JP2001187379A - クラゲ類等の天然有機物処理方法 - Google Patents

クラゲ類等の天然有機物処理方法

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JP2001187379A
JP2001187379A JP37401799A JP37401799A JP2001187379A JP 2001187379 A JP2001187379 A JP 2001187379A JP 37401799 A JP37401799 A JP 37401799A JP 37401799 A JP37401799 A JP 37401799A JP 2001187379 A JP2001187379 A JP 2001187379A
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alum
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Naohiro Kamimura
直洋 上村
Toshio Furuya
利夫 古谷
Masaaki Sugimoto
正昭 杉本
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Kansai Electric Power Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クラゲ等の天然有機物の破砕液をコスト的有
利に凝集処理する天然有機物処理方法の提供。 【解決手段】 クラゲ類等の天然有機物の破砕液を処理
槽2に収容し、処理槽内の有機物破砕液にミョウバンと
中和剤と高分子凝集助剤を添加して有機物固形成分のフ
ロックを凝集処理する。或いは、天然有機物破砕液を処
理槽3に収容し、この破砕液にミョウバンと中和剤と高
分子凝集助剤を添加すると共に、加圧空気を溶け込ませ
た水を噴出させて微細気泡を破砕液中で凝集するフロッ
クに付着させて強制的に浮上させる凝集加圧浮処理をす
る。ミョウバンは、食品添加物として使用されている安
価な焼ミョウバンやカリウムミョウバン等であり、中和
剤には水酸化ナトリウムが、高分子凝集助剤にはクリフ
ロックPA−331(商品名)が好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発電所等の海水取
水口に捕捉され滞留したクラゲを主体とする浮遊生物
(ネクトン)等の天然有機物を廃棄処分するために環境
基準に基づいて処理するクラゲ類等の天然有機物処理方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】火力発電所及び原子力発電所で冷却水と
して使用される海水の取水口に配備されて海水中に漂う
ゴミ類を取り除く除塵装置にはクラゲ溜まりが付設さ
れ、海中でクラゲが大量発生するとクラゲ溜まりに大量
のクラゲが他の天然有機物の浮遊生物(ネクトン)と共
に捕捉され滞留する。発電所の取水口に捕捉された大量
のクラゲを発電所の構内に埋設処理する、或いは、天日
干しで処理することは環境基準の点から難しい。そこ
で、現状においては取水口から取り出した大量のクラゲ
を環境基準に適合した廃棄物又は排水として処理するよ
うにしており、このクラゲの処理方法として圧搾脱水法
(特公平1−31434)、熱処理法(特公平7−94
031)、凝集沈殿法(特公平4−48986)等が提
案されている。
【0003】圧搾脱水法は、クラゲをスラリー状に破砕
したものを圧搾脱水機で固形成分と液状成分に分離し
て、固形成分を焼却等によって処分し、液状成分を酸化
処理によって浄化してから排水する処理方法である。熱
処理法は、クラゲを細かく切断したクラゲ片を85〜9
0℃の清温水に浸漬して攪拌し、清水の浸透圧と熱の相
乗効果でクラゲ片の表皮組織を破壊して脱水筋質化した
クラゲ残滓を廃棄処理する処理方法である。凝集沈殿法
は、海水から分離したクラゲを破砕したクラゲ破砕水に
凝集剤を添加して攪拌することで、クラゲ破砕有機物成
分のフロックを凝集させ沈殿させた後、フロックを脱水
機で脱水処理等して処分する処理方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記圧搾脱水法は、少
量ずつのクラゲを圧搾して長時間かけて処理する場合に
は比較的問題が少ないが、大量のクラゲを短時間で処理
するためには巨大な圧搾脱水機が必要となり、このよう
なクラゲ処理設備はコスト面から事実上採用することが
できない。つまり、処理対象となるクラゲは、不定期に
短時間で大量発生するのが常であり、かつ、短時間で大
量発生したクラゲを短時間で処理することが要求される
が、この要求に対して圧搾脱水法では設備費が過大とな
って対処できないのが現状である。
【0005】また、上記熱処理法は、実用性があるとし
て実際の設置例もあるが、回収した大量のクラゲの全量
を処理槽に収容して一定時間加熱するため、大型の耐熱
処理槽が必要になると共に、熱処理に必要な熱量が膨大
となってランニングコストが高くなる問題があった。
【0006】また、上記凝集沈殿法は、海水から分離し
たクラゲを破砕機で破砕したクラゲ破砕水に硫酸バンド
等の無機凝集剤を添加してクラゲ破砕有機物成分のフロ
ックを凝集させ沈殿させた固形成分と残りの液状成分を
それぞれに処理する方法であるが、実験によって検討し
たところ、次のような実用上に不適格となる問題があ
る。
【0007】すなわち、海水から分離した例えば水クラ
ゲを破砕機で破砕したクラゲ破砕液の有機物含有量、汚
染度の指標となるCOD(化学的酸素要求量)は300
〜400mg/lの範囲にある。このクラゲ破砕液に硫
酸バンド等の各種の無機凝集剤を添加してフロックを生
成させ、そのフロックの沈降速度を調査した。その結
果、概してフロックの生成状況が悪くてフロックを浮か
べる液状成分(ろ液)のCODが高くて濁りが残り、さ
らに、この液状成分でのフロックの沈降速度が悪くて、
30分放置してもフロックの破砕液全量に対して占める
スカム容積(フロックの浮遊汚泥容積)が数10%以上
と高く、かつ、スカム安定性が悪くて掻き回すと濁りが
増すことがあり、このままでは実用性が見い出せないこ
とが分かった。
【0008】本発明の目的とするところは、大量のクラ
ゲ類の天然有機物を破砕した後の有機物固形成分のフロ
ックの生成を効果的に、コスト的有利に行い得るクラゲ
類の天然有機物処理方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成するため、クラゲを主体とする天然有機物の破砕液に
各種の凝集剤を添加して有機物固形成分を凝集させてフ
ロックを生成する様々な実験を試行した。その結果、ク
ラゲ類の天然有機物を破砕機で破砕した有機物破砕液を
処理槽に収容し、処理槽内の有機物破砕液にミョウバン
と中和剤と高分子凝集助剤を添加することで、有機物固
形成分のフロックを効果的に、コスト的有利に凝集させ
得ることを見い出した(請求項1の発明)。
【0010】ここで、ミョウバンは、食品添加物として
一般に使用されている安価な焼ミョウバンやカリウムミ
ョウバン等である。このようなミョウバンは通常は凝集
剤として使用されないのであるが、中和剤及び高分子凝
集助剤と共にクラゲの破砕液の凝集剤として添加して使
用したところ、ミョウバンが凝集剤として十分に実用性
を得ることが分かった。つまり、ミョウバンだけではク
ラゲ破砕液の腐敗抑制にある程度の効果を有するが、凝
集処理の作用効果に劣って実用性に欠ける。ところが、
ミョウバンが添加されたクラゲ破砕液を中和剤で中和す
ることでミョウバンによるクラゲ有機物成分のフロック
生成状況が良好となり、さらに、高分子凝集助剤の添加
でミョウバンの凝集機能が助長されてフロックが大きく
生成され、フロックの沈殿或いは浮上速度が実用性を得
るまで上がることが実証された。
【0011】上記フロックの浮上速度とは、上記処理槽
内の有機物破砕液に加圧空気を溶け込ませた水を噴出さ
せ、この水噴出で有機物破砕液中で発生させた微細気泡
を有機物破砕液中で凝集するフロックに付着させてフロ
ックを強制的に浮上させる加圧浮上分離方式の場合(請
求項2の発明)の速度である。
【0012】また、本発明においては、上記高分子凝集
助剤にアニオン系のクリフロックPA−331(商品
名)を使用する(請求項3の発明)ことが望ましい。つ
まり、高分子凝集助剤にはクリフロックPA−331等
のアニオン系凝集剤の他に、ノニオン系凝集剤やカチオ
ン系凝集剤、両性系凝集剤が知られているが、クラゲの
ような天然有機物の凝集助剤としてはアニオン系凝集剤
が適し、その中でもクリフロックPA−331が最も有
効であることが実験で実証された。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明方法の実施形態を図1を参
照して説明する。
【0014】図1はクラゲを主体とする天然有機物を環
境基準に基づいて処理する設備が示され、以下、この設
備で処理される被処理物をクラゲとして説明する。図1
のクラゲ処理設備は複数、例えば4つの第1〜第4処理
槽1〜4とバケットコンベア5,クラゲ分離器6,破砕
機7を備える。第1処理槽1は取水口のスクリーンで引
き揚げられたクラゲ等を一時的に溜めておくクラゲ溜ま
りであり、第2〜第4処理槽2〜4はクラゲを破砕した
クラゲ破砕液を段階的に凝集処理等するもので、例えば
第2処理槽2が本発明方法でクラゲ破砕液を凝集処理す
る凝集槽、第3処理槽3が本発明方法でクラゲ破砕液か
らフロックを凝集加圧浮上処理する加圧浮上分離槽、第
4処理槽4が必要に応じて設置されるエアレーション槽
である。
【0015】第1処理槽1のクラゲ溜まりの中には、発
電所の取水口に設置された除塵装置からのクラゲ等が一
時的に収容される。第1処理槽1のクラゲ溜まり内のク
ラゲはバッケットコンベア5で掬い取られてクラゲ分離
器6に投下される。クラゲ分離器6は、海水を自然落下
させる多孔板状の傾斜路上をバケットコンベア5から投
下されたクラゲを含む海水を流下させることで、海水を
傾斜路の孔から落下させ、残りのクラゲを主体とする固
形物を破砕機7に供給する。
【0016】破砕機7は、クラゲ分離器3から供給され
たクラゲを所定の大きさに破砕することにより、クラゲ
細胞に含まれる水分を液状分として排出させ、かつ、こ
の液状分に排出後のクラゲ残滓から有機物成分が極力溶
出しないように高速で破砕する。この破砕機7としては
カッターミキサーが適切であり、破砕されたクラゲ片は
図示しないメッシュ状のスクリーンを通過してスクリー
ン目のサイズで決まる所定の大きさの固形成分となり、
この固形成分と液状成分が混合したクラゲ破砕液が第2
処理槽2に流下して、第2処理槽2の凝集槽内にほぼ定
量のクラゲ破砕液が収容される。
【0017】なお、破砕機7のスクリーン目の大きさは
任意でよいが、実験によると3mm前後が適切である。
つまり、スクリーン目が3mmを超えて大きくなるほど
に、クラゲ破砕液に含まれる固形成分のサイズが大きく
なり過ぎて、この固形成分から有機物成分を凝集させる
後処理工程の処理時間が長くなる不具合が生じる。逆
に、スクリーン目が1mm以下と小さくなるほど、固形
成分が細かくなり過ぎて液状成分に溶け込む有機物の量
が多くなり、液状成分(ろ液)のCOD(化学的酸素要
求量)やBOD(生化学的酸素要求量)を低下させるた
めの後処理工程での処理時間が長くなる不具合が生じる
ことがある。
【0018】第2処理槽2にクラゲ破砕液が収容される
と、腐敗が進行してCODが増加しない短時間の内にク
ラゲ破砕液に対する本発明方法による凝集処理を行う。
この凝集処理は、第2処理槽2内の定量のクラゲ破砕液
にミョウバンと中和剤と高分子凝集助剤の適量を添加す
ることで行われる。この凝集処理に使用されるミョウバ
ンは、 カリウムミョウバン AlK(SO43 焼ミョウバン AlK(SO43・12H2O が適切である。また、中和剤はpH調整剤で、水酸化ナ
トリウムや消石灰が適切である。さらに、高分子凝集助
剤はアニオン系の無機凝集剤で、特にアニオン系無機凝
集剤の中のクリフロックPA−331(商品名)が適切
である。以上のクラゲ破砕液の凝集処理に使用されるミ
ョウバンと中和剤の例えば水酸化ナトリウム、高分子凝
集助剤のクリフロックPA−331の各薬剤は、後述す
る表1の試験結果からクラゲ類の天然有機物の凝集処理
に有効と判断される。
【0019】第2処理槽2でクラゲ破砕液を本発明方法
で凝集処理すると、第2処理槽2内のクラゲ破砕液が液
状成分とクラゲ有機物固形成分が凝集したフロックに分
離される。これらフロックと液状成分のそれぞれはCO
Dが排水基準以下であれば、第2処理槽2から取り出さ
れて排水処理や汚泥処理され、CODが排水基準以上で
あればさらにCODを下げるための処理が必要に応じて
第3処理槽3、第4処理槽4を使って行われる。
【0020】第4処理槽4はエアレーション槽で、これ
は第2処理槽2から送られてくる凝集処理済みクラゲ破
砕液に気泡状の空気を連続して供給し、供給した空気中
の酸素で微生物による有機物分解活動を助長してCOD
を積極的に下げるもので、ここで処理されたクラゲ処理
液はCODが排水基準以下の場合にそのまま排水処理さ
れ、或いは、CODが排水基準を超える場合は活性炭処
理されてから排水処理されるか、第3処理槽3の加圧浮
上分離槽に送られて本発明の加圧浮上処理が行われる。
【0021】なお、第2処理槽2からの凝集処理済み液
の活性炭処理は、処理されるクラゲ処理液の元々のCO
Dが第2処理槽2の凝集処理で排水基準近くまで下げら
れているので、小規模な既設設備を使って簡単迅速に行
うことができる。また、第4処理槽4のエアレーション
槽でクラゲ処理液が泡切れの悪い泡状となる場合は、そ
の泡を少しずつ第3処理槽3に供給するようにして、エ
アレーション槽での処理時間の短縮化が図られる。ま
た、第2処理槽2の前段に在る破砕機7でクラゲを破砕
するときに消泡剤を添加して泡の発生を抑制するのが通
常であるが、このクラゲ破砕時に外気(空気)が混入し
ないようにクラゲ破砕動作を行って、第2処理槽2のク
ラゲ破砕液を泡成分のほとんど無い液状体にすれば、こ
の液状クラゲ破砕液を破砕機7から直接に第3処理槽3
に供給して、或いは、第2処理槽2から直接にクラゲ破
砕液を第3処理槽3に供給して、第3処理槽3で本発明
方法によるフロックの凝集加圧浮上処理を行うようにす
る。
【0022】第3処理槽3の加圧浮上分離槽は、破砕機
7から直接に、或いは、第2処理槽2や第4処理槽4か
ら排出されたクラゲ処理液を収容して、槽底部に設置し
たノズル11から空気を飽和させた水をクラゲ処理液中
に噴出させ、クラゲ処理液中で凝集生成されるフロック
に微細な気泡を付着させてフロックを積極的に浮上さ
せ、浮上したフロックを掻き取ってフロック回収槽8に
蓄積させる。フロック回収槽8に回収されたフロック
は、脱水処理等して汚泥として廃棄処分される。第3処
理槽3でフロックが除かれた処理水はCODが排水基準
以下であればそのまま排水処理され、CODが排水基準
以上の場合は活性炭処理されてから排水処理される。
【0023】第3処理槽3のフロック凝集加圧浮上処理
に際して、本発明方法では第3処理槽3内のクラゲ破砕
液に定量のミョウバンと中和剤と高分子凝集助剤の適量
を添加する。この場合のミョウバン、中和剤、高分子凝
集助剤は、第2処理槽2で使用された薬剤と同一のもの
が使用される。なお、第2処理槽2でミョウバン、中和
剤、高分子凝集助剤が添加されて処理されたクラゲ破砕
液を第3処理槽で凝集加圧浮上処理する場合は、第3処
理槽3のクラゲ破砕液に必要に応じて補充的にミョウバ
ン、中和剤、高分子凝集助剤を添加すればよい。或い
は、破砕機6から第2処理槽2を介することなく直接的
に第3処理槽3に供給されたクラゲ破砕液には、凝集加
圧浮上処理だけに適量とされるミョウバンと中和剤と高
分子凝集助剤が添加される。以上のクラゲ破砕液の凝集
加圧浮上処理に使用されるミョウバンと中和剤の例えば
水酸化ナトリウム、高分子凝集助剤のクリフロックPA
−331の各薬剤は、後述する表2の試験結果からクラ
ゲ類の天然有機物の凝集加圧浮上処理に有効と判断され
る。
【0024】なお、以上のクラゲ処理設備は、海水から
分離されたクラゲをミョウバンで凝集処理する設備であ
るが、クラゲ以外の天然有機物固形成分を多く含む工場
排水等の天然有機物破砕液の凝集処理に転用することも
可能である。この転用は、ミョウバンが天然有機物のタ
ンパク質を凝集させる機能を有することから実用上有効
である。
【0025】
【実施例】第2処理槽2でクラゲ破砕液を、本発明方法
で凝集処理した実験結果を、次の表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】ただし、表1は、ミョウバンに焼ミョウバ
ンAlK(SO4)3・12H2Oを使用している。こ
の焼ミョウバンの1000mg/lは、カリウムミョウ
バンの約500mg/lに相当し、この重量比に基づい
て表1の焼ミョウバンの代わりにカリウムミョウバンを
使用しても焼ミョウバンと同様な結果が得られることか
ら、カリウムミョウバンの試験データは省略している。
また、表1における「添加位置の前・後」とは、クラゲ
を破砕する前にミョウバンを添加した場合と、破砕後に
添加した場合のことである。実際のクラゲ処理設備でク
ラゲ破砕前にミョウバンを凝集剤として添加すると、ク
ラゲを破砕機で破砕したときに破砕機のスクリーンが目
詰まりすることがあって好ましくないのであるが、参考
のために「添加位置の前」も試験した。「添加位置の
後」は、クラゲを破砕機で破砕した破砕液に、破砕後短
時間内でミョウバンと水酸化ナトリウムNaOH、クリ
フロックPA−331を添加したものである。また、表
1に示されるように、焼ミョウバンの添加量に対する中
和剤の水酸化ナトリウムNaOHの添加量はクラゲ破砕
液のpHをほぼ中性に維持するように決められ、したが
って、アルミニウム化合物であるミョウバンの添加量が
増えると水酸化ナトリウムの添加量も増える。さらに、
凝集助剤のクリフロックPA−331の添加量は、全て
のミョウバン添加量に対して3mg/lに統一させてあ
る。
【0028】表1から、次のことが分かる。
【0029】・ミョウバン、水酸化ナトリウム、クリフ
ロックPA−331を添加しないクラゲ破砕液はpH
7.4のほぼ中性で、CODが427mg/lと高い
が、このクラゲ破砕液に焼ミョウバンを添加するとCO
Dが減少し、さらに、水酸化ナトリウムとクリフロック
PA−331を添加するとCODが約60〜80mg/
lまで低下する。このCODの低下率は、ミョウバン添
加量にほぼ比例するが、ミョウバン添加量を多くするほ
ど水酸化ナトリウムの添加量も多くなってこれら薬剤の
ランニングコストが増えることから、ミョウバン添加量
は焼ミョウバンで約2000mg/lが実用的な範囲で
ある。このようなミョウバン添加量は、ミョウバン自体
の原価が通常の凝集剤に比べて格安であることからコス
ト的に問題なく、したがって、クラゲ破砕液が大量であ
ってもランニングコストを安くして凝集処理できる。
【0030】・破砕機のスクリーン目と中和処理前の破
砕液のろ液CODは、あまり関係が無くて、スクリーン
目詰まり等のトラブルを避けるためにスクリーン目は3
mm前後が適切である。
【0031】・焼ミョウバン添加量500mg/lで水
酸化ナトリウムを添加しない試験例の場合、凝集処理後
の最終的CODが139mg/lと高くなる。これはミ
ョウバン単独の添加では凝集機能に劣ることを示唆して
いる。すなわち、ミョウバンはアルミニウム化合物であ
るため、凝集剤として使用する場合に水酸化アルミニウ
ムAl(OH)3の生成を必要としている。この水酸化
アルミニウムの生成はpH6〜7が適値であるため、p
H6〜7を水酸化ナトリウムの添加で確保することで、
ミョウバンの凝集効果が発現され、この凝集効果がアニ
オン系凝集剤のクリフロックPA−331で助長され
る。ちなみに水酸化ナトリウムの中和剤を添加せずにミ
ョウバンとクリフロックPA−331だけでクラゲ破砕
液の凝集処理を行うと、良好なフロックが生成されずに
処理水に濁りが残ったり、フロックを凝集させ沈殿させ
る場合にフロック沈殿速度が実用速度よりかなり遅くな
り、同様のことが凝集加圧浮上処理試験の表2において
はスカム浮上速度が前述の適用基準よりかなり遅くな
る。
【0032】以上の表1の実験結果から、ミョウバンを
クラゲ破砕液の凝集剤として使用する場合には、ミョウ
バンの単独使用は不適で、ミョウバンに中和剤と高分子
凝集助剤のクリフロックPA−331を添加することが
実用性の点から適格であることが分かる。なお、高分子
凝集助剤にクリフロックPA−331を使用した理由
は、次の実験結果に基づく。すなわち、クリフロックP
A−331はアニオン系高分子凝集助剤であり、他にク
リフロックPA−362(商品名)のアニオン系高分子
凝集助剤やクリフロックPF−102(商品名)の両性
系高分子凝集助剤等があり、これら各種の高分子凝集助
剤の同量添加とミョウバン添加量2000mg/lでク
ラゲ破砕液のフロック生成試験をしたところ、クリフロ
ックPA−331による平均的なフロック大きさがクリ
フロックPA−362とクリフロックPF−102によ
る平均的フロック大きさの数倍となった。このフロック
大きさに比例してフロック沈殿速度やフロック浮上速度
がクリフロックPA−331で最大となることから、ク
ラゲ破砕液の凝集処理や次の表2の凝集加圧浮上処理に
おいてミョウバンの高分子凝集助剤にクリフロックPA
−331が最適であることが分かった。
【0033】また、第3処理槽3で破砕機6から直接に
供給されたクラゲ破砕液を、本発明方法で凝集加圧浮上
処理した実験結果を、次の表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】ただし、表2は焼ミョウバンによる凝集加
圧浮上処理試験結果であり、この焼ミョウバンの代わり
にカリウムミョウバンを使用しても同様な結果が得られ
ることは表1と同様である。表2の「破砕機のフィルタ
ー目」は表1の「スクリーン目」に相当し、「スカム」
はクラゲ破砕液の液状成分の中を浮上する浮上汚泥のフ
ロックに相当する。表2の「スカム安定性」は、掻き回
したときにフロックが沈降しない場合だけが「良好」と
判断される。また、表2のような加圧浮上処理試験にお
いては実用上に合格とされる適用基準があり、例えば、
この適用基準は加圧水比20%以下でフロックの「スカ
ム浮上速度」が20m/h以上、「スカム容積」が10
%以下で、かつ、「スカム安定性」が良好であるといっ
た基準があり、表2の各実験データはこの適用基準を全
てクリアしている。
【0036】表2から、次のことが分かる。
【0037】・焼ミョウバン添加量の多少に拘わらず
「スカム浮上速度」と「スカム容積」が適用基準を大き
く超え、「スカム安定性」が良好であるといった適用基
準を全てクリアしていることから、ミョウバンがクラゲ
破砕液の凝集加圧浮上処理に適合していることが分か
る。このミョウバンの凝集効果は、表1と同様に中和剤
の水酸化ナトリウム、高分子凝集助剤のクリフロックP
A−331の添加で発現されることは、表1の場合と同
様である。
【0038】・ミョウバン添加量に対する浮上速度は必
ずしも比例しないが、コスト的にミョウバン添加量の適
量を求めると焼ミョウバンで約1500〜2000mg
/lが実用的な範囲である。このようなミョウバン添加
量は、表1の場合と同様にミョウバン自体の原価が通常
の凝集剤に比べて格安であることからコスト的に問題な
く、クラゲ破砕液が大量であってもランニングコストを
安くして凝集加圧浮上処理ができる。
【0039】以上の表2の実験結果から、ミョウバンを
クラゲ破砕液の凝集加圧浮上処理時の凝集剤として使用
する場合には、中和剤と高分子凝集助剤のクリフロック
PA−331を添加することが実用性の点から望ましい
ことが分かる。この場合の高分子凝集助剤のクリフロッ
クPA−331は、表1の場合と同様に他のアニオン系
高分子凝集助剤や両性系高分子凝集助剤よりもフロック
生成に効果的である理由で使用される。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、クラゲ類等の天然有機
物の破砕液にミョウバンと中和剤と高分子凝集助剤を添
加して凝集処理や凝集加圧浮上処理するようにしたの
で、大量の破砕液の凝集処理、凝集加圧浮上処理に大量
の凝集剤としてのミョウバンを使用しても、食品添加物
としてのミョウバンが安価であるので、ランニングコス
トを安くして大量の破砕液の処理が実行でき、特に、短
時間で大量発生するクラゲの破砕液の廃棄や排水のため
の凝集処理、凝集加圧浮上処理が短時間でコスト的有利
に実施できて、ランニングコストの安いクラゲ類等の処
理設備の実用化を容易にする。また、ミョウバンに高分
子凝集助剤としてクリフロックPA−331を添加する
ことで、天然有機物破砕液のフロック生成が良好に安定
して行われて、クラゲ類の凝集処理、凝集加圧浮上処理
の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の実施形態を示すクラゲ処理設備全
体の構成図。
【符号の説明】
2 処理槽、凝集槽 3 処理槽、加圧浮上分離槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉本 正昭 大阪府大阪市北区中之島3丁目3番22号 関西電力株式会社内 Fターム(参考) 4D004 AA04 AC07 CA04 CB11 CB12 CB45 4D015 BA03 BA04 BA12 BA19 BB08 BB16 CA20 DA06 DA40 DC10 EA04 EA14 EA33 FA03 FA19 4D037 AA13 AB01 AB02 BA02 BA03 BB05 CA01 CA07 CA08 CA14 4D062 BA03 BA04 BA12 BA19 BB08 BB16 CA20 DA06 DA40 DC10 EA04 EA14 EA33 FA03 FA19

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クラゲ類の天然有機物を破砕機で破砕し
    た有機物破砕液を処理槽に収容し、処理槽内の有機物破
    砕液にミョウバンと中和剤と高分子凝集助剤を添加し
    て、有機物固形成分のフロックを凝集させることを特徴
    とするクラゲ類等の天然有機物処理方法。
  2. 【請求項2】 上記処理槽内の有機物破砕液に加圧空気
    を溶け込ませた水を噴出させ、この水噴出で有機物破砕
    液中で発生させた微細気泡を有機物破砕液中で凝集する
    フロックに付着させてフロックを強制的に浮上させるよ
    うにした請求項1記載のクラゲ類等の天然有機物処理方
    法。
  3. 【請求項3】 上記高分子凝集助剤がアニオン系のクリ
    フロックPA−331(商品名)である請求項1又は2
    記載のクラゲ類等の天然有機物処理方法。
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