JP2001179214A - 石油系燃焼灰の処理方法 - Google Patents

石油系燃焼灰の処理方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 石油系燃焼灰の処理方法において、石膏
とマグネシウムを経済的に分離回収できる処理方法を提
供する。 【解決手段】 石油系燃焼灰またはその処理物のアンモ
ニア浸出濾液に溶存するマグネシウムを処理する方法で
あって、上記アンモニア浸出濾液にカルシウム化合物を
加えてpH12未満のアルカリ性下で石膏を沈殿させ、
次いでこの溶液のpHを12以上に調整して水酸化マグ
ネシウムを沈殿させて分離することを特徴とする石油系
燃焼灰の処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油系燃焼灰から
バナジウムやニッケルなどの有価金属を分離回収する方
法において、ニッケルを抽出した濾液からマグネシウム
を経済的に効率良く分離する処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】火力発電所や各種工業プラントのボイラ
ー等は重油や石油コークス等の重質油系燃料を用いるも
のが多く、現在、多量の燃焼灰が排出されている。これ
らの大部分は埋め立て処分されているが、この燃焼灰に
はバナジウム等の有価金属が含有されており、環境汚染
の防止および再資源化の観点から、その有効利用が求め
られている。
【0003】このような重油灰から有価金属を回収する
方法が従来知られている。例えば、特開昭60−469
30号には、石油系燃料の燃焼灰スラリーに硫酸を加え
て灰中の有価金属を浸出させた後に、液性をアルカリ性
に転化して鉄分を酸化沈殿させて除去し、液性を再び強
酸性として液中のバナジウムを酸化バナジウムとして沈
殿させる方法が記載されている。また、特公平4−61
709号には、上記方法において鉄分を除去した濾液を
冷却してさらにバナジウム化合物を分離し、これに硫酸
を添加してニッケルを回収する方法が提案されている。
さらに、特公平5−13718号にはバナジウムを分離
した後に、残渣からニッケルスラッジと石膏を分離する
方法が記載されている。上記処理方法は何れも硫酸浸出
を行う方法であり、強酸性下で加熱するため浸出槽など
の腐蝕が激しい問題がある。また、硫酸浸出を行った後
に、液性をアルカリ性に転化して酸化剤を添加し、その
後に再び酸性にするなど液性の調整が煩雑である。
【0004】本出願人は、硫酸浸出を行う上記従来方法
に代えて、アンモニア浸出を行う方法を先に提案した
(特願平11-207923号)。このアンモニア浸出の方法によ
れば、装置の腐食などの問題がなく、しかも液性の煩雑
な調整が不要であり、ニッケルなどを効率良く浸出でき
る利点がある。このニッケルは溶媒抽出によって分離回
収することができる。また、通常、このアンモニア浸出
濾液にはニッケルと共にマグネシウムが含まれるが、ニ
ッケル抽出液としてバーサチック酸を用いることによ
り、マグネシウムを殆ど抽出せずにニッケルを選択的に
抽出することができる。
【0005】このニッケルを分離した浸出濾液にはマグ
ネシウム等が含まれており、その分離回収方法として、
ニッケル抽出液から分離したアンモニア浸出濾液に酸化
マグネシウムを添加して100〜250℃に加熱し、ア
ンモニアを揮発除去すると共に水酸化マグネシウムを沈
殿させ、これを濾過分離する一方、その濾液に生石灰を
加えて石膏を沈殿させて回収する方法が知られている。
しかし、この処理方法では、酸化マグネシウムのコスト
が嵩み、また溶液を加熱しなければならない。
【0006】
【発明の解決課題】本発明は、従来のマグネシウムの分
離処理における上記問題を解決したものであって、マグ
ネシウムの添加や加熱の必要がなく、経済的にマグネシ
ウムを分離回収することができる処理方法に関する。
【0007】
【発明の解決課題】すなわち、本発明は、(1)石油系
燃焼灰またはその処理物のアンモニア浸出濾液に溶存す
るマグネシウムを処理する方法であって、上記アンモニ
ア浸出濾液にカルシウム化合物を加えてpH12未満の
アルカリ性下で石膏を沈殿させ、次いでこの溶液のpH
を12以上に調整して水酸化マグネシウムを沈殿させて
分離することを特徴とする石油系燃焼灰の処理方法に関
する。
【0008】上記処理方法は、(2)上記アンモニア浸
出濾液に生石灰を加えて該濾液のpH10〜12に調整
することにより石膏を沈殿させ、次いで、この溶液に消
石灰を加えてpHを12以上に調整することにより水酸
化マグネシウムを沈殿させる処理方法、(3)上記アン
モニア浸出濾液が、石油系燃焼灰またはその処理物の固
形分を酸化処理と共にアンモニア浸出し、次いでニッケ
ル抽出処理を経た濾液である処理方法を含む。
【0009】また本発明は、上記処理工程を含む以下の
処理方法に関する。(4)(イ)石油系燃焼灰またはその
処理物を水性スラリーにする水浸出工程、(ロ)水性スラ
リーの濾液を酸性下で加熱してバナジウム化合物を析出
させ、これを濾別回収するバナジウム回収工程、(ハ)上
記水性スラリーの固形分にアンモニア水を加えて中性な
いしアルカリ性下で酸化処理して含有金属を液中に浸出
させるアンモニア浸出工程、(ニ)アンモニア浸出濾液に
ニッケル抽出溶媒を加えてニッケルを抽出する工程、
(ホ)ニッケル抽出溶媒と分離したアンモニア浸出濾液の
マグネシウムを処理する工程を有する処理方法におい
て、上記アンモニア浸出濾液にカルシウム化合物を加え
てpH12未満のアルカリ性下で石膏を沈殿させ、次い
でこの溶液のpHを12以上に調整して水酸化マグネシ
ウムを沈殿させて分離することを特徴とする石油系燃焼
灰の処理方法。
【0010】
【発明の実施の態様】以下、本発明を実施態様に基づい
て詳細に説明する。本発明の処理方法の概略を図1に示
す。図示するように、本発明は石油系燃焼灰からバナジ
ウムやニッケルなどを回収する際に、さらにはその残渣
をセメント原料として利用する一方、浸出液から石膏お
よびマグネシウムを回収することができる処理方法に関
する。本発明の処理対象である石油系燃焼灰とは、ター
ル質燃料およびタール質燃料をエマルジョン化したも
の、重油、石油コークス、石油ピッチ、アスファルト等
の石油系燃料を燃焼した際に生じる塵灰である。具体的
は、発電所や各種工業プラントのボイラー等から排出さ
れる集塵灰等である。なお、通常、燃焼灰には未燃カー
ボンが含まれているがこれは除去して処理するのが好ま
しい。未燃カーボンは燃焼灰のスラリーを攪拌して静置
すると液面に浮遊し、これを掻き取りあるいは流し出す
ことにより容易に除去することができる。
【0011】図示する本発明の処理方法は、石油系燃焼
灰またはその処理物を水浸出する工程(A)、水浸出スラ
リーの濾液からバナジウムを回収する工程(B)、水浸出
の固形分にアンモニア水を加えて中性ないしアルカリ性
下で酸化処理しつつ含有金属を液中に浸出させるアンモ
ニア浸出工程(C)、アンモニア浸出濾液にニッケル抽出
溶媒を加えてニッケルを抽出する溶媒抽出工程(D)、お
よびマグネシウム処理工程(E)を有している。以下、各
工程について説明する。
【0012】(A)水浸出工程 石油系燃焼灰に水や硫酸を加えて水性スラリーにし、液
中にバナジウム等を浸出させる。この水性スラリーを固
液分離し、その濾液をバナジウム回収工程に送る。この
水浸出工程において、水性スラリーを濾過して固形分を
アンモニア浸出工程に送る一方、濾液を水浸出工程に循
環して再使用することにより濾液中のバナジウム濃度を
高めると良い。濾液中のバナジウム濃度を高めることに
よってその回収率が向上する。
【0013】濾液を水浸出工程に循環する基準は、水性
スラリーから固液分離された濾液中のニッケル濃度が1
00ppm以下およびマグネシウム濃度が3000ppm以下
となる範囲内である。マグネシウム濃度がこれより高く
なると硫酸マグネシウムアンモニウムなどの影響により
マグネシウムが析出するので好ましくない。また、この
濾液はバナジウム回収工程に送られるので、ニッケル濃
度が上記範囲を超えると溶媒抽出工程で回収されるニッ
ケル量が減少する。
【0014】(B)バナジウム回収工程 水浸出工程の上記濾液にアンモニアを加えてpH2〜4
に調整し、好ましくは80〜90℃に加熱することによ
り酸化バナジウムを析出させる。なお、この酸化バナジ
ウムを回収して炭酸ナトリウムや塩素酸ナトリウムを加
え、液性を弱酸性に調整して酸化バナジウムを溶解し、
液中の未溶解物を濾別した後に、この濾液にアンモニア
ないしアンモニア塩を加え、この濾液を75〜85℃程
度に加熱してバナジン酸アンモニウムを沈殿させること
により、不純物の少ないバナジウム化合物を回収するこ
とができる。
【0015】(C)アンモニア浸出工程 上記水浸出工程で固液分離した固形分にアンモニアと水
を加えて中性ないしアルカリ性下で酸化処理することに
より固形分に残留する金属分を液中に浸出させる。この
固形分にはニッケルが含まれ、また水浸出で分離できな
かったバナジウムが含まれている。なお、石油系燃焼灰
には多量の硫黄分が含まれているので、これを水性スラ
リーにすると硫黄分が溶出して酸性の溶液となるが、こ
れにアンモニアを加えてスラリーをpH7〜9の弱アル
カリ性(中性〜アルカリ性)に調整する。アンモニアの添
加は常温下で良く、加熱する必要はない。
【0016】なお、このアンモニア浸出において二段階
の酸化処理を行うことによりニッケルおよびバナジウム
の浸出率を高めることができる。この酸化処理は、アン
モニアを添加して中性〜アルカリ性に調整したスラリー
に、空気を導入して攪拌し、スラリーに含まれるニッケ
ルやバナジウム等を酸化する。この一段目の空気酸化の
後にスラリーを固液分離し、その固形分に必要に応じて
アンモニアを再度添加して液性を中性〜アルカリ性に調
整し、これに過酸化水素を添加して二段目の酸化処理を
行う。過酸化水素を添加したときには必要に応じてスラ
リーを攪拌すると良い。
【0017】上記酸化処理において、好ましくは、アン
モニア浸出スラリーの液性をpH7〜9に調整して空気
酸化と過酸化水素による酸化を行い、スラリーの酸化還
元電位が100〜150mVになる範囲で空気酸化で終了
し、次いで過酸化水素を添加して酸化処理を行い、スラ
リーの酸化還元電位が150mV以上になるようにその添
加量を調整する。空気酸化のみでは液の酸化還元電位が
短時間で150mV以上になるのは難しいので、この範囲
まで空気酸化を行い、その次に、スラリーの酸化還元電
位が150mV以上になるまで過酸化水素を加えて酸化す
る。
【0018】二段階の酸化処理を行うことにより、スラ
リーに含まれる酸化し易い状態の金属分が最初の空気酸
化によって液中に浸出する。この空気酸化では浸出せず
に固形分に残留している金属分を次の過酸化水素の酸化
処理によって液中に浸出させる。なお、最初に空気酸化
を行うので過酸化水素による酸化処理の負担が軽減され
る。二段目の過酸化水素による酸化処理の後に固液分離
を行い、その濾液の全量を一段目の空気酸化に循環す
る。この濾液の全量を空気酸化に返送することにより、
アンモニア浸出工程全体の液量を増加せずに浸出効果を
高めることができる。一方、過酸化水素による酸化処理
後の固形分にはシリカ、アルミナや事前に除去されなか
った未燃カーボンなどが含まれており、これをセメント
原料として利用することができる。
【0019】酸化処理を伴うアンモニア浸出によって、
水浸出では溶出しなかった焼却灰中のニッケルおよびバ
ナジウムが溶出し、その浸出効果が格段に向上する。具
体的には、酸化処理を行わないアンモニア浸出の場合に
はバナジウムの浸出率は30〜40%であるが、酸化処
理を併用したアンモニア浸出ではバナジウムの浸出率は
90%以上に大幅に向上する。これはバナジウムの価数
が多くなりアルカリ性下でイオン化し易い形態に転換す
るためと思われる。またニッケルの浸出率は、スラリー
が酸性(pH3〜5程度)のときには20〜30%台であ
るが、中性〜アルカリ性(pH7〜9)では約70〜10
0%に達し、格段に浸出率が向上する。なお、以上の酸
化処理を併用したアンモニア浸出は加熱下で行う必要は
なく、常温下で良い。
【0020】(D)溶媒抽出工程(D-1)ニッケル抽出 ニッケル抽出剤としてリン酸系抽出剤を用いても良い
が、これに代えてバーサチック酸を用いることにより、
アンモニア浸出濾液に含まれるニッケルをマグネシウム
と分離して効率良く抽出することができる。このバーサ
チック酸による抽出は、アンモニア浸出濾液のpHを弱
アルカリ性、好ましくはpH7.5〜8.5に調整して行
うのが好ましい。バーサチック酸に抽出されたニッケル
およびマグネシウムの濃度をみると、pH7.5以上の
範囲でニッケルの濃度は高くなるがマグネシウムの濃度
はpH8.5付近では未だ低い。従ってpH7.5〜8.
5の範囲において、マグネシウムを殆ど抽出せずにニッ
ケルを選択的に抽出することができる。
【0021】なお、従来のリン酸系抽出剤では、マグネ
シウムの抽出pH域がニッケルよりも低く、このためニ
ッケルを抽出するとマグネシウムも随伴して抽出され
る。このため、さらにニッケルとマグネシウムを分離す
る二段階の抽出処理が必要になる。一方、上記バーサチ
ック酸を用いればマグネシウムを殆ど抽出せずにニッケ
ルを選択的に抽出することができるので、一段階の抽出
処理によってニッケルをマグネシウムから分離して抽出
することができる。
【0022】バーサチック酸の濃度は5%以上が適当で
あり、10%以上が好ましい。一例としてバーサチック
酸の濃度10%、15%、20%におけるニッケルの抽
出率は約80%、約90%、約97%であり、高い抽出
率が得られる。なお、従来のリン酸系抽出剤は濃度10
%のとき、ニッケルの抽出率は40〜50%程度であ
り、本発明のバーサチック酸に比べて大幅に低い。
【0023】(D-2)抽出剤の洗浄 バーサチック酸をアンモニア浸出濾液から分離した後
に、このバーサチック酸に希硫酸を混合して洗浄する。
ニッケルに随伴して抽出されたマグネシウム(イオン)は
この洗浄によって希硫酸中に洗い出され、バーサチック
酸から除去される。この洗浄はpH2〜4の酸性下で行
い、濃度0.01〜5g/lの希硫酸を用いるのが良い。希
硫酸の濃度に対するニッケルおよびマグネシウムの濃度
(希硫酸に逆抽出される濃度)を図4に示す。このグラフ
に示すように、希硫酸の濃度が1g/l以下ではニッケル
は殆ど洗浄されず、2g/l以上になるとニッケルの濃度
が次第に高くなる。一方、マグネシウムの濃度は希硫酸
の濃度が0.1g/lでも比較的高く、3g/l以上ではほぼ
飽和する。従って、濃度0.01〜5g/l、好ましくは
0.1〜2g/lの希硫酸を用いることにより、ニッケルを
バーサチック酸に残してマグネシウムを選択的に希硫酸
中に洗い出すことができる。このマグネシウムは石膏の
回収工程に導き、水酸化物として回収することができ
る。
【0024】(D-3)逆抽出 希硫酸で洗浄したバーサチック酸に濃硫酸を混合し、こ
の濃硫酸にバーサチック酸中のニッケル(イオン)を逆抽
出する。この逆抽出はpH1以下の酸性下で行い、濃度
100〜300g/lの濃硫酸を用いるのが良い。混合
後、濃硫酸とバーサチック酸を分離する。このバーサチ
ック酸はニッケル抽出工程に循環して再度使用すること
ができる。一方、分離した濃硫酸には逆抽出したニッケ
ルが硫酸ニッケルの状態で含まれている。この濃硫酸液
を40〜80℃程度に加熱して水分を蒸発させ、濃縮す
ることにより硫酸ニッケルを回収することができる。あ
るいは、この濃硫酸液を硫酸ニッケルの溶解度以下に冷
却して析出させても良い。この硫酸ニッケルを濾過して
回収し、乾燥すれば硫酸ニッケルの粉末を得ることがで
きる。この濾液(濃硫酸)は逆抽出工程に循環して再利用
することができる。
【0025】(E)マグネシウム処理工程 ニッケル抽出工程において上記浸出液は弱アルカリ性、
好ましくはpH7.5〜8.5に調整されているので、こ
のニッケル抽出工程から分離したアンモニア浸出濾液
に、カルシウム化合物を加えてpH12未満のアルカリ
性とし、好ましくはpH10〜12未満に調整し、アン
モニアを揮発させて回収すると共に石膏(CaSO4・2H2O)を
沈殿させる。pHが12以上になると水酸化マグネシウ
ムが沈殿し、これが石膏に混入するようになるのでカル
シウムを分離して回収するうえで不都合である。このカ
ルシウム化合物としては経済性や排液処理などの点から
生石灰(CaO)や消石灰(Ca(OH)2)、炭酸カルシウム(CaC
O3)、およびこれらの混合物が適当である。なお、液中
のアンモニアを揮発しやすくするためにバブリングを行
い、あるいは炭酸カルシウムを添加して発生する炭酸ガ
スによってバブリング効果を与えるようにすると良い。
【0026】石膏を濾過分離した後に、その濾液に水酸
化カルシウム、水酸化ナトリウム等のアルカリを添加し
て濾液のpHを12以上に上げて、水酸化マグネシウム
を沈殿させる。なお、アルカリ源としては、生石灰では
pHを12以上にするのが難しので水酸化カルシウムが
適当である。この水酸化マグネシウムをサイクロンで濃
縮し、これを濾過分離して回収する。その濾液は水浸出
工程などに返送して再使用することができる。
【0027】このように、本処理工程によれば、石膏の
沈殿および水酸化マグネシウムの沈殿を生じさせる際
に、コストの嵩む酸化マグネシウムを用いる必要がな
く、また濾液の加熱も必要ないので、経済的であり処理
も容易である。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に示
す。実施例1 重油質燃料の燃焼灰(V2O5:4.0wt%、Ni:0.4wt%、MgO:
4.2wt%、NH3:21.3wt%、SO3:53.9wt%)を固体濃度20
%の水性スラリーとし、固液分離した固形分8kgにアン
モニア水を加えてpH8にし、これに空気(20リットル/mi
n)を導入して2時間攪拌した後に固液分離し、この固形
分にアンモニア水を加え、さらに過酸化水素水(濃度31v
ol%)を30ml加えて攪拌混合した後に濾過し、濾液の
全量(14.6リットル)を空気酸化工程に循環して再度利用し
た。一方、上記空気酸化後の濾液2400mlを抜き出
し、このアンモニア浸出濾液のpHを8に調整した後
に、80mlずつにバーサチック酸(濃度30vol%)80ml
を加える。3分間混合後、バーサチック酸を浸出濾液か
ら分離して希硫酸(濃度2g/l)80mlを加えて3分間混合
した後に希硫酸を分離した。次に、このバーサチック酸
に濃硫酸(濃度200g/l)80mlを加えて3分間混合した後
に、濃硫酸を分離した。この濃硫酸をさらに新しい抽出
液(上記成分)を用いて30回抽出を繰り返して濃縮し
た。この硫酸液を蒸発して硫酸ニッケル25.34gを回
収した。この硫酸ニッケル中のマグネシウム量は検出限
界量以下であった。一方、バーサチック酸から分離した
濾液1000mlに生石灰85.0gを添加して攪拌混合
し、液のpHを10.8に調整して石膏を沈殿させると
共に発生したアンモニアを回収した。アンモニアの回収
量は10%濃度のアンモニア水で300mlであった。ま
た沈殿した石膏の量は247.1gであった。この石膏を
分離した濾液にさらに消石灰38.2gを加えて攪拌混
合し、生じた沈殿を濾過分離して水酸化マグネシウム2
8.9gを回収した。
【0029】実施例2 タール質燃料の燃焼灰(V25:4.0wt%、Ni:0.4
wt%、MgO:4.2wt%、NH3:21.3wt%、SO3:
53.9wt%)1000kgを固体濃度が20%になるよ
うにアンモニア水を加えて2時間混合し、濾過した。こ
の濾液(アンモニア浸出液)にニッケルの抽出溶媒を加え
てニッケルを抽出した。ニッケル抽出溶媒としては、キ
レート剤(2-Hydroxy-5-Nonylacetophenone-Oxime)を
ケロシンで5vol%に希釈したものを用い、溶液のpH
を9に調整し、浸出液に対してこの溶媒を1:1の液量
で加えて3分間混合した。このニッケル抽出液を浸出液
と分離し、該抽出液90mlに硫酸液(濃度20wt%)6mlg
を加え(Ni抽出液:硫酸=15:1)、pH1.5の液
性下で3分間混合してニッケルを逆抽出した。引き続
き、この硫酸液を40〜80℃に加熱し、水分を蒸発さ
せて硫酸ニッケル粉末15.2gを得た。次に、ニッケ
ル抽出液から分離した濾液1000mlに生石灰18.6g
を添加して攪拌混合し、液のpHを10.9に調整して
石膏を沈殿させると共に発生したアンモニアを回収し
た。アンモニアの回収量は10%濃度のアンモニア水で
920mlであった。また沈殿した石膏の量は53.8gで
あった。この石膏を分離した濾液にさらに消石灰9.8
gを加えて攪拌混合し、生じた沈殿を濾過分離して水酸
化マグネシウム12.7gを回収した。
【0030】
【発明の効果】本発明の処理方法によれば、石油系燃焼
灰からバナジウムやニッケルを回収する際に、ニッケル
を除去した溶液から経済的にかつ容易に石膏とマグネシ
ウムを分離して回収することができる。酸化マグネシウ
ムを用いる方法では溶液を加熱する必要があり、また酸
化マグネシウムのコストが嵩むが本発明の処理方法によ
ればこのような問題がなく、経済性に優れると共に実施
も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理方法の概略を示す工程図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22B 26/00 C22B 3/00 Q (72)発明者 プーパッキ メラニ 千葉県佐倉市大作二丁目4番2号 太平洋 セメント株式会社佐倉研究所内 (72)発明者 三浦 啓一 千葉県佐倉市大作二丁目4番2号 太平洋 セメント株式会社佐倉研究所内 Fターム(参考) 4D004 AA36 AB03 BA05 CA22 CA35 CA36 CA41 CC03 CC11 CC12 DA03 DA20 4K001 AA19 AA28 AA38 BA14 DB02 DB07 DB08 DB09 DB23

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石油系燃焼灰またはその処理物のアンモ
    ニア浸出濾液に溶存するマグネシウムを処理する方法で
    あって、上記アンモニア浸出濾液にカルシウム化合物を
    加えてpH12未満のアルカリ性下で石膏を沈殿させ、
    次いでこの溶液のpHを12以上に調整して水酸化マグ
    ネシウムを沈殿させて分離することを特徴とする石油系
    燃焼灰の処理方法。
  2. 【請求項2】 上記アンモニア浸出濾液に生石灰を加え
    て該濾液のpH10〜12に調整することにより石膏を
    沈殿させ、次いで、この溶液に消石灰を加えてpHを1
    2以上に調整することにより水酸化マグネシウムを沈殿
    させる請求項1の処理方法。
  3. 【請求項3】 上記アンモニア浸出濾液が、石油系燃焼
    灰またはその処理物の固形分を酸化処理と共にアンモニ
    ア浸出し、次いでニッケル抽出処理を経た濾液である請
    求項1または2の処理方法。
  4. 【請求項4】 (イ)石油系燃焼灰またはその処理物を水
    性スラリーにする水浸出工程、(ロ)水性スラリーの濾液
    を酸性下で加熱してバナジウム化合物を析出させ、これ
    を濾別回収するバナジウム回収工程、(ハ)上記水性スラ
    リーの固形分にアンモニア水を加えて中性ないしアルカ
    リ性下で酸化処理して含有金属を液中に浸出させるアン
    モニア浸出工程、(ニ)アンモニア浸出濾液にニッケル抽
    出溶媒を加えてニッケルを抽出する工程、(ホ)ニッケル
    抽出溶媒と分離したアンモニア浸出濾液のマグネシウム
    を処理する工程を有する処理方法において、上記アンモ
    ニア浸出濾液にカルシウム化合物を加えてpH12未満
    のアルカリ性下で石膏を沈殿させ、次いでこの溶液のp
    Hを12以上に調整して水酸化マグネシウムを沈殿させ
    て分離することを特徴とする石油系燃焼灰の処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005077825A1 (ja) * 2004-02-12 2005-08-25 Mitsubishi Corporation アモルファスカーボン粒子およびこれを用いた複合材料
WO2010143270A1 (ja) * 2009-06-09 2010-12-16 太平洋セメント株式会社 重質油系燃焼灰に含まれる成分の利用方法並びに利用システム
JP2013540889A (ja) * 2010-08-09 2013-11-07 ヴァーレ、ソシエダージ、アノニマ 液体排出物の処理および金属の回収方法

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