JP2001168076A - 表面処理方法 - Google Patents

表面処理方法

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JP2001168076A
JP2001168076A JP2000292884A JP2000292884A JP2001168076A JP 2001168076 A JP2001168076 A JP 2001168076A JP 2000292884 A JP2000292884 A JP 2000292884A JP 2000292884 A JP2000292884 A JP 2000292884A JP 2001168076 A JP2001168076 A JP 2001168076A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境負荷が小さな表面処理方法を提供するこ
と。 【解決手段】 本発明の表面処理方法は,第1の分子と
第2の分子とが分子間力により結合してなるクラスタを
気相で生成し、前記クラスタの生成に伴って生じたエネ
ルギーの少なくとも一部を利用して前記クラスタに含ま
れる前記第1の分子を反応性のより高い状態とし、前記
反応性のより高い状態とされた第1の分子を含むクラス
タを用いて被処理体の表面を気相で処理する工程を具備
することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面処理方法に係
り、特には環境への負荷の少ない表面処理方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、地球規模での環境問題(ESH:
Environment, Safety & Hea
lth)がクローズアップされている。なお、ここでい
う環境問題は、比較的ローカルであり且つ地球の浄化能
力内にある公害等の問題とは本質的に異なり、地球規模
での対策を必要とするものである。
【0003】半導体産業においても環境問題は重要な課
題であり、現在は、PFC(パーフルオロカーボン)ガ
ス排出削減が最重要課題として取り組まれている。しか
しながら、半導体産業において環境問題に関して解決す
べき課題はそれだけではなく、酸及び有機廃液の削減や
それらの再利用並びに電力消費量の削減も極めて重要で
ある。
【0004】従来から、半導体デバイスの製造プロセス
において、半導体ウエハの各種汚染の洗浄は、ウエハを
硫酸/過酸化水素混合溶液、塩酸/過酸化水素混合溶
液、及びアンモニア/過酸化水素混合溶液のような酸性
或いはアルカリ性の薬液中に浸漬して加熱や超音波振動
を印加するという方法などにより行われている。例え
ば、ウエハ表面に付着した金属汚染物の除去は、硫酸等
を用いて金属を酸化(イオン化)し、溶媒中へ溶出させ
て溶媒和(水和)イオンとして安定化させることにより
行われる。
【0005】しかしながら、このような洗浄処理に伴っ
て生ずる廃液を無害化処理する場合、スラッジ等の廃棄
物を生ずる。また、上述した洗浄処理に伴って生ずる廃
液の量は膨大であり、しかもその処理には多大な電力と
水とを必要とする。そのため、硫酸等を用いた洗浄は、
極めて環境負荷が大きいといえる。
【0006】このような理由から、ウエハの洗浄に使用
する薬液の溶媒は水であることが望まれており、さらに
は、酸やアルカリ薬液の代わりに純水や過酸化水素水の
ようにHやO以外の元素を含まない薬液を使用すること
が望まれている。すなわち、金属汚染物の除去に関して
は、H2OやH22等で効率的に金属をイオン化して水
和イオンとして除去することが理想的であり、有機汚染
物やパーティクルの除去に関しては、H2OやH22
を用いて有機物を酸化分解することが理想的である。
【0007】このように、洗浄処理をH2OやH22
を用いて行うことは、その廃液処理の観点からは極めて
有効である。しかしながら、その反面で、純水の製造に
は膨大な電力が必要である。そのため、洗浄処理におけ
る純水使用量の大幅削減が望まれている。すなわち、従
来の液層洗浄技術の代替となるドライ洗浄技術の開発が
熱望されている。
【0008】ところで、有機物洗浄処理の中でもレジス
ト剥離は最も多くの薬液を必要とし、しかも液相加熱処
理であるため電力消費量が大きくクリーンルームの空調
設備への負担も大きい。そのため、種々の代替プロセス
が研究されており、その1つとして高濃度オゾン水を用
いたレジスト剥離プロセスが検討されている。
【0009】オゾン水はO3及びH2Oのみからなるた
め、それを用いた処理は廃液処理の観点から環境負荷の
低減に極めて有効である。しかしながら、このプロセス
では、以下の理由から所望の処理速度を実現することが
困難である。
【0010】すなわち、オゾン水を用いたレジスト剥離
プロセスにおいて処理速度はオゾン濃度に比例してい
る。したがって、処理速度を向上させるためにオゾン濃
度を高めるには、オゾン水の温度を低下させる必要があ
る。しかしながら、オゾン水の温度を低下させた場合、
反応速度が低下することとなる。そのため、上記プロセ
スではレジスト剥離速度に上限が存在し、それよりも速
い速度での処理は不可能である。
【0011】また、オゾンを用いた処理は、他の問題も
有している。例えば、オゾンは爆発的に酸素へと分解さ
れるため、その取扱いには注意を要する。
【0012】オゾン水の高酸化性を利用した他の洗浄技
術として、オゾン水と希フッ酸とを交互にウエハに供給
する枚葉式スピン洗浄法が知られている。また、オゾン
水に過酸化水素或いはアンモニアを添加し、さらにMH
z領域の超音波を印加することにより液中のOHラジカ
ルの生成を促進し、それにより生じたOHラジカルによ
り酸化性を向上させて洗浄処理する方法も知られてい
る。しかしながら、これら方法のいずれもオゾンを用い
ているため、上述した欠点は克服されていない。
【0013】オゾン水を用いない洗浄方法としては、溶
存酸素水や溶存水素水にMHz領域の超音波を印加する
方法が報告されている。この方法も液中のOHラジカル
の生成を促進することにより酸化性の向上を図るもので
ある。この方法で用いる溶存酸素水及び溶存水素水は比
較的安全であるため、オゾンを用いた場合ほど取扱いに
注意を払う必要はない。しかしながら、溶存酸素水を用
いた場合には、溶存酸素濃度に上限値が存在する。ま
た、溶存水素水を用いた場合には、OHラジカルの生成
とHラジカルによるOHラジカルの失活との競合反応に
基づき、最適な洗浄効果を得るための水素濃度マージン
が狭いという欠点がある。
【0014】半導体ウエハを洗浄する方法として、特開
平5−7869号公報及び特開平10−137704号
公報は、薬液にマイクロ波を印加して得られた高機能洗
浄液を使用する方法を開示している。
【0015】特開平5−7869号公報が開示する方法
は、純水をパラジウム或いは白金の粉末からなる触媒と
接触させた状態でマイクロ波を照射し、濡れ性の高くな
った純水をユースポイントに供給して洗浄に供するもの
である。しかしながら、液相における純水のマイクロ波
励起寿命はおよそミリ秒以下に過ぎないのにも関わら
ず、この方法では、マイクロ波照射した純水は配管を経
由しさらに濾過された後にユースポイントに供給され
る。そのため、この方法によると、ユースポイントでは
既にマイクロ波励起の効果は失われているものと考えら
れる。
【0016】特開平10−137704号公報は、それ
を改善するために、マイクロ波を洗浄槽に直接照射する
ことを開示している。この方法によると、純水または洗
浄薬液はマイクロ波を照射されることにより励起され
て、それらを構成する分子集団がより小さなサイズに分
断される。その結果、ウエハ表面における純水や洗浄薬
液の表面張力が低下して濡れ性が向上するのとともにラ
ジカルが発生するために化学反応性の高い洗浄液を微細
孔内部にまで侵入させることができる。また、誘導加熱
により液温を均一且つ短時間で上昇させることができる
ため、高い反応速度を実現することができる。しかしな
がら、この方法でも、洗浄に大量の純水を消費すること
に何等かわりはなく、その生成に膨大な電力を必要とす
る。
【0017】以上、半導体ウエハの洗浄処理に伴う環境
問題について説明したが、以下に説明するように、他の
処理についても同様の問題が存在する。
【0018】ゲート絶縁膜、キャパシタとして用いる比
較的薄いシリコン酸化膜、或いは金属酸化膜の形成や、
半導体膜、金属膜、或いは絶縁膜のエッチングには、酸
素、オゾン、一酸化二窒素、及び一酸化窒素のような比
較的酸化力の強い酸化種が使用されている。今後、薄膜
化や線幅の縮小はますます進められるものと考えられて
おり、それを欠陥の少ない膜質とともに実現するには、
酸化種を単独で供給するのではなく、酸化種と還元種と
を同時に供給することによる反応速度の制御が重要とな
る。例えば、例えば、タングステン等の金属が露出した
ウエハの熱処理を行う場合には、酸素と水蒸気の分圧比
を制御することにより、タングステンの酸化を防止する
という方法が採用されている。
【0019】これら処理は、エッチングを除いては、通
常、電気炉や赤外線加熱炉のような熱処理炉で行われて
いる。しかしながら、熱処理炉は熱効率が悪く消費電力
も大きいために環境負荷は極めて大きい。
【0020】また、これら処理では、供給ガス及び排出
ガスとして、オゾン層を破壊するおそれのあるガスや地
球温暖化係数(GWP:Global Warming
Potential)が極めて大きい所謂温暖化ガス
の使用は避けねばならない。地球温暖化係数は、対象ガ
ス種の大気寿命(概ねOHラジカルとの反応速度で決定
される)と該対象ガスの大気の窓(概ね波長が8〜13
μmであり、H2O由来の赤外吸収バンド以外の赤外領
域)領域での赤外吸収係数との積である。すなわち、供
給ガス及び排気ガスとして、H2O由来の赤外吸収バン
ド以外の領域に吸収バンドを有するガスを使用すること
は望ましくない。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、金属
汚染物、有機汚染物、或いはパーティクルの除去につい
て酸及びアルカリ洗浄は効果的であるが、それらは環境
負荷の大きな廃液処理工程を必要とする。その代替法と
して実用化されつつあるオゾン水を用いた洗浄方法や酸
素溶存水或いは水素溶存水を用いた洗浄方法では、それ
らガスの水に対する溶解度は高々数10ppmに過ぎな
いため、生成する酸化種の濃度はこの溶解度から規定さ
れることとなり、十分なスループットを実現することが
困難である。さらに、純水リンスや枚葉式スピン洗浄法
を含む液相の洗浄工程では、反応種或いは溶媒として大
量の純水を使用するため、環境負荷の大きな大規模純水
製造設備が必要である。すなわち、上述した表面処理方
法のいずれも、環境負荷が小さく且つ高い処理能力を有
するものではない。
【0022】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、環境負荷が小さな表面処理方法を提供すること
を目的とする。
【0023】また、本発明は、十分な速度で表面処理す
ることを可能とする表面処理方法を提供することを目的
とする。
【0024】さらに、本発明は、純水を大量に使用する
ことなく表面処理を行うことが可能な表面処理方法を提
供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、第1の分子と第2の分子とが分子間力に
より結合してなるクラスタを気相で生成し、前記クラス
タの生成に伴って生じた内部エネルギーの少なくとも一
部を利用して前記クラスタに含まれる前記第1の分子を
反応性のより高い状態とする工程と、前記反応性のより
高い状態とされた第1の分子を含むクラスタを用いて被
処理体の表面を気相で処理する工程とを具備することを
特徴とする表面処理方法を提供する。
【0026】本発明において、クラスタとは、分子間力
により結合した2個以上の分子の集団であって、一つの
分子が回りの分子から受ける影響を考慮すると50個以
下の分子の集団であれば良い。
【0027】通常、第1の分子或いは第1の分子のみか
らなるクラスタに含まれる第1の分子を反応性のより高
い状態とするのには大きなエネルギーが必要であり、し
たがって、そのような化学種を高濃度に生成することは
極めて困難である。
【0028】これに対し、本発明においては、第1の分
子を反応性のより高い状態とする際に第1の分子と第2
の分子とが分子間力により結合してなるクラスタが生成
される。そのようなクラスタは第1の分子と第2の分子
とが相互作用しているために安定化されている。しか
も、本発明においては、クラスタの生成に伴って生じた
安定化エネルギーすなわち内部エネルギーは、第1の分
子を反応性のより高い状態とするのに利用される。した
がって、本発明によると、理想的には外部から別途エネ
ルギーを与えることなく、第1の分子を反応性のより高
い状態とすることが可能となる。
【0029】第1の分子を反応性のより高い状態とする
ためには、最適な状態の第2の分子が必要である。この
状態を得るために系の外部からクラスタに与えてもよ
い。その際に与える外部エネルギーはクラスタを構成す
る分子の数−すなわちクラスタの構造に応じて変化す
る。最適なクラスタの構造は第1及び第2の分子の種類
に応じて異なっているが、液相が単に均一な誘電体とし
て働くだけでは反応の活性化エネルギーを低減する効果
は得られない。すなわち、低い活性化エネルギーで第1
の分子を反応性のより高い状態とするには、第1及び第
2の分子からなる液相でも第1及び第2の分子を単に混
合してなる通常の気相でもなく、第1及び第2の分子か
らなるクラスタを形成し且つこのクラスタの生成に伴っ
て生じた内部エネルギーを利用する必要がある。
【0030】本発明において、第1の分子と第2の分子
とは同種の分子であってもよく、異種の分子であっても
よい。また、第2の分子は、上記クラスタに含まれる第
1の分子を反応性のより高い状態とするための触媒とし
て作用することが好ましい。
【0031】本発明においては、例えば、第1の分子と
して過酸化水素分子を用い、第2の分子として水分子を
用いることができる。この場合、1分子の過酸化水素と
3分子の水とからなるクラスタが形成されるように反応
を制御することにより、それらのモノマーから(3分子
の水とクラスタを形成している)オキシウォータ(また
はウォータオキサイド:H2OO)を生成する反応の吸
熱量−すなわち見かけ上の反応障壁をほぼゼロとするこ
とができる。換言すると、それら分子が相互に無限遠に
位置するときのエネルギー状態−すなわち解離極限のエ
ネルギー状態と、3分子の水とオキシウォータとからな
るクラスタのエネルギー状態とをほぼ等しくすることが
できる。この見かけ上の反応障壁低下は、過酸化水素や
水の持つ誘電的性質から生じる局所電場の効果に由来す
るものではなく、過酸化水素分子と水分子との分子間相
互作用による、という点が重要である。したがって、種
々の表面処理に有用なオキシウォータは、制御された気
相反応系で初めて効率的に生成することができる。
【0032】1分子の過酸化水素と3分子の水とからな
るクラスタが形成されるように反応を制御するには、処
理槽へのガス導入時ではなく、被処理体表面で過酸化水
素と水とのモル比がほぼ1:3となるように制御すれば
よい。この場合、過酸化水素と水のモル比は1:2.5
から1:3.5の範囲であれば問題ない。より好ましく
は、1:2.75から1:3.25の範囲である。
【0033】この場合、それらのモノマーからオキシウ
ォータと3分子の水とからなるクラスタを生成する反応
の吸熱量をほぼゼロとすることができる。
【0034】ところで、一般に、分子間衝突が激しい状
態では、オキシウォータの寿命はそれ程長いものではな
い。そのため、オキシウォータの生成は被処理体近傍で
行うことが好ましい。また、オキシウォータ生成反応に
関する見かけ上の反応障壁の低下は、解離極限を基準と
するものである。そのため、過酸化水素と水とのクラス
タの生成により生じたエネルギーがオキシウォータの生
成に利用され得ない場合−すなわち、上記エネルギーが
クラスタ同士の衝突により振動や回転状態の励起で失わ
れる場合、見かけ上の反応障壁を低下させる効果を得る
ことが困難となる。したがって、クラスタの衝突緩和を
抑制し且つ被処理体表面近傍で酸化種を生成することが
重要である。
【0035】不所望な衝突緩和を防止するには、例え
ば、液相及び気相のバルク中で過酸化水素と水とを反応
させるのではなく、それらを被処理体表面にそれぞれ別
々に供給すればよい。この場合、被処理体表面近傍での
酸化種生成も容易に行うことができる。
【0036】添加ガスを用いる場合も同様であり、衝突
緩和すなわち衝突による添加ガスの振動励起を抑制する
ためには、振動自由度の出来るだけ小さな添加ガスであ
る事が重要である。典型的には振動自由度が60以下の
分子からなるガスが望ましい。
【0037】また、過酸化水素と水との混合ガスとして
被処理体表面に供給することもできる。例えば、液相に
比べて密度が3桁以上小さな気相バルク中で過酸化水素
と水とのクラスタを生成し、そのクラスタを、衝突緩和
を抑制しつつ被処理体表面に供給してもよい。なお、過
酸化水素と水とを混合ガスとして被処理体表面に供給す
る場合、全ガス圧は1気圧以下であることが好ましい。
【0038】過酸化水素及び水のクラスタ化を抑制する
ため及び所望のサイズのクラスタを得るためには、マイ
クロ波照射が有効である。過酸化水素及び水にマイクロ
波を照射した場合、それら分子が回転励起されるため、
所望のサイズのクラスタ(所望の数での分子で構成され
たクラスタ)を選択的に得ることができる。
【0039】例えば、周波数が3.4GHz以上のマイ
クロ波を照射することにより構成分子数が3分子以下の
2Oクラスタを選択的に供給することができ、周波数
が3.2GHz以上のマイクロ波を照射することにより
構成分子数が2分子以下のH 22クラスタを選択的に供
給することができる。したがって、周波数3GHz以上
のマイクロ波を照射することが好ましく、周波数3.2
GHz以上のマイクロ波を照射することがより好まし
く、周波数3.4GHz以上のマイクロ波を照射するこ
とがさらに好ましい。
【0040】上述した本発明の方法は、酸化種を用いた
様々な表面処理に適用することができる。例えば、半導
体装置の製造プロセスにおいては、半導体基板の洗浄処
理に利用することができる。また、シリコン酸化膜や金
属酸化膜のような酸化膜の形成、それらの形成後の熱処
理、及びドライエッチング工程のように酸化種を必要と
するドライ工程にも利用することができる。さらに、本
発明の方法は、半導体装置の製造プロセスだけでなく、
他の物品の製造プロセスにも適用することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてより詳細に
説明する。なお、以下の説明は、第1の分子及び第2の
分子として過酸化水素分子及び水分子を用いた場合につ
いて行われるが、他の化学物質を用いた場合についても
同様である。
【0042】純水は温度の上昇に伴い、酸性化するのと
ともに電気抵抗率や粘性率の減少を生ずる。これは、解
離度の増大や水のクラスタ構造の変化によりもたらされ
るものである。この純水の物性の変化は、電気分解や、
マイクロ波、磁場、及び超音波の印加等、熱以外の励起
方法でも生ずるが、その機構は必ずしも明らかにされて
いない。以下に、純水及び過酸化水素を含む系における
効率的な酸化種生成方法(特にはマイクロ波照射によ
る)を量子化学的手法で理論的に調べた結果を説明す
る。
【0043】まず、マイクロ波を照射することにより、
所望の数の分子からなるH2Oクラスタ及びH22クラ
スタを選択的に供給可能であるかについて調べた。すな
わち、H2Oクラスタ及びH22クラスタの回転定数を
求めて、マイクロ波励起により所望のサイズのクラスタ
を選別するための共鳴条件を調べた。その結果を下記表
1及び表2にそれぞれ示す。
【表1】
【表2】 なお、クラスタサイズが大きいほど回転モーメントが大
きくなり、したがって回転定数が小さくなることは容易
に想像できる。したがって、H2Oクラスタについては
8分子からなるクラスタまでを計算した。
【0044】H2Oクラスタは種々の安定構造をとり得
るが、上記表1から明らかなように、回転定数はクラス
タのサイズの減少とともに増大する傾向にある。例え
ば、4分子以下のクラスタを選別するには、約3.4G
Hz以上のマイクロ波を照射すればよいことが分かる。
22クラスタに関しては2分子からなるクラスタまで
しか計算していないが、モノマー自体がO−O結合を有
しているためH2Oよりも回転モーメントが大きいの
で、H2Oクラスタに比べて回転定数が非常に小さいこ
とが分かる。例えば、表2に示すように、2分子以下の
クラスタを選別するには、約3.2GHz以上のマイク
ロ波を照射すればよいことが分かる。
【0045】次に、過酸化水素の種々の分解過程につい
て調べた。なお、ここでは、液相バルク中の水による
“溶媒効果"は考慮せずに、1分子のH22と0〜3分
子のH2Oとが真空中で形成する孤立クラスタの構造と
生成エネルギーとの関係を調べた。溶媒効果はのちほど
比較する。具体的な計算方法を以下に示す。
【0046】下記反応式: H22+nH2O→H2OO・nH2O(n=0〜3の整
数) H22→2HO に示す化学反応の全ての反応経路わたるエネルギー変化
(反応ポテンシャル面:potential ener
gy surface:PES)を、主としてpost
Hartree−Fock計算に最適化された基底関
数aug−cc−pVDZを用いて、単一配置Hart
ree−Fockを参照配置とするMφller−Pl
esset2次摂動法(MP2)及び密度汎関数法(B
HandHLYP)で計算した。
【0047】なお、以下、特に断らない限り、エネルギ
ー値はMP2/aug−cc−pVDZレベルの値であ
る。また、以下に示すエネルギー値は、内部エネルギー
(“electronic"energy:Eelec)の
みを比較することにより得られたものであり、solv
ation energy:Esolv、kinetice
nergy、ゼロ点振動:ZPE、振動/回転/並進エ
ネルギー:Evib/Erot/Etrans、エントロピー項S
は含めていない(E0=Eelec+ZPE、E=E0+E
vib+Erot+Etrans、H=E+RT、G=H−TS、
Rは気体定数、Tは絶対温度である)。
【0048】H22からオキシウォータを生成する反応
に1分子のH2Oが関与する系に関する計算結果は、
J.Am.Chem.Soc.,vol.113,(1
991)6001等の文献に記載されるのと同様であっ
た。2分子のH2Oが関与する系についても、2分子の
2Oがそれぞれ独立にH22に相互作用する場合は、
上記文献に記載されるのと同様であった。しかしなが
ら、H2Oが水素結合によりオリゴマーを形成し易いこ
とを考えると、H2OダイマーがH22分子に接近する
場合のH22分子内水素移動を考慮する必要がある。ま
た、同様に、3分子のH2Oが関与する系についても、
2Oオリゴマーが形成されることを考慮する必要があ
る。これらについては、上記文献には開示されていなか
ったので、ここで検討を行う。
【0049】まず、1〜3分子のH2Oが関与する場合
のPESについて概説する。1分子のH2Oが関与する
場合、分子内水素移動によりオキシウォータを生成する
過程(1,2−hydrogen shift)の障壁
よりも、H2O分子とH22分子との間の分子間水素移
動を伴ってオキシウォータを生成する過程の障壁の方が
10kcal/mol以上低いことが分かっている。後
者の過程(concerted 1,4−hydrog
en shift)は1分子のH22だけでは起こり得
ず、H2O分子の触媒作用を示すものである。2分子の
2Oが関与する場合も同様に分子内水素移動過程に比
べて分子間水素移動過程において、障壁が10kcal
/mol以上低いことが分かっている。
【0050】また、特に注目すべきことに、2分子のH
2Oを関与させた場合、H2Oが吸着したH22からH2
OOを生成する反応の反応障壁は、分子内水素移動過程
及び分子間水素移動過程の双方において、1分子のH2
Oが関与する場合に比べて4kcal/mol程度低下
するに過ぎないが、それぞれ解離極限にあるH2O及び
22からH2OOを生成する反応に必要な熱量が大幅
に低減されることが分かった。そこで、3分子のH2
を関与させた場合についても同様の検討を行ったところ
同じ傾向が得られ、解離極限からの吸熱量はほぼゼロに
なることが分かっている。
【0051】以下、上述した計算により得られた結果を
グラフにして示す。
【0052】図1は、H22からH2OOを気相で生成
する経路とエネルギーとの関係を示すグラフである。な
お、図2〜図6に、図1に示す各反応に伴うH22分子
の構造変化を示す。また、以下にエネルギー変化とH2
Oの関係を説明する補助的情報として、表3にH2Oの
個数nと、エネルギー変化を示す。
【表3】 図1には、1分子のH22からH2OOを気相で生成す
る反応に0〜3分子のH2Oが関与する場合について、
計算レベルをMP2/aug−cc−pVDZとして得
られた反応ポテンシャル面が示されている。図2に示す
ように、H2Oが関与しない場合(図1においては孤立
22で示される)には、H22分子中の一方のH原子
が2個のO原子間を移動する遷移状態を経てH2OOを
生成する。この遷移状態はH2OOに近いlateTS
であり、反応障壁は57.14kcal/molであ
る。なお、H2OOからO原子が解離する反応の反応ポ
テンシャル面を計算したところ、解離を促進するために
は、一重項−三重項間の交差が起こる条件が達成される
のであれば0.4eV以上のエネルギーの電磁波を照射
すればよく、通常のスピン保存解離では1eV以上のエ
ネルギーの電磁波を照射すればよいことが分かった。
【0053】1分子のH2Oが関与する場合(図1にお
いては1H2Oで示される)には、図3に示すように、
2O分子は、H22分子のH原子とO原子とにbif
unctional(プロトン供与と受容との両性質)
に2つの水素結合を形成して吸着する。H22分子内水
素移動過程では、H2O分子が関与しない場合と本質的
に等価な1,2−hydrogen shiftの遷移
状態を経てH2OO・H2Oが生成される。図1に示すよ
うに、この場合の障壁49.29kcal/molは、
2O分子が関与しない場合の障壁に比べて8kcal
/molも減少している。一方、H22−H2O分子間
水素移動過程では、1,4−hydrogen shi
ftの遷移状態を経てH2OO・H2Oが生成される。こ
の場合の障壁37.87kcal/molは、1,2−
hydrogen shiftの障壁に比べて10kc
al/molも低い。
【0054】2分子のH2Oが関与する場合には、4つ
の反応経路−すなわち、2分子のH2Oがダイマーを形
成してH22分子に吸着する3つの経路と、2分子のH
2OがそれぞれモノマーとしてH22分子に吸着する1
つの経路とが考えられる。図4に示すように、2分子の
2OがそれぞれモノマーとしてH22分子に吸着する
場合(図1においては2H2Osで示される)、分子内
水素移動過程である1,2−hydrogen shi
ftの障壁は48.56kcal/molであり、分子
間水素移動過程である1,4−hydrogen sh
iftの障壁は31.51kcal/molであった。
前者は1分子のH2Oが関与する場合と殆ど同じである
が、後者はそれに比べて6kcal/molも減少して
いる。
【0055】一方、例えば図5に示されるように2分子
のH2Oがダイマーを形成してH2 2分子に吸着する3
つの経路に関しては、いずれも一方のH2OのHと、そ
してもう一方のH2Oがプロトン供与体としてH2OのO
と水素結合を形成する構造をとる。障壁は(分子内水素
移動,分子間水素移動)の順に各々、path1(4
5.32,33.13)、path2(45.58,3
3.64)、path3(46.39,34.69)k
cal/molであった。
【0056】以上から、2分子のH2Oが関与する系に
おいては、それらがダイマーを形成してH22に吸着す
る場合、モノマーとして吸着する場合に比べて、2つの
2O分子間の水素結合分だけ吸着状態が安定化する
が、それ以上に1,2−hydrogen shift
遷移状態が安定化するので、分子内水素移動過程の障壁
は4kcal/mol程度減少することが分かる。この
減少は、ダイマーを形成することにより正に分極したH
2O分子のH原子と、分子内水素移動過程でより負に分
極したH22分子のO原子との間の相互作用が強まるこ
と−すなわち、H 22分子の内部歪みに要するエネルギ
ーロスが触媒であるH2O分子により緩和される(LU
MO、HOMO、2ndHOMOのシフト)ことによ
る。
【0057】一方、2分子のH2Oが関与する系におい
て、分子間1,4−hydrogen shift過程
の障壁は、H2Oがダイマーとして吸着する経路では、
2つのモノマーとして吸着する経路に比べて2kcal
/mol程度増加している。これは、1,4−hydr
ogen shift遷移状態はモノマー経路に比べて
ダイマー経路の方が僅かながら安定であるが、H2Oが
吸着した状態はそれ以上にダイマー経路において安定で
あるためである。なお、1,4−hydrogen s
hift遷移状態においても、ダイマーを形成すること
でより正に分極したH2O分子のH原子と、分子内水素
移動過程でより負に分極したH22分子のO原子とが強
く相互作用していることは同じである。
【0058】上述した1分子のH2Oが関与する系並び
に2分子のH2Oが関与する系に関して得られた結果に
おいて特に注目すべき点は、2分子のH2Oが関与する
系では、モノマー経路であるかダイマー経路であるかに
関わらず、1分子のH2Oが関与する系に比べて、解離
極限からオキシウォータを生成する際の吸熱量が大幅に
低減されることである。この傾向は、特に分子間水素移
動経路においてより顕著である。以上の結果は、H22
分子にH2O分子が吸着する際に生じる吸着熱が散逸せ
ずに内部エネルギーとして蓄積されるようなプロセス−
すなわち、気相処理(ドライ処理)では、この吸着熱を
有効に上記吸着量(外部仕事)に利用できることを示し
ている。
【0059】3分子のH2Oが関与する場合にも幾つか
の反応経路が考えられるが、2分子のH2Oダイマーが
関与する系に第3のH2O分子を付加する場合、第3の
2O分子がH22分子にbifunctionalに
水素結合を形成して吸着した際に、最も相互作用が強く
なることは容易に想像できる。第1及び第2のH2O分
子がダイマー経路でH22分子と相互作用している場
合、第3のH2O分子は独立にH22分子とbifun
ctionalに水素結合を形成することができる。す
なわち、図6に示すように、H22分子の一方のHOO
構造に第1及び第2のH2O分子からなるダイマーが作
用し、他方のHOO構造に第3のH2O分子が作用する
場合を考えればよい。
【0060】一方、第1及び第2のH2O分子がモノマ
ー経路でH22分子と相互作用している場合、H22
子はそのプロトン供与サイトを使い果たしているため、
第3のH2O分子が独立にH22分子と相互作用する構
造は不利である。そのため、第3のH2O分子は第1及
び第2のH2O分子と相互作用せざるを得ない。すなわ
ち、第1及び第2のH2O分子のいずれかが第3のH2
分子とダイマー構造を形成することとなり、上述したダ
イマー経路と最終的な吸着構造は等しくなる。
【0061】3分子のH2Oが関与する場合のPESの
特徴を以下に纏める。
【0062】(1)H2O分子の吸着に伴う吸着熱は2
分子のH2Oが関与する系に比べてさらに8〜10kc
al/mol増大する。
【0063】(2)H2Oダイマーが吸着した後では、
22−H2Oモノマー間の分子間水素移動に伴う障壁
とH22−H2Oダイマー間の分子間水素移動に伴う障
壁の差は1kcal/mol以下と極めて小さい。
【0064】(3)3分子のH2Oが関与する系では、
吸着状態からの1,4−hydrogen shift
障壁は28kcal/mol程度であるが、解離極限を
基準とした1,4−hydrogen shift障壁
は殆どゼロとなる。
【0065】すなわち、1分子のH22と3分子のH2
Oとからなるクラスタが形成されるように反応条件を制
御すれば、酸化種であるオキシウォータを効率的に生成
することができる。
【0066】次に、上述した検討により得られた結果
が、気相反応において特徴的であること、並びに単純な
ウェット条件下の反応に比べて反応ポテンシャルに関し
て有利であることを示すために、H2Oが関与しない反
応系及び1分子のH2Oが関与する反応系について、均
一誘電体(比誘電率ε=78.3の水)中での反応経路
を自己無撞着反応場法(SCRF法:Self−Con
sistent Reaction Field法)を
用いて調べた。まず、以下に、その計算方法について説
明する。
【0067】標準状態の水は、水分子間の水素結合と双
極子相互作用とにより、およそ10〜50個の水分子が
協同運動をして、比誘電率ε=78.3を示す環境を形
成している。この環境は、勿論、巨大クラスタモデルを
用いれば再現することができる。また、溶媒効果モデル
を用いて、化学的活性中心(反応点)の周囲の環境水
を、比誘電率εを有する巨視的な媒質として平均的に取
り込む手法も有効であり、この手法は有機溶媒環境にも
適用可能である。ここでは、H22+nH2O(n=
0,1)系を用い、溶媒効果の考慮の有無による反応ポ
テンシャル面の変化を調べ、上記の気相反応系と比較し
た。
【0068】溶媒効果の考慮は、溶質分子を一様な誘電
体中の空孔(キャビティ)内に配置する方法がそれぞれ
異なる2種類の反作用場モデル(Reaction F
ield Model of Solvation)を
用いることにより行った。なお、これらモデルの一方は
最も簡単なモデルであり、所定のサイズを有する予め決
定しておいた固定球状空孔の中に電気双極子モーメント
を持つ分子を配置するOnsagerモデル(Dipo
le&Sphere Model)である。ここでは、
球状空孔の半径a0は0.001electrons/
bohr3となる領域を、Monte−Carlo法を
用いて求め、それに溶媒分子の代表的なvan der
Waals半径である0.5オングストロームを加え
た値とした。
【0069】また、上記モデルの他方は、溶質分子の等
電荷面(0.0004au)を空孔に採用し、電荷密度
に関して、溶解エネルギーまでも含む全エネルギーの最
小値と空孔形状とを自己無撞着に決定するSCIPCM
(Self−Consistent Isodensi
ty Polarized Continuum Mo
del)である。
【0070】計算レベルをBHandHLYP/aug
−cc−pVDZとして得られた結果について図7を参
照しながら説明する。
【0071】図7は、H22からH2OOを液相で生成
する経路とエネルギーとの関係を示すグラフである。ま
た、表4及び表5にエネルギー変化量を示す。なお、図
8及び図9に、図7に示す各反応に伴うH22分子の構
造変化を示しており、図8はH2O分子が関与しない反
応に伴うH22分子の構造変化を示し、図9は1分子の
2Oが関与する反応に伴うH22分子の構造変化を示
している。図8及び図9の各構造の周りを囲む線は、O
nsager法では計算手法で述べた半径a0の球空
孔、SCIPCM法では0.0004auの等電荷面を
示している。
【表4】
【表5】 geometryの変化から、反作用場(双極子場)の
有無による2%程度以下であるが、分極の大きな構造
(遷移状態、生成系)ほど変化は大きいことが分かっ
た。
【0072】先ず、H2Oの関与しないH22の自己分
解反応についてみる。気相(ε=1)におけるH22
自己分解反応は、OHラジカルを生成する経路及びH2
OO(→O原子)を生成する経路共に、非常に障壁の高
い吸熱反応であり、反応の進行には光解離や金属触媒等
を必要とする。この傾向は反作用場を考慮しても変わら
なかった。反応障壁はOnsager場で1kcal/
mol、SCIPCM場で2kcal/mol程度しか
低下しない。各原子上のMulliken電荷の絶対値
は、気相→Onsager場→SCICPM場の順に増
大している。従って分子としての電気双極子モーメント
も増加しているが、始原系から遷移状態での変化量はほ
ぼ一定である。
【0073】このため、この誘起電気双極子モーメント
の差に対応する反作用場の差は小さくなってしまう。最
後に、始原系から遷移状態のPESはほぼ同じである
が、遷移状態から生成系(H2OO)のPESはかなり
異なり、安定化エネルギー(換言すれば逆反応の障壁)
は約5〜8kcal/mol増加している。気相とSC
RF法でのMulliken電荷の変化も、始原系や遷
移状態のそれと比べて大きい。H2OO自体がもともと
大きく分極しており、このために負電荷の過剰なO原子
が強い酸化性を発現するのであるが、この大きな分極が
反作用場によってさらに増長されている。
【0074】溶媒効果によってH2OO(生成系)の安
定化が大きくなることは自己分解反応には好ましい。し
かしながら、50kcal/molを越える順方向の反
応障壁は低下が小さいことから、H22単独分子での自
己分解反応に対する溶媒効果は期待できない。
【0075】そこで、次に、“気相"反応系で触媒効果
が確認されたH2O(1個)関与の場合の溶媒効果を見
てみる。
【0076】先ず、H2OとH22との吸着構造におい
ては、気相反応ではH2Oがプロトン供与/受容のbi
functional的にH22と相互作用する構造が
得られたのに対して、均一誘電体環境下では、H2Oは
プロトン受容体としてH22に吸着するという構造をと
る。
【0077】遷移状態では、電気双極子モーメントがH
22よりも2割程度大きなH2Oの方が、“ε=78.
3の水"の反作用場をより強く受ける。このため、分子
内水素移動過程ではH22のO原子とH2OのH原子と
の間の水素結合形成が抑制される。これは、酸化性を発
現すべきO原子の負への分極を促進する効果を弱めてし
まう。分子間水素移動過程においても、吸着状態から遷
移状態への過程で、H 2OのO原子はプロトン受容体と
してH22からのH引抜には有効に働くものの、H22
へのOとH供与の促進効果は小さい。
【0078】このため、分子内/分子間水素移動のいず
れも反作用場による反応障壁の変化はきわめて小さい。
それよりもH2O分子関与による障壁低下(4〜5kc
al/mol)の方が圧倒的に大きい(室温付近での5
kcal/molはボルツマン因子では5000倍の速
度差に相当)。
【0079】以上より、H22分子と複数H2O分子の
反応系における障壁低下は、誘電相互作用に基づく液相
での特徴ではなく、むしろ気相反応系で明らかにしたよ
うにH2Oの協奏的な反応により初めて実現されること
を示唆している。
【0080】最後に、生成系の酸化種であるH2OO構
造はPES上で分極が最も大きくなるため、反作用場の
効果が大きいことが期待される。より適切な反作用場で
あるSCICPM場の結果はこれを支持し、分子内/分
子間水素移動共に安定化エネルギーは僅かではあるが大
きくなっている。
【0081】一方、Onsager場では必ずしもそう
ではない。H2OO側の分極は反作用場により増加して
いるが、H2O側の分極はむしろ気相系よりも小さくな
っている。H2OOの酸化性発現に関して最も注目した
いのは、酸化性を発現すべきO原子の負電荷の大きさ
は、反作用場の考慮で大きくなるが、1分子のH2Oが
関与しても変わらないことである。
【0082】気相反応系の場合には、触媒H2O分子数
が0,1,2,3と増すにつれて、この酸化性を発現す
るO原子のMulliken電荷は−0.5052(0
分子H2O)、−0.5394(1分子)、−0.56
62〜−0.5902(2分子)、−0.5981〜−
0.6180(3分子)のように増加した(MP2/a
ug−cc−pVDZレベルでの値)。今回用いたSC
RF法では、電荷分布は実測値を未だ再現できないもの
の、反作用場の効果はε=78.3ではほぼ飽和してい
ると見てよい。すなわち、多数のH2O分子が液相(例
えば、種々方向を向いた電気双極子の平均和)としてH
2OOの分極を促進しても、その効果は今回得られた分
極量ではほぼ飽和しているだろうと考えられる。
【0083】ところが、気相反応系として複数のH2
分子が“最適な立体配置で"相互作用した場合には、少
なくとも3分子H2O分子まではH2OOの分極が促進さ
れている。複数のH2Oからの電気双極子相互作用を
“平均的"にまたは“方向依存的"に利用するか否かによ
って、H2OOの反応性(酸化性)を制御できることに
なる。これが、誘電相互作用に基づく液相ではなく気相
反応系を用いる第2の利点である。第1の利点は反応障
壁の低下である。
【0084】纏めると、反応作用場の考慮により、 (1)H22自己分解反応系および1分子H2O触媒系
ともに、せいぜい1〜2kcal/molの極僅かな反
応障壁低下しか見られない (2)酸化種(H2OO)の酸化性の指標となる各原子
上のMulliken電荷(分極電荷)は、反作用場の
考慮で大きくなるが、そこにH2Oが関与しても変化し
ない ことが明らかになった。
【0085】これより、H2Oの触媒的効果、すなわ
ち、見かけの反応障壁低下と酸化性の増大効果は、 (3)H2Oが集団として反応系に及ぼす誘電的性質に
よるものではない (4)H22とH2Oの協奏的な反応により初めて実現
される、気相反応系に代表される分子間の直接的反応で
ある ことが分かった。
【0086】これは、H22+nH2O系における酸化
種生成反応の促進、および酸化性の制御において、誘電
体的性質を生じさせるような分子数の水分子(例えば、
液相、固層)は不要であり、純水の使用量削減に寄与で
きることを示している。
【0087】ただし見かけの障壁低下を有効に利用する
には、H22分子へのH2O吸着エネルギーを内部エネ
ルギーとして保存して散逸させないこと、すなわち反応
性生物の衝突緩和を抑制することがプロセス条件として
重要であるが、液相でそのような制御を行うことは困難
である。したがって、オキシウォータの生成は、気相反
応系で行うことが有効であるといえる。その代わりに、
汚染除去に関しては、液相反応系の利点である水和によ
る金属イオン除去とゼータ電位制御によるパーティクル
の静電除去に相当する工程を考える必要はある。
【0088】上述した1分子のH22と3分子までのH
2Oとによる分子間水素移動過程並びに分子内水素移動
過程についての理論的検討結果について以下に纏める。
【0089】気相反応系を実現すれば、H22分子内水
素移動過程では、触媒であるH2O分子のオリゴマー化
による障壁低下促進効果が認められる。また、H22
2O分子間水素移動過程に関しては、H2O分子のオリ
ゴマー化による効果は認められないものの障壁低下が生
じる。特に、解離極限を基準とした場合の吸熱量−すな
わち見かけ上の反応障壁は大幅に低下し、3分子のH2
Oを関与させた場合にはほぼゼロとすることができる。
一方、従来の液相反応系を過酸化水素や水の誘電的性質
による局所電場の効果として考慮するだけでは、上記見
かけ上の反応障壁はむしろ増大する。
【0090】これらの結果から、過酸化水素と水との系
において高い効率で酸化種を生成するためには、以下の
要件を満たすことが好ましい。すなわち、1分子の過酸
化水素に対して3分子の水を作用させる。また、液相及
び気相のバルク中で過酸化水素と水とを反応させるので
はなく、例えば、被処理体表面近傍へそれぞれ別々に供
給させて反応させる。或いは、液相に比べて密度が3桁
以上小さな気相バルク中でそれらのクラスタを生成し、
クラスタ生成に伴って蓄えられる内部エネルギーが衝突
緩和により失われるのを抑制しつつ被処理体表面に供給
して、被処理体表面で酸化種を生成する。或いは、過酸
化水素及び水をそれらのクラスタ化を抑制しつつ被処理
体表面に供給するために、H2Oトリマー、H2Oダイマ
ー、H2Oモノマー、H22ダイマー、及びH22モノ
マーの回転励起が可能な3GHz以上のマイクロ波を印
加する。これらの少なくとも1つを採用することによ
り、より高い効率で酸化種を生成することが可能とな
る。
【0091】次に、上述した方法により生成した酸化種
を用いた表面処理について説明する。
【0092】図10及び図11は、本発明の一実施形態
に係る表面処理方法を概略的に示す図である。本実施形
態においては、本発明の方法を洗浄処理に適用した場合
について説明する。
【0093】まず、図10に示すように、液相或いは本
質的に液相に類似の凝縮相(蒸気など)のH22及びH
2Oにマイクロ波を照射する。H22及びH2Oはそれぞ
れ大きなサイズのクラスタを形成しているが、所定のマ
イクロ波を照射することにより、小さなサイズのクラス
タを選択的に得ることができる。
【0094】次に、図11に示すように、これらクラス
タを、例えばH22とH2Oのモル比が被処理体である
Si基板11の表面で1:3となるように供給する。基
板11の表面に供給されたクラスタは、極めて効率的に
オキシウォータ等の酸化種を生成してSi基板11の表
面の有機物35を分解する。また、金属汚染物36も、
その表面から金属酸化物を形成する。その結果、基板1
1の表面に有機物を介して付着していた金属汚染物36
やパーティクル37等が除去される。なお、有機物の分
解と同時に或いは分解後に、必要に応じて、例えば、H
F等のフッ素を含むガスや金属とキレート化合物を形成
するキレート剤等を供給してもよい。これにより、金属
汚染物等の除去はさらに効率的となる。
【0095】以上、本発明の方法を洗浄処理に適用した
場合について説明したが、本発明の方法は、被処理体表
面の洗浄以外にも、例えば、被処理体表面へのシリコン
酸化膜形成や金属酸化膜形成や化学的気相成長成膜や物
理的気相成長成膜のような成膜、及び被処理体表面のド
ライエッチングのようなエッチング等の表面処理に適用
することができる。
【0096】次に、上述した表面処理を実施するための
装置について説明する。
【0097】図12は、本発明の一実施形態に係る表面
処理システムを概略的に示す図である。図12に示す表
面処理システムは半導体処理用の表面処理システムであ
って、半導体処理装置1とこれに接続された収納容器2
とで主に構成されている。
【0098】半導体処理装置1は、処理室3とロードロ
ック室4とで主に構成されている。処理室3とロードロ
ック室4とはゲートバルブ5を介して連結されている。
また、ロードロック室4と収納容器2とは、それらの間
に設けられたゲートバルブ6からなるクラスタツール構
造と、このゲートバルブ6に連結された接続手段7と、
収納容器2の側壁面に設けられた扉8とを介して連結可
能に設けられている。なお、図12に示す表面処理シス
テムは、ロードロック室4にゲートバルブ5を介して接
続された処理室3が複数個連結された構造であってもよ
い。
【0099】半導体処理装置1は、基板11に対して、
ドライ洗浄処理、酸化処理、拡散処理、熱処理、成膜処
理、及びエッチング処理の少なくとも1つを行うための
装置である。処理室3内には気密な処理容器9が設置さ
れ、この容器9内には被処理体である基板11を載置す
る載置台10が設けられている。この載置台10には加
熱機構と冷却機構とが設けられており、基板温度を制御
可能である。処理容器9は、Al−Mg合金等のアルミ
ニウム合金のような金属材料により形成されている。処
理容器9の内壁は、その腐蝕や壁面からのガス放出や重
金属の析出による基板11の汚染並びにそれに起因して
半導体装置に不良を生じさせるのを防止するために、通
常、研磨された後に酸化不動態膜かフッ化不動態膜が形
成されるか、或いはSiO2、SiC、或いはSiNの
ような他の材料で被覆されている。
【0100】処理室3内には、載置台10の載置面に対
向して複数のプロセスガスを混合して供給するためのシ
ャワーヘッド12が設けられている。このシャワーヘッ
ド12には、基板11の表面処理に使用する複数のプロ
セスガスを供給するためのガス供給手段13が、開閉バ
ルブ14を有する配管を介して接続されている。なお、
ここでは、複数のプロセスガスとは過酸化水素と水とを
含むガスであるものとする。
【0101】図12において、シャワーヘッド12やガ
ス供給手段13等は1つのみ描かれているが、通常は、
これらは複数設けられる。この場合、それぞれのガス供
給手段13から種類の異なるプロセスガスを所望の流量
でシャワーヘッド12に供給することができる。例え
ば、過酸化水素と水とのモル比が半導体基板11の表面
近傍で1:3となるように流量を制御可能である。過酸
化水素と水とは、それぞれ別々に供給してもよく、混合
ガスとして供給してもよい。さらに、これらガスは、他
のガスで希釈してもよい。そのようなガスとしては、希
ガス、窒素、及び酸素等のように振動自由度が60以下
のガスを挙げることができる。
【0102】処理容器9の底面には排気口15が設けら
れている。処理容器9は排気口15を介して排気手段1
6、例えばロータリーポンプとターボモレキュラポンプ
との組合わせと接続されている。排気手段16は、処理
容器9内の過酸化水素を含むガスの分圧、水を含むガス
の分圧、或いは過酸化水素と水を含むガスの分圧を、例
えば1013hPa〜1×10-8hPaの所定の真空度
に真空排気する。
【0103】なお、処理室3において、プラズマアシス
トの処理、例えばドライ洗浄処理、エッチング処理、成
膜処理、酸化処理、或いは熱処理を行う場合には、処理
容器9は電気的に接地され、載置台10は下部電極とし
て、例えば100kHz〜500kHzの高周波電場が
マッチング回路を介して印加されるように構成されるの
とともに、シャワーヘッド12は上部電極として例えば
15GHz、発生出力0.3〜3kWの高周波電場がマ
ッチング回路を介して印加されるように構成される。
【0104】このマイクロ波の周波数は、水クラスタを
3分子クラスタ以下にするのに要する周波数が3.4G
Hz以上であることと、過酸化水素クラスタを2分子ク
ラスタ以下にするのに要する周波数が3.2GHz以上
であることとを考慮すると、3GHz以上であることが
好ましい。
【0105】また、過酸化水素と水とを含むガスの供給
には、過酸化水素と水の共沸混合溶液からの蒸気を希釈
キャリアガスで供給するラインと水蒸気のみを供給する
ラインからの供給ガスを用いて、過酸化水素と水とのモ
ル比が半導体基板11の位置で1:3となるように調整
してもよい。
【0106】以上のように構成された処理室3と隣接す
るロードロック室4とは、基板11の搬入時に自動的に
開くゲートバルブ5で連結可能に設けられている。
【0107】ロードロック室4は気密構造を有してお
り、内部には基板11を搬送し、隣接した処理室3の載
置台10上に基板11を載置する搬送手段17が設けら
れている。搬送手段17は、ロードロック室4の底部に
磁気レールによりシールされ、回転・上下動・X軸また
はY軸駆動可能な駆動軸をもって外部に設けられた駆動
手段18と連結されている。この駆動手段18の駆動力
により、搬送手段17は、前進・後退・回転・上下の動
きを行うように構成されている。
【0108】ロードロック室4内へは、外部に設けられ
たガス供給手段19により不活性ガス、例えばN2、A
rまたはクリーンエアが、開閉バルブ20を介してロー
ドロック室4内に設けられたフィルタ21により供給さ
れるように構成されている。このフィルタ21は、ガス
のシャワーヘッドと同様の細かな穴を多数開口したもの
や、さらに細かな焼結体に形成された多孔質体を用いる
ことができる。
【0109】ロードロック室4の底部には、排気口22
及びバルブ23を介して排気手段24、例えばターボポ
ンプとロータリーポンプとが設けられている。この排気
手段24により、ロードロック室4は、大気圧から所定
の真空度、例えば数10hPa〜1×10-5hPaに真
空排気される。
【0110】ロードロック室4の処理容器50は、例え
ばAl−Mg合金等のアルミニウム合金のような金属材
料により形成されている。処理容器50の内壁は、その
腐蝕や壁面からのガス放出や重金属の析出を防止するた
めに、通常、研磨された後に酸化不動態膜かフッ化不動
態膜が形成されるか、或いはSiO2、SiC、或いは
SiNのような他の材料で被覆されている。
【0111】以上のように構成されたロードロック室4
と隣接する接続手段7とは、ゲートバルブ6を介して連
通可能に設けられ、接続手段7には収納容器2が接続可
能に設けられている。
【0112】ロードロック室4の側壁に設けられ、開閉
可能なゲートバルブ6には、収納容器2に設けられた扉
8が接続可能な通路である接続手段7が設けられてい
る。この接続手段7には、ロードロック室4内に設けら
れた搬送手段7が基板11を保持して搬送可能な空間が
通路として設けられている。接続手段7は、気密に構成
されており、収納容器2が、ゲートバルブ6と扉8との
開口により形成される収納容器2内とにまたがって形成
される連通空間を外部から隔離し、気密なクリーン空間
を形成するように構成されている。この接続手段7に
は、不活性ガス、例えばN2、Arまたはクリーンエア
が供給されるように構成されている。接続手段7の非可
動部分は、例えばAl−Mg合金等のアルミニウム合金
のような金属材料により形成されている。接続手段7の
内壁は、通常、研磨された後に酸化不動態膜かフッ化不
動態膜が形成されるか、或いはSiO2、SiC、或い
はSiNのような他の材料で被覆されている。
【0113】収納容器2は気密構造を有しており、内部
には複数の基板11を収納可能なカセット25とこれを
保持する保持手段26とが設けられている。収納容器
2、カセット25及び保持手段26は、例えばAl−M
g合金等のアルミニウム合金のような金属材料により形
成されている。また、それらの内壁或いは治具表面は、
通常、研磨された後に酸化不動態膜かフッ化不動態膜が
形成されるか、或いはSiO2、SiC、或いはSiN
のような他の材料で被覆され、その腐蝕や壁面からのガ
ス放出や重金属の析出が防止されている。
【0114】収納容器2の側壁、例えば側壁面には、開
閉可能で、閉じた状態で気密な機構を有する扉8が設け
られている。収納容器2は、半導体処理装置1とは切り
離して、内部の雰囲気とクリーン度とを保って搬送可能
な構造となっている。収納容器2内は、この容器2の搬
送に際して、不活性ガス、例えばN2、Arまたはクリ
ーンエアを充満させた常圧状態としてもよいし、これら
ガスによる減圧雰囲気としてもよい。
【0115】収納容器2の上部には、開口27を有する
開閉バルブ28が配管により、収納容器2内のフィルタ
29に接続されている。開閉バルブ28は、外部のガス
供給手段、例えばガス供給手段19により、収納容器2
内へ不活性ガス、例えばN2、Arまたはクリーンエア
を供給するときにのみ開けられる。収納容器2の下部に
は、排気口30を介してバルブ31が接続され、このバ
ルブ31には開口32が設けられている。バルブ31
は、収納容器2の真空排気を行うときにのみ開けられ
る。この真空排気は、外部に独立して設けられた排気手
段、例えば排気手段24が、開口32に接続されたとき
に行われるように構成されている。
【0116】この収納容器2の動作について説明する。
複数の未処理の基板11を収納した収納容器2の扉8は
閉じられ、気密な状態とされる。収納容器2の内部は所
定の真空度まで真空引きされた後、不活性ガス、例えば
2、Arまたはクリーンエアを導入され、所定の真空
度に維持される。
【0117】以上のように構成された基板11の搬送シ
ステムについてその動作を説明する。複数の基板11を
収納したカセット25を内部に保持した収納容器2は、
その扉8を閉じた内部のクリーン度を、例えばクラス1
に保った状態で、自動搬送ロボットにより搬送されてき
て、半導体処理装置1のロードロック室4に隣接して設
けられた接続手段7に隣接して配置される。
【0118】ロードロック室4内の雰囲気は、排気手段
24により真空排気された後、開閉バルブ23は閉じら
れ、次にガス供給手段19により、不活性ガス、例えば
2、Arまたはクリーンエアが所定の圧力に到達する
まで、ロードロック室4内に供給される。ゲートバルブ
6及び扉8が開口し、ロードロック室4と収納容器2が
連通し、内部が共通の不活性ガス、例えばN2、Arま
たはクリーンエア雰囲気とされる。次に、ロードロック
室4内の搬送手段17が移動し、収納容器2内のカセッ
ト25より基板11を取り出し、ロードロック室4内へ
搬送する。
【0119】次に、ゲートバルブ6が閉口し、ロードロ
ック室4内が所定の真空度、例えば1×10-3hPaへ
真空排気される。次に、ゲートバルブ5が開口し、搬送
手段15の保持する基板11は、処理室3内の載置台1
0の上に移載される。
【0120】搬送手段17がロードロック室4内へ退避
した後、ゲートバルブ5は閉口し、処理室3内は所定の
真空度まで真空排気される。次に、プロセスガスが処理
室3内に供給されたり、加熱されたり、プラズマが生起
される等して、基板11に対して所定のプロセスが実行
される。
【0121】プロセスを終了した処理室3内は、真空排
気し、不活性ガス、例えばN2、Arまたはクリーンエ
ア雰囲気に置換された後、ゲートバルブ5を開口して、
基板11を搬送手段17によりロードロック室4内に搬
出する。
【0122】さらに、ゲートバルブ5を閉じて、ロード
ロック室4内を不活性ガス、例えばN2、Arまたはク
リーンエア雰囲気に置換した後、ゲートバルブ6を開け
て、搬送手段17により基板11は、収納容器2内に保
持されたカセット25の所定のスロットに戻される。以
上のように基板11の搬送システムは動作し、この動作
を順次枝葉ごとにカセット25より取り出して繰り返す
ことで、カセット25内の全ての基板11についての処
理を行う。
【0123】この一連の処理が終了すると、ゲートバル
ブ6は閉じられ、半導体処理装置1は気密な状態に戻さ
れるとともに、収納容器2の扉8も閉じられて、収納容
器2は、気密な、不活性ガス、例えばN2、Arまたは
クリーンエア雰囲気が保たれる。
【0124】次に、処理の終了した複数の基板11を収
納した収納容器2は、不活性ガス、例えばN2、Arま
たはクリーンエア雰囲気に維持されたまま、次の工程の
半導体製造装置または半導体検査装置へと搬送されてい
く。
【0125】以上のように動作され得る基板の搬送シス
テムは、半導体基板への処理が行われているとき以外
は、常時、不活性ガス、例えばN2、Arまたはクリー
ンエア雰囲気に維持されていることにより、全工程を通
じて基板を外部環境のごみ、埃、コンタミネーションか
ら保護するのみならず、重金属汚染の遮蔽効果を有する
基板搬送が可能となる一連の処理を行うことができる。
【0126】図12に示す表面処理システムでは、ロー
ドロック室4には1つの処理室3しか接続されていない
が、半導体基板に複数種の処理を逐次行うべく複数の処
理室3をロードロック室4に接続したシステムであって
もよい。さらに、収納容器2内の圧力は、処理に最適な
設定を行うことができ、例えば、不活性ガス、例えばN
2、Arまたはクリーンエア雰囲気で減圧して予め接続
するロードロック室4の圧力、例えば1×10-3hPa
に一致させて搬送することも可能である。
【0127】逆に、不活性ガス、例えばN2、Arまた
はクリーンエア雰囲気を大気圧よりも陽圧に設定して、
大気の収納容器3内への混入を防止し、ロードロック室
4との接続に先立ってこの収納容器2を減圧して、大気
圧により近づけた後、ロードロック室4と連通すること
も可能である。
【0128】また、処理容器9へのプロセスガス供給
は、シャワーヘッド12を用いたが、単独或いは複数の
ノズル形状の供給口を設けてもよい。この場合は、シャ
ワーヘッド12に代わりマイクロ波を印加するための上
部電極を設ける必要がある。
【0129】また、オキシウォータの解離を促進するた
めに、エネルギー0.4eV以上の電磁波の照射機構を
処理室3内に設けてもよい。
【0130】また、処理に用いる水は、軽水(H2O)
のみならず、重水(D2O、HDO)であってもよい。
特に、重水を用いた場合には、酸化膜の各種処理を施し
た後の電気的信頼性、例えば電気的ストレスに対する水
素起因の界面準位生成の抑制等が向上する。
【0131】また、Al、Cu、Fe、或いはNi等の
金属汚染のドライ洗浄処理を行う場合には、過酸化水素
と水とを含むガスだけでなく、さらに他のガスも使用す
ることが好ましい。これは、金属酸化物の形成によっ
て、金属と他のガス、例えばフッ化水素等との反応性が
高められることを利用するものである。
【0132】例えば、過酸化水素と水とを含むガスとハ
ロゲンを含む反応性ガスまたは金属とキレート化合物を
形成するキレート剤とを、同時に或いは交互に或いは連
続的に処理室3に供給・処理することにより、ハロゲン
化金属、ハロゲン化金属酸化物、金属キレート化合物、
及び金属酸化物キレート化合物等の比較的蒸気圧の高い
金属化合物が形成されるため、金属汚染を除去すること
ができる。ハロゲンを含む反応性ガスとしては、例え
ば、無水フッ化水素、無水塩化水素、無水臭化水素、無
水沃化水素、F2、Cl2、Br2、I2、ClF3、N
3、BF3、BCl3、BBr3、BI3、CF3Cl、C
3Br、及びCF3I等を挙げることができる。但し、
オゾン層破壊防止の観点から、Clを含むガスの使用は
可能な限り避けることが好ましい。
【0133】また、Cu等のように蒸気圧の高い金属化
合物が形成されにくい場合には、固体希ガス、固体二酸
化炭素、固体アルコール、或いは氷等を照射すること、
超音波振動を印加すること、または加熱することのよう
な物理的除去処理を行うことが好ましい。特に、上述し
た金属化合物の形成と物理的除去とを同時に、交互に、
或いは連続的に1回以上繰り返して行うことにより、C
u等の金属汚染も除去することができる。なお、超音波
振動を印加する場合には、イソプロピルアルコール等の
ように標準状態での蒸気圧が十分に高く、基板11の乾
燥が速やかに進行する有機溶媒の蒸気を処理室3に供給
して処理するか、或いは処理室3を液体状態の溶媒に基
板11を浸漬させることが可能な構造として、そこで処
理することにより、超音波の伝播効率を高めることがで
きる。
【0134】また、上述したように、過酸化水素への水
の吸着により生じた吸着熱が気体分子同士の衝突により
散逸するのを抑制するためには、処理室3内の全圧が低
く且つ排気速度が速いこと、すなわち、処理室3内での
プロセスガスの滞留時間が短いことが第1に重要であ
る。第2には、希釈供給に用いるガスの振動自由度3N
−6(Nはガス分子の構成原子数)が小さいこと、或い
は希釈供給に用いるガスの分子量が大きいことも重要で
ある。最も好ましいガスは振動自由度がゼロの重希ガス
(KrやXe)であるが、振動自由度が1の窒素や酸素
等の2原子分子も好ましい。イソプロピルアルコール等
のアルコール類は基板11上での乾燥が十分に速いた
め、希釈供給に用いるガスとしても利用可能であるが、
振動自由度は30である。イソプロピルアルコール二量
体を含め振動自由度が60以下であれば利用可能であ
る。
【0135】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0136】(実施例1)図12に示す表面処理システ
ムを用いて、以下に示す方法により、半導体基板11の
表面の金属汚染をドライ洗浄処理した。
【0137】まず、p型(100)シリコン基板11を
CuあるいはFeを含む溶液に浸漬して、その表面を強
制的に汚染させた。初期汚染濃度を気相分析法フレーム
レス原子吸光法で分析したところ、1.5×1015at
oms/cm2のCuと5×1015atoms/cm2
Feが検出された。
【0138】この基板11を処理室3の載置台10上に
載置した後、処理室3に過酸化水素と水とのモル比が
1:3である混合ガスと無水フッ化水素ガスとを全圧
6.65hPaで交互に導入し15GHzのマイクロ波
を印加して常温で洗浄処理を施した。さらに、基板11
の被処理面に対して固体二酸化炭素を照射する工程を1
サイクル10秒で10サイクル施した。
【0139】その後、基板11を取り出し残留汚染濃度
を測定したところ、7×109atoms/cm2のCu
と9×109atoms/cm2のFeが検出されるまで
に汚染を除去することができた。
【0140】(実施例2)図12に示す表面処理システ
ムを用いて、以下に示す方法により、半導体基板11の
表面の有機汚染をドライ洗浄処理した。
【0141】まず、シリコン基板11にノボラック系ポ
ジ型レジストを塗布した。この基板11を処理室3内の
載置台10上に載置した後、処理室3に過酸化水素と水
とのモル比が1:3である混合ガスを全圧6.65hP
aで導入し、15GHzのマイクロ波を印加して常温で
洗浄処理を施した。この洗浄処理工程は、1サイクル3
秒で1から150サイクル行った。
【0142】その後、基板11を処理室3から取り出
し、レジスト除去速度を測定した。レジスト除去速度は
600nm/minであった。
【0143】次に、上述した処理を施したシリコン基板
11にノボラック系ポジ型レジストを塗布した。この基
板11を処理室3内の載置台10上に載置した後、処理
室3に過酸化水素ガスと水蒸気とをモル比が1:3とな
るように全圧6.65hPaで交互に導入し、常温で1
5GHzのマイクロ波を印加しながら低圧水銀ランプか
らの紫外線照射を行う洗浄処理を施した。この洗浄処理
工程は、1サイクル3秒で5サイクル行った。
【0144】その後、基板11を取り出し残留有機汚染
を測定した。X線光電子分光法で測定したカーボン
(C)残留汚染濃度は検出限界以下にまで除去すること
ができた。
【0145】(実施例3)図12に示す表面処理システ
ムを用いて、以下に示す方法により、半導体基板11の
表面にドライ洗浄処理を施して、パーティクル除去を行
った。
【0146】まず、シリコン基板11にポリスチレン微
粒子を散布して、その表面を強制汚染させた。この基板
11を処理室3内の載置台10上に載置した後、処理室
3に過酸化水素と水とのモル比が1:3である混合ガス
を全圧6.65hPaで導入し、15GHzのマイクロ
波を印加して常温で洗浄処理を施した。この洗浄処理工
程は、1サイクル3秒で1から50サイクル行った。
【0147】その後、基板11を取り出し、0.1ミク
ロン径以上のパーティクル除去率を測定した。パーティ
クルを基板11に接着するグルーレイヤとなる有機物汚
染が過酸化水素由来の酸化種で容易に酸化除去され且つ
液相工程と異なりパーティクルの帯電が抑制されたた
め、10サイクル程度の処理で98%以上のパーティク
ル除去率を実現することができた。ポリスチレン微粒子
の代りにシリカ微粒子や窒化シリコン微粒子を散布した
場合も、同様の条件で97%以上のパーティクル除去率
を実現することが実現できた。
【0148】(実施例4)図12に示す表面処理システ
ムを用いて、以下に示す方法により、半導体基板11の
表面にシリコン酸化膜を形成した。
【0149】まず、自然酸化膜を除去したシリコン基板
11を処理室3内の載置台10上に載置した。次に、処
理室3に過酸化水素と水とのモル比が1:3である混合
ガスを全圧6.65hPaで導入し、15GHzのマイ
クロ波を印加して600℃で500分間酸化処理を施し
た。
【0150】その後、基板11を取り出し、形成された
シリコン酸化膜の特性を調べた。屈折率は1.46、酸
化膜厚は4nm、界面準位密度は1×1010/cm2
あり、5MV/cm印加時のリーク電流は2×10-10
A/cm2、欠陥密度は電子スピン共鳴法で測定したと
ころ、E'センタ、Pbセンタ、過酸化ラジカル、及び
非架橋ホールセンタ共に検出限界以下であり、従来のド
ライ酸化膜や活性酸素を用いて形成した酸化膜と同等以
上の特性が得られた。
【0151】(実施例5)図12に示す表面処理システ
ムを用いて、以下に示す方法により、所謂前処理である
ドライ洗浄処理とシリコン酸化膜形成処理との連続処理
を行った。なお、このドライ洗浄処理は、基板11の表
面の金属汚染、有機汚染、及びパーティクルを除去する
ものである。
【0152】まず、自然酸化膜を除去したシリコン基板
11を処理室3の載置台10上に載置した後、処理室3
に過酸化水素と水とのモル比が1:3である混合ガスを
全圧6.65hPaで導入し、常温で15GHzのマイ
クロ波を印加しながら低圧水銀ランプからの紫外線照射
を行う洗浄処理を施した。この洗浄処理工程は、1サイ
クル3秒で5サイクル行った。
【0153】次に、過酸化水素と水とのモル比が1:3
である混合ガスと無水フッ化水素ガスとを全圧6.65
hPaで交互に導入し、15GHzのマイクロ波を印加
して常温で洗浄処理を施し、さらに基板11に対して固
体イソプロピルアルコールを照射した。この工程は、1
サイクル10秒で10サイクル行った。
【0154】さらに、処理室3に過酸化水素と水とのモ
ル比が1:3である混合ガスを全圧6.65hPaで導
入し、15GHzのマイクロ波を印加して600℃で5
00分酸化処理を施した。
【0155】その後、基板11を取り出し、形成された
シリコン酸化膜の特性を調べた。屈折率は1.46、酸
化膜厚は4nm、界面準位密度は9×109/cm2であ
り、5MV/cm印加時のリーク電流は1×10-10
/cm2、欠陥密度は電子スピン共鳴法で測定したとこ
ろ、E'センタ、Pbセンタ、過酸化ラジカル、非架橋
ホールセンタ共に検出限界以下であり、従来のドライ酸
化膜あるいは活性酸素を用いて形成した酸化膜より優
れ、且つシリコン酸化膜形成処理を単独で行った実施例
4と同等以上の特性が得られた。なお、この連続処理は
同一処理室で行ってもよいし、或いは異なる処理室また
は他の処理装置へ被処理基板11を搬送して行ってもよ
い。
【0156】(実施例6)図12に示す表面処理システ
ムを用いて、以下に示す方法により、重水を用いたシリ
コン酸化膜形成処理を行った。
【0157】まず、自然酸化膜を除去したシリコン基板
11を処理室3内の載置台10上に載置した後、処理室
3に過酸化水素と重水(D2O)とのモル比が1:3で
ある混合ガスを全圧6.65hPaで導入し、15GH
zのマイクロ波を印加して600℃で500分酸化処理
を施した。
【0158】その後、基板11を取り出し、形成された
シリコン酸化膜の特性を調べた。as grownの酸
化膜については、重水素の含有濃度は1×1019ato
ms/cm3、屈折率は1.46、酸化膜厚は4nm、
界面準位密度は1×1010/cm2であり、5MV/c
m印加時のリーク電流は2×10-10A/cm2、欠陥密
度は電子スピン共鳴法で測定したところ、E'センタ、
Pbセンタ、過酸化ラジカル、非架橋ホールセンタ共に
検出限界以下であった。すなわち、軽水(H2O)を用
いた実施例4と同様の結果が得られた。
【0159】しかしながら、Jg=−0.01A/cm
2の電荷注入条件で10C/cm2までのF−Nストレス
印加後の界面準位密度増加は、実施例4に対して6割程
度にまで抑制された。また、F−Nストレス印加後の界
面準位密度の分散も軽水の場合に比べて大幅に減少し
た。
【0160】(実施例7)図12に示す表面処理システ
ムを用いて、以下に示す方法により、金属酸化膜の熱処
理を行った。
【0161】まず、シリコン基板11の一方の主面に設
けたTiAINバリア層の上に熱力学的に安定なSrT
iO3層を形成し、さらに、SrRuO3/BaTiO3
/SrRuO3構造の金属酸化膜キャパシタを形成し
た。
【0162】次に、このシリコン基板11を処理室3内
の載置台10上に載置した。さらに、処理室3に過酸化
水素と水とのモル比が1:3である混合ガスを全圧6.
65hPaで導入し、15GHzのマイクロ波を印加し
て600℃で90分酸化処理を施した。
【0163】この酸化処理では、真空熱処理で発生する
ような膜剥がれや膨れなどは観察されなかった。また、
X線回析法で測定したBaTiO3強誘導体層のc軸長
も0.414nmと大きな伸びを示した。強誘電特性
は、強誘電体膜厚約30nm、1V電圧印加で60mC
/cm2と良好であった。更に、ヒステリシスの角型比
が向上して、より低電圧動作が可能になった。初期イン
プリントも、白金電極で挟み1.33×10-6hPa真
空熱処理を施した場合に比べてより小さくなった。
【0164】(実施例8)図12に示す表面処理システ
ムを用いて、以下に示す方法により、フッ素添加シリコ
ン酸化膜の化学的気相堆積(CVD)処理を行った。
【0165】まず、自然酸化膜を除去したシリコン基板
11を処理室3内の載置台10上に載置した後、処理室
3に過酸化水素と水とのモル比が1:3である混合ガス
を500cm3/min、SiF4ガスを50cm3/m
in、SiH4ガスを20cm 3/minの流量で全圧
6.65hPaとなるように導入し、上部電極に15G
Hzと13.56MHzのマイクロ波を印加するのとと
もに下部電極に350kHzのRFバイアスを印加して
470℃でフッ素添加シリコン酸化膜の成膜を行った。
【0166】その後、基板11を取り出し、形成された
フッ素添加シリコン酸化膜の特性を調べた。このフッ素
添加シリコン酸化膜は、フッ素濃度が12at%、屈折
率が1.36、比誘電率が3.4である低誘電率フッ素
添加シリコン酸化膜であった。また、この基板11を、
クリーンルーム内に大気雰囲気下で1週間放置したが、
2OやSi−OHは観測されない、耐吸湿性の良好な
低誘電率フッ素添加シリコン酸化物膜が形成できた。
【0167】また、電子スピン共鳴法で測定した欠陥密
度は、E'センタが3×10-16/cm3、過酸化ラジカ
ルや非架橋ホールセンタと帰属されている欠陥が1×1
16/cm3であり、従来のプラズマCVD酸化膜より
少ないことが分かった。なお、SiF4ガス等のフッ素
を含有するガスを導入しなければ、通常のシリコン酸化
膜が形成できる。その他、フッ素添加シリコン酸化膜や
シリコン酸化膜の形成に用いるTEOS(Si(OC2
54)やそのフッ化ガス(SiFn(OC254-n
n=1〜3)、フッ化シランガスSiFn4-n,(n=
1〜3)等を用いても良い。
【0168】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、第1の分子と第2の分子とが分子間力により結合し
てなるクラスタが生成されるため、第1の分子を極めて
効率的に反応性のより高い状態とすることが可能とな
る。したがって、本発明によると、十分な速度で表面処
理することが可能である。また、本発明においては、第
1の分子及び第2の分子として、例えば過酸化水素分子
と水分子とを用いることができ、オキシウォータを用い
て被処理体の表面を処理することができる。すなわち、
本発明の方法では、環境中に排出しても問題のない化学
物質を用いて表面処理することが可能である。さらに、
本発明では、被処理体の表面処理は気相で行われる。す
なわち、液相で行う場合とは異なり、溶媒として大量の
純水を使用することなく表面処理を行うことができる。
【0169】すなわち、本発明によると、環境負荷が小
さな表面処理方法が提供される。また、本発明による
と、十分な速度で表面処理することを可能とする表面処
理方法が提供される。さらに、本発明によると、純水を
大量に使用することなく表面処理を行うことが可能な表
面処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】H22からH2OOを気相で生成する経路とエ
ネルギーとの関係を示すグラフ。
【図2】H22からH2OOを気相で生成する際のH2
2分子の構造変化を示す図。
【図3】H22からH2OOを気相で生成する際のH2
2分子の構造変化を示す図。
【図4】H22からH2OOを気相で生成する際のH2
2分子の構造変化を示す図。
【図5】H22からH2OOを気相で生成する際のH2
2分子の構造変化を示す図。
【図6】H22からH2OOを気相で生成する際のH2
2分子の構造変化を示す図。
【図7】H22からH2OOを液相で生成する経路とエ
ネルギーとの関係を示すグラフ。
【図8】H2O分子が関与しない反応に伴うH22分子
の構造変化を示す図。
【図9】1分子のH2Oが関与する反応に伴うH22
子の構造変化を示す図。
【図10】本発明の一実施形態に係る表面処理方法を概
略的に示す図。
【図11】本発明の一実施形態に係る表面処理方法を概
略的に示す図。
【図12】本発明の一実施形態に係る表面処理システム
を概略的に示す図。
【符号の説明】
1…半導体処理装置 ; 2…収納容器 ; 3…処理
室 4…ロードロック室 ; 5,6…ゲートバルブ ;
7…接続手段 8…扉 ; 9…処理容器 ; 10…載置台 ; 1
1…基板 12…シャワーヘッド ; 13…ガス供給手段 14,20,23,28,31…バルブ ; 15,2
2,30…排気口 16,24…排気手段 ; 17…搬送手段 ; 18
…駆動手段 19…ガス供給手段 ; 21,29…フィルタ ;
25…カセット 26…保持手段 ; 27,32…開口 ; 35…有
機物 36…金属汚染物 ; 37…パーティクル

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の分子と第2の分子とが分子間力に
    より結合してなるクラスタを気相で生成し、前記クラス
    タの生成に伴って生じた内部エネルギーの少なくとも一
    部を利用して前記クラスタに含まれる前記第1の分子を
    反応性のより高い状態とし、前記反応性のより高い状態
    とされた第1の分子を含むクラスタを用いて被処理体の
    表面を気相で処理する工程を具備することを特徴とする
    表面処理方法。
  2. 【請求項2】 前記第1の分子と前記第2の分子とは異
    なることを特徴とする請求項1記載の表面処理方法。
  3. 【請求項3】 前記第2の分子は、前記クラスタに含ま
    れる前記第1の分子を反応性のより高い状態とするため
    の触媒として作用することを特徴とする請求項1記載の
    表面処理方法。
  4. 【請求項4】 前記第1の分子は過酸化水素分子であ
    り、前記第2の分子は水分子であることを特徴とする請
    求項1記載の表面処理方法。
  5. 【請求項5】 前記反応性のより高い状態とされた第1
    の分子はオキシウォータを含むことを特徴とする請求項
    4記載の表面処理方法。
  6. 【請求項6】 前記第1の分子と前記第2の分子とを前
    記被処理体の表面近傍でそれらのモル比が略1:3とな
    るように供給することを含む請求項4記載の表面処理方
    法。
  7. 【請求項7】 前記反応性のより高い状態とされた第1
    の分子を含むクラスタに電磁波を照射することを特徴と
    する請求項1記載の表面処理方法。
  8. 【請求項8】 前記第1の分子及び前記第2の分子を、
    前記第1の分子を含むガス及び前記第2の分子を含むガ
    ス或いは前記第1の分子と前記第2の分子とを含む混合
    ガスとして前記被処理体の表面に供給し、前記第1の分
    子を含むガス、前記第2の分子を含むガス、前記混合ガ
    スの少なくとも1つにマイクロ波を印加することを特徴
    とする請求項1記載の表面処理方法。
  9. 【請求項9】 前記第1の分子を含むガス、前記第2の
    分子を含むガス、前記混合ガスの少なくとも1つは、振
    動自由度が60以下の分子からなるガスで希釈されたこ
    とを特徴とする請求項8記載の表面処理方法。
  10. 【請求項10】 前記被処理体の表面を気相で処理する
    工程は、前記反応性のより高い状態とされた第1の分子
    を含むクラスタを用いて前記被処理体の表面或いは前記
    被処理体の表面に付着した汚染物を酸化することを含む
    請求項1記載の表面処理方法。
  11. 【請求項11】 前記被処理体の表面を気相で処理する
    工程は、前記被処理体の表面を洗浄する工程、前記被処
    理体の表面への成膜工程、及び前記被処理体表面のエッ
    チング工程からなる群より選ばれる少なくとも1種の工
    程であることを特徴とする請求項1記載の表面処理方
    法。
  12. 【請求項12】 前記被処理体は半導体基板であり、前
    記被処理体の表面を気相で処理する工程は、前記被処理
    体の表面を洗浄する工程、前記被処理体の表面へのシリ
    コン酸化膜形成工程、前記被処理体の表面への金属酸化
    膜形成工程、前記被処理体の表面への化学的気相成長成
    膜工程、前記被処理体の表面への物理的気相成長成膜工
    程、前記被処理体表面の熱処理工程、及び前記被処理体
    表面のドライエッチング工程からなる群より選ばれる少
    なくとも1種の工程であることを特徴とする請求項1記
    載の表面処理方法。
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