JP2001172074A - 溶融シリカ焼結体及びその製造方法 - Google Patents

溶融シリカ焼結体及びその製造方法

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JP2001172074A JP35750699A JP35750699A JP2001172074A JP 2001172074 A JP2001172074 A JP 2001172074A JP 35750699 A JP35750699 A JP 35750699A JP 35750699 A JP35750699 A JP 35750699A JP 2001172074 A JP2001172074 A JP 2001172074A
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Keiichiro Kondo
啓一郎 近藤
Tetsuro Goto
鉄郎 後藤
Muneyuki Iwata
宗之 岩田
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Kikusui Kagaku Kogyo KK
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Kikusui Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 曲げ強度などの機械的強度が高く、焼結体表
面の粒子の剥離を防止することができ、従来と同等以上
の緻密性を有し、溶融シリカ本来の性質のひとつである
熱間線膨張率が低い溶融シリカ焼結体及び製造方法を提
供することにある。 【解決手段】 溶融シリカ粉末に対して、長石からなる
鉱物を添加し、焼成することにより、溶融シリカ本来の
性能を備え、かつ、クリストバライトの生成が少なく、
緻密で高強度の溶融シリカ焼結体が得られる。この長石
からなる鉱物は、溶融シリカ粉末に対して、0.1〜1
0.0重量%添加される。また、この焼結体では、溶融
シリカ粒子間にガラス層を形成されるため、溶融シリカ
焼結体をいっそう緻密で高強度であり、焼結体表面の粒
子の剥離を防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鉄鋼用、精密鋳
造用等をはじめとする各種産業の耐火物材料、高温下で
使用される焼成用冶具などとして用いられる溶融シリカ
焼結体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、溶融シリカは熱間線膨張率が低
く、耐熱衝撃性に優れているだけではなく、耐化学薬品
性、さらには溶融金属に対する耐食性においても優れて
いることなどが広く知られている。
【0003】しかし、従来の溶融シリカ耐火物では、見
掛け気孔率が高いため、機械的強度に劣り、耐食性や耐
浸潤性が不十分であり、使用中に亀裂や剥離などの損傷
を受ける場合が多い。また、溶融シリカは高温で焼成を
行うことにより、クリストバライトの生成が促進され、
強度が低下するばかりでなく溶融シリカ本来の性質も失
われてしまう。
【0004】そこで、特公平2−54301号公報で
は、緻密な溶融シリカ焼結体の製造方法が開示されてい
る。この製造方法では、溶融シリカ粉末を主骨材とし、
酸化リチウム、二酸化珪素を含有する水溶液を含浸させ
成形し、得られた成形体を1000〜1200℃で焼成
する方法である。
【0005】この方法では、機械的強度が優れ、見掛け
気孔率は低くなるが、表面の粒子が剥離しやすい性質を
持つものである。さらに、特開平11−60330号公
報では、溶融シリカ粉末に対してB2O又はP25
0.5〜10重量%添加し、水蒸気雰囲気で焼成を行う
製造方法が開示されている。
【0006】上記特開平11−60330号公報の製造
方法で得られた溶融シリカ焼結体は、気孔率が1%程度
で機械的強度が優れたものであり、さらに、焼結体表面
の粒子の剥離を防止することを実現させた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、溶融シリカ
焼結体の軽量化を目的とする薄型化などにより、さらに
高い機械的強度の要求があり、焼結体表面の粒子の剥離
を防止することができ、従来ものと同程度の緻密性があ
り、及び溶融シリカ本来の性質を損なわない溶融シリカ
焼結体が必要とされている。
【0008】この発明は、上記のような従来技術に存在
する問題点に着目してなされたものである。その目的と
するところは、曲げ強度などの機械的強度が高く、焼結
体表面の粒子の剥離を防止することができ、従来と同等
以上の緻密性を有し、溶融シリカ本来の性質のひとつで
ある熱間線膨張率を低くした溶融シリカ焼結体及び製造
方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明の溶融シリカ焼結体では、
溶融シリカ粉末に対して、長石よりなる鉱物を添加し混
合物を調製し、この混合物を所定の形状に賦形して、焼
成することにより得られるものである。
【0010】請求項2記載の発明の溶融シリカ焼結体の
製造方法では、溶融シリカ粉末に対して、長石よりなる
鉱物を添加して混合物を調製し、この混合物を所定の形
状に賦形した後、焼成することを特徴とする。
【0011】請求項3に記載の発明の溶融シリカ焼結体
の製造方法は、請求項2に記載の発明において、溶融シ
リカ粉末に対する、長石よりなる鉱物の添加量は0.1
〜10.0重量%であることを特徴とする。
【0012】請求項4に記載の発明の溶融シリカ焼結体
の製造方法は、請求項2又は請求項3に記載の発明にお
いて、焼成時における雰囲気が大気雰囲気であることを
特徴とする。
【0013】請求項5に記載の発明の溶融シリカ焼結体
の製造方法は、請求項2〜請求項4のいずれかに記載の
発明において、焼成後に、溶融シリカ粉末の焼結により
形成された溶融シリカ粒子間に鉱物により形成されたガ
ラス層を形成することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て、詳細に説明する。溶融シリカ焼結体は、溶融シリカ
粉末に対して、長石よりなる鉱物を添加して混合物を調
製し、この混合物を所定の形状に賦形して、焼成するこ
とにより得られるものである。
【0015】上記溶融シリカは、シリカガラスの一種で
あり、珪砂や珪石粉を用いて、カーボン電極などで溶解
してガラス化したものである。これを粉末状にしたもの
が溶融シリカ粉末であり、この溶融シリカ粉末では、粒
度が90μm以下のものであり、10μm以下のものを
10%以上含むことができる。粒度が90μmを超える
場合には、得られる焼結体の緻密性を損なうことがあ
り、機械的強度を低下させる原因になることもある。
【0016】次に、鉱物を構成する長石の成分は、二酸
化珪素(SiO2)が主成分であり、アルミナ(Al2
3)、酸化カリウム(K2O)、酸化ナトリウム(Na2
O)などが含まれ、微量成分として酸化鉄(Fe
23)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム
(MgO)などが含まれている。長石の産出地によっ
て、多少各成分の割合が変化するが、長石の種類によら
ず、任意の長石を用いることができる。
【0017】長石よりなる鉱物を用いるのは、その鉱物
中に含まれる成分が焼結体の溶融シリカ粒子間にガラス
層を形成することにより緻密化を促進するためである。
長石よりなる鉱物の添加量は、溶融シリカ粉末に対し
て、0.1〜10.0重量%が好ましく、0.1〜7.
0重量%がさらに好ましい。10.0重量%より多い場
合には、ガラス層のクリストバライト化が促進されてし
まう傾向がある。また、添加量が0.1%より少ない場
合には、熱間線膨張率が低く、優れた緻密性と高い機械
的強度の溶融シリカ焼結体が得られない。
【0018】次に、溶融シリカ焼結体の製造方法につい
て説明する。まず、溶融シリカ粉末に対して、長石より
なる鉱物を添加し、これに適当な成形助剤を用いて、混
合物を調製する。この場合、成形助剤として用いられる
ものは、水、アルコール、ジブチルフタレートなど任意
の液体やポリビニルアルコール、ポリビニルブチラー
ル、セルロースアセテートなどのバインダーを使用する
ことができ、必要に応じて選択される。入手の容易さや
コスト面などより水が用いられることが多い。
【0019】このように調製された混合物は、所定の形
状に賦形される。賦形方法としては、鋳込み成形法、プ
レス成形法などの成形方法があるが、どの成形方法も使
用可能であり、その中でも緻密に充填され、高度な成形
体を得やすい点から鋳込み成形法が好ましい。
【0020】この成形された成形体は、必要に応じて乾
燥されるが、その乾燥方法は、熱風乾燥炉を用いた方法
など任意の乾燥方法を選択すればよい。その後、成形体
は焼成される。この場合の焼成温度は、1200〜13
00℃の範囲に設定されることが好ましい。これより低
い温度の場合には、十分な焼結効果が得られない。ま
た、焼成温度がこれより高い場合には、クリストバライ
トの生成を急速に促進してしまい、焼結体の強度が低下
する。
【0021】焼成時間は、1〜3時間が好ましく、1〜
2時間がさらに好ましい。1時間未満では、焼結が十分
進行せず焼結体の緻密化が促進されないばかりか、強度
においても不十分である。また、3時間を超えて焼成を
行っても、焼結効果にはほとんど影響がないが、クリス
トバライトの生成を促進してしまい焼結体の強度を著し
く低下させることになる。
【0022】焼成時の雰囲気は、任意の焼成雰囲気での
焼成が可能である。専用の焼成炉が不要で焼成が容易で
あるため、大気雰囲気であるのが好ましい。焼成方法に
ついては、電気炉、ガス炉などを用いる方法があるが、
上記の条件が満足されるものであれば十分であり、その
ような焼成方法を任意に選択すればよい。
【0023】以上のように、この実施形態によれば、次
のような効果が発揮される。 ・ 溶融シリカ粉末に対して、長石よりなる鉱物を添加
して混合物を調製し、この混合物を所定の形状に賦形し
て、焼成することにより得られる溶融シリカ焼結体によ
れば、長石よりなる鉱物を添加することにより、その成
分が焼結体の溶融シリカ粒子間にガラス層を形成するこ
となどのため、曲げ強度などの機械的強度が高く、焼結
体表面の粒子の剥離を防止することができ、従来と同等
以上の緻密性を有し、溶融シリカ本来の性質のひとつで
ある熱間線膨張率を低くした溶融シリカ焼結体が得られ
る。
【0024】・ 溶融シリカ粉末に対して、長石よりな
る鉱物を添加して混合物を調製し、この混合物を所定の
形状に賦形した後、焼成することを特徴とする溶融シリ
カ焼結体の製造方法によれば、上記の物性を備えた溶融
シリカ焼結体を容易に製造することができる。
【0025】・ 溶融シリカ粉末に対する、長石よりな
る鉱物の添加量を0.1〜10.0重量%に設定すれ
ば、長石よりなる鉱物の少量の添加により、ガラス層の
クリストバライトの生成が抑制され、優れた緻密性と高
い機械的強度の溶融シリカ焼結体を容易に製造すること
ができる。
【0026】・ 焼成温度を1200〜1300℃に設
定することにより、十分な焼結効果が得られ、クリスト
バライトの生成を抑制し、焼結体の強度が低下すること
なく、溶融シリカ焼結体を容易に製造することができ
る。
【0027】・ 焼成時間を1〜3時間に設定すること
により、焼結体が緻密であり、クリストバライトの生成
が抑制され、焼結体の強度を著しく低下させることな
く、溶融シリカ焼結体を容易に製造することができる。
【0028】・ 焼成時における雰囲気を大気雰囲気と
することにより、専用炉を必要とせず、溶融シリカ焼結
体を容易に製造することができる。 ・ 焼成後に、溶融シリカ粉末の焼結により形成された
溶融シリカ粒子間に鉱物により形成されたガラス層を形
成させることにより、焼結体表面の粒子の剥離を防止
し、耐食性や耐浸潤性を有する溶融シリカ本来の性能も
損なわれていない溶融シリカ焼結体を容易に製造するこ
とができる。
【0029】・ 長石の種類によらず、任意の長石を用
いても、熱間線膨張率が低く、焼結体表面の粒子の剥離
を防止するなど優れた緻密性と高い機械的強度の溶融シ
リカ焼結体を得ることができる。
【0030】
【実施例】以下、前記実施形態を実施例に基づいてさら
に具体的に説明する。 (実施例1)ボールミルにより湿式粉砕し、平均粒径を
5.7μmに調整した純度99.5重量%の溶融シリカ
粉末を用いた。
【0031】この溶融シリカ粉末にJIS−Z8801
規定のふるいで目開きが500μmのものにより粒度調
整した釜戸長石を溶融シリカ粉末に対して5.0重量%
添加し、ボールミルによって1時間程度分散させ、混合
物を得た。この混合物を鋳込み成形し、縦40mm、横
40mm、高さ100mmの直方体の成形体を得た。こ
の成形体を乾燥させた。乾燥は熱風乾燥炉を用い、90
℃で1.5時間、その後130℃で3時間乾燥させた。
乾燥させた成形体を電気炉で2時間、1200℃で焼成
させ、溶融シリカ焼成体を形成させた。焼成は大気雰囲
気で行った。
【0032】以下の実施例2〜7及び比較例1、2で
は、釜戸長石の添加量、焼成温度を変化させているだけ
であり、その他の条件は実施例1と同じである。この溶
融シリカ焼結体のかさ比重、見掛け気孔率をJIS−R
2205により、曲げ強度、熱間線膨張率をJIS−R
1601の規定に従い測定した。なお、以下の実施例及
び比較例によるかさ比重、見掛け気孔率、曲げ強度及び
熱間線膨張率の測定も同様な方法により測定し、測定値
の比較を行った。
【0033】実施例1で得られた溶融シリカ焼結体のか
さ比重、見掛け気孔率、曲げ強度、熱間線膨張率の測定
結果を表1にまとめて示した。また、溶融シリカ粉末の
焼結により形成された溶融シリカ粒子間にガラス層が存
在することを電子顕微鏡により観察した結果、ガラス層
が形成されたことが確認できた。
【0034】また、上記と同じ方法により縦200m
m、横200mm、厚さ2mmの四角板状の溶融シリカ
焼結体を形成させた。この焼結体について、かさ比重、
見掛け気孔率、曲げ強度及び熱間線膨張率においても同
様な結果を得ることができた。
【0035】この溶融シリカ焼結体を1000℃の電気
炉に投入し、20分間静置し、再び室温に取り出し冷却
した。これを1サイクルとして、5サイクル行った。こ
の溶融シリカ焼結体は、目視で確認する限り、表面的に
損傷は見あたらず、いずれも破壊されることはなかった
ため、焼結体表面の粒子の剥離を防止し、耐食性や耐浸
潤性があることを示している。
【0036】表1に示したように、実施例1で得られた
溶融シリカ焼結体のかさ比重、見掛け気孔率及び曲げ強
度の測定値では、十分な緻密性、曲げ強度があり、機械
的強度が優れていることを示している。
【0037】実施例1において、熱間線膨張率が低いこ
とが示され、溶融シリカ本来の性能も損なわれていない
ことがわかる。 (実施例2)溶融シリカ粉末に対して釜戸長石を実施例
1より多い7.0重量%添加した。この成形体は、実施
例1と同じ1200℃条件で焼成した。この溶融シリカ
焼結体の物性を表1に示した。
【0038】表1に示したように、焼成温度が1200
℃と同じである実施例1と実施例2を比較した場合、実
施例2の見掛け気孔率がやや小さい値を示しているが、
ほとんど同等な緻密性であり、曲げ強度に優れているこ
とがわかる。この値の違いは、長石の添加量によるもの
だと考えられる。 (実施例3)溶融シリカ粉末に対して釜戸長石を実施例
1より少ない0.5重量%添加した。焼成温度は、実施
例1よりやや高い1250℃とした。実施例3で焼成し
て得られた溶融シリカ焼結体の物性を表1に示した。 (実施例4)溶融シリカ粉末に対して釜戸長石を実施例
1より少ないが実施例3よりやや多めの1.0重量%添
加した。焼成温度は、実施例1よりやや高い実施例3同
じ1250℃とした。この溶融シリカ焼結体の物性を表
1に示した。 (実施例5)溶融シリカ粉末に対して釜戸長石を実施例
1よりやや少なめの3.0重量%添加した。焼成温度
は、実施例1よりやや高い実施例3と同じ1250℃と
した。この溶融シリカ焼結体の物性を表1に示した。
【0039】実施例3〜実施例5について、これらの実
施例は焼成温度が実施例1よりやや高めの1250℃で
焼成された溶融シリカ焼結体である。これらの実施例よ
り得た溶融シリカ焼結体も実施例1とほとんど同等な緻
密性であり、曲げ強度に優れていることがわかる。
【0040】これらの測定値を比較すると、長石の添加
量が多くなるにしたがって、見掛け気孔率が減少し、曲
げ強度の値も小さくなっている。実施例1と実施例2の
比較した場合でも同じ傾向にあることがわかる。 (実施例6)溶融シリカ粉末に対して釜戸長石を実施例
1より少なく、実施例3と同量の0.5重量%添加し
た。焼成温度は、実施例1より高い1300℃とした。
実施例6で焼成して得られた溶融シリカ焼結体の物性を
表1に示した。 (実施例7)溶融シリカ粉末に対して釜戸長石を実施例
1より少なく、実施例3と同量の1.0重量%添加し
た。焼成温度は、実施例1より高く、実施例6と同じ1
300℃とした。この溶融シリカ焼結体の物性を表1に
示した。
【0041】実施例6及び実施例7について、これらの
実施例は焼成温度が実施例1より100℃高い1300
℃で焼成された溶融シリカ焼結体である。これらの実施
例より得た溶融シリカ焼結体も実施例1とほとんど同等
な緻密性であり、曲げ強度があることがわかる。
【0042】これらの測定値を比較してわかるように、
長石の添加量が多くなるにしたがって、見掛け気孔率が
減少し、曲げ強度の値も小さくなっている。また、長石
の添加量が同じで焼成温度の違う実施例3と実施例6を
比較した場合、焼成温度が高くなると、見掛け気孔率が
減少し、曲げ強度の値も小さくなっている。このこと
は、実施例4と実施例7でも同様な傾向にあることがわ
かる。 (比較例1)実施例1と同じ方法により溶融シリカ焼結
体を成形した。この場合は、長石を添加せず、焼成温度
を1200℃とした。比較例1で焼成して得られた溶融
シリカ焼結体の物性を表1に示した。 (比較例2)この場合でも、長石を添加せず、焼成温度
を1300℃とした。この溶融シリカ焼結体の物性を表
1に示した。
【0043】比較例1及び比較例2では、長石を添加し
ないで溶融シリカ焼結体を焼成した。この場合も実施例
1〜7と同じで大気雰囲気で焼成を行った。比較例1、
2と実施例1〜7と比較した場合、見掛け気孔率がかな
り高い値を示し、曲げ強度が低いことがわかる。これは
長石を添加しなかったことによるものだと考えられる。
【0044】
【表1】 (実施例8)釜戸長石、吾妻長石、金丸長石、福島長石
及び中国長石の5種類の長石をそれぞれ用い、溶融シリ
カ焼結体を形成した。実施例1で用いた溶融シリカ粉末
に対して、長石を1重量%添加し、ボールミルにより1
時間程度分散させ混合物を得た。この5種類の混合物を
それぞれ実施例1と同様な方法、条件により成形体を成
形させた。なお、各長石の名称は、長石の産地を表した
ものである。
【0045】これらの成形体5種類の溶融シリカ焼結体
を実施例1と同様な方法により、かさ比重、見掛け気孔
率及び曲げ強度を測定した。その測定結果をまとめて示
すと、次の表2のような結果となった。
【0046】
【表2】 表2に示したように、長石の種類によって、かさ比重、
見掛け気孔率及び曲げ強度が影響されることはない。
【0047】さらに、前記実施形態より把握される技術
的思想について記載する。 ・ 溶融シリカ粉末の粒度は、90μm以下である請求
項1記載の溶融シリカ焼結体。
【0048】このようにした場合、緻密性を損なうこと
なく、機械的強度を低下させる原因になることもない。 ・ 焼成温度は、1200〜1300℃の範囲である請
求項2〜請求項5のいずれかに記載の溶融シリカ焼結体
の製造方法。
【0049】このようにした場合、十分な焼結効果が得
られ、クリストバライトの生成がなく、焼結体の強度が
低下することがない。
【0050】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
るため、次のような効果を奏する。請求項1の発明の溶
融シリカ焼結体によれば、曲げ強度などの機械的強度が
高く、焼結体表面の粒子の剥離を防止することができ、
従来と同等以上の緻密性を有し、溶融シリカ本来の性質
のひとつである熱間線膨張率を低くすることができる。
【0051】請求項2の発明の溶融シリカ焼結体製造方
法によれば、曲げ強度などの機械的強度が高く、焼結体
表面の粒子の剥離を防止することができ、従来と同等以
上の緻密性を有し、溶融シリカ本来の性質のひとつであ
る熱間線膨張率が低い溶融シリカ焼結体を容易に製造す
ることができる。
【0052】請求項3記載の発明の溶融シリカ焼結体の
製造方法によれば、請求項2記載の発明の効果に加え、
溶融シリカ粉末に対する、長石よりなる鉱物の添加量を
少量の添加量により溶融シリカ焼結体を容易に製造する
ことができる。
【0053】請求項4記載の発明の溶融シリカ焼結体の
製造方法によれば、請求項2又は請求項3記載の発明の
効果に加え、焼成雰囲気が大気雰囲気であることから、
専用炉を必要とせず、溶融シリカ焼結体を容易に製造す
ることができる。
【0054】請求項5に記載の発明の溶融シリカ焼結体
製造方法によれば、請求項2〜請求項4のいずれかに記
載の発明の効果に加え、溶融シリカ粉末の焼結により形
成された溶融シリカ粒子間に鉱物により形成されたガラ
ス層を形成することにより、焼結体表面の粒子の剥離を
防止し、耐食性や耐浸潤性を有する溶融シリカ本来の性
能も損なわれていない溶融シリカ焼結体を製造すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩田 宗之 岐阜県各務原市松本町2丁目457番地 菊 水化学工業 株式会社内 Fターム(参考) 4G014 AH21 4G030 AA03 AA04 AA36 AA37 BA20 BA24 BA25 BA33 HA15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融シリカ粉末に対して、長石よりなる
    鉱物を添加して混合物を調製し、この混合物を所定の形
    状に賦形して、焼成することにより得られる溶融シリカ
    焼結体。
  2. 【請求項2】 溶融シリカ粉末に対して、長石よりなる
    鉱物を添加して混合物を調製し、この混合物を所定の形
    状に賦形した後、焼成することを特徴とする溶融シリカ
    焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 溶融シリカ粉末に対する、長石よりなる
    鉱物の添加量は0.1〜10.0重量%であることを特
    徴とする請求項2に記載の溶融シリカ焼結体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記焼成時における雰囲気が大気雰囲気
    であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の
    溶融シリカ焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記焼成後に、溶融シリカ粉末の焼結に
    より形成された溶融シリカ粒子間に鉱物により形成され
    たガラス層を形成することを特徴とする請求項2〜請求
    項4のいずれかに記載の溶融シリカ焼結体の製造方法。
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