JP2001173743A - 摩擦伝動装置 - Google Patents

摩擦伝動装置

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JP2001173743A
JP2001173743A JP36422599A JP36422599A JP2001173743A JP 2001173743 A JP2001173743 A JP 2001173743A JP 36422599 A JP36422599 A JP 36422599A JP 36422599 A JP36422599 A JP 36422599A JP 2001173743 A JP2001173743 A JP 2001173743A
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roller
planetary roller
transmission device
friction
sun
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Atsushi Tamenaga
淳 為永
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】摩擦伝動装置において製造コストを大幅に低減
し、且つ、所定の伝達能力を確保する。 【解決手段】 摩擦ローラとして、太陽ローラ32、こ
の太陽ローラ32の外周に転接する遊星ローラ36、及
びこの遊星ローラ36が自身の内周に転接するリングロ
ーラ38、を有する単純遊星ローラ機構39によって回
転動力を伝達する摩擦伝動装置30において、この単純
遊星ローラ機構39の潤滑油に、ナフテン系の鉱油を採
用すると共に、太陽ローラ32と遊星ローラ36の間に
作用する最大接触圧力を、1000MPa以上に設定し
た。このようにすると、高い面圧状態でも確実な伝達ト
ルクを確保でき、又、製造コストが大幅に低減される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摩擦ローラとし
て、太陽ローラ、遊星ローラ及びリングローラを有する
単純遊星ローラ機構によって回転動力を伝達する摩擦伝
動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記の単純遊星ローラ機構によっ
て回転動力を伝達する摩擦伝動装置が数多く提案されて
いる。
【0003】図6には、この種の摩擦伝動装置1が模式
的に示されている。この摩擦伝動装置1は、摩擦ローラ
として、太陽ローラ2と、この太陽ローラ2の外周に転
接する遊星ローラ6と、この遊星ローラ6が自身の内周
に転接するリングローラ8と、を有する単純遊星ローラ
機構10を備えており、この単純遊星ローラ機構10に
よって回転動力を伝達する構造になっている。
【0004】具体的には、単純遊星ローラ機構10の遊
星ローラ6は、ピン5を介してキャリア4により回転自
在に保持されており、各遊星ローラ6間の距離が一定に
維持されている。リングローラ8は、単純遊星ローラ機
構を内部に収容するケーシング9に固定されており、自
身の回転が規制されている。この摩擦伝動装置1は、太
陽ローラ2を入力要素、キャリア4を出力要素として使
用される場合には、回転動力を減速して伝達する減速機
能を有し、又、キャリア4を入力要素、太陽ローラ2を
出力要素として使用される場合には、回転動力を増速し
て伝達する増速機能を有する。
【0005】摩擦伝動式の単純遊星ローラ機構10は、
各摩擦ローラ間に生じる摩擦力によって回転動力を伝達
するものであるため、静粛且つ円滑な動力伝達が可能で
あり、各摩擦ローラ間の多少の滑りを考慮したとして
も、動力伝達の高効率化が達成されている。
【0006】この摩擦伝動装置1によって所定の伝達能
力(伝達トルク)を発揮するためには、各摩擦ローラ間
に十分な摩擦力を発生させなければならない。これは、
例えばリングローラ8の内径を、遊星ローラ6の直径の
2倍と太陽ローラ2の直径との和より小さくして所定の
締め代を付与し、リングローラ8を弾性変形させて、所
定の押力を付与することによりなされる。
【0007】ところでこのような摩擦伝動装置1におい
ても「潤滑油」が使用される。この潤滑油は、歯車等に
適用されて接触する歯面の摩擦力を低減させて、歯車が
円滑に回転するように機能する一般的な潤滑油とは異な
り、各摩擦ローラ間に発生する摩擦力を「増大」させる
機能を有するものであり、一般的にトラクション油と呼
ばれている。
【0008】ここで潤滑油(トラクション油を含む)は
鉱油系と合成油系に大別されており、又各範疇の中でそ
の組成によってパラフィン系とナフテン系に区分され
る。
【0009】鉱油とは天然に得られる原油を精製して、
潤滑油として有効な成分を分離することで製造されるも
のであり、合成油は、原油中の成分をばらばらにし、潤
滑油に適する化学構造のものに再合成されて製造され
る。従って、合成油系はその機能に特化して特性を大き
く変更することが可能であり、摩擦力を発生させるとい
う面に特化した場合には、鉱油系と比較して大きな摩擦
力が得られるようになっている。又、一般的にパラフィ
ン系よりナフテン系の方が摩擦力を発生させる面で優れ
ていることが知られている。
【0010】以上のことから、摩擦伝動装置1に採用さ
れる潤滑油(トラクション油)としては、ナフテン系合
成油が最も優れていると考えられており、この種の摩擦
伝動装置に実際に採用されている。
【0011】高い摩擦力を発生させるという上記の潤滑
油の能力を評価する値として、一般的にトラクション係
数fが用いられる。このトラクション係数fは法線荷重
Pに対する接線力Fの比、つまりf=F/Pで定義され
るものであり、それ故に、摩擦伝動装置1が発揮し得る
伝達トルクは、法線荷重P(上記の押力に対応する)及
び潤滑油のトラクション係数fが高いほど大きくなる。
つまり、上記の潤滑油の特性から考えると、ナフテン系
合成油のトラクション係数fが他の潤滑油に比べて大き
い値を示していると言える。
【0012】潤滑油のトラクション係数fは、その種類
によっては、各摩擦ローラの接触面の周速に大きく影響
を受けることが知られている。例えば、パラフィン系鉱
油は、周速が変化するに連れてトラクション係数fも変
動するので、単純遊星ローラ機構10の回転速度が変化
すると、この摩擦伝動装置1の伝達能力も変化してしま
う。しかしながら、ナフテン系合成油のトラクション係
数fについては、平均周速が0.1(m/s)から2.
3(m/s)の範囲ではほとんど変動しないことが知ら
れており、単純遊星ローラ機構10をその範囲で変速さ
せたとしても、安定した伝達トルクを得ることができ
る。このことも、摩擦伝動装置1にナフテン系合成油が
採用されている大きな理由の1つである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者は、上記の摩擦伝動装置1にナフテン系合成油を使用
した場合には、(季節の変化や使用環境によって変化す
る)雰囲気温度の変化に対して伝達トルクが大きく変化
してしまう可能性があることに気づいた。そこで、本発
明者が多くの種類の潤滑油の特性について別の観点から
改めて評価してみたところ、図4に示されるような興味
深い定性的な結果が得られた。なお、図4における面圧
は後述する(1)式によって求めたものである。
【0014】この図4は、太陽ローラ2と遊星ローラ6
との間に作用する最大接触圧力を変化させた場合に、ナ
フテン系合成油のトラクション係数fが変化する様子を
示している。なお、この変化する様子は、太陽ローラ2
の周速を変化させても同様な定性的結果が得られること
も判明した。
【0015】図4からも分かるように、ナフテン系合成
油は接触面の面圧によってトラクション係数fが大きく
変動する。従って、例えば、各摩擦ローラの材質が異な
る場合には、雰囲気温度の変化によって太陽ローラ2及
び遊星ローラ6の外径、リングローラ8の内径が変動
し、それに伴って接触面の面圧が変動するとナフテン系
合成油のトラクション係数も変化する。従って、摩擦伝
動装置1を取り囲む雰囲気温度の変化に対して、伝達ト
ルクが大きく変動する可能性を十分有している。
【0016】結果として、雰囲気温度が大きく変化して
も摩擦伝動装置1が所定の伝達トルクを有するようにす
るためには、実際に使用されるであろう状況における最
大接触圧力の変動範囲内において最も低いトラクション
係数fの値を基準として、単純遊星ローラ機構10を設
計・製造する必要がある。その場合は、最適な温度条件
の場合には逆にトラクション係数fの値が高すぎること
になり、各摩擦ローラの回転抵抗が大きくなって伝達効
率が低下してしまう。なお、本発明者の知る限りでは、
このような問題点は過去に全く提示されていない。つま
り、現在の段階では、面圧とトラクション係数fとの関
係が全く考慮されずに摩擦伝動装置が製造されていると
考えられる。
【0017】更に、図4からも明らかなように、ナフテ
ン系合成油は接触面の最大接触圧力が低いほどトラクシ
ョン係数fの値が高くなる。従って、大きな伝達トルク
を確保したい場合には各摩擦ローラ間の押力を弱めて最
大接触圧力を低くすることが効率の面からも好ましい。
これは、面圧が低い方が潤滑油による油膜が厚く形成さ
れるので、ナフテン系合成油の機能を十分に発揮できる
ためと考えられる。
【0018】しかし、面圧を低くするために摩擦ローラ
間の押力を弱めることは、結局この押力に比例する摩擦
力も低下することになり、(多少伝達トルクを高めるこ
とができるものの)合理的にその目的を達成できていな
い。つまり、面圧が低いほどトラクション係数が高いと
いうナフテン系合成油の特性は、高い伝達トルクを確保
するという観点からは矛盾する要素が多いと言える。
【0019】このような問題を解決するためには、各摩
擦ローラ間の押力を強く維持したまま面圧を低く抑えな
ければならない。従って、各摩擦ローラの幅、ローラ径
(曲率に依存する)等を全て大きくして、押力に対して
相対的に接触面圧を低く維持することが必要であり、単
純遊星ローラ機構10が大型化し、各摩擦ローラの自重
や慣性等によって伝達効率が悪化する。
【0020】ところで、ナフテン系合成油はトラクショ
ン係数fの値を大幅に高めるために、この目的に沿うよ
うに別途設計等をしなければならず、又種々の潤滑油や
添加剤を混入することもあり、大変高価(一般の潤滑油
の約10倍程度)になっている。従って、歯車等に比べ
てもともと安価に製造することができる摩擦伝動装置の
製造コストに直接その潤滑油の費用が反映してしまい、
摩擦伝動装置のメリットを失わせる要因にもなってい
る。
【0021】本発明は、上記の問題点に鑑みてなされた
ものであり、製造コストが大幅に低減され、係数変化や
使用状況変化に伴う雰囲気温度の変化に対して確実な伝
達トルクを発揮する、コンパクトな摩擦伝動装置を得る
ことを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、摩擦ローラと
して、太陽ローラ、この太陽ローラの外周に転接する遊
星ローラ、及びこの遊星ローラが自身の内周に転接する
リングローラ、を有する単純遊星ローラ機構によって回
転動力を伝達する摩擦伝動装置において、この単純遊星
ローラ機構の潤滑油に、ナフテン系の鉱油を採用すると
共に、太陽ローラと遊星ローラの間に作用する最大接触
圧力を、1000MPa以上に設定することにより上記
目的を達成するものである。
【0023】本発明者は、単純遊星ローラ機構の潤滑に
ナフテン系の鉱油を採用した。これは、ナフテン系鉱油
のトラクション係数fの面圧の依存性について新たに調
べてみたところ、摩擦ローラ間の最大接触圧力が100
0MPa以上の範囲で、トラクション係数fが大変安定
した(一定の)特性を有することが判明したからであ
る。
【0024】従って、太陽ローラと遊星ローラの間に作
用する最大接触圧力を1000MPa以上に設定するこ
とによって、この1000MPa以上の範囲において、
雰囲気温度の変化により最大接触圧力が変動したとして
も、トラクション係数f(=接線力/法線荷重)がほぼ
一定に維持されている。従って、季節変化や使用環境に
よって温度が激しく変化する状況においても、確実な伝
達トルクを発揮することができる摩擦伝動装置を得るこ
とができる。
【0025】又同様に、最大接触圧力が1000MPa
以上の範囲ではナフテン系鉱油のトラクション係数fが
安定しているので、単純遊星ローラ機構の設計・製造時
においても、この安定したトラクション係数fを基準に
伝達能力を算定することができる。従って、大きく変動
するトラクション係数fの値の最低値を基準にして伝達
能力を算定する場合と比較して、必要な伝達能力に対し
て最適な大きさの単純遊星ローラ機構を採用して伝達効
率の高い摩擦伝動装置を得ることができる。
【0026】更に、面圧の変動に対してトラクション係
数fが安定しているというナフテン系鉱油の特性は、一
般的にはナフテン系合成油よりもトラクション係数が低
いという事実があるものの、面圧を高めてもトラクショ
ン係数が安定しているため、これを利用して太陽ローラ
と遊星ローラとの押力を高めに設定すれば、単純遊星ロ
ーラ機構の伝達トルクを十分確保できるような摩擦力を
生じさせることができる。この押力(法線荷重)を高め
ることは、上記のトラクション係数fの定義からも明ら
かなように、接線力を高めることも意味し、結果として
単純遊星ローラ機構が大きな伝達トルクを有することに
なる。つまり、このナフテン系鉱油の特性は、高い伝達
能力を確保する観点では相乗的な効果を有していると言
える。
【0027】又、このような高い圧力下で十分なトラク
ション係数fを維持する特性は、摩擦ローラ間の押力に
対して接触面積を小さくすることができることを意味す
る。従って、各摩擦ローラの幅やローラ径を小さく設定
することができるため、伝達能力(伝達トルク)に対し
て相対的にコンパクトな摩擦伝動装置を得ることができ
る。
【0028】又、このナフテン系鉱油は上記のような優
れた機能を有しているのにも拘らず、ナフテン系合成油
と比較して相対的に大幅に安価である(一般的には、約
1/10のコストである)。従って、歯車伝達構造に比
べて安価であるという摩擦伝動装置の特徴とうまく適合
して、更に製造コストを低減することができる。
【0029】なお、太陽ローラと遊星ローラの間に作用
する最大接触圧力は、1400MPa以上且つ2000
MPa以下の範囲が好ましく、更に好ましくは1600
MPa近傍(±100MPa)で使用することである。
この範囲では更にトラクション係数fが安定しているか
らであり、又、転動疲労寿命が長いという点でもメリッ
トが得られるからである。
【0030】なお、上記の太陽ローラと遊星ローラの間
に作用する最大接触圧力(MPa)は、もちろん実測に
よって検出しても良いが、種々の近似的な算定方法が考
えられる。例えば図1に示されるように、太陽ローラと
遊星ローラの外周面の曲率をそれぞれρs、ρu(1/
mm)、接触領域の長さをL(mm)、接触領域に作用
する押力P(N)とした場合に、195.4・√(P
(ρs+ρu)/L)によって求めることができる。従
って、この値を1000MPa以上、好ましくは、14
00MPa以上且つ2000MPa以下に設定すれば、
本発明を有効に、且つ簡易に実施できる。
【0031】なお、一般的に、上記の単純遊星ローラ機
構の動力伝達態様としては、以下に示されるような固定
・入力・出力の関係がある。
【0032】1)太陽ローラを入力要素とした場合、リ
ングローラを固定要素、遊星ローラを保持するキャリア
を出力要素とする場合と、リングローラを出力要素、遊
星ローラを保持するキャリアを固定要素とする場合があ
り、 2)遊星ローラを保持するキャリアを入力要素とした場
合は、リングローラを固定要素、太陽ローラを出力要素
とする場合と、リングローラを出力要素、太陽ローラを
固定要素とする場合があり、 3)リングローラ入力要素とした場合は、遊星ローラを
保持するキャリアを固定要素、太陽ローラを出力要素と
する場合と、遊星ローラを保持するキャリアを出力要
素、太陽ローラを固定要素とする場合がある。
【0033】本発明の単純遊星ローラ機構は、上記の全
ての態様を採用することができるものであり、いずれの
態様を採用したとしても本発明を適用することができ
る。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態について詳細に説明する。
【0035】図2及び図3に示されるように、本発明の
第1実施形態に係る摩擦伝動装置30は、摩擦ローラと
して、太陽ローラ32、この太陽ローラ32の外周に転
接する遊星ローラ36、この遊星ローラ36が自身の内
周に転接するリングローラ38、を有する単純遊星ロー
ラ機構39によって回転動力を伝達するものである。
【0036】具体的には、上記の各摩擦ローラ32、3
6、38はケーシング40の内部に収容されており、こ
のケーシング40の内周面側には径方向内側に突出する
ドーナッツ状の固定部40Aが一体的に形成されてい
る。又、このケーシング40の回転中心軸線L方向両端
側においては、径方向外側に広がるフランジ部40B、
40Cが形成されており、外部ユニット(相手側機械、
モータ等)と連結できるようになっている。
【0037】リングローラ38には、周方向に一定の間
隔で、回転中心軸線L方向のボルト孔38Aが複数貫通
形成されており、このボルト孔38Aを貫通するボルト
42によって固定部40Aに固定されている。即ち、リ
ングローラ38は固定要素となっている。
【0038】キャリア34には周方向に一定の間隔(9
0°の間隔)で回転中心軸線L方向の4本のピン44が
圧入状態で組み込まれており、このピン44によって遊
星ローラ36の間隔が一定に保持されるようになってい
る。
【0039】なお、符号46A、46Bはリング状の遊
星ローラ規制部材であり、この一方(46B)はボルト
42によってリングローラ38の端面に同軸的に固定さ
れており、他方(46A)はケーシング40の固定部4
0Aに設置されている。従って、これらの遊星ローラ規
制部材46A、46Bによって遊星ローラ36の軸方向
移動が規制されているため、遊星ローラ36の軸方向の
移動による伝達効率の低下が防止されている。
【0040】この単純遊星ローラ機構39の潤滑油に
は、各摩擦ローラの接触面間に所定の摩擦力を発生させ
るために、ナフテン系の鉱油(具体的には、昭和シェル
石油株式会社製、アルバニアグリース1)が採用されて
いる。又、太陽ローラ32と遊星ローラ36との間に作
用する最大接触圧力が1000MPa以上となるように
設定されている。なお、この最大接触圧力は1400M
Pa以上且つ2000MPa以下の範囲に設定すること
が好ましく、実際には、ベストの範囲である1600M
Pa近傍に設定している。
【0041】以上のように最大接触圧力αを上記の範囲
に設定するためには、この最大接触圧力αを算出しなけ
ればならない。そこで、この第1実施形態においては以
下の(1)式から求めるようにした。
【0042】 α=195.4・√(P(ρs+ρu)/L) …(1) ρs:太陽ローラの外周面の曲率(1/mm) ρu:遊星ローラの外周面の曲率(1/mm) L:太陽ローラと遊星ローラとの接触面領域の長さ(m
m) P:接触領域に作用する押力(N)
【0043】従って、この最大接触圧力αを上記範囲に
設定するためには、太陽ローラ32と遊星ローラ36の
外周面の曲率(ローラ径によって決定される)や、遊星
ローラのローラ幅を調整したり、この接触領域に作用す
る押力を変更することによって行われる。この押力Pは
リングローラ38によって遊星ローラ36と太陽ローラ
32を押し付けることによって発生するものであり、こ
れを調整するためには、リングローラ38の内周径を、
遊星ローラ36の直径の2倍と太陽ローラ32の直径と
の和よりも小さくして、所定の締め代を与えることで行
われる。なお、上記の算出式は太陽ローラと遊星ローラ
が鋼対鋼の関係になっていることが一般的である。
【0044】この摩擦伝動装置30は以上のように構成
されているので、雰囲気温度の変化に対して常に安定し
た伝達トルクを発揮することができる。具体的には、図
4に示されるデータからも明らかなように、このナフテ
ン系鉱油のトラクション係数fは上記最大接触圧力が1
000MPa以上で大きく変動したとしてもほとんど一
定である。従って、雰囲気温度の変化により各摩擦ロー
ラ32、36、38の大きさが変動して最大接触圧力α
が(1000MPa以上の範囲で)変化したとしても、
安定した伝達トルクを維持することができる。なお、こ
のデータにおけるナフテン系合成油は、エッソ石油株式
会社製JSW3573、パラフィン系鉱油は、昭和シェ
ル石油株式会社製アルバニアRA(粘度が異なる2種を
採用)である。
【0045】又、図4のデータからも明らかなように、
ナフテン系鉱油は最大接触圧力αを高く設定してもトラ
クション係数fが低下しないという特性を有するので、
摩擦伝動装置30において大きな伝達トルクを確保した
い場合には、太陽ローラ32と遊星ローラ36との間に
作用する押力を単純に高めればよいことになる。即ち、
押力を高めた結果接触面の圧力が高まったとしても、ト
ラクション係数fが低下しないため、これらの相乗効果
によって大きな接線力が作用して高い伝達トルクとその
安定維持を発揮することができる。
【0046】又、伝達効率や製造コストの観点からは単
純遊星ローラ機構39をできるだけコンパクトにするこ
とが好ましいが、各摩擦ローラのローラ径及びローラ幅
を小さくすることは接触面積が狭くなることを意味し、
又、接線力が小さくなることを意味する。従って、一定
の押力を確保して所定の伝達能力を発揮する場合には、
面圧は高くなる傾向となるが、しかし、この摩擦伝動装
置30に採用されるナフテン系鉱油の場合は、面圧が高
まってもトラクション係数fが低下しないという特性を
有するので、上記のように単純遊星ローラ機構39をコ
ンパクトにしても伝達トルクの低下を防止することがで
きる。即ち、伝達トルクとコンパクト化(高効率化)を
合理的に両立することができるようになる。
【0047】更に、このナフテン系鉱油は、従来摩擦伝
動装置に採用されているナフテン系合成油と比較して約
1/10程度の価格である。従って、摩擦伝動装置30
の製造コストを大幅に低減することができるので、もと
もと安価であるという単純遊星ローラ機構39の特徴を
更に活かせることになる。
【0048】なお、この第1実施形態においては最大接
触圧力αを上記の式で算定する場合を示したが、本発明
はそれに限定されず、他の論理式によって(近似的に)
算出しても構わないし、接触面積を何らかの方法で計測
できれば、当然に実測によって検出してもよい。
【0049】又、単純遊星ローラ機構39は、リングロ
ーラ38を固定要素とした場合を示したが、本発明はこ
れに限定されず、太陽ローラ32又は遊星ローラ36を
固定要素とする場合も含むものである。
【0050】次に、図5を参照して、本発明の第2実施
形態に係る摩擦伝動装置230について説明する。
【0051】この摩擦伝動装置230は、既に第1実施
形態で示した摩擦伝動装置に、その太陽ローラを駆動す
るモータ252を設けたものである。なお、第1実施形
態で示した摩擦伝動装置30と同一又は類似する部分に
ついてはこの摩擦伝動装置30と下2桁を同一符号を付
することによって、構造・作用等の詳細な説明は省略す
る。
【0052】具体的にこの摩擦伝動装置230は、ケー
シング240のフランジ部240Bに、モータ252の
ケーシングが一体的に連結されたものであり、このモー
タ252のモータ軸254が、キー構造によって太陽ロ
ーラ232に連結され、この太陽ローラ232を駆動す
るようになっている。
【0053】従って、この摩擦伝動装置230における
単純遊星ローラ機構239については、太陽ローラ23
2が入力要素、リングローラ239が固定要素、キャリ
ア234が出力要素となっている。
【0054】この摩擦伝動装置230は、モータ252
の駆動力を単純遊星ローラ機構239によって十分伝達
することができるのにも拘らず、相対的にこの単純遊星
ローラ機構239がコンパクトに設計されている。これ
は、潤滑油としてナフテン系鉱油を採用したことによ
り、各摩擦ローラの接触面間の圧力を高めることができ
たためである。結果として、各摩擦ローラの慣性力等も
低減して効率良くモータ252の駆動力を伝達すること
ができる。
【0055】又、ナフテン系鉱油は従来の合成油と比べ
て大幅に安価であることから、装置全体の製造コストも
低減されている。
【0056】
【発明の効果】本発明の摩擦伝動装置によれば、製造コ
ストが大幅に低減され、又、単純遊星ローラ機構をコン
パクトに構成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る太陽ローラと遊星ローラの接触面
状態を示す模式図
【図2】本発明の第1実施形態に係る摩擦伝動装置を示
す断面図
【図3】図2のIII−III断面図
【図4】ナフテン系鉱油のトラクション係数fと最大接
触圧力との関係を示す線図
【図5】本発明の第2実施形態に係る摩擦伝動装置を示
す部分断面図
【図6】従来の摩擦伝動装置を示す模式図
【符号の説明】
30、230…摩擦伝動装置 32、232…太陽ローラ 34、234…キャリア 36、236…遊星ローラ 38、238…リングローラ 40、240…ケーシング 252…モータ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】摩擦ローラとして、太陽ローラ、この太陽
    ローラの外周に転接する遊星ローラ、及び該遊星ローラ
    が自身の内周に転接するリングローラ、を有する単純遊
    星ローラ機構によって回転動力を伝達する摩擦伝動装置
    において、 この単純遊星ローラ機構の潤滑油に、ナフテン系の鉱油
    を採用すると共に、 前記太陽ローラと前記遊星ローラの間に作用する最大接
    触圧力を、1000MPa以上に設定したことを特徴と
    する摩擦伝動装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記太陽ローラと前記遊星ローラの間に作用する前記最
    大接触圧力を、1400MPa以上且つ2000MPa
    以下の範囲に設定したことを特徴とする摩擦伝動装置。
  3. 【請求項3】請求項1において、 前記最大接触圧力(MPa)を、前記太陽ローラと前記
    遊星ローラの外周面の曲率をそれぞれρs、ρu(1/
    mm)、該太陽ローラと該遊星ローラとの接触領域の長
    さをL(mm)、該接触領域に作用する押し力をP
    (N)とした場合に、式 195.4√(P(ρs+ρu)/L) によって近似的に求めることを特徴とする摩擦伝動装
    置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7441634B2 (en) 2003-12-26 2008-10-28 Nissan Motor Co., Ltd. Friction drive device
JP2010025340A (ja) * 2008-07-16 2010-02-04 Ing Ulrich Rohs Dr 摩擦リングを有する摩擦リングトランスミッションおよび摩擦円錐体の製造方法
JP2011525599A (ja) * 2008-06-26 2011-09-22 ロース,ウルリヒ 摩擦式べべルリングギア
JP2011526345A (ja) * 2008-07-03 2011-10-06 ロース,ウルリヒ 円錐形の摩擦リング伝達装置

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