JP2001165706A - バリアブルリラクタンス型角度検出器 - Google Patents

バリアブルリラクタンス型角度検出器

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量かつ低コストで高調波成分の除去、精度
の向上及び機械巻きを可能としたバリアブルリラクタン
ス型角度検出器を提供する。 【解決手段】 固定子1のスロット2内に励磁巻線4と
n相の出力巻線6,7を有し、前記固定子1に対して回
転自在に設けられ、前記固定子1との間のギャップパー
ミアンスが角度θに対して正弦波状に変化する形状を有
すると共に磁性部材のみで巻線を有しない構成の回転子
5を有するバリアブルリラクタンス型角度検出器であっ
て、前記励磁巻線4の極数は磁極3の数の1/2であ
り、前記n相の出力巻線6,7の1相分の出力巻線6,
7に発生する誘起電圧分布が正弦波分布となるように前
記出力巻線6,7が巻かれている構成のバリアブルリラ
クタンス型角度検出器とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バリアブルリラク
タンス型角度検出器に関し、特に、励磁巻線を各磁極に
対して1つおきの磁極ピッチで巻回することにより、高
調波成分の除去、精度の向上、コストの低減および機械
巻きを可能とするための新規な改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の角度検出器としては、図
3〜5に示すレゾルバを挙げることができる。すなわ
ち、図3において、固定子1は、4個の突極3間に形成
された4個のスロット2を有する輪状の磁性体であり、
各突極(磁極)3には、各スロット2内に位置するよう
に1相の励磁巻線4が巻回されている。この固定子1の
中心位置には、巻線を有しない鉄心のみよりなる回転子
5が回転自在に設けられ、この回転子5の中心が固定子
1の中心とずれて偏心しているため、この回転子5と固
定子1の突極3との間のギャップパーミアンスは角度θ
に対して正弦波状に変化するように前記回転子は構成さ
れている。
【0003】また、 sin, cos出力巻線6,7が各磁極
3に対して各々1つおきの磁極ピッチで巻かれ、 sin出
力巻線6からは sin波の sin出力電圧8が出力され、 c
os出力巻線7からは cos波の cos出力電圧9が出力され
る。なお、図4に示すように、前記励磁巻線4は各磁極
3に順次すなわち1スロットピッチで設けられている。
従って、図5に示すように、励磁巻線4を介して供給さ
れた励磁電圧により、回転子5の回転と共に、 sin出力
巻線6及び cos出力巻線7からは、図3に示すa,B,
c,Dに応じた波形を、図6に示すように、回転子5の
回転に応じて、a+Bの cos出力電圧9及びc+Dの s
in出力電圧8が出力される。
【0004】従来のバリアブルリラクタンス型角度検出
器は、以上のように構成されているため、次のような課
題が存在していた。すなわち、回転子と固定子間のギャ
ップの変化によって出力巻線をクロスする磁束の変化量
を電圧の出力変化として検出しているため、出力電圧は
sinθ及び cosθに比例して変化するが、この回転子の
形状の誤差分の影響を受け、高調波成分が発生し、出力
精度を向上させることが極めて困難であった。また、コ
イルで高調波成分を除去するとすれば図5に示すように
出力巻線を短節巻きにする手段がとれるがこの方法は励
磁巻線と出力巻線が各スロットに飛越し巻きであるた
め、機械巻が非常に困難であった。
【0005】このような問題を解決するために、例え
ば、特開平8−178611号公報に示されるようなバ
リアブルリラクタンス型角度検出器が提案されている。
この文献に記載されているバリアブルリラクタンス型角
度検出器は、出力巻線の1相分の出力巻線に発生する誘
起電圧分布が正弦波分布となるように前記出力巻線を巻
回している。しかしながら、励磁巻線は各磁極にその磁
極に対応した巻線が巻回されることとなるので、巻線数
(量)を減らすことは困難であり、製造コストの低減を
困難なものにしていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、軽量
かつ低コストで高調波成分の除去、精度の向上及び機械
巻きを可能としたバリアブルリラクタンス型角度検出器
を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記の本発
明により達成される。 (1) 固定子1のスロット2内に励磁巻線4とn相の
出力巻線6,7を有し、前記固定子1に対して回転自在
に設けられ、前記固定子1との間のギャップパーミアン
スが角度θに対して正弦波状に変化する形状を有すると
共に磁性部材のみで巻線を有しない構成の回転子5を有
するバリアブルリラクタンス型角度検出器であって、前
記励磁巻線4の極数は全磁極3の数の1/2であり、前
記n相の出力巻線6,7の1相分の出力巻線6,7に発
生する誘起電圧分布が正弦波分布となるように前記出力
巻線6,7が巻かれているバリアブルリラクタンス型角
度検出器。 (2) 前記励磁巻線4を出力用に、前記出力巻線6,
7を励磁用とすることにより、n相励磁/1相出力を構
成する上記1のバリアブルリラクタンス型角度検出器。
【0008】
【作用】本発明によるバリアブルリラクタンス型角度検
出器においては、励磁巻線が各磁極に対して1つおきの
磁極ピッチで巻かれ、出力巻線は、各磁極に対して1磁
極ピッチで巻かれている。そして、発生する誘起電圧分
布が正弦波分布となるように分布巻きにされ、かつ固定
子との間のギャップパーミアンスが角度θに対して正弦
波状に変化する形状の回転子が回動自在に設けられてい
るため、各出力巻線からは回転子の回転に応じて sin出
力電圧及び cos出力電圧が得られる。従って、この各出
力電圧に含まれる高調波成分を低減させることができ
る。また、各磁極に1磁極ごとに巻線を巻くため、巻線
機による機械巻きが可能である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のバリアブルリラクタンス
型角度検出器は、固定子1のスロット2内に励磁巻線4
とn相の出力巻線6,7を有し、前記固定子1に対して
回転自在に設けられ、前記固定子1との間のギャップパ
ーミアンスが角度θに対して正弦波状に変化する形状を
有すると共に磁性部材のみで巻線を有しない構成の回転
子5を有するバリアブルリラクタンス型角度検出器であ
って、前記励磁巻線4の極数は全磁極3の数の1/2で
あり、前記n相の出力巻線6,7の1相分の出力巻線
6,7に発生する誘起電圧分布が正弦波分布となるよう
に前記出力巻線6,7が巻かれているものである。
【0010】このように、励磁巻線4の極数が磁極3の
数の1/2となるように巻回することで、換言すれば、
一つおきの磁極に巻線を巻回することにより、約半分程
度の巻線量で、全ての磁極に励磁巻線を巻回したのと略
同等の効果が得られる。
【0011】本発明の固定子1は、中空輪状の磁性体で
あって、その中心方向には突出した複数の磁極を有し、
これらの磁極間に巻線が巻回されるスロットを有する構
成となっている。
【0012】このような固定子の磁極には、励磁巻線と
出力巻線とが巻回される。励磁巻線は磁界発生用の巻線
であり、出力巻線はこの励磁巻線により発生し、回転子
の回転移動によって変化する磁界により励起される励起
電圧を取り出す巻線である。本発明では、励磁巻線を1
つの磁極おきに巻回する。また、出力巻線は発生する誘
起電圧分布が正弦波分布となるように分布巻きにする。
そして、この励磁巻線に励磁電圧を加えると、巻線が巻
回された磁極に、例えばN極が表れるように巻回する
と、励磁巻線が巻回されていない磁極にはS極が表れ
る。このため、全ての磁極に励磁巻線を巻回したのと同
等の効果が得られ、しかも、巻線数は略半分近くまで減
らすことができるので、製造コストと重量を大幅に低減
することができる。
【0013】回転子5は、変形した円筒ないし円盤状の
磁性体であって、その外側面と、固定子1の各磁極との
ギャップが回転動作により変化し、励磁巻線、出力巻線
により回転変位量に応じた出力信号が得られるように形
成されている。この形状は、その中心軸が固定子の中心
軸とずれた円盤状、あるいは円筒状の回転体としてもよ
いが、後述のように、高調波歪を除去するために、所定
の極数の突部を有する形状とすることが好ましい。
【0014】回転子5、固定子1を構成する材料として
は、磁性材料であれば特に限定されるものではなく、通
常のレゾルバに使用されている材料を用いることが可能
であるが、なかでもケイ素鋼板、電磁軟鉄等が好まし
く、特にケイ素鋼板が好ましい。
【0015】次に、回転子5のより詳細な形状について
説明する。回転子5の形状は、通常のバリアブルリラク
タンス型レゾルバの回転子の形状を決定する手法を用い
ることができるが、好ましくは、特許第2698013
号に記載されている手法を用いる。
【0016】回転子5はN個の突極を有する磁性材で巻
線を設けない構造において、励磁巻線の電流によって生
ずる起磁力と突極によるギャップパーミアンスの変動と
の作用で、回転子が全円周の1/N動くときに、その磁
束密度のピーク値の空間的位置は全円周の1/N動くこ
とを利用する。
【0017】この磁束密度による出力巻線への誘導電圧
は、励磁巻線を単相とし、出力巻線を2相または3相と
した場合には、回転子の全円周の1/Nの動きを1周期
とする正弦波形の2相または3相電圧となり、励磁巻線
を2相とし、出力巻線を単相とした場合には、回転子が
全円周の1/N動くときに位相が2π変化する正弦波電
圧となる。これらの電圧と回転子位置との関係は、現在
使用されているレゾルバあるいはシンクロの場合と同一
であるので、この出力電圧をR/D変換手段で処理する
ことによって、構造簡単で安価なレゾルバあるいはシン
クロとして使用することができる。
【0018】この方式においては、誤差の原因となる出
力巻線の誘導電圧に含まれる高調波成分を最小にするこ
とが重要である。本発明では、N個の突極によるギャッ
プパーミアンス係数の回転子位置θによる変動がcos
(Nθ)に比例する値となり、これに対する高調波成分
が極めて小さくなるような突極形状とすることによっ
て、これを実現できる。
【0019】本発明のバリアブルリラクタンス型角度検
出器は、角度検出のみならず、角速度(回転速度)の検
出や回転方向の検出に用いることができる。その用途も
自動車のステアリング回転角検出のみならず、種々の回
転体の回転角検出に用いることができる。
【0020】
【実施例】<実施例1>以下、図面と共に本発明による
バリアブルリラクタンス型角度検出器の好適な実施例に
ついて詳細に説明する。なお、従来例と同一又は同等部
分には同一符号を付して説明する。図1において固定子
1は、12個の突極3間に各々形成された12個のスロ
ット2を有する輪状の磁性材であり、各突極3には、各
スロット2内に位置するように1相の励磁巻線4が巻回
されている。なお、この励磁巻線4の極数は磁極3の数
の1/2である。この固定子1の中心位置には、巻線を
有しない鉄心のみよりなる回転子が回転自在に設けら
れ、この回転子5の中心が固定子1の中心とずれて偏心
しているため、この回転子5と固定子1の突極3との間
のギャップパーミアンスは角度θに対して正弦波状に変
化するように前記回転子5は構成されている。なお、こ
の回転子5は、偏心構成に限らず、同心で形状が円でな
く変形して凹凸形等とした場合も同じ作用を有するもの
である。
【0021】また、2相で互いに電気角が90°異なっ
て各スロット2に1スロットピッチ(スロット飛びを伴
うことなく、各スロットに順次巻線を入れる状態)で巻
かれた sin出力巻線6及び cos出力巻線7は、図1には
示していないが図2で示される状態のように、その誘起
電圧分布が各々正弦波分布となるように分布巻き(その
巻線の巻き数(量)も正弦波分布状となる)で構成され
ている。前記各出力巻線6,7の巻数は、 sinθ( cos
θ)に比例したターン数でかつその極性(正巻又は逆
巻)は、 sin出力電圧8と cos出力電圧9の各スロット
2位置での極性に合うように、励磁巻線4によって誘起
される磁束の極性を考慮しつつ決定する。
【0022】すなわち、図2に示すように、励磁巻線4
が正極(N)で出力巻線6,7が正巻の場合は正相出
力、励磁巻線4が正極(N)で出力巻線6,7が逆巻の
場合は逆相出力、励起磁巻線4が逆極(S)で出力巻線
6,7が正巻の場合は逆相出力、励磁巻線4が逆極
(S)で出力巻線6,7が逆巻の場合は正相出力となる
巻線構造を前提として、 sin出力電圧8及び cos出力電
圧9が sin状及び cos状となるように各出力巻線6,7
の極性(正巻が逆巻)を決める。
【0023】なお、前述の図1の構成は、2相出力の1
X(Xは軸倍角)の場合を示しているが、n相出力及び
多極出力型(2X以上)も可能であることは述べるまで
もなく、前述の12スロットの場合に限ることなく、1
2以外の何れのスロット数も可能である。また、図1の
構成は、1相励磁/n相(2相)出力の場合を示してい
るが、励磁側と出力側を逆とし、n相(2相)励磁/1
相出力とすることも可能である。
【0024】<実施例2>本発明の出力巻線は分布巻と
することが好ましい。このような分布巻の具体的な構成
例を以下の表1に示す。表1に示す分布巻は、図1に示
すような固定子に巻線を巻回したものであって、この例
では磁極数が12となっている。
【0025】
【表1】
【0026】表1において励磁コイルはN極を形成する
磁極部分にのみ巻回され、S極を形成する磁極には巻回
されていない。また、出力コイルの各出力は、その巻数
に応じた励磁電圧が発生し、これらがそれぞれ重ね合わ
されて正弦波状の出力波形が得られる。
【0027】このような分布巻の励磁コイル(20Ω)
に10kHz、7V(rms)を加えたところ、各出力コイル
から、それぞれ2V(rms)の正弦波状の出力電圧が得ら
れた。なお、このときの出力コイルA,Bはそれぞれ4
0Ωであり、得られた出力波形は2サイクルで歪みの少
ない sin、 cos波形であった。
【0028】
【発明の効果】以上のように、本発明のバリアブルリラ
クタンス型角度検出器は、出力巻線を1スロットピッチ
でかつ巻数(量)が正弦波分布となるように設けられて
いるため、励磁巻線の数(量)が従来の半分で済み、軽
量化と大幅なコストダウンを実現できる。また、出力電
圧(誘起電圧)に含まれている高調波成分を低減させる
ことができる。このため、従来構成に比べて角度検出精
度を改善(誤差を1/2〜1/5)することができる。
また、この正弦波分布を1スロットピッチの分布巻きに
より作っているため、巻線機による機械巻を用いた自動
化が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるバリアブルリラクタンス型角度検
出器を示す概略構成図である。
【図2】図1の各スロットの巻線構造を示す説明図であ
る。
【図3】従来の角度検出器の構成図である。
【図4】図3の各スロットの巻線構造を示す説明図であ
る。
【図5】従来の巻線構造を示す説明図である。
【図6】図6の出力電圧を示す波形図である。
【符号の説明】 1 固定子 2 スロット 4 励磁巻線 5 回転子 6,7 出力巻線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 成瀬 誠 東京都調布市調布ヶ丘3丁目6番地2 サ ムタク株式会社内 Fターム(参考) 2F063 AA35 BA08 CA34 CB05 CB20 CC08 DA05 EA03 GA18 GA22 GA33 GA36 GA79 KA01 2F077 AA45 CC02 FF27 FF34 PP23 TT06 TT43 VV11

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定子(1)のスロット(2)内に励磁
    巻線(4)とn相の出力巻線(6,7)を有し、 前記固定子(1)に対して回転自在に設けられ、前記固
    定子(1)との間のギャップパーミアンスが角度θに対
    して正弦波状に変化する形状を有すると共に磁性部材の
    みで巻線を有しない構成の回転子(5)を有するバリア
    ブルリラクタンス型角度検出器であって、 前記励磁巻線(4)の極数は全磁極(3)の数の1/2
    であり、前記n相の出力巻線(6,7)の1相分の出力
    巻線(6,7)に発生する誘起電圧分布が正弦波分布と
    なるように前記出力巻線(6,7)が巻かれているバリ
    アブルリラクタンス型角度検出器。
  2. 【請求項2】 前記励磁巻線(4)を出力用に、前記出
    力巻線(6,7)を励磁用とすることにより、n相励磁
    /1相出力を構成する請求項1のバリアブルリラクタン
    ス型角度検出器。
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