JP2001179134A - サイクロン式分級装置 - Google Patents

サイクロン式分級装置

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JP2001179134A JP36734199A JP36734199A JP2001179134A JP 2001179134 A JP2001179134 A JP 2001179134A JP 36734199 A JP36734199 A JP 36734199A JP 36734199 A JP36734199 A JP 36734199A JP 2001179134 A JP2001179134 A JP 2001179134A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分級精度の低下を抑制しながら、分離径
の変更を広い範囲で可変できるようにしたサイクロン式
分級装置を提供する。 【解決手段】 サイクロン塔5の上部から粉体を含む気
流を導入させ、サイクロン塔5の中心部に弱い負圧を作
用させて微粉を上方に抜き出し、粗粉はサイクロン塔5
の下端の粗粉排出口5021から排出させて下方の粗粉
貯留槽8に回収する分級装置において、粗粉排出口50
21の下方に円錐形状の内側ガイド9を対向させて粗粉
排出路13を円環状に形成させ、かつ粗粉排出口502
1の開口縁から内側ガイド9の斜面901に対向する範
囲に渡りカバー11を設け、このカバー11は、内側ガ
イド9の円錐形斜面901に対向する範囲で平行に沿設
した外側ガイド1111を有していて、この外側ガイド
の斜面1112と内側ガイド9の斜面901の対向によ
り円環状の粗粉排出流路を長く形成させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、所定の粒径範囲で分布
する粉体を粗粉と微粉に分級するサイクロン式の分級装
置に関し、詳しくは、分級精度を低下させることなく広
い粒径範囲に渡って分級点を可変できる特徴をもったサ
イクロン式の分級装置に関するものである。
【0002】
【発明の背景と従来技術】粉体の分級は、セラミック工
業等の発展や、技術の高度化に伴って、分級性能の向上
や、分級時のコンタミ防止、大量処理等々の要求が高ま
ってきている。
【0003】例えば、火力発電所においては微粉炭燃料
を使用する割合が増加していることに伴い、石炭を燃焼
した場合にフライアッシュが多量に副生するためその有
効利用が検討され、その一つとしてセメント製品の強
度、流動性、気密性等を向上させる目的で上記フライア
ッシュの混入が考えられ実際にも利用されてきている。
そして混入するフライアッシュは、その粒子径が小さく
かつ粒度分布幅が小さいほどセメント製品の機能をより
優れたものとできて高付加価値のものとなるので、この
面から分級装置はその分級性能の一層の向上が望まれ
る。
【0004】また上記問題とは別に、一つの装置で異な
る分離径の粉体分級を行うことができれば、製造条件や
品質の変更等に対処できるので好ましい。
【0005】ところで、乾式分級装置としては、従来か
ら回転羽根式とサイクロン式の分級装置が知られてお
り、前者の回転羽根式装置は、回転羽根の回転数(回転
速度)の変化で分離径(通常50%分離径をいい、以下
も同様とする)を変更できる利点があるが、粒子による
回転羽根の摩耗という問題がある他、機械的な回転部分
があるために構造が複雑で高価な装置となり易く、また
保守・点検の負担も必ずしも小さくないという問題があ
る。
【0006】一方、サイクロン式の分級装置は、概ね直
立円筒形のサイクロン塔本体の上部に、乾燥状態の分散
粉体を含んだ空気流を内壁面に沿って水平方向に気流を
吹込んでサイクロン塔本体内に渦流を形成させ、この渦
流に含まれている粉体のうちの嵩比重の大きな粗粉は、
該渦流に乗って次第に沈降するのでこれを塔本体下部に
設けた粗粉回収手段で回収し、他方、比較的小さくて嵩
比重の小さい微粉は、塔本体の渦流の中心部に上方から
の弱い吸気を作用させて吸気回収するようにした構成の
ものであり、装置の大型化が比較的容易であり、回転部
分がないので摩耗の問題が少なく、保守・点検が比較的
容易であるという利点がある(特開平1−75074号
公報参照)。
【0007】図6このサイクロン式の分級装置を含む分
級設備の一例の構成概要を示し、図7はサイクロン塔下
部とガイドブロックの関係を拡大したものであり、これ
らの図において1は粉体フィーダーであり、被分級対象
の粉体を貯留し、フィーダースクリュー101によって
連続的に下部の凝集状態の粉体を一次粒子の状態に分散
させる粉体分散器2にこの粉体を供給する。
【0008】粉体分散器2を通った粉体は、粉体搬送管
3を通って空気取り入れ口4からの空気と共にサイクロ
ン塔5の気流導入部6に吹込まれる。サイクロン塔本体
5は直立円筒状をなしていて、その上部の直筒部501
と、水平断面径が漸減する下部の漏斗状部502とから
成っていて、下端の粗粉排出口5021は粗粉貯留槽8
に開口している。またサイクロン塔5の天井部からは、
微粉取り出しのための微粉取出し管7が塔本体内部の一
定高さの位置まで垂下されていて、ブロアー10からの
負圧が与えられている。なお702は微粉回収のために
微粉搬送管701に設けられたフィルターであり、9は
粗粉排出口5021に対向して設けられた円錐形状のガ
イドブロックである。
【0009】このような構成のサイクロ式分級装置によ
り、渦流に乗って粗粉が沈降し、他方、微粉は微粉取出
し管7からの弱い負圧により上部から取り出すことがで
きる。
【0010】上記のように、サイクロン式の分級装置は
微小粒子の粉体の分級を簡易にかつ安価に行なえるもの
であるが、しかし反面において、分離径(分級点)の可
変が容易な上記の回転羽根式の分級装置に比べて、通常
はサイクロン塔の構造等によって分離径(分級点)が固
定的に決まってしまい、一つの装置で異なる分級点で粉
体を分級することは難かしく、製造条件や品質の変更等
に対応した分級点の変更が必要な設備への適用には適し
ていないという問題があった。
【0011】そこで、上記利点のあるサイクロン式分級
装置について、その分離径(分級点)の変更を有効に実
現するための提案が従来からされている。
【0012】例えば、特開平4−349949号公報で
は、サイクロン塔上部の粉体導入口にスライド壁(案内
板)を設けて粉体含有の気流導入口の断面積を変更可能
とし、これにより気流の吹込み速度を変えることで粉体
に生ずる遠心効果を変化させ、分離径(分級点)の変更
を図る提案がされている。この方法によれば、気流導入
口の断面積を小さくし、気流吹込み速度を大きくするこ
とで分離径を小さくすることができる。しかしこの方法
は、気流導入口の断面積を小さくすると圧損を招くこと
になるため、あまり大きく断面積を縮小する調整は難し
い。
【0013】また、特開平6−238197号公報で
は、図6のサイクロン塔下端の粗粉排出口に対向させて
設けた円錐形状のガイドブロック9の上下位置を調整可
能として、粗粉排出口とガイドブロックの間の円環状の
隙間を拡縮調節できるようにし、これによって分離径
(分級点)の変更を図る提案がされている。一般的に
は、上記の隙間を小さくすると円環状の粗粉排出口の有
効流路面積が小さくなって粗大粒子しか排出されなくな
るため分離径は大きくなるので分離径の変更が実現でき
る。しかし上記の隙間をあまり小さくするとガイドブロ
ック上で粉体の閉塞を招く虞れがあり、調整には限界が
ある。
【0014】また、分離径(分級点)の変更幅を拡大す
る目的で上記の各構成等と組み合わせて、粗粉排出口の
気流に対してブローダウン,ブローアップの作用を与え
る方法も提案されている。
【0015】しかし、上記の各提案の方法によってサイ
クロン式分級装置の分離径変更を行うと、分級性能(分
級精度)が低下する傾向がある。図8は分離径を変更す
るためにブローアップエアを粗粉貯留槽に吹込んだ際の
気流の流れを示し、ブローアップにより気流が乱れて粗
粉が微粉側に混入する傾向が大きくなる。
【0016】これに対処する方法としては、サイクロン
塔下部の逆円錐形胴筒部をその一部が重複した上下二段
の構成に設けるなど、要するにサイクロン塔断面径が漸
減する漏斗状部の中間位置で径を拡大させることにより
渦流速度を減速させて微粉中に粗粉が混入することを防
ぐ提案もされている(特開昭8−266938号公報参
照)。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したよ
うに種々提案されているサイクロン式分級装置の分離径
の変更を好適に実現するための新たな提案をするもので
あり、具体的には、分級精度の低下を抑制しながら、分
離径の変更を広い範囲で可変できるようにしたサイクロ
ン式分級装置の提供を目的としてなされたものである。
【0018】また本発明の別の目的は、サイクロン式分
級装置における分級点の変更のための構成を、比較的簡
単な構造により実現し、構造が簡単で、保守点検の負担
も少ないというサイクロン式分級装置の特徴を十分に生
かすことができる分級装置を提供することにある。
【0019】また本発明の更に別の目的は、上述のよう
に種々提供されているサイクロン式の分級装置における
分離径の変更のための他の手段,方法と組み合わせて用
いることができ、これによって一層の分離径の変更幅の
拡大、分級精度の向上あるいは装置性能の向上を実現で
きる分級装置を提供するところにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的の達成のために
本発明者等は、サイクロン式の分級装置であって、工業
的により向上した分級特性を有する本発明のサイクロン
式の分級装置を完成した。
【0021】すなわち、本願請求項1の発明よりなるサ
イクロン式の分級装置の特徴は、縦筒状をなし下部は断
面径が漸減するサイクロン塔の本体を形成する胴筒と、
この胴筒の上部に設けられて被分級対象の粉体を含む気
流を筒内面に沿って該胴筒内に周方向に導入させる気流
導入口と、胴筒中心部に弱い負圧を作用させて微粉を含
む気流を上方に抜き出す微粉排出口と、胴筒の下部に至
った粗粉を含む気流を下方に排出させる胴筒下端の円形
開口型の粗粉排出口と、この下端の粗粉排出口から落下
排出される粉体を受け入れる粉体回収容器と、上記粗粉
排出口の円形開口の下方に円錐形状の案内面が対向する
ことで落下粉体を含む気流の粗粉排出路を円環状に形成
させる内側ガイドと、上記粗粉排出口の開口縁から内側
ガイドの円錐形案内面に対向する範囲に渡って連続する
ように形成されるカバーとを備え、上記カバーは、上記
内側ガイドの円錐形案内面に対向する範囲において該内
側ガイドの円錐形母線方向に平行して沿設する外側ガイ
ドを有し、この外側ガイドと上記内側ガイドとの対向に
より前記円環状の粗粉排出路を長く形成させたという構
成をなすところにある。
【0022】本発明において上記構成を採用したのは次
の理由による。すなわち、粉体が所定の分離径(50%
分離径)で粗粉側と微粉側に分ける際の分級精度は、例
えば粗粉が微粉側に混入し、あるいは粗粉が微粉側に混
入する割合の大小で判断され、一般的には分級精度指数
(κ)で示される。そして基本装置では分離径が固定的
であるサイクロン式分級装置において、遠心効果を変化
させて分離径を変更させるようにすると、渦流等の気流
に乱れが生じ易く、これが分離径を変更させた際の分級
性能の低下にむすびつくと考えられる。そこで本発明者
は、この問題の解決のためには、粗粉排出口近傍を流れ
る気流を整流化することが、サイクロン塔内における気
流の乱れの影響をできるだけ小さくすることに有効と考
え、サイクロン塔下部から粗粉回収容器に流れる気流の
整流化に適した上記発明の構成を採用して試験を繰り返
したところ、以下の実施例で示すように分離径(分級
点)の変更を広い範囲に渡って行っても分級精度の低下
を抑制できることを確認したのである。
【0023】このような粗粉排出口近傍の気流を整流化
するために上記円環状の粗粉排出路を形成するカバー
は、上記内側ガイドの外周斜面に実質的に対向する範囲
において平行な内周斜面としての外側ガイドを有するよ
うに設けられるが、外側ガイドの沿設長は、内側ガイド
に対して幾何学的に厳密に対向する範囲に一致して設け
られることに限定されるものではなく、本発明の目的を
達成することができるものであれば内側ガイドより長く
ても短くてもよいが、一般的には内・外ガイドで形成さ
れる流路長は、5mm以上、好ましくは20mm以上と
することがよい。流路長の上限は特に限定されないが、
50mm以上に長くしても効果の向上は認められない。
外側ガイドの構造は、内周斜面を有するものであればよ
く、厚い板材の下端を斜めにカットした形状のもの、あ
るいは薄い板材を円錐形に形成したものなどを適宜採用
でき、また外側ガイド,内側ガイドを構成する材料の材
質は、金属,プラスチック等適宜のものを用いることが
できるが、粉体の付着性が低いもの、帯電性の小さいも
のなどが好ましく用いられる。
【0024】本発明によれば、サイクロン塔下部から外
側ガイド,内側ガイドで形成された整流化ゾーンを流れ
る気流が整流化され、粗粉が円滑に落下排出されるの
で、粗粉排出口近傍を流れる気流の乱れが抑制され、サ
イクロン塔上部から負圧によって取り出される微粉への
粗粉の混入が防止されて上記分級性能の向上に好ましい
影響を与える。例えば、セメント製品に混入するフライ
アッシュの高精度分級を可能とし、粒子径幅が狭く、粒
子径も小さい付加価値の高い微粉を得るのに有効であ
る。
【0025】なお上記構成において、サイクロン塔をな
す胴筒は、上部に、粉体を含む気流の導入口、及び弱い
負圧を胴筒中心付近に作用させて微粉を取り出す微粉排
出口を有し、下部には、上部の直筒部から下端の粗粉排
出口に至る範囲で水平断面径が漸減する構造を有するも
のが好ましく採用されるが、分級精度を向上させる他の
手段を併せて採用してもよい。例えば、サイクロン塔の
径漸減部の中間において径を拡大し、その下方で下端の
粗粉排出口に至るまで再び径が漸減する下部を有する構
造のもの(特開平8−266938号公報参照)で示さ
れている標準,A,B,Xの構造のもの(同公報図4参
照)を必要に応じて適宜選択して採用することができ
る。
【0026】上記発明は、気流吹込み速度の調節や、気
流排出風量の調節等によって分級点を変更する適宜の手
段と組合わせて優れた効果を奏する。例えば、サイクロ
ン塔に粉体を導入する気流導入口に弧状スライド壁を設
けて、その進出で気流の吹込先端断面積を調節して吹込
まれる空気流の流速を変化させることで分離径(分級
点)を変更する構成(特開平4−349949号公報参
照)等と組合わせて用いることができる。
【0027】これらによって分離径を変更する場合に
も、整流化ゾーンを備えていない装置に比べて分級精度
が向上し、分級点を変更しても高精度分級が実現され
る。
【0028】請求項2の発明は、上記発明において、粗
粉排出口から連続するカバーを、粗粉排出口から連続す
る縦筒状の直筒部と、この直筒部下端から下方に向かっ
て径が漸増する円錐形内面を有する外側カバーとから構
成したことを特徴とする。
【0029】この発明によれば、粗粉排出口から下方に
連続する縦筒状の直筒部を通った後に外側ガイド,内側
ガイドの整流ゾーンに気流が流れるので粗粉を含む気流
の転向が緩やかになり、気流の乱れはより一層抑制され
て粗粉が微粉側に混入する虞れは更に低減され、微粉側
の粒子径の分布幅を狭くでき、分級精度を向上するのに
有効である。
【0030】請求項3の発明は、上記カバーの内面屈曲
部位、例えば直筒部から外側ガイドに連続する屈曲部
位、あるいは外側ガイドの下端部位のいずれか一方、好
ましくは双方を弧状に面取りしたことを特徴とする。
【0031】この発明によれば、カバーのエッジ部や屈
曲部など、直線的に面が屈曲する際に生じ易い気流の乱
れが抑制され、粗粉を含む気流の整流化がより良好に得
られて分級精度の向上に有効である。
【0032】請求項4の発明は、上記粉体回収容器側か
ら粗粉排出路を通して胴筒下端側に気流を吹込むブロー
アップ手段を設けたことを特徴とする。
【0033】ブローアップは一般的には粗粉排出口近傍
の気流を乱す要因となるので分級性能のためには必ずし
も良い効果を与えるものではないが、上記した外側ガイ
ド,内側ガイドで整流化ゾーンを形成する本発明の構成
と組み合わせることによれば、分級精度の低下を抑制し
ながら、ブローアップ作用により広い範囲に渡る分離径
(分級点)の変更、特に50%分離径を大きくする方向
で分離径の変更範囲を拡大することができる。
【0034】なお、この発明で言うブローアップ手段
は、例えば粉体回収容器に若干の気流を導入するための
ブローアップ気流導入口を設けて、バルブで気流の流量
を調節するものを例示的に挙げることができる。
【0035】請求項5の発明は、上記内側ガイドを、上
下方向に位置調整可能に設けて、前記粗粉排出路の流路
幅を変更調整できるようにしたことを特徴とする。
【0036】この発明によれば、粗粉排出口に続く整流
化ゾーンの気流整流化の効果(分級精度の低下の抑制)
を得つつ、例えば、流路幅を小さくする方向に調整する
ことで有効流路断面積を小さくし、サイクロン塔内の平
均気流上昇速度を増大させて50%分離径を大きくする
ことができ、反対に流路幅を大きくすることで分離径を
小さくすることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下本発明を図面に示す実施形態
に基づいて説明する。
【0038】実施形態1 図4のサイクロン式分級装置を含む分級設備の構成概要
が示される本例は、上記図6で説明した従来の分級設備
に比べて、サイクロン塔5下端の円形粗粉排出口と、こ
れに対向する図6のガイドブロック9に相当する構成部
分とが異なるが、他の構成は実質的に図6の例と同じで
ある。なお、図1は本例のサイクロン塔を拡大して示し
た図、図2は内側ガイドと外側ガイドにより形成された
整流ゾーンとしての粗粉排出路を拡大して示した図、図
3は本例の装置においてブローアップを行った時の気流
の流れの状態を示した図である。
【0039】これらの図において1は粉体フィーダーで
あり、分級対象の粉体を貯留し、フィーダースクリュー
101によって連続的に下部の粉体分散器2にこの粉体
を供給する。この粉体分散器2は凝集状態の粉体を一次
粒子の状態に分散させるためのものであり適宜既知のも
のが使用できる。
【0040】粉体分散器2を通った粉体は、粉体搬送管
3を通って空気取り入れ口4からの空気と共にサイクロ
ン塔5の気流導入部6に吹込まれる。サイクロン塔5を
なす胴筒は縦筒状をなしていて、上部の直筒部501
と、水平断面径が漸減する下部の漏斗状部502とから
成っているが、より具体的な構造は図1に示され、胴筒
は、フランジを介して接合された上下3段の構造をなし
ていて、最上部の第一段5011は、上端閉塞で下端開
放の縦筒状形状をなし、サイクロン塔5内の中心に向か
う微粉取出し管7がその天板の中央を貫通して垂下され
ていて、該管7の下端が微粉取出口701として開口さ
れている。また、分級対象の粉体を含む気流の導入部6
はこの第一段5011に設けられていて、図1(b)に
示すように水平方向から筒内面に沿うように接線方向か
ら同気流が吹込まれるようになっている。601は気流
吹込み口である。
【0041】第二段5012は上下開放の縦筒状をなし
ていて、吹込まれた気流が渦状に旋回して粉体に遠心効
果を作用させ、粗粉は渦流にのせて下方に移行させ、微
粉は微粉取出し管を通して塔内中心部に作用させたブロ
アー10からの弱い負圧により上方に抜出す部分を構成
する。なお702は微粉回収のために微粉搬送管701
に設けられたフィルターである。
【0042】第三段502は水平断面径が下方に向かっ
て漸減する漏斗状部をなしていて、下端の粗粉排出口5
021は粗粉貯留槽8に開口している。5022は粗粉
貯留槽8の蓋をなしかつサイクロン塔5の下端が接合さ
れるプレートである。
【0043】9は粗粉排出口5021に対向して粗粉貯
留槽8内に設けられた円錐形状の内側ガイド(図6のガ
イドブロックに相当する)であり、粗粉排出流路13を
円環状に形成させる。
【0044】11は粗粉排出口5021から内側ガイド
9の円錐形の斜面に対向する範囲に渡って粗粉の排出気
流を整流するように設けられたカバーであり、同内側ガ
イド9とカバー11とによってこの部分に整流化ゾーン
を形成するが、詳細は図2,図3により説明する。12
は粗粉貯留槽8に接続されたブローアップ用気流吹込み
管であり、図1(c)に示すように水平方向から筒内面
に沿うように接線方向から同気流が吹込まれるようにな
っている。1201はブローアップ気流吹込み口であ
る。ブローアップ気流吹込み管12は、サイクロン塔5
の気流の旋回方向と同じ方向にブローアップ気流を吹込
むように接続されている。
【0045】本例の特徴を図1〜図3により更に説明す
ると、サイクロン塔5を形成している胴筒は、その第三
段502の下端において粗粉排出口5021が粗粉貯留
槽8に開口し(図4参照)、その下方に円錐形状の内側
ガイド9が対向されていると共に、粗粉排出口5021
縁から垂直下方に直筒状のカバー11が垂下されてい
る。
【0046】そして本例においては、上記垂下されたカ
バー11は厚肉のものが用いられていると共に、その下
端部分の内周縁を円錐台形状に切り落とした形状に設け
て外側ガイド部1101とし、その内周斜面1102を
内側ガイド9の円錐形斜面901に対向させることで通
路幅tの円環状の粗粉排出流路13を形成し、この流路
が整流化ゾーンを構成するようにしている。
【0047】以上の構成により、粗粉を含んだ気流がサ
イクロン塔5から粗粉排出口5021を通って粗粉貯留
槽8に排出される際に、この気流は整流作用をもった通
路幅tの粗粉排出流路13を通るので、気流が円滑に流
れて乱れが抑制される。したがって、サイクロン塔5内
における気流の乱れで粗粉が微粉側に混入する虞れが低
減され、したがって、内側ガイド9の上下位置を調節す
るなどの方法により分離径(分級点)を変更した際の分
級精度の低下が抑制されて、広い範囲に渡って分級精度
の低下の傾向を抑制しながら分離径の変更を行うことが
できる。
【0048】図3は、上記例において、ブローアップ用
気流吹込み管12から気流を吹込んで上記粗粉排出流路
13を通してブローアップを行った際の気流の流れを示
しているが、この場合にも整流化作用により、従来の図
8に示したような構成におけるエッジ効果等による気流
の乱れが抑制されて、分級精度の低下の傾向を抑制しな
がら分離径の変更を広い範囲に渡って行うことができ
る。
【0049】実施形態2 図5に示した本例は、本発明の他の実施形態を示したも
のであり、(a)図は上記実施形態1のカバー11にお
ける直筒部内面から斜面1102に移行する部分を弧状
に面取り(図中にRで示した)し、また外側ガイド11
01の斜面1102の下端部を弧状に面取りした構成の
ものを示している。
【0050】このような屈曲部を弧状に面取りすること
で、気流がエッジ効果で乱れるという問題が抑制される
ので、より好ましい整流化効果が奏される。
【0051】また(b)図は、上記カバー11に代え
て、直筒部1111の下部に、内側ガイド9の円錐形斜
面901に沿って径が漸増する外側ガイド1112を有
するようにした、薄肉の材料を彎曲させてなるカバー1
110を用いた例を示したものであり、また本例におい
ても、上記(a)図のものと同様に屈曲部を弧状に面取
りしている。
【0052】本例の構成の整流化作用を有するように設
けた分級装置によって、上記実施形態1と同等ないしそ
れ以上の優れた分級精度の改善を図ることができ、分級
精度の低下の傾向を抑制しながら分離径の変更を広い範
囲に渡って行うことができる。
【0053】
【実施例】本発明の構成よりなるサイクロン式分級装置
の分級精度を確認するために以下の試験を行なった。
【0054】使用した装置は図4の構成のものであり、
粉体フィーダ1で供給した原料粉体は、分散機2(日清
エンジニアリング(株)社製:ディスパーションノズ
ル)で分散させ、ブロアー10で吸引している空気と共
にサイクロン塔5に導入した。粉体のうち、分級点より
微粉側の成分は微粉取出し管7を経てフィルター702
で回収し、一方粗粉側の成分は、粗粉貯留槽8で回収し
た。
【0055】使用したサイクロン塔の構造は次の通りで
ある。 サイクロン塔の直筒部の直径: 76mmφ サイクロン塔の直筒部の長さ: 150.5mm サイクロン塔の漏斗状部下端の直径: 40mmφ サイクロン塔の漏斗状部の長さ: 71.5mm カバーの直径: 56mmφ カバーの長さ: 30mm 斜面の長さ: 10mm 内側ガイドの底面直径: 36mmφ 内側ガイドの頂点角度: 60度 粗粉貯留槽の直径: 101mmφ 粗粉貯留槽の長さ: 215mm (分級テスト1)原料粉体として、中位径10.6μm
のフライアッシュを2g/minの供給速度で投入し
た。そして入口速度が20m/sになるようにブロアー
の風量を調節し、その風量の10%のブローアップエア
ーを導入した。カバー下端と内側ガイドの底面の距離h
を、h=6mm、20mmに設定してそれぞれ分級を行
った。なお、比較のために、図4のカバーを設けない図
6のサイクロン式分級装置を用いて分級を行った。これ
らの結果を下記表1に示した。なお下記表中におけるκ
は、上述した分級精度指数(κ=DP25/DP75)をい
い、この数値が小さいほど分級精度が悪いことを示す
【0056】
【表1】 この表1の結果から分かるように、カバーを設けた本例
の装置による分級テストの結果は、hを20mmから6
mmに変更した場合もκ=0.60の値を示している
が、カバーを設けていない従来の装置では、hを20m
mから6mmに変更することでκは0.60から0.4
6と大きく低下し、本発明によれば分級精度の大きな低
下を招かずに、分離径を広い範囲に渡って変更できるこ
とが確認された。 (分級テスト2)分級テスト1と同じ装置を用いて、カ
バー下端と内側ガイドの底面の距離hを20mmに設定
し、ブローアップ風量を0〜40%で導入する他は分級
テスト1と同じ条件で中位径8μmのシリカの分級をそ
れぞれ行った。また比較のために、カバーを設けない図
6の装置を用いて同じ条件で試験を行った。
【0057】その結果を下記表2に示した。
【0058】
【表2】 この結果から分かるように、カバーなし図6の装置に比
べて、本例の装置の場合には分級精度の著しい低下を招
くことなく、2〜20μmの範囲で分離径(分級点)の
変更を行うことができた。
【0059】
【効果】以上述べたように、本発明によれば、サイクロ
ン式分級装置において分級精度の低下を抑制しながら分
級点の変更を行うことができ、分級点の変更が難しいと
されているサイクロン式分級装置の問題点が改善され
て、その有用性が増大するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施形態1のサイクロン式分
級装置のサイクロン塔及び粗粉貯留槽の構成概要を示し
た図であり、(a)は装置全体の正面図、(b)は粉体
を含む気流導入部の平断面図、(c)はブローアップ気
流の吹込み部の平断面図である。
【図2】図2は、同装置の粗粉排出口近傍の構成を示し
た図。
【図3】図3は、同装置においてブローアップを行った
場合の気流の流れを説明するための図。
【図4】図4は、本発明の実施形態1のサイクロン式分
級装置を備えた分級設備の構成概要を示した図。
【図5】図5(a),(b)は、本発明の他の実施形態
の粗粉排出口近傍の構成を示した図。
【図6】図6は、従来のサイクロン式分級装置を備えた
分級設備の構成概要を示した図。
【図7】図7は、同装置の粗粉排出口近傍の構成を示し
た図。
【図8】図8は、同従来装置においてブローアップを行
った場合の気流の流れを説明するための図。
【符号の説明】
1:粉体フィーダー 2:粉体分散器 3:粉体搬送管 5:サイクロン塔 501:直筒部 502:漏斗状部 5021:粗粉排出口 6:粉体導入部 7:微粉取出し管 8:粗粉貯留槽 9:内側ガイド 901:斜面 10:ブロアー 11:カバー 1101:外側ガイド 1102:斜面 12:ブローアップエア吹込み管 13:粗粉排出流路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 濱田 美明 埼玉県入間郡大井町鶴ヶ岡5丁目3番1号 日清製粉株式会社生産技術研究所内 (72)発明者 篠田 栄司 埼玉県入間郡大井町鶴ヶ岡5丁目3番1号 日清製粉株式会社生産技術研究所内 (72)発明者 吉田 英人 広島県東広島市高屋町小谷981−206 Fターム(参考) 4D053 AA03 AB01 BA01 BB02 BC01 BD04 CD22 CD25

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縦筒状をなし下部は断面径が漸減するサ
    イクロン塔の本体を形成する胴筒と、この胴筒の上部に
    設けられて被分級対象の粉体を含む気流を筒内面に沿っ
    て該胴筒内に周方向に導入させる気流導入口と、胴筒中
    心部に弱い負圧を作用させて微粉を含む気流を上方に抜
    き出す微粉排出口と、胴筒の下部に至った粗粉を含む気
    流を下方に排出させる胴筒下端の円形開口型の粗粉排出
    口と、この下端の粗粉排出口から落下排出される粉体を
    受け入れる粉体回収容器と、前記粗粉排出口の円形開口
    の下方に円錐形状の案内面が対向することで落下粉体を
    含む気流の粗粉排出路を円環状に形成させる内側ガイド
    と、前記粗粉排出口の開口縁から内側ガイドの円錐形案
    内面に対向する範囲に渡って連続するように形成される
    カバーとを備え、前記カバーは、前記内側ガイドの円錐
    形案内面に対向する範囲において該内側ガイドの円錐形
    母線方向に平行して沿設する外側ガイドを有し、この外
    側ガイドと前記内側ガイドとの対向により前記円環状の
    粗粉排出路を長く形成させたことを特徴とするサイクロ
    ン式分級装置。
  2. 【請求項2】 前記粗粉排出口から連続するカバーを、
    該粗粉排出口から連続する縦筒状の直筒部と、この直筒
    部下端から下方に向かって径が漸増する円錐形内面を有
    する外側カバーとから構成したことを特徴とする請求項
    1に記載のサイクロン式分級装置。
  3. 【請求項3】 前記カバーは、直筒部から外側ガイドに
    連続する屈曲部位及び/又は外側ガイドの下端部位が、
    弧状に面取りされていることを特徴とする請求項2に記
    載のサイクロン式分級装置。
  4. 【請求項4】 前記粉体回収容器側から粗粉排出路を通
    して胴筒下端側に気流を吹込むブローアップ手段を設け
    たことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載
    のサイクロン式分級装置。
  5. 【請求項5】 前記内側ガイドを、上下方向に位置調整
    可能に設けて、前記粗粉排出路の流路幅を変更調整でき
    るようにしたことを特徴とする請求項1ないし4のいず
    れかに記載のサイクロン式分級装置。
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