JP2001192359A - スチルベン誘導体、その製造方法およびそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

スチルベン誘導体、その製造方法およびそれを用いた電子写真感光体

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JP2001192359A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】耐アイソパー性が優れており、電子写真感光体
の電荷輸送剤として好適な新規スチルベン誘導体を提供
する。また、液体現像剤に対して、優れた耐アイソパー
性を有し、従来に比べて光感度に優れている電子写真感
光体を提供することである。 【解決手段】一般式1 (R1〜R4は同一または異なってアルキル基、アルコキ
シ基、アリール基、アラルキル基、水素またはニトロ
基、R5はシアノ基、カルボニル基、ニトロ基またはビ
ニル、nは1または2を示す。)のスチルベン誘導体。
また導電性基体上に感光層を設け、感光層が前記スチル
ベン誘導体を含有する電子写真感光体。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体現像剤に対し
て良好な耐溶剤性を有し、耐久性に優れかつ高感度のス
チルベン誘導体、その製造方法および該スチルベン誘導
体を含有し、静電式複写機、ファクシミリ、レーザービ
ームプリンタ等の画像形成装置に用いられる電子写真感
光体に関する。
【従来の技術】上記画像形成装置においては、当該装置
に用いられる光源の波長領域に感度を有する種々の有機
感光体が使用されている。この有機感光体は、従来の無
機感光体に比べて製造が容易であり、電荷輸送剤、電荷
発生剤、結着樹脂等の感光材料の選択肢が多様で、機能
設計の自由度が高いという利点を有することから、近
年、広く用いられている。有機感光体には、電荷輸送剤
を電荷発生剤とともに同一の感光層中に分散させた単層
型感光体と、電荷発生剤を含有する電荷発生層と電荷輸
送剤を含有する電荷輸送層とを積層した積層型感光体が
ある。
【発明が解決しようとする課題】画像形成装置で用いら
れる液体現像剤には一般的に、脂肪族系あるいはシリコ
ン系等の溶剤からなるアイソパーを使用する。液体現像
剤と併せて使用する有機感光体用の電荷輸送剤として、
特開昭58−190953号公報および特開平1−15
5356号公報にはスチルベン誘導体が開示されてい
る。しかしながら、前記公報に開示されているスチルベ
ン誘導体は、一般に液体現像剤に対し、耐アイソパー性
が乏しくいため、感光層が溶出してしまうのに加えて、
結着樹脂との相溶性が乏しいため、感光層中に均一に分
散されず、電荷移動が生じにくいばかりか、感光層のひ
び割れ、結晶化が発生してしまう。そのため、前記スチ
ルベン誘導体自体は高い電荷移動度を有しているが、こ
れを電荷輸送剤として感光体に使用した際には、その特
性が十分に発揮できず、感光体の残留電位が高くなり、
光に対する感度が不十分になる。そこで、本発明の目的
は、上記の技術的な問題を解決し、電子写真感光体の電
荷輸送剤として好適な新規スチルベン誘導体を提供する
ことである。本発明の他の目的は、従来に比べて、光感
度および繰り返し特性が向上した電子写真感光体を提供
することである。
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために研究を重ねていくなかで、一般式
(1):
【化2】 (式(1)中、R1〜R4は同一または異なってアルキル
基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、水素原
子またはニトロ基を示し、R5はシアノ基、カルボニル
基、ニトロ基またはビニル基を示す。nは1または2を
示す。)で表されるスチルベン誘導体が、従来のスチル
ベン誘導体よりも耐アイソパー性に優れ、かつ電荷移動
度が大きいという事実を見出し、本発明を完成するに至
った。すなわち、一般式(1)で表される本発明のスチ
ルベン誘導体は、耐アイソパー性が優れているので、感
光層が溶出してしまうことがない。また、結着樹脂との
相溶性が良好であるため感光層のひび割れや結晶化が発
生することがなく、感光層中に均一に分散され、電荷移
動が生じ易い。従って、スチルベン誘導体(1)は、低
電界であっても優れた電荷(正孔)輸送性を示し、電子
写真感光体等における正孔輸送剤として好適である。従
って、スチルベン誘導体(1)を電子写真感光体におけ
る電荷(正孔)輸送剤として使用することにより、高感
度で繰り返し安定性が向上した電子写真感光体を得るこ
とができる。また、本発明の電子写真感光体は、導電性
基体上に感光層を設けた電子写真感光体であって、感光
層が、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を含有
することを特徴とする。本発明の電子写真感光体は、一
般式(1)で表されるスチルベン誘導体を感光層中に含
有することから、電化発生剤で発生した電荷(正孔)を
輸送する速度が速く、すなわち電荷移動度が大きく、帯
電および露光時の光に対する感度が優れている。その結
果、本発明の電子写真感光体によれば、従来のスチルベ
ン誘導体を正孔輸送剤として使用したときよりも、高い
感度が得られ、繰り返し特性が向上する。また、前記感
光層は一般式(1)で表されるスチルベン誘導体と共
に、電荷発生剤と電子輸送剤とを含有した単層型の感光
層であることが好ましい。
【発明の実施の形態】まず、本発明のスチルベン誘導体
(1)について詳細に説明する。前記一般式(1)中、
1〜R4に相当するアルキル基としては、例えばメチ
ル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチ
ル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、
イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜
6のアルキル基があげられる。中でも、メチル、エチ
ル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブ
チル、s−ブチル、t−ブチル等の炭素数1〜4のアル
キル基が好ましい。また、R1〜R4に相当するアルキル
基は置換基を有していてもよく、具体的にはヒドロキシ
アルキル基、アルコキシアルキル基、モノアルキルアミ
ノアルキル基、ジアルキルアミノアルキル基、ハロゲン
置換アルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、カ
ルボキシアルキル基、アルカノイルオキシアルキル基、
アミノアルキル基などがあげられる。とりわけ本発明の
スチルベン誘導体(1)においては、電荷移動度を高め
るという観点から、置換基としてアルコキシ基、モノア
ルキルアミノ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基などの
電子供与性基を有するアルキル基が好ましい。R1〜R4
に相当するアルコキシ基としては、例えばメトキシ、エ
トキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−
ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等の炭素数
が1〜6のアルコキシ基があげられる。また、R1〜R4
に相当するアルコキシ基は置換基を有してもよく、その
置換基としては、前述のアルキル基の場合と同様の置換
基があげられる。ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ
基、カルボキシ基、アルカノイルオキシ基などの、前述
のアルキル基の場合と同様の置換基があげられる。ま
た、R1〜R4に相当するアリール基としては、例えばフ
ェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等の基
があげられる。また、R1〜R4に相当するアラルキル基
としては、例えばベンジル、1−フェニルエチル、3−
フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニル
ペンチル、6−フェニルヘキシル等のアルキル部分の炭
素数が1〜6であるアラルキル基があげられる。前記ア
リール基およびアラルキル基は置換基を有していてもよ
く、かかる置換基としては、例えばハロゲン原子、アミ
ノ基、ヒドロキシ基、エステル化されていてもよいカル
ボキシル基、シアノ基などの他、前述と同様の炭素数1
〜6の置換基を有してもよいアルキル基や炭素数1〜6
の置換基を有してもよいアルコキシ基などがあげられ
る。なお、これらの置換基の置換位置については特に限
定されない。R1〜R4に相当するアラルキル基として
は、例えばベンジル、1−フェニルエチル、3−フェニ
ルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチ
ル、6−フェニルヘキシル等のアルキル部分の炭素数が
1〜6であるアラルキル基があげられる。前記アリール
基およびアラルキル基は置換基を有していてもよく、か
かる置換基としては、例えばハロゲン原子、アミノ基、
ヒドロキシ基、エステル化されていてもよいカルボキシ
ル基、シアノ基などの他、前述と同様の炭素数1〜6の
置換基を有してもよいアルキル基や炭素数1〜6の置換
基を有してもよいアルコキシ基などがあげられる。な
お、これらの置換基の置換位置については特に限定され
ない。R5に相当するカルボニル基およびビニル基は置
換基を有していても良く、かかる置換基としては、例え
ばハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基、エステル化
されていてもよいカルボキシル基、シアノ基などの他、
前述と同様の炭素数1〜6の置換基を有してもよいアル
キル基や炭素数1〜6の置換基を有してもよいアルコキ
シ基、置換基を有してもよいフェニル基などがあげられ
る。前記一般式(1)で表されるスチルベン誘導体の具
体例として、基R1〜R5に相当する置換基を下記の表1
に示す。なお、表1中、Hは水素原子、Meはメチル基、E
tはエチル基、i−Prはi−プロピル基、n−Buはn
−ブチル基、MeOはメトキシ基、Phはフェニル基を示
す。また、元素(分子)記号の前に付いている数字は置
換基の置換位置を示す。
【表1】 また、本発明のスチルベン誘導体(1)には、ビニレン
基に対する中心ベンゼン環と周辺置換基であるトリフェ
ニルアミンとの配置の違いによって、下記一般式(2)
で表されるシス(cis−)異性体と、下記一般式(3)
で表されるトランス(trans−)異性体とが混在する。
【化3】
【化4】 (式(2)および(3)中、R1〜R5は前記一般式
(1)と同じ基である。)本発明の電子写真感光体に
は、trans−異性体(3)の割合が多いものを使用する
のが好ましい。一般式(1)で表されるスチルベン誘導
体は、前述のように電荷移動度が大きく、すなわち高い
正孔輸送能を有することから、電子写真感光体における
正孔輸送剤として好適に使用されるほか、太陽電池、エ
レクトロルミネッセンス素子等の種々の分野での利用が
可能である。次に、本発明のスチルベン誘導体(1)の
合成方法について、スチルベン誘導体(1)中のトリフ
ェニルアミノ基の3個のベンゼン環がそれぞれ異なった
置換基あるいは置換位置を示す場合を例にとって説明す
る。 反応式(I):
【化5】 (式中、R1〜R5は前記と同じである。) この反応は、ホルミル化トリフェニルアミン誘導体
(4)とベンジルリン酸エステル誘導体(5)とを適当
な無水溶媒中、塩基の存在下で反応させることにより、
本発明のスチルベン誘導体(1)を得るものである。反
応に使用する無水溶媒としては、反応に影響を及ぼさな
いものであればよく、例えばジエチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;塩化メチレ
ン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化
水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素があげら
れる。この反応で使用する塩基としては、水素化ナトリ
ウム、ナトリウムメトキシド等のナトリウムアルコキシ
ド等の金属水素化物があげられる。ベンジルリン酸エス
テル誘導体(5)に対する塩基の使用量は、少なくとも
1〜2倍モル量、好ましくは1〜1.3倍モル量であ
る。ホルミル化トリフェニルアミン誘導体(4)の使用
量は、ベンジルリン酸エステル(5)に対して0.90
〜1.25倍モル量、好ましくは0.98〜1.05倍
モル量である。反応は、通常−10〜25℃で行われ、
3〜12時間程度で終了する。 反応式(II):
【化6】 (式中、R1〜R4は前記と同じである。) この反応は、アニリン誘導体(6)に2種類のヨードベ
ンゼン誘導体(7)、(8)を順次反応させることによ
り、反応式(I)の出発原料であるホルミル化トリフェ
ニルアミン誘導体(4)を得るものである。すなわち、
反応式(II)において、まず、アニリン誘導体(6)を
アセチル化して得られたアセチルアニリン誘導体(1
0)と一方のヨードベンゼン誘導体(7)とをニトロベ
ンゼン中に加え、無水炭酸カリウム、銅などの触媒と共
に反応させることにより、アセチル化ジフェニルアミン
誘導体(11)を得る。次いで、アセチル化ジフェニル
アミン誘導体(11)を加水分解することによりジフェ
ニルアミン誘導体(12)を得る。最後に、ジフェニル
アミン誘導体(12)と他方のヨードベンゼン誘導体
(8)とをニトロベンゼン中に加え、無水炭酸カリウ
ム、銅などの触媒と共に反応させることにより、シアノ
トリフェニルアミン誘導体(13)を得る。最後に、シ
アノトリフェニルアミン誘導体(13)とジイソブチル
アルミニウムハイドライド(DIBAL)をそれぞれ適
当な無水溶媒中に加え、それらの溶液を混合して反応さ
せることにより、ホルミル化トリフェニルアミン誘導体
(4)を得るも。この反応に使用する無水溶媒として
は、反応式(I)で使用されるのと同じものがあげられ
る。シアノトリフェニルアミン誘導体(13)に対する
ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAL)
の使用量は、少なくとも1〜2倍モル量、好ましくは1
〜1.3倍モル量である。反応は、通常−10〜25℃
で行われ、3〜12時間程度で終了する。 反応式(III):
【化7】 (Xはハロゲン元素を示す。) この反応は、ベンジルハライド誘導体(14)と亜リン
酸トリエステル(15)とを無溶媒あるいは適当な溶媒
中にて反応させることにより、反応式(III)の出発原
料であるベンジルリン酸エステル誘導体(5)を得るも
のである。その際、第三級アミンを添加すると、反応系
からハロゲン化アルキルが除去され、反応が促進する。
この反応に使用する溶媒としては、反応に影響を及ぼさ
ないものであればよく、例えばジエチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;塩化メチ
レン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭
化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジメ
チルホルムアミドがあげられる。上記第三級アミンとし
ては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ピ
リジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等があげられ
る。ベンジルハライド誘導体(14)に対する亜リン酸
トリエステル(15)の使用量は、少なくとも1倍モル
量、好ましくは1〜1.2倍モル量である。反応は、通
常、80〜150℃で行われ、1〜4時間程度で終了す
る。次に、本発明の電子写真感光体について詳細に説明
する。本発明の電子写真感光体は、一般式(1)で表さ
れるスチルベン誘導体を、含有した感光層を導電性基体
上に設けたものである。感光体には、前述のように単層
型と積層型とがあるが、本発明はこのいずれも適用可能
である。単層型感光体は、導電性基体上に単一の感光層
を設けたものである。この感光層は一般式(1)で表さ
れるスチルベン誘導体(正孔輸送剤)、電化発生剤およ
び結着樹脂、さらに必要に応じて電子輸送剤を適当な溶
媒に溶解または分散させ、得られた塗布液を導電性基体
上に塗布し、乾燥させることで形成される。かかる単層
型感光体は、単独の構成で正負いずれの帯電型にも適用
可能であるとともに、層構成が簡単で生産性に優れてい
る。本発明の単層型電子写真感光体は、従来の単層型電
子写真感光体に比べて、感光体の残留電位が大きく低下
しており、感度および繰り返し安定性が向上している。
一方、積層型感光体は、まず導電性基体上に、蒸着また
は塗布等の手段によって、電荷発生剤を含有する電荷発
生層を形成し、次いでこの電荷発生層状に、一般式
(1)で表されるスチルベン誘導体(正孔輸送剤)と結
着樹脂とを含む塗布液を塗布し、乾燥させて電荷輸送層
を形成することによって、作製される。また、前記とは
逆に、導電性基体上に電荷輸送層を形成し、その上に電
荷発生層を形成してもよい。但し、電荷発生層は電荷輸
送層に比べて膜圧がごく薄いため、その保護のために
は、導電性基体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷
輸送層を形成するのが好ましい。積層型感光体は、前記
電荷発生層および電荷輸送層の形成順序と、電荷輸送層
に使用する電荷輸送剤の種類によって、正負いずれの帯
電型となるかが選択される。例えば、前記のように、導
電性基体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層
を形成した場合において、電荷輸送層における電荷輸送
剤として、本発明のスチルベン誘導体(1)のような正
孔輸送剤を使用した場合には、感光体は負帯電型とな
る。本発明の積層型感光体は、従来のスチルベン誘導体
を正孔輸送剤として使用した積層型電子写真感光体に比
べて、感光体の残留電位が大きく低下しており、感度が
向上している。前述のように、本発明の電子写真感光体
は、単層型および積層型のいずれにも適用できるが、特
に正負いずれの帯電型にも使用できること、構造が簡単
で製造が容易であること、層を形成する際の皮膜欠陥を
抑制できること、層間の界面が少なく、光学的特性を向
上できること等の観点から、単層型が好ましい。次に、
本発明の電子写真感光体に用いられる種々の材料につい
て説明する。 《電荷発生剤》本発明に用いられる電荷発生剤として
は、例えば、種々のフタロシアニン顔料、多環キノン顔
料、アゾ顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、キナクリ
ドン顔料、アズレニウム塩顔料、スクアリリウム顔料、
シアニン顔料、ピリリウム染料、チオピリリウム染料、
キサンテン染料、キノンイムン色素、トリフェニルメタ
ン色素、スチリル色素、アンサンスロン系顔料、ピリリ
ウム塩、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、ト
ルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料等の有機光導電材
料、セレン、テルル、アモルファスシリコン、硫化カド
ミウム等の無機光導電材料があげられ、単独または2種
類以上を混合して使用できる。また、前記例示の電荷発
生剤のうち、特に半導体レーザー等の光源を使用したレ
ーザービームプリンタやファクシミリ等のデジタル光学
系の画像形成装置には、700nm以上の波長領域に感
度を有する感光体が必要となるため、例えば下記一般式
(CG1):
【化8】 で表される無金属フタロシアニンや一般式(CG2):
【化9】 で表されるオキソチタニルフタロシアニン等の金属含有
フタロシアニンといった、フタロシアニン系顔料が好適
に用いられる。なお、フタロシアニン系顔料の結晶形に
ついては特に限定されず、種々のものを使用できる。一
方、ハロゲンランプ等の白色の光源を使用した静電式複
写機等のアナログ光学系の画像形成装置には、可視領域
に感度を有する感光体が必要となるため、例えば下記一
般式(CG3):
【化10】 (式中、Rg1およびRg2は同一または異なって、炭素数
が18以下の置換または未置換のアルキル基、シクロア
ルキル基、アリール基、アルカノイル基またはアラルキ
ル基を示す。)で表されるペリレン系顔料やビスアゾ顔
料等が好適に用いられる。 《正孔輸送剤》本発明の電子写真感光体においては、正
孔輸送剤である本発明のスチルベン誘導体(1)と共
に、従来公知の他の正孔輸送剤を感光層に含有させても
よい。かかる、正孔輸送剤としては、高い正孔輸送能を
有する種々の化合物、例えば、2,5−ジ(4−メチル
アミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオ
キサジアゾール系の化合物、9−(4−ジエチルアミノ
スチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビ
ニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリ
シラン化合物、1−フェニル−3(p−ジメチルアミノ
フェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラ
ゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドー
ル系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール
系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合
物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリ
アゾール系化合物、スチルベン系化合物等の含窒素環式
化合物、縮合多環式化合物等があげられる。本発明にお
いて、正孔輸送剤は1種のみを用いるほか、2種以上を
混合して用いてもよい。また、ポリビニルカルバゾール
等の成膜性を有する正孔輸送剤を用いる場合には、結着
樹脂は必ずしも必要でない。 《電子輸送剤》本発明に用いられる電子輸送剤として
は、高い電子輸送能を有する種々の化合物、例えば、ピ
レン系化合物、カルバゾール系化合物、ヒドラゾン系化
合物、N,N−ジアルキルアニリン系化合物、ジフェニ
ルアミン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリ
フェニルアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合
物、ナフトキノン系化合物、ピラゾリン系化合物、ベン
ゾキノン系化合物、マロノニトリル、チオピラン系化合
物、テトラシアノエチレンシアノエチレン、2,4,8
−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニ
トロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアント
ラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無
水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等があげられ
る。本発明において、電子輸送剤は1種のみを用いるほ
か、2種以上を混合して用いてもよい。 《結着樹脂》前記各成分を分散させるための結着樹脂
は、従来、感光層に使用されている種々の樹脂を使用す
ることができる。例えば、ビスフェノールA骨格あるい
はビスフェノールZ骨格等を有する種々のポリカーボネ
ート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ス
チレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニト
ニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ア
クリル共重合体、スチレン−アクリル共重合体、ポリエ
チレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエ
チレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマ
ー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、
アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボ
ネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタ
レート、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ
エーテル樹脂、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂;
シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素
樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂;エ
ポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬
化型樹脂等の樹脂が使用可能である。本発明において、
バインダー樹脂は1種のみを用いるほか、2種以上を混
合して用いてもよい。感光層には、前記各成分のほか
に、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知
の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、
一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟
化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定
剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合すること
ができる。また、感光層の感度を向上させるために、例
えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレ
ン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。単
層型感光体において、電荷発生剤は、結着樹脂100重
量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜
30重量部の割合で配合すればよい。本発明のスチルベ
ン誘導体(1)(正孔輸送剤)は、結着樹脂100重量
部に対して20〜500重量部、好ましくは30〜20
0重量部の割合で配合すればよい。電子輸送剤を含有さ
せる場合、電子輸送剤の割合を結着樹脂の100重量部
に対して5〜100重量部、好ましくは10〜80重量
部とするのが適当である。また、単層型感光体における
感光層の厚さは5〜100μm、好ましくは10〜50
μmである。積層型感光体において、電荷発生層を構成
する電荷発生剤と結着樹脂とは、種々の割合で使用する
ことができるが、結着樹脂100重量部に対して電荷発
生剤を5〜1000重量部、好ましくは30〜500重
量部の割合で配合するのが適当である。電荷発生層に正
孔輸送剤を含有させる場合は、正孔輸送剤の割合を結着
樹脂100重量部に対して10〜500重量部、好まし
くは50〜200重量部とするのが適当である。電荷輸
送層を構成する正孔輸送剤と結着樹脂とは、電荷の輸送
を阻害しない範囲および結晶化しない範囲で種々の割合
で使用することができるが、光照射により電荷発生層で
生じた電荷が容易に輸送できるように、結着樹脂100
重量部に対して、本発明のスチルベン誘導体(1)(正
孔輸送剤)を10〜500重量部、好ましくは25〜2
00重量部の割合で配合するのが適当である。電荷輸送
層に電子輸送剤を含有させる場合は、電子輸送剤の割合
を結着樹脂100重量部に対して5〜200重量部、好
ましくは10〜100重量部とするのが適当である。単
層型感光体においては、導電性基体と感光層との間に、
また積層型感光体においては、導電性基体と電荷発生層
との間、導電性基体と電荷輸送層との間または電荷発生
層と電荷輸送層との間に、感光体の特性を阻害しない範
囲でバリア層が形成されていてもよい。また、感光体の
表面には、保護層が形成されていてもよい。前記感光層
が形成される導電性基体としては、導電性を有する種々
の材料を使用することができ、例えば鉄、アルミニウ
ム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、ク
ロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、イ
ンジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、前記金
属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨ
ウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆
されたガラス等があげられる。導電性基体の形状は、使
用する画像形成装置の構造に合わせて、シート上、ドラ
ム上等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有
するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよ
い。また、導電性基体は、使用に際して十分な機械的強
度を有するものが好ましい。感光層を塗布の方法により
形成する場合には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送
剤、結着樹脂を適当な溶剤とともに、公知の方法、例え
ばロール見る、ボールミル、アトライタ、ペイントシェ
ーカー、超音波分散機等を用いて分散混合して分散液を
調整し、これを公知の手段により塗布して乾燥させれば
よい。前記分散液を作るための溶剤としては、種々の有
機溶剤が使用可能であり例えばメタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;
n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系
炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系
炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホ
ルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化
水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジ
エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の
ケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジ
メチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独
でまたは2種以上を混合して用いられる。さらに、電荷
輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性をよ
くするために界面活性剤、レベリング剤等を使用しても
よい。
【実施例】以下、本発明を合成例、実施例および比較例
に基づいて説明する。 《ホルミル化トリフェニルアミン誘導体の合成》 [参考例A1]2−エチル−6−メチルトリフェニルア
ミン0.023mol(6.3g)にN,N−ジメチル
ホルムアミド(DMF)50mlを加え、撹拌した。そ
の後、氷浴で冷却しながらオキシ塩化リン0.033m
ol(5.1g)を徐々に滴下し、90〜100℃で2
時間、撹拌した。反応終了後、反応液を氷水に注ぎ、酢
酸エチルで抽出した。抽出物を水洗した後、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた生成物を
カラムクロマトグラフィー(展開液:クロロホルム、ヘ
キサン混合溶媒)で精製を行い、2−エチル−6−メチ
ル−4’−ホルミルトリフェニルアミン4g(収率61
%)を得た。 [参考例A2]2−エチル−6−メチルトリフェニルア
ミンに代えて、トリフェニルアミン0.023mol
(5.6g)を用いる他は、参考例A1と同様にして、
ホルミルトリフェニルアミン3.2g(収率93%)を
得た。 《ベンジルリン酸エステル誘導体の合成》 [参考例B1]表2の化合物番号14−14に相当する
ベンジルハライド誘導体0.01mol(1.5g)に
亜リン酸トリエチル0.012mol(2.0g)を加
え、150〜160℃で5時間撹拌した。反応終了後、
過剰の亜リン酸トリエチルを減圧留去し、表2の化合物
番号5−14に相当するベンジルリン酸エステル誘導体
を2.3g(収率92%)を得た。
【表2】 なお、表2は一般式(14):
【化11】 で表されるベンジルハライド誘導体および一般式
(5):
【化12】 で表されるベンジルリン酸エステル誘導体の具体例とし
て、基R5に相当する置換基を示したものである。ま
た、元素(分子)記号の前に付いている数字は置換基の
置換位置を示す。 [参考例B2]ベンジルハライド誘導体(14−14)
に代えて、表2の化合物番号14−3に相当するベンジ
ルハライド誘導体0.0099mol(2.4g)を用
いる他は、参考例B1と同様にして、表2の化合物番号
5−3に相当するベンジルリン酸エステル誘導体3.2
g(収率93%)を得た。 [参考例B3]ベンジルハライド誘導体(14−14)
に代えて、表2の化合物番号14−15に相当するベン
ジルハライド誘導体0.0091mol(2.4g)を
用いる他は、参考例B1と同様にして、表2の化合物番
号5−15に相当するベンジルリン酸エステル誘導体
3.1g(収率95%)を得た。 [参考例B4]ベンジルハライド誘導体(14−14)
に代えて、表2の化合物番号14−16に相当するベン
ジルハライド誘導体0.01mol(2.7g)を用い
る他は、参考例B1と同様にして、表2の化合物番号5
−16に相当するベンジルリン酸エステル誘導体3.4
g(収率92%)を得た。 [参考例B5]ベンジルハライド誘導体(14−14)
に代えて、表2の化合物番号14−13に相当するベン
ジルハライド誘導体0.01mol(1.8g)を用い
る他は、参考例B1と同様にして、表2の化合物番号5
−13に相当するベンジルリン酸エステル誘導体2.6
g(収率93%)を得た。 [比較参考例1]ベンジルハライド誘導体(14−1
4)に代えて、表2の化合物番号C−114に相当する
ベンジルハライド誘導体0.016mol(2.0g)
を使用し、亜リン酸トリエチル0.019mol(3.
2g)を用いる他は、参考例B1と同様にして、表2の
化合物番号C−15に相当するベンジルリン酸エステル
誘導体3.4g(収率96%)を得た。 [比較参考例2]ベンジルハライド誘導体(14−1
4)に代えて、表2の化合物番号C−214に相当する
ベンジルハライド誘導体0.016mol(2.5g)
を使用し、亜リン酸トリエチル0.019mol(3.
2g)を用いる他は、参考例B1と同様にして、表2の
化合物番号C−25に相当するベンジルリン酸エステル
誘導体3.8g(収率93%)を得た。 《スチルベン誘導体の合成》 [合成例1]参考例1で得たベンジルリン酸エステル誘
導体(5−14)0.0092mol(2.3g)をテ
トラヒドロフラン150mlに加え、氷浴で冷やしなが
らナトリウムメトキシド0.0092mol(0.50
g)を徐々に滴下し、0℃に保ちながら2時間撹拌し
た。そのままの温度で、2−エチル−6−メチル−4’
−ホルミルトリフェニルアミン0.0092mol
(2.9g)を滴下し、0℃乃至室温で3時間撹拌し
た。反応終了後、反応液に水を加えて反応を停止し、こ
れを酢酸エチルで抽出、水洗し、溶媒を留去した。得ら
れた生成物をカラムクロマトグラフィー(展開液:クロ
ロホルム、ヘキサン混合溶媒)で精製を行い、表1の化
合物番号(1−14)に相当するスチルベン誘導体3.
1g(収率81%、融点:145℃)を得た。 [合成例2]ベンジルリン酸エステル誘導体(5−1
4)に代えて、ベンジルリン酸エステル誘導体(5−
3)0.0092mol(3.2g)を用いる他は、合
成例1と同様にして、表1の化合物番号(1−3)に相
当するスチルベン誘導体3.9g(収率84%、融点:
89℃)を得た。 [合成例3]ベンジルリン酸エステル誘導体(5−1
4)に代えて、ベンジルリン酸エステル誘導体(5−1
5)0.0086mol(3.1g)を使用し、ナトリ
ウムメトキシド0.0086mol(0.46g)およ
び2−エチル−6−メチル−4’−ホルミルトリフェニ
ルアミン0.0086mol(2.7g)を用いる他
は、合成例1と同様にして、表1の化合物番号(1−1
5)に相当するスチルベン誘導体3.6g(収率79
%、融点:87℃)を得た。 [合成例4]ベンジルリン酸エステル誘導体(5−1
4)に代えて、ベンジルリン酸エステル誘導体(5−1
6)0.0095mol(3.4g)を使用し、ナトリ
ウムメトキシド0.0095mol(0.46g)およ
び2−エチル−6−メチル−4’−ホルミルトリフェニ
ルアミン0.0095mol(3.0g)を用いる他
は、合成例1と同様にして、表1の化合物番号(1−1
6)に相当するスチルベン誘導体4.0g(収率80
%、融点:160℃)を得た。 [合成例5]ベンジルリン酸エステル誘導体(5−1
4)に代えて、ベンジルリン酸エステル誘導体(5−1
3)0.0095mol(2.6g)を使用し、ナトリ
ウムメトキシド0.0095mol(0.46g)およ
びホルミルトリフェニルアミン0.0095mol
(3.0g)を用いる他は、合成例1と同様にして、表
1の化合物番号(1−13)に相当するスチルベン誘導
体2.9g(収率77%、融点:143℃)を得た。 [比較合成例1]ベンジルリン酸エステル誘導体(5−
14)に代えて、ベンジルリン酸エステル誘導体(C−
15)0.015mol(3.4g)を使用し、ナトリ
ウムメトキシド0.015mol(0.81g)および
2−エチル−6−メチル−4’−ホルミルトリフェニル
アミン0.015mol(4.7g)を用いるを用いる
他は、合成例1と同様にして、表1の化合物番号(C−
1)に相当するスチルベン誘導体4.4g(収率75
%、融点:104℃)を得た。 [比較合成例2]ベンジルリン酸エステル誘導体(5−
14)に代えて、ベンジルリン酸エステル誘導体(C−
25)0.0092mol(2.3g)を用いる他は、
合成例1と同様にして、表1の化合物番号(C−2)に
相当するスチルベン誘導体3.1g(収率80%)を得
た。 《電子写真感光体の製造》 [実施例1]電荷発生剤としてX型無金属フタロシアニ
ン(CG1)5重量部および結着樹脂としてポリカーボ
ネート100重量部、溶媒としてテトラヒドロフラン8
00重量部、電子輸送剤として3,5−ジメチル−
3’,5’−ジt−ブチル−4,4’−ジフェノキノン
30重量部および正孔輸送剤である表1の化合物番号
(1−14)に相当するスチルベン誘導体50重量部を
ボールミルにて50時間混合、分散させて単層感光体用
の塗布液を作製した。次いで、この塗布液をアルミニウ
ム素管上にディップコート法にて塗布し、100℃で3
0分間熱風乾燥させて、膜厚が25μmの感光層を形成
させ、単層型感光体を製造した。 [実施例2]正孔輸送剤として、表1の化合物番号(1
−3)に相当するスチルベン誘導体を用いた他は、実施
例1と同様にして単層型感光体を製造した。 [実施例3]正孔輸送剤として、表1の化合物番号(1
−15)に相当するスチルベン誘導体を用いた他は、実
施例1と同様にして単層型感光体を製造した。 [実施例4]正孔輸送剤として、表1の化合物番号(1
−16)に相当するスチルベン誘導体を用いた他は、実
施例1と同様にして単層型感光体を製造した。 [実施例5]正孔輸送剤として、表1の化合物番号(1
−13)に相当するスチルベン誘導体を用いた他は、実
施例1と同様にして単層型感光体を製造した。 [比較例1]正孔輸送剤として、表1の化合物番号(C
−1)に相当するスチルベン誘導体を用いた他は、実施
例1と同様にして単層型感光体を製造した。 《評価試験》 [溶出性試験]合成例および比較合成例で作製したスチ
ルベン誘導体について、以下の方法でポリカーボネート
へ分散したときの、アイソパーへの溶出試験を行った。
まず、試験を行うスチルベン誘導体0.1gとポリカー
ボネート0.2gをテトラヒドロフラン0.8g中に溶
解させ、この溶液をアルマイトシートに塗工し、130
℃で30分間、熱処理した。次いで、このシートを12
×12mmに切り取り試験片を作成した。この試験片を
5mlのアイソパーへ13日間、浸積した後の溶液の濃
度(溶出濃度(mg/l))を測定した。濃度の測定は
アイソパー溶液のUV域の最大吸収波長における吸光度
を、あらかじめ作成しておいた検量線に当てはめて求め
た。溶出試験の結果を表3に示す。表2より、合成例1
〜4は比較合成例1〜2よりも、アイソパーへの溶出濃
度が小さく、耐アイソパー性が優れていることがわか
る。
【表3】 [劣化試験]実施例および比較例で作製した感光体につ
いて、アイソパーに浸積した後の光感度および外観の劣
化を評価した。これは、アイソパー浸積後の感光体の状
態を大量複写後の状態と見なし、液体現像方式におけ
る、感光体の耐久性を評価するための試験である。以下
に評価方法を記載する。まず、感光体の残留電位V
r0(V)を口述する方法で測定した。次いで、感光体の
外観(ひび割れ、結晶化など)に欠陥がないことを確認
した後、感光体全体をアイソパーに浸積した。浸積1週
間(148h)後、感光体を取り出して自然乾燥させて
から、外観を確認し、残留電位Vr1w(V)を測定し
た。 (残留電位の測定)ドラム感度試験機(ジェンテック社
製)を用いて、感光体に印加電圧を加え、その表面を+
700±20Vに帯電させた後、初期表面電位V
0(V)を測定した。次いで、露光光源であるハロゲン
ランプの白色光からバンドパスフィルターを用いて取り
出した780nm(半値幅20nm)の単色光(光強度
I=16μJ/cm2)を感光体表面に照射(照射時間
80msec)し、露光開始後330sec後の感光体
の表面電位を残留電位Vr0(V)(アイソパー浸積後は
r1 w(V))として測定した。残留電位Vr0、Vr1w
小さいほど、光感度が大きい感光体である。上記各実施
例および比較例で使用した感光体の外観および残留電位
r0、Vr1 wの測定結果を表4に示す。実施例はアイソ
パー浸積前の残留電位Vr0と浸積後の残留電位Vr1wが
ほぼ同じであり、光感度が劣化していないことがわか
る。また、感光体の外観はアイソパー浸積後も欠陥がな
く良好な状態を保っていた。一方比較例は、アイソパー
浸積後の残留電位Vr1wは浸積前に比べて著しく高くな
っており、光感度が劣化していることがわかる。また、
アイソパー浸積後の感光体の表面にはひび割れが確認さ
れた。
【表4】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のスチルベ
ン誘導体は、耐アイソパー性に優れているため、アイソ
パーに溶出することがない。また、本発明の電子写真感
光体は、上記本発明のスチルベン誘導体を正孔輸送剤と
して用いることから、アイソパーに浸積しても感光層の
ひび割れ、結晶化が発生せず、光感度が劣化することが
ないため、特に液体現像方式において優れた性能を示
す。
【図面の簡単な説明】
【図1】表1の化合物(1−14)に相当するスチルベ
ン誘導体の赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
【図2】表1の化合物(1−14)に相当するスチルベ
ン誘導体のNMRスペクトルを示すグラフである。
【図3】表1の化合物(1−15)に相当するスチルベ
ン誘導体の赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
【図4】表1の化合物(1−15)に相当するスチルベ
ン誘導体のNMRスペクトルを示すグラフである。
【図5】表1の化合物(1−16)に相当するスチルベ
ン誘導体の赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
【図6】表1の化合物(1−16)に相当するスチルベ
ン誘導体のNMRスペクトルを示すグラフである。
【図7】表1の化合物(1−13)に相当するスチルベ
ン誘導体の赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
【図8】表1の化合物(1−13)に相当するスチルベ
ン誘導体のNMRスペクトルを示すグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年12月20日(2000.12.
20)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】明細書
【発明の名称】スチルベン誘導体、その製造方法および
それを用いた電子写真感光体
【特許請求の範囲】
【化1】 (式(1)中、R1〜R4は同一または異なってアルキル
基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、水素原
子またはニトロ基を示し、R5はシアノ基、カルボニル
基、ニトロ基またはビニル基を示す。nは1または2を
示す。)で表されるスチルベン誘導体。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体現像剤に対し
て良好な耐溶剤性を有し、耐久性に優れかつ高感度のス
チルベン誘導体、その製造方法および該スチルベン誘導
体を含有し、静電式複写機、ファクシミリ、レーザービ
ームプリンタ等の画像形成装置に用いられる電子写真感
光体に関する。
【0002】
【従来の技術】上記画像形成装置においては、当該装置
に用いられる光源の波長領域に感度を有する種々の有機
感光体が使用されている。この有機感光体は、従来の無
機感光体に比べて製造が容易であり、電荷輸送剤、電荷
発生剤、結着樹脂等の感光材料の選択肢が多様で、機能
設計の自由度が高いという利点を有することから、近
年、広く用いられている。
【0003】有機感光体には、電荷輸送剤を電荷発生剤
とともに同一の感光層中に分散させた単層型感光体と、
電荷発生剤を含有する電荷発生層と電荷輸送剤を含有す
る電荷輸送層とを積層した積層型感光体がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】画像形成装置で用いら
れる液体現像剤には一般的に、脂肪族系あるいはシリコ
ン系等の溶剤からなるアイソパーを使用する。
【0005】液体現像剤と併せて使用する有機感光体用
の電荷輸送剤として、特開昭58−190953号公報
および特開平1−155356号公報にはスチルベン誘
導体が開示されている。
【0006】しかしながら、前記公報に開示されている
スチルベン誘導体は、一般に液体現像剤に対し、耐アイ
ソパー性が乏しくいため、感光層が溶出してしまうのに
加えて、結着樹脂との相溶性が乏しいため、感光層中に
均一に分散されず、電荷移動が生じにくいばかりか、感
光層のひび割れ、結晶化が発生してしまう。そのため、
前記スチルベン誘導体自体は高い電荷移動度を有してい
るが、これを電荷輸送剤として感光体に使用した際に
は、その特性が十分に発揮できず、感光体の残留電位が
高くなり、光に対する感度が不十分になる。
【0007】そこで、本発明の目的は、上記の技術的な
問題を解決し、電子写真感光体の電荷輸送剤として好適
な新規スチルベン誘導体を提供することである。
【0008】本発明の他の目的は、従来に比べて、光感
度および繰り返し特性が向上した電子写真感光体を提供
することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために研究を重ねていくなかで、一般式
(1):
【0010】
【化2】
【0011】(式(1)中、R1〜R4は同一または異な
ってアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキ
ル基、水素原子またはニトロ基を示し、R5はシアノ
基、カルボニル基、ニトロ基またはビニル基を示す。n
は1または2を示す。)で表されるスチルベン誘導体
が、従来のスチルベン誘導体よりも耐アイソパー性に優
れ、かつ電荷移動度が大きいという事実を見出し、本発
明を完成するに至った。
【0012】すなわち、一般式(1)で表される本発明
のスチルベン誘導体は、耐アイソパー性が優れているの
で、感光層が溶出してしまうことがない。また、結着樹
脂との相溶性が良好であるため感光層のひび割れや結晶
化が発生することがなく、感光層中に均一に分散され、
電荷移動が生じ易い。従って、スチルベン誘導体(1)
は、低電界であっても優れた電荷(正孔)輸送性を示
し、電子写真感光体等における正孔輸送剤として好適で
ある。
【0013】従って、スチルベン誘導体(1)を電子写
真感光体における電荷(正孔)輸送剤として使用するこ
とにより、高感度で繰り返し安定性が向上した電子写真
感光体を得ることができる。
【0014】また、本発明の電子写真感光体は、導電性
基体上に感光層を設けた電子写真感光体であって、感光
層が、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を含有
することを特徴とする。
【0015】本発明の電子写真感光体は、一般式(1)
で表されるスチルベン誘導体を感光層中に含有すること
から、電化発生剤で発生した電荷(正孔)を輸送する速
度が速く、すなわち電荷移動度が大きく、帯電および露
光時の光に対する感度が優れている。その結果、本発明
の電子写真感光体によれば、従来のスチルベン誘導体を
正孔輸送剤として使用したときよりも、高い感度が得ら
れ、繰り返し特性が向上する。
【0016】また、前記感光層は一般式(1)で表され
るスチルベン誘導体と共に、電荷発生剤と電子輸送剤と
を含有した単層型の感光層であることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】まず、本発明のスチルベン誘導体
(1)について詳細に説明する。
【0018】前記一般式(1)中、R1〜R4に相当する
アルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロ
ピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブ
チル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペン
チル、ヘキシル等の炭素数1〜6のアルキル基があげら
れる。中でも、メチル、エチル、n−プロピル、イソプ
ロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブ
チル等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0019】また、R1〜R4に相当するアルキル基は置
換基を有していてもよく、具体的にはヒドロキシアルキ
ル基、アルコキシアルキル基、モノアルキルアミノアル
キル基、ジアルキルアミノアルキル基、ハロゲン置換ア
ルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、カルボキ
シアルキル基、アルカノイルオキシアルキル基、アミノ
アルキル基などがあげられる。
【0020】とりわけ本発明のスチルベン誘導体(1)
においては、電荷移動度を高めるという観点から、置換
基としてアルコキシ基、モノアルキルアミノ基、アミノ
基、ジアルキルアミノ基などの電子供与性基を有するア
ルキル基が好ましい。
【0021】R1〜R4に相当するアルコキシ基として
は、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロ
ポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘ
キシルオキシ等の炭素数が1〜6のアルコキシ基があげ
られる。また、R1〜R4に相当するアルコキシ基は置換
基を有してもよく、その置換基としては、前述のアルキ
ル基の場合と同様の置換基があげられる。ハロゲン原
子、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルカノ
イルオキシ基などの、前述のアルキル基の場合と同様の
置換基があげられる。
【0022】また、R1〜R4に相当するアリール基とし
ては、例えばフェニル、ナフチル、アントリル、フェナ
ントリル等の基があげられる。
【0023】また、R1〜R4に相当するアラルキル基と
しては、例えばベンジル、1−フェニルエチル、3−フ
ェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペ
ンチル、6−フェニルヘキシル等のアルキル部分の炭素
数が1〜6であるアラルキル基があげられる。
【0024】前記アリール基およびアラルキル基は置換
基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えば
ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基、エステル化さ
れていてもよいカルボキシル基、シアノ基などの他、前
述と同様の炭素数1〜6の置換基を有してもよいアルキ
ル基や炭素数1〜6の置換基を有してもよいアルコキシ
基などがあげられる。なお、これらの置換基の置換位置
については特に限定されない。
【0025】R5に相当するカルボニル基およびビニル
基は置換基を有していても良く、かかる置換基として
は、例えばハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシ基、エ
ステル化されていてもよいカルボキシル基、シアノ基な
どの他、前述と同様の炭素数1〜6の置換基を有しても
よいアルキル基や炭素数1〜6の置換基を有してもよい
アルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基などが
あげられる。
【0026】前記一般式(1)で表されるスチルベン誘
導体の具体例として、基R1〜R5に相当する置換基を下
記の表1に示す。
【0027】なお、表1中、Hは水素原子、Meはメチル
基、Etはエチル基、i−Prはi−プロピル基、n−Bu
はn−ブチル基、MeOはメトキシ基、Phはフェニル基を
示す。また、元素(分子)記号の前に付いている数字は
置換基の置換位置を示す。
【0028】
【表1】
【0029】また、本発明のスチルベン誘導体(1)に
は、ビニレン基に対する中心ベンゼン環と周辺置換基で
あるトリフェニルアミンとの配置の違いによって、下記
一般式(2)で表されるシス(cis−)異性体と、下記
一般式(3)で表されるトランス(trans−)異性体と
が混在する。
【0030】
【化3】
【0031】
【化4】
【0032】(式(2)および(3)中、R1〜R5は前
記一般式(1)と同じ基である。)本発明の電子写真感
光体には、trans−異性体(3)の割合が多いものを使
用するのが好ましい。
【0033】一般式(1)で表されるスチルベン誘導体
は、前述のように電荷移動度が大きく、すなわち高い正
孔輸送能を有することから、電子写真感光体における正
孔輸送剤として好適に使用されるほか、太陽電池、エレ
クトロルミネッセンス素子等の種々の分野での利用が可
能である。
【0034】次に、本発明のスチルベン誘導体(1)の
合成方法について、スチルベン誘導体(1)中のトリフ
ェニルアミノ基の3個のベンゼン環がそれぞれ異なった
置換基あるいは置換位置を示す場合を例にとって説明す
る。
【0035】反応式(I):
【0036】
【化5】
【0037】(式中、R1〜R5は前記と同じである。)
この反応は、ホルミル化トリフェニルアミン誘導体
(4)とベンジルリン酸エステル誘導体(5)とを適当
な無水溶媒中、塩基の存在下で反応させることにより、
本発明のスチルベン誘導体(1)を得るものである。
【0038】反応に使用する無水溶媒としては、反応に
影響を及ぼさないものであればよく、例えばジエチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等の
ハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭
化水素があげられる。
【0039】この反応で使用する塩基としては、水素化
ナトリウム、ナトリウムメトキシド等のナトリウムアル
コキシド等の金属水素化物があげられる。
【0040】ベンジルリン酸エステル誘導体(5)に対
する塩基の使用量は、少なくとも1〜2倍モル量、好ま
しくは1〜1.3倍モル量である。
【0041】ホルミル化トリフェニルアミン誘導体
(4)の使用量は、ベンジルリン酸エステル(5)に対
して0.90〜1.25倍モル量、好ましくは0.98
〜1.05倍モル量である。反応は、通常−10〜25
℃で行われ、3〜12時間程度で終了する。
【0042】反応式(II):
【0043】
【化6】
【0044】(式中、R1〜R4は前記と同じである。)
この反応は、アニリン誘導体(6)に2種類のヨードベ
ンゼン誘導体(7)、(8)を順次反応させることによ
り、反応式(I)の出発原料であるホルミル化トリフェ
ニルアミン誘導体(4)を得るものである。すなわち、
反応式(II)において、まず、アニリン誘導体(6)を
アセチル化して得られたアセチルアニリン誘導体(1
0)と一方のヨードベンゼン誘導体(7)とをニトロベ
ンゼン中に加え、無水炭酸カリウム、銅などの触媒と共
に反応させることにより、アセチル化ジフェニルアミン
誘導体(11)を得る。次いで、アセチル化ジフェニル
アミン誘導体(11)を加水分解することによりジフェ
ニルアミン誘導体(12)を得る。最後に、ジフェニル
アミン誘導体(12)と他方のヨードベンゼン誘導体
(8)とをニトロベンゼン中に加え、無水炭酸カリウ
ム、銅などの触媒と共に反応させることにより、シアノ
トリフェニルアミン誘導体(13)を得る。
【0045】最後に、シアノトリフェニルアミン誘導体
(13)とジイソブチルアルミニウムハイドライド(D
IBAL)をそれぞれ適当な無水溶媒中に加え、それら
の溶液を混合して反応させることにより、ホルミル化ト
リフェニルアミン誘導体(4)を得るも。この反応に使
用する無水溶媒としては、反応式(I)で使用されるの
と同じものがあげられる。シアノトリフェニルアミン誘
導体(13)に対するジイソブチルアルミニウムハイド
ライド(DIBAL)の使用量は、少なくとも1〜2倍
モル量、好ましくは1〜1.3倍モル量である。反応
は、通常−10〜25℃で行われ、3〜12時間程度で
終了する。
【0046】反応式(III):
【0047】
【化7】
【0048】(Xはハロゲン元素を示す。)この反応
は、ベンジルハライド誘導体(14)と亜リン酸トリエ
ステル(15)とを無溶媒あるいは適当な溶媒中にて反
応させることにより、反応式(III)の出発原料である
ベンジルリン酸エステル誘導体(5)を得るものであ
る。その際、第三級アミンを添加すると、反応系からハ
ロゲン化アルキルが除去され、反応が促進する。
【0049】この反応に使用する溶媒としては、反応に
影響を及ぼさないものであればよく、例えばジエチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等の
ハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭
化水素、ジメチルホルムアミドがあげられる。
【0050】上記第三級アミンとしては、例えばトリエ
チルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、4−(ジメ
チルアミノ)ピリジン等があげられる。
【0051】ベンジルハライド誘導体(14)に対する
亜リン酸トリエステル(15)の使用量は、少なくとも
1倍モル量、好ましくは1〜1.2倍モル量である。反
応は、通常、80〜150℃で行われ、1〜4時間程度
で終了する。
【0052】次に、本発明の電子写真感光体について詳
細に説明する。
【0053】本発明の電子写真感光体は、一般式(1)
で表されるスチルベン誘導体を、含有した感光層を導電
性基体上に設けたものである。感光体には、前述のよう
に単層型と積層型とがあるが、本発明はこのいずれも適
用可能である。
【0054】単層型感光体は、導電性基体上に単一の感
光層を設けたものである。この感光層は一般式(1)で
表されるスチルベン誘導体(正孔輸送剤)、電化発生剤
および結着樹脂、さらに必要に応じて電子輸送剤を適当
な溶媒に溶解または分散させ、得られた塗布液を導電性
基体上に塗布し、乾燥させることで形成される。かかる
単層型感光体は、単独の構成で正負いずれの帯電型にも
適用可能であるとともに、層構成が簡単で生産性に優れ
ている。
【0055】本発明の単層型電子写真感光体は、従来の
単層型電子写真感光体に比べて、感光体の残留電位が大
きく低下しており、感度および繰り返し安定性が向上し
ている。
【0056】一方、積層型感光体は、まず導電性基体上
に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤を含
有する電荷発生層を形成し、次いでこの電荷発生層状
に、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体(正孔輸
送剤)と結着樹脂とを含む塗布液を塗布し、乾燥させて
電荷輸送層を形成することによって、作製される。ま
た、前記とは逆に、導電性基体上に電荷輸送層を形成
し、その上に電荷発生層を形成してもよい。但し、電荷
発生層は電荷輸送層に比べて膜圧がごく薄いため、その
保護のためには、導電性基体上に電荷発生層を形成し、
その上に電荷輸送層を形成するのが好ましい。
【0057】積層型感光体は、前記電荷発生層および電
荷輸送層の形成順序と、電荷輸送層に使用する電荷輸送
剤の種類によって、正負いずれの帯電型となるかが選択
される。例えば、前記のように、導電性基体上に電荷発
生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成した場合にお
いて、電荷輸送層における電荷輸送剤として、本発明の
スチルベン誘導体(1)のような正孔輸送剤を使用した
場合には、感光体は負帯電型となる。
【0058】本発明の積層型感光体は、従来のスチルベ
ン誘導体を正孔輸送剤として使用した積層型電子写真感
光体に比べて、感光体の残留電位が大きく低下してお
り、感度が向上している。
【0059】前述のように、本発明の電子写真感光体
は、単層型および積層型のいずれにも適用できるが、特
に正負いずれの帯電型にも使用できること、構造が簡単
で製造が容易であること、層を形成する際の皮膜欠陥を
抑制できること、層間の界面が少なく、光学的特性を向
上できること等の観点から、単層型が好ましい。
【0060】次に、本発明の電子写真感光体に用いられ
る種々の材料について説明する。《電荷発生剤》本発明
に用いられる電荷発生剤としては、例えば、種々のフタ
ロシアニン顔料、多環キノン顔料、アゾ顔料、ペリレン
顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、アズレニウム
塩顔料、スクアリリウム顔料、シアニン顔料、ピリリウ
ム染料、チオピリリウム染料、キサンテン染料、キノン
イムン色素、トリフェニルメタン色素、スチリル色素、
アンサンスロン系顔料、ピリリウム塩、トリフェニルメ
タン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾ
リン系顔料等の有機光導電材料、セレン、テルル、アモ
ルファスシリコン、硫化カドミウム等の無機光導電材料
があげられ、単独または2種類以上を混合して使用でき
る。
【0061】また、前記例示の電荷発生剤のうち、特に
半導体レーザー等の光源を使用したレーザービームプリ
ンタやファクシミリ等のデジタル光学系の画像形成装置
には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体
が必要となるため、例えば下記一般式(CG1):
【0062】
【化8】
【0063】で表される無金属フタロシアニンや一般式
(CG2):
【0064】
【化9】
【0065】で表されるオキソチタニルフタロシアニン
等の金属含有フタロシアニンといった、フタロシアニン
系顔料が好適に用いられる。なお、フタロシアニン系顔
料の結晶形については特に限定されず、種々のものを使
用できる。
【0066】一方、ハロゲンランプ等の白色の光源を使
用した静電式複写機等のアナログ光学系の画像形成装置
には、可視領域に感度を有する感光体が必要となるた
め、例えば下記一般式(CG3):
【0067】
【化10】
【0068】(式中、Rg1およびRg2は同一または異な
って、炭素数が18以下の置換または未置換のアルキル
基、シクロアルキル基、アリール基、アルカノイル基ま
たはアラルキル基を示す。)で表されるペリレン系顔料
やビスアゾ顔料等が好適に用いられる。《正孔輸送剤》
本発明の電子写真感光体においては、正孔輸送剤である
本発明のスチルベン誘導体(1)と共に、従来公知の他
の正孔輸送剤を感光層に含有させてもよい。
【0069】かかる、正孔輸送剤としては、高い正孔輸
送能を有する種々の化合物、例えば、2,5−ジ(4−
メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール
等のオキサジアゾール系の化合物、9−(4−ジエチル
アミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、
ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有
機ポリシラン化合物、1−フェニル−3(p−ジメチル
アミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、
ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、イ
ンドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサ
ゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール
系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合
物、トリアゾール系化合物、スチルベン系化合物等の含
窒素環式化合物、縮合多環式化合物等があげられる。
【0070】本発明において、正孔輸送剤は1種のみを
用いるほか、2種以上を混合して用いてもよい。また、
ポリビニルカルバゾール等の成膜性を有する正孔輸送剤
を用いる場合には、結着樹脂は必ずしも必要でない。
《電子輸送剤》本発明に用いられる電子輸送剤として
は、高い電子輸送能を有する種々の化合物、例えば、ナ
フトキノン系化合物、ベンゾキノン系化合物、マロノニ
トリル、チオピラン系化合物、テトラシアノエチレンシ
アノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサント
ン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニト
ロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアント
ラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無
水マレイン酸等があげられる。
【0071】本発明において、電子輸送剤は1種のみを
用いるほか、2種以上を混合して用いてもよい。《結着
樹脂》前記各成分を分散させるための結着樹脂は、従
来、感光層に使用されている種々の樹脂を使用すること
ができる。例えば、ビスフェノールA骨格あるいはビス
フェノールZ骨格等を有する種々のポリカーボネート樹
脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン
−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトニトリ
ル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル
共重合体、スチレン−アクリル共重合体、ポリエチレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アル
キド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレー
ト、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエー
テル樹脂、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂;シリ
コーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂;エポ
キシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化
型樹脂等の樹脂が使用可能である。
【0072】本発明において、バインダー樹脂は1種の
みを用いるほか、2種以上を混合して用いてもよい。
【0073】感光層には、前記各成分のほかに、電子写
真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添
加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエ
ンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑
剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワック
ス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。
また、感光層の感度を向上させるために、例えばテルフ
ェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知
の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
【0074】単層型感光体において、電荷発生剤は、結
着樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ま
しくは0.5〜30重量部の割合で配合すればよい。本
発明のスチルベン誘導体(1)(正孔輸送剤)は、結着
樹脂100重量部に対して20〜500重量部、好まし
くは30〜200重量部の割合で配合すればよい。電子
輸送剤を含有させる場合、電子輸送剤の割合を結着樹脂
の100重量部に対して5〜100重量部、好ましくは
10〜80重量部とするのが適当である。また、単層型
感光体における感光層の厚さは5〜100μm、好まし
くは10〜50μmである。
【0075】積層型感光体において、電荷発生層を構成
する電荷発生剤と結着樹脂とは、種々の割合で使用する
ことができるが、結着樹脂100重量部に対して電荷発
生剤を5〜1000重量部、好ましくは30〜500重
量部の割合で配合するのが適当である。電荷発生層に正
孔輸送剤を含有させる場合は、正孔輸送剤の割合を結着
樹脂100重量部に対して10〜500重量部、好まし
くは50〜200重量部とするのが適当である。
【0076】電荷輸送層を構成する正孔輸送剤と結着樹
脂とは、電荷の輸送を阻害しない範囲および結晶化しな
い範囲で種々の割合で使用することができるが、光照射
により電荷発生層で生じた電荷が容易に輸送できるよう
に、結着樹脂100重量部に対して、本発明のスチルベ
ン誘導体(1)(正孔輸送剤)を10〜500重量部、
好ましくは25〜200重量部の割合で配合するのが適
当である。電荷輸送層に電子輸送剤を含有させる場合
は、電子輸送剤の割合を結着樹脂100重量部に対して
5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部とす
るのが適当である。
【0077】単層型感光体においては、導電性基体と感
光層との間に、また積層型感光体においては、導電性基
体と電荷発生層との間、導電性基体と電荷輸送層との間
または電荷発生層と電荷輸送層との間に、感光体の特性
を阻害しない範囲でバリア層が形成されていてもよい。
また、感光体の表面には、保護層が形成されていてもよ
い。
【0078】前記感光層が形成される導電性基体として
は、導電性を有する種々の材料を使用することができ、
例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジ
ウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッ
ケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等
の金属単体や、前記金属が蒸着またはラミネートされた
プラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸
化インジウム等で被覆されたガラス等があげられる。
【0079】導電性基体の形状は、使用する画像形成装
置の構造に合わせて、シート上、ドラム上等のいずれで
あってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは
基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電性
基体は、使用に際して十分な機械的強度を有するものが
好ましい。
【0080】感光層を塗布の方法により形成する場合に
は、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂を適
当な溶剤とともに、公知の方法、例えばロール見る、ボ
ールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分
散機等を用いて分散混合して分散液を調整し、これを公
知の手段により塗布して乾燥させればよい。
【0081】前記分散液を作るための溶剤としては、種
々の有機溶剤が使用可能であり例えばメタノール、エタ
ノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール
類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪
族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香
族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロ
ロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化
炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテ
ル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル
類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶
剤は単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0082】さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散
性、感光層表面の平滑性をよくするために界面活性剤、
レベリング剤等を使用してもよい。
【0083】
【実施例】以下、本発明を合成例、実施例および比較例
に基づいて説明する。《ホルミル化トリフェニルアミン
誘導体の合成》[参考例A1]2−エチル−6−メチル
トリフェニルアミン0.023mol(6.3g)に
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)50mlを加
え、攪拌した。その後、氷浴で冷却しながらオキシ塩化
リン0.033mol(5.1g)を徐々に滴下し、9
0〜100℃で2時間、攪拌した。反応終了後、反応液
を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出物を水洗し
た後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。
得られた生成物をカラムクロマトグラフィー(展開液:
クロロホルム、ヘキサン混合溶媒)で精製を行い、2−
エチル−6−メチル−4’−ホルミルトリフェニルアミ
ン4g(収率61%)を得た。[参考例A2]2−エチ
ル−6−メチルトリフェニルアミンに代えて、トリフェ
ニルアミン0.023mol(5.6g)を用いる他
は、参考例A1と同様にして、ホルミルトリフェニルア
ミン3.2g(収率93%)を得た。《ベンジルリン酸
エステル誘導体の合成》[参考例B1]表2の化合物番
号4−14に相当するベンジルハライド誘導体0.01
mol(1.5g)に亜リン酸トリエチル0.012m
ol(2.0g)を加え、150〜160℃で5時間攪
拌した。反応終了後、過剰の亜リン酸トリエチルを減圧
留去し、表2の化合物番号5−14に相当するベンジル
リン酸エステル誘導体を2.3g(収率92%)を得
た。
【0084】
【表2】
【0085】なお、表2は一般式(4):
【0086】
【化11】
【0087】で表されるベンジルハライド誘導体および
一般式(5):
【0088】
【化12】
【0089】で表されるベンジルリン酸エステル誘導体
の具体例として、基R5に相当する置換基を示したもの
である。また、元素(分子)記号の前に付いている数字
は置換基の置換位置を示す。[参考例B2]ベンジルハ
ライド誘導体(4−14)に代えて、表2の化合物番号
4−3に相当するベンジルハライド誘導体0.0099
mol(2.4g)を用いる他は、参考例B1と同様に
して、表2の化合物番号5−3に相当するベンジルリン
酸エステル誘導体3.2g(収率93%)を得た。[参
考例B3]ベンジルハライド誘導体(4−14)に代え
て、表2の化合物番号4−15に相当するベンジルハラ
イド誘導体0.0091mol(2.4g)を用いる他
は、参考例B1と同様にして、表2の化合物番号5−1
5に相当するベンジルリン酸エステル誘導体3.1g
(収率95%)を得た。[参考例B4]ベンジルハライ
ド誘導体(4−14)に代えて、表2の化合物番号4−
16に相当するベンジルハライド誘導体0.01mol
(2.7g)を用いる他は、参考例B1と同様にして、
表2の化合物番号5−16に相当するベンジルリン酸エ
ステル誘導体3.4g(収率92%)を得た。[参考例
B5]ベンジルハライド誘導体(4−14)に代えて、
表2の化合物番号4−13に相当するベンジルハライド
誘導体0.01mol(1.8g)を用いる他は、参考
例B1と同様にして、表2の化合物番号5−13に相当
するベンジルリン酸エステル誘導体2.6g(収率93
%)を得た。[比較参考例1]ベンジルハライド誘導体
(4−14)に代えて、表2の化合物番号C−14に相
当するベンジルハライド誘導体0.016mol(2.
0g)を使用し、亜リン酸トリエチル0.019mol
(3.2g)を用いる他は、参考例B1と同様にして、
表2の化合物番号C−15に相当するベンジルリン酸エ
ステル誘導体3.4g(収率96%)を得た。[比較参
考例2]ベンジルハライド誘導体(4−14)に代え
て、表2の化合物番号C−24に相当するベンジルハラ
イド誘導体0.016mol(2.5g)を使用し、亜
リン酸トリエチル0.019mol(3.2g)を用い
る他は、参考例B1と同様にして、表2の化合物番号C
−25に相当するベンジルリン酸エステル誘導体3.8
g(収率93%)を得た。《スチルベン誘導体の合成》
[合成例1]参考例1で得たベンジルリン酸エステル誘
導体(5−14)0.0092mol(2.3g)をテ
トラヒドロフラン150mlに加え、氷浴で冷やしなが
らナトリウムメトキシド0.0092mol(0.50
g)を徐々に滴下し、0℃に保ちながら2時間攪拌し
た。そのままの温度で、2−エチル−6−メチル−4’
−ホルミルトリフェニルアミン0.0092mol
(2.9g)を滴下し、0℃乃至室温で3時間攪拌し
た。反応終了後、反応液に水を加えて反応を停止し、こ
れを酢酸エチルで抽出、水洗し、溶媒を留去した。得ら
れた生成物をカラムクロマトグラフィー(展開液:クロ
ロホルム、ヘキサン混合溶媒)で精製を行い、表1の化
合物番号(1−14)に相当するスチルベン誘導体3.
1g(収率81%、融点:145℃)を得た。[合成例
2]ベンジルリン酸エステル誘導体(5−14)に代え
て、ベンジルリン酸エステル誘導体(5−3)0.00
92mol(3.2g)を用いる他は、合成例1と同様
にして、表1の化合物番号(1−3)に相当するスチル
ベン誘導体3.9g(収率84%、融点:89℃)を得
た。[合成例3]ベンジルリン酸エステル誘導体(5−
14)に代えて、ベンジルリン酸エステル誘導体(5−
15)0.0086mol(3.1g)を使用し、ナト
リウムメトキシド0.0086mol(0.46g)お
よび2−エチル−6−メチル−4’−ホルミルトリフェ
ニルアミン0.0086mol(2.7g)を用いる他
は、合成例1と同様にして、表1の化合物番号(1−1
5)に相当するスチルベン誘導体3.6g(収率79
%、融点:87℃)を得た。[合成例4]ベンジルリン
酸エステル誘導体(5−14)に代えて、ベンジルリン
酸エステル誘導体(5−16)0.0095mol
(3.4g)を使用し、ナトリウムメトキシド0.00
95mol(0.46g)および2−エチル−6−メチ
ル−4’−ホルミルトリフェニルアミン0.0095m
ol(3.0g)を用いる他は、合成例1と同様にし
て、表1の化合物番号(1−16)に相当するスチルベ
ン誘導体4.0g(収率80%、融点:160℃)を得
た。[合成例5]ベンジルリン酸エステル誘導体(5−
14)に代えて、ベンジルリン酸エステル誘導体(5−
13)0.0095mol(2.6g)を使用し、ナト
リウムメトキシド0.0095mol(0.46g)お
よびホルミルトリフェニルアミン0.0095mol
(3.0g)を用いる他は、合成例1と同様にして、表
1の化合物番号(1−13)に相当するスチルベン誘導
体2.9g(収率77%、融点:143℃)を得た。
[比較合成例1]ベンジルリン酸エステル誘導体(5−
14)に代えて、ベンジルリン酸エステル誘導体(C−
15)0.015mol(3.4g)を使用し、ナトリ
ウムメトキシド0.015mol(0.81g)および
2−エチル−6−メチル−4’−ホルミルトリフェニル
アミン0.015mol(4.7g)を用いるを用いる
他は、合成例1と同様にして、表1の化合物番号(C−
1)に相当するスチルベン誘導体4.4g(収率75
%、融点:104℃)を得た。[比較合成例2]ベンジ
ルリン酸エステル誘導体(5−14)に代えて、ベンジ
ルリン酸エステル誘導体(C−25)0.0092mo
l(2.3g)を用いる他は、合成例1と同様にして、
表1の化合物番号(C−2)に相当するスチルベン誘導
体3.1g(収率80%)を得た。《電子写真感光体の
製造》[実施例1]電荷発生剤としてX型無金属フタロ
シアニン(CG1)5重量部および結着樹脂としてポリ
カーボネート100重量部、溶媒としてテトラヒドロフ
ラン800重量部、電子輸送剤として3,5−ジメチル
−3’,5’−ジt−ブチル−4,4’−ジフェノキノ
ン30重量部および正孔輸送剤である表1の化合物番号
(1−14)に相当するスチルベン誘導体50重量部を
ボールミルにて50時間混合、分散させて単層感光体用
の塗布液を作製した。次いで、この塗布液をアルミニウ
ム素管上にディップコート法にて塗布し、100℃で3
0分間熱風乾燥させて、膜厚が25μmの感光層を形成
させ、単層型感光体を製造した。[実施例2]正孔輸送
剤として、表1の化合物番号(1−3)に相当するスチ
ルベン誘導体を用いた他は、実施例1と同様にして単層
型感光体を製造した。[実施例3]正孔輸送剤として、
表1の化合物番号(1−15)に相当するスチルベン誘
導体を用いた他は、実施例1と同様にして単層型感光体
を製造した。[実施例4]正孔輸送剤として、表1の化
合物番号(1−16)に相当するスチルベン誘導体を用
いた他は、実施例1と同様にして単層型感光体を製造し
た。[実施例5]正孔輸送剤として、表1の化合物番号
(1−13)に相当するスチルベン誘導体を用いた他
は、実施例1と同様にして単層型感光体を製造した。
[比較例1]正孔輸送剤として、表1の化合物番号(C
−1)に相当するスチルベン誘導体を用いた他は、実施
例1と同様にして単層型感光体を製造した。《評価試
験》[溶出性試験]合成例および比較合成例で作製した
スチルベン誘導体について、以下の方法でポリカーボネ
ートへ分散したときの、アイソパーへの溶出試験を行っ
た。
【0090】まず、試験を行うスチルベン誘導体0.1
gとポリカーボネート0.2gをテトラヒドロフラン
0.8g中に溶解させ、この溶液をアルマイトシートに
塗工し、130℃で30分間、熱処理した。次いで、こ
のシートを12×12mmに切り取り試験片を作成し
た。この試験片を5mlのアイソパーへ13日間、浸積
した後の溶液の濃度(溶出濃度(mg/l))を測定し
た。濃度の測定はアイソパー溶液のUV域の最大吸収波
長における吸光度を、あらかじめ作成しておいた検量線
に当てはめて求めた。
【0091】溶出試験の結果を表3に示す。表2より、
合成例1〜4は比較合成例1〜2よりも、アイソパーへ
の溶出濃度が小さく、耐アイソパー性が優れていること
がわかる。
【0092】
【表3】
【0093】[劣化試験]実施例および比較例で作製し
た感光体について、アイソパーに浸積した後の光感度お
よび外観の劣化を評価した。これは、アイソパー浸積後
の感光体の状態を大量複写後の状態と見なし、液体現像
方式における、感光体の耐久性を評価するための試験で
ある。以下に評価方法を記載する。
【0094】まず、感光体の残留電位Vr0(V)を口述
する方法で測定した。次いで、感光体の外観(ひび割
れ、結晶化など)に欠陥がないことを確認した後、感光
体全体をアイソパーに浸積した。浸積1週間(148
h)後、感光体を取り出して自然乾燥させてから、外観
を確認し、残留電位Vr1w(V)を測定した。(残留電
位の測定)ドラム感度試験機(ジェンテック社製)を用
いて、感光体に印加電圧を加え、その表面を+700±
20Vに帯電させた後、初期表面電位V0(V)を測定
した。次いで、露光光源であるハロゲンランプの白色光
からバンドパスフィルターを用いて取り出した780n
m(半値幅20nm)の単色光(光強度I=16μJ/
cm2)を感光体表面に照射(照射時間80msec)
し、露光開始後330sec後の感光体の表面電位を残
留電位Vr0(V)(アイソパー浸積後はVr1 w(V))
として測定した。残留電位Vr0、Vr1wが小さいほど、
光感度が大きい感光体である。
【0095】上記各実施例および比較例で使用した感光
体の外観および残留電位Vr0、Vr1 wの測定結果を表4
に示す。実施例はアイソパー浸積前の残留電位Vr0と浸
積後の残留電位Vr1wがほぼ同じであり、光感度が劣化
していないことがわかる。また、感光体の外観はアイソ
パー浸積後も欠陥がなく良好な状態を保っていた。
【0096】一方比較例は、アイソパー浸積後の残留電
位Vr1wは浸積前に比べて著しく高くなっており、光感
度が劣化していることがわかる。また、アイソパー浸積
後の感光体の表面にはひび割れが確認された。
【0097】
【表4】
【0098】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のスチルベ
ン誘導体は、耐アイソパー性に優れているため、アイソ
パーに溶出することがない。
【0099】また、本発明の電子写真感光体は、上記本
発明のスチルベン誘導体を正孔輸送剤として用いること
から、アイソパーに浸積しても感光層のひび割れ、結晶
化が発生せず、光感度が劣化することがないため、特に
液体現像方式において優れた性能を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】表1の化合物(1−14)に相当するスチルベ
ン誘導体の赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
【図2】表1の化合物(1−14)に相当するスチルベ
ン誘導体のNMRスペクトルを示すグラフである。
【図3】表1の化合物(1−15)に相当するスチルベ
ン誘導体の赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
【図4】表1の化合物(1−15)に相当するスチルベ
ン誘導体のNMRスペクトルを示すグラフである。
【図5】表1の化合物(1−16)に相当するスチルベ
ン誘導体の赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
【図6】表1の化合物(1−16)に相当するスチルベ
ン誘導体のNMRスペクトルを示すグラフである。
【図7】表1の化合物(1−13)に相当するスチルベ
ン誘導体の赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
【図8】表1の化合物(1−13)に相当するスチルベ
ン誘導体のNMRスペクトルを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09B 23/00 C09B 23/00 J G03G 5/06 313 G03G 5/06 313

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1): 【化1】 (式(1)中、R1〜R4は同一または異なってアルキル
    基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、水素原
    子またはニトロ基を示し、R5はシアノ基、カルボニル
    基、ニトロ基またはビニル基を示す。nは1または2を
    示す。)で表されるスチルベン誘導体。
  2. 【請求項2】導電性基体上に感光層を設けた電子写真感
    光体であって、前記感光層が請求項1記載のスチルベン
    誘導体を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  3. 【請求項3】前記感光層が請求項1に記載のスチルベン
    誘導体と共に電荷発生剤と電子輸送剤とを含有した単層
    型の感光層である請求項3記載の電子写真感光体。
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