン、セリウム、アルミニウム、ハフニウム、イットリ
ウム、ランタンなどの酸化物あるいはこれらの混合物、
マグネシウムのフッ化物、亜鉛の硫化物、チタン、ジル
コニウム、ハフニウムなどの窒化物、ランタンのホウ化
物などが挙げられる。また、更に好ましくは、誘電体層
は、その層を形成する同一の材料からなる光学膜厚が
0.1μmの単層構造の膜をプラスチック基材の表面に
形成した場合に、その膜の表面抵抗が1×106 Ω/c
2 より大きいものである。
【0049】上記の基準誘電体層および低稠密度誘電体
層は、いずれも二酸化シリコンよりなるものであること
が好ましく、また、低稠密度誘電体層の光学膜厚が基準
誘電体層の光学膜厚よりも小さいことが好ましい。ま
た、低稠密度誘電体層および基準誘電体層が互いに接し
た状態に形成されていること、あるいは、低稠密度誘電
体層がプラスチック基材上に接した状態に形成されてい
ることが好ましい。
【0050】光透過性導電性膜においては、隣接する層
の屈折率が互いに異なる状態で積層されている状態とな
ることが好ましい。これにより、光透過性導電性膜は、
可視光線に対して十分に小さい反射率を有するものとな
り、従って、当該光透過性導電性膜が形成されたプラス
チック基材を有する素子の低反射性化を図ることができ
る。
【0051】また、光透過性導電性膜においては、最も
遠位側にある最外層は、二酸化シリコンよりなることが
好ましい。
【0052】以上のような光透過性導電性膜を構成する
各層の形成手段は、特に限定されるものではなく、従来
から知られている手段を用いて形成することができ、例
えば、真空蒸着法、イオンプレーティング蒸着法、スパ
ッタリング法などを挙げることができる。
【0053】以上のような構成によれば、上述のよう
な、表面抵抗が100Ω/cm2 以下である光透過性導
電性膜が得られ、これにより、十分に高い光透過性およ
び導電性を有しながら、しかも優れた電磁波低減機能を
有する光透過性導電性膜が得られる。
【0054】また、光透過性導電性膜においては、複数
の導電性層と誘電体層とが積層されて形成されている場
合に、低稠密度導電性層が基準導電性層よりも近位側に
少なくとも1つ存在すること、あるいは、低稠密度誘電
体層が基準誘電体層よりも近位側に少なくとも1つ存在
することにより、当該光透過性導電性膜が耐環境性およ
び耐久性の高いものとなる。
【0055】そして、低稠密度導電性層の光学膜厚が基
準導電性層の光学膜厚よりも小さいこと、あるいは、低
稠密度誘電体層の光学膜厚が基準誘電体層の光学膜厚よ
りも小さいことにより、さらに十分に高い耐環境性およ
び耐久性を得ることができると共に、得られる光透過性
導電性膜の厚さが必要以上に大きくなることを抑制する
ことができる。
【0056】また、プラスチック基材上に二酸化シリコ
ンよりなる誘電体層が積層されている場合には、プラス
チック基材と光透過性導電性膜との密着性が良好なもの
となり、これにより、得られる光透過性導電性膜の耐環
境性および耐久性が十分に高いことと相俟って、例えば
高温高湿環境下においてもいわゆる膜浮きの発生を有効
に防止することができる。また、当該誘電体層は稠密度
の程度の制御が容易であるので、稠密度が異なる層構成
を形成しやすい。更に、光透過性導電性膜の設計上の屈
折率変化が小さいという利点が得られる。
【0057】また、このような光透過性導電性膜は、種
々の機能が付加されたものとすることができる。具体的
には、反射防止機能、赤外線もしくは紫外線減衰機能、
抗菌性機能、撥水性機能または防曇性機能などの機能が
更に得られる。従って、本発明の光透過性導電性膜は、
以上のような機能が付加されることにより、種々の目的
に使用することができる。
【0058】また、更に、本発明の光透過性導電性膜に
よれば、次のような作用効果を奏することができる。 (1)波長450nm〜700nmの光(可視光線)に
対する透過率が70%以上、好ましくは80%以上、更
に好ましくは85%以上とすることができ、これによ
り、十分に高い光透過性を有するものとなる。 (2)波長450nm〜700nmの光に対する吸収率
が20%以下、好ましくは10%以下とすることがで
き、これにより、光透過性導電性膜は、プラスチック基
材の色の再現性が良好なものとなる。また、吸収率が特
定の範囲にあれば、波長450nm〜700nmの光の
うちの任意の波長の光を当該光透過性導電性膜の一面側
に照射したときの反射率と、前記光を当該光透過性導電
性膜の他面側に照射したときの反射率との差が3.0%
以下、好ましくは1.5%以下とすることができ、この
場合における光透過性導電性膜よりの反射光の色は、一
面側および他面側から見ても実際に同等のものとなる。
【0059】本発明においては、光透過性導電性膜の表
面に、例えばパーフルオロアルキル基含有化合物を塗布
または真空蒸着法で形成することにより、例えば水ヤケ
や汚れの付着防止または傷防止のための撥水膜を付与す
ることができる。また、プラスチック基材の表面に、例
えばシリコン系紫外線硬化樹脂、アクリル系紫外線硬化
樹脂を形成することにより、光透過性導電性膜の付着力
または表面硬度を向上させる上で有用なハードコートを
設けることができる。更に、光透過性導電性膜の表面に
防曇処理や親水化処理を施すこともできる。また、本発
明において用いるプラスチック基材やハードコートは、
光透過性を損なわない範囲で着色したものとすることも
でき、また、板やフィルムを重ねて積層することもでき
る。
【0060】本発明の光透過性導電性膜を構成する導電
性層および誘電体層の好ましい構成および蒸着方法は、
以下のとおりである。
【0061】〔1〕導電性層 本発明の光透過性導電性膜を構成する好ましい導電性層
について説明する。なお、酸化インジウムと酸化スズと
の混合物層(ITO層)は、形成方法の相違により、下
記ITO−M層およびITO−P層が形成される。 (1)ITO−M層 ITO−M層は、インジウム金属とスズ金属とを蒸着材
料として真空中で同時に蒸発させて、例えば下記の条件
の下で高周波放電イオンプレーティング蒸着法を用いて
形成される。ここに、良好な導電性を得るためには、層
中のスズ金属の含有割合が2〜10重量%とすることが
好ましい。 酸素ガス圧 :2×10-2〜3×10-2Pa 蒸着速度 :インジウム金属 200〜120Å/min スズ金属 12〜6Å/min RF放電電力:400〜900W 膜厚 :400〜2000Å なお、上記の「RF」は、1GHz以下の高周波であ
る。
【0062】(2)ITO−P層 ITO−P層は、酸化インジウムとスズ金属との混合焼
結体(スズ金属の含有割合が2〜10重量%)を蒸着材
料として、例えば下記の条件の下で高周波放電イオンプ
レーティング蒸着法を用いて形成される。 酸素ガス圧 :2×10-2〜3×10-2Pa 蒸着速度 :200〜120Å/min RF放電電力:700〜800W 膜厚 :100〜300Å
【0063】以上のITO−M層およびITO−P層の
各々をポリカーボネイト樹脂基材上に蒸着して厚さ10
00Åの単層構造の膜を形成し、各々の膜の断面を電子
顕微鏡で観察した場合には、ITO−M層よりなる膜
は、ITO−P層よりなる膜に比して、高い緻密性を有
する組織を形成すると共に堆積状況が均一であり、粒塊
が少ない。
【0064】〔2〕誘電体層 本発明の光透過性導電性膜を構成する好ましい誘電体層
について説明する。 (1)二酸化シリコン層 二酸化シリコン層は、二酸化シリコンを蒸着材料とし
て、例えば下記の[条件1]〜[条件3]の下で真空蒸
着法を用いて形成される。 [条件1] 真空度 :5×10-3Pa以下(酸素ガス分圧) 蒸着速度 :1800〜3000Å/min [条件2] 真空度 :1×10-2〜2×10-2Pa(酸素ガス分
圧) 蒸着速度 :600〜1200Å/min [条件3] 真空度 :2×10-2〜3×10-2Pa(酸素ガス分
圧) 蒸着速度 :120〜300Å/min
【0065】条件1〜条件3の各々の下で、例えばポリ
カーボネイト樹脂などよりなる高分子基材上に二酸化シ
リコン層を形成して厚さ1000Åの単層構造の膜を
得、各々の膜にスチールウール試験を行って各膜の硬度
を評価すると共に、各々の膜の断面を電子顕微鏡で観察
して各膜の構造を評価し、更に各々の膜を分光光度計に
より測定した各膜の反射率および透過率から屈折率を算
出した。その結果を下記の表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】上記表1において明らかなように、条件1
の下で得られた膜は、硬度が高くて、緻密性の高い構造
を有し、屈折率の大きいものである。これに対して、条
件3の下で得られた膜は、硬度が低くて、緻密性の低い
構造を有し、屈折率の小さいものである。従って、条件
1の下で得られた膜は、高い緻密性を有する組織を形成
すると共に、堆積状況が均一であり、粒塊が少ないもの
となる。
【0068】(2)フッ化マグネシウム層 フッ化マグネシウム層は、フッ化マグネシウムを蒸着材
料として、例えば下記の条件の下で真空蒸着法を用いて
形成される。 真空度 :1×10-3〜1×10-2Pa(アルゴンガス
分圧もしくは酸素ガス分圧) 蒸着速度:120〜1200Å/min 屈折率 :1.35〜1.43
【0069】(3)酸化アルミニウムと酸化イットリウ
ムとの混合物層(以下「酸化アルミニウム−酸化イット
リウム層」という。) 酸化アルミニウム−酸化イットリウム層は、酸化アルミ
ニウムと酸化イットリウムとの混合物を蒸着材料とし
て、例えば下記の条件の下で真空蒸着法を用いて形成さ
れる。 真空度 :8×10-3〜3×10-2Pa(酸素ガス分
圧) 蒸着速度 :120〜1200Å/min 屈折率 :1.8〜2.1
【0070】(4)酸化ジルコニウムと酸化チタンとの
混合物層(以下「酸化ジルコニウム−酸化チタン層」と
いう。) 酸化ジルコニウム−酸化チタン層は、酸化ジルコニウム
と酸化チタンとの混合物を蒸着材料として、例えば下記
の条件の下で真空蒸着法を用いて形成される。 真空度 :8×10-3〜3×10-2Pa(酸素ガス分
圧) 蒸着速度 :120〜1200Å/min 屈折率 :1.8〜2.1
【0071】<光学部材>本発明の光学部材は、上記の
プラスチック基材が光学部材本体であって、当該光学部
材本体上に上記の単層構造または多層構造の光透過性導
電性膜が形成されてなるものである。特に、光学部材本
体が光学レンズ本体であって、この光学レンズ本体によ
りなる光学レンズが凸レンズの場合には、凸面側に上記
の光透過性導電性膜を形成し、それ以外のレンズの場合
には、凹面側に光透過性導電性膜を形成することが好ま
しい。
【0072】このような光学部材によれば、光透過性導
電性膜が電磁波低減機能を有するので、当該光学部材を
介して機器に対する電磁波障害を防止することができる
ので機器に悪影響を及ぼすことがなく、また、機器内か
らの電磁波を低減されるので光学部材の周辺に悪影響を
及ぼすこともない。更に、光透過性導電性膜が高い光透
過性を有するので、光学部材への入射光と光学部材から
の出射光との色の変化が少なく、色の再現性に優れたも
のとなる。
【0073】<電子部品および装置>本発明の電子部品
は、上記の光透過性導電性膜が形成されたプラスチック
基材を有してなるものである。
【0074】このような電子部品およびこれを有する装
置によれば、光透過性導電性膜が電磁波低減機能を有す
るので、電子回路への電磁波による悪影響が防止されて
当該電子回路の誤作動を防ぐことができる。また、光透
過性導電性膜が高い光透過性を有するので、表示や電子
回路の状態の視認が容易となる。
【0075】
【実施例】以下において、本発明の実施例を示すが、本
発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に
おいては、特に断らない限りは真空蒸着法によって層形
成を行った。また、プラスチック基材に対して近位側に
位置する層から順番に、第1層、第2層、・・・、第n
層として示した。
【0076】<実施例1>紫外線硬化樹脂よりなるハー
ドコートを有するポリカーボネイト樹脂基材上に下記の
層を形成して、3層構造の導電性を有する膜を得た。こ
の膜は、反射防止膜として有用であった。各層の形成に
おいて、基材の温度は70℃に維持された。
【0077】第1層;膜厚630Åの酸化アルミニウム
−酸化イットリウム層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :酸化アルミニウムと酸化イットリウムと
の混合物 蒸着速度 :350Å/min
【0078】第2層;高周波放電イオンプレーティング
蒸着法により形成した膜厚1120ÅのITO−M層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :2×10-2〜3×10-2Pa 蒸着材料 :インジウム金属、スズ金属 蒸着速度 :120Å/min(インジウム金属)、
6Å/min(スズ金属) RF放電圧力:500W
【0079】第3層;膜厚860Åの二酸化シリコン層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :900Å/min
【0080】この膜においては、第2層のITO−M層
および第3層の二酸化シリコン層より稠密度が小さい酸
化アルミニウム−酸化イットリウム層が第1層として形
成されている。
【0081】<実施例2>紫外線硬化樹脂よりなるハー
ドコートを有する、光学レンズとして有用なポリオレフ
ィン系樹脂基材上に下記の層を形成して、5層構造の導
電性を有する反射防止膜を有する光学レンズを得た。各
層の形成において、基材の温度は90℃に維持された。
【0082】第1層;膜厚900Åの二酸化シリコン層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :420Å/min
【0083】第2層;膜厚180Åの酸化チタン−酸化
ジルコニウム層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :酸化チタンと酸化ジルコニウムとの混合
物 蒸着速度 :240Å/min
【0084】第3層;膜厚170Åの二酸化シリコン層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :120Å/min
【0085】第4層;高周波放電イオンプレーティング
蒸着法により形成した膜厚1060ÅのITO−M層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :2×10-2〜3×10-2Pa 蒸着材料 :インジウム金属、スズ金属 蒸着速度 :120Å/min(インジウム金属)、
6Å/min(スズ金属) RF放電圧力:600W
【0086】第5層;膜厚850Åのフッ化マグネシウ
ム層 [蒸着条件] 真空度 :1×10-3Pa 蒸着材料 :フッ化マグネシウム 蒸着速度 :600Å/min
【0087】この光学レンズを構成する反射防止膜にお
いては、第1層の二酸化シリコン層が最も稠密度が小さ
い。
【0088】<実施例3>フィルター本体であるポリカ
ーボネイト樹脂基材上に下記の層を形成して、13層構
造の膜を有する長波長カットフィルターを得た。各層の
形成において、基材の温度は90℃に維持された。
【0089】第1層;膜厚1430Åの二酸化シリコン
層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :420Å/min
【0090】第2層;膜厚930Åの酸化チタン−酸化
ジルコニウム層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :酸化チタンと酸化ジルコニウムとの混合
物 蒸着速度 :240Å/min
【0091】第3層;膜厚1380Åの二酸化シリコン
層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :120Å/min
【0092】第4層;膜厚870Åの酸化チタン−酸化
ジルコニウム層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :酸化チタンと酸化ジルコニウムとの混合
物 蒸着速度 :240Å/min
【0093】第5層;膜厚1380Åの二酸化シリコン
層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :420Å/min
【0094】第6層;膜厚870Åの酸化チタン−酸化
ジルコニウム層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :酸化チタンと酸化ジルコニウムとの混合
物 蒸着速度 :240Å/min
【0095】第7層;膜厚1380Åの二酸化シリコン
層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :420Å/min
【0096】第8層;高周波放電イオンプレーティング
蒸着法により形成した膜厚770ÅのITO−M層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :2×10-2〜3×10-2Pa 蒸着材料 :インジウム金属、スズ金属 蒸着速度 :120Å/min(インジウム金属)、
6Å/min(スズ金属) RF放電圧力:600W
【0097】第9層;膜厚1470Åの二酸化シリコン
層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :120Å/min
【0098】第10層;高周波放電イオンプレーティン
グ蒸着法により形成した膜厚770ÅのITO−M層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :2×10-2〜3×10-2Pa 蒸着材料 :インジウム金属、スズ金属 蒸着速度 :120Å/min(インジウム金属)、
6Å/min(スズ金属) RF放電圧力:600W
【0099】第11層;膜厚1470Åの二酸化シリコ
ン層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :420Å/min
【0100】第12層;膜厚920Åの酸化チタン−酸
化ジルコニウム層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :酸化チタンと酸化ジルコニウムとの混合
物 蒸着速度 :240Å/min
【0101】第13層;膜厚2480Åの二酸化シリコ
ン層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :420Å/min
【0102】この長波長カットフィルターを構成する膜
においては、第1層の二酸化シリコン層が最も稠密度が
小さい。また、第8層および第10層のITO−M層が
最も稠密度が大きく、これらITO−M層より稠密度が
小さい層が当該層よりも近位側に形成されている。
【0103】<実施例4>ポリカーボネイト樹脂で成形
したパチンコ台用の集積回路カバーの裏面(集積回路
側)に下記の層を形成して、3層構造の膜を形成した。
この膜は、電磁波低減膜として有用であった。各層の形
成において、基材の温度は90℃に維持された。
【0104】第1層;膜厚200Åの二酸化シリコン層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :120Å/min
【0105】第2層;高周波放電イオンプレーティング
蒸着法により形成した膜厚2000ÅのITO−M層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :2×10-2〜3×10-2Pa 蒸着材料 :インジウム金属、スズ金属 蒸着速度 :120Å/min(インジウム金属)、
6Å/min(スズ金属) RF放電圧力:500W
【0106】第3層;膜厚930Åの二酸化シリコン層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :900Å/min
【0107】この膜においては、第2層のITO−M層
より稠密度が小さい二酸化シリコン層が第1層として形
成されている。
【0108】<実施例5>紫外線硬化樹脂よりなるハー
ドコートを有するポリオレフィン系樹脂基材を真空装置
に入れて、当該ポリオレフィン系樹脂基材上に下記の層
を形成して、3層構造の膜を得た。この膜は、電磁波低
減膜として有用であった。各層の形成において、基材の
温度は90℃に維持された。
【0109】第1層;膜厚500Åの二酸化シリコン層 [蒸着条件] アルゴンガス圧 :3×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :300Å/min
【0110】第2層;膜厚500Åの酸化アルミニウム
−酸化イットリウム層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :酸化アルミニウムと酸化イットリウムと
の混合物 蒸着速度 :350Å/min
【0111】第3層;高周波放電イオンプレーティング
蒸着法により形成した膜厚2000ÅのITO−M層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :2×10-2〜3×10-2Pa 蒸着材料 :インジウム金属、スズ金属 蒸着速度 :120Å/min(インジウム金属)、
6Å/min(スズ金属) RF放電圧力:550W
【0112】この膜においては、第2層の酸化アルミニ
ウム−酸化イットリウム層より稠密度が小さい二酸化シ
リコン層が第1層として形成されており、また、第3層
のITO−M層より稠密度が小さい二酸化シリコン層お
よび酸化アルミニウム−酸化イットリウム層がそれぞれ
第1層および第2層として形成されている。
【0113】<実施例6>紫外線硬化樹脂よりなるハー
ドコートを有するポリオレフィン系樹脂基材を真空装置
に入れて、当該ポリオレフィン系樹脂基材上に下記の層
を形成して、5層構造膜を得た。この膜は、電磁波低減
膜として有用であった。各層の形成において、基材の温
度は90℃に維持された。
【0114】第1層;膜厚300Åの二酸化シリコン層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.0×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :600Å/min
【0115】第2層;高周波放電イオンプレーティング
蒸着法により形成した膜厚170ÅのITO−P層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :2×10-2〜3×10-2Pa 蒸着材料 :スズ金属を5重量%含有するインジウム
酸化物 蒸着速度 :120Å/min RF放電圧力:500W
【0116】第3層;膜厚160Åの二酸化シリコン層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.0×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :600Å/min
【0117】第4層;高周波放電イオンプレーティング
蒸着法により形成した膜厚1060ÅのITO−M層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :2×10-2〜3×10-2Pa 蒸着材料 :インジウム金属、スズ金属 蒸着速度 :120Å/min(インジウム金属)、
6Å/min(スズ金属) RF放電圧力:550W
【0118】第5層;高周波放電イオンプレーティング
蒸着法により形成した膜厚890Åのフッ化マグネシウ
ム層 [蒸着条件] アルゴンガス圧 :1.0×10-2Pa 蒸着材料 :フッ化マグネシウム 蒸着速度 :600Å/min RF放電電力 :400W
【0119】この膜においては、第4層のITO−M層
および第5層のフッ化マグネシウム層より稠密度が小さ
い層が第1層〜第3層に形成されている。
【0120】<実施例7>ポリカーボネイト樹脂基材上
に下記の層を形成して、4層構造の膜を得た。この膜
は、反射防止膜として有用であった。各層の形成におい
て、基材の温度は90℃に維持された。
【0121】第1層;膜厚500Åの酸化アルミニウム
−酸化イットリウム層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :酸化アルミニウムと酸化イットリウムと
の混合物 蒸着速度 :350Å/min
【0122】第2層;高周波放電イオンプレーティング
蒸着法により形成した膜厚150ÅのITO−P層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :2×10-2〜3×10-2Pa 蒸着材料 :スズ金属を5重量%含有するインジウム
酸化物 蒸着速度 :120Å/min RF放電圧力:500W
【0123】第3層;膜厚1070ÅのITO−M層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :2×10-2〜3×10-2Pa 蒸着材料 :インジウム金属、スズ金属 蒸着速度 :120Å/min(インジウム金属)、
6Å/min(スズ金属) RF放電圧力:550W
【0124】第4層;膜厚830Åの二酸化シリコン層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.0×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :600Å/min
【0125】この膜においては、第3層のITO−M層
および第4層の二酸化シリコン層より稠密度が小さい層
が、第1層、第2層として形成されている。また、第2
層のITO−P層の稠密度と、第3層のITO−M層の
稠密度とが大きく異なっている。
【0126】<実施例8>紫外線硬化樹脂よりなるハー
ドコートを有するポリカーボネイト樹脂基材を真空装置
に入れて、当該ポリカーボネイト樹脂基材上に下記の層
を形成して、4層構造の膜を得た。この膜は、電磁波低
減膜として有用であった。各層の形成において、基材の
温度は90℃に維持された。
【0127】第1層;膜厚500Åの二酸化シリコン層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.0×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :600Å/min
【0128】第2層;高周波放電イオンプレーティング
蒸着法により形成した膜厚240ÅのITO−P層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :2×10-2〜3×10-2Pa 蒸着材料 :スズ金属を5重量%含有するインジウム
酸化物 蒸着速度 :120Å/min RF放電圧力:500W
【0129】第3層;高周波放電イオンプレーティング
蒸着法により形成した膜厚1000ÅのITO−M層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :2×10-2〜3×10-2Pa 蒸着材料 :インジウム金属、スズ金属 蒸着速度 :120Å/min(インジウム金属)、
6Å/min(スズ金属)RF放電圧力:550W
【0130】第4層;膜厚850Åの二酸化シリコン層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.0×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :600Å/min
【0131】この膜においては、第3層のITO−M層
および第4層の二酸化シリコン層より稠密度が小さい層
が第1層、第2層として形成されている。また、第2層
のITO−P層の稠密度と、第3層のITO−M層の稠
密度とが大きく異なっていると共に、第1層の二酸化シ
リコン層の稠密度と、第4層の二酸化シリコン層の稠密
度とが大きく異なっている。
【0132】<実施例9>紫外線硬化樹脂よりなるハー
ドコートを有するポリオレフィン系樹脂基材を真空装置
に入れて、当該ポリオレフィン系樹脂基材上に下記の層
を形成して、3層構造の膜を得た。この膜は、電磁波低
減膜として有用であった。各層の形成において、基材の
温度は90℃に維持された。
【0133】第1層;膜厚550Åの二酸化シリコン層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.0×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :600Å/min
【0134】第2層;高周波放電イオンプレーティング
蒸着法により形成した膜厚1100ÅのITO−P層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :2×10-2〜3×10-2Pa 蒸着材料 :スズ金属を5重量%含有するインジウム
酸化物 蒸着速度 :120Å/min RF放電圧力:500W
【0135】第3層;膜厚850Åの二酸化シリコン層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.0×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :600Å/min
【0136】この膜においては、第1層の二酸化シリコ
ン層が最も稠密度が小さい。
【0137】<比較例1>アクリル樹脂基材上に下記の
層を形成して、単層構造の膜を得た。層形成において、
基材の温度は50℃に維持された。
【0138】第1層;高周波放電イオンプレーティング
蒸着法により形成した膜厚2000ÅのITO−P層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :2×10-2〜3×10-2Pa 蒸着材料 :インジウム金属を5重量%含有するイン
ジウム酸化物 蒸着速度 :120Å/min RF放電圧力:450W
【0139】この膜は、単層構造である点で、本発明の
条件を満たさないものである。また、吸収率が20%を
超えている点でも本発明の条件を満たしていない。
【0140】<比較例2>ポリカーボネイト樹脂基材上
に下記の層を形成して、3層構造の導電性を有する膜を
得た。各層の形成において、基材の温度は90℃に維持
された。
【0141】第1層;膜厚800Åの酸化アルミニウム
層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :酸化アルミニウム 蒸着速度 :350Å/min
【0142】第2層;高周波放電イオンプレーティング
蒸着法により形成した膜厚1000ÅのITO−M層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :2×10-2〜3×10-2Pa 蒸着材料 :インジウム金属、スズ金属 蒸着速度 :120Å/min(インジウム金属)、
6Å/min(スズ金属) RF放電圧力:800W
【0143】第3層;膜厚900Åの二酸化シリコン層 [蒸着条件] 酸素ガス圧 :1.5×10-2Pa 蒸着材料 :二酸化シリコン 蒸着速度 :600Å/min
【0144】この膜は、表面抵抗が高く、電磁波低減機
能および導電性が劣る点で、本発明の条件を満たさない
ものである。また、この膜においては、第3層の二酸化
シリコン層の稠密度が最も小さく、また、第2層より稠
密度が小さい層が当該第2層よりも近位側に存在しな
い。
【0145】以上の実施例1〜9および比較例1〜2に
ついては、下記の表2〜4に示す。また、各層の屈折率
および稠密度を併せて表2〜4に示す。なお、各層の屈
折率については、下記の手段により算出した。 各層の屈折率 分光光度計により測定した各膜の反射率および透過率か
ら屈折率を算出した。
【0146】また、実施例1〜9および比較例1〜2に
よって得られた各膜についての表面抵抗、吸収率、反射
率および透過率について、下記の手段により測定し、そ
の結果を併せて表2〜4に示す。 (1)表面抵抗 共和理研製の4探針プローブを使用して、各膜の表面抵
抗値を測定した。 (2)反射率 日立製作所製の分光光度計「U−4000型」によって
測定した。 (3)透過率 日立製作所製の分光光度計「U−4000型」によって
測定した。 (4)吸収率 上記(2)および(3)で測定された反射率および透過
率から、下記式(2)により吸収率を求めた。
【0147】
【数2】
【0148】更に、実施例1〜9および比較例1〜2に
よって得られた各膜についての下記の項目について評価
した。結果を併せて表2〜4に示す。 (1)電磁波低減率 アドバンテスト社製のシールド材料テスターを使用し
て、30MHzでの電界低減率を測定した。 (2)基材の色の再現性 基材の色の再現性を目視により判定した。 (3)耐環境性 [テスト]各膜を5日間、高温高湿下(温度:60
℃,湿度:90%)に放置して、当該膜の外観にクラッ
ク、層浮き、変色などの異常の発生の有無を確認した。
そして、外観に異常がないときを「○」、軽微の異常が
認められるときを「△」、著しい異常が認められるとき
を「×」として評価した。 [テスト]各膜を1日間、高温乾燥下(温度:60
℃)に放置して、当該膜の外観にクラック、層浮き、変
色などの異常の発生の有無を確認した。そして、外観に
異常がないときを「○」、軽微の異常が認められるとき
を「△」、著しい異常が認められるときを「×」として
評価した。また、温度70℃の高温乾燥下に放置して
も、外観に異常がないときを「◎」とした。
【0149】
【表2】
【0150】
【表3】
【0151】
【表4】
【0152】上記表2〜4の結果から明らかなように、
実施例1〜9の各膜は、電磁波低減率が高くて、基材の
色の再現性が良好であり、しかも耐環境性に優れている
ことが確認された。これに対し、比較例1の膜は、耐環
境性が比較的優れているが、電磁波低減率および基材の
色の再現性が実施例1〜9の膜に比べて劣るものであっ
た。また、比較例2の膜は、基材の色の再現性に優れる
ものであったが、電磁波低減率および耐環境性が実施例
1〜9の膜に比べて劣るものであった。
【0153】次に、上記の実施例2、実施例5および実
施例9によって得られた各膜について、波長450nm
〜700nmの光を、各膜の一面側、すなわち表面側に
照射したときの反射率と、当該光を各膜の他面側、すな
わち裏面側に基材を介して照射したときの反射率とを測
定した。結果を下記の表5に示す。
【0154】
【表5】
【0155】以上、表5から明らかなように、実施例
2、実施例5および実施例9によって得られた各膜は、
波長450nm〜700nmの各々の光を、当該膜の表
面側に照射したときの反射率と、当該光を膜の裏面側に
照射したときの反射率との差が小さく、3.0%以下の
ものであった。
【0156】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、表面抵
抗が100Ω/cm2 以下であるので、光透過性導電性
膜の厚さが小さくても十分に高い導電性が得られると共
に、優れた電磁波低減機能を得ることができ、また、当
該光透過性導電性膜は、複数の層が積層されてなる多層
構成において、基準層よりも近位側に低稠密度層が存在
することにより、高い耐環境性および耐久性が得られ
る。
【0157】請求項2に記載の発明によれば、低稠密度
層の光学膜厚が基準層の光学膜厚よりも小さいものとす
ることにより、耐環境性および耐久性を更に向上させる
ことができ、また、光透過性導電性膜全体の厚さが必要
以上に大きくなることを抑制することができる。
【0158】請求項3に記載の発明によれば、基準層お
よび低稠密度層を導電性層とすることにより、十分に高
い導電性を有する光透過性導電性膜が得られ、当該導電
性層を混合物により形成する場合には、当該混合物を構
成する導電性材料の組成比を変更することにより容易に
制御された程度の稠密度を有する光透過性導電性膜を得
ることができる。
【0159】請求項4に記載の発明によれば、基準層
に、その主成分として酸化インジウムが含有されること
により、容易に光透過性および導電性を有する光透過性
導電性膜が得られる。
【0160】請求項5および請求項6に記載の発明によ
れば、基準層および低稠密度層が、いずれも、酸化イン
ジウムと酸化スズとの混合物よりなる場合には、容易
に、しかも確実に優れた光透過性および導電性を有する
光透過性導電性膜が得られる。
【0161】請求項7に記載の発明によれば、プラスチ
ック基材の表面に二酸化シリコンよりなる層が形成され
ることにより、プラスチック基材との密着性が高い光透
過性導電性膜が得られる。
【0162】請求項8および請求項9に記載の発明によ
れば、基準層および低稠密度層を、誘電体層、特に二酸
化シリコンよりなる層とすることにより、当該誘電体層
の形成時において、その形成条件を変化させることによ
り、容易に制御された程度の稠密度を有する光透過性導
電性膜が得られ、また、可視領域の波長の光に対して十
分な光透過性を有する光透過性導電性膜が得られる。
【0163】請求項10に記載の発明によれば、プラス
チック基材の表面に二酸化シリコンよりなる層が形成さ
れることにより、プラスチック基材との密着性が高い光
透過性導電性膜が得られ、また、当該二酸化シリコンよ
りなる層の形成時において、その形成条件を変化させる
ことにより、容易に制御された程度の稠密度を有する光
透過性導電性膜が得られ、更に、可視領域の波長の光に
対して十分な光透過性を有する光透過性導電性膜が得ら
れる。
【0164】請求項11に記載の発明によれば、基準層
および低稠密度層が互いに接した状態に形成されること
により、十分に高い耐環境性および耐久性を有する光透
過性導電性膜が得られる。
【0165】請求項12に記載の発明によれば、最外層
を二酸化シリコンよりなる層とすることにより、当該最
外層が密着性に優れたものとなり、例えば反射防止膜、
撥水膜などの各種機能性膜との一体性が良好となる光透
過性導電性膜が得られる。
【0166】請求項13に記載の発明によれば、表面抵
抗が50Ω/cm2 以下であることにより、より十分に
高い導電性および電磁波低減機能を有する光透過性導電
性膜が得られる。
【0167】請求項14に記載の発明によれば、波長4
50nm〜700nmの光に対する透過率が70%以上
であることにより、可視光線に対する光透過性が十分に
高く、その結果、光量の損失が少なく、プラスチック基
材の色の再現性に優れた光透過性導電性膜が得られる。
【0168】請求項15に記載の発明によれば、波長4
50nm〜700nmの光に対する吸収率が20%以下
であることにより、プラスチック基材の色の再現性に優
れた光透過性導電性膜が得られ、これにより、実際に見
える色の状態が大きく変化することがない。
【0169】請求項16記載の発明の光学部材によれ
ば、上記の光透過性導電性膜を有するので、限られた光
量を有効に利用しながら、当該光透過性導電性膜によっ
て優れた電磁波低減機能が発揮され、電磁波による悪影
響を抑制することができると共に、当該光学部材から周
囲に対しての電磁波による悪影響を抑制することができ
る。また、当該光学部材への入射光と、光学部材からの
出射光との間の色の変化が少ない。
【0170】請求項17〜請求項19のいずれかに記載
の電子部品およびこれを有する請求項20に記載の装置
によれば、上記の光透過性導電性膜を有するので、電子
部品本体から発せられる電磁波が外部に漏れること、あ
るいは、外部から電子部品本体への電磁波の影響を抑制
することができ、いずれの場合においても当該電子回路
の誤作動を防止することができる。また、電子回路の状
態または表示部により示される表示の視認が容易で確実
となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/1343 H04N 5/72 5C094 H01L 31/04 H05K 9/00 5E321 H04N 5/72 G09F 9/30 310 5F051 H05K 9/00 339Z 5G307 // G09F 9/30 310 G02B 1/10 Z 339 H01L 31/04 M (72)発明者 徳弘 節夫 東京都八王子市石川町2970番地コニカ株式 会社内 (72)発明者 中村 新吾 東京都八王子市石川町2970番地コニカ株式 会社内 Fターム(参考) 2H090 JA05 JA06 JB03 JC07 LA01 2H092 HA01 HA03 MA05 MA06 NA11 NA28 PA01 2K009 AA04 AA15 BB12 BB24 CC03 CC06 DD03 DD06 DD07 EE02 EE03 4F100 AA17C AA19D AA20D AA27D AA33B AA33C AK01A AK45A AR00B AR00C BA03 BA04 BA07 BA25 DA01 EH66B EH66C EH66D GB41 JA13C JA14B JB14A JD08 JG01 JG01B JG01C JG04 JG04B JG04C JL00 JM02B JM02C JM02D JN01 JN01B JN01C JN08 YY00 5C058 AA06 BA06 BA35 DA08 5C094 AA10 AA31 AA60 DA13 EB02 ED01 FB02 FB15 JA01 JA05 JA11 5E321 AA04 AA46 BB22 BB25 BB60 GG05 GH01 5F051 FA01 FA03 FA04 GA03 GA06 GA13 HA03 5G307 FA02 FB01 FC02 FC09 FC10

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック基材の少なくとも表面の一
    部に形成された、表面抵抗が100Ω/cm2 以下であ
    る光透過性導電性膜であって、 当該光透過性導電性膜は、複数の層が積層されて形成さ
    れており、 プラスチック基材の表面に対して遠位側に位置する基準
    層よりも近位側に位置する少なくとも1つの層が当該基
    準層より稠密度が小さい低稠密度層であることを特徴と
    する光透過性導電性膜。
  2. 【請求項2】 前記基準層の光学膜厚に比して、前記低
    稠密度層の光学膜厚が小さいことを特徴とする請求項1
    に記載の光透過性導電性膜。
  3. 【請求項3】 前記基準層および前記低稠密度層は、い
    ずれも、導電性層であることを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載の光透過性導電性膜。
  4. 【請求項4】 前記基準層は、酸化インジウムを90質
    量%以上の割合で含有することを特徴とする請求項1〜
    請求項3のいずれかに記載の光透過性導電性膜。
  5. 【請求項5】 前記基準層および前記低稠密度層は、い
    ずれも、酸化インジウムと酸化スズとの混合物よりなる
    ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の光透
    過性導電性膜。
  6. 【請求項6】 前記基準層および前記低稠密度層は、い
    ずれも、酸化インジウムの含有割合が95〜97質量%
    であり、酸化スズの含有割合が3〜5質量%であること
    を特徴とする請求項5に記載の光透過性導電性膜。
  7. 【請求項7】 プラスチック基材の表面に対して前記低
    稠密度層よりも近位側の位置であって、プラスチック基
    材の表面に接する位置に、二酸化シリコンよりなる層を
    有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか
    に記載の光透過性導電性膜。
  8. 【請求項8】 前記基準層および前記低稠密度層は、い
    ずれも、誘電体層であることを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載の光透過性導電性膜。
  9. 【請求項9】 前記基準層および前記低稠密度層は、い
    ずれも、二酸化シリコンよりなることを特徴とする請求
    項8に記載の光透過性導電性膜。
  10. 【請求項10】 前記低稠密度層は、プラスチック基材
    の表面に接した状態に形成されていることを特徴とする
    請求項1〜請求項6、請求項8および請求項9のいずれ
    かに記載の光透過性導電性膜。
  11. 【請求項11】 前記基準層および前記低稠密度層は、
    互いに接した状態に形成されていることを特徴とする請
    求項1〜請求項10のいずれかに記載の光透過性導電性
    膜。
  12. 【請求項12】 プラスチック基材の表面に対して最も
    遠位側に位置する最外層は、二酸化シリコンよりなるこ
    とを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載
    の光透過性導電性膜。
  13. 【請求項13】 表面抵抗が50Ω/cm2 以下である
    ことを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかに記
    載の光透過性導電性膜。
  14. 【請求項14】 波長450nm〜700nmの光に対
    する透過率が70%以上であることを特徴とする請求項
    1〜請求項13のいずれかに記載の光透過性導電性膜。
  15. 【請求項15】 波長450nm〜700nmの光に対
    する吸収率が20%以下であることを特徴とする請求項
    1〜請求項14のいずれかに記載の光透過性導電性膜。
  16. 【請求項16】 光学機能を有するプラスチック基材
    と、このプラスチック基材の少なくとも表面の一部に形
    成された、請求項1〜請求項15のいずれかに記載の光
    透過性導電性膜とを有することを特徴とする光学部材。
  17. 【請求項17】 請求項1〜請求項15のいずれかに記
    載の光透過性導電性膜が形成されたプラスチック基材を
    有することを特徴とする電子部品。
  18. 【請求項18】 前記プラスチック基材は、電子部品本
    体の少なくとも一部を覆うカバー部材であることを特徴
    とする請求項17に記載の電子部品。
  19. 【請求項19】 前記プラスチック基材は、電子部品本
    体を収容する容器の少なくとも一部であることを特徴と
    する請求項17に記載の電子部品。
  20. 【請求項20】 請求項17〜請求項19のいずれかに
    記載の電子部品を有することを特徴とする装置。
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JPWO2010038709A1 (ja) * 2008-09-30 2012-03-01 凸版印刷株式会社 反射防止フィルム
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