JP2001192526A - 硬化型コーティング樹脂組成物 - Google Patents

硬化型コーティング樹脂組成物

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JP2001192526A
JP2001192526A JP2000005202A JP2000005202A JP2001192526A JP 2001192526 A JP2001192526 A JP 2001192526A JP 2000005202 A JP2000005202 A JP 2000005202A JP 2000005202 A JP2000005202 A JP 2000005202A JP 2001192526 A JP2001192526 A JP 2001192526A
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JP2000005202A
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Isao Onodera
勇雄 小野寺
Kazukuni Shiraishi
和訓 白石
Takayuki Hirose
隆行 廣瀬
Takaaki Ueda
隆明 上田
Keiji Urata
啓司 浦田
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Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
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Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐折り曲げ性、耐引っ掻き性に優れ、さらに
ポリオレフィン系樹脂成型物に対して優れた付着性を有
するコーティング樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 カルボキシル基含有塩素化ポリオレフィ
ンとポリオール樹脂とのエステル化反応物及び/又はこ
のエステル化反応物とポリオール樹脂との混合物からな
る樹脂を主剤とし、これに硬化剤としてイソシアネート
化合物又はアルキルエーテル化アミノ樹脂を配合するこ
とを特徴とした硬化型コーティング樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリオレフィン系樹
脂、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプ
ロピレン共重合物、スチレンブタジエン共重合物等の保
護又は美粧を目的として用いられるコーティング樹脂組
成物に関し、更に詳しくはこれらのシートやフィルム及
び成型物に対し優れた付着性やその他の物性に優れるプ
ライマー、塗料、インキあるいは接着剤用のバインダー
樹脂として用いる組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックは、高生産性でデザインの
自由度が広く、軽量、防錆、耐衝撃性等多くの利点があ
るため、近年、自動車部品、電気部品、建築資材等の材
料として広く用いられている。とりわけポリオレフィン
系樹脂は、価格が安く成形性,耐薬品性,耐熱性,耐水
性,良好な電気特性等多くの優れた性質を有するため、
工業材料として広範囲に使用されており、将来その需要
の伸びが最も期待されている材料の一つである。しかし
ながらポリオレフィン系樹脂は、ポリウレタン系樹脂、
ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹
脂等、極性を有する合成樹脂と異なり、非極性でかつ結
晶性のため、塗装や接着が困難であるという欠点を有す
る。
【0003】そこで従来よりポリオレフィン系樹脂成形
物の表面を、プラズマ処理やガス炎処理し活性化するこ
とにより付着性を改良しているが、この方法は工程が複
雑で多大な設備費や時間的なロスを伴うこと、又、成形
物の形の複雑さ及び樹脂中の顔料や添加物の影響によ
り、表面処理効果にバラツキを生ずる等の欠点を有して
いる。
【0004】このような前処理なしに塗装する方法とし
て、自動車のポリプロピレンバンパー塗装に見られるよ
うなプライマー組成物が種々提案されており、とりわけ
ポリオレフィン系樹脂に対して強い付着力を有する塩素
化ポリオレフィンが多く使用されている。しかしなが
ら、塩素化ポリオレフィンは紫外線や熱に対する耐性が
劣るため十分な塗膜性能を有するとは言えず、これらの
改良が強く望まれていた。これらを改良する手段とし
て、良好な塗料物性を有するアクリル樹脂やアルキッド
樹脂を混合して使用する試みがなされている。しかし本
来アクリル樹脂やアルキッド樹脂は塩素化ポリオレフィ
ンと相溶性が悪いため、顔料の分散不良や塗膜の光沢低
下が生じ、外観を著しく損なう等の問題を生ずる。
【0005】例えば、特開昭54-127436号公報には、2,
2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオールをポリオール成
分として含有するアルキッド樹脂と塩素化ポリオレフィ
ンを混合して得られる塗料用樹脂組成物や、特開昭61-2
8561号公報には、アクリル変性塩素化ポリプロピレン
と、ポリエステルとアルキッド樹脂のグラフト重合物、
ポリエステルとポリイソシアネートのグラフト重合物を
主成分として成る塗料用樹脂組成物が提案されている。
しかし、塩素化ポリオレフィンは本質的に上記した各種
ポリオール樹脂との相溶性が悪いため、これらと混合し
ても白濁や二層分離を生じ、均一で透明な溶液が得られ
ず、良好な塗料,プライマー,接着剤等のバインダー樹
脂とはなり得ない。
【0006】又、特開平7-10940号公報には、カルボキ
シル基含有塩素化ポリオレフィンにポリエステルポリオ
ール、更にラジカル重合性不飽和物を反応させて得られ
るバインダー樹脂組成物が提案されているが、ラジカル
重合性不飽和物のグラフトに伴う架橋反応による、ゲル
化や相溶性の低下が起こる可能性があるため、これも良
好な塗料,プライマー,接着剤等のバインダー樹脂とは
なり得ない。
【0007】本発明者等は、アクリル樹脂やアルキッド
樹脂等との相溶性に優れ、ポリオレフィン基材に対して
十分な密着性を有するポリオレフィン系樹脂用コーティ
ング樹脂組成物を、特願平11-237417号で既に提案して
いる。即ち、カルボキシル基含有塩素化ポリオレフィン
とポリオール樹脂とのエステル化反応物及び/又はこの
エステル化反応物とポリオール樹脂との混合物からなる
組成物である。しかしこの組成物も、塗膜の凝集力不足
により、塗膜を折り曲げるとひび割れを起こしたり、爪
で引っ掻くと傷がついたり等、塗膜の強度が不十分であ
った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特願平11-2
37417号で提案した組成物の欠点である塗膜の強度不足
を改善し、上記のような問題を解決したものであり、従
来の塩素化ポリオレフィン変性物より遥かに優れる、塗
料,プライマー,印刷インキ,接着剤等の硬化型コーテ
ィング樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために、種々の実験を重ねた結果、α,β-不
飽和カルボン酸及び/又はその酸無水物から選ばれた1種
又は2種以上の化合物を使用してグラフト変性して得ら
れたカルボキシル基含有塩素化ポリオレフィンとポリオ
ール樹脂とのエステル化反応物及び/又は該エステル化
反応物とポリオール樹脂との混合物からなる樹脂を主剤
とし、これに硬化剤としてイソシアネート化合物又はア
ルキルエーテル化アミノ樹脂を配合してなる硬化型コー
ティング樹脂組成物が、耐折り曲げ性、耐引っ掻き性、
さらにはポリオレフィン基材に対する密着性に優れるこ
とを見出し、本発明に到達した。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるカルボキシル
基含有塩素化ポリオレフィンは、ポリオレフィンを熱溶
融し、必要であれば熱分解により減成したポリオレフィ
ンの溶融樹脂を、回分式あるいは連続式でラジカル発生
剤の存在下に、不飽和カルボン酸モノマーをグラフト共
重合した後、水又は四塩化炭素あるいはクロロホルムの
ような溶媒に分散又は溶解し、ラジカル発生剤の存在下
あるいは紫外線の照射下において、加圧又は常圧下で50
〜120℃の温度範囲で塩素ガスを吹き込み塩素化反応し
た後、溶媒を留去し、安定剤を添加するとともにトルエ
ンやキシレン等の有機溶剤で置換した溶液品として得る
ことができる。又、塩素化した後、塩素化溶媒を減圧濃
縮し、安定剤を添加した後、溶媒を減圧留去するための
ベント口を設置したベント付押出機等で溶媒を完全に除
去した固形物として得ることもできる。
【0011】ラジカル発生剤として、例えば、ジ-tert-
ブチルパ−オキシド,tert-ブチルヒドロパ−オキシ
ド,ジクミルパ−オキシド,ベンゾイルパ−オキシド,
tert-ブチルパ−オキシドベンゾエ−ト,メチルエチル
ケトンパ−オキシド,ジ-tert-ブチルジパ−フタレ−ト
のようなパーオキシド類やアゾビスイソブチロニトリル
のようなアゾニトリル類がある。又、グラフト共重合反
応に用いられる不飽和カルボン酸モノマー及びその無水
物としては、例えばアクリル酸,メタクリル酸,マレイ
ン酸,無水マレイン酸,シトラコン酸,無水シトラコン
酸,フマル酸,メサコン酸,イタコン酸,無水イタコン
酸,アコニット酸,無水アコニット酸等がある。
【0012】該塩素化ポリオレフィンの安定剤として
は、塩素系樹脂であるポリ塩化ビニルに使用される安定
剤がそのまま適用できる。例えば、ステアリン酸カルシ
ウム、ステアリン酸鉛等の金属石鹸類、酸化鉛、三塩基
性硫酸鉛等の無機酸塩類、ジブチル錫ジラウレート、ジ
ブチル錫マレート等の有機金属化合物類、ハイドロタル
サイト類化合物、エポキシ化合物類である。しかしなが
ら、この中でエポキシ化合物が最も一般的に使用されて
いる。例えば、天然の不飽和基を有する植物油を過酢酸
などの過酸でエポキシ化したエポキシ化大豆油やエポキ
シ化アマニ油。又、オレイン酸、トール油脂肪酸、大豆
油脂肪酸等の不飽和脂肪酸エステルをエポキシ化したエ
ポキシ化脂肪酸エステル類。エポキシ化テトラヒドロフ
タレートに代表されるエポキシ化脂環化合物類。ビスフ
ェノールAや多価アルコールとエピクロルヒドリンを縮
合した例えば、ビスフェノールAグリシジルエーテル、
エチレングリコールグリシジルエーテル、プロピレング
リコールグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシ
ジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル
等。又、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシ
ルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ス
テアリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテ
ル、フェニルグリシジルエーテル、sec-ブチルフェニル
グリシジルエーテル、tert-ブチルフェニルグリシジル
エーテル、フェノールポリエチレンオキサイドグリシジ
ルエーテル等に代表されるモノエポキシ化合物類等であ
る。
【0013】本発明に用いられるカルボキシル基含有塩
素化ポリオレフィンは、ポリオレフィンを上記の方法で
塩素化した塩素化ポリオレフィンの溶液品とした後、ラ
ジカル発生剤の存在下に不飽和カルボン酸モノマー及び
その無水物をグラフト共重合することでも得ることがで
きる。グラフト共重合反応に用いられるラジカル発生剤
や不飽和カルボン酸モノマー及びその無水物は、上記し
たものがそのまま使用できる。
【0014】本発明に用いられるカルボキシル基含有塩
素化ポリオレフィンの原料ポリオレフィンとしては、結
晶性ポリプロピレン、プロピレン-α-オレフィン共重合
物又は三元共重合体であるプロピレン−ブテン−エチレ
ン共重合体が好ましい。結晶性ポリプロピレンとは、ア
イソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポ
リプロピレンのことである。重量平均分子量は10,000〜
300,000のものが使用できる。
【0015】一方、プロピレン-α-オレフィン共重合物
とは、プロピレンを主体としてこれにα-オレフィンを
共重合したものであり、ブロック共重合物でもランダム
共重合物のいずれでも使用できる。α-オレフィン成分
としては、例えばエチレン,1-ブテン,1-ペンテン,1-
ヘキセン,1-ヘプテン,1-オクテン,4-メチル-1-ペン
テン等を例示することができる。プロピレン成分の含有
量は50〜98モル%が最適で、50モル%未満だとポリプロピ
レンに対する付着性が低下する。又、98モル%を越える
と塗膜の柔軟性が悪くなる。
【0016】本発明に用いられるポリオール樹脂は、分
子中に2個以上の水酸基を持つ多価アルコールで、アク
リルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテ
ルポリオール、エポキシポリオール、セルロースアセテ
ートブチレート、硝化綿、アルキッド樹脂又はその変性
物である。
【0017】アクリルポリールとは、(メタ)アクリル酸
のヒドロキシルエステルのように水酸基を持ったモノマ
ーと(メタ)アクリル酸エステルモノマー類を共重合せし
めたアクリル系樹脂である。又、ポリエステルポリオー
ルとは、二塩基酸と過剰の多価アルコールをエステル化
反応せしめて得られるポリエステル樹脂である。
【0018】ポリエーテルポリオールとは、多価アルコ
ールにプロピレンオキサイドやエチレンオキサイドを付
加重合させたポリプロピレングリコールを主成分とした
樹脂である。
【0019】又、エポキシポリオールとは、水酸基を持
つ固形のエポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ
樹脂のアミン変性した樹脂である。
【0020】更にセルロースアセテートブチレートは、
セルロースの部分アセチル化物をさらにブチリル化して
得られるセルロース誘導体である。
【0021】更に硝化綿とは、紙、綿等のセルロース原
料を硫酸と硝酸の混液で処理することで得られるセルロ
ース誘導体である。
【0022】アルキッド樹脂とは、多価アルコールと多
塩基酸の重縮合反応により得られるポリエステル樹脂の
一種である。多価アルコール成分としてはグリセリン,
ペンタエリスリトール,エチレングリコール等、多塩基
酸成分としては無水フタル酸,無水マレイン酸,ロジン
・無水マレイン酸付加物等が用いられる。
【0023】カルボキシル基含有塩素化ポリオレフィン
の塩素含有率は10〜50重量%が好ましい。塩素含有率が5
0重量%を超えるとポリオレフィンとの付着性が悪くな
り、塩素含有率が10重量%未満であると溶液状態が悪く
なる。
【0024】カルボキシル基含有塩素化ポリオレフィン
中の不飽和カルボン酸モノマー及びその無水物のグラフ
ト率は1〜10重量%が好ましい。グラフト率が10重量%を
超えると水酸基を有するポリオール樹脂等とのエステル
化反応時にゲル化したり、ポリオレフィンとの付着性が
悪くなる。グラフト率が1重量%未満であると、上塗り
との付着が悪くなるうえ、生成するエステルの量が制限
されるために相溶性、顔料分散性に対する寄与が小さく
なる。
【0025】カルボキシル基含有塩素化ポリオレフィン
をポリオール樹脂とエステル化させる反応方法は、カル
ボキシル基含有塩素化ポリオレフィンを溶剤で適当に希
釈してからポリオール樹脂をあらかじめ混合し、触媒を
添加した後、加温して反応することを基本とする。反応
に使用する溶剤は、トルエン、キシレン等の芳香族系溶
剤が好ましく、他に酢酸エチル,酢酸ブチル等のエステ
ル系溶剤、メチルエチルケトン,メチルイソブチルケト
ン等のケトン系溶剤、エタノール,イソプロパノール,
n-ブタノール等のアルコール系溶剤、脂肪族系溶剤、環
状脂肪族系溶剤等を併用しても差し支えない。
【0026】該エステル化反応に使用する触媒として
は、例えば、硫酸,p-トルエンスルホン酸,ナフタリンス
ルホン酸,メタンスルホン酸,硫酸塩といった酸性触媒、
ブチル錫マレート等の有機錫化合物、その他三酸化アン
チモン,アルミナ等がある。
【0027】本発明におけるカルボキシル基含有塩素化
ポリオレフィンとエステル化せしめるポリオール樹脂の
重量比は、99/1〜50/50の範囲にあることが好ましい。
カルボキシル基含有塩素化ポリオレフィンの比率が99重
量部を超えると、ワンコート塗料用樹脂として用いる場
合に塩素化ポリオレフィン成分が多くなるため、耐候性
が悪く黄変や光沢低下といった問題を生じる。又、カル
ボキシル基含有塩素化ポリオレフィンの比率が50重量部
未満であると、付着成分である塩素化ポリオレフィン成
分が不足し、ポリオレフィン基材に対する付着性に劣
る。
【0028】又、該エステル化物はそれだけでバランス
の取れた塗膜物性を示すが、更に各種ポリオール樹脂、
例えばアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、
ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール、セルロ
ースアセテートブチレート、硝化綿、アルキッド樹脂又
はその変性物等の他樹脂を90/10〜10/90の重量比で混合
することで、なおいっそうの塗膜物性が期待できる。エ
ステル化物の比率が90重量部を超えると、ワンコート塗
料用樹脂として用いる場合に塩素化ポリオレフィン成分
が多くなるため、耐候性が悪く黄変や光沢低下といった
問題を生じる。又、エステル化物の比率が10重量部未満
であると、付着成分である塩素化ポリオレフィン成分が
不足し、ポリオレフィン基材に対する付着性に劣る。
【0029】本発明のエステル化反応して得られる樹脂
及び/又は該エステル化反応物とポリオール樹脂との混
合物からなる樹脂は、硬化剤としてイソシアネート化合
物やアルキルエーテル化アミノ樹脂を配合し硬化させる
ことにより、耐折り曲げ性,耐引っ掻き性等、塗料や接
着剤に必要な物性を向上させることができる。
【0030】本発明で用いるイソシアネート化合物とし
ては、芳香族や脂肪族及び脂環族の有機ジイソシアネー
ト類があり、例えばトリレンジイソシアネート,キシレ
ンジイソシアネート,1,5-ナフタレンジイソシアネー
ト,1,4-テトラメチレンジイソシアネート,1,6-ヘキサ
メチレンジイソシアネート,2,2,4-トリメチルヘキサメ
チレンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネー
ト,4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート,1,
4-シクロヘキシルジイソシアネート等がある。又、これ
らの有機ジイソシアネート類を、ビューレット体,イソ
シアヌレート体,トリメチロールプロパンアダクト体等
のイソシアネート誘導体に変性して用いても良い。
【0031】更に、該イソシアネート類をブロック剤で
ブロックしたブロックイソシアネート化合物も使用でき
る。ブロック剤としては、例えば、メチルエチルケトオ
キシム,シクロヘキサノンオキシム,ホルムアルドオキ
シム,アセトアルドオキシム等のオキシム系、フェノー
ル,クレゾール等のフェノール系、メタノール,ベンジ
ルアルコール,エチレングリコールモノメチルエーテル
等のアルコール系、アセト酢酸メチル,マロン酸ジメチ
ル等の活性メチレン系、アセトアニリド,酢酸アミド等
のアミド系、その他イミド系、アミン系、イミダゾール
系、尿素系、カルバミン酸塩系、イミン系、メルカプタ
ン系、亜硫酸系、ラクタム系等がある。
【0032】又、ポリエーテルポリオールやポリエステ
ルポリオール等の高分子ポリオールと上記の有機ジイソ
シアネート類を反応させて得られる遊離のイソシアネー
ト基を有するウレタン樹脂等、1分子当り2個以上のイソ
シアネート基を有する化合物であれば使用できる。
【0033】カルボキシル基含有塩素化ポリオレフィン
とポリオール樹脂とのエステル化反応物及び/又はこの
エステル化反応物とポリオール樹脂との混合物からなる
樹脂と硬化剤のイソシアネート化合物との反応性及び脱
ブロック反応性を促進する目的で反応触媒を使用でき
る。反応触媒としては例えば、ジブチル錫ジラウレー
ト,ジブチル錫脂肪酸塩,ジブチル錫ジアセテート,テ
トラ-n-ブチル-1,3-ジアセトキシ-ジスタノキサン,3-
ジラウリルオキシ-ジスタノキサン,ジ-n-ブチル錫オキ
サイド,モノ-n-ブチル錫オキサイド,オクチル酸第一
錫,オクテン酸亜鉛等が例示される。
【0034】本発明の硬化剤として用いるアルキルエー
テル化アミノ樹脂とは、尿素,メラミン,ベンゾグアナ
ミン等のアミノ化合物とホルムアルデヒドを反応させて
メチロール化した後、メタノールやブタノールのような
低級アルコールでエーテル化することによって得られ、
例えば、n-ブチルエーテル化尿素樹脂,イソブチルエー
テル化尿素樹脂,メチルエーテル化メラミン樹脂,n-ブ
チルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂等がそれである。
【0035】又、カルボキシル基含有塩素化ポリオレフ
ィンとポリオール樹脂とのエステル化反応物及び/又は
このエステル化反応物とポリオール樹脂との混合物から
なる樹脂とアルキルエーテル化アミノ樹脂との反応を促
進するために酸性触媒を使用できる。例えば、塩酸のア
ルコール溶液,塩化アンモンのような強酸の塩類,リン
酸モノブチルのようなリン酸エステル類,p-トルエンス
ルホン酸のような有機スルホン酸類等である。
【0036】カルボキシル基含有塩素化ポリオレフィン
とポリオール樹脂とのエステル化反応物及び/又は該エ
ステル化反応物とポリオール樹脂との混合物からなる樹
脂に対する硬化剤の添加量は、該組成物の水酸基含有量
によって適宜決定できる。即ち、該組成物中に含有する
水酸基1モルに対し、硬化剤がイソシアネート化合物の
場合イソシアネート基が、又、アルキルエーテル化アミ
ノ樹脂の場合アルコキシ基が、0.5〜1.5モルの範囲で使
用できる。0.5モル未満だと架橋による効果が少なく、
又、1.5モルを超えると未反応の硬化剤が残留するため
好ましくない。
【0037】本発明の硬化型コーティング樹脂組成物
は、そのままコーティングして用いても良いが、顔料,
溶剤,その他の添加剤,例えば紫外線吸収剤,酸化防止
剤,顔料沈降防止剤を加え混練、分散して塗料や印刷イ
ンキとして用いることができる。更に、ポリプロピレン
系樹脂を始めとする各種プラスチックの接着剤あるいは
塗装用のプライマーとしても使用できる。
【0038】
【作用】本発明の特徴とするところは、カルボキシル基
含有塩素化ポリオレフィンとポリオール樹脂とのエステ
ル化反応物及び/又は該エステル化反応物とポリオール
樹脂との混合物からなる樹脂を主剤とし、これに硬化剤
としてイソシアネート化合物又はアルキルエーテル化ア
ミノ樹脂を配合することで、耐折り曲げ性、耐引っ掻き
性を向上させると共に、従来付着が困難であったポリオ
レフィンに対しても良好な付着性を示す硬化型コーティ
ング樹脂組成物を得ることにある。
【0039】即ち、カルボキシル基含有塩素化ポリオレ
フィン中のカルボキシル基とエステル化反応しなかった
未反応のポリオール樹脂の水酸基、又は更に混合された
ポリオール樹脂中の水酸基が、硬化剤がイソシアネート
化合物である場合はイソシアネート基、又、硬化剤がア
ルキルエーテル化アミノ樹脂である場合はアルコキシ基
と反応して架橋構造を形成して、塗膜に凝集力を与え、
耐折り曲げ性,耐引っ掻き性等の物性を向上させている
ものと考えられる。
【0040】
【実施例】次に本発明を実施例により更に詳細に説明す
る。
【0041】(製造例1) 180℃における溶融粘度が25
00mPa・sでエチレン含有率が6モル%のエチレン−プロピ
レン共重合物6kgを、攪拌機とモノマーを還流するため
の冷却管を取り付けた三ッ口フラスコに入れ、180℃で
一定に保たれた油浴中で完全に溶融させた。フラスコ内
を窒素で置換した後、撹拌を行いながら無水マレイン酸
240gを約5分かけて投入し、次にジ-tert-ブチルパーオ
キサイド24gを50mlのヘプタンに溶解して、滴下ロート
より約30分間かけて投入した。この時、系内を180℃に
保ち、更に約1時間反応を継続した後、アスピレーター
でフラスコ内を減圧しながら約30分間かけて未反応の無
水マレイン酸を取り除いた。次にこの生成物をグラスラ
イニングされた反応釜に投入し、100リットルのクロロ
ホルムを加えてから、2.5kg/cm2の圧力下に100℃で完全
に溶解させた。更にアゾビスイソブチロニトリルを樹脂
分に対し0.1重量%添加した後、温度を90℃に保ちながら
塩素ガスを反応釜底部より吹き込んで塩素化反応を行っ
た。反応終了後、溶媒のクロロホルムをエバポレーター
で留去し、トルエン/シクロヘキサン=65/35(w/w)の混
合溶剤に置換し、安定剤としてエピオールTB(エピクロ
ルヒドリン誘導体、日本油脂(株)製)を固形分に対し4
重量%添加し濃度調整を行って、固形分濃度が20重量%の
カルボキシル基含有塩素化エチレン−プロピレン共重合
物のトルエン、シクロヘキサン混合溶液を得た。この時
の塩素含有率は18.0重量%(対固形分)で無水マレイン酸
のグラフト率は2.5重量%(対固形分)であった。
【0042】(製造例2) 数平均分子量が約が15,000
のアイソタクッチックポリプロピレン6kg、無水マレイ
ン酸420g、ジ-tert-ブチルパーオキサイド42gを用いる
以外は製造例1と同様な溶融反応を行い、次いで同様に
塩素化反応を行った。溶媒のクロロホルムをエバポレー
ターで減圧濃縮し、安定剤としてハイドロタルサイト類
化合物を固形分に対して4重量%添加した後、反応溶媒を
減圧留去するためのベント口を備えたベント付押出機で
クロロホルムを完全に除去し、ストランド状に押出して
から、水で冷却し、水冷式ペレタイザー(有限会社勝製
作所 機種:KM-150)でペレット化したカルボキシル基含
有塩素化ポリプロピレンの固形物を得た。この時の塩素
含有率は35.0重量%(対固形分)で無水マレイン酸のグラ
フト率は4.3重量%(対固形分)であった。
【0043】(製造例3) 重量平均分子量が120,000で
プロピレン成分が75モル%,エチレン成分が8モル%のプ
ロピレン−ブテン−エチレン共重合物6kgをグラスラ
イニングされた反応釜に投入し、100リットルの四塩化
炭素を加え、2kg/cm2−110℃の条件下で完全に溶解した
後、紫外線を照射しつつ塩素ガスを反応釜底部より吹き
込んで塩素含有率が12重量%の反応液を得た。次にエバ
ポレーターで濃縮した後、安定剤としてエピオールTBを
固形分に対し4重量%添加してから、反応溶媒である四塩
化炭素をトルエンに置換し、固形分濃度が30重量%の塩
素化プロピレン−ブテン−エチレン共重合物トルエン溶
液を得た。次にこの塩素化プロピレン−ブテン−エチレ
ン共重合物トルエン溶液1,000gを撹拌機と滴下ロートと
モノマーを環流するための冷却管を取り付けた三ッ口フ
ラスコに入れ、フラスコ内を窒素で置換し、90℃で撹拌
を行いながらベンゾイルパーオキサイドを3g加えてか
ら、さらに約30分間撹拌した。次にメタクリル酸15gを
滴下ロートより約30分間かけて投入し、更に3時間反応
した後濃度調整を行い、固形分が20重量%のカルボキシ
ル基含有塩素化プロピレン−ブテン−エチレン共重合物
トルエン溶液を得た。この時の塩素含有率は11.3重量%
(対固形分)でメタクリル酸のグラフト率は4.7重量%(対
固形分)であった。
【0044】製造例1〜3で得たカルボキシル基含有塩素
化ポリオレフィンを表1にまとめた。
【0045】
【表1】表1 製造例1〜3のカルボキシル基含有塩素化
ポリオレフィンの内容
【0046】(製造例4) 製造例-1で得たカルボキシ
ル基含有塩素化ポリオレフィン500gとフタルキッドV901
(ビニル変性アルキッド樹脂,日立化成工業(株)製,固
形分:50重量%)10.5gを、攪拌機と冷却管を取り付けた三
ッ口フラスコ中で混合し、ジ-n-オクチル錫ジラウレー
トを樹脂固形分に対して0.1重量%添加した後、温度を85
℃に保ちながら5時間反応させ、トルエンで濃度調整を
行って、固形分濃度が20重量%のポリオレフィン系樹脂
用コーティング樹脂組成物(1)を製造した。
【0047】(製造例5) 製造例-1で得たカルボキシ
ル基含有塩素化ポリオレフィン500gとセルロースアセテ
ートブチレート(アセチル基含有率:14重量%,ブチリル基
含有率:37重量%,固形分:100重量%)11.1gを、攪拌機と冷
却管を取り付けた三ッ口フラスコ中で混合し、p-トルエ
ンスルホン酸を樹脂固形分に対して0.1重量%添加した
後、温度を85℃に保ちながら5時間反応させ、トルエン
で濃度調整を行って、固形分濃度が20重量%のポリオレ
フィン系樹脂用コーティング樹脂組成物(2)を製造し
た。
【0048】(製造例6) 製造例-2で得たカルボキシ
ル基含有塩素化ポリオレフィン100gとLR-193(アクリル
ポリオール,三菱レイヨン(株)製,固形分:60重量%)29.
4g、トルエン400gを、攪拌機と冷却管を取り付けた三ッ
口フラスコ中で混合し、ジ-n-ブチル錫ジラウレートを
樹脂固形分に対して0.5重量%添加した後、温度を85℃に
保ちながら5時間反応させ、トルエンで濃度調整を行っ
て、固形分濃度が20重量%のポリオレフィン系樹脂用コ
ーティング樹脂組成物(3)を製造した。
【0049】(製造例7) 製造例-2で得たカルボキシ
ル基含有塩素化ポリオレフィン100gとデスモフェン690
(ポリエステルポリオール,住友バイエルウレタン(株)
製,固形分:100重量%)33.3g、トルエン400gを、攪拌機と
冷却管を取り付けた三ッ口フラスコ中で混合し、三酸化
アンチモンを樹脂固形分に対して0.5重量%添加した後、
温度を85℃に保ちながら5時間反応させ、トルエンで濃
度調整を行って、固形分濃度が20重量%のポリオレフィ
ン系樹脂用コーティング樹脂組成物(4)を製造した。
【0050】(製造例8) 製造例-3で得たカルボキシ
ル基含有塩素化ポリオレフィン500gとデスモフェン1900
U(ポリエーテルポリオール,住友バイエルウレタン
(株)製,固形分:100重量%)81.8gを、攪拌機と冷却管を
取り付けた三ッ口フラスコ中で混合し、アルミナを樹脂
固形分に対して0.1重量%添加した後、温度を85℃に保ち
ながら5時間反応させ、トルエンで濃度調整を行って、
固形分濃度が20重量%のポリオレフィン系樹脂用コーテ
ィング樹脂組成物(5)を製造した。
【0051】(製造例9) 製造例-3で得たカルボキシ
ル基含有塩素化ポリオレフィン500gとクラレポリオール
P-1010(ポリエステルポリオール,(株)クラレ製,固形
分:100重量%)20gを、撹拌機と冷却管を取り付けた三ッ
口フラスコ中で混合し、濃硫酸を樹脂固形分に対して0.
1重量%添加した後、温度を110℃に保ちながら2時間のエ
ステル化反応を行った。次にt-ブチルパーオキシイソプ
ロピルカーボネート8.4gを添加し、シクロヘキシルアク
リレート80g及び2-ヒドロキシエチルアクリレート20gか
ら成るラジカル重合性不飽和物を3時間かけて滴下した
後、さらに6時間にわたって共重合反応を行い、トルエ
ンで濃度調整をして、固形分濃度が20重量%のポリオレ
フィン系樹脂用コーティング樹脂組成物(6)を製造し
た。
【0052】(実施例1,2及び比較例1〜3)表2に示した
組成でプライマーを調整し、プライマーの性能試験を行
った。その結果を表3に示した。
【0053】
【表2】 表2 プライマー組成 (重量比) 注) スミジュールN3500: イソシアネート硬化剤(住友
バイエルウレタン(株)製,ヘキサメチレンジイソシア
ネート系,イソシアヌレート体)
【0054】1)プライマーの調製 上記プライマー組成の硬化剤及び触媒以外をサンドミル
で1時間混練した後、フォードカップ#4で12〜13秒/20℃
の粘度になるようにキシレンで希釈し調製した。そし
て、硬化剤及び触媒が必要なものについては、塗装直前
にそれらを添加した。 2)塗装方法 プライマーを、イソプロピルアルコールで洗浄したポリ
オレフィン基材(超高剛性ポリプロピレン)に膜厚10〜15
μmになるようエアースプレーを用いて塗装し、15〜20
分間室温で乾燥させた後、2液硬化型ウレタン塗料を膜
厚が約30μmになるようにスプレー塗装し、20〜30分間
室温で乾燥させてから、80℃で30分間の強制乾燥を行
い、室内に3日間静置後塗膜試験に供した。 3)塗膜の評価方法 ・付着性 塗面上に2mm間隔で素地に達する100個の碁盤目を作り、
その上にセロファン粘着テープを密着させて180°方向
に引き剥がし、残存する碁盤目の数を調べた。 ・耐湿性 塗装板を50℃、相対湿度98%の雰囲気に240時間放置し、
塗膜の状態と付着性を調べた。 ・耐温水性 塗装板を40℃の温水に240時間浸漬し、塗膜の状態と付
着性を調べた。 ・耐ガソリン性 レギュラーガソリンに、両端をカットした塗装板を浸漬
し、カットした塗面の端から2mm程剥離するまでの時間
で判定した。
【0055】
【表3】表3 プライマー試験結果
【0056】(実施例3,4及び比較例4〜6)表4に示した
組成でベースコート塗料を調製し、ベースコート塗料の
性能試験を行った。その結果を表5に示した。
【0057】
【表4】 表4 ベースコート塗料組成 (重量比) 注)メラン11:アルキルエーテル化アミノ樹脂硬化剤(日
立化成工業(株)製,ブチルエーテル化尿素樹脂,固形
分:60重量%)
【0058】1)ベースコート塗料の調製 上記ベースコート塗料組成の硬化剤及び触媒以外を振と
う機で1時間振とうした後、フォードカップ#4で12〜13
秒/20℃の粘度になるようにキシレンで希釈し調製し
た。そして、硬化剤及び触媒が必要なものについては、
塗装直前にそれらを添加した。 2)塗装方法 ベースコート塗料を、イソプロピルアルコールで洗浄し
たポリオレフィン基材(超高剛性ポリプロピレン)に膜厚
30〜35μmになるようエアースプレーを用いて塗装し、5
〜10分間室温で乾燥させた後、クリヤーコート塗料(2液
硬化型ウレタン)を膜厚が約10μmになるようにスプレー
塗装し、20〜30分間室温で乾燥させてから、80℃で30分
間の強制乾燥を行い、室内に3日間静置後塗膜試験に供
した。 3)塗膜の評価方法 ・付着性、耐湿性、耐温水性、耐ガソリン性については
上記と同じ。
【0059】
【表5】表5 ベースコート塗料試験結果
【0060】(実施例5,6及び比較例7〜9)表6に示した
組成でワンコート塗料を調整し、ワンコート塗料の性能
試験を行った。その結果を表7に示した。
【0061】
【表6】 表6 ワンコート塗料組成 (重量比) 注)デスモジュールZ4370: イソシアネート硬化剤(住友
バイエルウレタン(株)製,イソホロンジイソシアネー
ト系,イソシアヌレート体)
【0062】1)ワンコート塗料の調製 上記ワンコート塗料組成物の硬化剤以外をサンドミルで
1時間混練した後、フォードカップ#4で12〜13秒/20℃の
粘度になるようにキシレンで希釈し調製した。そして、
硬化剤が必要なものについては、塗装直前にそれらを添
加した。 2)塗装方法 ワンコート塗料を、イソプロピルアルコールで洗浄した
ポリオレフィン基材(スチレンブタジエン共重合物)に膜
厚約30μmになるようエアースプレーを用いて塗装し、2
0〜30分間室温で乾燥させた後、80℃で30分間の強制乾
燥を行い、室内に3日間静置後塗膜試験に供した。 3)塗膜の評価方法 ・付着性、耐湿性、耐温水性 上記と同じ。 ・光沢 60°鏡面反射光沢度計により測定した。 ・耐バター性 塗面上にバターをしみ込ませた布を貼り付け、70℃で7
日間静置後、塗面上に残存するバターを完全に洗い落と
してから、塗膜の付着性を調べた。 ・耐アルカリ性 0.1規定のアルカリ水溶液に塗装板を120時間浸漬し、塗
膜の状態を調べた。 ・耐折り曲げ性 塗装板を折り曲げて、塗膜の割れの状態を確認した。 ・耐引っ掻き性 塗膜を爪で2回強く引っ掻いて、塗膜の状態を確認し
た。
【0063】
【表7】表7 ワンコート塗料試験結果
【0064】(実施例7〜12及び比較例10〜19)表8〜10
に示した組成でインキを調製し、インキの性能試験を行
った。その結果を表11〜13に示した。
【0065】
【表8】 表8 インキ組成 (重量比) 注)カーミン6BN: アゾ系有機顔料(東洋インキ製造
(株)製)
【0066】
【表9】 表9 インキ組成 (重量比)
【0067】
【表10】 表10 インキ組成 (重量比)
【0068】1)インキの調製 上記インキ組成の硬化剤及び触媒以外をサンドミルで3
時間練肉した後、#3ザーンカップで25〜30秒/20℃の粘
度になるようにトルエンで希釈し調製した。そして、硬
化剤及び触媒が必要なものについては、塗工直前にそれ
らを添加した。 2)評価方法 ・セロファン粘着テープ剥離試験 上記の方法で調製したインキを、コーティングロッド#1
4で未処理ポリプロピレンフィルム(以下未処理PPと称
す)、コロナ放電処理ポリプロピレンフィルム(以下処理
PPと称す)にそれぞれ塗工し、24時間室温で乾燥した
後、セロファン粘着テープをインキ塗工面に貼り付け、
一気に剥がした時の塗工面の剥離状態を調べた。 ・ヒートシール強度試験 セロファン粘着テープ剥離試験を同様な方法で未処理PP
と処理PPにインキを塗工し、24時間室温で乾燥させた
後、インキ塗工面を重ね合わせ、120℃-1kg/cm2で2秒間
の圧着条件でヒートシールを行い、24時間後テンシロン
にて180℃剥離強度を測定した(引っ張り速度: 50mm/mi
n)。
【0069】
【表11】表11 インキ試験結果
【0070】
【表12】表12 インキ試験結果
【0071】
【表13】表13 インキ試験結果
【0072】
【発明の効果】比較例1,2,4,5,7,8,10〜15は、本
発明者等が既に特願平11-237417号で提案したコーティ
ング樹脂組成物である。比較例3,6,9,16,17は、製
造例1〜3のカルボキシル基含有塩素化ポリオレフィンと
ポリオール樹脂との混合物からなる樹脂を主剤とし、こ
れに硬化剤を配合したコーティング樹脂組成物である。
又、比較例18,19は、カルボキシル基含有塩素化ポリオ
レフィンにポリエステルポリオール、さらにラジカル重
合性不飽和物を反応させて得られる樹脂とポリオール樹
脂との混合物からなる樹脂を主剤とし、これに硬化剤を
配合したコーティング樹脂組成物である。これらを実施
例の硬化型コーティング樹脂組成物と比較してみると、
プライマー性能において比較例1,2が実施例とほぼ同等
の結果を示しているのに対し、比較例3は付着性、耐湿
性、耐温水性、耐ガソリン性に劣っている。ベースコー
ト塗料物性においては、比較例4,5が実施例とほぼ同等
の結果を示しているのに対し、比較例6は付着性、耐湿
性、耐温水性、耐ガソリン性に劣っている。ワンコート
塗料物性においても、ベースコート塗料の場合と同様の
傾向を示すが、実施例に対し比較例では耐折り曲げ性、
耐引っ掻き性に劣っている。インキ物性に関して、実施
例がPPフィルムに対し良好な付着性を示しているのに対
し、比較例においては必ずしも十分とは言えない。以上
の結果より、本願発明の硬化型コーティング樹脂組成物
が有用であることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 廣瀬 隆行 山口県岩国市飯田町2−8−1 日本製紙 株式会社化成品開発研究所内 (72)発明者 上田 隆明 山口県岩国市飯田町2−8−1 日本製紙 株式会社化成品開発研究所内 (72)発明者 浦田 啓司 山口県岩国市飯田町2−8−1 日本製紙 株式会社化成品開発研究所内 Fターム(参考) 4J002 CK011 CK031 CK041 EA026 EA036 FD030 GH00 HA03 4J038 BA052 BA082 CB081 CB141 CB171 CG142 CH122 DA142 DA162 DA172 DB002 DD002 DD101 DD122 DF002 DG101 DG111 DG131 DG161 DG191 DG271 DG281 DG291 DG301 GA03 GA06 KA03 NA01 NA12 PB05 PB07 PB09 PC08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α,β-不飽和カルボン酸及び/又はその
    酸無水物から選ばれた1種又は2種以上の化合物を使用し
    てグラフト変性して得られたカルボキシル基含有塩素化
    ポリオレフィンとポリオール樹脂とのエステル化反応物
    及び/又は該エステル化反応物とポリオール樹脂との混
    合物からなる樹脂を主剤とし、これに硬化剤としてイソ
    シアネート化合物又はアルキルエーテル化アミノ樹脂を
    配合してなる硬化型コーティング樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリオール樹脂がアクリルポリオール、
    ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エ
    ポキシポリオール、セルロースアセテートブチレート、
    硝化綿、アルキッド樹脂又はその変性物である請求項1
    記載の硬化型コーティング樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 カルボキシル基含有塩素化ポリオレフィ
    ンの塩素含有率が10〜50重量%である請求項1又は2記載
    の硬化型コーティング樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 カルボキシル基含有塩素化ポリオレフィ
    ンのα,β-不飽和カルボン酸及び/又はその酸無水物か
    ら選ばれた1種又は2種以上の化合物のグラフト率が1〜1
    0重量%である請求項1〜3のいずれか1項記載の硬化型コ
    ーティング樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 カルボキシル基含有塩素化ポリオレフィ
    ンとエステル化反応せしめるポリオール樹脂との重量比
    が99/1〜50/50の範囲にある請求項1〜4のいずれか1項記
    載の硬化型コーティング樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 エステル化反応物と混合されるポリオー
    ル樹脂との重量比が90/10〜10/90の範囲にある請求項1
    〜5のいずれか1項記載の硬化型コーティング樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】 前記硬化型コーティング樹脂組成物中に
    含有する水酸基1モルに対し、硬化剤がイソシアネート
    化合物の場合イソシアネート基が、又、アルキルエーテ
    ル化アミノ樹脂の場合アルコキシ基が、0.5〜1.5モルの
    範囲にある請求項1〜6のいずれか1項記載の硬化型コー
    ティング樹脂組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003313331A (ja) * 2002-04-25 2003-11-06 Mitsubishi Chemicals Corp ポリオレフィン塗装用ベース塗料組成物
KR102045711B1 (ko) * 2019-07-29 2019-11-15 김현득 프라이머 코팅이 불필요한 지그 및 금속 구조재 코팅용 도료 조성물 및 이러한 코팅용 도료 조성물이 코팅된 지그 및 금속 구조재

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