JP2001180969A - リチウム含有高ヤング率ガラスおよびガラス物品 - Google Patents
リチウム含有高ヤング率ガラスおよびガラス物品Info
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- JP2001180969A JP2001180969A JP37269799A JP37269799A JP2001180969A JP 2001180969 A JP2001180969 A JP 2001180969A JP 37269799 A JP37269799 A JP 37269799A JP 37269799 A JP37269799 A JP 37269799A JP 2001180969 A JP2001180969 A JP 2001180969A
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Abstract
(57)【要約】
ヤング率が高く、高ヤング率が要求されるガラスを容
易に溶融、製造でき、また、アルカリイオン交換による
いわゆる化学強化が容易で、強化度合いの高いガラスを
得ることができ、光学用ガラスや情報記録媒体としての
基板ガラス等のガラス物品を提供することを目的とす
る。 【課題】
易に溶融、製造でき、また、アルカリイオン交換による
いわゆる化学強化が容易で、強化度合いの高いガラスを
得ることができ、光学用ガラスや情報記録媒体としての
基板ガラス等のガラス物品を提供することを目的とす
る。 【課題】
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム含有高ヤ
ング率ガラスに係り、それ自体高いヤング率が要求され
るガラス物品、例えば情報記録媒体用基板ガラス等の基
板ガラスや光学用ガラスなどとして適用でき、あるいは
該ガラスをアルカリイオン交換により化学強化して強度
を増大したガラス物品を得るうえで好適なリチウム含有
高ヤング率ガラスに関する。
ング率ガラスに係り、それ自体高いヤング率が要求され
るガラス物品、例えば情報記録媒体用基板ガラス等の基
板ガラスや光学用ガラスなどとして適用でき、あるいは
該ガラスをアルカリイオン交換により化学強化して強度
を増大したガラス物品を得るうえで好適なリチウム含有
高ヤング率ガラスに関する。
【０００２】
【従来技術】例えば磁気記録媒体等の情報記録媒体用基
板として、アルミニウム基板やポリカーボネート基板な
どに比べ、硬度、面平滑性、剛性に優れるガラス基板が
採用されつつある。特に近年、情報記録媒体として記録
容量を更に増大し、基板と読取りヘッドとの距離を近接
した場合、基板（ディスク）の回転撓みに基づく読取り
ヘッドとの衝突による読取りエラーを生じさせる危惧が
あり、基板のヤング率を増大させる試みが為されてい
る。
板として、アルミニウム基板やポリカーボネート基板な
どに比べ、硬度、面平滑性、剛性に優れるガラス基板が
採用されつつある。特に近年、情報記録媒体として記録
容量を更に増大し、基板と読取りヘッドとの距離を近接
した場合、基板（ディスク）の回転撓みに基づく読取り
ヘッドとの衝突による読取りエラーを生じさせる危惧が
あり、基板のヤング率を増大させる試みが為されてい
る。
【０００３】高ヤング率のガラスとしては、SiO2−Al2O
3−CaO（MgO）系でアルカリ金属成分を含まないガラ
ス、更にY2O3等の希土類酸化物を含有したガラスは周知
であり、それらは例えば繊維状として車両のタイミング
ベルトの補強繊維として多く活用されている。近年先の
理由により高ヤング率ガラスを基板用ガラスとして利用
する提唱例がある。
3−CaO（MgO）系でアルカリ金属成分を含まないガラ
ス、更にY2O3等の希土類酸化物を含有したガラスは周知
であり、それらは例えば繊維状として車両のタイミング
ベルトの補強繊維として多く活用されている。近年先の
理由により高ヤング率ガラスを基板用ガラスとして利用
する提唱例がある。
【０００４】例えば特開平11−116267号公報には、比弾
性率（ヤング率／比重）が高く、ヤング率において110
ＧPa以上であり、表面粗さが小さく、転移点が700℃以
上で耐熱性を有し、SiO2−Al2O3−MgO系で、あるいは更
にY2O3等を加えた成分系の高い比弾性率を有するガラス
が開示されている。しかし無アルカリであるため溶融温
度が高く、また成形温度も高いため、ガラス製造上多く
の技術的難点を有し、コストも高騰する。
性率（ヤング率／比重）が高く、ヤング率において110
ＧPa以上であり、表面粗さが小さく、転移点が700℃以
上で耐熱性を有し、SiO2−Al2O3−MgO系で、あるいは更
にY2O3等を加えた成分系の高い比弾性率を有するガラス
が開示されている。しかし無アルカリであるため溶融温
度が高く、また成形温度も高いため、ガラス製造上多く
の技術的難点を有し、コストも高騰する。
【０００５】特開平11−232628号公報には、磁気ディス
ク用ガラス基板において、ヤング率が8500kg／mm2（約8
3ＧPa）以上であり、SiO2−Al2O3−MgO系ガラス、より
具体的にはSiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、アルカリ分を含む
ガラス、更にはY2O3等の希土類酸化物を含むガラスが開
示されている。しかし通常多方面で利用されるソーダ・
ライム・シリケートガラスやボロ・シリケートガラスに
おいては70ＧPaから80ＧPaオーダーのヤング率を有し、
上記ヤング率の限定が格別特異なものではない。また、
アルカリ分についても成分特定されておらず、溶融性、
成形性や化学強化を施すこと等については言及されてい
ない。
ク用ガラス基板において、ヤング率が8500kg／mm2（約8
3ＧPa）以上であり、SiO2−Al2O3−MgO系ガラス、より
具体的にはSiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、アルカリ分を含む
ガラス、更にはY2O3等の希土類酸化物を含むガラスが開
示されている。しかし通常多方面で利用されるソーダ・
ライム・シリケートガラスやボロ・シリケートガラスに
おいては70ＧPaから80ＧPaオーダーのヤング率を有し、
上記ヤング率の限定が格別特異なものではない。また、
アルカリ分についても成分特定されておらず、溶融性、
成形性や化学強化を施すこと等については言及されてい
ない。
【０００６】本発明のガラスは溶融温度（102ポイズ温
度）が1200℃以下と低く、ソーダ・ライム・シリケート
ガラスより、より低温での溶融が容易であり、また成形
も容易である。ガラスの転移点は600℃以下と低く、ア
ルカリイオン交換による化学強化も容易である。
度）が1200℃以下と低く、ソーダ・ライム・シリケート
ガラスより、より低温での溶融が容易であり、また成形
も容易である。ガラスの転移点は600℃以下と低く、ア
ルカリイオン交換による化学強化も容易である。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、本発明はヤ
ング率が高く、高ヤング率が要求されるガラスを容易に
溶融、製造でき、また、アルカリイオン交換によるいわ
ゆる化学強化が容易で強化度合いの高いガラスを得るこ
とができ、光学用ガラスや情報記録媒体としての基板ガ
ラス等のガラス物品を提供することを目的とする。
ング率が高く、高ヤング率が要求されるガラスを容易に
溶融、製造でき、また、アルカリイオン交換によるいわ
ゆる化学強化が容易で強化度合いの高いガラスを得るこ
とができ、光学用ガラスや情報記録媒体としての基板ガ
ラス等のガラス物品を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明は、リチウム含有
アルミノボロシリケート系ガラスにおいて、ヤング率が
95ＧPa以上、ガラスの102ポイズ温度が1200℃以下、ガ
ラスの転移点が600℃以下であるリチウム含有高ヤング
率ガラスである。
アルミノボロシリケート系ガラスにおいて、ヤング率が
95ＧPa以上、ガラスの102ポイズ温度が1200℃以下、ガ
ラスの転移点が600℃以下であるリチウム含有高ヤング
率ガラスである。
【０００９】上記ガラスの成分組成が、質量百分率
（％）で、SiO2 45〜55、Al2O3 10〜20、B2O3 ２〜1
0、Li2O ２〜10、Na2O ０〜５、K2O ０〜３、MgO
３〜15、CaO 10〜20、SrO ０〜５、BaO ０〜５、TiO
2 ０〜５、ZrO2 ０〜＜10の範囲とするものである。
（％）で、SiO2 45〜55、Al2O3 10〜20、B2O3 ２〜1
0、Li2O ２〜10、Na2O ０〜５、K2O ０〜３、MgO
３〜15、CaO 10〜20、SrO ０〜５、BaO ０〜５、TiO
2 ０〜５、ZrO2 ０〜＜10の範囲とするものである。
【００１０】また、本発明は、前記リチウム含有高ヤン
グ率ガラスを、フロート法により成形し、または熱軟化
状態においてプレス成形し、更に該成形物をカリウム塩
および／またはナトリウム塩を含む溶融塩中でアルカリ
イオン交換による化学強化を施した基板ガラス等のガラ
ス物品である。
グ率ガラスを、フロート法により成形し、または熱軟化
状態においてプレス成形し、更に該成形物をカリウム塩
および／またはナトリウム塩を含む溶融塩中でアルカリ
イオン交換による化学強化を施した基板ガラス等のガラ
ス物品である。
【００１１】
【発明の実施の形態】本発明は、高ヤング率ガラスであ
り、現状、例えば磁気記録用ディスクとして95ＧPa以
上、好ましくは100ＧPa以上のヤング率のガラスが要望
されているが、それに適うものである。本発明はまた、
比較的低い温度での溶融、成型が容易なガラスである。
り、現状、例えば磁気記録用ディスクとして95ＧPa以
上、好ましくは100ＧPa以上のヤング率のガラスが要望
されているが、それに適うものである。本発明はまた、
比較的低い温度での溶融、成型が容易なガラスである。
【００１２】本発明のガラスは、ガラス原料を溶融し、
清澄、均質化して得られた溶融ガラスをフロート法によ
り成形することが可能であり、該フロート法によれば極
めて面平滑なガラスを得ることができる。好ましくは溶
融ガラスを鋳込み成形により、一旦目的形状に類似した
かたちの予備成形体とし、更に温度制御してプレス成形
する方法が好適である。
清澄、均質化して得られた溶融ガラスをフロート法によ
り成形することが可能であり、該フロート法によれば極
めて面平滑なガラスを得ることができる。好ましくは溶
融ガラスを鋳込み成形により、一旦目的形状に類似した
かたちの予備成形体とし、更に温度制御してプレス成形
する方法が好適である。
【００１３】ガラスの溶融に際しては、ガラス粘度102
ポイズにおいて、ガラスがきわめて流動性に富み、溶
融、均質化させるうえで効果があり、従って102ポイズ
相当温度は溶融温度とも称される。溶融が容易とされる
一般のソーダ石灰シリカ系ガラスにおける粘度102ポイ
ズ相当温度は1400〜1450℃の範囲であるが、本発明のガ
ラスにおいては1200℃以下と低く、より溶融容易であ
る。
ポイズにおいて、ガラスがきわめて流動性に富み、溶
融、均質化させるうえで効果があり、従って102ポイズ
相当温度は溶融温度とも称される。溶融が容易とされる
一般のソーダ石灰シリカ系ガラスにおける粘度102ポイ
ズ相当温度は1400〜1450℃の範囲であるが、本発明のガ
ラスにおいては1200℃以下と低く、より溶融容易であ
る。
【００１４】本発明においてプレス成形する場合は、プ
レス型母材としては、耐熱性で耐摩耗性に優れる材料、
すなわち合金鋼（例えばオーステナイト鋼）、サーメッ
ト（例えばTiC-Mo-Ni系）、セラミック（例えばアルミ
ナ、ジルコニア）等が採用される。プレス型母材は所望
の形状および光学面に加工、研磨され、更にその上に、
熱軟化した被成形用のガラス（プレス成形用ガラス）が
よく密接でき、被成形用のガラスにより侵食され難い熱
的、化学的に安定な薄膜、すなわち、貴金属膜、タング
ステン膜、タンタル膜、それら金属の合金膜を、例えば
スパッタ法等により形成することにより、成形面が形成
される。従来、一旦ガラスを成形しても、光学面を得る
うえで成形ガラスの表面を研磨加工していたが、上記処
置を施すことにより、殆ど後の研磨加工をすることな
く、所望の光学面を得ることができる。
レス型母材としては、耐熱性で耐摩耗性に優れる材料、
すなわち合金鋼（例えばオーステナイト鋼）、サーメッ
ト（例えばTiC-Mo-Ni系）、セラミック（例えばアルミ
ナ、ジルコニア）等が採用される。プレス型母材は所望
の形状および光学面に加工、研磨され、更にその上に、
熱軟化した被成形用のガラス（プレス成形用ガラス）が
よく密接でき、被成形用のガラスにより侵食され難い熱
的、化学的に安定な薄膜、すなわち、貴金属膜、タング
ステン膜、タンタル膜、それら金属の合金膜を、例えば
スパッタ法等により形成することにより、成形面が形成
される。従来、一旦ガラスを成形しても、光学面を得る
うえで成形ガラスの表面を研磨加工していたが、上記処
置を施すことにより、殆ど後の研磨加工をすることな
く、所望の光学面を得ることができる。
【００１５】本発明のガラスは、成形してそのまま目的
の用途に供することができるが、成形後イオン交換にも
とづく化学強化処理により更に強度（曲げ強度）を増大
させることができる。
の用途に供することができるが、成形後イオン交換にも
とづく化学強化処理により更に強度（曲げ強度）を増大
させることができる。
【００１６】化学強化処理は、ガラスが熱変形し難い転
移点以下、かつ該転移点に近い温度で硝酸カリウム塩、
または硝酸ナトリウム塩、或いはそれら混合塩の融液中
にガラスを浸漬し、数時間のオーダーで、ガラス表層の
アルカリイオンと溶融塩中のよりイオン半径の大きいア
ルカリイオンとのイオン交換により施される。
移点以下、かつ該転移点に近い温度で硝酸カリウム塩、
または硝酸ナトリウム塩、或いはそれら混合塩の融液中
にガラスを浸漬し、数時間のオーダーで、ガラス表層の
アルカリイオンと溶融塩中のよりイオン半径の大きいア
ルカリイオンとのイオン交換により施される。
【００１７】イオン交換を比較的低い温度で効率的に行
ううえで、転移点は可及的に低い温度であることが望ま
しいが、本発明においては前記転移点を600℃以下とす
るものであり、これは高ヤング率とされるガラスにおい
ては格段と低い温度であり、実施例にも示すとおりソー
ダ・ライム、シリケートガラスのそれと同等ないしそれ
以下の温度である。なお高ヤング率ガラスの殆どは無ア
ルカリであり、それは化学強化処理を施すことはできな
いことはいうまでもない。特に、情報記録媒体用基板ガ
ラスとしては、化学強化後の３点曲げ強度において、15
00Kgf／cm2以上（約147ＭPa以上）が良好とされる。
ううえで、転移点は可及的に低い温度であることが望ま
しいが、本発明においては前記転移点を600℃以下とす
るものであり、これは高ヤング率とされるガラスにおい
ては格段と低い温度であり、実施例にも示すとおりソー
ダ・ライム、シリケートガラスのそれと同等ないしそれ
以下の温度である。なお高ヤング率ガラスの殆どは無ア
ルカリであり、それは化学強化処理を施すことはできな
いことはいうまでもない。特に、情報記録媒体用基板ガ
ラスとしては、化学強化後の３点曲げ強度において、15
00Kgf／cm2以上（約147ＭPa以上）が良好とされる。
【００１８】本発明のガラスは、以下の成分組成よりな
る。SiO2はガラスのネットワークフォーマーとしてガラ
ス形成するうえでの主要成分であり、ガラス中45〜55％
（質量百分率. 以下においても同様である）の範囲で含
有させる。45％未満では、ガラス形成が容易ではなくな
り、失透が生じ易く、またガラスの耐水性において劣
る。55％を越えるとヤング率を所望の高さにするのが困
難となる。
る。SiO2はガラスのネットワークフォーマーとしてガラ
ス形成するうえでの主要成分であり、ガラス中45〜55％
（質量百分率. 以下においても同様である）の範囲で含
有させる。45％未満では、ガラス形成が容易ではなくな
り、失透が生じ易く、またガラスの耐水性において劣
る。55％を越えるとヤング率を所望の高さにするのが困
難となる。
【００１９】Al2O3は、SiO2に伴わせてガラスを形成す
る成分でもあり、ガラス中10〜20％の範囲で含有させ
る。10％未満ではガラスを安定して形成し難くなり、20
％を越えるとガラス粘度が増大し、転移点も上昇する。
また、上記範囲において所望のヤング率を得ることがで
き、また、化学強化を施す場合のイオン交換速度を速
め、ガラスの耐水性を良好とすることができる。
る成分でもあり、ガラス中10〜20％の範囲で含有させ
る。10％未満ではガラスを安定して形成し難くなり、20
％を越えるとガラス粘度が増大し、転移点も上昇する。
また、上記範囲において所望のヤング率を得ることがで
き、また、化学強化を施す場合のイオン交換速度を速
め、ガラスの耐水性を良好とすることができる。
【００２０】B2O3はガラス形成成分でもあり、ガラス溶
融、成形を容易とし、適宜範囲においてヤング率を上昇
させるもので、ガラス中２〜10％の範囲で含有させる。
２％未満ではそれら作用効果を発揮し得ず、10％を越え
るとガラスの耐水性を悪化し、またSiO2系との相分離を
起生し易い。
融、成形を容易とし、適宜範囲においてヤング率を上昇
させるもので、ガラス中２〜10％の範囲で含有させる。
２％未満ではそれら作用効果を発揮し得ず、10％を越え
るとガラスの耐水性を悪化し、またSiO2系との相分離を
起生し易い。
【００２１】Li2Oは比較的低温度でのガラス溶融、およ
び成形を容易にし、軟化点、転移点を低下するうえで必
須の成分であり、また適度に含有させることによりヤン
グ率を所望の値とすることができる。Li2Oはガラス中２
〜10％の範囲で含有させるもので、２％未満であるとそ
れら作用効果を発揮し得ず、10％を越えるとガラスの安
定性を低下させ、耐水性を悪化させる。なお、Li2Oはイ
オン交換による化学強化を行ううえでの主要素成分であ
ることはいうまでもない。
び成形を容易にし、軟化点、転移点を低下するうえで必
須の成分であり、また適度に含有させることによりヤン
グ率を所望の値とすることができる。Li2Oはガラス中２
〜10％の範囲で含有させるもので、２％未満であるとそ
れら作用効果を発揮し得ず、10％を越えるとガラスの安
定性を低下させ、耐水性を悪化させる。なお、Li2Oはイ
オン交換による化学強化を行ううえでの主要素成分であ
ることはいうまでもない。
【００２２】Na2Oはガラス溶解性、成形性を容易とし、
軟化点、転移点を低下させる成分であり、必要に応じガ
ラス中５％以下の範囲で含有させる。K2OはNa2O同様ガ
ラスの溶融性を高めるうえで、またガラスの粘度や熱膨
張係数を調整するために、必要に応じガラス中３％以下
の範囲で含有させる。ただしそれぞれ上記上限値を越え
て含有させるとヤング率を低下させ、耐水性も悪化させ
る。
軟化点、転移点を低下させる成分であり、必要に応じガ
ラス中５％以下の範囲で含有させる。K2OはNa2O同様ガ
ラスの溶融性を高めるうえで、またガラスの粘度や熱膨
張係数を調整するために、必要に応じガラス中３％以下
の範囲で含有させる。ただしそれぞれ上記上限値を越え
て含有させるとヤング率を低下させ、耐水性も悪化させ
る。
【００２３】MgOはガラスのヤング率を上昇させ、ガラ
ス溶解性を高めるうえで必須の成分であり、ガラス中３
〜15％の範囲で含有させる。３％未満ではそれら作用効
果を発揮し得ず、15％を越えるとガラスを不安定にし、
失透が生じ易くなる。
ス溶解性を高めるうえで必須の成分であり、ガラス中３
〜15％の範囲で含有させる。３％未満ではそれら作用効
果を発揮し得ず、15％を越えるとガラスを不安定にし、
失透が生じ易くなる。
【００２４】CaOもMgO同様、ガラスのヤング率を上昇さ
せ、ガラス溶解性を高めるうえで必須の成分であり、ガ
ラス中10〜20％の範囲で含有させる。10％未満ではそれ
ら作用効果を発揮し得ず、20％を越えるとガラスを不安
定にし、失透が生じ易くなる。
せ、ガラス溶解性を高めるうえで必須の成分であり、ガ
ラス中10〜20％の範囲で含有させる。10％未満ではそれ
ら作用効果を発揮し得ず、20％を越えるとガラスを不安
定にし、失透が生じ易くなる。
【００２５】SrO、BaOはガラスの溶融性を高め、またガ
ラスの液相温度を下げるのに効果があるが、必須とする
ものではない。必要に応じそれぞれ５％以下の範囲で含
有させる。それぞれ上記上限値を越えるとガラスのヤン
グ率を低下させる。
ラスの液相温度を下げるのに効果があるが、必須とする
ものではない。必要に応じそれぞれ５％以下の範囲で含
有させる。それぞれ上記上限値を越えるとガラスのヤン
グ率を低下させる。
【００２６】TiO2はガラスの粘度や熱膨張係数を調整
し、またガラスの化学的耐久性を向上させるうえで、必
要に応じガラス中５％以下の範囲で含有させる。５％を
越えて含有させると、ガラスの粘度を高め、ガラスの溶
融、成形性を悪化させる。
し、またガラスの化学的耐久性を向上させるうえで、必
要に応じガラス中５％以下の範囲で含有させる。５％を
越えて含有させると、ガラスの粘度を高め、ガラスの溶
融、成形性を悪化させる。
【００２７】ZrO2はガラスの耐水性、耐食性を向上し、
またヤング率を向上させる成分ではあるが、ガラス溶融
を阻害し易く、ガラスの粘度を高めるので、必要に応じ
ガラス中10％未満、好ましくは６％以下の範囲で含有さ
せる。なお10％以上であるとガラスが乳濁する。
またヤング率を向上させる成分ではあるが、ガラス溶融
を阻害し易く、ガラスの粘度を高めるので、必要に応じ
ガラス中10％未満、好ましくは６％以下の範囲で含有さ
せる。なお10％以上であるとガラスが乳濁する。
【００２８】以下に具体的実施例を示す。
【実施例】〔ガラス溶融〕シリカ源として光学珪砂、ア
ルミナ源として酸化アルミニウム、酸化ホウ素源として
無水硼酸、酸化リチウム源として炭酸リチウム、酸化ナ
トリウム源として炭酸ソーダ、酸化カリウム源として炭
酸カリウム、マグネシア源として酸化マグネシウム、カ
ルシア源として炭酸カルシウム、ジルコニア源としてジ
ルコン砂を採用し、表１に示すガラス組成に則って各原
料を秤量、調合した。
ルミナ源として酸化アルミニウム、酸化ホウ素源として
無水硼酸、酸化リチウム源として炭酸リチウム、酸化ナ
トリウム源として炭酸ソーダ、酸化カリウム源として炭
酸カリウム、マグネシア源として酸化マグネシウム、カ
ルシア源として炭酸カルシウム、ジルコニア源としてジ
ルコン砂を採用し、表１に示すガラス組成に則って各原
料を秤量、調合した。
【００２９】ガラス重量で3.5kg相当の調合バッチを2L
の白金るつぼに充填し、電気炉内で、1200℃−５時間予
備溶融の後、1450℃−５時間、スターラーで撹拌しつつ
溶融し、その後温度を降下させ、1200℃−２時間かけて
清澄化させ、るつぼを取り出し、カーボン製型枠内に流
し込み、ガラスブロックを得た。ガラスブロックは、更
に予め600℃に加熱調整した電気炉内にセットし、該温
度に維持後、充分時間をかけて徐冷した。
の白金るつぼに充填し、電気炉内で、1200℃−５時間予
備溶融の後、1450℃−５時間、スターラーで撹拌しつつ
溶融し、その後温度を降下させ、1200℃−２時間かけて
清澄化させ、るつぼを取り出し、カーボン製型枠内に流
し込み、ガラスブロックを得た。ガラスブロックは、更
に予め600℃に加熱調整した電気炉内にセットし、該温
度に維持後、充分時間をかけて徐冷した。
【００３０】〔ガラスのヤング率の測定〕ガラスブロッ
クを50×40×30(厚み)mmに切り出し、厚さを25mmまで平
行研磨した試料をシングアラウンド方式（２探触子法：
超音波工業製シングアラウンド式音速測定装置）で縦
波、横波の音速を測定することによりヤング率を求め
た。ヤング率は先述したとおり、95ＧPa以上を良好とす
るものであり、より好ましくは100ＧPa以上とするのが
望ましい。
クを50×40×30(厚み)mmに切り出し、厚さを25mmまで平
行研磨した試料をシングアラウンド方式（２探触子法：
超音波工業製シングアラウンド式音速測定装置）で縦
波、横波の音速を測定することによりヤング率を求め
た。ヤング率は先述したとおり、95ＧPa以上を良好とす
るものであり、より好ましくは100ＧPa以上とするのが
望ましい。
【００３１】〔ガラスの粘度測定〕得られたガラスの一
部を切り出して白金るつぼ内で加熱溶融し、公知の球引
き上げ法により102ポイズ相当温度（溶融温度）を測定
した。102ポイズ温度はソーダ・ライム・シリケートガ
ラスより低く、易溶性である1200℃以下とするものであ
る。
部を切り出して白金るつぼ内で加熱溶融し、公知の球引
き上げ法により102ポイズ相当温度（溶融温度）を測定
した。102ポイズ温度はソーダ・ライム・シリケートガ
ラスより低く、易溶性である1200℃以下とするものであ
る。
【００３２】〔ガラスの熱膨張係数、転移点の測定〕ガ
ラスブロックの一部を切り出して所定の棒状に成形し、
示唆熱膨脹計により、転移点および室温（30℃）〜転移
点の平均熱膨張係数を求めた。転移点は、特にイオン交
換の容易性に鑑みて600℃以下とするものであり、より
好ましくは、ソーダ・ライム・シリケートガラスと同
等、またはそれ以下の570℃以下とするのが望ましい。
ラスブロックの一部を切り出して所定の棒状に成形し、
示唆熱膨脹計により、転移点および室温（30℃）〜転移
点の平均熱膨張係数を求めた。転移点は、特にイオン交
換の容易性に鑑みて600℃以下とするものであり、より
好ましくは、ソーダ・ライム・シリケートガラスと同
等、またはそれ以下の570℃以下とするのが望ましい。
【００３３】熱膨脹係数は特に規定するものではない
が、プレス成形においては金型（セラミック、サーメッ
ト、または合金鋼等）のそれと大きく相違すると成形時
に表面皺や歪みが生じ易い。好ましくは30℃〜転移点間
の熱膨張係数（α×10-7／℃）においてαが70以上とす
ることが望ましい。
が、プレス成形においては金型（セラミック、サーメッ
ト、または合金鋼等）のそれと大きく相違すると成形時
に表面皺や歪みが生じ易い。好ましくは30℃〜転移点間
の熱膨張係数（α×10-7／℃）においてαが70以上とす
ることが望ましい。
【００３４】〔イオン交換ガラスの作製および曲げ強
度、耐水性の測定〕ガラスブロックを切断し、研磨し
て、サイズ50×10×３mm(厚み)とし、イオン交換用アル
カリ液中に浸漬し、イオン交換処理した。条件は以下の
とおりである。イオン 交換液:硝酸ナトリウム40％、硝酸カリウム60％（質量％）溶融塩 浸漬条件：温度 450℃ 時間 ２Hr
度、耐水性の測定〕ガラスブロックを切断し、研磨し
て、サイズ50×10×３mm(厚み)とし、イオン交換用アル
カリ液中に浸漬し、イオン交換処理した。条件は以下の
とおりである。イオン 交換液:硝酸ナトリウム40％、硝酸カリウム60％（質量％）溶融塩 浸漬条件：温度 450℃ 時間 ２Hr
【００３５】処理後試料を取出し、冷却、洗浄後曲げ強
度を測定した。条件は以下のとおりである。 曲げ強度：JIS R 1601（ファインセラミックスの曲げ強
さ試験方法）に則る３点曲げ強度において、強度1500kg
f／cm2（約147ＭPa）以上において良好（表１〜３にお
いて○）、それ未満は不可（表１〜３において×）と評
価 組成、および各種測定、評価結果を表１〜表３に示す。
度を測定した。条件は以下のとおりである。 曲げ強度：JIS R 1601（ファインセラミックスの曲げ強
さ試験方法）に則る３点曲げ強度において、強度1500kg
f／cm2（約147ＭPa）以上において良好（表１〜３にお
いて○）、それ未満は不可（表１〜３において×）と評
価 組成、および各種測定、評価結果を表１〜表３に示す。
【００３６】 〔表１〕 実施例・比較例 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5 ──────────────────────────────────── 組成(%) SiO2 55.0 55.0 50.0 50.0 50.0 Al2O3 13.0 11.0 14.0 12.0 12.0 B2O3 4.0 4.0 4.0 4.0 10.0 Li2O 5.0 6.0 6.0 6.0 6.0 Na2O -- -- -- -- -- K2O -- -- -- -- -- MgO 3.0 5.0 7.0 12.0 7.0 CaO 17.0 15.0 15.0 10.0 10.0 ZrO2 3.0 4.0 4.0 6.0 5.0 物性 ヤング率(GPa) 96 98 101 104 98 溶融温度(102P温度)1133 1048 1016 1006 936 熱膨張係数 65 68 76 74 64 転移点 562 545 553 560 540 化学強化 強化度合い ○ ○ ○ ○ ○
【００３７】 〔表２〕 実施例・比較例 実施例6 実施例7 実施例8 実施例9 実施例10 ──────────────────────────────────── 組成(%) SiO2 45.0 50.0 50.0 50.0 50.0 Al2O3 17.0 12.0 15.0 10.0 10.0 B2O3 4.0 4.0 4.0 4.0 5.0 Li2O 6.0 6.0 6.0 5.0 4.0 Na2O -- -- -- 2.0 2.0 K2O -- -- -- -- -- MgO 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0 CaO 15.0 15.0 15.0 15.0 15.0 ZrO2 3.0 3.0 -- 4.0 4.0 物性 ヤング率(GPa) 104 104 102 102 102 溶融温度(102P温度) 975 939 983 934 972 熱膨張係数 76 78 79 81 79 転移点 558 554 552 552 565 化学強化 強化度合い ○ ○ ○ ○ ○
【００３８】 〔表３〕 実施例・比較例 比較例1 比較例2 比較例3 ──────────────────────────────────── 組成(%) SiO2 50.0 40.0 72.0 Al2O3 12.0 20.0 2.0 B2O3 5.0 -- -- Li2O 3.0 -- -- Na2O -- -- 13.0 K2O -- -- 1.0 MgO 10.0 -- 4.0 CaO 10.0 40.0 8.0 ZrO2 10.0 -- -- 物性 ヤング率(GPa) 不測定 100 74 溶融温度(102P温度)(乳濁） 1108 1445 熱膨張係数 不測定 67 85 転移点 不測定 827 555 化学強化 強化度合い 不測定 不測定 ○
【００３９】〔結果〕実施例範囲において、ヤング率が
95ＧPa以上と高く、溶融温度は1200℃以下であり、転移
点も600℃以下と低い。また、化学強化ガラスの強化度
合いも満足し得る。なお、比較例１は溶融過程で乳濁が
生じた。比較例２は、転移点が800℃以上と高い。比較
例３（ソーダ・ライム・シリケートガラス）はヤング率
において劣る。
95ＧPa以上と高く、溶融温度は1200℃以下であり、転移
点も600℃以下と低い。また、化学強化ガラスの強化度
合いも満足し得る。なお、比較例１は溶融過程で乳濁が
生じた。比較例２は、転移点が800℃以上と高い。比較
例３（ソーダ・ライム・シリケートガラス）はヤング率
において劣る。
【００４０】
【発明の効果】本発明のガラスは、溶融温度が1200℃以
下であり、転移点も600℃以下と低く、従ってガラス製
造が容易であり、かつ95ＧPa以上の高ヤング率のガラス
である。また、アルカリイオン交換によるいわゆる化学
強化が容易であり、強化度合いの高いガラスを得ること
ができる。該ガラスは光学用ガラスや情報記録媒体とし
ての基板ガラス等のガラス物品として好適に供せられ
る。
下であり、転移点も600℃以下と低く、従ってガラス製
造が容易であり、かつ95ＧPa以上の高ヤング率のガラス
である。また、アルカリイオン交換によるいわゆる化学
強化が容易であり、強化度合いの高いガラスを得ること
ができる。該ガラスは光学用ガラスや情報記録媒体とし
ての基板ガラス等のガラス物品として好適に供せられ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 4G059 AA01 AA08 AC16 AC18 HB03 HB13 HB14 HB15 4G062 AA01 BB01 BB06 CC04 DA05 DA06 DB04 DC03 DD01 DE01 DF01 EA03 EB01 EB02 EB03 EC01 EC02 EC03 ED03 EE04 EF01 EF02 EF03 EG01 EG02 EG03 FA01 FA10 FB01 FB02 FB03 FC01 FC02 FC03 FD01 FE01 FF01 FG01 FH01 FJ01 FK01 FL01 GA01 GA10 GB01 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH05 HH07 HH09 HH11 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM04 MM27 NN33 5D006 CB04 CB07
Claims (3)
- 【請求項１】リチウム含有アルミノボロシリケート系ガ
ラスにおいて、ヤング率が95ＧPa以上、ガラスの102ポ
イズ温度が1200℃以下、ガラスの転移点が600℃以下で
あることを特徴とするリチウム含有高ヤング率ガラス。 - 【請求項２】ガラスの成分組成が、質量百分率（％）
で、SiO2 45〜55、Al2O3 10〜20、B 2O3 ２〜10、Li2
O ２〜10、Na2O ０〜５、K2O ０〜３、MgO ３〜1
5、CaO10〜20、SrO ０〜５、BaO ０〜５、TiO2 ０〜
５、ZrO2 ０〜＜10の範囲であることを特徴とする請求
項１記載のリチウム含有高ヤング率ガラス。 - 【請求項３】請求項１または２記載のリチウム含有高ヤ
ング率ガラスを、フロート法により成形し、または熱軟
化状態においてプレス成形し、更に該成形物をカリウム
塩および／またはナトリウム塩を含む溶融塩中でアルカ
リイオン交換による化学強化を施したことを特徴とする
ガラス物品。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP37269799A JP2001180969A (ja) | 1999-12-28 | 1999-12-28 | リチウム含有高ヤング率ガラスおよびガラス物品 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP37269799A JP2001180969A (ja) | 1999-12-28 | 1999-12-28 | リチウム含有高ヤング率ガラスおよびガラス物品 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2001180969A true JP2001180969A (ja) | 2001-07-03 |
Family
ID=18500904
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP37269799A Pending JP2001180969A (ja) | 1999-12-28 | 1999-12-28 | リチウム含有高ヤング率ガラスおよびガラス物品 |
Country Status (1)
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