JP2001187804A - シンジオタクチックスチレン/p−アルキルスチレン共重合体のグラフト共重合体 - Google Patents

シンジオタクチックスチレン/p−アルキルスチレン共重合体のグラフト共重合体

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JP2001187804A
JP2001187804A JP37525099A JP37525099A JP2001187804A JP 2001187804 A JP2001187804 A JP 2001187804A JP 37525099 A JP37525099 A JP 37525099A JP 37525099 A JP37525099 A JP 37525099A JP 2001187804 A JP2001187804 A JP 2001187804A
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Kinen Ri
季燃 李
Keisei Sai
敬誠 蔡
Juyu Chin
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Ihei Cho
偉平 趙
Hakuhei O
伯萍 王
Eimo Chin
英茂 陳
Kaibai Shu
懐梅 周
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 他の重合体との相溶性に優れると共に、重合
体を混合する際の相溶剤としても有用なシンジオタクチ
ックスチレン/p−アルキルスチレン共重合体のグラフ
ト共重合体を提供する。 【解決手段】 化学式(I): 【化1】 (式中、R1及びR2は同一または異なって、水素、アル
キル、第一級ハロアルキル及び第二級ハロアルキルより
なる群から選択される少なくとも一種であり、Xは、ハ
ロゲン、金属、酸素、硫黄、ケイ素、窒素、炭素、及び
リンよりなる群から選択される少なくとも一種を含む官
能基であり、Yは重合体部分であり、aは10〜300
00の整数、bは0〜30000の整数、cは0〜30
000の整数、dは1〜30000の整数である)で表
されるシンジオタクチックスチレン/p−スチレン共重
合体のグラフト共重合体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シンジオタクチッ
クスチレン/p−アルキルスチレン共重合体のグラフト
共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】シンジオタクチックポリスチレン(sP
S)は、産業上広く使用されているが、他の材料(例え
ばPC回路基板の銅等)との接着性に劣る他、他の官能
性重合体との相溶性にも乏しい等の欠点を抱えている。
そこで、従来のシンジオタクチックポリスチレンの物理
的性質を改良すべく種々の提案がなされている。
【0003】Chungらは米国特許第5,543,4
84号において、α−オレフィンとp−アルキルスチレ
ンの官能基化共重合体を開示している。同公報によれ
ば、先ず、α−オレフィンとp−アルキルスチレンを共
重合させる。p−アルキルスチレンをα−オレフィン重
合体中に導入することにより、ベンジルプロトンが得ら
れるが、このベンジルプロトンは温和な反応条件下でも
容易に種々の化学反応を誘発することができるので、こ
のベンジル位に官能基を導入すればよい。次いで、α−
オレフィン/p−アルキルスチレン共重合体を官能基化
反応に付し、p−アルキルスチレン位にあるベンジルプ
ロトンを官能基化させる。この様な官能基化により、従
来のオレフィン重合体の物理的性質を改善するものであ
る。
【0004】また、Powersらは米国特許第5,5
48,029号において、p−アルキルスチレンとイソ
オレフィンのグラフト共重合体を開示している。この公
報は、上記と同様の方法により、先ずイソオレフィンと
p−アルキルスチレンを共重合させた後、得られたp−
アルキルスチレン/イソオレフィン共重合体を更に官能
基化反応に付すことにより、p−アルキルスチレン位の
ベンジルプロトンを官能基化させるものであり、かかる
官能基化反応により、従来のイソオレフィン重合体の物
理的性質を改善するものである。
【0005】更に上記Powersらの発明において、
イソオレフィン/p−アルキルスチレン共重合体と他の
重合体(例えば熱可塑性重合体等)の相溶性を改善する
為にグラフト技術を適用し、熱可塑性重合体部分を官能
基化した共重合体にグラフト重合することもできる。こ
の様にして得られたグラフト共重合体は、重合体の混合
物を相溶化する為の相溶剤として使用することができ
る。
【0006】しかしながら、シンジオタクチックスチレ
ン/p−アルキルスチレン共重合体のグラフト共重合体
については未だ提供されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたものであり、その目的は、シンジオタクチ
ックスチレン重合体に比べ、他の重合体との相溶性に優
れているのみならず;重合体を混合する際の相溶剤とし
ても有用であり、他の重合体との混合時における相溶性
を改善し得る結果、混合時の耐衝撃性・伸びを向上させ
ると共に;もとの重合体の物理的性質を維持し得る、シ
ンジオタクチックスチレン/p−アルキルスチレン共重
合体のグラフト共重合体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決する為の手段】上記課題を解決し得た本発
明のシンジオタクチックスチレン/p−アルキルスチレ
ン共重合体のグラフト共重合体とは、下記化学式
(I):
【0009】
【化2】
【0010】(式中、R1及びR2は同一または異なっ
て、水素、アルキル、第一級ハロアルキル及び第二級ハ
ロアルキルよりなる群から選択される少なくとも一種で
あり、Xは、ハロゲン、金属、酸素、硫黄、ケイ素、窒
素、炭素、及びリンよりなる群から選択される少なくと
も一種を含む官能基であり、Yは重合体部分であり、a
は10〜30000の整数、bは0〜30000の整
数、cは0〜30000の整数、dは1〜30000の
整数である)で表されるところに要旨を有する。
【0011】ここで、Xが、ハロゲン;アルカリ金属ま
たはアルカリ土類金属;アルコキシド、フェノキシド、
及びカルボン酸塩よりなる群から選択される少なくとも
一種;チオラート、チオフェノラート、チオエーテル、
チオカルボン酸塩、ジチオカルボン酸塩、チオ尿素、ジ
チオカルバメート、キサントゲン酸塩、及びチオシアン
酸塩よりなる群から選択される少なくとも一種;シラン
及びハロシランよりなる群から選択される少なくとも一
種;マロン酸塩、シアン化物、及びCR3 3(R 3は有機
基)よりなる群から選択される少なくとも一種;アミ
ド、アミン、カルバゾール、フタルイミド、ピリジン、
マレイミド、及びシアン酸塩よりなる群から選択される
少なくとも一種;ホスフィンであるものは本発明の好ま
しい態様である。
【0012】また、Yは、アニオン重合性単量体(より
好ましくは、共役性ジエン、ビニル芳香族化合物、ビニ
ル不飽和アミド、アセナフチレン、9−アクリルカルバ
ゾール、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、有機
イソシアン酸エステル、アクリル酸塩、メタクリル酸
塩、アルキルアクリレート、メタクリル酸アルキル、メ
タクリル酸グリシジル、及びビニルピリジンよりなる群
から選択される少なくとも一種)、カチオン重合性単量
体(より好ましくは、ビニル芳香族化合物、ビニルエー
テル、N−ビニルカルバゾール、及びイソブテンよりな
る群から選択される少なくとも一種)、アニオン開環性
及びカチオン開環性単量体(より好ましくは、環状エー
テル、硫化物、ラクトン、ラクタム、N−カルボン酸無
水物、及び環状酸無水物よりなる群から選択される少な
くとも一種)、並びにラジカル重合性単量体(より好ま
しくは、ビニル芳香族化合物、共役性ジエン、アクリル
酸塩、メタクリル酸塩、アルキルアクリレート、メタク
リル酸アルキル、及び酢酸ビニルよりなる群から選択さ
れる少なくとも一種)よりなる群から選択される少なく
とも一種の単量体を含むものであることが推奨される。
【0013】また、上記共重合体において、R1及びR2
は同一または異なって、水素、炭素数1〜5個のアルキ
ル、炭素数1〜5個の第一級ハロアルキル及び炭素数1
〜5個の第二級ハロアルキルよりなる群から選択される
少なくとも一種であるものは本発明の好ましい態様であ
る。
【0014】更に本発明では、メタロセン触媒の存在下
に重合反応して得られる上記共重合体もその範囲内に包
含される。
【0015】上記共重合体の数平均分子量は少なくとも
1000以上であることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】まず、本発明に用いられる用語の
定義について説明する。
【0017】本発明に記載の「アルキル」、並びに「第
一級ハロアルキル」、「第二級ハロアルキル」、「アル
コキシド」、「アルキルアクリレート」及び「メタクリ
ル酸アルキル」におけるアルキル部分中の「アルキル」
は、炭素数1〜5個のアルキルが好ましく、これらは直
鎖状または分岐状であっても良い。具体的には例えば、
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s
ec−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、ペンチ
ル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル
等が挙げられる。
【0018】また、本発明に用いられる「ハロゲン」、
並びに「ハロシラン」、「第一級ハロアルキル」及び
「第二級ハロアルキル」におけるハロゲン部分中の「ハ
ロゲン」としてはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げ
られる。
【0019】次に、本発明の官能基化したシンジオタク
チックスチレン/p−アルキルスチレン共重合体につい
て説明する。本発明の共重合体は上記式(I)で表され
る通りであり、式中、Xは、ハロゲン、金属、酸素、硫
黄、ケイ素、窒素、炭素、及びリンよりなる群から選択
される少なくとも一種を含む官能基である。具体的には
上記Xとして、以下の態様が挙げられる。
【0020】まず、金属を含有する官能基としては、ア
ルカリ金属(Li,Na等)、アルカリ土類金属(M
g,Ca等)等が挙げられる。
【0021】また、酸素を含有する官能基としては、ア
ルコキシド、フェノキシド、カルボン酸塩等が挙げら
れ、これらは、ベンジル上のハロゲンイオン(後記す
る)をOで置換することにより得られる。
【0022】硫黄を含有する官能基としては、チオラー
ト、チオフェノラート、チオエーテル、チオカルボン酸
塩、ジチオカルボン酸塩、チオ尿素、ジチオカルバメー
ト、キサントゲン酸塩、チオシアン酸塩等が挙げられ、
これらは、ベンジル上のハロゲンイオンをSで置換する
ことにより得られる。
【0023】ケイ素を含有する官能基としては、シラ
ン、ハロシラン等が挙げられ、これらは、ベンジル上の
ハロゲンイオンをSiで置換することにより得られる。
【0024】炭素を含有する官能基としては、マロン酸
塩、シアン化物、CR345(R3,R4及びR5は、同
一または異なって有機基である)等が挙げられ、これら
は、ベンジル上のハロゲンイオンをCで置換することに
より得られる。
【0025】窒素を含有する官能基としては、アミド、
アミン、カルバゾール、フタルイミド、ピリジン、マレ
イミド、シアン酸塩等が挙げられ、これらは、ベンジル
上のハロゲンイオンをPで置換することにより得られ
る。
【0026】リンを含有する官能基としては、ホスフィ
ン等が挙げられ、ベンジル上のハロゲンイオンをPで置
換することにより得られる。
【0027】また、式(I)で表されるグラフト共重合
体中、Yは重合体部分(重合体、共重合体)であり、具
体的には、アニオン重合性単量体、カチオン重合性単量
体、アニオン開環性及びカチオン開環性単量体、及びラ
ジカル重合性単量体よりなる群から選択される少なくと
も一種の単量体を含むものであることが推奨される。
【0028】上記のアニオン重合性単量体として好まし
いのは、共役性ジエン[1,3−アルカンジエン(ブタ
ジエン、イソプレン等)]、ビニル芳香族化合物(スチ
レン、ビニルトルエン、メトキシスチレン、ジビニルベ
ンゼン、クロルスチレン、ジクロロスチレン、α−ビニ
ルナフタレン等)、ビニル不飽和アミド(ビニル尿素
等)、アセナフチレン、9−アクリルカルバゾール、ア
クリロニトリル、メタクリロニトリル、有機イソシアン
酸エステル(ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェ
ニルメタン−4,4−ジイソシアネート、2,4−トリ
レンジイソシアネート等)、アクリル酸塩、メタクリル
酸塩、アルキルアクリレート(アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル等)、メタクリル酸アルキル(メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル等)、メタクリル酸グリ
シジル、及びビニルピリジンよりなる群から選択される
少なくとも一種である。
【0029】上記のカチオン重合性単量体として好まし
いのは、ビニル芳香族化合物(スチレン、ビニルトルエ
ン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、クロルスチ
レン、ジクロロスチレン、α−ビニルナフタレン等)、
ビニルエーテル(ビニルメチルエーテル、ビニルエチル
エーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニル
エーテル、イソブチルビニルエーテル等)、N−ビニル
カルバゾール、及びイソブテンよりなる群から選択され
る少なくとも一種である。
【0030】上記のアニオン開環性及びカチオン開環性
単量体として好ましいのは、環状エーテル(テトラヒド
ロフラン、トリオキサン等)、硫化物、ラクトン(α−
ラクトン、β−ラクトン、γ−ラクトン、σ−ラクトン
等)、ラクタム(ε−カプロラクタム、ω−ε−ラウロ
ラクタム等)、N−カルボン酸無水物(無水フタル酸、
テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸
等)、及び環状酸無水物(無水メチルナジック酸等)よ
りなる群から選択される少なくとも一種である。
【0031】上記のラジカル重合性単量体として好まし
いのは、ビニル芳香族化合物(スチレン、ビニルトルエ
ン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、クロルスチ
レン、ジクロロスチレン、α−ビニルナフタレン等)、
共役性ジエン[1,3−アルカンジエン(ブタジエン、
イソプレン等)]、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、ア
ルキルアクリレート(アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル等)、メタクリル酸アルキル(メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル等)、及び酢酸ビニルよりなる
群から選択される少なくとも一種である。
【0032】また、式(I)中のa,b及びcは、a:
10〜30000の整数、b:0〜30000の整数、
c:0〜30000の整数、d:1〜30000の整数
である。
【0033】以下、本発明に係るシンジオタクチックス
チレン/p−アルキルスチレン共重合体のグラフト共重
合体につき、一般的な製造方法を説明する。
【0034】グラフト技術は、一般に「graft−f
rom」技術と「graft−on」技術の2種類に分
けられる。このうち前者の「graft−from」技
術は、シンジオタクチックスチレン/p−アルキルスチ
レン共重合体及び単量体を、アニオン重合、カチオン重
合、アニオンの開環重合若しくはカチオンの開環重合、
またはラジカル重合の反応に付すというものである。例
えば、「graft−from」技術におけるアニオン
重合反応は
【0035】
【化3】
【0036】で表わされる。また、官能基化(例えば臭
素化)したシンジオタクチックスチレン/p−アルキル
スチレン共重合体と単量体のカチオン重合反応は
【0037】
【化4】
【0038】で表わされる。更に、官能基化(例えば臭
素化)したシンジオタクチックスチレン/p−アルキル
スチレン共重合体と単量体のフリーラジカル重合反応は
【0039】
【化5】
【0040】で表される。
【0041】これに対し、後者の「Graft−on」
技術は、官能基化したシンジオタクチックスチレン/p
−アルキルスチレン共重合体と、該共重合体中の官能基
と反応し得る重合体を反応させ、該重合体を上記官能基
化したシンジオタクチックスチレン/p−アルキルスチ
レン共重合体に結合させることによりグラフト重合体を
得るものである。
【0042】以下、本発明に係る官能基化したシンジオ
タクチックスチレン/p−アルキルスチレン共重合体に
つき、代表的な製造法であるスチレンとp−メチルスチ
レンの反応を例に挙げて詳細に説明する。この製造法は
本発明の代表例を掲げたものであり、これに限定する趣
旨で決してない。
【0043】先ず、触媒としてメタロセンを用い、スチ
レン及びp−アルキルスチレンの単量体を共重合させ
る。この触媒系には、メチルアルミノキサン等の活性化
共触媒を更に含有しても良い。
【0044】
【化6】
【0045】式中、x及びyは、対応する単量体のモル
分率(%)を夫々表わし、x+y=100である。
【0046】上記メタロセン触媒としては、拘束幾何構
造(constrained geometry)を呈する非局在化π結合部
分を含むものが使用できる。上記触媒はまた、第IVB〜
VIB族金属元素と、拘束幾何構造を呈する非局在化π結
合部分とを含む一種の金属配位錯体と位置付けることも
できる。この様な配位錯体の幾つかは、米国特許第4,
542,199号、第4,530,914号、第4,6
65,047号、第4,752,597号、第5,02
6,798号、及び第5,272,236号に開示され
ている。なかでも好ましいのは、1または2個のシクロ
ペンタジエニル誘導体を含有するジルコノセンまたはチ
タノセンの配位化合物を含む触媒であり、例えばシクロ
ペンタジエニルジメトキシチタン(実施例1)、テトラ
ヒドロ酢酸コバルト(実施例9)等が挙げられる。
【0047】また、上記活性化共触媒としては、メチル
アルミノキサン(MAO)、トリアルキルアルミニウ
ム、ジアルキルアルミニウム、不活性且つ非配位アニオ
ンの塩類、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0048】上記トリアルキルアルミニウムとしては、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ト
リプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウ
ム、トリブチルアルミニウム、及びトリイソブチルアル
ミニウム(TIBA)よりなる群から選択される少なく
とも一種であることが好ましい。
【0049】上記の不活性且つ非配位アニオンとしては
ホウ酸塩が挙げられる。本発明に用いられるホウ酸塩と
しては、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペ
ンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、トリフェニルカルベ
ニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸
塩、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)ホウ酸塩、フェロセニウムテトラキス(ペ
ンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、ジメチルフェロセニ
ウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、
及びシルバーテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ酸塩等が挙げられる。
【0050】上記製造方法においては、単量体、触媒成
分および重合反応生成物の希釈剤を適宜使用することが
できるが、該希釈剤としては、一般の脂肪族炭化水素化
合物または芳香族炭化水素化合物が挙げられる。これら
は単独で使用しても良いし、混合して使用しても良い。
この様な例としては、プロパン、ブタン、ペンタン、シ
クロペンタン、ヘキサン、トルエン、ヘプタン、イソオ
クタン等が挙げられる。
【0051】本発明における重合反応は一般に、触媒の
存在下にスチレンとp−メチルスチレンを混合した後、
共重合反応器に希釈剤を加え、約0〜100℃の温度範
囲で充分混合することにより行われる。この重合反応
は、実質的に水分の存在しない不活性ガス雰囲気下で行
われる。
【0052】上記スチレン/p−メチルスチレン共重合
体を使用する利点は、p−メチルスチレン中のベンジル
プロトンは、緩和な反応条件下においても容易に各種官
能基、例えば−COOH、−OH、−NH2、−Cl、
−Br、−M、COOM(Mは、Li、Na、K、Ca
等の金属を表わす)等に変換することができるという点
にある。有機化合物中のベンジルプロトンに基づく官能
基化反応のうち大部分は、p−メチルスチレン中のベン
ジルプロトンに基づく官能基化反応にも適用することが
できる。
【0053】次に、シンジオタクチックスチレン/p−
メチルスチレン共重合体の臭素化反応及びカルボキシル
化反応を示し、これに基づいて、シンジオタクチックス
チレン/p−メチルスチレン共重合体中のベンジルプロ
トンに基づく官能基化反応を詳細に説明する。上記臭素
化反応はハロゲン化反応の代表例を例示しただけであ
り、これに限定する趣旨ではなく、他のハロゲン(フッ
素、塩素、ヨウ素)化反応であっても構わない。
【0054】
【化7】
【0055】
【化8】
【0056】シンジオタクチックスチレン/p−アルキ
ルスチレン共重合体中のベンジルプロトンの官能基化反
応のうち、ハロゲン化反応及び金属化反応は最も重要な
反応である。上記ハロゲン化反応によりベンジルハロゲ
ンが得られるが、該ベンジルハロゲンは非常に活性な求
電子試薬である為、求核置換反応により各種の官能基に
変換される。また、金属化反応によりp−アルキルスチ
レン中にベンジルアニオンが得られるが、このベンジル
アニオンも同様に多くの官能基に変換され得る。この様
にハロゲン化・金属化されたシンジオタクチックスチレ
ン/p−アルキルスチレン共重合体は、実質的にあらゆ
る種類の有機官能基に変換され得る。
【0057】従って、官能基化されていないシンジオタ
クチックスチレン/p−アルキルスチレン共重合体を直
接反応させるか、またはハロゲン化若しくは金属化され
たシンジオタクチックスチレン/p−アルキルスチレン
共重合体を官能基化反応に付すことにより、上記化学式
(I)中の官能基Xは、ハロゲン、金属、酸素、硫黄、
ケイ素、窒素、炭素、及びリンよりなる群から選択され
る少なくとも一種を含む種々の官能基に変換される。ベ
ンジル位の官能基Xは、例えば米国特許第5,543,
484号(Chungら)、第5,548,029号
(Powersら)、第5,162,445号(Pow
ersら)に詳しく記載されており、これらの官能基を
本発明でも使用することができる。
【0058】以下、実施例に基づいてこの発明を詳細に
述べる。ただし、下記実施例はこの発明を制限するもの
ではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施
することは全てこの発明の技術範囲に包含される。
【0059】
【実施例】下記実施例1〜17は、シンジオタクチック
ポリ(スチレン−p−メチルスチレン)の合成に関する
ものである。
【0060】実施例1:シンジオタクチックポリ(スチ
レン−コ−p−メチルスチレン)の合成 窒素ガス充填した金属製1L反応器に、精製後のスチレ
ン単量体(以下pMSと略記する)35ml、及びスチ
レン単量体(以下SMと略記する)315mlを加えた
後、更に10wt%メチルアルミノキサン(MAO)を
2.8ml加えた。この反応器を70℃まで加熱した
後、触媒としてペンタメチルシクロペンタジエニルジメ
トキシチタン(III)[Cp*Ti(OMe)2]を0.
0208mmol加えて60分間反応させた。次に、水
酸化ナトリウム/メタノール溶液を加えて反応を終了さ
せた後、メタノールを溶剤として用い、24時間ソック
スレー抽出することにより86gの生成物を得た。この
様にして得られた共重合体の組成、融点及び分子量を、
1H−NMRスペクトル、示差走査熱量計(DSC)及
びゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で夫々測定し
たところ、この共重合体はpMSを約12mol%含有
し、融点は239℃で、重量平均分子量(Mw)は1,
526,000、数平均分子量(Mn)は741,00
0、分子量分布(Mw/Mn)は2.06であった。こ
れらの特性を表1にまとめて示す。
【0061】
【表1】
【0062】実施例2 実施例1において、触媒及びメチルアルミノキサン(M
AO)の添加量を表1の如く変えたこと以外は実施例1
と同様に処理した。その結果を表1に併記する。
【0063】実施例3 実施例1において、ペンタメチルシクロペンタジエニル
ジメトキシチタン(III)[Cp*Ti(OMe)2]触媒を、米
国特許第5,644,009号で使用した触媒システム
に変更し、表1の如く添加量等を変更したこと以外は実
施例1と同様の方法によりシンジオタクチックスチレン
共重合体を得た。その結果を表1に併記する。
【0064】実施例4〜6 実施例3において、反応器をガラス製の1L反応器に変
え、圧力0.1kg/cm2Gの水素ガスを導入し、且
つ表1の如く添加量等を変更してシンジオタクチックス
チレン共重合体の重合反応を行ったこと以外は実施例3
と同様に処理した。その結果を表1に併記する。
【0065】実施例7 実施例1において、反応器を100L容器に取り替える
と共に、反応物の添加量等も表1の如く変更したこと以
外は実施例1と同様に処理した。その結果を表1に併記
する。
【0066】実施例8 実施例1において、圧力が0.4kg/cm2Gの水素
ガスを導入すると共に、反応物の添加量等を表1の如く
変更したこと以外は実施例1と同様に処理した。その結
果を表1に併記する。
【0067】実施例9:シンジオタクチックポリ(スチ
レン−コ−p−メチルスチレン)(sPS−pMS)の
酸化 実施例2で得られたシンジオタクチックポリ(スチレン
―コ−p―メチルスチレン)(sPS−pMS)を2L
の三つ底丸底フラスコに入れ、更に溶剤としてo−ジク
ロロベンゼン(ODCB)を600ml加えた。次に、
120℃の油浴中でsPS−pMSが完全に溶解するま
で撹拌した後、反応温度を100℃に維持しつつ、30
0mlの酢酸を徐々に加えた。次いで、sPS−pMS
中のpMS含量に基づき、表1に示す割合で20mol
%テトラヒドロ酢酸コバルト(III)[cobalt(III) a
cetate tetrahydrate]及び60mol%臭化ナトリウ
ムを加えた後、1L/分の速度で酸素ガスを導入し、2
時間反応させた。反応液を冷却した後、メタノールに流
し込み、濾過した。回収した沈殿物を、熱水とメタノー
ルの混合溶液で2回、引続きメタノールで2回、夫々洗
浄した後、ソックスレー抽出器を用いてメタノールで2
0時間抽出してから乾燥した。この様にして得られたs
PS−pMSの酸化物につき、CHO及びCOOHによ
る吸収を1HNMRスペクトルで観察したところ、表2
の結果を得た。表中、総酸化率とは、酸化された官能基
がもとのポリマー(sPS−pMS)中に占める割合
(mol%)を、PDIは多分散性指数を夫々示す。ま
た、Tmとは結晶融点(crystalline melting point)
を、Tgとはガラス転移温度を夫々示す。
【0068】
【表2】
【0069】実施例10,11 実施例9において、表2の如く反応時間、並びに触媒
(テトラヒドロ酢酸コバルト)及び臭化ナトリウムの添
加比率を変えたこと以外は実施例9と同様に処理した。
その結果を表2に併記する。
【0070】実施例12、13 実施例7で得られたsPS−pMSを20g採取し、表
2の如く反応時間、並びに触媒及び臭化ナトリウムの添
加比率を変えたこと以外は実施例9と同様に処理した。
その結果を表2に併記する。
【0071】実施例14:sPS−pMSの臭素化 実施例6で得られたsPS−pMSを35.9g採取
し、底をアルミ箔で包んだ丸底フラスコに加えた。次い
で、CCl4を450ml、N−ブロモコハク酸イミド
(NBS)を49.6g、過酸化ベンゾイル(BPO)
を1.7g加えた後、上記丸底フラスコに凝固管を取付
け、窒素ガス雰囲気下、油浴加熱方式により43時間還
流した。得られたポリマー溶液にイソプロパノールを加
えて沈殿させた後、この沈殿物を水及びイソプロパノー
ルで洗浄し、更に真空中、60℃で乾燥することにより
49.3gの臭素化重合体を得た。この臭素化重合体を
1H−NMRスペクトルで観察したところ、p−CH3
よる化学シフトのうち75%が−CH2Brによる化学
シフト(4.4ppm)に変化したことが分かった。
【0072】実施例15:sPS−pMSの臭素化 実施例2で得られたsPS−pMSを2.5g採取し、
丸底フラスコに加えた後、更にC65Clを200ml
加えた。告いで、上記丸底フラスコに凝固管を取付けた
後、油浴加熱方式で窒素ガス雰囲気下120℃まで加熱
することによりsPS−PMSを完全に溶解させてか
ら、温度を75℃に戻した。一方、臭素0.1ml(p
−CH3の50%に相当する量)をC65Cl(1m
l)中に加えて希釈した後、アルミ箔に包んだスポイト
に入れた。前記丸底フラスコを90Wの電球で照射する
と同時に、上記スポイト中の臭素溶液を20分かけて徐
々に丸底フラスコに加えた。この様にして得られた反応
液を、水酸化ナトリウム含有メタノール中に流込んで沈
殿させ、回収した沈殿物を水及びメタノールで夫々洗浄
した後、臭化後の重合体を60℃の真空下で乾燥すると
2.58gの臭化重合体が得られた。この臭化重合体を
1H−NMRスペクトルで観察した結果、p−CH3の化
学シフトのうち43%が、CH2Brの化学シフト
(4.4ppm)に変化したことが分かった。
【0073】実施例16:sPS−pMSのカルボキシ
ル化 実施例6で得られた乾燥sPS−pMSを3g採取し、
300mlの丸底フラスコに加えた。次いで、窒素ガス
環境下、精製・乾燥後のシクロヘキサン100mlを加
え、60℃まで加熱して溶解させた。溶解後のポリマー
溶液を徐々に0℃まで冷却した後、s−BuLi(1.
3M)10.4mlとテトラメチルエチレンジアミン
(TMEDA)4.1mlの混合溶液(赤褐色)をsP
S−pMS溶液に注入し、60℃まで徐々に加熱しなが
ら3時間反応させた。反応終了後、温度を室温まで下げ
た。次に、CO2で飽和したTHF150mlを反応液
中に加えた後、該反応液中にCO2を導入しながら1.
5時間カルボキシル反応を行った。その後、メタノール
を加えて反応を終了させ、得られたカルボキシ化ポリマ
ー中に更にメタノールを加えて沈殿させた。このポリマ
ー沈殿物を再度THFに溶解した後、イソプロピルアル
コール(IPA)を加えて沈殿・乾燥した。上記重合体
のFT−IRスペクトルを観察したところ、1718c
-1の位置にカルボキシル基(C=O)に基づく鋭い吸
収ピークが観察された。また、示差走査熱分析曲線よ
り、ガラス転移温度(Tg)が5.5℃上昇したことが
分かった。
【0074】実施例17:sPS−pMSのシリル化 実施例15で得られたカルボキシル化sPS−pMSを
0.5g採取し、50mlのTHF中に溶解した。次い
で、(CH33SiClを1ml、及び(C253
を0.5ml加えた後、加熱しつつ30分間撹拌した。
この反応液を多量のメタノール溶剤に流込み、得られた
沈殿物を濾過しで分離した後、回収した沈殿物をメタノ
ールで洗浄し、乾燥した。この様にしてシリル化した重
合体につき、1H−NMRスペクトルを観察した結果、
Si(CH33の化学シフトが0.09ppmに見られ
た。
【0075】下記実施例18〜23は、グラフト共重合
体の合成に関するものである。
【0076】実施例18:シンジオタクチックポリ(ス
チレン―p―メチルスチレン)−g−ポリスチレン(s
PS−pMS−g−ポリスチレン)の合成 実施例8で得られたsPS−pMS(10mol%のシ
ンジオタクチックスチレンを含有)を1.04g採取
し、300mlの丸底フラスコに加えた後、更に精製・
乾燥後のシクロヘキサンを150ml加え、蒸留により
30mlのシクロヘキサンを除去した。次いで、1.5
mlのTMEDAと3.8mlのsec−ブチルリチウ
ム(シクロヘキサン中1.3M)の暗褐色混合溶液をs
PS−pMS/シクロヘキサン溶液中に加えた後、反応
温度を35℃に維持しつつ、撹拌しながら20時間反応
させた。次に、この丸底フラスコをグローブボックスに
移した後、得られた反応液をn−ペンタンで繰返し洗浄
してから濾過した後、減圧乾燥した。乾燥後の残留物に
100mlのn−ペンタンを加えた後、丸底フラスコを
グローブボックスから取出し、更に、該丸底フラスコに
精製後のスチレンを10ml加え、室温で30分間撹拌
した。その後、多量のメタノールを加えて反応をストッ
プさせ、得られた反応物重合体を濾過して回収し、室温
にてメチルエチルケトン(MEK)で抽出した。更に遠
心分離法により可溶性画分と不溶性画分を分離し、減圧
下で乾燥することにより、MEKに不溶なグラフト共重
合体sPS−pMS−g−ポリスチレン6.2g、及び
MEKに可溶なポリスチレンの単独重合体3.3gを得
た。
【0077】実施例19:sPS−pMS−g−ポリブ
タジエンの合成 実施例3で得られたsPS−pMS(シンジオタクチッ
クポリスチレンを5mol%含有)を2.0g採取し、
300mlの丸底フラスコに加えた後、更に精製・乾燥
後のシクロヘキサンを150ml加え、蒸留により50
mlのシクロヘキサンを除去した。次いで、1.5ml
のTMEDAと3.8mlのsec−ブチルリチウム
(シクロヘキサン中1.3M)の暗褐色混合溶液をsP
S−pMS/シクロヘキサン溶液に加え、反応温度を5
5℃に維持しつつ、撹拌しながら20時間反応させた。
次に、この丸底フラスコをグローブボックスに移した
後、得られた反応液をn−ペンタンで繰返し洗浄し、濾
過してから減圧乾燥した。この様にして得られた乾燥後
の残留物に100mlのn−ペンタンを加えた後、丸底
フラスコをグローブボックスから取出した。この丸底フ
ラスコに精製後の1,3−ブタジエンを4.0g加え、
室温で6時間撹拌した後、メタノールを加えて反応をス
トップさせ、更に多量のメタノールを加えて反応物を沈
殿させた。得られた反応物を濾過して回収し、室温にて
n−ペンタンで24時間連続抽出した。遠心分離法によ
り可溶性重合体画分と不溶性重合体画分を分離し、減圧
乾燥することにより、n−ペンタンに不溶なグラフト共
重合体sPS−pMS−g−ポリブタジエンを3.08
g、及びn−ペンタンに可溶なポリブタジエンの単独重
合体を1.83g得た。1H−NMRスペクトルで分析
した結果、sPS−pMS−g−ポリブタジエン中には
50.7mol%の1,3−ブタジエンが含まれること
が分かった。
【0078】実施例20:sPS−pMS−g−PMM
Aの合成 実施例3で得られたsPS−pMS(シンジオタクチッ
クポリスチレンを5mol%含有)を2.0g採取し、
300mlの丸底フラスコに加えた後、更に精製・乾燥
後のシクロヘキサンを150ml加え、蒸留により50
mlのシクロヘキサンを除去した。次いで、1.1ml
のTMEDAと2.9mlのsec−ブチルリチウム
(シクロヘキサン中1.3M)の暗褐色混合溶液をsP
S−pMS/シクロヘキサン溶液中に加え、反応温度を
55℃に維持しつつ、撹拌しながら20時間反応させ
た。次に、この丸底フラスコをグローブボックスに移
し、得られた反応液をn−ペンタンで繰返し洗浄し、濾
過した後、減圧乾燥した。この様にして得られた乾燥後
の残留物に100mlのn−ペンタンを加えた後、丸底
フラスコをグローブボックスから取出し、更に精製後の
メタクリル酸メチル(MMA)を8ml加え、室温で5
時間撹拌した。多量のメタノールを加えて反応をストッ
プさせた後、得られた反応物を濾過して回収し、室温に
てアセトンで抽出した。遠心分離法により、可溶性重合
体画分と不溶性重合体画分を分離した後、減圧乾燥する
ことにより、アセトンに不溶なグラフト共重合体sPS
−pMS−g−PMMAを2.2g、及びアセトンに可
溶なメタクリル酸メチルの単独重合体(PMMA)を
0.3g得た。1H−NMRスペクトルで分析したとこ
ろ、sPS−pMS−g−PMMA中には10.1mo
l%のPMMAが含まれることが分かった。
【0079】実施例21:sPS−pMS−g−ポリイ
ソプレンの合成 実施例6で得られたsPS−pMS(シンジオタクチッ
クポリスチレンを15mol%含有する)を0.7g採
取し、300mlのシュレンク丸底フラスコに加えた
後、更に精製・乾燥後のシクロヘキサンを150ml加
え、蒸留により50mlのシクロヘキサンを除去した。
次いで、2.4mlのTMEDAと5mlのs−ブチル
リチウム(シクロヘキサン中1.3M)の暗褐色混合溶
液をsPS−pMS/シクロヘキサン溶液中に加えた
後、反応温度を75℃に維持しつつ、撹拌しながら20
時間反応させた。次に、このシュレンク丸底フラスコを
グローブボックスに移し、得られた反応液をn−ペンタ
ンで繰返し洗浄した後、濾過してから減圧乾燥した。こ
の様にして得られた乾燥後の残留物に100mlのn−
ペンタンを加えた後、シュレンク丸底フラスコをグロー
ブボックスから取出した。この丸底フラスコに精製後の
イソプレンを4.0g加え、室温で48時間撹拌した
後、メタノールを加えて反応をストップさせてから、更
に多量のメタノールを加えて反応物を沈殿させた。得ら
れた反応物重合体を濾過して回収し、室温にてn−ペン
タンで抽出した。遠心分離法により可溶性画分と不溶性
画分を分離し、減圧乾燥することにより、n−ペンタン
に不溶なグラフト共重合体sPS−pMS−g−ポリイ
ソプレン、及びn−ペンタンに可溶なイソプレンの単独
重合体を得た。高温のゲル浸透クロマトグラフィー(Wa
ters GPC 150CV)で分析した結果、反応前の重合体sP
S−pMSはMw=240,600、PDI=9.3で
あり、反応後の重合体sPS−pMS−g−ポリイソプ
レンはMw=556,400、PDI=8.1であっ
た。
【0080】実施例22:sPS−pMS−g−PtB
MAの合成 実施例8で得られたsPS−pMSを1.0g採取し、
250mlの丸底フラスコに加えた後、更に精製・乾燥
後のシクロヘキサンを50ml加えた。次いで、1.4
mlのTMEDAと1.1mlのn−ブチルリチウム
(ヘキサン中2.5M)の混合溶液をsPS−pMS/
シクロヘキサン溶液中に加えた後、反応温度を60℃に
維持しつつ、撹拌しながら4時間反応させた。次に、こ
の丸底フラスコをグローブボックスに移し、得られた反
応液をn−ペンタンで繰返し洗浄し、濾過した後、減圧
乾燥した。この様にして得られた乾燥後の残留物に、2
0mlのn−ペンタン及び1.0gの第三級ブチルメタ
アクリレート(t−BMA)を加えた後、丸底フラスコ
をグローブボックスから取出し、室温で48時間撹拌し
た。メタノールを10ml加えて反応をストップさせ、
5分間撹拌した後、多量のメタノールを加えて反応物を
沈殿させた。得られた反応物を濾過して回収し、室温に
てアセトンで24時間連続抽出した。遠心分離法によ
り、可溶性画分と不溶性画分を分離し、減圧乾燥した結
果、アセトンに不溶なグラフト共重合体sPS−pMS
−g−PtBMAを1.163g、及びアセトンに可溶
なPtBMA(ポリ第三級ブチルメタアクリレート)の
単独重合体を0.158g得た。FT−IRスペクトル
を観察したところ、sPS−pMS−g−PtBMA
は、1725cm-1位置にカルボニル基(C=O)によ
る吸収ピークを有することが分かった。また、1H−N
MRスペクトルによる分析の結果、sPS−pMS−g
−PtBMAには9.3mol%のPtBMAが含まれ
ることが分かった。
【0081】実施例23:sPS−pMS−g−PTH
Fの合成 実施例15の方法により合成したsPS−pMS−Br
(2mol%の臭素を含有する)を1.0g採取し、2
50mlの反応器に加えた後、更に精製・乾燥後のTH
Fを15ml加え、反応器の温度を−15〜−20℃ま
で下げた。一方、グローブボックス内において、5ml
のTHF及び8.76mgの無水テトラホウ酸銀(Ag
BF4)を混合した後、直ちにグローブボックスから取
出した。この様にして得られたAgBF4溶液を液体窒
素で−30〜−40℃に冷却し、反応器中に用意してお
いたsPS−pMS−Br/THF溶液中に加えた。こ
の混合溶液を温度−15〜−20℃で20分間冷却した
後、引続き−3℃で24時間撹拌し、メタノールを3m
l加えて反応をストップさせた。得られた反応物を濾過
・回収し、室温にてエタノールで抽出した。遠心分離法
により可溶性画分と不溶性画分を分離し、減圧乾燥した
結果、エタノールに不溶なグラフト共重合体sPS−p
MS−g−PTHFを2.34g、及びエタノールに可
溶なPTHF(ポリテトラヒドロフラン)の単独重合体
を得た。FT−IRスペクトルを観察したところ、sP
S−pMS−g−PTHFは、1112cm-1の位置に
エーテル(−C−O−C−)による吸収ピークが見られ
た。
【0082】実施例24:sPS−pMS−g−ポリイ
ソプレンのエポキシ化 実施例21で得られたsPS−PMS−g−ポリイソプ
レン(15mol%のポリイソプレンを含有する)を
0.7g採取し、300mlのシュレンク丸底フラスコ
に加えた後、更にシクロヘキサンを100ml、及び3
−クロロペルオキシ安息香酸を0.1mol加え、フラ
スコの外側をアルミ箔で覆い、反応温度を室温に維持し
つつ撹拌しながら2時間反応させた。次に、メタノール
を加えて反応物を沈殿させた後、更にメタノールで繰返
し洗浄し、濾過してから真空乾燥した。1H−NMRス
ペクトルで分析した結果、5.6ppm、並びに5.1
ppm及び4.8ppmのところに、1,2位に付加し
たポリイソプレン、並びに1,4位及び3,4位に付加
したポリイソプレンに基づく未飽和及び二重結合の化学
シフトが見られた。エポキシ化反応後、これら未飽和お
よび二重結合の化学シフトは、エポキシ化における様々
な反応条件に従い、徐々に消滅し、最終的には2.4p
pmのところにエポキシ基の化学シフトが形成された。
【0083】
【発明の効果】本発明に係るシンジオタクチックスチレ
ン/p−アルキルスチレン共重合体のグラフト共重合体
は以上の様に構成されているので、シンジオタクチック
スチレン重合体に比べ、他の重合体との相溶性に優れる
と共に、重合体を混合する際の相溶剤としても有用であ
り、他の重合体との混合時における相溶性を改善し得る
結果、混合時の耐衝撃性・伸びを向上することができる
他、もとの重合体の物理的性質を維持することもでき
た。
フロントページの続き (72)発明者 趙 偉平 台湾新竹縣竹東鎮頭重埔中興路4段448号 5樓 (72)発明者 王 伯萍 台湾桃園市桃三街35号 (72)発明者 陳 英茂 台湾竹北市縣政三街21巷8号 (72)発明者 周 懐梅 台湾新竹市光復路1段268巷41弄68号 Fターム(参考) 4J026 AA17 BA05 BA06 BA27 BA46 BA47 DA02 DA08 DA17 DB02 DB09 DB18 FA08 GA01 4J028 AA01A AB01A AC01A AC09A AC10A AC27A AC28A BA00A BA01B BB00A BB01B BC12B BC15B BC25B EB21 EC02 FA02

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学式(I): 【化1】 (式中、R1及びR2は同一または異なって、水素、アル
    キル、第一級ハロアルキル及び第二級ハロアルキルより
    なる群から選択される少なくとも一種であり、 Xは、ハロゲン、金属、酸素、硫黄、ケイ素、窒素、炭
    素、及びリンよりなる群から選択される少なくとも一種
    を含む官能基であり、 Yは重合体部分であり、 aは10〜30000の整数、 bは0〜30000の整数、 cは0〜30000の整数、dは1〜30000の整数
    である)で表されることを特徴とするシンジオタクチッ
    クスチレン/p−アルキルスチレン共重合体のグラフト
    共重合体。
  2. 【請求項2】 Xがハロゲンである請求項1に記載のグ
    ラフト共重合体。
  3. 【請求項3】 Xが、アルカリ金属またはアルカリ土類
    金属である請求項1に記載のグラフト共重合体。
  4. 【請求項4】 Xが、アルコキシド、フェノキシド、及
    びカルボン酸塩よりなる群から選択される少なくとも一
    種である請求項1に記載のグラフト共重合体。
  5. 【請求項5】 Xが、チオラート、チオフェノラート、
    チオエーテル、チオカルボン酸塩、ジチオカルボン酸
    塩、チオ尿素、ジチオカルバメート、キサントゲン酸
    塩、及びチオシアン酸塩よりなる群から選択される少な
    くとも一種である請求項1に記載のグラフト共重合体。
  6. 【請求項6】 Xが、シラン及びハロシランよりなる群
    から選択される少なくとも一種である請求項1に記載の
    グラフト共重合体。
  7. 【請求項7】 Xがマロン酸塩、シアン化物、及びCR
    345(R3,R4及びR5は、同一または異なって有機
    基である)よりなる群から選択される少なくとも一種で
    ある請求項1に記載の共重合体。
  8. 【請求項8】 Xが、アミド、アミン、カルバゾール、
    フタルイミド、ピリジン、マレイミド、及びシアン酸塩
    よりなる群から選択される少なくとも一種である請求項
    1に記載のグラフト共重合体。
  9. 【請求項9】 Xがホスフィンである請求項1に記載の
    グラフト共重合体。
  10. 【請求項10】 R1及びR2は同一または異なって、水
    素、炭素数1〜5個のアルキル、炭素数1〜5個の第一
    級ハロアルキル及び炭素数1〜5の第二級ハロアルキル
    よりなる群から選択される少なくとも一種である請求項
    1〜9のいずれかに記載のグラフト共重合体。
  11. 【請求項11】 メタロセン触媒の存在下に重合反応し
    て得られるものである請求項1〜10のいずれかに記載
    のグラフト共重合体。
  12. 【請求項12】 前記共重合体の数平均分子量が少なく
    とも1000以上である請求項1〜11のいずれかに記
    載のグラフト共重合体。
  13. 【請求項13】 Yは、アニオン重合性単量体、カチオ
    ン重合性単量体、アニオン開環性及びカチオン開環性単
    量体、並びにラジカル重合性単量体よりなる群から選択
    される少なくとも一種の単量体を含むものである請求項
    1に記載のグラフト共重合体。
  14. 【請求項14】 Yはアニオン重合性単量体を含むもの
    である請求項13に記載のグラフト共重合体。
  15. 【請求項15】 前記アニオン重合性単量体は、共役性
    ジエン、ビニル芳香族化合物、ビニル不飽和アミド、ア
    セナフチレン、9−アクリルカルバゾール、アクリロニ
    トリル、メタクリロニトリル、有機イソシアン酸エステ
    ル、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、アルキルアクリレ
    ート、メタクリル酸アルキル、メタクリル酸グリシジ
    ル、及びビニルピリジンよりなる群から選択される少な
    くとも一種である請求項14に記載のグラフト共重合
    体。
  16. 【請求項16】 前記カチオン重合性単量体は、ビニル
    芳香族化合物、ビニルエーテル、N−ビニルカルバゾー
    ル、及びイソブテンよりなる群から選択される少なくと
    も一種である請求項13に記載のグラフト共重合体。
  17. 【請求項17】 前記アニオン開環性及びカチオン開環
    性単量体は、環状エーテル、硫化物、ラクトン、ラクタ
    ム、N−カルボン酸無水物、及び環状酸無水物よりなる
    群から選択される少なくとも一種である請求項13に記
    載のグラフト共重合体。
  18. 【請求項18】 前記ラジカル重合性単量体は、ビニル
    芳香族化合物、共役性ジエン、アクリル酸塩、メタクリ
    ル酸塩、アルキルアクリレート、メタクリル酸アルキ
    ル、及び酢酸ビニルよりなる群から選択される少なくと
    も一種である請求項13に記載のグラフト共重合体。
JP37525099A 1999-12-28 1999-12-28 シンジオタクチックスチレン/p−アルキルスチレン共重合体のグラフト共重合体 Withdrawn JP2001187804A (ja)

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WO2002048222A1 (fr) * 2000-12-12 2002-06-20 Idemitsu Petrochemical Co., Ltd. Procede de production d'une composition polymere
JP2018009111A (ja) * 2016-07-14 2018-01-18 デンカ株式会社 多分岐スチレン系ポリマー

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