JP2001190043A - 磁気浮上モータ - Google Patents

磁気浮上モータ

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JP2001190043A
JP2001190043A JP2000000377A JP2000000377A JP2001190043A JP 2001190043 A JP2001190043 A JP 2001190043A JP 2000000377 A JP2000000377 A JP 2000000377A JP 2000000377 A JP2000000377 A JP 2000000377A JP 2001190043 A JP2001190043 A JP 2001190043A
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stator
motor
rotor
stator winding
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Hideki Kanebako
秀樹 金箱
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Sankyo Seiki Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 巻線を容易に巻回することができるようにし
た磁気浮上モータを得る。 【解決手段】 磁性体からなり周面に永久磁石7が固着
されたロータと、このロータの内部から放射状に広がる
磁束を発生する直流磁場発生手段と、ロータを浮上制御
するための2極の浮上制御磁束を発生する第1のステー
タ巻線と、ロータに対して回転磁界を発生させる第2の
ステータ巻線とを備えている。第1のステータ巻線と第
2のステータ巻線とを巻回するモータ側ステータコア3
aは、環状部を構成するための基部37とこの基部の中
央部に突出形成された突極部38とからなる分割コアの
連結体からなり、突極部38に第1のステータ巻線と第
2のステータ巻線とが巻回されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロータを浮上制御
するためのステータ巻線と回転磁界を発生させる第2の
ステータ巻線とを備えた磁気浮上モータに関するもの
で、特にそのステータコア部の構成にかかるものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来広く用いられている接触型の軸受の
ほかに、磁力を利用して回転軸等の回転体を浮上させ、
これを無接触で支持するようにした磁気軸受が用いられ
るようになってきた。磁気軸受を用いれば、軸受部の摩
擦係数がほぼゼロに近いため高速回転が可能になる。ま
た、磁気軸受は潤滑油を必要としないため、高温、低温
あるいは真空中など、特殊環境下での使用が可能とな
り、さらに、メンテナンスを要しないという利点があ
る。そこで、磁気軸受をモータのロータ支持に用いるこ
とが考えられている。
【0003】磁気軸受を有するモータの基本的構成は、
磁気軸受、回転力発生機構すなわちモータ部、磁気軸
受、という順序で、これらを回転軸線方向に配置したも
のである。しかし、このような配置では、モータ部の両
側に磁気軸受を配置するため軸長が増加し、危険速度が
低下するという難点がある。
【0004】そこで、磁気軸受のステータが交流モータ
のステータとほぼ同じ構造であることに着目し、磁気軸
受とモータとを一体化した磁気浮上モータが提案されて
いる。磁気浮上モータの一形式としてハイブリッド型磁
気浮上モータがある。これは、永久磁石を用いてロータ
内部から放射状に広がる一定磁束を作り、ロータの浮上
制御を、一般的な磁気軸受と同様に2極の直流磁場で行
うことができるようにしたものである。ハイブリッド型
磁気浮上モータによれば、永久磁石で一定磁束を作り出
すので、電力を消費することなくバイアス吸引力を発生
させることができ、電磁石は制御力のみを分担すればよ
いという利点がある。
【0005】上記のような磁気浮上モータは、回転トル
ク発生用巻線と浮上力発生用巻線の2種類の巻線を施す
必要がある。加えて、多数の突極に上記2種類の巻線を施
す必要があるため、巻線が面倒である。特に、インナーロ
ータ型磁気浮上モータにおけるステータの場合は、巻線
を施そうとする突極の先端部相互間が狭いため、巻線が
困難であるとともに、線積率を大きくすることが困難で
ある。
【0006】また、磁気浮上モータとともに用いられる
磁気軸受のステータについても同様であり、巻線が困難
であるとともに、磁気軸受特有の磁極間干渉、すなわ
ち、浮上力を発生させるのに必要な突極の磁束が隣接す
る突極に回り込み、これが浮上力発生の阻害要因となる
という問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
従来技術の問題点を解消するためになされたもので、た
とえインナーロータ型であったとしても、巻線を容易に
巻回することができるようにした磁気浮上モータを提供
することを目的とする。
【0008】本発明の他の目的は、磁気軸受特有の磁極
間干渉を低減することができる磁気浮上モータを提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
磁性体からなり周面に永久磁石が固着されたロータと、
このロータの内部から放射状に広がる磁束を発生する直
流磁場発生手段と、ロータを浮上制御するための2極の
浮上制御磁束を発生する第1のステータ巻線と、ロータ
に対して回転磁界を発生させる第2のステータ巻線とを
備えた磁気浮上型モータであって、第1のステータ巻線
と第2のステータ巻線とを巻回するモータ側ステータコ
アは、環状部を構成するための基部とこの基部の中央部
に突出形成された突極部とからなる分割コアの連結体か
らなり、上記突極部に上記第1のステータ巻線と第2の
ステータ巻線とが巻回されていることを特徴とする。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、モータ側ステータコアが軸方向に二つ並べ
られていることを特徴とする。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明において、ステータは、モータ側ステータコアと、第
2のステータ巻線を巻回する磁気軸受側ステータコアと
を有し、この磁気軸受側ステータコアは、環状部を構成
するための基部とこの基部の中央部に突出形成された突
極部とからなる分割コアの連結体からなり、上記突極部
に上記第2のステータ巻線が巻回され、上記分割コア部
の基部同士の対向面に切り欠き部又は非磁性材料が介在
していることを特徴とする。
【0012】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発
明において、磁気軸受側ステータコアにおける上記切り
欠き部又は非磁性材料は、上記分割コアの基部同士の対
向面に1箇所おきに形成されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、
直流磁場発生手段はステータ側に設けられていることを
特徴とする。請求項6記載の発明は、請求項1記載の発
明において、直流磁場発生手段は、ロータ周面に固着さ
れたセグメント型永久磁石が兼ねていることを特徴とす
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
にかかる磁気浮上モータの具体例について説明すること
にするが、その前に、本発明に至る前の段階において本
発明者らが提案した磁気浮上モータの例を説明しなが
ら、いわゆるハイブリッド型磁気浮上モータの原理的構
造と浮上原理などについて説明する。
【0014】図1、図2において、磁気浮上モータ1
は、ロータ2a,2bと、ステータ3a,3bと、直流
磁場発生手段4と、第1のステータ巻線5a,5bと、
第2のステータ巻線6と、ロータに設ける複数の永久磁
石7とを具備し、永久磁石7を備えたロータ2aとステ
ータ3aとの間でモータが構成されている。また、ロー
タ2a,2bとステータ3a,3bとそれぞれの間では
磁気軸受が構成されている。
【0015】ロータ2a,2bは磁性体から構成されて
おり、磁性体からなる回転軸8に所定の間隔を隔てて設
けられている。これらロータ2a,2bのうち、ロータ
2aの周面には複数の永久磁石7が、極性をN,S,
…,S,というように交互に反転して周方向に配置され
ている。これら永久磁石7は、ロータ2aの周面に貼り
付けられている。永久磁石7は、N極が表面に露出する
永久磁石と、S極が表面に露出する永久磁石とが交互に
配置されている。ロータ2a,2bは、渦電流の発生を
防ぐために、ケイ素鋼板を重ねて製作するのが望まし
い。
【0016】ロータ2a,2bの外周側には、ステータ
3a,3bがロータ2a,2bの周面をそれぞれ囲繞す
るように配置されている。ステータ3a,3bには、ロ
ータ2a,2bを浮上制御するための2極の浮上制御磁
束φFを発生する第1のステータ巻線5a,5bがそれ
ぞれ巻き回されている。また、ステータ3aには、第1
のステータ巻線5aに隣接させてロータ2aに対して回
転磁界φKを設定する第2のステータ巻線6が設けられ
ている。
【0017】また、ステータ3a,3bの間には直流磁
場発生手段4が設けられており、この直流磁場発生手段
4によってロータ2a,2bからステータ3a,3bに
向けて放射状に分布する磁束φDを発生させている。こ
の直流磁場発生手段4は、具体的には永久磁石Pであっ
て、ステータ3a,3bの間の中央に配置され、この永
久磁石Pによってロータ2a,2bとステータ3a,3
bとの間隙にバイアスのための直流磁場を発生させてい
る。ここで、バイアス磁束を発生させる直流磁場発生手
段4としての永久磁石Pの数は、特に限定されるもので
はない。しかし、多いほどすなわちギャップ内のバイア
ス磁束が多いほど、浮上電流をより少なくできることか
ら、永久磁石Pの数は可能な限り多くすることが好まし
い。ステータ3a,3bも珪素鋼板の積層材で構成する
ことが好ましい。
【0018】ロータ2a磁極数とステータ3aのスロッ
ト数も特に限定されない。これらはPMモータを構成で
きる数であれば足りるが、磁極数が6極以上、スロット
数が9個以上であることが望ましく、図示の例では磁極
数6、スロット数12で構成されている。
【0019】このような磁気浮上モータの作用につい
て、図1、図2を基に図3及び図4を参照しながら説明
する。図3に、ロータにおける座標系を示す。図3におい
て、ステータ3a,3bの回転中心を0とし横軸をx
軸、これに直角な縦軸をy軸とする。また、ステータ3
a,3bの上に固定した回転座標をθとし、ロータ2
a,2bの角速度をωとし、時間をtとすると、各ステ
ータ3a,3bはy軸から角速度θとして配置されてい
る。また、y軸を時間t=0とすると、t秒後のロータ
2a,2bの位置はωt/Mで求めることができる。
【0020】図4は、ステータ及びロータにおける磁束
と時間との関係を示す。図4(a)はロータの永久磁石
と直流磁場発生手段からのバイアス磁束による磁束密度
Brを時間との関係で示し、図4(b)は第2のステー
タ巻線によってステータとロータとの間隙に発生する磁
束密度Bsmを時間との関係で示し、図4(c)は第1
のステータ巻線による磁束密度Bsbを時間との関係で
示したものである。
【0021】この磁気浮上モータ1では、第1のステー
タ巻線5a,5bから図4(c)に示す磁界が発生する
ように浮上力制御用の第1のステータ巻線5a,5bに
電流を流し、また、回転力発生用の第2のステータ巻線
6から図4(b)に示すような磁界が発生するように第
2のステータ巻線6に電流を流す。これにより、この磁
気浮上モータ1は磁気浮上するとともに、モータとして
回転する。
【0022】このように、第1のステータ巻線5a,5
bから磁束密度Bsbが発生するように電流を流し、第
2のステータ巻線6から磁束密度Bamが発生するよう
に電流を流すことにより、磁気浮上と回転力とが独立し
て発生することについて理論解析するために、次の
(1)〜(6)のような仮定をする。
【0023】(1)ステータ3a,3bは電流が連続的
に分布するものとする。 (2)定常回転、定常スラスト負荷(重力等)状態とす
る。 (3)ロータ2aは、永久磁石によって矩形波状の磁束
密度を作り、これによる偏心力はない。 (4)ロータ2a,2bとステータ3a,3bは中心が
一致し、偏心していない。 (5)バイアス磁束は一定で放射状に分布している。 (6)第2のステータ巻線6に流す回転磁界用の電流に
よる電機子反作用はない。
【0024】このような仮定の上において、ロータ2a
の永久磁石7と直流磁場発生手段4のバイアス磁束によ
る磁束密度Brは、次の数1式のようになる。
【数1】
【0025】ここで、 B0:バイアス磁石によるギャップ磁束密度 B1:ロータの永久磁石による磁束密度の波高値 B2:モータ巻線による磁束密度の波高値 B3:位置制御巻線による磁束密度の波高値 θ:ステータ上に固定した回転座標 ψ:電動機巻線による磁束とロータの位相差 φ:位置制御巻線による磁束の位相角 ω:ロータの角速度 t:時間 M:極対数(=1,2,3,…) i:自然数 計算を簡単にするため、正弦波に近似させると、次の数
2式に示すように表すことができる。
【数2】Br=B0+B1cos(Mθ−ωt)
【0026】第2のステータ巻線6によってロータ2a
とステータ3aとの間に発生する磁束密度Bsmは、
【数3】Bsm=B2cos(Mθ−ωt−ψ) のように表すことができる。
【0027】また、第1のステータ巻線5a,5bによ
って発生する磁束密度Bsbは、
【数4】Bsb=B3cos(θ−φ) のようになる。したがって、ロータ2a,2bとステー
タ3a,3bとの間のエアギャップに作られる磁束密度
Bgは、
【数5】Bg=Br+Bsm+Bsb となる。
【0028】次に、ロータ2a,2bの半径をrとし、
ロータ2a,2bとステータ3a,3bとのエアギャッ
プをgとし、ロータ2a,2bの軸方向の長さをl、微
小角度をdθとすると、エアギャップの微小体積ΔV
は、
【数6】ΔV=rlgdθ となり、この小体積ΔVに蓄えられる磁気エネルギーΔ
Wは、
【数7】 となる。
【0029】これにより、半径方向に沿った放射状の力
dFは微小ギャップ体積中に蓄えられる磁気エネルギー
の仮想変位により次の数8式のように計算される。
【数8】
【0030】ここで、x軸及びy軸方向に発生する力F
x,Fyは、数8式に示すdFのx方向成分及びy方向
成分をθについてギャップ全周にわたって積分すること
により、数9式、数10式に示すように算出することが
できる。
【0031】
【数9】
【0032】
【数10】
【0033】ここで、M≧3とすると、
【数11】
【数12】 となり、ロータ2a,2bの回転角に関係なく一定の浮
上力が得られる。数11式のx方向の浮上力も、数12
式のy方向の浮上力も、ロータ2aの永久磁石の磁束密
度及び第2のステータ巻線6による磁束密度の項が現れ
ていないことから、磁気浮上力は第2のステータ巻線6
によって形成される回転磁界の影響を受けないことがわ
かる。
【0034】一方、回転トルクTは、
【数13】 に示すように求められる。ここで、M≧2とすると、回
転トルクTは、
【数14】 となり、直流磁場発生手段4で発生するバイアス磁界に
よるエアギャップ磁束密度、及び第1のステータ巻線5
a,5bによる磁束密度の項が現れないため、バイアス
磁界及び浮上磁界の影響を受けないことがわかる。
【0035】ここまで説明してきた磁気浮上モータの例
は、本出願人が先に出願した特願平10−355124
号の明細書及び図面に記載されているものであって、ま
だ公開されていない。上記磁気浮上モータによれば、次
のような利点がある。 (1)磁気軸受とモータの磁気回路とが一体化されてい
るため、磁気浮上モータ全体がコンパクトになり、軸長
を短くすることができるため危険速度を高めることがで
き、高速回転が可能となる。 (2)負荷トルク及びモータ電流によって磁気浮上制御
が影響を受けず、より安定した浮上を実現することがで
きる。 (3)磁気浮上制御は回転磁界によって行うものではな
いため、座標変換が不要になり、制御系が簡単になる。 (4)ホモポーラ型磁気浮上モータでは突極型で最低8
極が必要であるが、上記の例にかかる磁気浮上モータで
は、最低6極で構成することができ、構造が簡単にな
る。 (5)直流磁場発生手段に永久磁石を使用することが可
能であり、磁場発生のための電力を必要としない。
【0036】本願発明は、上記ハイブリッド型磁気浮上
モータに改良を加え、ステータ突極への巻線の容易化を
図るとともに、磁気軸受特有の磁極間の干渉を低減する
ことができるようにしたものである。 以下、本発明にかかる磁気浮上モータの実施の形態につ
いて説明する。
【0037】まず、第1の実施の形態について説明する
が、この実施の形態は、全体の構成としては図1ないし図
4について説明した磁気浮上モータの構成に近いもので
あり、ステータコアの構成に特徴があるので、ステータコ
アの構成について重点的に説明する。 図5は、磁気浮上型モータのモータ側ステータコアを示
す。図5において、符号35は円筒状のモータケースを示
す。モータケース35の内周側には、前記モータ側のス
テータ3aが嵌められて固定されている。このステータ
3aは、複数の分割コアの連結体からなる。この分割コ
アの一つを図6に示す。図6に示すように、分割コア
は、これが複数個連結されることによって環状部を構成
するための基部37と、この基部の中央部に突出形成さ
れた突極部38とからなり、表面又は裏面側から見てT
字状になっている。
【0038】図5の例では、上記分割コアを12個、上
記基部37の端面を相互に突き当てることによって、分
割コアの連結体が構成され、上記12個の分割コアの基
部37によって環状部が構成されている。この実施の形
態にかかる磁気浮上モータはインナーロータ型で、各分
割コアの突極部38は回転中心に向いており、各突極部
38の先端部相互が接近し、相互の間隙はごく僅かとな
っている。前述のとおり、各突極部38には、第1のス
テータ巻線と第2のステータ巻線とを巻回するようにな
っているが、上記のように、各突極部38の先端部相互
が接近していると、巻線作業が困難になる。そこで、各
分割コアを連結する前に、個々の突極部38に巻線を施
し、その後分割コアを上記のように連結して連結体を構
成すれば、巻線をきわめて容易に施すことができる。
【0039】上記分割コアの連結体はモータ側ステータ
コア3aを構成することになり、このステータコア3a
がモータケース35の内周側に嵌められて固定される。
上記各突極38に巻回された第1のステータ巻線および
第2のステータ巻線は、所定の回路を構成するように結
線され、図1ないし図4について説明したとおり、第1
のステータ巻線は、ロータを浮上制御するための2極の
浮上制御磁束を発生し、第2のステータ巻線は、ロータ
に対して回転磁界を発生し回転トルクを得るようになっ
ている。
【0040】図7は、図1ないし図4について説明した
ような磁気浮上型モータにおける磁気軸受側のステータ
コアを示す。図7において、モータケース35の内周側に
は、前記磁気軸受側のステータ3bが嵌められて固定さ
れている。このステータ3bは、複数の分割コアの連結
体からなる。各分割コアの形状は図6に示す分割コアの
形状と同じで、複数個連結されることによって環状部を
構成するための基部40と、この基部の中央部に突出形
成された突極部41とからなる。各突極部41にはロー
タに対して回転磁界を発生させる第2のステータ巻線が
巻回されている。
【0041】上記磁気軸受側のステータ3bの構成は図
5に示すモータ側ステータコア3aの構成と同じで、突
極部41に巻回される巻線が異なる。この場合も、各分
割コアを連結する前に、個々の突極部41に巻線を施
し、その後分割コアを上記のように連結して連結体を構
成すれば、巻線をきわめて容易に施すことができる。
【0042】磁気軸受側のステータ3bにおいては、図
8に示すように、第1のステータ巻線によって、ロータ
を浮上制御するために2極の浮上制御磁束が発生する。
この浮上制御磁束は、互いに隣接する二つの分割コアを
通って循環し、その向きは一定である。そして、この浮
上制御磁束が上記の互いに隣接する二つの分割コア以外
のコアに分流すると、一つの突極41において磁束が干
渉し合い、磁気浮上力発生の阻害要因となる。そこで、
図8に示す例では、複数の分割コアからなる磁気軸受側
ステータコア3bの、上記分割コアの基部40同士の対
向面に切り欠き部8を設けて磁気飽和させている。ただ
し、切り欠き部8は、2極の浮上制御磁束の通り道に存
在することのないように、分割コアの基部40同士の対
向面に1箇所おきに形成され、磁気浮上力発生の阻害要
因となる磁束の通り道に存在して磁気飽和させ、磁気浮
上力発生の阻害要因となる磁束を低減させている。
【0043】このように、図8に示す例によれば、分割
コアの基部40同士の対向面に切り欠き部8を設けて磁
気飽和させるようになっているため、浮上制御磁束の磁
極間干渉が回避され、磁気浮上力発生の阻害要因となる
磁束が低減され、浮上力を効率よく得ることができる。
【0044】浮上制御磁束の磁極間干渉を回避するため
の構成として、図9に示すような構成をとることもでき
る。図9に示す例における分割コアは、基本的には図8
に示す例における分割コアと同じ構成で、環状部を構成
するための基部40とこの基部の中央部に突出形成され
た突極部41とからなる。図9に示す例が図8に示す例
と異なる点は、磁気飽和させるための手段として図8に
示す例では切り欠き8を形成していたのに対し、図9に
示す例では、上記切り欠き8の代わりに、分割コアの基
部40同士の対向面に非磁性材料9を介在させている。
当然ながら、非磁性材料9は、分割コアの基部40同士
の対向面に1箇所おきに介在して、磁気浮上力発生の阻
害要因となる磁束の通り道に存在、磁気浮上力発生の阻
害要因となる磁束を低減させている。図9に示す例によ
っても、図8に示す例の場合と同様の効果を得ることが
できる。
【0045】図8、図9に示す例によれば、一つ一つの
分割コアは表裏方向から見ると、突極部から左右に延び
る基部の長さが左右で異なり、非対称となっており、一
つの分割コアとこれに隣接する分割コアとの形状が異な
っている。したがって、2種類の分割コアを作る必要が
ある。そこで、図10に示す例のように、一つの分割コ
アに対し、その一方側の基部40に連結される別の分割
コアの基部40との間には非磁性材料9を介在させ、上
記一つの分割コアに対し、その他方側の基部40に連結
される別の分割コアの基部40との間には磁性材料10
を介在させるとよい。こうすれば、全ての分割コアが同
一形状となり、1種類の分割コアを作ればよいことにな
る。
【0046】ここまで説明してきた実施の形態は、図1
ないし図4について説明したように、磁気軸受を兼ねた
モータ部と磁気軸受部とが軸方向に並んで形成されてい
る。したがって、ステータコアに着目すると、モータ側
ステータコアと磁気軸受側ステータコアとが軸方向に並
んで配置されている。しかし、磁気軸受を兼ねたモータ
部を二つ、したがって、モータ側ステータコアを二つ軸
方向に並べて配置してもよい。このような構成の実施の
形態を図11以下に示す。
【0047】図11、図12において、円筒状モータケ
ース35の内周側には二つのステータコア部11,21
と、二つのロータ31,32からなる二つの磁気浮上型
モータ部が配置されている。上記二つのステータコア部
11,21は、それぞれステータコア12,22と、ス
テータ巻線13,23とを有してなる。各ステータコア
12,22は同一構成の積層コアであり、珪素鋼板の積
層体で構成するのが望ましい。図12に示す例では、各
ステータコア12,22は12個の分割コアの連結体か
らなる。各分割コアの構成は、図6について説明した分
割コアの構成と実質同一であって、ステータコア12,
22の環状部を構成するための基部43,45と、この
基部43,45の中央部に突出形成された突極部44,
46とを有してなる。上記分割コアの連結体からなるス
テータコア12,22は、モータケース35の内周面に
固定されている。
【0048】ステータコア12,22の各突極部44,
46にはステータ巻線13,23が巻き回されている。
各ステータ巻線13,23は、各ロータ31,32を浮
上制御するための2極の浮上制御磁束を発生する第1の
ステータ巻線と、各ロータ31,32に対して回転磁界
を発生させる第2のステータ巻線とを有してなるが、図
12には明示されていない。
【0049】上記二つのロータ31,32は、軸状に構
成された共通の回転体50の軸方向において異なる位置
に配置されていて、これにより、二つの磁気浮上型モー
タ部11,21が軸方向に配置された形になっている。
各ロータ31,32を構成する上記回転体50は磁性体
からなり、それぞれのロータ31,32の外周にはセグ
メント型永久磁石33,34が固着されている。図12に
示す例では、上記セグメント型永久磁石33,34は円
筒を分割した形の4個の永久磁石からなり、このセグメ
ント型永久磁石33,34が回転体50の周方向に一定
間隔で、かつ、ステータコア12,22の突極の内周端
面と適宜の間隙をおいて対向させて配置されている。
【0050】上記セグメント型永久磁石33,34の極
性は、上記二つの磁気浮上型モータ部11,21におい
て互いに逆極性の関係で固着されている。図11の例で
は、一方側すなわち左側のセグメント型永久磁石33の
ステータコア12に面した側をS極、回転体50側をN
極、他方側すなわち右側のセグメント型永久磁石34の
ステータコア22に面した側をN極、回転体50側をS
極としてなる。したがって、一方のセグメント型永久磁
石33の内周側から出た磁束は、磁性体からなる回転体
50を通って他方のセグメント型永久磁石34に入り、
他方のセグメント型永久磁石34の外周から出た磁束
は、間隙を通って他方のステータコア22、モータケー
ス35、一方のステータコア12、間隙を通って一方の
セグメント型永久磁石33に戻る。
【0051】上記二つのセグメント型永久磁石33、3
4は、第2のステータ巻線によって発生する回転磁界と
協働して、ロータ31,32に同じ向きの回転力を発生
させるための磁束を発生させる。また、上記二つのセグ
メント型永久磁石33、34は、第1のステータ巻線に
よって発生する2極の浮上制御磁束と協働してロータ3
1,32を浮上制御するために、ロータ31,32の内
部から放射状に広がる直流磁場を発生するバイアス磁石
としても機能する。なお、回転力発生原理及び浮上力発
生原理は、図1ないし図4について説明したものの回転
力発生原理及び浮上力発生原理と同じであるから説明は
省略する。
【0052】上記の実施の形態も、ステータコア12,
22は、環状部を構成するための基部43,45とこの
基部43,45の中央部に突出形成された突極部44,
46とからなる分割コアの連結体からなり、上記突極部
44,46に第1のステータ巻線と第2のステータ巻線
とを巻回するようになっているため、たとえ上記のよう
なインナーロータ型の磁気浮上モータであったとして
も、分割されたコアの状態で巻線を施すことにより、巻
線を容易に巻回することができる。
【0053】また、上記実施の形態によれば、二つのロ
ータ31,32の周面に、それぞれセグメント型永久磁
石33、34を互いに逆極性の関係で固着し、これらの
セグメント型永久磁石33、34を、回転力を発生させ
る永久磁石として、また、ロータ31,32を浮上させ
るための直流磁場発生手段を兼ねさせているため、浮上
力発生用直流磁場発生手段としての永久磁石を、回転力
発生用永久磁石のほかに特別に設ける必要がなくなり、
組立工数の低減、小型化、コストの低減および構成の自
由度の向上を図ることができる。
【0054】なお、図11において、二つの磁気浮上型
モータ部11,21を挟んだ両側には、回転体50と一
体に設けられた被検出体と対向して隙間センサ15,2
5が配置されている。これらの隙間センサ15,25で
検出される上記被検出体との隙間が一定になるように、
浮上力発生用の第1のステータ巻線への通電を制御す
る。これにより、回転体50、ロータ31,32を含む
回転部分を無接触で支持することができる。図11にお
いては、回転体50の両端部がモータケース35に設け
られた軸受で支持されているように見えるが、ロータの
回転中は、上記のように浮上力発生用の第1のステータ
巻線への通電制御により磁気的浮上力が発生し、かつ、
この浮上力が制御されるため、回転体50は軸受に接触
することなく回転する。
【0055】二つのロータ31,32に固着されている
セグメント型永久磁石33,34の回転方向の位置関係
は、図12に示す例では互いに同じ位置関係になってい
るが、図13の(a)と(b)に示すように、互いにず
れていてもよい。この場合、当然のことながら、第1の
ステータ巻線と第2のステータ巻線に流す電流の位相関
係も、図12の(a)と(b)に示す例のものとは二つ
のロータ31,32相互間でずれることになる。
【0056】図11ないし図13に示す実施の形態にお
いも、ステータコアが、環状部を構成するための基部と
この基部の中央部に突出形成された突極部とからなる分
割コアの連結体からなっているため、たとえインナーロ
ータ型であったとしても、巻線を容易に巻回することが
できる。また、回転力と浮上力とを発生する磁気浮上型
モータ部が軸方向に2個連結された形で配置されている
ため、モータ出力を大きくすることができるとともに、
軸方向においてバランスのよい浮上力を得ることができ
る。
【0057】本発明は、図示の例のようなインナーロー
タ型モータに限らず、アウターロータ型モータにも適用
可能であり、アウターロータ型モータに適用した場合も
同様の効果を得ることができる。
【0058】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、磁性体からなり
周面に永久磁石が固着されたロータと、このロータの内
部から放射状に広がる磁束を発生する直流磁場発生手段
と、ロータを浮上制御するための2極の浮上制御磁束を
発生する第1のステータ巻線と、ロータに対して回転磁
界を発生させる第2のステータ巻線とを備えた磁気浮上
型モータであって、第1のステータ巻線と第2のステー
タ巻線とを巻回するモータ側ステータコアは、環状部を
構成するための基部とこの基部の中央部に突出形成され
た突極部とからなる分割コアの連結体からなり、上記突
極部に上記第1のステータ巻線と第2のステータ巻線と
が巻回されている。そのため、各分割コアを連結する前
に、個々の突極部に巻線を施し、その後分割コアを連結
して連結体を構成すればよく、巻線をきわめて容易に施
すことができる。
【0059】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、モータ側ステータコアが軸方向に二つ並べ
られている。そのため、磁気浮上モータが軸方向に二つ
並べて配置されたことことになり、モータの出力を高め
ることができる。
【0060】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明において、ステータは、モータ側ステータコアと、第
2のステータ巻線を巻回する磁気軸受側ステータコアと
を有し、この磁気軸受側ステータコアは、環状部を構成
するための基部とこの基部の中央部に突出形成された突
極部とからなる分割コアの連結体からなり、上記突極部
に上記第2のステータ巻線が巻回され、上記分割コア部
の基部同士の対向面に切り欠き部又は非磁性材料が介在
している。また、請求項4記載の発明は、請求項3記載
の発明において、磁気軸受側ステータコアにおける上記
切り欠き部又は非磁性材料は、上記分割コアの基部同士
の対向面に1箇所おきに形成されている。そのため、請
求項3又は4記載の発明によれば、浮上制御磁束の磁極
間干渉が回避され、磁気浮上力発生の阻害要因となる磁
束が減少し、浮上力を効率よく得ることができる。
【0061】請求項6記載の発明は、請求項1記載の発
明において、直流磁場発生手段は、ロータ周面に固着さ
れたセグメント型永久磁石が兼ねている。そのため、浮
上力発生用直流磁場発生手段としての永久磁石を、回転
力発生用永久磁石のほかに特別に設ける必要がなくな
り、組立工数の低減、小型化、コストの低減および構成
の自由度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に先行して提案した磁気浮上型モータの
浮上原理を説明するための磁気浮上型モータ部を示す横
断面図である。
【図2】同上磁気浮上型モータの縦断面図である。
【図3】同上磁気浮上型モータの座標系を設定するため
の説明図である。
【図4】同上磁気浮上型モータに発生する磁束密度を説
明するための特性図で、(a)はロータの永久磁石と直
流磁場発生手段からのバイアス磁束による磁束密度を時
間との関係で示したもの、(b)は第2のステータ巻線
によってステータとロータとの間隙に発生する磁束密度
を時間との関係で示したもの、(c)は第1のステータ
巻線による磁束密度を時間との関係で示したものであ
る。
【図5】本発明にかかる磁気浮上モータの実施形態のモ
ータ側を示す縦断面図である。
【図6】同上実施形態中の分割コアを示す正面図であ
る。
【図7】上記実施形態の磁気軸受側を示す断面図であ
る。
【図8】磁気軸受側の変形例を示す断面図である。
【図9】磁気軸受側の別の変形例を示す断面図である。
【図10】磁気軸受側のさらに別の変形例を示す断面図
である。
【図11】本発明にかかる磁気浮上モータの別の実施形
態を示す縦断面図である。
【図12】上記実施形態の(a)は一方の磁気浮上型モ
ータ部を示す横断面図、(b)は他方の磁気浮上型モー
タ部を示す横断面図である。
【図13】本発明にかかる磁気浮上モータのさらに別の
実施形態を示す(a)は一方の磁気浮上型モータ部を示
す横断面図、(b)は他方の磁気浮上型モータ部を示す
横断面図である。
【符号の説明】
11 ステータコア部 12 ステータコア 13 ステータコア巻線 21 ステータコア部 22 ステータコア 23 ステータコア巻線 31 ロータ 32 ロータ 33 セグメント型永久磁石 34 セグメント型永久磁石 35 モータケース 43 セグメント型永久磁石 44 セグメント型永久磁石

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性体からなり周面に永久磁石が固着さ
    れたロータと、このロータの内部から放射状に広がる磁
    束を発生する直流磁場発生手段と、上記ロータを浮上制
    御するための2極の浮上制御磁束を発生する第1のステ
    ータ巻線と、上記ロータに対して回転磁界を発生させる
    第2のステータ巻線とを備えた磁気浮上型モータであっ
    て、上記第1のステータ巻線と第2のステータ巻線とを
    巻回するモータ側ステータコアは、環状部を構成するた
    めの基部とこの基部の中央部に突出形成された突極部と
    からなる分割コアの連結体からなり、上記突極部に上記
    第1のステータ巻線と第2のステータ巻線とが巻回され
    ていることを特徴とする磁気浮上モータ。
  2. 【請求項2】 上記モータ側ステータコアが軸方向に二
    つ並べられている請求項1記載の磁気浮上モータ。
  3. 【請求項3】 ステータは、上記モータ側ステータコア
    と、上記第2のステータ巻線を巻回する磁気軸受側ステ
    ータコアとを有し、この磁気軸受側ステータコアは、環
    状部を構成するための基部とこの基部の中央部に突出形
    成された突極部とからなる分割コアの連結体からなり、
    上記突極部に上記第2のステータ巻線が巻回され、上記
    分割コアの基部同士の対向面に切り欠き部又は非磁性材
    料が介在している請求項1記載の磁気浮上モータ。
  4. 【請求項4】 上記磁気軸受側ステータコアにおける上
    記切り欠き部又は非磁性材料は、上記分割コアの基部同
    士の対向面に1箇所おきに形成されている請求項3記載
    の磁気浮上モータ。
  5. 【請求項5】 上記直流磁場発生手段はステータ側に設
    けられている請求項1記載の磁気浮上モータ。
  6. 【請求項6】 上記直流磁場発生手段は、上記ロータ周
    面に固着されたセグメント型永久磁石が兼ねている請求
    項1記載の磁気浮上モータ。
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