JP2001170795A - サブマージアーク溶接用焼成型フラックスおよびその製造方法ならびにサブマージアークすみ肉溶接方法 - Google Patents
サブマージアーク溶接用焼成型フラックスおよびその製造方法ならびにサブマージアークすみ肉溶接方法Info
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Abstract
合に、良好な溶接金属部靱性と作業性が得られるサブマ
ージアーク溶接用焼成型フラックスとその製造方法なら
びにこのフラックスを用いる溶接方法を提案する 【解決手段】 一酸化マンガン:2〜20%、金属粉:
2〜10%を含む配合原料を混合した後、造粒して、焼成
し、SiO2:20〜60%、MgO:10〜40%、Al2O3:5
〜25%、CaF2:1〜10%、CaO:2〜20%、MnO:2
〜20%、CO2:2〜20%を含有する焼成型フラックス
とする。また、このフラックスと、C:0.08%以下、S
i:0.15%以下、Mn:1.20〜2.50%、Ti:0.03〜0.13%
を含み、あるいはさらにMo:0.30%以下を含有し、残部
は実質的にFeからなる溶接ワイヤと組み合わせてサブマ
ージアーク溶接を行う。
Description
接に用いて好適なサブマージアーク溶接用焼成型フラッ
クスとその製造方法およびこのフラックスを用いて行う
サブマージアークすみ肉溶接方法に関し、特にビルドH
と呼ばれる溶接H形鋼の高能率すみ肉溶接に適用した場
合に、優れた靱性と作業性を発揮しうる技術に関する。
される鋼材の厚さも次第に増加する傾向にある。例え
ば、柱として使用される、いわゆるボックス柱では100
mm厚さのものもあり、また、梁として使用されるビル
トHと言われる溶接H形鋼の鋼板厚さも同様に厚くなっ
てきている。こうした鋼板の厚肉化にともない、これを
溶接するためには多大の時間が必要となり、溶接能率を
向上させることが大きな課題として浮上してきた。とこ
ろで、厚鋼板の高能率溶接についてはこれまでにも多く
の方法が提案されており、特公平8−9099号公報、特開
平8−99191 号公報には高能率すみ肉溶接の技術が提案
されている。前記特公平8−9099号公報には、成分とか
さ比重を規制した焼成型フラックスと所定の成分のワイ
ヤを用いて、開先加工なしでウエブ厚が16〜60mmの厚
肉T型の組み立て鋼材を2電極サブマージアークすみ肉
溶接する方法が開示されている。また、特開平8−9919
1 号公報には、厚鋼板でも1パス施工が可能な大入熱サ
ブマージアーク溶接において、良好な溶接作業性(スラ
グ剥離性とビード形状)を有するフラックスが開示され
ている。
の従来方法では、大入熱の溶接で得られる溶接金属の靱
性が鋼板によっては十分に得られない(例えば、120
kJ/cmの入熱量で vE0 :27J以下)という問題
あることが明らかとなってきた。そこで、本発明は上記
問題の解決を目的とし、厚鋼板を高能率な大入熱すみ肉
溶接した場合に、良好な溶接金属部靱性が得られるサブ
マージアーク溶接用焼成型フラックスとその製造方法な
らびにこのフラックスを用いる溶接方法を提案すること
にある。具体的には、ウエブ材として16〜60mmの厚鋼
板を用いて、入熱量120kJ/cmの大入熱溶接を行
ったとき、 vE0 :27J以上が得られるサブマージア
ーク溶接用焼成型フラックスとその製造方法ならびにこ
のフラックスを用いる溶接方法を提案することを目的と
する。
を解決すべく、各種の調査および実験、検討を重ねた結
果、厚鋼板を効率のよい大入熱すみ肉溶接して得られた
溶接金属の靱性値は、溶接金属の微細組織、ひいては溶
接金属に生成する島状マルテンサイトの影響を受けるこ
と、靱性劣化の要因となる微細組織の粗大化を抑制し、
島状マルテンサイトの生成を抑制するような溶接材料を
用いれば、靱性を大幅に改善できることを知見した。本
発明は、上記知見に立脚するものであり、その要旨構成
は次のとおりである。
略記)、SiO2:20〜60%、MgO:10〜40%、Al
2O3:5〜25%、CaF2:1〜10、CaO:2〜20%、
MnO:2〜20%、CO2:2〜20%を含有するフラック
スであって、このフラックスは焼成前の混合原料中に、
一酸化マンガン:2〜20%、金属粉:2〜10%を配合し
て焼成したものであることを特徴とするサブマージアー
ク溶接用焼成型フラックス。
l2O3:5〜25%、CaF2:1〜10、CaO:2〜20
%、MnO:2〜20%、CO2:2〜20%を含み、さらに
TiO2:5%以下、B2O3:0.1 〜1.5 %のうちの少
なくとも1種を含有するフラックスであって、このフラ
ックスは焼成前の混合原料中に、一酸化マンガン:2〜
20%、金属粉:2〜10%を配合して焼成したものである
ことを特徴とするサブマージアーク溶接用焼成型フラッ
クス。
2〜10%を含む配合原料を混合した後、造粒して、焼成
し、SiO2:20〜60%、MgO:10〜40%、Al2O3:5
〜25%、CaF2:1〜10%、CaO:2〜20%、MnO:2
〜20%、CO2:2〜20%を含有する成分組成とするこ
とを特徴とするサブマージアーク溶接用焼成型フラック
スの製造方法。
2〜10%を含む配合原料を混合した後、造粒して、焼成
し、SiO2:20〜60%、MgO:10〜40%、Al2O3:5
〜25%、CaF2:1〜10%、CaO:2〜20%、MnO:2
〜20%、CO2:2〜20%を含み、さらにTiO2:5%
以下、B2O3:0.1 〜1.5 %のうちの少なくとも1種
を含有する成分組成とすることを特徴とするサブマージ
アーク溶接用焼成型フラックスの製造方法。
5%以下、Mn:1.20〜2.60%、Ti:0.03〜0.13%を含
み、あるいはさらにMo:0.30%以下を含有し、残部は実
質的にFeからなり、かつ線径が4.0 〜6.4 mmである溶
接ワイヤと、請求項1または2に記載のフラックスとを
用いて溶接することを特徴とする厚鋼板のサブマージア
ークすみ肉溶接方法。
mとして溶接することを特徴とする上記 (5)に記載の厚
鋼板のサブマージアークすみ肉溶接方法。
下、Si:0.70%以下、Mn:1.80%以下、Ti:0.005 〜0.
020 %、B:0.0030%以下を含有し、残部は実質的にFe
の成分組成とすることを特徴とする上記 (5)又は (6)に
記載の厚鋼板のサブマージアークすみ肉溶接方法。
0.13%以下、Si:0.70%以下、Mn:1.80%以下、Ti:0.
005 〜0.020 %、B:0.0030%以下、Mo:0.050 〜0.25
0 %を含有し、残部は実質的にFeからなるものとするこ
とを特徴とする上記 (5)又は (6)に記載の厚鋼板のサブ
マージアークすみ肉溶接方法。
詳しく説明する。発明者等は、厚鋼板の大入熱すみ肉サ
ブマージアーク溶接によって得られる溶接金属の靱性に
ついて詳細に調べたところ、鋼板が特定の成分としてTi
を含んでいないときに溶接金属の組織が粗大化して低靱
性となること、また低靱性の溶接金属には島状マルテン
サイトが生成していることを知見した。そして、大入熱
サブマージアーク溶接した溶接金属の靱性を安定的に向
上させるには、フラックスの成分組成だけでなく、その
配合原料にも配慮することが重要であり、かかるフラッ
クスと適正な溶接ワイヤとを組み合わせて溶接すること
が肝要であることを見いだしたのである。次に、本発明
を上記要旨構成の範囲に限定した理由について説明す
る。
があるので、ビード外観を良好に保つための基本造滓剤
として添加する。SiO2量が20%未満ではその効果が少
ない。一方、60%を超えて多量に含まれると粘性が高く
なりすぎてかえってビード外観が乱れやすくなる。よっ
て、SiO2量は20〜60%の範囲とする。
性を改善するとともにフラックスの塩基度を高めて、溶
接金属の酸素量を低減して靱性を向上させるのに有効な
成分である。MgO含有量が10%未満では十分な効果が得
られず、一方、40%を超えると融点が上昇し過ぎてビー
ド外観が劣化する傾向が現れる。このため、MgOは10〜
40%の範囲で含有させる。
あるが、5%未満の含有量ではこれらの効果に乏しく、
一方25%を超えて含有させると融点が上昇しすぎてビー
ド形状の劣化を招く。よって、Al2O3含有量は5〜25
%の範囲とする。
ある。CaF2含有量が1%未満ではその効果に乏しく、
一方、10%を超えるとスラグが流動し易くなるため、Ca
F2の量は1〜10%の範囲とする。
とともに、フラックスの塩基度を高める成分として必要
である。なお、CaOはフラックス中にCaCO3 として存
在させると、溶接時のガス源としても有効に働くため好
ましい。CaO含有量が2%未満ではその効果に乏しく、
一方20%を超えるとスラグの流動性が阻害されてビード
形状が劣化する。このため、フラックス中にはCaO換算
(CaF 2のCaは除いて換算)で2〜20%の範囲で含有さ
せる。
ン:2〜20% Mn酸化物は、スラグの粘性及び凝固温度を調整するため
に必要な成分である。また、このMn酸化物(フラックス
中MnOに換算して表す成分)をフラックス原料中に添加
するときに、一酸化マンガンとしてとして添加すること
が、大入熱すみ肉溶接の靱性を改善する上で極めて重要
な役割を果たす。従来、フラックス原料に添加されるMn
酸化物としては、一酸化マンガン(MnO)、二酸化マン
ガン(MnO2)、四酸化三マンガン(Mn3O4)などの
種々の形態で配合されていた。通常、フラックス原料
は、配合、混合された後、水ガラスなどの結合剤ととも
に混練され、造粒後、 400〜600 ℃で焼成される。この
一連の工程をへて製造したフラックスにおいて、原料と
して添加した一酸化マンガンは酸化されて一部は四酸化
三マンガンとなるものの、その多くは添加した原料のま
まの形態でフラックス中に存在すると考えられる。
酸化物原料として一酸化マンガンを使用すると、二酸化
マンガン、四酸化三マンガンなどの一酸化マンガン以外
の酸化物を原料とした場合に比べ、大入熱のすみ肉溶接
金属の靱性が大きく改善される。すなわち、二酸化マン
ガン、四酸化三マンガンなどの一酸化マンガン以外の酸
化物を原料とした場合には、溶接金属組織が粗大化し、
島状マルテンサイトを生成しやすいが、一酸化マンガン
を原料として用いると、溶接金属が微細となり、島状マ
ルテンサイトの形成も抑制され、良好な靭性が得られ
る。また、大入熱のすみ肉溶接時に、一酸化マンガン以
外の前記酸化物を原料として製造したフラックスでは、
ポックマークの発生頻度が増加するのに対して、一酸化
マンガンを原料として用いればこの問題も解決できると
いう利点もある。
すると、上述したような効果が得られる。このような効
果は原料中での一酸化マンガンの量を2〜20%とするこ
とにより得られる。また、この原料を配合して製造した
フラックス中のMn酸化物量は、MnOに換算して2〜20%
とすることも必要である。というのは、MnO換算でのMn
酸化物量が2%未満ではフラックスの軟化温度の低下が
不十分となり、一方20%を超えると、溶接スラグ表面に
ポックマークが発生し、溶接スラグが脆くなりスラグの
剥離性が低下するなどの溶接作業性が低下するからであ
る。
し、溶接時の溶接金属中への水素の侵入を低下させるた
めに有効である。ガス量がCO2換算で2%未満ではC
O2によるシールド効果に乏しく、一方20%を超えると
ビード形状の劣化を招くので、CO2換算のガス量は2
〜20%の範囲とする。
役割を果たす金属粉を2〜10%添加する必要がある。金
属粉の添加量が2%未満では溶接金属の靱性を確保する
ことが難しいだけでなく、ポックマークが発生しやすく
なる。一方、10%を超えて添加すると酸素量が低くなり
すぎて焼きが入る(アシキュラーフェライト主体の組織
が、ベイナイトもしくはマルテンサイト主体の組織とな
る)ため、かえって靱性を低下する。従って、金属粉の
含有量は2〜10%の範囲とする。金属粉としては、鉄
粉、フェロマンガン、フェロシリコン、フェロモリブデ
ン、Ti、フェロチタン(以下、Fe−Tiと記す)などが使
用される。このうち、TiあるいはFe−Tiを合計量で0.2
%以上添加すると、溶接金属中にTiを含有させることが
でき、一酸化マンガンの添加靱性向上の効果を一層高め
ることができる。この場合、TiあるいはFe−Tiの合計量
が0.5 %を超えると、溶接スラグの剥離不良が発生し、
溶接作業性を低下させるので、TiあるいはFe−Tiを添加
する場合には、0.5 %以下の範囲とするのが望ましい。
また、フェロモリブデンを用いると、溶接金属中にMoを
含有させることができ、靱性向上の効果を一層高めるこ
とができる。
O2:5%以下、B2O3:0.1 〜1.5%のうちの1種
以上を添加することができる。TiO2は、靱性を改善す
る効果を有している。TiO2は、アーク安定性を高める
という効果もある。原料中に一酸化マンガンを含有させ
たうえで、TiO2を添加、好ましくは1%以上添加する
ことにより、さらなる靱性向上が期待される。ただし、
5%を超えて添加すると、スラグ剥離性が低下するの
で、5%以下の範囲で添加する。B2O3も、溶接中の
還元反応により、Bが溶接金属中に移行して溶接金属の
靱性改善に寄与する。このような効果は0.1 %未満では
得られず、1.5 %を超えて添加すると溶接金属の凝固割
れを助長する。よって、B2O3は0.1 〜1.5 %の範囲
で添加する。
て、結合剤と共に混練したのち、造粒し、焼成する。造
粒法はとくに限定しないが、転動式造粒機、押し出し式
造粒機などを用いるのが好ましい。造粒したのち、ダス
ト除去、粗大粒の解砕などの整粒処理を行って、粒子径
を2.5 mm以下の大きさの粒子にするのが望ましい。な
お、結合剤(バインダ)としては、ポリビニルアルコー
ルなどの水溶液、水ガラスが好適である。なかでも、従
来から用いられているSiO2とNa2Oのモル比:1〜5
の珪酸ソーダ(水ガラス)で十分である。また、使用量
はフラックス原料1kgあたり100 〜300 cc程度でよい。
また、造粒後の焼成は400 〜650 ℃の温度で行うのが好
ましい。というのは、焼成温度が400 ℃に満たないと、
結合剤(バインダ)より持ち込まれる水分の乾燥が不十
分となり、溶接金属中の拡散性水素の増加を招き、一
方、焼成温度が650 ℃を超えると、フラックス中の炭酸
塩が分解し、CO2によるシールド効果が得られなくな
るからである。焼成はロータリーキルン、定置式バッチ
炉、ベルト式焼成炉などを用いて行う。
ックスを用いてサブマージアーク溶接を行えば、良好な
溶接部靱性を確保できる。さらにこの溶接部靱性は、所
定の溶接ワイヤと組み合せて溶接することにより、一層
向上させることが可能になり、極めて良好な特性が得ら
れるようになる。サブマージアーク溶接に用いる溶接ワ
イヤの成分組成は以下のものが好適である。溶接ワイヤ
のCは、溶接割れの抑制のために低減することが必要で
ある。すなわち、溶接割れは溶接金属中のC量に最も影
響を受け、とりわけ大入熱のすみ肉溶接では、溶接金属
のC量は厚鋼板のC量の影響を受けやすくなる。このよ
うな観点から、溶接ワイヤのC量は、極力低減し、0.08
%以下としておくことが好ましい。
サイトの生成を助長する元素であることから、0.15%以
下とする。溶接ワイヤ中のMn量は、溶接ワイヤ中酸素量
の調整および溶接金属の脱酸効果と強度確保のため、1.
20〜2.50%とする必要がある。1.20%未満では脱酸不足
になりやすく、低C量溶接金属での強度が確保しにくく
なる。一方、2.5 %を超えると強度が高すぎて硬さ増に
よる低温割れが起こりやすくなる。従って、ワイヤ中の
Mn量は1.20〜2.50%とする。なお、好ましいMn量は1.70
〜2.30%である。溶接ワイヤ中のTiは、スラグ剥離性を
劣化させることなく溶接金属の靱性改善をはかるのに有
用であり、0.03〜0.13%を含有することが必要である。
0.03%未満の含有では溶接金属の靱性は改善しにくく、
0.13%を超えて含有すると強度が高くなりすぎて、硬さ
増による低温割れが起こりやすくなる。また、Moは靱性
の向上に効果的であるが、0.3 %を超えて含有すると、
強度が高くなりすぎて、硬さ増による低温割れが起こり
やすくなるため、溶接ワイヤに含有させる場合は0.3 %
以下とする。
ヤではアークが細く、ビード幅が出にくくなり、また、
溶込み底部の形状が鋭くなってスラグ巻き込み等の欠陥
も発生しやすくなる。一方、6.4 mmを超えるとワイヤ
の剛性が大きすぎて、溶接機のワイヤ送給装置に負荷が
かかり過ぎる。よってワイヤ径は、4.0 〜6.4 mmとす
る。
て説明する。2電極法で溶接するとき、先行極(L
極)、後行極(T極)の電流比(IT/IL)は0.65〜1.
00とする必要がある。すなわち、IT/ILが0.65より小
さい場合には、先行極によって生じたスラグを後行極で
浮上させ得なくなり、結果的にスラグ巻き込みが発生し
やすくなる。一方、IT/ILが1.00より大きくなると、
後行極自身の電流が大きいため、後行極によりスラグ巻
き込みが発生する。したがって、電流比IT/ILを0.65
〜1.00とする。また、先行極に3〜15°の後退角を、後
行極に3〜20°の前進角を設けることにより溶込みが深
く、外観の良好な溶接部が得られるので、電極角度は上
記のように設定するのが望ましい。さらに、溶込みを確
保する上で、フランジ角度は水平面から40〜70°として
溶接することが必要である。
溶接するためには、厚鋼板の厚みを16〜60mmの範囲と
するのがよい。完全溶込み法で溶接できる板厚範囲はウ
エブ板厚が16〜36mmまでである。というのは、ウェブ
厚が36mm超で完全溶込みを指向して溶接すると、溶込
みが深くなりすぎ、幅の狭いビードとなって高温割れが
起こりやすく、また、母材希釈量が大きくなって高温割
れが生じやすくなるからである。したがって、ウエブ厚
が16〜36mmの板厚範囲では完全溶込み、36mm超〜60
mmの板厚範囲では部分溶込み(両側ビードの溶込みが
ウエブ厚の1/3以上)とする。なお、ウエブ厚16mm
未満では、従来法でも開先加工なしで完全溶け込みが得
られ、60mm超では、開先加工が必要となるので、開先
加工なしで本発明のようなサブマージアークすみ肉溶接
を行うのに適する板厚は16〜60mmとなる。
溶接方法でサブマージアーク溶接して得られる、溶接金
属の成分組成は以下の範囲とすることが望ましい。 C:0.13%以下 溶接金属中のC量が0.13%を超えると、溶接割れが起こ
りやすくなる。よって、溶接金属中のC量は0.13%以下
で極力低減するのがよい。 Si:0.70%以下 Siは、島状マルテンサイトの生成を助長し、靱性の低下
をもたらす元素である。このような悪影響は0.70%を超
えると顕著にあらわれるので、溶接金属中のSi含有量は
0.70%以下とする。 Mn:1.80%以下 溶接金属中のMn量が1.80%を超えると、低温割れが起こ
りやすくなる。よって、溶接金属中のMn量は1.80%以下
とする。
の靱性が改善しにくく、一方、0.020 %を超えて含有す
ると、強度が高くなりすぎて、硬さ増による低温割れが
起こりやすくなる。よって、溶接金属中のTi量は0.005
〜0.020 %とする。 B:0.0030%以下 溶接金属中のBは、溶接金属の靱性を改善するが、その
含有量が0.0030%を超えると溶接金属の凝固割れを助長
する。よって、溶接金属中のB量は0.0030%以下とす
る。 Mo:0.050 〜0.250 % 溶接金属中のMoは、溶接金属靱性のさらなる改善に寄与
する元素であるので、必要に応じて、溶接ワイヤ及び/
又はフラックスから添加して含有させる。このような効
果は、0.050 %以上のMo含有により得られるが、0.250
%を超えて含有すると強度が高くなりすぎて、硬さ増に
よる低温割れが起こりやすくなる。よって、溶接金属中
のMo量は0.050 〜0.250 %とする。
T型に組み、すみ肉溶接を行った。T型に組み立てた部
材のフランジ部が水平面となす角度を60°として溶接
した。このとき用いたフラックス、溶接ワイヤの成分組
成をそれぞれ表2、表3に、また溶接条件を表4に示
す。用いたフラックスは、表2に示すMn酸化物および金
属粉を原料の一部として配合して、SiO2とNa2Oのモ
ル比が4の結合剤(水ガラス)とともに混練し、造粒し
たのち、500℃×15 minで焼成して、粒子径1.5 m
m以下としたものである。なお、表2に示すフラックス
成分は、CaF2およびCaOについては、フラックス中の
Fを分析してCaF2として換算し、残りの全てのCaをCa
Oとして換算したものである。また、フラックス中の全
てのSiはSiO2として換算し、同様に、Mg、Al、Tiなど
も、それぞれMgO、Al2O3、TiO2として換算したも
のである。また、ガス量としてのCO2量はフラックス
中のC量を分析し、CO2量に換算したものである。
接結果を表6に示す。表6から明らかなように、発明例
(No. 1、5)では吸収エネルギーが27J以上という
良好な値が得られ、溶接作業性も良好であった。これに
対し、成分組成が本発明範囲を外れたフラックスで溶接
した比較例(No. 2、3、4)では、吸収エネルギーが
低く、そのうえポックマークに対する手直しが必要とな
り、作業性が劣る場合もあった。
T型に組み、すみ肉溶接を行った。T型に組み立てた部
材のフランジ部が水平面となす角度を60°として溶接
した。このとき用いたフラックス、溶接ワイヤの成分組
成をそれぞれ表8、表9に、また溶接条件を表10に示
す。用いたフラックスは、SiO2とNa2Oのモル比が2
の水ガラスを用いたことを除き、実施例1と同様にして
製造したものである。得られた溶接金属の化学成分を表
11に、溶接結果を表12に示す。表12から明らかなよう
に、発明例(No. 6、7、10〜13)では、ワイヤBとの
組み合わせで吸収エネルギーが27J以上という良好な
値が得られ、溶接作業性も良好であった。なかでも、フ
ラックス中にTiO2、B2O3あるいはFe-Ti 、Fe-Mo
等の金属粉を適量添加した場合(No. 7、9〜12)に
は、より高い吸収エネルギーが得られた。また、ワイヤ
Cと組み合わせた発明例では、 vE0 :47J以上とい
うさらに高い吸収エネルギーが得られた。これに対し、
成分組成が本発明範囲を外れたフラックスで溶接した比
較例(No. 8)では、スラグの剥離性が悪く、作業性が
極めて劣っていた。
極めて高い吸収エネルギーが得られ、しかも作業性が優
れているので、高能率なサブマージアークすみ肉溶接が
可能になる。したがって、本発明によれば、高能率で品
質のよい溶接H形鋼を安価に製造できるようになる。
Claims (8)
- 【請求項1】 質量%で、SiO2:20〜60%、MgO:10
〜40%、Al2O3:5〜25%、CaF2:1〜10%、Ca
O:2〜20%、MnO:2〜20%、CO2:2〜20%を含
有するフラックスであって、このフラックスは焼成前の
混合原料中に、一酸化マンガン:2〜20%、金属粉:2
〜10%を配合して焼成したものであることを特徴とする
サブマージアーク溶接用焼成型フラックス。 - 【請求項2】 質量%で、SiO2:20〜60%、MgO:10
〜40%、Al2O3:5〜25%、CaF2:1〜10%、Ca
O:2〜20%、MnO:2〜20%、CO2:2〜20%を含
み、さらにTiO2:5%以下、B2O3:0.1 〜1.5 %
のうちの少なくとも1種を含有するフラックスであっ
て、このフラックスは焼成前の混合原料中に、一酸化マ
ンガン:2〜20%、金属粉:2〜10%を配合して焼成し
たものであることを特徴とするサブマージアーク溶接用
焼成型フラックス。 - 【請求項3】 質量%で、一酸化マンガン:2〜20%、
金属粉:2〜10%を含む配合原料を混合した後、造粒し
て、焼成し、SiO2:20〜60%、MgO:10〜40%、Al2
O3:5〜25%、CaF2:1〜10%、CaO:2〜20%、
MnO:2〜20%、CO2:2〜20%を含有する成分組成
とすることを特徴とするサブマージアーク溶接用焼成型
フラックスの製造方法。 - 【請求項4】 質量%で、一酸化マンガン:2〜20%、
金属粉:2〜10%を含む配合原料を混合した後、造粒し
て、焼成し、SiO2:20〜60%、MgO:10〜40%、Al2
O3:5〜25%、CaF2:1〜10%、CaO:2〜20%、
MnO:2〜20%、CO2:2〜20%を含み、さらにTiO
2:5%以下、B2O3:0.1 〜1.5%のうちの少なく
とも1種を含有する成分組成とすることを特徴とするサ
ブマージアーク溶接用焼成型フラックスの製造方法。 - 【請求項5】 成分組成が、質量%で、C:0.08%以
下、Si:0.15%以下、Mn:1.20〜2.50%、Ti:0.03〜0.
13%を含み、あるいはさらにMo:0.30%以下を含有し、
残部は実質的にFeからなり、かつ線径が4.0 〜6.4 mm
である溶接ワイヤと、請求項1または2に記載のフラッ
クスとを用いて溶接することを特徴とする厚鋼板のサブ
マージアークすみ肉溶接方法。 - 【請求項6】 上記厚鋼板のウェブ側厚みを16〜60mm
として溶接することを特徴とする請求項5に記載の厚鋼
板のサブマージアークすみ肉溶接方法。 - 【請求項7】 得られる溶接金属を、質量%で、C:0.
13%以下、Si:0.70%以下、Mn:1.80%以下、Ti:0.00
5 〜0.020 %、B:0.0030%以下を含有し、残部は実質
的にFeの成分組成とすることを特徴とする請求項5また
は6に記載の厚鋼板のサブマージアークすみ肉溶接方
法。 - 【請求項8】 得られる溶接金属の成分組成を、質量%
で、C:0.13%以下、Si:0.70%以下、Mn:1.80%以
下、Ti:0.005 〜0.020 %、B:0.0030%以下、Mo:0.
050 〜0.250 %を含有し、残部は実質的にFeからなるも
のとすることを特徴とする請求項5または6に記載の厚
鋼板のサブマージアークすみ肉溶接方法。
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