JP2001173724A - 歯付ベルト - Google Patents

歯付ベルト

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JP2001173724A
JP2001173724A JP36427299A JP36427299A JP2001173724A JP 2001173724 A JP2001173724 A JP 2001173724A JP 36427299 A JP36427299 A JP 36427299A JP 36427299 A JP36427299 A JP 36427299A JP 2001173724 A JP2001173724 A JP 2001173724A
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Japan
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belt
rubber
toothed belt
weight
rubber composition
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JP36427299A
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English (en)
Inventor
Eijiro Nakajima
栄二郎 中嶋
Masaaki Ogino
雅章 荻野
Yuji Sekiguchi
勇次 関口
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Bando Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Bando Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゴムの混練性及び成形加硫時におけるゴムの
流動性を良好に保ちつつ、ベルト歯部の剛性を向上さ
せ、高負荷伝動時においても耐歯欠け性に優れる歯付ベ
ルトを得る。 【解決手段】 クロロプレンゴム100重量部に対して
ビスマレイミド3〜8重量部を配合した未加硫ゴム組成
物によりベルト歯部を形成する。または、ニトリルゴム
にメタクリル酸亜鉛と有機過酸化物とを配合した未加硫
ゴム組成物によりベルト歯部を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯付ベルトに関す
る。
【0002】
【従来の技術】大型工作機械、射出成型機等の一般産業
用機械において、回転物の駆動、金型の開閉機構等の種
々の部分で歯付ベルトによる動力伝達機構が用いられて
いる。そして、近年、これらの機械で使用される歯付ベ
ルトには、機械の多機能複雑化に伴い、高負荷伝動が要
求されるようになってきている。また、機械のコンパク
ト化を図るべく、ベルトの幅狭化の要求があり、これに
よってもベルトにかかる負荷が大きくなることとなる。
このように、ベルトにかかる負荷が大きくなると、動力
伝達の主体となるベルト歯部に過大な力が作用すること
となり、ベルト歯部の一部欠損、いわゆる「歯欠け」を
生じることがある。
【0003】これに対し、ベルト歯部の耐久性を向上さ
せる手段として、ベルト歯部の剛性を向上させれば良い
ということが分かっている。そして、そのための具体的
手段として、ベルト歯部を含むベルト本体を構成するゴ
ムに配合するカーボンブラック等の充填剤の量を増やす
ということが検討されてきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ゴムの
充填剤を増量すると、ゴムの混練が困難になったり、成
形加硫時のゴムの粘度が高くなるために圧入成形による
ベルト歯部の形成が不十分なものとなるという加工上の
問題が生じることとなる。
【0005】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、ゴムの混練性及び成
形加硫時におけるゴムの流動性を良好に保ちつつ、ベル
ト歯部の剛性を向上させ、高負荷伝動時においても耐歯
欠け性に優れる歯付ベルトを得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ベルト歯部を
構成するゴムの架橋密度を高くすることにより、ベルト
歯部の剛性を向上させるようにしたものである。
【0007】具体的には、本出願の発明は、クロロプレ
ンゴム(以後「CR」という。)を主体とする未加硫ゴ
ム組成物が加硫されて形成されたベルト歯部を有する歯
付ベルトであって、上記未加硫ゴム組成物は、CR10
0重量部に対してビスマレイミド3〜8重量部が配合さ
れていることを特徴とする。
【0008】上記の構成によれば、CRの架橋剤として
ビスマレイミドが適量配合された未加硫ゴム組成物が加
硫されてベルト歯部が形成されることとなるので、ゴム
の架橋密度は極めて高いものとなり、これによってベル
ト歯部の剛性の向上が図られることとなる。従って、ゴ
ムの充填剤を増量した場合のように、ゴムの混練が困難
になったり、成形加硫時のゴムの粘度が高くなるために
圧入成形によるベルト歯部の形成が不十分なものとなる
という加工上の問題を生じることなく、ベルト歯部の剛
性を向上させ、高負荷伝動時においても耐歯欠け性に優
れる歯付ベルトを得ることができる。
【0009】ここで、ビスマレイミドの配合量がCR1
00重量部に対して3重量部より少ない場合、ゴムの架
橋密度が不十分となり、耐歯欠け性を向上させるだけの
効果を得ることができない。他方、8重量部より多い場
合、ベルト歯部を形成するゴムの架橋密度が高くなりす
ぎて、騒音が大きくなったり、高温雰囲気下で使用した
場合にベルト本体にクラックが発生しやすくなったり、
心線の座屈により早期に破損したり、噛み合い不良によ
り却って耐歯欠け性を損なう、といった不具合を生じる
こととなる。以上のことより配合量はCR100重量部
に対して3〜8重量部とするのが良く、好ましくは4〜
6重量部とするのが良い。
【0010】また、ビスマレイミドとしては、2つの窒
素原子が直接結合した連結ビスマレイミドの他、2つの
窒素原子がアルキレン基、シクロアルキレン基、オキシ
ジメチレン基、フェニレン基及びスルホン基等の2価の
有機基で結合したビスマレイミドをも含み、具体例とし
ては、N,N’−エチレンビスマレイミド、N,N’−
ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’−(1,4−
フェニレン)ジマレイミド、N,N’−(o−フェニレ
ン)ジマレイミド、N,N’−(m−フェニレン)ジマ
レイミド、N,N’−(2,4−トリレン)ジマレイミ
ド、N,N’−デュリレンジマレイミド、N,N’−
[4,4’(2,2’−ジクロロビフェニレン)]ジマ
レイミド、N,N’−[4,4’−メチレンジフェニ
ル]ジマレイミド、N,N’−(1,4−デュリレンジ
エチレン)ジマレイミド、N,N’−[4,4’−スル
ホニルジフェニル]ジマレイミド、2,6−ビス(マレ
イミドメチル)−4−t−ブチルフェノール、N,N’
−オキシジメチレンジマレイミド等を挙げることができ
る。
【0011】そして、上記未加硫ゴム組成物は、加硫促
進剤、加硫促進助剤、活性剤、スコーチ防止剤、老化防
止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、
光安定剤、可塑剤、ゴム補強剤、その他の充填剤を必要
に応じて配合したものであっても良いことは言うまでも
ない。
【0012】また、上記未加硫ゴム組成物には、短繊維
が混入されていても良い。これによって、ベルト歯部を
構成するゴムは短繊維により補強されることとなり、ベ
ルト歯部の剛性がより高められ、耐歯欠け性がさらに向
上することとなる。 ここで、短繊維としては、ナイロ
ン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、綿、アラミ
ド繊維等を使用することができるが、ゴムの補強効果が
大きいことからアラミド繊維を用いることが好ましい。
【0013】また、短繊維の長さは、0.5〜3.0m
mであることが好ましい。繊維長が0.5mmより短い
場合、短繊維によるゴムの補強効果が小さいものとな
り、耐歯欠け性をさらに向上させるだけの効果を得るこ
とができず、他方、繊維長が3.0mmより長い場合、
未加硫ゴム組成物の混練において繊維に加わるせん断変
形によって発熱が著しいものとなり、ゴムの混練加工性
が悪くなるからである。
【0014】さらに、短繊維は、CR100重量部に対
して0.5〜8重量部混入されていることが好ましい。
短繊維の配合量がCR100重量部に対して0.5重量
部より少ない場合、短繊維によるゴムの補強効果が小さ
いものとなり、耐歯欠け性をさらに向上させるだけの効
果を得ることができず、他方、8重量部より多い場合、
ベルトの曲げ剛性が高くなってしまい、ベルトの耐屈曲
疲労性が損なわれることとなるからである。
【0015】そして、短繊維は、CRとの接着のための
接着処理が施されていることが好ましい。このような接
着処理が施されることにより、短繊維とゴムとの密着性
が高められ、短繊維によるゴムの補強効果がさらに一層
向上することとなる。従って、ベルト歯部の剛性もさら
に高められることとなり、耐歯欠け性がより一層向上す
ることとなる。ここで、接着処理としては、レゾルシン
・ホルマリン。ラテックス(以後「RFL」と称する)
溶液への浸漬及び加熱乾燥する処理やエポキシ溶液への
浸漬及び加熱乾燥する処理等が挙げられる。また、接着
処理は、短繊維にカットする前のヤーンやすだれ織物の
状態で行う場合、カットした短繊維の状態で行う場合の
いずれであっても良い。
【0016】また、本出願の別の発明は、ニトリルゴム
を主体とする未加硫ゴム組成物が加硫されて形成された
ベルト歯部を有する歯付ベルトであって、上記未加硫ゴ
ム組成物は、メタクリル酸亜鉛と有機過酸化物とが配合
されていることを特徴とする。
【0017】上記の構成によれば、ニトリルゴムの架橋
剤としてメタクリル酸亜鉛と有機過酸化物とを配合した
未加硫ゴム組成物によりベルト歯部が形成されているの
で、上記と同様、加工上の問題を生じることなく、ゴム
の架橋密度を高めることによりベルト歯部の剛性を向上
させ、高負荷伝動時においても耐歯欠け性に優れる歯付
ベルトを得ることができる。
【0018】ここで、有機過酸化物としては、ジ−t−
ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイ
ド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブ
チルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘ
キサン、2,5−ジメチルジ(t−ブチル)ヘキシン、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキ
シ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカー
ボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−
3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等を挙げること
ができる。
【0019】また、未加硫ゴム組成物に加硫促進剤等、
その他の充填剤が配合されていてもよい点は、上記と同
様である。
【0020】そして、上記各発明の構成においては、J
IS K6301におけるA型硬さ試験機によって計測
されるゴム硬さが85〜95°であり、且つ温度25℃
及び振動周波数10Hzの条件における動的弾性率
(E’)が3×107〜8×107Paであるゴム組成物
によりベルト歯部が形成され、さらにベルト歯部の動的
バネ定数であるK値が274〜491N/mmである歯
付ベルトが得られることとなる。
【0021】ここで、K値とは、ベルト歯を定荷重振幅
でベルト長さ方向に繰返し変形させる際の動的バネ定数
であって、JIS K6394に準じた方法により、下
記式から算出されるものである。
【0022】K=(K*2−(CK)21/2 (K*は複素バネ定数であり、CKは損失バネ定数であ
る。)
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本出願の発明によ
れば、CRの架橋剤としてビスマレイミドが適量配合さ
れた未加硫ゴム組成物が加硫されてベルト歯部が形成さ
れることとなるので、ゴムの架橋密度は極めて高いもの
となり、これによってベルト歯部の剛性の向上が図られ
ることとなる。従って、ゴムの充填剤を増量した場合の
ように、ゴムの混練が困難になったり、成形加硫時のゴ
ムの粘度が高くなるために圧入成形によるベルト歯部の
形成が不十分なものとなるという加工上の問題を生じる
ことなく、ベルト歯部の剛性を向上させ、高負荷伝動時
においても耐歯欠け性に優れる歯付ベルトを得ることが
できる。
【0024】また、本出願の別の発明によれば、ニトリ
ルゴムの架橋剤としてメタクリル酸亜鉛と有機過酸化物
とを配合した未加硫ゴム組成物が加硫されてベルト歯部
が形成されているので、上記と同様、加工上の問題を生
じることなく、ベルト歯部の剛性を向上させ、高負荷伝
動時においても耐歯欠け性に優れる歯付ベルトを得るこ
とができる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面に基づい
て詳細に説明する。
【0026】図1は本発明の一実施形態に係る歯付ベル
トBを示す。
【0027】歯付ベルトBは、ベルト内周面にベルト長
さ方向に所定ピッチで設けられたベルト歯部11と、ベ
ルト外周面側のベルト背面部12とによりベルト本体が
形成されている。また、ベルト歯部11とベルト背面部
12との間には、抗張体としての心線13が略ベルト長
さ方向に延び且つベルト幅方向にピッチを形成して螺旋
状に設けられている。そして、ベルト歯部11側のベル
ト内周面は、帆布14によって被覆されている。
【0028】ベルト歯部11及びベルト背面部12は、
同一のCR組成物により形成されている。このCR組成
物は、原料ゴムであるCRに、N,N’−m−フェニレ
ンジマレイミド等のビスマレイミドをCR100重量部
に対して3〜8重量部と、その他カーボンブラック等と
を配合し、さらに繊維長0.5〜3.00mmのアラミ
ド短繊維をCR100重量部に対して0.5〜8重量部
加えたものを混練し、これを成形加硫したものである。
ここで、用いたアラミド短繊維はRFL溶液への浸漬及
び加熱乾燥する接着処理が施されたものである。
【0029】心線13は、ガラス繊維にRFLによる接
着処理が施されたガラスコードが用いられている。
【0030】帆布14は、ベルト長さ方向に伸縮性を有
するナイロン織布にゴム糊による接着処理が施されたも
のが用いられている。
【0031】次に、上記歯付ベルトBの製造方法につい
て説明する。 <未加硫ゴムシート準備工程>バンバリーミキサー等の
ゴム練り加工機に原料ゴムであるCRを投入して素練り
し、次いで、これにカーボンブラック等の充填剤を投入
し、混練りする。このとき、N,N’−m−フェニレン
ジマレイミド等のビスマレイミドをCR100重量部に
対して3〜8重量部となるように投入する。そして、R
FLにより接着処理された繊維長0.5〜 3.0mm
のアラミド短繊維をCR100重量部に対して0.5〜
8重量部となるように投入し、これらを均一な未加硫ゴ
ム組成物となるまで混練りする。そして、練り上がった
未加硫ゴム組成物をカレンダロールによりシート状に加
工する。 <材料セット工程>周面に軸方向に延びる溝が周方向に
等ピッチで設けられた円筒金型を、周方向に伸縮性を有
し且つ糊ゴムによる接着処理が施された円筒状のナイロ
ン帆布で被覆する。そして、その上からRFLによる接
着処理が施されたガラスコード心線を等ピッチで螺旋状
に巻き付ける。さらに、その上から上記の未加硫ゴム組
成物シートを巻き付ける。このとき、円筒金型周面上に
は、金型側から順に帆布、心線、そしてゴムが層を成し
てセットされた状態となる。 <加硫成型工程>材料をセットした円筒金型を加硫缶の
中に入れ、所定の温度と圧力をかける。このとき、未加
硫ゴム組成物が流動し、円筒金型に設けられた溝に帆布
を押しつけるようにして圧入され、これによってベルト
歯部が形成されることとなる。 <幅カット工程>加硫缶から取り出した円筒金型から、
その周面上に形成された円筒状のベルト前駆体を脱型
し、これを所定幅に輪切りにすることにより歯付ベルト
Bを得る。
【0032】以上のように構成された歯付ベルトBは、
CRの架橋剤としてビスマレイミドが適量配合された未
加硫ゴム組成物が加硫されてベルト本体が形成されてい
るので、ベルト本体はゴムの架橋密度が極めて高いもの
となり、これによってベルト歯部11の剛性の向上が図
られたものとなっている。すなわち、ベルト歯部の剛性
を向上させるべくゴムの充填剤を増量した場合のよう
に、ゴムの混練が困難になったり、成形加硫時のゴムの
粘度が高くなるために圧入成形によるベルト歯部の形成
が不十分なものとなるという加工上の問題を生じること
がない。
【0033】また、未加硫ゴム組成物には、CR100
重量部に対して繊維長さが0.5〜3.0mmのアラミ
ド短繊維0.5〜8重量部が配合されているので、歯付
ベルト本体を構成するゴムは短繊維により補強されるこ
ととなり、ベルト歯部11の剛性がより高められ、耐歯
欠け性がさらに向上することとなる。
【0034】さらに、アラミド短繊維は、CRとの接着
のための接着処理が施されているので、短繊維とゴムと
の密着性が高められ、短繊維によるゴムの補強効果がさ
らに向上することとなる。従って、ベルト歯部11の剛
性もさらに高められることとなり、耐歯欠け性がより一
層向上することとなる。
【0035】そして、以上の構成の歯付ベルトBでは、
JIS K6301におけるA型硬さ試験機によって計
測されるゴム硬さが85〜95°であり、且つ温度25
℃及び振動周波数10Hzの条件における動的弾性率
(E’)が3×107〜8×107Paであるゴム組成物
によりベルト本体が形成されていることとなる。また、
ベルト歯部11の動的バネ定数であるK値が274〜4
91N/mmのものとなる。 (その他の実施形態)上記実施形態では、CRに架橋剤
としてビスマレイミドを配合した未加硫ゴム組成物によ
りベルト本体を形成するようにしたが、ニトリルゴム
(NBR)に架橋剤としてメタクリル酸亜鉛と有機過酸
化物とを配合した未加硫ゴム組成物によりベルト本体を
形成するようにしてもよい。この場合も上記と同様、加
工上の問題を生じることなく、ゴムの架橋密度を高める
ことによりベルト歯部の剛性を向上させ、高負荷伝動時
においても耐歯欠け性に優れる歯付ベルトを得ることが
できる。
【0036】
【実施例】<試験評価サンプルベルトの作成>以下の各
例に係るサンプルベルトを作成した。なお、各例に係る
歯付ベルトのベルト本体を形成する未加硫ゴムの配合比
率を表1に示す。 −実施例1− CRに、カーボンブラック(FEF)、酸化マグネシウ
ム、酸化亜鉛、ステアリン酸、4種の老化防止剤、ワッ
クス及び加硫促進剤をそれぞれ所定量加え(表1参
照)、さらに加硫剤としてN,N’−m−フェニレンジ
マレイミド(商品名:バルノックPM 大内新興社製)
をCR100重量部に対して5重量部加え、それらを混
練して形成された未加硫ゴム組成物を加硫してベルト本
体を形成すると共に、RFLにより接着処理されたガラ
ス繊維心線を埋設し、且つベルト歯部側表面をゴム糊に
より接着処理されたナイロン帆布で被覆してなる歯付ベ
ルトを実施例1とした。 −実施例2− CR100重量部に対して、長さ1mmのアラミド短繊
維(商品名:テクノーラ 帝人社製)2重量部を配合し
た未加硫ゴム組成物によりベルト本体を形成したことを
除いては実施例1と同一構成の歯付ベルトを実施例2と
した。なお、アラミド短繊維は、CRとの接着させるた
めにRFL溶液への浸漬及び加熱乾燥する接着処理がな
されたものを用いた。 −実施例3− CR100重量部に対して、長さ1mmのアラミド短繊
維(商品名:テクノーラ 帝人社製)を5重量部配合し
た未加硫ゴム組成物によりベルト本体を形成したことを
除いては実施例2と同一構成の歯付ベルトを実施例3と
した。 −比較例− N,N’−m−フェニレンジマレイミドを配合せず、C
R100重量部に対して硫黄1重量部を配合した未加硫
ゴム組成物によりベルト本体を形成したことを除いては
実施例1と同一構成の歯付ベルトを比較例とした。
【0037】
【表1】
【0038】<試験評価方法> −ゴム硬度− 各例に係る歯付ベルトのベルト背面部から短冊状のテス
トピースを切り出し、これを複数枚積層し、JIS K
6301に準じA型硬さ試験機によってゴム硬さを測定
した。 −動的弾性率(E’)− 各例に係る歯付ベルトのベルト背面部から短冊状のテス
トピースを切り出し、これを粘弾性スペクトロメーター
にセットして動的弾性率(E’)の測定を行った。な
お、測定は、温度を25℃、振動数を10Hzとし、加
える歪みはテストピースの線形性が保たれる範囲のもの
となるようにして行った。 −K値− 図2に示すように、ベルト幅19mmの各例に係る歯付
ベルトのでベルト歯部1つ分をテストピース21として
切り出し、ベルト背側に接着剤を塗布してこれをテスト
ピース固定治具22に固定した。次いで、加振治具23
に設けられた固定溝にベルト歯部を嵌め入れて固定し、
荷重振幅が±226Nで一定となるようにベルト歯部を
ベルト長さ方向に加振した。そして、加振治具23に取
り付けたロードセルにより検知された荷重と、そのとき
の加振治具の変位量(ベルト歯部の変形量)とからベル
ト歯部の動的バネ定数であるK値を求めた。ここで、K
値は、JIS K6394に準じた方法により、下記式
から算出したものである。
【0039】K=(K*2−(CK)21/2 (K*は複素バネ定数であり、CKは損失バネ定数であ
る。) −ベルト歯部耐久寿命− ベルト走行試験機は、22歯の駆動プーリ31と、駆動
プーリと同型の従動プーリ32と、直径52mmの背面
アイドラプーリ33とからなり、これらのプーリにベル
ト幅10mmの各例に係る歯付ベルト34を巻き掛け
た。次いで、従動プーリ32に500Nの定荷重と、1
3.7N・mの負荷とをかけた。そして、雰囲気温度6
0℃の条件下で駆動プーリ31を3000rpmで回転
させ、ベルト歯部の欠損が生じるまでベルト34を走行
させた。そのベルト歯部の欠損が発生するまでの時間を
ベルト歯部耐久寿命とした。 <試験評価結果>各試験評価の結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】−ゴム硬度、動的弾性率(E’)、K値− 表2から明らかなように、ゴム硬度、動的弾性率
(E’)及びK値のいずれも、比較例より実施例1〜3
の方が極めて高い値となっている。つまり、CRの架橋
剤としてN,N’−m−フェニレンジマレイミドを適量
配合することにより、ゴムの架橋密度が向上し、ゴム硬
度等の向上が図られたものである。
【0042】また、実施例1〜3はゴム硬度に大差が見
られないが、これはアラミド短繊維を配合しても、ゴム
硬度はあまり影響を受けないということを示している。
【0043】一方、動的弾性率(E’)及びK値は、実
施例1よりも実施例2及び3の方が高い値となっている
が、これはアラミド短繊維の配合によるゴムの補強効果
がゴムの弾性率には影響を及ぼすということを示してい
る。また、実施例2よりも実施例3の方が若干高い値と
なっているが、アラミド短繊維の配合量がCR100重
量部に対して2重量部配合するより5重量部配合した方
がその効果が高いということが確認できる。 −ベルト歯部耐久寿命− 表2に示されるように、ビスマレイミドを加硫剤とした
実施例1〜3は、硫黄加硫した比較例に比べてベルト歯
部耐久寿命が著しく長くなっている。これは、CRの架
橋剤としてN,N’−m−フェニレンジマレイミドを適
量配合することにより、ゴムの架橋密度が高められるこ
ととなり、ベルト歯部の剛性も高くなって耐歯欠け性の
向上が図られたためである。
【0044】また、アラミド短繊維を配合した実施例2
及び3は、実施例1よりもさらにベルト歯部耐久寿命が
長くなっている。これは、アラミド短繊維を配合するこ
とによりゴムが補強され、ベルト歯部の剛性がより一層
高められて耐歯欠け性のさらなる向上が図られたためで
ある。
【0045】さらに、アラミド短繊維をCR100重量
部に対して5重量部配合した実施例3は、2重量部配合
した実施例2よりも2倍以上ベルト歯部耐久寿命が長く
なっている。すなわち、配合する短繊維の増量による動
的弾性率(E’)及びK値の若干の向上が、ベルト歯部
耐久寿命の大幅な向上をもたらすということが確認でき
る。 −ゴム硬度とベルト歯部耐久寿命との関係− 図4にゴム硬度とベルト歯部耐久寿命との関係を示す。
これによれば、ゴム硬度の上昇と共にベルト歯部耐久寿
命が大きくなっていることが分かる。本評価の結果から
は、ゴム硬度が88〜90の範囲でベルト歯部耐久寿命
が良好なものとなるという結果になっている。 −動的弾性率(E’)とベルト歯部耐久寿命との関係− 図5に動的弾性率(E’)とベルト歯部耐久寿命との関
係を示す。これによれば、ベルト本体を構成するゴム組
成物の動的弾性率(E’)が上昇すると共にベルト歯部
耐久寿命が大きくなっていることが分かる。本評価の結
果からは、動的弾性率(E’)が3.5×107〜7.
0×107Paの範囲でベルト歯部耐久寿命が良好なも
のとなるという結果になっている。 −K値とベルト歯部耐久寿命との関係− 図6にK値とベルト歯部耐久寿命との関係を示す。これ
によれば、ベルトのK値がおおよそ275N/mmより
大きくなると著しくベルト歯部耐久寿命が大きくなって
いることが分かる。本評価の結果からは、K値が300
〜400N/mmの範囲でベルト歯部耐久寿命が良好な
ものとなるという結果になっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる歯付ベルトの斜視図
である。
【図2】K値測定装置の要部の説明図である。
【図3】ベルト走行試験機のレイアウト図である。
【図4】ゴム硬度とベルト歯部耐久寿命との関係を示す
グラフ図である。
【図5】動的弾性率(E’)とベルト歯部耐久寿命との
関係を示すグラフ図である。
【図6】K値とベルト歯部耐久寿命との関係を示すグラ
フ図である。
【符号の説明】
11 ベルト歯部 12 ベルト背面部 13 心線 14 帆布 21 テストピース 22 テストピース固定治具 23 加振治具 31 駆動プーリ 32 従動プーリ 33 背面アイドラプーリ 34 歯付ベルト

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロロプレンゴムを主体とする未加硫ゴ
    ム組成物が加硫されて形成されたベルト歯部を有する歯
    付ベルトであって、 上記未加硫ゴム組成物は、クロロプレンゴム100重量
    部に対してビスマレイミド3〜8重量部が配合されてい
    ることを特徴とする歯付ベルト。
  2. 【請求項2】 上記未加硫ゴム組成物には、短繊維が混
    入されていることを特徴とする請求項1に記載の歯付ベ
    ルト。
  3. 【請求項3】 上記短繊維がアラミド短繊維であること
    を特徴とする請求項2に記載の歯付ベルト。
  4. 【請求項4】 上記短繊維の長さが0.5〜3.0mm
    であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の
    歯付ベルト。
  5. 【請求項5】 上記短繊維がクロロプレンゴム100重
    量部に対して0.5〜8重量部混入されていることを特
    徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一に記載の歯
    付ベルト。
  6. 【請求項6】 上記短繊維は、クロロプレンゴムとの接
    着のための接着処理が施されていることを特徴とする請
    求項2乃至請求項5のいずれか一に記載の歯付ベルト。
  7. 【請求項7】 ニトリルゴムを主体とする未加硫ゴム組
    成物が加硫されて形成されたベルト歯部を有する歯付ベ
    ルトであって、 上記未加硫ゴム組成物は、メタクリル酸亜鉛と有機過酸
    化物とが配合されていることを特徴とする歯付ベルト。
  8. 【請求項8】 JIS K6301におけるA型硬さ試
    験機によって計測されるゴム硬さが85〜95°であ
    り、且つ温度25℃及び振動周波数10Hzの条件にお
    ける動的弾性率(E’)が3×107〜8×107Paで
    あるゴム組成物によりベルト歯部が形成され、さらにベ
    ルト歯部の動的バネ定数であるK値が274〜491N
    /mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項7の
    いずれか一に記載の歯付ベルト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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