JP2001190286A - CTp11遺伝子の検出方法及び腫瘍転移能の決定方法 - Google Patents
CTp11遺伝子の検出方法及び腫瘍転移能の決定方法Info
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Abstract
めにCTp11遺伝子(ガン/精巣関連11kDタンパク質)を使用
する方法、すなわちCTp11の発現に基づいて腫瘍の転移
能及び/又は進行能を決定する方法、そして悪性腫瘍に
おけるCTp11遺伝子の検出方法を提供することである。 【解決手段】 本発明では、タンパク質CTp11が、転移
性ガン細胞において非転移性ガン細胞種に比べて増加調
節されていることが見出された。従って本核酸分子又は
その相同核酸分子をプローブとして腫瘍試料をハイブリ
ダイゼーションすることによって、その腫瘍の転移能及
び/又は進行能を決定することができる。
Description
診断のために、CTp11遺伝子(ガン/精巣関連11kDタンパ
ク質)を使用する方法及びそれを使用することに関す
る。特に本発明は、転移能及び/又は進行能を有する悪
性腫瘍におけるCTp11遺伝子の同定に関する。
題、例えば細胞外マトリクス及び基底膜の分解、血管及
びリンパ管への浸入及びそこからの浸出、免疫系による
攻撃からの回避、並びに遠隔臓器への定着及びコロニー
形成を克服する必要がある(Pardee,A.B.,Advances in C
ancer Res.65(1994)213-227; Ponta,H.,et al.,Bioche
m.Biophys.Acta 1198(1994)1-10)。異なる型のガンは、
その転移のために異なる分子機構を利用し、しかも異な
る転移親和性を有することから、転移は更に複雑にな
る。
株は、異なって発現される遺伝子を同定するために、そ
してそれらの転移における役割を調べるために、重要な
手段である(Weterman,M.A.J., et al., Cancer Res.52
(1992)1291-1296; Weterman,M.A.J., et al., Int.J.Ca
ncer 53(1993)278-284; Van Groningen,J.M., et al.,C
ancer Res. 55(1995)6237-6243; Weterman,M.A.J., et
al., Int.J.Cancer 60(1995)73-81; van Muijen, G.N.
P., et al., Int.J.Cancer 48(1991)85-91; vanMuijen,
G.N.P., et al., Clin.Exp.Metastasis 9(1991)259-27
2)。
浸出及び定着において重要な役割を果たす。拡散した腫
瘍細胞と内皮及び組織支質との相互作用は、腫瘍の進行
及び転移形成における必須過程の1つであると考えられ
る(Ebnet,K.,et al., Annu.Rev.Immunol. 14(1996)155-
177; Varner,J.A. and Cheresh,D.A., Curr.Opin.Cell
Biol. 8(1996)724-730; Albelda,S.M., Lab.Invest. 68
(1993)4-17)。
ペプチド配列AI962751, AA412605及びAA412270、並びに
WO99/46374に記載の配列番号18及び配列番号75に相同な
ポリペプチドである。
p11(ガン/精巣関連11kDタンパク質)が、転移性ガン細胞
において、それの非転移性ガン細胞種に比べて増加調節
されていることが見出された。CTp11は、転移カスケー
ドのいくつかの過程の進行に関与し得る。CTp11は、転
移性ガン細胞の特異的マーカーである。このことは、CT
p11は、細胞障害性T細胞上にはMHCクラスI複合体を介
して提示され得るが、CTp11が見出された非腫瘍細胞(精
巣細胞)は、MHCクラスIを介して抗原を提示しないの
で、CTp11は自然には提示されていないという事実に依
る。CTp11遺伝子は、配列番号2のポリペプチドをコー
ドする。
は核酸混合物の有無を検出する方法、すなわちその様な
核酸を含むことが疑われる試料中で2つの異なる核酸配
列を区別する方法を提供する。この方法は、下記の過程
を順番で含んで成る: (a)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下
で、前記試料を下記の群から選択される核酸プローブと
共にインキュベーションすること: (i)配列番号1及び3〜6の配列を有する核酸; (ii)(i)の核酸配列に正確に相補的な配列を有する核
酸; (iii)ストリンジェントな条件下に(i)の核酸にハイブリ
ダイズする核酸;及び (iv)ストリンジェントな条件下に(ii)の核酸にハイブリ
ダイズする核酸、 (b)前記ハイブリダイゼーションの形成を検出するこ
と。
瘍の進行能又は転移能を有するか否かを決定する方法を
提供する。この方法は、検査試料と転移性のないガン細
胞試料とを用い、この両試料は同一個体又は同一種の異
なる個体から得たものであり、そして下記の過程を含ん
で成る: (a)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下
で、各試料を下記の群から選択される核酸プローブと共
にインキュベーションすること: (i)配列番号1及び3〜6の配列を有する核酸; (ii)(i)の核酸配列に正確に相補的な配列を有する核
酸; (iii)ストリンジェントな条件下に(i)の核酸にハイブリ
ダイズする核酸;及び (iv)ストリンジェントな条件下に(ii)の核酸にハイブリ
ダイズする核酸; (b)各試料における前記プローブとのハイブリダイゼー
ションの概量を決定すること;並びに (c)検査試料のハイブリダイゼーションの概量を、転移
性のない試料のハイブリダイゼーションの概量と比較す
ることによって、検査試料中に、上記の特定の核酸又は
核酸混合物が、転移性のない試料中よりも多く含まれる
か否かを決定すること。
のために、CTp11遺伝子(ガン/精巣関連11kDタンパク質)
を使用する方法及びそれを使用することに関する。特に
本発明は、転移能及び/又は進行能を有する悪性腫瘍に
おけるCTp11遺伝子の同定に関する。
に由来する転移性細胞株1F6mに対して差分表示法(Diffe
rential Display Technique)を用いた結果、転移性細胞
株において少なくとも40倍増加調節されたCTp11が同定
された(図1)。
転移性細胞において、特に悪性メラノーマ細胞及び乳房
カルシノーマ細胞において増加調節され、そしてその腫
瘍の進行及び/又は転移を誘導することができる。本核
酸(CTp11)は、配列番号1の配列を有するか、又は遺伝
子コードの縮重のために配列番号1の配列とは異なる
が、配列番号1の配列によってコードされるアミノ酸配
列をコードする核酸を有する。
間で異なる天然の対立遺伝子に基づく変種が存在し得
る。この様なアミノ酸配列の変種は、通常アミノ酸置換
によるが、全配列中のアミノ酸の欠失、挿入又は付加に
よる場合もあり得る。本発明のCTp11タンパク質は、程
度及び種類の両方の点において発現に用いる細胞及び細
胞の型に応じて、グリコシル化された又はされていない
形に成り得る。転移活性を有するポリペプチドを、CTp1
1陰性の非転移性腫瘍細胞にCTp11発現ベクターをトラン
スフェクションし、安定な形質転換体を確立し、そして
マトリゲル浸入検査によるインビトロ浸入性及びヌード
マウスへの異種移植による転移性の評価を行うことによ
って、同定することができる。
11」とは、微小なアミノ酸変異を有するが、実質的に同
一のCTp11活性を有するタンパク質を意味する。「実質
的に同一」とは、その活性が、同一の生物学的特性を有
し、且つそのポリペプチドのアミノ酸配列が、相同であ
る(少なくとも90%、好ましくは95%超)、好ましくは同
一であることを意味する。相同性は、BLASTアルゴリズ
ム(Altschul,S.F. et al., Nucleic Acids Res. 25(199
7) 3389-3402)によって決定し得る。
チド分子を意味し、例えばDNA、RNA、又はDNA若しくはR
NAの活性誘導体である。DNA及び/又はRNA分子が好まし
い。
イズする」とは、標準的なハイブリダイゼーション条件
下に、2つの核酸断片が互いにハイブリダイズすること
を意味し、この条件は、Sambrook et al., Molecular C
loning: A Laboratory Manual (1989) Cold Spring Har
bor Laboratory Press, New York, USAに記載されてい
る。詳しくは、「ストリンジェントな条件」とは、250m
mol/lリン酸ナトリウム緩衝液pH7.2、7%(w/v) SDS、1%
(w/v) BSA、1mmol/l EDTA及び0.1mg/mlの一本鎖化した
サーモン精子DNAから成るハイブリダイゼーション緩衝
液中で65℃でハイブリダイゼーションすることを指す。
最終洗浄は、125mmol/lリン酸ナトリウム緩衝液pH7.2、
1mmol/l EDTA及び1%(w/v) SDS中で65℃で行われる。
性を有する核酸又はポリペプチドであって、組換えDNA
技術によって生産する場合には細胞性物質又は培地を、
化学合成する場合には前駆体の化学物質又は他の化学物
質を実質的に含まないものを意味する。この核酸は、当
核酸が得られた生物体において天然に当核酸を挟んでい
る配列(すなわち当核酸の5'及び3'端部に位置する配
列)を含まないことが好ましい。
換え技術により、又は合成により本発明のポリペプチド
を生産できる。原核生物中で組換え技術によって生産し
た場合、非グリコシル化CTp11ポリペプチドが得られ
る。本発明の核酸配列を利用すると、任意の希望の細胞
(例えばヒト細胞、及び他の哺乳動物細胞)のゲノムに
おいてCTp11遺伝子又はその変異体を検索し、同定し、
そしてCTp11タンパク質をコードする所望の遺伝子を単
離することができる。このための方法及び適当なハイブ
リダイゼーション条件は、当業者に周知であり、例え
ば、Sambrook et al.,Molecular Cloning: A Laborator
y Manual (1989), Cold Spring Harbor Laboratory Pre
ss, New York, USA及びHames,B.D., Higgins,S.G., Nuc
leic Acid Hybridisation - A Practical Approach (19
85), IRL Press, Oxford, Englandに記載されている。
本発明の実験のために、通常は前記文献に記載された標
準的な方法を用いる。
方法によって、そして大容量でCTp11タンパク質を生産
することができる。原核生物又は真核生物中で、例えば
原核宿主細胞又は真核宿主細胞中で発現させるために、
当業者に周知の方法に従って本核酸を適当な発現ベクタ
ーに組み込む。この発現ベクターは、調節性/誘導性プ
ロモーターを有することが好ましい。その発現のため
に、これらの組換えベクターを適当な宿主細胞に、例え
ば原核宿主生物として大腸菌、あるいは真核宿主生物と
してサッカロミセス・セレビシエ、テラトカルシノーマ
細胞株PA-1 sc 9117(Buttner et al., Mol.Cell.Biol.
11(1991) 3573-3583)、昆虫細胞、CHO又はCOS細胞に導
入し、そして形質転換又は形質導入された宿主細胞を、
当異種遺伝子が発現する条件下で培養する。既知の方法
に従って、この宿主細胞又は宿主細胞の培養上清から当
タンパク質を単離することができる。この様な方法は、
例えばAusubel I., Frederick M., Current Protocols
in Mol.Biol. (1992), JohnWiley and Sons, New York
に記載されている。また細胞培養において当タンパク質
が可溶性でない場合、インビトロでのタンパク質再活性
化が必要である。
ンパク質精製法、例えば、親和性クロマトグラフィー、
免疫沈降、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、
等電点クロマトグラフィー、等電点電気泳動、選択沈
殿、又は電気泳動などを利用して、CTp11を精製するこ
とができる。
する方法に関する。この方法は、試料(例えば血液など
の体液、細胞溶解物)を、本遺伝子に特異的に結合する
核酸分子とインキュベーションすること、そしてCTp11
遺伝子である核酸分子の存在を決定するために、ストリ
ンジェントな条件下に、前記の単離核酸分子と標的核酸
分子とのハイブリダイゼーションを測定することを含ん
で成る。従って本発明は、腫瘍細胞の転移能及び/又は
進行を同定する方法にも関する。
移性を有するか否かを決定するために、当単離核酸と標
的核酸とのハイブリダイゼーションの概量を決定する。
このハイブリダイゼーションを定量的に決定する必要は
ないが、この定量方法も本発明に含まれる。典型的には
ハイブリダイゼーションの概量を、例えばハイブリダイ
ゼーションの検出時に視覚的に検査することによって定
性的に決定する。例えばゲルを用いて、試料中の標的核
酸にハイブリダイズした標識化された核酸を分離した場
合、生じたバンドを視覚的に検査することができる。同
一種の個体に由来する転移性のないガン試料において当
単離核酸のハイブリダイゼーションを行う場合、同一の
方法を用いる。検査試料におけるハイブリダイゼーショ
ンの概量と、転移性のない試料におけるハイブリダイゼ
ーションの概量を比較することによって、検査試料中に
標的核酸が、転移性のない試料中よりも多量に含まれる
か否かを決定することができる。特に視覚による検査の
場合、視覚的に明白な差異によって、検査試料中により
多量の標的核酸が存在することを評価することが薦めら
れる。
瘍の試料中には、転移性のない試料に比べてより多量の
CTp11核酸が存在する。腫瘍進行性又は転移性を有する
検査試料中には、転移性のないガン細胞試料に比べてよ
り多量のCTp11核酸が含まれるであろう。検査試料にお
いてCTp11核酸が増加調節されていること、すなわちそ
のガン細胞が腫瘍進行性又は転移性を有することを決定
するために、その検査試料中のCTp11核酸の概量が、非
転移性試料中の概量よりも明白に多いことが好ましい。
例えば、CTp11遺伝子が増加調節された検査試料中のCTp
11遺伝子量は、非転移性試料に比べて約15〜60倍多くな
り得る。
細胞において発現が増加調節された核酸を検出するため
の検査法が提供され得る。この様な検査を、核酸診断法
を利用して行うことができる。この場合、検査試料を、 (a)配列番号1及び3〜6の配列、又はこれらの配列の
いずれかに相補的な配列を有する核酸、及び(b)ストリ
ンジェントな条件下で、(a)のいずれかの核酸とハイブ
リダイズする核酸、から成る群から選択されるプローブ
と接触させる。この方法では、前記核酸プローブを試料
中の核酸とインキュベーションし、そして生じたハイブ
リダイゼーションを、場合によって試料中の核酸及び/
又は核酸プローブに対する別の結合体を利用して、検出
する。(b)においてハイブリダイゼーションにより核酸
を得るためには、配列番号3〜6の配列又はそれに相補
的な配列を有するプローブとハイブリダイズすることが
好ましい。前記核酸プローブと試料中の核酸とのハイブ
リダイゼーションは、当タンパク質をコードするRNAの
存在を意味する。
ズする方法は、当業者に周知であり、例えばWO89/0669
8, EP-A0200362, USP2915082, EP-A0063879, EP-A01732
51, EP-A0128018に記載されている。
ば既存のPCR法によって、試料中のコード核酸を増幅す
る。一般的には核酸診断の範囲内で、誘導化(標識化)
した核酸プローブを用いる。このプローブを、担体に結
合した試料中の変性DNA又はRNAと接触させる。この時、
標識DNA又はRNAが、相同なDNA又はRNAに結合する様に、
温度、イオン強度、pH及びその他の緩衝液条件を、核酸
プローブの長さと組成、更に予想されるハイブリッド体
の融解温度に応じて選択する(Wahl,G.M. et al., Proc.
Natl.Acad.Sci.USA76(1979) 3683-3687)。適当な担体に
は、ニトロセルロースを基にした膜又は担体物質(例え
ばSchleicher and Schull, BA85; Amersham,Hybond
C)、強化又は結合されたニトロセルロース粉末、あるい
は種々の官能基(例えばニトロ基)によって誘導化され
たナイロン膜(例えばSchleicher and Schull, Nytran;
NEN, Gene Screen; Amersham, Hybond M; Pall Biodyn
e)がある。
合を抑えるためにその様な結合部位を飽和させた後に、
それを抗体又は抗体断片とインキュベーションすること
によって、ハイブリダイズしたDNA又はRNAを検出する。
この抗体又は抗体断片は、ハイブリダイゼーションの際
に核酸プローブに組み込んだ物質に対するものである。
次にこの抗体を標識する。しかし直接に標識されたDNA
を用いることもできる。抗体とインキュベーションした
後、特異的に結合した抗体複合体だけを検出するために
再度洗浄を行う。次に抗体又は抗体断片上の標識を利用
して、既存の方法に従って測定を行う。
とができる:固定化細胞、固定化組織標本及び単離した
中期染色体のin situハイブリダイゼーション;コロニ
ーハイブリダイゼーション(細胞の場合)及びプラークハ
イブリダイゼーション(ファージ及びウイルスの場合);
サザンハイブリダイゼーション(DNA検出);ノーザンハ
イブリダイゼーション(RNA検出);血清分析(例えばスロ
ットブロット分析による血清中の細胞の種類分析);事
後増幅(例えばPCR法)。
シノーマ細胞の転移能を検出する方法を含み、この方法
は、(a)ガン患者の体液、メラノーマガン細胞、乳房カ
ルシノーマ細胞、又は前記ガン細胞の抽出物若しくは培
養上清に由来する、核酸を有する試料を、(i)配列番号
1及び3〜6に示した核酸、又はそれらの核酸配列に相
補的な配列の核酸、及び、(ii)(i)のいずれかの核酸と
ハイブリダイズする核酸、から成る群から選択した核酸
プローブとインキュベーションすること、並びに、(b)
試料中の核酸及び/又は核酸プローブに対する別の結合
体を利用して、あるいはX線撮影法によって、ハイブリ
ダイゼーションを検出すること、を含んで成る。
とインキュベーションし、そして、場合により試料中の
核酸及び/又は核酸プローブに対する別の結合体を利用
して、ハイブリダイゼーションを検出する。従ってCTp1
1核酸は、患者の腫瘍細胞の転移能及び進行能の診断に
おいて、貴重な予測マーカーとなる。
するタンパク質を生産する方法を提供する。当方法は、
原核又は真核宿主細胞中で外来性DNAを発現させ、そし
て希望のタンパク質を単離することに依るものであり、
当タンパク質は、本発明の核酸分子、好ましくは配列番
号1のDNA配列によってコードされる。当タンパク質
を、前記細胞又は細胞培養上清から単離し、そしてクロ
マトグラフィー法、好ましくはイオン交換クロマトグラ
フィー、親和性クロマトグラフィー及び/又は逆相クロ
マトグラフィーによって精製し得る。更に本発明は、本
発明の核酸分子、好ましくは配列番号1のヌクレオチド
配列を有する核酸分子によってコードされた単離された
タンパク質を含む。
ラノーマ細胞の転移能を示す増加調節性遺伝子として特
徴づけられる。CTp11の機能は、腫瘍細胞における接触
阻害及び足場依存性の損失を促進すること、並びに転移
カスケードのその他の必須過程を促進することである。
従ってCTp11遺伝子の発現は、腫瘍細胞のより攻撃的な
性質に、そしてまた転移形成能に相関する。
は悪性メラノーマ及び乳房カルシノーマの進行/転移を
インビボで、好ましくは体細胞遺伝子治療によって、抑
制するために、CTp11の発現阻害剤、好ましくはアンチ
センス核酸又は抗体を利用し得る。マウス又はラットを
免疫化するために、前記通り精製したCTp11タンパク質
を用いて、従来技術通りにCTp11タンパク質に対する抗
体を作成し得る。
抗原(CTAs)ファミリーに分類される。当ファミリーの最
初の構成員は、MAGEs(メラノーマ抗原)であり、Boonの
グループによって報告された(van der Bruggen et al.,
Science 254 (1991) 1643-1647)。
ク質は、97アミノ酸から成り、2部に分かれた核局在
化シグナル(NLS)を含む。eGFPの前部に当ORFを融合させ
たところ、特異的な核局在が認められたことから、この
2部性様の核局在化配列は実際に作用する。当2部性NL
Sの共通配列は、10アミノ酸から成る領域によって塩
基性クラスターから分離された2つの塩基性アミノ酸
(リシン(K)又はアルギニン(R))を含んで成り、そのクラ
スターでは、隣接する5残基中3残基が塩基性でなけれ
ばならない(Dingwall and Laskey, Trends.Biochem.Sc
i. 16 (1991) 478-481)。10アミノ酸から成る間隙部
が最適であることが示されたが、より長い間隙部を有す
る有効な2部性核局在化シグナルも見出された(Robbin
s,J., et al.,Cell 64 (1991) 615-623)。このことか
ら、12残基から成る間隙部を有するCTp11の2部性配
列(a.a.40〜57)が核内局在化の原因である可能性が示さ
れる。ガン/精巣抗原グループに属するSSXファミリーの
いくつかの構成員にも、2部性NLS配列が見出されてい
る(Dos Santos,N.R., et al., Hum.Mol.Genet. 6 (199
7) 1549-1558)。
端領域は、GAL4ドメインに類似していて、DNA結合タン
パク質又はドメインと相互作用又は融合した後、有効な
転写活性を示すことが示された(Mitchell,P.J. and Tji
an,R., Science 245 (1989)371-378)。CTp11は、SSXタ
ンパク質(Dos Santos,N.R., et al., Hum.Mol.Genet.6
(1997) 1549-1558)及びメラノサイト特異的遺伝子1(MSG
1)(Shioda,T., et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93 (1
996) 12298-12303)と同様に、DNA結合ドメインを欠失し
ている。従ってこれは、推定上の転写調節を協調するた
めに転写開始複合体と相互作用する。含有量の高い荷電
アミノ酸が、その様なタンパク質複合体相互作用に寄与
するであろう。
p11の発現様式から、当遺伝子はガン/精巣抗原グループ
に分類され、既に当グループには、MAGE(Lucas,S., et
al., Cancer Res. 58 (1998) 743-752)、BAGE(Boel,P.,
et al., Immunity 2 (1995) 167-175)、GAGE(van den
Eynde,B., et al., J.Exp.Med. 182 (1995) 689-698)、
SSX(Gure,A.O., et al., Int.J.Cancer 72 (1997) 965-
971)、NY-ESO-1(Chen,Y.T., et al., Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 94 (1997) 1914-1918)、LAGE-1(Lethe,B., et a
l., Int.J.Cancer 76 (1998) 903-908)、PAGE-1(Chen,
M.E., et al.,J.Biol.Chem. 273 (1998) 17618-17625;
Brinkmann,U., et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95 (1
998) 10757-10762)、及びSCP-1(Tureci,O., et al., Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 95 (1998) 5211-5216)がある。
すために遺伝子が満たすべき判断基準が、文献(Chen,Y.
T., et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94 (1997) 1914-
1918; Chen,Y.T., et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95
(1998) 6919-6923)に定式化されている:(i)精巣にお
いて優勢に発現していて、そして他の正常組織には通常
発現していないこと、(ii)広範囲のヒト腫瘍においてそ
のmRNAの発現が誘導/活性化されていること、(iii)系統
に非特異的な様式で、悪性腫瘍において発現しているこ
と、(iv)しばしば多重遺伝子族として存在すること、及
び(v)いくつかの例外はあるが、当遺伝子がX染色体上
にマッピングされること。CTp11は、判断基準i, ii, ii
i及びvを満たすので、CTAファミリーの構成員として明
らかに適格である。
上に存在し、PCRによって確認された通り、約665bpのイ
ントロンによって分離された2つのエキソンから成る。
この位置は、MAGE-Cサブファミリー(Lucas,S., et al.,
Cancer Res. 58 (1998) 743-752)の直ぐ隣りであり(Xq
26)、CTAG(NY-ESO-1遺伝子)及びMAGE-Aクラスター(Che
n,Y.T., et al., Cell Genet. 79 (1997) 237-249)の近
くである(両方Xq28)。
胱腫瘍の細胞株の25〜30%で認められたが、他の種類の
腫瘍から確立された細胞株では、散発的な陽性が示され
た。CTA発現に関して最も研究されているメラノーマ細
胞株では、当陽性率は、NY-ESO-1(18%)(Chen,Y.T., et
al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94 (1997) 1914-1918;Le
the,B., et al., Int.J.Cancer 76 (1998) 903-908)、S
SX-2(25%)(Tureci,O.,et al., Int.J.Cancer 77 (1998)
19-23)、並びにMAGE-B1及び-B2(22%及び33%)(Lurquin,
C., et al., Genomics 46 (1997) 397-408; Muscatell
i,F., et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92 (1995) 4987
-4991)の陽性率に匹敵する。MAGE-A1(66%)(Kirkin,A.
F., et al., Exp.Clin.Immunogenet. 15 (1998) 19-32;
Wang,R.F., Mod.Med. 3 (1997) 716-731)は、メラノー
マ細胞株で著しく高い発現を示し、そして他のヒト腫瘍
細胞株では41%で発現している。
た精巣特異的な発現から、CTp11がただ精巣由来のEST
のみと相同であることが保証される。新鮮なヒト腫瘍試
料では、メラノーマが、最も高いCTp11陽性率(70%; n=1
0)を示した。比較し得る程度の陽性率が、原発性メラノ
ーマ(4個中3個)、そして転移性メラノーマ(6個中4
個)で観察された。この陽性率は、メラノーマにおける
その他のCTAに比べて、最も高いものの1つであろう。S
CP-1, GAGE, BAGE, MAGE-1, SSX-2, NY-ESO-1及びMAGE-
3(Sahin,U., et al., Int.J.Cancer 78 (1998) 387-38
9)の陽性率は、各々8, 17, 22, 35, 44, 44及び52%であ
った。膀胱細胞株における比較的高いCTp11陽性率(30%)
は、膀胱腫瘍試料では検出されなかった。この場合、11
試料中1つだけが陽性であった。
7個の腫瘍病巣中10個だけが陽性であったことから、精
巣腫瘍では、正常精巣組織に比べてCTp11発現が減少調
節されていることが示された。最初のPCR後には、いず
れの精巣腫瘍試料でも陽性が認められなかった。セミノ
ーマ及び非セミノーマのいずれでも、当精巣病巣の陽性
は、存在する少量の正常精巣組織によって誘導され得
た。その他のCTAに関して、MAGE-1が、主に精巣中の生
殖細胞に発現していることが知られていて(Takahashi,
K., et al., Cancer Res. 55 (1995) 3478-3482)、この
事実は、セミノーマでは、非セミノーマ腫瘍に比べてMA
GE発現の陽性率が高いという事実に合致する(Hara,I.,
et al., Urology 53 (1999) 843-847)。
ムクローン(HS433M19,HS376H23, HSG164F24)に対して90
%超の相同性が認められた。これらは全てX染色体上に
位置した。HS433M19との相同性から、当遺伝子の位置が
Xq26.3〜Xq27.1に更に狭められた。一群のヒト染色体特
異的な齧歯類動物/ヒトのハイブリッド細胞株に対するP
CRから、当遺伝子がX染色体に位置することが確認され
た。ゲノムPCR産物の長さ、及び前記の3つのヒトゲノ
ムクローンの配列に基づいて、当遺伝子は、塩基対112
番の隣りに位置する約655bpのイントロンによって分離
された2つのエキソンから成ることが推定された。
限定され(zt95b09, qg57b01, qe04h11, EST95628/EST95
629)、これらは全て精巣に由来するものであり、そして
同一の推定上のタンパク質をコードした。相同性は、EM
BLデータベースNo.AI962751,AA412605及びAA412270、並
びにWO 99/46374の配列番号18及び75に対しても認めら
れた。
はCTp11の発現阻害剤(例えばアンチセンスヌクレオチ
ド)を同定及び単離する方法を提供する。この様なアン
タゴニスト及び阻害剤を、腫瘍の進行又は転移を抑制す
るために、並びに腫瘍細胞の大量アポトーシスをインビ
ボで誘導するために、利用することができる。
移及び関連障害を抑制する際に利用できる化合物を同定
及び単離する方法が提供される。当方法には、本発明の
ポリペプチドの発現を調節する方法、本発明のポリペプ
チドに選択的に結合する化合物を同定する方法、及び、
当ポリペプチドの活性を調節する化合物を同定する方法
が含まれる。更に当方法には、CTp11遺伝子のmRNAへの
転写を調節する、好ましくは抑制する方法があり、この
方法によって、好ましくは腫瘍細胞の転移能を減少調節
する。当方法をインビトロ及びインビボで行うことがで
き、そして当方法では、本発明に関する細胞株及びトラ
ンスジェニック動物モデルを確立及び利用し得る。
ドの生物活性を減少又は抑制する、及び/又はCTp11遺
伝子の転写又は翻訳を阻害する物質又は化合物として定
義される。一般的には、CTp11アンタゴニストをスクリ
ーニングする方法は、CTp11活性を測定するために好ま
しい条件下で、CTp11の発現を介した侵襲性を呈する宿
主細胞に候補物質を接触させることを含んで成る。
る。典型的にはその活性化は、細胞の生理学的な変化、
例えばインビトロでの運動性及び侵襲性の増加から、又
は分化状態の変化から、又は増殖促進を誘導する細胞代
謝の変化から明白である。腫瘍細胞の増殖及び拡散を阻
害する薬剤を同定及び設計するために、CTp11遺伝子及
びタンパク質を利用し得る。
考文献、配列表及び図面を記載する。本発明の意図から
逸脱することなく、本発明の修飾を行い得る。 配列番号1:CTp11のcDNA配列及びアミノ酸配列 配列番号2:CTp11のアミノ酸配列 配列番号3:センスプライマー 配列番号4:アンチセンスプライマー 配列番号5:ネストセンスプライマー 配列番号6:ネストアンチセンスプライマー 配列番号7:β2-ミクログロブリンのセンスプライマー 配列番号8:β2-ミクログロブリンのアンチセンスプラ
イマー
M14, Mel57, BLM, MV3及び1F6mは、以前に報告された
ものである(Westphal,J.R.,et al.,Br.J.Cancer76(199
7)561-570)。この細胞株検査群では、530及び1F6は、転
移性の乏しい細胞株であり、一方MV3, BLM及び1F6mは、
転移性の高い細胞株である。MV1, M14及びMel57は、中
間的な転移能を有する細胞株である。1F6mは、1F6の転
移性亜株である。その他の大部分の使用した細胞株は、
以前に報告されたものである(Zendman,A.J., et al., F
EBS Lett. 446 (1999) 292-298)。細胞株RAMOS及びRAJI
はATCCから入手される。BLMは、HLA-A1陰性のメラノー
マ細胞株である。全ての細胞株を、以前の報告通り、ダ
ルベッコ改変イーグル培地中で培養した(de Vries,T.
J., et al., Cancer Res. 56 (1996) 1432-1439)。正常
ヒト包皮メラノサイト及びヒト母斑細胞を、以前の報告
通り培養した(Verbeek,M.M., Am.J.Pathol. 144 (1994)
372-382)。
全段階の病巣(一般母斑、異型母斑、原発性メラノーマ
及び転移メラノーマ)、及びその他の腫瘍標本を患者か
ら切り出した。正常ヒト組織として、外科的に切り出し
た組織に由来する、又は死後4時間未満の検死試料に由
来する疾病を含まない試料を用いた。組織試料を液体窒
素中でスナップ式に凍結し、そして使用まで -80℃で保
存した。
の取扱説明書に従って培養細胞から総RNAを単離した。
乳棒を用いて1mlのRNAzolBTM(Campro, Veenendaal, Th
e Netherlands)中で、厚さ20μmの約25個の凍結切片を
破砕することによって、組織試料から総RNAを単離し
た。RNAzolBTM工程に続いて、追加のRNeasyの洗浄工程
を行った。
nter Corporation, Nashville, TN)によってRNA試料に
対してDNアーゼI処理を行った。差異表示のために、い
くつかの微小な変更を加えてRNAmapTMの方法を行った。
元の方法とは異なり、[35S]-dATPの代わりに[32P]-dATP
を用いた。このPCRのために、4つのT12MNプライマー及
び6つの任意プライマーAP1,2,6,7,11,12(Bauer,D.,et
al., Nucleic Acids Res. 21 (1993) 4272-4280)の組合
せを用いた。
ok et al., MolecularCloning: A Laboratory Manual
(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Y
ork, USA)、1.2%アガロースゲル上で分離し、そしてHyb
ond N+膜(Amersham, Aylesbury, UK)に転写した。ラン
ダムプライマーによるDNA標識キット(Roche Diagnostic
s GmbH, Penzberg, Germany)を用いて、cDNAプローブを
[32P]-dATPで放射性標識した。この膜を標識プローブに
よって、ハイブリダイゼーション混合液(0.25Mリン酸ナ
トリウム緩衝液 pH7.2, 7% SDS, 1% BSA, 1mM EDTA, 0.
1mg/ml一本鎖のサーモン精子DNA)中で65℃で一晩ハイブ
リダイズした。その後この膜を、段階的に低下させた量
の塩を含有する緩衝液(1% SDS, 1mM EDTA, 125mMリン酸
ナトリウム pH7.2)によって65℃で洗浄し、そしてKodak
Xomat-Sフィルムでオートラジオグラフィーを行った。
決定及び相同性検索 Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory M
anual (1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press,
New York, USAに記載の通り、cDNAプローブを標識し、
そしてヒトメラノーマ細胞株(MV3)のλZAP cDNAライブ
ラリーとハイブリダイズさせた。完全長のcDNAを単離し
た後、Dye Terminator Reaction Mix(Perkin Elmer, No
rwalk, CT)によって、その両鎖の配列を決定した。BLAS
T (Altschul,S.F., et al., Nucleic Acids Res. 25 (1
997) 3389-3402)によって、並びに以前に報告された通
りに(Zendman,A.J., et al., FEBS Lett. 466 (1999) 2
92-298)、DNA及びタンパク質データベースに関する全て
の公的サーバー上の他のプログラムによって、相同検索
を行った。
1.0μgの総RNAからcDNA合成を行った(25℃10分間後、42
℃59分間)。当反応液に、0.04単位のランダムヘキサデ
オキシヌクレオチドプライマー、2μlの25mM MgCl2、
1μlの10mM dNTPs、1μlのRT緩衝液(100mM Tris/HCl
pH8.3, 500μM KCl)、25単位のRNasin、10単位のAMV逆
転写酵素、及び、最終容量を10μlにするための水を添
加した。増幅のために、合成されたcDNAの10分の1に、
2.5μlのPCR緩衝液(200mM (NH4)2SO 4, 750mM Tris/HCl
pH9, 0.1% Tween), 5μlの1M dNTPs、10pmolesの各プラ
イマー、2.5μlの15mM MgCl2、0.15単位のThermoperfec
tplusTM DNAポリメラーゼ(Integro, Zaandam, The Neth
erlands)、及び、最終容量を25μlにするための水を添
加した。このPCRでは、94℃45秒間、59℃1分間及び72
℃1分30秒間の反応のサイクルを30回行った。この反応
前に94℃3分間の変性を行い、反応後に72℃5分間の伸
長を行った。下記のプライマーの組合せを用いた。 センス:5'-CTGCCGCAGACATTGAAGAA-3'(配列番号3) アンチセンス:5'-TCCATGAATTCCTCCTCCTC-3'(配列番号
4)
トPCRを行う場合、90℃30秒間、59℃45秒間及び72℃1分
間のサイクルを30回行い、やはり最初のPCRと同様に、
反応前に変性過程、及び反応後に伸長過程を行った。こ
のネストPCRのために、最初のPCRの産物溶液の100倍希
釈液2μlを、やはり最終容量25μl中で用いた。下記の
ネストプライマーを用いた。 センス:5'-TGTGAATCCAACGAGGTGAA-3'(配列番号5) アンチセンス:5'-TTGATTCTGTTCTCTCGGGC-3'(配列番号
6) ネストPCRの産物の長さは188bpであった。下記のβ2-ミ
クログロブリン用プライマーを用いた。 センス:5'-CTCGCGCTACTCTCTCTTTCT-3'(配列番号7) アンチセンス:5'-TGTCGGATTGATGAAACCCAG-3'(配列番
号8) β2-ミクログロブリンのPCR産物の長さは136bpであっ
た。
ト及びマウス/ヒトのハイブリッド細胞株(Kondoh,M., e
t al., Melanoma Res. 3 (1993) 241-245)に対するゲノ
ムPCRによって決定した。このPCRのために、前記の最初
のPCRにおけるイントロン部分を含むプライマーを用い
て、1kbのPCR産物を増幅した。
当ORFを含む断片(1〜330bp)を、pEGFP-N3(Clontech, Pa
lo Alto, CA)のSacI/KpnI部位にクローン化した。これ
によって、アミノ酸RSIATをコードするリンカーを介し
て前記断片をeGFPのC末端に融合させた。その配列を決
定することにより、融合体の読み取り枠が連続であるこ
とを確認した。トランスフェクション試薬FuGENETM6(Ro
che Diagnostics GmbH)を用いてトランスフェクション
を行った。要するに、BLM細胞を6ウエルプレートにま
き、全面密集になる手前まで増殖させた。2mlの培地中
で1μgのプラスミド構成体及び3μlのFuGENETM6によ
ってトランスフェクションした。48時間以内に、当融合
タンパク質の一過的な発現を確認した。ジェネティシン
(Geneticin)(Roche Diagnostics GmbH)(500μg/μl)に
よって安定な形質転換体を選択した。
に、6ウエルプレート中でカバーグラス上で増殖させた
細胞を、4%パラホルムアルデヒドによって室温で15分
間固定し、次に−20℃でアセトン中に2分間浸けた。空
気乾燥したカバーグラスをスライドグラスにのせ、1:4
Vectashield(Vector, Burlingame, CA)及び1:10,000DAP
I(Sigma, Zwijndrecht, The Netherlands)を含む10μl
のグリセロール/Tris緩衝液(100mlあたり90mlグリセロ
ール、2ml Tris/HCl pH8、8ml H2O)を添加した。その蛍
光画像を、CCDカメラ付きの蛍光顕微鏡によって得た。
ロイペプチン(Sigma),200μg/ml AEBSF(Sigma)及び10μ
g/mlキモスタチン(Sigma)/PBS)中で溶解した。それを遠
心した後、等量の上清タンパク質を、非還元性試料用緩
衝液によって1:1に希釈し、そして沸騰水中で5分間
熱処理した。これらの試料を、マーカータンパク質と共
に10%ゲルのSDS-PAGEによってサイズ分画し、次にブロ
ティング緩衝液(25mM Tris/HCl pH8.6, 192mMグリシン,
20%メタノール及び0.02% SDS)中でニトロセルロース膜
に電気的に転写した。分子量の指標として、マーカーの
レーンを切り離し、アミドブラック(0.1%アミドブラッ
ク/45:10:45のメタノール:酢酸:水)によって染色し
た。ブロット膜をPBST中で15分間洗浄してから、ブロッ
キング溶液中で室温で一晩インキュベーションした。そ
の際、5%低脂肪粉乳及び0.01%消泡剤A(Sigma)を含むPBS
Tを用いた。このブロット膜を、1次抗体として抗eGFP
ポリクローナル抗体と、そして2次抗体としてペルオキ
シダーゼ結合ブタ抗ウサギ抗血清(Dako, Glostrup, Den
mark)と各々1時間インキュベーションした。全てのイ
ンキュベーションはブロッキング溶液中で行われ、そし
て各工程の後にブロット膜をPBSTによって10分間3回洗
浄した。ECL化学発光系(RocheDiagnostics GmbH)によっ
て、取扱説明書通り検出を行った。次にブロット膜をKo
dak Xomat-Sフィルムに露光し、そして現像した。
s Res. 21 (1993) 4272-4280)との組合せを用いた差異
表示法によって、ヒトメラノーマ細胞株1F6と1F6mとの
間でmRNA発現を比較した。その結果、発現差のある300b
pのcDNAバンドが生じた。このバンドは、1F6mのレーン
には多量に存在するが、1F6のレーンには存在しなかっ
た。ヌードマウスに皮下接種した後の転移性が判明して
いるヒトメラノーマ細胞株の広範囲な検査群において発
現を調べるために、前記の300bpのcDNAをプローブとし
てノーザンブロット分析を行った。その結果、約0.5kb
のmRNAが、転移性の高い細胞株MV3、BLM及び1F6mにおい
て特異的に発現していることが判明した(図1)。転移性
が中位の細胞株及び低い細胞株では、その様な発現は認
められなかった。
前記の300bpのcDNA断片をプローブとして、メラノーマ
細胞株MV3のλZAP cDNAライブラリーをスクリーニング
した。408bpのcDNAが単離された(EMBL: AJ238277)。配
列決定の結果、当cDNAは、3'側で前記プローブと完全に
一致し、そして97アミノ酸から成るタンパク質をコード
するORFを有することが判明した。この推定タンパク質
は、潜在的な2部性の核局在化シグナル(NLS)(a.a. 40
〜57)を有するが、このシグナルは完全な共通配列を有
するものではない(Dingwall and Laskey, Trends.Bioch
em.Sci. 16 (1991) 478-481)。もう1つの著しい特徴
は、グルタミン酸残基の含有量が高いこと(14%)であ
り、それらによって酸性のC末端クラスター(a.a. 83〜
89)が形成されている。全残基の3分の1が荷電性(18残
基陰性、14残基陽性)であり、推定分子量は11kDであ
る。当タンパク質のpIは5.0と計算される。
対するノーザンブロット分析に加えて、それらの細胞株
のRNAに対してRT-PCR分析も行った。このPCRの結果、ノ
ーザンブロット分析で認められたメラノーマ細胞株の発
現パターンが確認された(表1)。
び皮下異種移植病巣におけるmRNA発現のRT-PCR分析 ─────────────────────── 細胞株 転移能 培養細胞 異種移植a ─────────────────────── 530 低 − − 1F6 低 − NT MV1 中 − − M14 中 − NT Mel57 中 − − 1F6m 高 + + MV3 高 + + BLM 高 + + ───────────────────────a NT:未検査
る1F6m、MV3及びBLMにおいてのみ検出することができ
た。対応する異種移植物に対するRT-PCR分析から、培養
細胞での発現様式に完全に一致する発現様式が示され
た。ヌードマウスモデルによって調べられていないより
多様なヒトメラノーマ細胞株の一群の分析から、その15
細胞株中3つ(BRO, E10及び518A2)で発現が認められた
(表2)。
における発現に関して(表2)、膀胱カルシノーマ細胞株
17個中5個で発現が認められ、一方腎臓カルシノーマ細
胞株6個、及び前立腺カルシノーマ細胞株7個では、当
遺伝子の発現は無かった。最後に、既に記載したもの以
外の他の組織学的に異なる種類に由来する細胞株16個
中、たった2個だけが陽性を示した(線維肉腫HT1080及
び骨肉腫U2OS)。正常ヒト組織における当遺伝子発現のR
T-PCR分析を、図3に示す。検査した17種類の組織中、
精巣のみが陽性であった。
サイト病巣を、当遺伝子転写に関して検査した(図4)。
ネストRT-PCR分析から、メラノサイト腫瘍進行度の高い
段階でのみ、PCR産物が検出された。原発性メラノーマ
(PM)4個中3個、及び転移メラノーマ(MM)6個中4個が
陽性であった。正常皮膚(NS)、細胞増殖型一般母斑(NN)
及び異型母斑(AN)では発現は認められなかった。正常包
皮メラノサイトの初代培養及び母斑細胞の培養もまた陰
性であった。追加の新鮮な正常ヒト組織試料、及び同一
種類の組織に由来する腫瘍病巣での発現も決定した。こ
の結果を表3に要約する。
におけるmRNA発現のネストRT-PCR分析 ──────────────────── 組織の種類 正常組織 腫瘍組織 ──────────────────── 膵臓 0/3 0/5 食道 0/3 0/6 肺 0/3 1/5 乳房 0/1 1/4 結腸 0/3 2/9 膀胱 0/1 1/11 メラノーマ 0/4a 7/10 精巣 3/3 10/17b ────────────────────a 正常皮膚;b 陽性は、混入した正常組織によるもので
あろう。
料のみで発現が見られたが、これらは、最初のPCR(30サ
イクル)後に既に陽性であった。その他の正常組織で
は、PCR産物は全く無かった。腫瘍組織では、肺(5個中
1)、乳房(4個中1)、結腸(9個中2)及び膀胱(11個中
1)で、散発性に発現が見られただけであった。膵臓(n=
5)及び食道(n=6)は陰性であった。検査した精巣病巣で
は、17個の腫瘍試料中10個が、ネストPCR後にのみ陽性
を示したが、3個の正常精巣試料は、最初のPCR後に既
に陽性を示した。
体の細胞溶解物に対して、融合タンパク質を検出する抗
eGFPポリクローナル抗体を用いて、ウエスタンブロット
分析を行った。図5から、トランスフェクションした細
胞が、当融合タンパク質を発現することが明白である。
トランスフェクションしていないBLM細胞の溶解物のレ
ーンには、特異的なバンドは見られない。eGFP(27kD)と
当融合タンパク質(38kD)との分子量の差から、当タンパ
ク質の大きさが約11kDであると推定された。mRNAの発現
様式及び分子量に基づいて、当タンパク質をCTp11:ガ
ン/精巣関連11kDタンパク質と名付けた。
長の当ORFをeGFPの前に融合して、それをCOS-1細胞にト
ランスフェクションした。コントロールとして、eGFPの
みをコードする構成体をCOS-1細胞にトランスフェクシ
ョンした。eGFPのみをトランスフェクションしたCOS-1
細胞を蛍光顕微鏡で観察したところ、eGFPタンパク質
は、予想通り細胞質及び核の両方に存在することが判明
した(図6A〜C)。一方融合タンパク質を発現するCOS-1細
胞では、この発現タンパク質は特異的に核に局在した
(図6D〜F)が、核小体には明らかに検出されなかった。
ヒトメラノーマ細胞株BLMにトランスフェクションした
場合にも、同様の核局在を示す匹敵する結果が示され
た。
方法(Sambrook et al.)によってNIH3T3にトランスフェ
クションする。当ベクターを取り込んだ細胞を、選択条
件下、すなわちジェネティシン存在下での増殖能によっ
て同定する。CTp11をコードするDNAを発現する細胞は、
そのRNAを生産するので、それを実施例1に記載の通り
ノーザンブロット分析によって検出する。あるいは当タ
ンパク質を発現する細胞は、特異的抗体を用いたウエス
タンブロット分析によるタンパク質の同定を介して同定
される。当発現ベクターから当タンパク質を発現する細
胞は、実施例3に従って測定される通り、転移能を発揮
するだろう。
因子の存在下又は非存在下で培養する。細胞増殖を調べ
るための高処理量の細胞検査を行って、化学薬品及び天
然物のライブラリーをスクリーニングすることによっ
て、前記化合物を同定し得る。前記検査には、発色性基
質としてテトラゾリウム塩WST-1, MTT又はXTTを用いた
細胞増殖検査、あるいはブロモデオキシウリジン(BrdU)
を用いた細胞死検出用ELISAがある(Boehringer Mannhei
m GmbH, Apoptosis and Cell Proliferation, 2nd edit
ion, 1988, pp.70-84参照)。
性を介する細胞応答を低下させるであろうから、CTp11
機能の抑制因子となるであろう。あるいは、抑制因子候
補を培養腫瘍細胞に添加すると、その細胞の転移能が低
下変動する。推定調節因子を、CTp11タンパク質を有す
る又は有さない細胞に加え、その細胞応答を、その細胞
の増殖特性から検査する。
回免疫のために、この免疫原を別々に皮間に免疫接種し
(500μg免疫原+フロイントアジュバント)、更に免疫増
幅のために静脈内に免疫接種する(500μg免疫原+フロ
イントアジュバント)。各免疫増幅の1週間後に血液を
試験採取し、抗原としての当免疫原及び完全長のCTp11
タンパク質に対する結合を検査した。
を示す検査群のヒトメラノーマ細胞株のノーザンブロッ
ト分析。当ブロットは、差分表示法による300bpのcDNA
によりハイブリダイズする。矢印は、転移性の高い細胞
株にのみ存在する0.5kbのバンドを示す。レーン1:53
0;レーン2:1F6;レーン3:M14;レーン4:Mel57;
レーン5:MV3;レーン6:BLM;レーン1:1F6m。
CRに用いたプライマーを矢印で示す(最初のPCR:太矢
印;ネストPCR:細矢印)。ポリアデニル化シグナルを下
線で、推定した核局在化シグナルを箱枠で、そしてポリ
E酸性ドメインを二重下線で示す。停止コドンを星印で
示す。
たRNAに対するRT-PCR。精巣のみが陽性である(297bpのc
DNAバンド)。数種の試料で、弱いゲノムDNAバンドが視
認される(1kb)。(B)コントロールとしてのβ2-ミクログ
ロブリンのRT-PCR(136bp)。
びメラノサイト腫瘍進行の種々の段階の病巣を含む組織
試料から単離されたRNAに対するRT-PCR(188bp)。NS=正
常皮膚;NN=細胞増殖型一般母斑(common naevus naevoc
ellularis);AN=異型母斑;PM=原発性メラノーマ;MM=
転移性メラノーマ。(B)コントロールとしてのβ2-ミク
ログロブリンのRT-PCR(136bp)。
ランスフェクションしたBLM(レーン2)、及び当該完全
長cDNA/eGFP融合体を有する構成体をトランスフェクシ
ョンしたBLM(レーン3)から調製した細胞抽出物のウエ
スタンブロット分析。eGFPに対するポリクローナル抗体
によってバンドを検出した。27及び38kDのバンドは特異
的であり、50kDのバンドは非特異的である。
Claims (4)
- 【請求項1】 少なくとも1つの特定の核酸又は核酸混
合物の有無を検出するための、又はその様な核酸を含む
ことが疑われる試料中で2つの配列の異なる核酸を区別
するための方法であって、下記の過程を順番で含んで成
る前記方法: (a)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下
で、前記試料を下記の群から選択される核酸プローブと
共にインキュベーションすること: (i)配列番号1及び3〜6のいずれかの配列を有する核
酸; (ii)(i)のいずれかの核酸配列に正確に相補的な配列を
有する核酸; (iii)ストリンジェントな条件下に(i)の核酸にハイブリ
ダイズする核酸;及び (iv)ストリンジェントな条件下に(ii)の核酸にハイブリ
ダイズする核酸、 (b)前記ハイブリダイゼーションの形成を検出するこ
と。 - 【請求項2】 前記核酸プローブが担体に結合してい
て、過程(b)が、任意の抗体結合体の存在を検出するこ
とを含んで成り、そして過程(a)と過程(b)の間に、下記
の過程を更に含んで成る、請求項1に記載の方法:過程
(a)による生成物を洗浄すること;洗浄過程後に、その
生成物を、前記核酸プローブに対する標識抗体とインキ
ュベーションすること;及びインキュベーション過程後
に、その生成物を洗浄すること。 - 【請求項3】 腫瘍の進行及び転移を誘導することに関
与する核酸を阻害する単離された核酸であって、下記か
ら成る群から選択される配列を有する前記核酸: (a)配列番号1の配列に正確に相補的な核酸配列;及
び、(b)ストリンジェントな条件下で、(a)の相補的配列
とハイブリダイズする核酸配列。 - 【請求項4】 ガン細胞を含む検査試料が、腫瘍の進行
能又は転移能を有するか否かを決定する方法であって、
同一個体又は同一種の異なる個体から得た前記検査試料
及び転移性のないガン細胞を含む試料を用いて、下記の
過程を含んで成る前記方法: (a)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下
で、各試料を下記から成る群から選択される核酸プロー
ブと共にインキュベーションすること: (i)配列番号1及び3〜6のいずれかの配列を有する核
酸; (ii)(i)のいずれかの核酸配列に正確に相補的な配列を
有する核酸; (iii)ストリンジェントな条件下に(i)の核酸にハイブリ
ダイズする核酸;及び (iv)ストリンジェントな条件下に(ii)の核酸にハイブリ
ダイズする核酸、 (b)各試料における前記プローブによるハイブリダイゼ
ーションの概量を決定すること;並びに (c)検査試料中に、上記の特定の核酸又は核酸混合物
が、転移性のない試料中よりも多く含まれるか否かを決
定するために、検査試料のハイブリダイゼーションの概
量を、転移性のない試料のハイブリダイゼーションの概
量と比較すること。
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