JP2001190045A - 磁気浮上モータ - Google Patents

磁気浮上モータ

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JP2001190045A JP2000000388A JP2000000388A JP2001190045A JP 2001190045 A JP2001190045 A JP 2001190045A JP 2000000388 A JP2000000388 A JP 2000000388A JP 2000000388 A JP2000000388 A JP 2000000388A JP 2001190045 A JP2001190045 A JP 2001190045A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハイブリッド型磁気浮上モータのバイアス磁
束を用いて、磁気浮上モータとスラスト磁気軸受とを複
合化し、小型化を可能にした磁気浮上モータを得る。 【解決手段】 周面に永久磁石53,54を固着したロ
ータ50を浮上制御するための2極の浮上制御磁束を発
生する第1のステータ巻線とロータ50に対して回転磁
界を発生させる第2のステータ巻線とを巻回したステー
タコア部55,56を備える。ロータにロータ側スラス
ト軸受用磁路部を形成し、ロータ側スラスト軸受用磁路
部を間に挟んで二つのステータ側スラスト軸受用磁路部
を設け、浮上制御磁束を形成するためのバイアス磁束6
5,66がロータ側スラスト軸受用磁路部と二つのステ
ータ側スラスト軸受用磁路部との間に形成されるスラス
ト方向ギャップをともに通過するように構成し、二つの
ステータ側スラスト軸受用磁路部の間にスラスト制御用
コイル59を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロータを浮上制御
するためのラジアル磁気軸受およびスラスト磁気軸受を
備えた磁気浮上モータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来広く用いられている接触型の軸受の
ほかに、磁力を利用して回転軸等の回転体を浮上させ、
これを無接触で支持するようにした磁気軸受が用いられ
るようになってきた。磁気軸受を用いれば、軸受部の摩
擦係数がほぼゼロに近いため高速回転が可能になる。ま
た、磁気軸受は潤滑油を必要としないため、高温、低温
あるいは真空中など、特殊環境下での使用が可能とな
り、さらに、メンテナンスを要しないという利点があ
る。そこで、磁気軸受をモータのロータ支持に用いるこ
とが考えられている。
【0003】磁気軸受を有するモータの基本的構成は、
磁気軸受、回転力発生機構すなわちモータ部、磁気軸
受、という順序で、これらを回転軸線方向に配置したも
のである。しかし、このような配置では、モータ部の両
側に磁気軸受を配置するため軸長が増加し、固有振動数
が低くなって危険速度が低下するという難点がある。
【0004】そこで、磁気軸受のステータが交流モータ
のステータとほぼ同じ構造であることに着目し、磁気軸
受とモータとを一体化した磁気浮上モータが提案されて
いる。磁気浮上モータの一形式としてハイブリッド型磁
気浮上モータがある。これは、永久磁石を用いてロータ
内部から放射状に広がる一定磁束を作り、ロータの浮上
制御を、一般的な磁気軸受と同様に2極の直流磁場で行
うことができるようにしたものである。ハイブリッド型
磁気浮上モータによれば、永久磁石で一定の磁束を作り
出すので、電力を消費することなくバイアス吸引力を発
生させることができ、電磁石は制御力のみを分担すれば
よいという利点がある。
【0005】上記従来のハイブリッド型磁気浮上モータ
は、ラジアル磁気軸受とモータとのハイブリッドであ
り、スラスト軸受については、磁気浮上式スラスト軸受
としてのみ機能する磁気軸受をモータに付加した構成に
なっている。一方、磁気軸受としては、磁気回路を工夫
することにより、ラジアル磁気軸受とスラスト磁気軸受
とを複合した磁気軸受が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の、磁気軸受とモ
ータとを一体化した磁気浮上モータは、上記のようにラ
ジアル磁気軸受とモータとの複合であって、スラスト軸
受は、スラスト軸受として単独に機能するスラスト磁気
軸受を付加しただけのものである。スラスト磁気軸受
は、モータ全体の中で大きな部分を占めており、磁気浮
上モータの小型化の妨げとなっている。また、ラジアル
磁気軸受とスラスト磁気軸受とを複合した磁気軸受を用
いた場合も、モータは別個に必要となるから、やはり、
磁気浮上モータの小型化の妨げとなっている。
【0007】本発明は以上のような従来技術の問題点を
解消するためになされたもので、ハイブリッド型磁気浮
上モータのバイアス磁束を用いて、その磁路内にスラス
ト軸受を配置し、これによって、磁気浮上モータとスラ
スト磁気軸受とを複合化し、小型化を可能にした磁気浮
上モータを提供することを目的とする。本発明はまた、
バイアス磁束を用いることにより、一つのコイルでスラ
スト軸受の制御が可能となるとともに、バイアス電流を
必要としないため、消費電力を小さくすることができる
磁気浮上モータを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
磁性体からなり周面に永久磁石を固着したロータと、こ
のロータを浮上制御するための2極の浮上制御磁束を発
生する第1のステータ巻線と上記ロータに対して回転磁
界を発生させる第2のステータ巻線とを巻回したステー
タコア部とを備えた磁気浮上モータであって、ロータに
ロータ側スラスト軸受用磁路部を形成するとともに、ロ
ータ側スラスト軸受用磁路部を間に挟んで二つのステー
タ側スラスト軸受用磁路部を設け、浮上制御磁束を形成
するためのバイアス磁束がロータ側スラスト軸受用磁路
部と二つのステータ側スラスト軸受用磁路部との間に形
成されるスラスト方向ギャップをともに通過するように
構成し、二つのステータ側スラスト軸受用磁路部の間に
スラスト制御用コイルを設け、スラスト制御用コイルに
通電することによりスラスト軸受荷重を支持することを
特徴とする。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、ステータコア部を軸方向に二つ並べて配置
するとともに、この二つのステータコア部の間にロータ
側スラスト軸受用磁路部と二つのステータ側スラスト軸
受用磁路部とを形成したことを特徴とする。請求項3記
載の発明は、請求項1記載の発明において、ステータコ
ア部と二つのステータ側スラスト軸受用磁路部とを軸方
向に並べて配置したことを特徴とする。請求項4記載の
発明は、請求項1記載の発明において、ロータは、アウ
タロータ型またはインナーロータ型のいずれかであるこ
とを特徴とする。
【0010】請求項5記載の発明は、請求項1記載の発
明において、バイアス磁束を発生させるバイアスマグネ
ットがステータ側に配置され、ロータ側にはステータコ
ア部と対向して回転トルクを発生させるリング状ロータ
マグネットが配置されていることを特徴とする。請求項
6記載の発明は、請求項1記載の発明において、ロータ
側にはステータコア部と対向して回転トルクを発生させ
るセグメント型ロータマグネットが配置され、このセグ
メント型ロータマグネットは、バイアス磁束を発生させ
るバイアスマグネットを兼ねていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
にかかる磁気浮上モータの実施の形態について説明す
る。図1において、基台53から上に向かって一体に延
びた軸54には、ステータコア部56、バイアスマグネ
ット62、二つのヨーク58,57、バイアスマグネッ
ト61、ステータコア部55がこの順に落とし込まれて
いる。上記ステータコア部56は、軸54の下部の段部
に当たり、軸54の上端に固定された適宜のクランプ部
材によってステータコア部55が押さえられることによ
って、上記各部材が軸54に固定されている。上記二つ
のヨーク58,57は、内周側に軸方向に延びた円筒部
を有し、この円筒部同士が当接することにより、二つの
ヨーク58,57は軸方向に離間し相互間に空間が形成
されている。この空間において、二つのヨーク58,5
7の上記円筒部に巻回された形でスラスト制御用コイル
59が配置されている。
【0012】各ステータコア部55、56にはそれぞれ
ステータ巻線63,64が巻き回されている。図示され
てはいないが、各ステータ巻線63,64は、後で詳細
に説明するロータ50を浮上制御するための2極の浮上
制御磁束を発生する第1のステータ巻線と、上記ロータ
50に対して回転磁界を発生させる第2のステータ巻線
とからなる。上記ステータコア部55、56、ヨーク5
8,57等を有してなるステータの外周側にはロータ5
0が配置されている。ロータ50は、円筒状の磁性材か
らなるロータケース51を主体としてなる。ロータケー
ス51は、上記ステータを囲むようにして配置されてい
る。ロータケース51は、軸方向の中央部に内向きフラ
ンジ状のヨーク52を一体に有するとともに、内周上端
部にリング状の永久磁石からなるロータマグネット53
が、内周下端部にリング状の永久磁石からなるロータマ
グネット54が固着されている。また、ロータケース5
1の内周には、上記ヨーク52の上側においてタッチダ
ウンベアリング67が取り付けられている。
【0013】ロータケース51の上記ヨーク52は、上
記二つのヨーク58,57間に形成されている空間に侵
入している。この空間の軸方向の離間距離が上記ヨーク
52の軸方向寸法よりも大きく、ヨーク52はヨーク5
8,57に接触することなく回転することができるよう
になっている。上記タッチダウンベアリング67は、ロ
ータ50が回転していないとき、したがって磁気浮上制
御が行われていないとき、あるいは回転を開始し、また
停止するとき、ステータ側の上記ヨーク57に接触して
ロータ50を支えるものである。ロータマグネット5
3,54の内周面は、それぞれステータコア部55,5
6の外周面に適宜の間隙をおいて対向している。
【0014】前述のように構成されることにより、ステ
ータコア部55とヨーク57との間、ヨーク58とステ
ータコア部56との間において、かつ、これらの部材の
内周側にそれぞれ前記バイアスマグネット61,62が
配置されている。各バイアスマグネット61,62はリ
ング状に形成され、軸方向に着磁されている。したがっ
て、バイアスマグネット61−ステータコア部55−ロ
ータマグネット53−ロータケース51−そのヨーク5
2−ヨーク57−バイアスマグネット61の順に巡るバ
イアス磁束65が形成される。また、バイアスマグネッ
ト62−ステータコア部56−ロータマグネット54−
ロータケース51−そのヨーク52−ヨーク58−バイ
アスマグネット62の順に巡るバイアス磁束66が形成
される。
【0015】上記バイアス磁束65,66の磁路は、ス
ラスト軸受用の磁路であって、それぞれステータ側スラ
スト軸受用磁路部とロータ側スラスト軸受用磁路部に分
けることができる。図1に示す実施の形態では、ロータ
側スラスト軸受用磁路部を間に挟んで二つのステータ側
スラスト軸受用磁路部が設けられている。ロータケース
51のヨーク52とステータ側のヨーク57との間、お
よび上記ヨーク52とステータ側のヨーク58との間に
はスラスト方向のギャップがあり、この各ギャップを上
記バイアス磁束65,66がそれぞれ通過するように構
成されている。
【0016】前記スラスト制御用コイル59に通電され
ると、このコイル59への通電方向により、コイル59
によって発生した磁束がヨーク57−ヨーク52−ヨー
ク58の順に巡り、その間、上記スラスト方向の二つの
ギャップを通過するようになっている。ここでは、コイ
ル59によって発生した磁束をスラスト磁気軸受制御磁
束60という。ロータ側のヨーク52に対しては、上側
のヨーク57と下側のヨーク58との間にそれぞれバイ
アス磁束65およびバイアス磁束66によって磁気吸引
力が発生しているから、この双方の磁気吸引力を、スラ
スト制御用コイル59に通電制御することによって制御
し、ロータ50の軸方向の位置を制御する。より具体的
には、図示されないセンサがロータ50の軸方向の位置
を検知し、ロータ50の軸方向の位置が一方に偏ろうと
すると、上記センサの出力に基づいてスラスト制御用コ
イル59の正逆方向の通電およびその電流を制御し、上
記各ギャップのバイアス磁束65,66の一方を強め、
他方を弱める。その結果、ヨーク52に対する上下の吸
引力の一方を強め、他方を弱めることになり、ロータ5
0の軸方向の位置(スラスト方向の位置)を所定位置に
制御する。
【0017】前記ステータコア部55,56と、ステー
タ巻線63,64と、ロータマグネット53,54とに
よって、ラジアル磁気軸受とモータとが複合化されてい
る。ステータ巻線63,64は前述のように第1のステ
ータ巻線と第2のステータ巻線とからなる。第1のステ
ータ巻線の通電を制御することにより、上記バイアス磁
束65,66と第1のステータ巻線から発生する2極の
浮上制御磁束との相互作用により、ロータ50を浮上制
御してラジアル方向に非接触で支持する。また、上記第
2のステータ巻線の通電を制御することによりロータ5
0に対して回転磁界を発生させ、ロータマグネット5
3,54との相互作用によりロータ50を回転駆動す
る。
【0018】以上説明したとおり、図1に示す実施の形
態は、ラジアル磁気軸受とモータとを複合化した磁気浮
上モータに、ロータ側スラスト軸受用磁路部と、このロ
ータ側スラスト軸受用磁路部を間に挟んで二つのステー
タ側スラスト軸受用磁路部を設け、浮上制御磁束を形成
するためのバイアス磁束65,66がロータ側スラスト
軸受用磁路部と二つのステータ側スラスト軸受用磁路部
との間に形成されるスラスト方向ギャップをともに通過
するように構成し、二つのステータ側スラスト軸受用磁
路部の間にスラスト制御用コイル59を設け、スラスト
制御用コイル59に通電することによりスラスト軸受荷
重を支持するようにした。そのため、スラスト磁気軸受
も複合化することができ、小型化して軸長を短くするこ
とが可能になり、高速化を図ることができる。
【0019】また、上記実施の形態によれば、ステータ
コア部55,56を軸方向に二つ並べて配置するととも
に、この二つのステータコア部55,56の間にロータ
側スラスト軸受用磁路部と二つのステータ側スラスト軸
受用磁路部とを形成しているため、実質的に二つのモー
タ部が設けられ、この二つのモータ部のスラスト荷重を
一つのスラスト磁気軸受で支持する構造になり、スラス
ト磁気軸受までも有していながら、大きな出力が得られ
る割にコンパクトな磁気浮上モータを得ることができ
る。
【0020】さらに、ステータコア部55,56と二つ
のステータ側スラスト軸受用磁路部とを軸方向に並べて
配置したため、スラスト方向の制御力が大きく、スラス
ト方向の制御を迅速かつ安定に行うことができる。
【0021】図1に示す実施の形態は、ステータコア部
55,56を軸方向に二つ並べて配置して、ステータコ
ア部55,56ではそれぞれロータ50をX−Y方向に
位置制御し、スラスト磁気軸受部ではロータ50をZ方
向に位置制御するようにした5軸制御形式になっていた
が、図2に示す実施の形態のように、3軸制御形式にし
てもよい。
【0022】図2に示す実施の形態は、図1に示す実施
の形態においてバイアスマグネット61より上を取り除
いた形になっている。すなわち、ステータは、一つのス
テータコア部56、一つのバイアスマグネット62、二
つのヨーク57,58、スラスト制御用コイル59、ス
テータ巻線64を有してなる。ロータ50の主体をなす
ロータケース51は、上端に一体に形成された内向きフ
ランジ状のヨーク52、ロータマグネット54を有して
なる。これら各部材の構成は、図1に示す実施の形態に
おいて対応する各部材の構成と同じである。
【0023】図2に示す実施の形態によれば、バイアス
マグネット62−ステータコア部56−ロータマグネッ
ト54−ロータケース51−そのヨーク52−ヨーク5
8およびヨーク57−バイアスマグネット62の順に巡
るバイアス磁束66が形成される。このバイアス磁束6
6の磁路は、スラスト軸受用の磁路であって、それぞれ
ステータ側スラスト軸受用磁路部とロータ側スラスト軸
受用磁路部に分けることができる。ロータケース51の
ヨーク52とステータ側のヨーク57との間、および上
記ヨーク52とステータ側のヨーク58との間にはスラ
スト方向のギャップがあり、この各ギャップを上記バイ
アス磁束66が分岐して通過するように構成されてい
る。
【0024】前述の実施の形態と同様に、スラスト制御
用コイル59に通電されることによってこのコイル59
から発生した磁束が上記スラスト方向の二つのギャップ
を通過する。スラスト制御用コイル59への通電を前述
のように制御することにより、スラスト磁気軸受制御磁
束60が制御され、上記各ギャップのバイアス磁束66
の一方を強め、他方を弱めることによって、ヨーク52
に対する上下の吸引力の一方を強め、他方を弱め、ロー
タ50の軸方向の位置を所定位置に制御する。ステータ
コア部56と、ステータ巻線64と、ロータマグネット
54とによって、ラジアル磁気軸受が構成され、また、
ロータ50を回転させるトルクが発生する。
【0025】図2に示す実施の形態は、ステータコア部
56と、ステータ巻線64と、ロータマグネット54と
によって、ロータ50をX−Y方向に位置制御し、スラ
スト磁気軸受部ではロータ50をZ方向に位置制御する
ようにした3軸制御形式になっている。この実施の形態
においても、図1に示す実施の形態と同等の効果を得る
ことができる。
【0026】図1、図2に示す実施の形態は、磁気浮上
力を得るためのバイアスマグネットを用いていたが、ロ
ータマグネットの形を工夫することによってバイアスマ
グネットを省略することができる。図3、図4に示す実
施の形態がそれで、図3に示す実施の形態は図1に示す
実施の形態に対応し、図4に示す実施の形態は図2に示
す実施の形態に対応する。図3、図4に示す実施の形態
では、ロータケース51に固着されているロータマグネ
ット73、74が、リング状のものではなく、セグメン
ト状、すなわち、円筒形を分断した部分円筒状になって
いる。このセグメント状ロータマグネット73、74が
複数個、周方向に所定の間隔をおいてロータケースに固
着されている。
【0027】そして、各セグメント状ロータマグネット
73、74は厚さ方向に着磁され、さらに、双方のセグ
メント状ロータマグネット73、74の厚さ方向の着磁
極性が同じになっている。そのため、ロータマグネット
73、74から出た磁束の通路は、図1に示す実施の形
態における磁束の通路と同様に、マグネット73−ロー
タケース51−そのヨーク52−ヨーク57−ステータ
コア部55−マグネット73の順に巡るバイアス磁束6
5が形成される。また、マグネット74−ロータケース
51−そのヨーク52−ヨーク58−ステータコア部5
6−マグネット74の順に巡るバイアス磁束66が形成
される。そのため、図1に示す実施の形態で用いられて
いたバイアスマグネット61,62は、図3に示す実施
の形態では不要となる。上記バイアスマグネット61,
62が配置されていた場所には、磁気通路を形成するた
めの磁性材を配置するとよい。このようにしてバイアス
磁束65,66がステータ側スラスト軸受用磁路部とロ
ータ側スラスト軸受用磁路部を通り、ロータ側スラスト
軸受用磁路部を間に挟んで二つのステータ側スラスト軸
受用磁路部が設けられている。
【0028】スラスト制御用コイル59を通電制御する
と、スラスト磁気軸受制御磁束60が発生し、ロータ側
のヨーク52に対して、バイアス磁束65およびバイア
ス磁束66によって発生する双方の磁気吸引力の一方を
強め、他方を弱め、ロータ50の軸方向の位置を所定位
置に制御する。図1に示す実施の形態と同様に、ステー
タ巻線63,64はそれぞれ第1のステータ巻線と第2
のステータ巻線とからなり、第1のステータ巻線の通電
を制御することにより、バイアス磁束65,66との相
互作用で、ロータ50をラジアル方向に浮上制御する。
また、ロータ50の回転位置に応じて第2のステータ巻
線の通電を制御することによりロータ50を回転駆動す
る。
【0029】図3に示す実施の形態によれば、図1に示
す実施の形態と同様の効果を得ることができるととも
に、バイアスマグネットを別に設ける必要がないという
利点がある。図3に示す実施の形態は、図1に示す実施
の形態と同様に5軸制御を行うものである。
【0030】図4に示す実施の形態は、図3に示す実施
の形態のヨーク57より下を残し、その上を除去した形
のものである。この実施の形態においても、セグメント
状のマグネット74−ロータケース51−そのヨーク5
2−ヨーク58およびヨーク57−ステータコア部56
−マグネット74の順に巡るバイアス磁束66が形成さ
れる。このバイアス磁束66と、スラスト制御用コイル
59の通電制御によって発生するスラスト磁気軸受制御
磁束60とによって、ロータ50をスラスト方向に位置
制御する。また、第1、第2のステータ巻線の通電を制
御することにより、ロータ50をラジアル方向に浮上制
御し、また、ロータ50を回転駆動する。
【0031】図4に示す実施の形態によれば、図2に示
す実施の形態と同様の効果を得ることができるととも
に、バイアスマグネットを別に設ける必要がないという
利点がある。図4に示す実施の形態は、図2に示す実施
の形態と同様に3軸制御を行うものである。
【0032】これまで説明してきた実施の形態は、アウ
タロータ型であったが、本発明の技術思想はインナーロ
ータ型にも適用することができる。図5ないし図7に示
す実施の形態がその例である。インナーロータ型の場合
は、ロータがステータの内側に配置されているというだ
けで、原理的にはアウタロータ型と変わりがない。
【0033】図5に示す実施の形態は、ステータコア部
と二つのステータ側スラスト軸受用磁路部とを軸方向に
並べて配置してなるもので、図1に示す実施の形態に対
応するものである。図5において、円筒状モータケース
35の内周側には二つのステータコア部11,21と、
二つのロータ31,32からなる二つの磁気浮上型モー
タ部が配置されている。上記二つのステータコア部1
1,21は、それぞれステータコア部12,22と、ス
テータ巻線13,23とを有してなる。各ステータコア
部12,22は同一構成の積層コアであり、珪素鋼板の
積層体で構成するのが望ましい。
【0034】ステータコア部12,22の各突極にはス
テータ巻線13,23が巻き回されている。各ステータ
巻線13,23は、各ロータ31,32を浮上制御する
ための2極の浮上制御磁束を発生する第1のステータ巻
線と、各ロータ31,32に対して回転磁界を発生させ
る第2のステータ巻線とを有してなるが、明示されてい
ない。
【0035】上記二つのロータ31,32は、磁性材か
らなり軸状に構成された共通の回転体40の、軸方向に
おいて異なる位置に配置されていて、これにより、二つ
の磁気浮上型モータ部11,21が軸方向に配置された
形になっている。各ロータ31,32を構成する上記回
転体40は磁性体からなり、それぞれのロータ31,3
2の外周にはリング状永久磁石からなるロータマグネッ
ト15,16が固着されている。このロータマグネット
15,16は、ステータコア12,22の突極の内周端
面と適宜の間隙をおいて対向させて配置されている。
【0036】回転体40には、軸方向の中間部において
半径方向外側に突出したフランジ状のヨーク17が一体
に形成されている。このヨーク17を軸方向両側から挟
んで二つのヨーク19,20がステータ側に固定されて
いる。ヨーク19,20は成形により一体に形成され、
断面U字形をしており、全体としてリング状になってい
る。ヨーク19,20はその外周部がモータケース35
に固定されている。ヨーク19,20間には上記回転体
40のヨーク17の外周側においてスラスト制御用コイ
ル18が設けられている。回転体40のヨーク17と、
ヨーク19およびヨーク20との間、さらにはスラスト
制御用コイル18との間には適宜の隙間がある。上記ヨ
ーク19とステータコア12との間、および上記ヨーク
20とステータコア22との間には、それぞれバイアス
マグネット25,26が配置されている。バイアスマグ
ネット25,26はリング状ないしは円筒状になってい
て、モータケース35の内周面に固着されている。
【0037】上記二つのバイアスマグネット25,26
は幅方向すなわち軸線方向から着磁され、マグネット2
5,26の着磁の向きは互いに逆向き、したがって、ヨ
ーク19,20に接する面の極性は同極になっている。
そのため、バイアスマグネット25−ステータコア部1
2−ロータマグネット15−回転体40−そのヨーク1
7−ヨーク19−バイアスマグネット25の順に巡るバ
イアス磁束27が形成される。また、バイアスマグネッ
ト26−ステータコア部22−ロータマグネット16−
回転体40−そのヨーク17−ヨーク20−バイアスマ
グネット26の順に巡るバイアス磁束28が形成され
る。
【0038】上記バイアス磁束27,28の磁路は、ス
ラスト軸受用の磁路であって、それぞれステータ側スラ
スト軸受用磁路部とロータ側スラスト軸受用磁路部に分
けることができる。図5に示す実施の形態では、ロータ
側スラスト軸受用磁路部を間に挟んで二つのステータ側
スラスト軸受用磁路部が設けられている。回転体40の
ヨーク17とステータ側のヨーク19との間、および上
記ヨーク17とステータ側のヨーク20との間にはスラ
スト方向のギャップがあり、この各ギャップを上記バイ
アス磁束27,28がそれぞれ通過するように構成され
ている。
【0039】前記スラスト制御用コイル18に通電され
ると、このコイル18によって発生した磁束がヨーク1
9−ヨーク17−ヨーク20の順に巡り、その間、上記
スラスト方向の二つのギャップを通過するようになって
いる。回転体40側のヨーク17に対して、一方側のヨ
ーク19と他方側のヨーク20との間にそれぞれバイア
ス磁束27およびバイアス磁束28によって磁気吸引力
が発生する。この双方の磁気吸引力を、スラスト制御用
コイル18に通電制御することによって制御すれば、回
転体40、したがってロータのスラスト方向の位置を制
御することができる。
【0040】以上説明したスラスト方向の位置制御原理
は、図1に示す実施の形態と同じである。また、図5に
示す実施の形態によれば、図1に示す実施の形態と同じ
原理によって、ラジアル方向の位置制御が行われ、か
つ、回転トルクが発生し、図1に示す実施の形態と同様
の効果を得ることができる。
【0041】図6に示す実施の形態は、図3に示す実施
の形態をインナーロータ型にしたのと実質的に同じであ
る。すなわち、二つのロータ部31,32に設けられた
ロータマグネット33,34はセグメント状になってい
て、このセグメント状ロータマグネット33,34が複
数個、周方向に所定の間隔をおいてそれぞれロータ部3
1,32に固着されている。各セグメント状ロータマグ
ネット33,34は厚さ方向すなわち半径方向に着磁さ
れ、さらに、双方のセグメント状ロータマグネット3
3,34は厚さ方向の着磁極性が同じになっている。そ
のため、ロータマグネット33,34から出た磁束の通
路は、図5に示す実施の形態における磁束の通路とほぼ
同じになり、バイアス磁束27とバイアス磁束28が形
成される。したがって、この実施の形態ではバイアスマ
グネットは不要であり、上記バイアス磁束27,28は
バイアスマグネットの代わりにモータケース35を通
る。
【0042】スラスト制御用コイル59を通電制御する
ことによってロータのスラスト方向の位置を所定位置に
制御することができる。また、第1のステータ巻線と第
2のステータ巻線とからなるステータ巻線13,23の
上記第1のステータ巻線の通電を制御することにより、
バイアス磁束27,28との相互作用で、ロータをラジ
アル方向に浮上制御することができ、上記第2のステー
タ巻線の通電を制御することにより、ロータを回転駆動
することができる。
【0043】図7に示す実施の形態は、バイアスマグネ
ットを有するタイプの変形例である。この実施の形態
は、図5に示す実施の形態に近いものであるが、円筒形
状のバイアスマグネット29,30が、ステータ側では
なくロータ側すなわち回転体40の外周に、ヨーク17
を挟んでその両側に固着されている。回転体40は非磁
性体からなる。回転体40を含む二つのロータ部は、そ
れぞれ回転体40の外周に嵌合固着された磁性体からな
るリング36,37と、このリング36,37の外周に
固着された円筒状のロータマグネット38,39とを有
してなる。
【0044】図7に示す実施の形態では、バイアスマグ
ネット29−リング36−ロータマグネット38−ステ
ータコア部12−モータケース35−ヨーク19−回転
体40のヨーク17−バイアスマグネット29の順に巡
るバイアス磁束が形成される。また、バイアスマグネッ
ト30−リング37−ロータマグネット39−ステータ
コア部22−モータケース35−ヨーク20−回転体4
0のヨーク17−バイアスマグネット30の順に巡るバ
イアス磁束が形成される。これらバイアス磁束の磁路
は、スラスト軸受用の磁路であって、それぞれステータ
側スラスト軸受用磁路部とロータ側スラスト軸受用磁路
部に分けることができる。したがって、スラスト制御用
コイル18を通電制御することにより、ロータがスラス
ト方向の所定の位置を保持するように制御することがで
きる。
【0045】また、ステータ巻線を構成する第1のステ
ータ巻線と第2のステータ巻線を通電制御することによ
り、ロータを浮上させた状態でラジアル方向に支持する
ことができ、かつ、ロータを回転駆動することができ
る。
【0046】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、ラジアル磁気軸
受とモータとを複合化した磁気浮上モータに、ロータ側
スラスト軸受用磁路部と、このロータ側スラスト軸受用
磁路部を間に挟んで二つのステータ側スラスト軸受用磁
路部を設け、浮上制御磁束を形成するためのバイアスが
ロータ側スラスト軸受用磁路部と二つのステータ側スラ
スト軸受用磁路部との間に形成されるスラスト方向ギャ
ップをともに通過するように構成し、二つのステータ側
スラスト軸受用磁路部の間にスラスト制御用コイルを設
け、スラスト制御用コイルに通電することによりスラス
ト軸受荷重を支持するようにした。そのため、スラスト
磁気軸受も複合化することができ、小型化して軸長を短
くすることが可能になり、高速化を図ることができる。
【0047】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の発明において、ステータコア部を軸方向に二つ並べ
て配置するとともに、この二つのステータコア部の間に
ロータ側スラスト軸受用磁路部と二つのステータ側スラ
スト軸受用磁路部とを形成したため、実質的に二つのモ
ータ部が設けられ、この二つのモータ部のスラスト荷重
を一つのスラスト磁気軸受で支持する構造になり、スラ
スト磁気軸受までも有していながら、大きな出力が得ら
れる割にコンパクトな磁気浮上モータを得ることができ
る。
【0048】請求項3記載の発明によれば、請求項1記
載の発明において、ステータコア部と二つのステータ側
スラスト軸受用磁路部とを軸方向に並べて配置したた
め、スラスト方向の制御力が大きく、スラスト方向の制
御を迅速かつ安定に行うことができる。
【0049】請求項6記載の発明によれば、請求項1記
載の発明において、ロータ側にはステータコア部と対向
して回転トルクを発生させるセグメント型ロータマグネ
ットが配置され、このセグメント型ロータマグネット
は、バイアス磁束を発生させるバイアスマグネットを兼
ねているため、回転トルクを発生させるためのマグネッ
トと、磁気浮上力を発生させるためのマグネットとを別
個に設ける必要がなく、構成の簡略化を図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる磁気浮上モータの実施の形態を
示す縦断面図である。
【図2】本発明にかかる磁気浮上モータの別の実施形態
を示す縦断面図である。
【図3】本発明にかかる磁気浮上モータのさらに別の実
施形態を示す縦断面図である。
【図4】本発明にかかる磁気浮上モータのさらに別の実
施形態を示す縦断面図である。
【図5】本発明にかかる磁気浮上モータのさらに別の実
施形態を示す(a)は横断面図、(b)は縦断面図であ
る。
【図6】本発明にかかる磁気浮上モータのさらに別の実
施形態を示す(a)は横断面図、(b)は縦断面図であ
る。
【図7】本発明にかかる磁気浮上モータのさらに別の実
施形態を示す(a)は横断面図、(b)は縦断面図であ
る。
【符号の説明】
12 ステータコア部 15 ロータマグネット 16 ロータマグネット 18 スラスト制御用コイル 22 ステータコア部 25 バイアスマグネット 26 バイアスマグネット 27 バイアス磁束 28 バイアス磁束 31 ロータ 32 ロータ 50 ロータ 53 ロータマグネット 54 ロータマグネット 55 ステータコア部 56 ステータコア部 59 スラスト制御用コイル 63 ステータ巻線 64 ステータ巻線 65 バイアス磁束 66 バイアス磁束
フロントページの続き Fターム(参考) 3J102 AA01 BA03 BA19 CA19 DA03 DA09 DA28 DA30 GA13 5H607 AA00 BB01 BB14 BB17 BB25 DD01 DD02 DD05 DD16 GG01 GG02 GG19 GG20 HH01 5H621 BB01 BB02 GA04 HH01 JK17 JK19

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性体からなり周面に永久磁石を固着し
    たロータと、このロータを浮上制御するための2極の浮
    上制御磁束を発生する第1のステータ巻線と上記ロータ
    に対して回転磁界を発生させる第2のステータ巻線とを
    巻回したステータコア部とを備えた磁気浮上モータであ
    って、 上記ロータにロータ側スラスト軸受用磁路部を形成する
    とともに、上記ロータ側スラスト軸受用磁路部を間に挟
    んで二つのステータ側スラスト軸受用磁路部を設け、上
    記浮上制御磁束を形成するためのバイアス磁束が上記ロ
    ータ側スラスト軸受用磁路部と二つのステータ側スラス
    ト軸受用磁路部との間に形成されるスラスト方向ギャッ
    プをともに通過するように構成し、上記二つのステータ
    側スラスト軸受用磁路部の間にスラスト制御用コイルを
    設け、上記スラスト制御用コイルに通電することにより
    スラスト軸受荷重を支持することを特徴とする磁気浮上
    モータ。
  2. 【請求項2】 ステータコア部を軸方向に二つ並べて配
    置するとともに、この二つのステータコア部の間にロー
    タ側スラスト軸受用磁路部と二つのステータ側スラスト
    軸受用磁路部とを形成してなる請求項1記載の磁気浮上
    モータ。
  3. 【請求項3】 ステータコア部と二つのステータ側スラ
    スト軸受用磁路部とを軸方向に並べて配置してなる請求
    項1記載の磁気浮上モータ。
  4. 【請求項4】 ロータは、アウタロータ型またはインナ
    ーロータ型のいずれかである請求項1記載の磁気浮上モ
    ータ。
  5. 【請求項5】 バイアス磁束を発生させるバイアスマグ
    ネットがステータ側に配置され、ロータ側にはステータ
    コア部と対向して回転トルクを発生させるリング状ロー
    タマグネットが配置されている請求項1記載の磁気浮上
    モータ。
  6. 【請求項6】 ロータ側にはステータコア部と対向して
    回転トルクを発生させるセグメント型ロータマグネット
    が配置され、このセグメント型ロータマグネットは、バ
    イアス磁束を発生させるバイアスマグネットを兼ねてい
    る請求項1記載の磁気浮上モータ。
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