JP2001170945A - 熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法

Info

Publication number
JP2001170945A
JP2001170945A JP36073099A JP36073099A JP2001170945A JP 2001170945 A JP2001170945 A JP 2001170945A JP 36073099 A JP36073099 A JP 36073099A JP 36073099 A JP36073099 A JP 36073099A JP 2001170945 A JP2001170945 A JP 2001170945A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic resin
polystyrene
mold
cavity
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP36073099A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoru Funakoshi
覚 船越
Akio Uemura
明夫 植村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Polystyrene Inc
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Japan Polystyrene Inc
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Polystyrene Inc, Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Japan Polystyrene Inc
Priority to JP36073099A priority Critical patent/JP2001170945A/ja
Publication of JP2001170945A publication Critical patent/JP2001170945A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Molding Of Porous Articles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高倍率、高肉厚が可能で、しかもこのような場
合であっても粗大気泡や発泡層の割れ、ガス抜け等が生
じることなく、表面外観の良好な熱可塑性樹脂発泡成形
体を製造するための方法を開発する。。 【解決手段】雌雄一対からなる金型の金型キャビティ内
に発泡剤を含む溶融状熱可塑性樹脂を供給、充填した
後、金型の一部もしくは全部の金型キャビティを拡大
し、前記溶融状熱可塑性樹脂を発泡させて熱可塑性樹脂
発泡成形体を製造する方法において、前記熱可塑性樹脂
が汎用ポリスチレンまたはゴム変性ポリスチレンのうち
の1種のポリスチレンまたは2種以上のポリスチレンか
らなる樹脂組成物を主成分とし、該1種のポリスチレン
または2種以上のポリスチレンからなる樹脂組成物の2
00℃における溶融張力が17g以上であり、かつ20
0℃、荷重49NにおけるMFRが2g/10分以上で
ある熱可塑性樹脂を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリスチレンを主
成分とする熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、熱可塑性樹脂発泡成形体は自
動車内装部品、家電製品部品、建材などの分野に幅広く
利用されており、その製造方法としては、目的とする成
形品の容積よりも小さいキャビティ内に発泡剤含有の溶
融状の発泡性熱可塑性樹脂を射出し、射出完了後に金型
面に接する固化層と内部の溶融樹脂層が混在する状態ま
で冷却した後、キャビティ容積を目的とする成形品の容
積まで拡大する方法(特開平8−300391号公報)
や、発泡剤含有の溶融状の発泡性熱可塑性樹脂を射出中
または射出直後にキャビティの容積を縮小させて溶融し
た発泡性熱可塑性樹脂をキャビティ内に充填し、以後、
前述の方法と同様にして熱可塑性樹脂発泡成形品を得る
方法(特開平8−300392号公報)が知られてい
る。また、他の方法として、キャビティクリアランスを
1mm以下とした状態で発泡剤含有の溶融状の発泡性熱
可塑性樹脂の供給を開始し、該溶融状の発泡性熱可塑性
樹脂を供給しつつキャビティクリアランスを拡大し、発
泡性熱可塑性樹脂の供給中から供給完了後に至るまで加
圧を継続してキャビティ中に発泡性熱可塑性樹脂を充填
する手法も知られている(特公平7−77739号公
報)。
【0003】これらの方法によれば、表面には殆ど発泡
していない緻密なスキン層が、成形体内部には均一な発
泡層が形成され、また、外観に優れ、軽量、高強度の発
泡体を得ることが可能であるが、これらの方法はいずれ
もポリプロピレン系樹脂を中心とした発泡成形であり、
発泡倍率もせいぜい3倍、製品厚みも5mm程度であっ
て、より高倍率、高肉厚の発泡成形体を得ようとする
と、発泡層に粗大気泡を生じたり、破泡による発泡層の
割れやガス抜けを生じるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなことから、
本発明者らは、高倍率、高肉厚が可能で、しかもこのよ
うな場合であっても粗大気泡や、発泡層の割れ、ガス抜
けなどを生じることなく、表面外観の良好な熱可塑性樹
脂発泡成形体を製造すべく検討の結果、本発明に至っ
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、雌雄
一対からなる金型の金型キャビティ内に発泡剤を含む溶
融状熱可塑性樹脂を供給、充填した後、金型の一部もし
くは全部の金型キャビティを拡大し、前記溶融状熱可塑
性樹脂を発泡させて熱可塑性樹脂発泡成形体を製造する
方法において、前記熱可塑性樹脂が、汎用ポリスチレン
またはゴム変性ポリスチレンのうちの1種のポリスチレ
ンまたは2種以上のポリスチレンからなる樹脂組成物を
主成分とし、該1種のポリスチレンまたは2種以上のポ
リスチレンからなる樹脂組成物の200℃における溶融
張力が17g以上であり、かつ200℃、荷重49Nに
おけるMFRが2g/10分以上であることを特徴とす
る熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法を提供するもので
ある。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の方法について説明
する。
【0007】本発明の熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方
法においては、熱可塑性樹脂として、汎用ポリスチレン
またはゴム変性ポリスチレンのうちの1種のポリスチレ
ンまたは2種以上のポリスチレンからなる樹脂組成物を
主成分とし、該1種のポリスチレンまたは2種以上のポ
リスチレンからなる樹脂組成物は200℃における溶融
張力が17g以上であり、かつ200℃、荷重49Nに
おけるMFRが2g/10分以上である熱可塑性樹脂を
用いることが重要である。
【0008】ここで、ポリスチレン(PS)の種類とし
ては、いわゆる汎用ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレ
ンおよびこれらの混合物を用いることができ、これらの
ポリスチレンはフィラー、繊維などの充填剤などを適宜
含有していてもよい。
【0009】汎用ポリスチレンはGPPSとも呼ばれ、
通常はスチレンホモポリマーである。また、ゴム変性ポ
リスチレンはゴム状重合体の存在下にスチレン系モノマ
ーを重合して得られ、耐衝撃性ポリスチレン(HIP
S)とも呼ばれるものである。ゴム変性ポリスチレン
は、ポリスチレンのマトリックス相にゴム粒子が分散す
る「海−島」構造をとっており、このゴム粒子は、架橋
ゴム、オクルード(抱き込み)ポリスチレン、架橋ゴム
にグラフト共重合したポリスチレンより構成されてい
る。このようなポリスチレンの分子構造としては直鎖
型、分岐型およびこれらの混合型のいずれであってもよ
いが、発泡成形性の点からは分岐型の分子構造をもつポ
リスチレンを含有していることが好ましい。かかる分岐
型のポリスチレンは、スチレン系モノマーとジビニルベ
ンゼンなどの多官能性ビニルモノマーを共重合したり、
多官能反応開始剤、多官能連鎖移動剤などを使用してス
チレン系モノマーを重合することにより製造する事がで
きる。
【0010】本発明は、このようなポリスチレンまたは
ポリスチレン樹脂組成物を使用するものであるが、前記
したとおり、200℃における溶融張力が17gであ
り、かつ200℃、荷重49NにおけるMFRが2g/
10分以上の性質を有していることが必要である。ここ
で、200℃における溶融張力(MT)とは、200℃
において、L/D=8/2、押出速度が20mm/mi
n、引き取り速度が6.3m/minの測定条件におい
て得られる値である。
【0011】かかる溶融張力は、例えば東洋精機製作所
製のキャピログラフを用いて測定することができる。本
発明においては、溶融張力が低すぎると発泡倍率が高倍
率となった時に容易に発泡セルが破れる現象が生じるた
め、200℃における溶融張力が17g以上であること
が必要である。上限については特に制限はないが高すぎ
ると発泡セルの膨張が阻害される傾向にあるため、70
g以下であることが好ましい。より好ましくは溶融張力
が20〜60g、さらに好ましくは25〜60g、最も
好ましくは30〜60gである。
【0012】また、本発明に特定するMFRは、JIS
K7210に従い、200℃、荷重49Nにおいて測
定された値である。MFRは、その流動性および発泡性
に大きく影響し、それが低すぎると型内に充填された溶
融樹脂に大きな圧力分布が生じ、溶融樹脂の充填密度の
差により発泡状態が不均一となったり、発泡層が割れた
りするするため、2g/10分以上であることが必要で
ある。上限は特に制限はないが、100g/10分であ
ることが好ましい。
【0013】本発明で使用されるポリスチレンまたは2
種以上のポリスチレンからなる樹脂組成物は、Z平均分
子量における分岐点の数が1〜20、好ましくは2〜1
5のものであることが発泡成形性の点で好ましい。該分
岐点が過大な場合は流動性に劣るとともに成形体の外観
にも劣る。
【0014】ここで、Z平均分子量における分岐点の数
とは、ある分子量分布を有するポリスチレンの流動性を
低下させると考えられる高分子量成分を代表する分子鎖
中に含まれる分岐点の数に相当する概念であり、下記の
方法により求められる。すなわち、Z平均分子量におけ
る分岐点の数は、検出器として示差屈折率計および粘度
計を備えたゲル・パーミエーション・クロマトグラフ
(GPC)を用いて、粘度−GPC法により求めること
ができ、詳細は日本ゴム協会誌、第45巻、第2号、1
05〜118頁(1972年)に記載されている。分子
量Mにおける分岐点の数[Bn(M)]は下式により求め
る。 [IV(M)/IVL(M)]2/3={[1+Bn(M)
/7]1/2+4/9・Bn(M)}-1/2 ここで、IV(M)、IVL(M)は、それぞれ粘度−
GPC法によって測定した試料および標準試料としての
直鎖状ポリスチレンの分子量Mでの極限粘度である。従
ってZ平均分子量における分岐点の数は、分子量M=M
zの場合となる。
【0015】また本発明の熱可塑性樹脂として、前記ポ
リスチレンまたは2種以上のポリスチレンからなる樹脂
組成物100重量部に対して、スチレン−ブタジエンラ
ンダム共重合体またはスチレン−ブタジエンブロック共
重合体のうちの少なくとも1つを0〜20重量部添加し
た組成物を用いることもできる。該スチレン−ブタジエ
ンランダムあるいはブロック共重合体、あるいはこれら
の混合物を添加することにより発泡成形体の衝撃強度が
向上するが、20重量部を超えると発泡成形性に劣る。
【0016】このような特定の性質をもつポリスチレン
とともに使用される発泡剤は、従来より公知の発泡剤が
適用され、特に制限されるものではないが、金型を腐食
させ難いことから重曹等を主成分とする無機系発泡剤が
好適に使用される。このような発泡剤は、ポリスチレン
との溶融混練時にそのまま添加、配合してもよいが、一
般的にはこれら発泡剤をその含量が20〜80重量%に
なるように熱可塑性樹脂に練り込んだマスタ−バッチと
して使用される。
【0017】これらマスタ−バッチの種類や使用量は所
望の発泡倍率、製品形状や外観等によって適宜選択さ
れ、例えば、3〜5倍程度の発泡倍率を得ようとする場
合には、発泡剤含量が0.5〜5重量%となるように熱
可塑性樹脂に配合される。このような発泡剤のマスタ−
バッチとしては、例えばセルマイクM−326(三協化
成社製)が例示され、マスタ−バッチとして樹脂中に1
〜15重量%程度混合される。
【0018】次に、このようなポリスチレンを主成分と
する熱可塑性樹脂を用いた熱可塑性樹脂発泡成形体の製
造方法について説明する。本発明の製造方法は、その方
法自体については特に限定されず、従来より公知の、雌
雄一対からなる金型の金型キャビティ内に発泡剤を含む
溶融状熱可塑性樹脂を供給、充填した後、金型の一部も
しくは全部の金型キャビティを拡大し、前記溶融状熱可
塑性樹脂を発泡させて熱可塑性樹脂発泡成形体を製造す
る一般的な方法がそのまま適用される。
【0019】以下に、その代表的な方法について述べ
る。図1は本発明の方法に使用する金型の例をその概略
断面図で示したものである。この金型は、雄型(4)お
よび雌型(5)の雌雄一対からなり、両金型は通常その
いずれか一方がプレス装置等の型締め装置に接続され、
他方は固定されて縦方向または横方向に両金型が開閉可
能となっている。図では、雄型(4)が固定され、雌型
(5)がプレス装置(図示せず)に接続されて、両金型
が縦方向に開閉するようになっている。
【0020】金型キャビティ内への溶融状熱可塑性樹脂
(10)の供給方法は任意であるが、一般的には金型内
に設けた樹脂供給路(6)を介して樹脂供給装置(7)
と結ばれた樹脂供給口(8)を雌雄いずれかもしくは両
方の金型の成形面に設け、該樹脂供給口からキャビティ
内に溶融状熱可塑性樹脂を供給する方法が好ましい。こ
の場合、樹脂供給口(8)近傍の樹脂供給路(6)には
任意に制御可能な開閉弁を設け、射出機等の樹脂供給装
置(7)に貯えられた溶融状熱可塑性樹脂の供給、停止
が任意に制御できるようになっていてもよい。
【0021】金型キャビティ内への溶融状熱可塑性樹脂
の充填は、両金型を閉じた状態での射出充填による方法
であってもよいし、開放状態にある両金型間に溶融状熱
可塑性樹脂を供給したのち両金型の型締め動作によって
充填してもよく、その方法は、所望とする製品形態等に
よって適宜選択される。
【0022】いずれの方法においても、供給する溶融状
熱可塑性樹脂の温度も重要であり、その温度は樹脂にも
よるが、一般には170〜260℃程度、好ましくは2
10〜230℃程度である。
【0023】前者の射出充填法により金型キャビティ内
に溶融状熱可塑性樹脂を充填する方法としては、発泡前
の成形体厚みより小さいキャビティクリアランスになる
ように両金型を位置させた状態で、溶融状熱可塑性樹脂
(10)の供給を開始し(図2)、溶融状熱可塑性樹脂
の供給を行ないつつ金型を開いて、溶融状熱可塑性樹脂
の供給が完了すると同時にキャビティクリアランスが発
泡前の成形体厚みと一致するようにキャビティ内に充填
する(図3)方法や、発泡前の成形体厚みと同じキャビ
ティクリアランスになるように両金型を位置させた状態
で溶融状熱可塑性樹脂を供給してキャビティないに供給
する方法が挙げられる。
【0024】発泡前の成形体厚みより小さいキャビティ
クリアランスになるように両金型を位置させた状態で、
溶融状熱可塑性樹脂(10)の供給を開始する場合、供
給開始時のキャビティクリアランスはそのときのキャビ
ティ容積が所要量の溶融状熱可塑性樹脂の発泡前の容積
に対して通常5容量%以上、100容量%未満となる範
囲である。
【0025】このような状態で溶融状熱可塑性樹脂の供
給を開始すると、溶融状熱可塑性樹脂の供給が進むにつ
れてキャビティクリアランスは拡大され、所要量の溶融
状熱可塑性樹脂の供給が完了した時点で、供給した溶融
状熱可塑性樹脂の容積とキャビティ容積が略等しくな
り、キャビティ内に溶融状熱可塑性樹脂が充填される。
【0026】このとき、キャビティクリアランスの拡大
は、拡大量を制御しながら金型に取り付けたプレス装置
などによって積極的に行なってもよいし、供給する溶融
状熱可塑性樹脂の供給圧力を利用して拡大してもよい
が、この際に樹脂にかかる圧力が1〜10MPa程度と
なるようにキャビティクリアランスの拡大を制御するこ
とが望ましい。また、キャビティクリアランスの拡大過
程では、キャビティ容積が供給された溶融状熱可塑性樹
脂の容量よりも大きくならないように注意する必要があ
るが、瞬間的ないしは極めて短時間であれば、多少大き
くなっても特に問題とならない。
【0027】後者の、発泡前の成形体厚みと同じキャビ
ティクリアランスになるように両金型を位置させた状態
で溶融状熱可塑性樹脂(10)を供給してキャビティ内
に充填する場合には、通常の射出成形における場合と同
様に、溶融状熱可塑性樹脂の供給開始から供給完了まで
キャビティクリアランスを発泡前の成形体厚みと同じに
なるように保持しておけばよい。
【0028】両金型の型締め動作により溶融状熱可塑性
樹脂をキャビティ内に充填する方法としては、キャビテ
ィクリアランスが発泡前の成形体厚み以上になるように
両金型を開放した状態で所要量の溶融状熱可塑性樹脂を
供給し(図4)し、この状態で溶融状熱可塑性樹脂を供
給した後または供給完了と同時にキャビティクリアラン
スが発泡前の成形体厚みと同じになるように型締めして
充填する(図3)方法や、キャビティクリアランスが発
泡前の成形体厚み以上になるように両金型を開放した状
態で溶融状熱可塑性樹脂の供給を開始し、溶融状熱可塑
性樹脂を供給しつつ型締めを開始して、溶融状熱可塑性
樹脂の供給と型締めを平行して行ないつつ溶融状熱可塑
性樹脂の供給完了と同時または供給完了後にキャビティ
クリアランスが発泡前の成形体厚みと同じになるように
してもよい。
【0029】このような方法により溶融状熱可塑性樹脂
が充填された金型キャビティは、殆ど空隙が存在しない
状態にある。この状態で、金型成形面に接する溶融状熱
可塑性樹脂表面にスキン層(1)を形成せしめるが、一
般に金型温度は使用する熱可塑性樹脂の融点よりも低い
温度に設定されているため、この状態を保持して冷却を
行なうと、供給された溶融状熱可塑性樹脂は金型成形面
に接する表面部分より固化しはじめ、やがて空隙の殆ど
ないスキン層(1)が形成される。
【0030】このときの冷却時間、すなわち溶融状熱可
塑性樹脂がキャビティ内に充填されてから次工程の金型
を開放するまでの時間はスキン層の形成に大きく影響
し、冷却時間が長くなるほどスキン層が厚く形成され
る。しかし、スキン層が厚すぎると次工程での発泡が不
十分となって所望の発泡倍率の成形体が得られにくく、
またスキン層が薄すぎても製品の外観が損なわれ易いた
めに、所望のスキン層厚みになるように冷却される。こ
のための冷却時間は、金型温度、溶融状熱可塑性樹脂の
温度、樹脂の種類等の諸条件によって変わるが、通常
0.1〜20秒程度である。
【0031】所定のスキン層が形成された後、金型キャ
ビティを成形体の厚み方向に開放すると、供給された溶
融状熱可塑性樹脂の未固化部分に閉じ込められていた発
泡剤の分解により発生した発泡ガスが膨張し、全体とし
て金型の開き方向、すなわち厚み方向に厚みを増す。
(図5) このとき、発泡ガスの膨張により溶融状熱可塑性樹脂中
に気泡が形成され、気泡の膨張とともに溶融状熱可塑性
樹脂は伸長するが、その伸長とともに熱可塑性樹脂の粘
度が急上昇する。分岐状の分子構造をもつポリスチレン
は気泡の膨張とともに伸長するが、ある程度伸長すると
急激に歪硬化性を示し、ポリスチレンの粘度が急上昇す
る。このため、発泡初期には気泡の成長が進み、十分に
発泡した後には粘度が急激に高くなるため、気泡が破れ
ることなく発泡体を製造することができる。従って、ポ
リスチレンとしてかかる分岐ポリスチレンを使用するこ
とは本発明の方法において好適である。
【0032】キャビティクリアランスが発泡後の最終成
形体厚みになった時点で金型の開放動作を停止し、キャ
ビティクリアランスをこの厚みに保持しつつ、成形体を
冷却する。このとき、キャビティクリアランスを一旦最
終成形体厚みより大きくなるように金型を開放し、熱可
塑性樹脂の発泡層の一部がまだ溶融状態にある間に最終
成形体厚みになるまで型締めしてもよい。この場合に
は、発泡成形体表面と金型成形面との密着性をよりよく
することができ、金型形状をより忠実に再現するととも
に、冷却効率を上げることもできる。このときの型締め
動作は、機械的に制御してもよいし、両金型が上下方向
に開放される場合には上型の自重によりキャビティを縮
小してもよい。
【0033】冷却が完了した後、金型を完全に開放し、
最終成形体である熱可塑性樹脂発泡成形体を金型より取
り出せば(図6)、図7にその断面が例示されるような
表面に緻密なスキン層を有し、その内部に発泡層(2)
を有する熱可塑性樹脂発泡成形体(9)を得ることがで
きる。
【0034】また、予め金型内の所望の位置にシートや
フィルム等の表皮材(3)を供給した後、上記したよう
な方法で成形することにより、図8にその断面が例示さ
れるような成形体表面の一部または全部にシートやフィ
ルム等の表皮材を貼合した表皮材貼合の熱可塑性樹脂発
泡成形体を製造することができる。
【0035】以上、金型キャビティ内に溶融状熱可塑性
樹脂を充填した後、金型キャビティの全部を開放する手
法について説明したが、成形体中の所望の部分について
のみ発泡部分を有する成形体を得ようとする場合には、
発泡層を形成する部分のキャビティを部分的に拡大でき
るような、例えばコア構造の金型構造とし、この部分に
ついて油圧シリンダー等を用いた通常の方法によりキャ
ビティの拡大が制御できるようにしておけばよい。
【0036】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例によって限定される
ものではない。尚、この例においては図1に例示される
ような断面をもつ金型を使用し、その金型は600mm
×900mmの平面状の金型成形面を有し、また、その
成形面の中央部には樹脂供給口が設けられており、該樹
脂供給口は樹脂供給路を通じてインライン式の射出機に
接続されている。
【0037】実施例1 熱可塑性樹脂として、次の方法でポリスチレンを重合し
た。スチレン97重量%、エチルベンゼン3重量%の溶
液に、ジビニルベンゼンをスチレンに対して170重量
ppm添加して調整した溶液を連続バルク重合反応槽に
連続的に供給し、146℃で最終転化率60重量%にな
るまで重合し、重合混合液を290℃の真空脱気槽を通
し、未反応モノマーを除去することによりポリスチレン
を得た。得られたポリスチレンのMFRは2.4g/1
0分、溶融張力は32.0g、Z平均分子量における分
岐点の数は3.4であった。これに発泡剤のマスターバ
ッチであるセルマイクM−326(三協化成株式会社)
をポリスチレン樹脂100重量部あたり5重量部添加
し、射出機で230℃で溶融混練した。金型のキャビテ
ィクリアランスが2.5mmの状態で、キャビティ内へ
の前記溶融状熱可塑性樹脂の供給を開始し(図2)、そ
の後、溶融状熱可塑性樹脂の供給圧力によりキャビティ
クリアランスを拡大しながら溶融状熱可塑性樹脂の供給
を行なってキャビティ内に充填し、ほぼキャビティクリ
アランスが5mmとなるところでその供給を完了した
(図3)。ついで、400Tで3秒間加圧した後、両金
型をわずかに開放し、キャビティクリアランスが25m
mとなる位置で金型の開放を停止した。(図5) この状態を180秒間保持してキャビティ内の発泡成形
体を冷却したのち金型を開放し、断面形状が図7に示さ
れるような熱可塑性樹脂発泡成形体を得た。(図6) 得られた成形体の発泡倍率は5倍であって、均一な発泡
層を有し、表面外観も良好であった。
【0038】実施例2 熱可塑性樹脂として、実施例1で使用したと同じポリス
チレン95重量%とジェイエスア−ル株式会社製スチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体TR2000(スチレ
ン含量40重量%、ブタジエン含量60重量%)5重量
%からなる混合物を使用し、樹脂充填後にキャビティク
リアランスが20mmのところで開放を停止すること以
外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂発泡成形体を得
た。得られた成形体の発泡倍率は4倍であって、均一な
発泡層を有し、表面外観も良好であった。
【0039】比較例1 熱可塑性樹脂として、日本ポリスチレン株式会社製のポ
リスチレンである日本ポリスチG897(MFR=1.
2g/10min、溶融張力=28.5<18>g、Z
平均分子量における分岐点の数=0)を用いること以外
は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂発泡成形体を得
た。成形時の流動性が悪く、得られた成形体は流動末端
付近で発泡層の割れが生じていた。
【0040】比較例2 熱可塑性樹脂として、日本ポリスチレン株式会社製のポ
リスチレンである日本ポリスチG590(MFR=3g
/10min、溶融張力=14.9g、Z平均分子量に
おける分岐点の数=0)を用いること以外は実施例1と
同様にして熱可塑性樹脂発泡成形体を得た。得られた成
形体は、全体に粗大気泡が観られ、また部分的に発泡層
の割れが発生していた。
【0041】
【発明の効果】本発明の方法によれば、高倍率、高肉厚
が可能で、しかも、このような場合であっても、粗大気
泡や発泡層の割れ、ガス抜け等が生じることなく、表面
外観の良好な熱可塑性樹脂発泡成形体を製造することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法で使用される金型例をその概略断
面図で示したものである。
【図2】本発明の方法における製造工程を金型の概略断
面図で示したものである。
【図3】本発明の方法における製造工程を金型の概略断
面図で示したものである。
【図4】本発明の方法における製造工程を金型の概略断
面図で示したものである。
【図5】本発明の方法における製造工程を金型の概略断
面図で示したものである。
【図6】本発明の方法における製造工程を金型の概略断
面図で示したものである。
【図7】本発明の方法で製造される熱可塑性樹脂発泡成
形体の例をその断面図で示したものである。
【図8】本発明の方法で製造される表皮材貼合の熱可塑
性樹脂発泡成形体の例をその断面図で示したものであ
る。
【符号の説明】
1:スキン層 2:発泡層 3:表皮材 4:雄型 5:雌型 6:樹脂供給路 7:樹脂供給装置 8:樹脂供給口 9:熱可塑性樹脂発泡成形体 10:溶融状熱可塑性樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 105:04 B29K 105:04 C08L 25:04 C08L 25:04 25:10 25:10 53:02 53:02 (72)発明者 植村 明夫 大阪府高石市高砂1丁目6番地 日本ポリ スチレン株式会社内 Fターム(参考) 4F074 AA32 AA98 AB00 AB01 AB05 BA03 CA23 CA26 CC22X CC23X CC62 DA02 DA32 DA35 DA47 4F204 AA13 AA13J AA47F AA47H AG20 AM32 EA01 EF01 EK07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】雌雄一対からなる金型の金型キャビティ内
    に発泡剤を含む溶融状熱可塑性樹脂を供給、充填した
    後、金型の一部もしくは全部の金型キャビティを拡大
    し、前記溶融状熱可塑性樹脂を発泡させて熱可塑性樹脂
    発泡成形体を製造する方法において、前記熱可塑性樹脂
    が汎用ポリスチレンまたはゴム変性ポリスチレンのうち
    の1種のポリスチレンまたは2種以上のポリスチレンか
    らなる樹脂組成物を主成分とし、該1種のポリスチレン
    または2種以上のポリスチレンからなる樹脂組成物の2
    00℃における溶融張力が17g以上であり、かつ20
    0℃、荷重49NにおけるMFRが2g/10分以上で
    あることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】1種のポリスチレンまたは2種以上のポリ
    スチレンからなる樹脂組成物のZ平均分子量における分
    岐点の数が1〜20である請求項1に記載の熱可塑性樹
    脂発泡成形体の製造方法。
  3. 【請求項3】熱可塑性樹脂が、請求項1または2に記載
    の1種のポリスチレンまたは2種以上のポリスチレンか
    らなる樹脂組成物100重量部に対して、スチレン−ブ
    タジエンランダム共重合体またはスチレン−ブタジエン
    ブロック共重合体のうちの少なくとも1種を0〜20重
    量部添加した組成物である請求項1に記載の熱可塑性樹
    脂発泡成形体の製造方法
  4. 【請求項4】金型キャビティ内に溶融状熱可塑性樹脂を
    供給、充填した後、金型キャビティを最終製品厚み以上
    に拡大した後、最終製品厚みまでキャビティを縮小する
    請求項1記載の熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法。
JP36073099A 1999-12-20 1999-12-20 熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法 Pending JP2001170945A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36073099A JP2001170945A (ja) 1999-12-20 1999-12-20 熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36073099A JP2001170945A (ja) 1999-12-20 1999-12-20 熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001170945A true JP2001170945A (ja) 2001-06-26

Family

ID=18470674

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36073099A Pending JP2001170945A (ja) 1999-12-20 1999-12-20 熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001170945A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006199879A (ja) * 2005-01-21 2006-08-03 Jsp Corp ポリカーボネート系樹脂押出発泡体の製造方法及びポリカーボネート系樹脂押出発泡体
JP2007002265A (ja) * 2002-05-08 2007-01-11 Hitachi Chem Co Ltd スチレン系発泡性樹脂粒子、発泡ビーズ及び発泡成形品
JP2017217833A (ja) * 2016-06-08 2017-12-14 株式会社プライムポリマー 射出発泡成形方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007002265A (ja) * 2002-05-08 2007-01-11 Hitachi Chem Co Ltd スチレン系発泡性樹脂粒子、発泡ビーズ及び発泡成形品
JP2006199879A (ja) * 2005-01-21 2006-08-03 Jsp Corp ポリカーボネート系樹脂押出発泡体の製造方法及びポリカーボネート系樹脂押出発泡体
JP2017217833A (ja) * 2016-06-08 2017-12-14 株式会社プライムポリマー 射出発泡成形方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2161298B1 (en) Polypropylene resin foam particle and molding thereof
JP5107692B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、及びその発泡粒子成形体
JP5881164B2 (ja) 表皮被覆発泡成形体の製造方法
MX2010010331A (es) Articulos termoplasticos moldeados.
JP2001322433A (ja) 熱可塑性樹脂自動車内装用発泡成形体
CN114341237B (zh) 聚丙烯系树脂发泡颗粒、其制造方法及聚丙烯系树脂发泡成型体
JPH1058573A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂発泡成形体およびその製造方法
EP3390510B1 (en) Process for producing foam molded parts with aesthetic surfaces by foam injection molding
CN110709222A (zh) 使用丙烯系聚合物制造低比重成型泡沫的方法
CN107107409B (zh) 聚丙烯系发泡成型体和聚丙烯系发泡成型体的制造方法
JP5553983B2 (ja) スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子および該樹脂粒子より得られる予備発泡粒子
MX2010010481A (es) Metodo para la fabricacion de un articulo de nucleo espumado clase "a".
JP2002120252A (ja) 発泡成形品および製造方法
JP3858517B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子、およびその予備発泡粒子と型内発泡成形体の製造法
JP2001170945A (ja) 熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法
JP5324027B2 (ja) スチレン改質熱可塑性ポリウレタン樹脂粒子、発泡性スチレン改質熱可塑性ポリウレタン樹脂粒子、スチレン改質熱可塑性ポリウレタン樹脂発泡粒子、スチレン改質熱可塑性ポリウレタン樹脂発泡成形体及びそれらの製造方法
US6607682B1 (en) Pre-expanded polypropylene resin beads and process for producing molded object therefrom by in-mold foaming
CN115427487A (zh) 聚丙烯系树脂发泡珠粒和聚丙烯系树脂发泡珠粒模制品
JPH0347297B2 (ja)
JP7129886B2 (ja) オレフィン系熱可塑性エラストマー架橋発泡粒子、及びオレフィン系熱可塑性エラストマー架橋発泡粒子成形体
JP3597260B2 (ja) 積層体
JP5055664B2 (ja) 射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物
JP2003268145A (ja) 射出発泡成形用オレフィン系樹脂組成物およびそれからなる射出発泡成形体
JP4101379B2 (ja) ゴム変性スチレン系樹脂発泡成形体
JP3146004B2 (ja) オレフィン系合成樹脂発泡成形体の製造方法