JP2001162530A - 内研用小径砥石の成形方法、および、内研用小径砥石の成形装置 - Google Patents

内研用小径砥石の成形方法、および、内研用小径砥石の成形装置

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JP2001162530A
JP2001162530A JP35330599A JP35330599A JP2001162530A JP 2001162530 A JP2001162530 A JP 2001162530A JP 35330599 A JP35330599 A JP 35330599A JP 35330599 A JP35330599 A JP 35330599A JP 2001162530 A JP2001162530 A JP 2001162530A
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Hiroshi Shirata
啓 白田
Shuichi Kanazawa
秀一 金沢
Masayuki Takahashi
征幸 高橋
Masahito Inoue
雅人 井上
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Micron Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内研用の小径砥石4がロータリドレッサの研
削力を受けても大きく撓むことの無いようにして、ツル
ーイングおよび/またはドレッシングの精度を確保す
る。 【解決手段】 2個のロータリドレッサ・甲9とロータ
リドレッサ・乙10とを用い、それぞれの中心軸χ1
χ2を、「前記内研用小径砥石4の軸心Xとほぼ同一平
面上に位置せしめるとともに、ほぼ平行ならしめ、これ
ら1対のロータリドレッサによって内研用小径砥石4を
挟みつけた形で、ツルーイングおよび/またはドレッシ
ングを行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、最終被加工物であ
る製品の内周面を研削するための砥石車の研削面の形状
を整えるツルーイング、および/または、該研削面の研
削性能(切れ味)を良くするための表面加工であるドレ
ッシングを行なう方法、および同装置に係り、特に前記
の砥石車が、直径5ミリメートル以下であって撓み易い
場合に適用して実用的価値が高いものである。
【0002】
【従来の技術】研削用の砥石車(研削砥石)は一般に、
砥粒を結合材で固めたものであり、砥粒とほぼ同程度の
微小な空隙を多数含んでいる。高精度の研削を行なうた
めには、先ず第一に研削砥石の研削面の形状が正確に形
成されていることが必要である。研削砥石の研削面を所
定の形状に形成する作業をツルーイングと呼び、成形用
の刃物として機能する器具はツルーア、もしくはツルホ
と呼ばれている。使用に伴って研削砥石の表面から砥粒
が脱落するなどして、該研削砥石の研削面は後退傾向に
変化してゆく。上記研削砥石の研削面の後退(摩損)が
均一であるならば、後退した寸法だけ該研削砥石を最終
被加工物へ接近させる方向に前進させればよいのである
が、上記の後退(摩損)は一般に、厳密には均一でな
い。従って、研削砥石が使用に伴って摩損した場合は、
その形状を整えるツルーイングを施さねばならない。研
削砥石の表面は、使用に伴って上述のように摩損を生じ
て減寸するが、これと同時に目詰まりして研削性能(切
れ味)が悪くなる、という問題も有る。研削砥石は先に
述べたように、多数の微細な砥粒と、結合材と、空隙と
から出来上っており、結合材のベースの表面から砥粒が
顕微鏡的に突出している状態が望ましい。ところが、砥
粒が脱落したり、空隙に異物が溜まったりして、上記の
砥粒が埋没してしまうと(突出しなくなると)、目詰ま
り状態になって切れ味が悪くなる。このため、前記のツ
ルーイングと併せて、研削砥石の表面状態を整えるドレ
ッシングを行なわねばならない。
【0003】研削工学における研削砥石のメンティナン
スについて、前記のツルーイングとドレッシングとは区
分して考えられている。しかしながら、実用技術の面に
おいては、ツルーイングもドレッシングも、要するに超
硬工具によって研削砥石の表面を削り落とす作業であっ
て、両者の間に明確な境界を定め難い。こうした事情に
より、当業界における技術用語は、時として両者を混同
している。本発明は、後に詳しく述べるように、ツルー
イングに適用することもでき、ドレッシングに適用する
こともでき、更にツルーイングとドレッシングとを同時
に遂行することもできる。しかし、構成部材の名称につ
いては、いちいち「ツルーイングに兼用し得るドレッ
サ」などと記述することは余りにも煩雑であるから、本
発明において単にロータリドレッサと言えば「ツルーイ
ングに兼用し得る、ドレッシング用の回転砥石(砥石
車)」を指すものとし、単にドレッシング手段と言えば
「ロータリドレッサを支持して回転駆動する手段」を指
すものとする。ただし従来技術を説明するために文献を
引用する場合は、該引用文献に用いられている用語を用
い、紛らわしい場合は括弧書きで注記を付することにす
る。なお、本発明の対象である技術分野においては、2
段階に「研削」が行なわれる。すなわち、 a.研削砥石によって、製品の内周面を研削すること
と、 b.上記研削砥石をドレッサによってツルーイングおよ
び/またはドレッシングすることと、である。 これに伴って、「被加工物」という概念も2段階にな
る。そこで、本発明においては、上記a項の被加工物で
ある製品を、特に「最終被加工物」と呼んで区別する。
従って、単に被加工物と言えば「ツルーイングおよび/
またはドレッシングの対象である研削砥石」を指す。
【0004】本発明の対象は研削砥石であるが、特に、
内研用小径砥石を適用の対象とする。図6は、内研用小
径砥石によって最終被加工物を研削している状態を説明
するために示したもので、(A)はコレットチャックの
内周面を研削している状態の断面図、(B)はボールジ
ョイントの凹球面を研削している状態の断面図、(C)
はディゼルエンジン用燃料噴射ノズルのニードル案内穴
の内周面を研削している状態の断面図である。ここに挙
げたのは3例であるが、最終被加工物の内周面研削は、
この他にも、ニードルベアリングの軌道面研削,ボール
ベアリングの転動面研削,その他きわめて多種多様であ
る。しかし、内周面研削用砥石車(内研砥石)の構造は
一般に類似であって、片持ち形の軸の先端に回転体形状
の研削砥石が固着されていて、軸心の周りに回転せしめ
られる。
【0005】このような内研砥石をツルーイングおよび
/またはドレッシングする方法について、多くの基礎的
研究が為され、学会に発表されている。最新の研究発表
の1例として、1999年度砥粒加工学会学術講演会論
文集に掲載された「内面研削用小径cBNクイルのツル
ーイング」が有る(研究者:北見工業大学久保明彦、同
田牧純一、および岩手大学井山俊郎)。
【0006】図7は、cBNクイルをツルーイングする
ために試作されたツルーイング装置(ドレッシング装置
としても使用できる)の1例を示し、砥石軸にチャック
された内研用小径砥石の軸心方向に見て描かれた外観図
である。円弧矢印aは小径研削砥石の回転方向を、同b
はツルア(ドレッサ)7の回転方向を、それぞれ表して
いる。図8は、前掲の図7に示されたツルーイング装置
に設けられたツルアと、内研用小径砥石とを抽出して示
されたもので、(A)は模式的に描かれた平面図、
(B)は同じく正面図である。上記の研究は、高精度の
ツルーイングを達成するために為され、ツルーイングの
精度に影響を及ぼす諸条件(例えばツルア傾斜角θ,切
込量,研削油の種類や供給流量など)を変化させなが
ら、ツルーイングされた内研用小径砥石4の形状を精密
測定し、その結果の実測値と理論的算出値を比較検討し
たものである。以上に述べたのは最近の研究発表の1例
であるが、これと同様ないし類似の研究は、この他にも
種々行なわれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】(図6参照)最終的被
加工物の形状が小さい場合、内研用小径砥石(4A,4
B,4c)も小型になる。小型化に伴って、該内研用小
径砥石の軸部は細くなり、剛性が小さくなる。(図8参
照)内研用小径砥石4の軸部4aが細くなって剛性が低
下した状態でツルア(ドレッサに相当)7から大きい研
削力を受けると、該軸部4aが撓んで研削精度を低下さ
せる。このような軸部の撓みを軽減する方策の一つとし
て、研削力を小さくすることも考えられるが、研削力を
極端に小さくすると研削能率が低下して、ツルーイング
および/またはドレッシング作業の所要時間が著しく増
加して経済的に不利となる。本発明は上述の事情に鑑み
て為されたもので、内研用小径砥石をツルーイングおよ
び/またはドレッシングする際、作業能率をことさらに
低下させることなく高精度が得られる成形方法、および
上記の方法を実施するに好適な成形装置を提供すること
を目的とする。ただし、上記の成形とは研削面のマクロ
形状を整えるツルーイングと、研削面のミクロ形状を整
えるドレッシングとの両方を含む概念である。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに創作した本発明の基本的原理について、その実施形
態に対応する図1を参照して略述すると次のとおりであ
る。すなわち、内研用の小径砥石4がロータリドレッサ
の研削力を受けても大きく撓むことの無いようにして、
ツルーイングおよび/またはドレッシングの精度を確保
するため、2個のロータリドレッサ・甲9とロータリド
レッサ・乙10とを用い、それぞれの中心軸χ1,χ
2を、「前記内研用小径砥石4の軸心Xとほぼ同一平面
上に位置せしめるとともに、ほぼ平行ならしめ、これら
1対のロータリドレッサによって内研用小径砥石4を挟
みつけた形で、ツルーイングおよび/またはドレッシン
グを行なう。
【0009】以上に説明した原理に基づいて、請求項1
に係る発明方法の構成は、内面研削用の、直径5ミリメ
ートル以下の小径研削砥石車をツルーイングおよび/ま
たはドレッシングする方法において、被加工物である小
径研削砥石を、3次元空間内の座標軸(X)を中心とし
て回転せしめつつ、1対のロータリドレッサそれぞれの
回転中心線(χ1,χ2)を、上記座標軸(X)を含む平
面上にほぼ位置せしめるとともに、該1対のロータリド
レッサの回転中心線を相互に平行ならしめて、前記内面
研削用小径砥石の両側に位置せしめ、上記1対のロータ
リドレッサを、前記被加工物である小径研削砥石に対し
て、ほぼ同時に接触せしめてツルーイングおよび/また
はドレッシングすることを特徴とする。以上に説明した
請求項1の発明方法によると、1対のロータリドレッサ
の回転中心線を、被加工物である小径研削砥石の両側
に、平行に配置して、該小径研削砥石を挟みつける形
に、両側から同時に接触させるので、上記小径研削砥石
は1対のロータリドレッサのそれぞれから対称的に研削
力を受ける。上記の小径研削砥石は、これを支持してい
る軸部が細い上に、片持ち形に支持された状態でツルー
イングおよび/またはドレッシングを受けるので、研削
力を受けたときに撓み易い。(この内研用の小径研削砥
石は、最終被加工物を研削加工するときは研削反力を受
け、ツルーイングやドレッシングのときは研削力を受け
て撓む虞れが有る。いま当面している問題は、研削力を
受けて撓まされることである)。本請求項の発明方法に
よると、小径研削砥石が1対のロータリドレッサから対
称に研削力を受けるので、該小径研削砥石の軸部を撓ま
せるという作用に関しては、該1対のロータリドレッサ
それぞれの研削力が相殺される形になり、撓みの発生が
軽減される。そして、前記の小径研削砥石は、座標軸
(X)を中心として回転しつつツルーイングおよび/ま
たはドレッシングを受けるので、該小径研削砥石が受け
る対称の研削力に不釣合成分が有った場合にも、該不釣
合成分が小径研削砥石の軸部に与える曲げ応力は、座標
軸(X)を中心として相対的に回転する形に常に移動
し、該小径研削砥石の軸部を特定の方向に撓ませること
が無い。さらに、前記1対のロータリドレッサの回転中
心線(χ1,χ2)を、小径研削砥石の回転中心である座
標軸(X)と平行ならしめるので、該小径研削砥石の研
削面を均一にツルーイングおよび/またはドレッシング
することが容易に可能である。すなわち、被加工物であ
る小径研削砥石と加工具であるロータリドレッサとの接
触部は点ではなくて線である(きわめて厳密に言えば面
であるが、近似的に線と見做し得る)。従って、前記1
対のロータリドレッサの回転中心線と小径研削砥石の回
転中心線とを平行ならしめることによって、ほぼ均一な
線接触が得られ、かつ、基本的にはほぼ均一な研削速度
が得られ、高精度のツルーイングおよび/またはドレッ
シングを可能ならしめる。
【0010】請求項2に係る発明方法の構成は、前記請
求項1の発明方法の構成要件に加えて、前記被加工物で
ある小径研削砥石が、前記1対のロータリドレッサそれ
ぞれの接触を受ける区域を、前記座標軸(X)方向につ
いてほぼ同一ならしめるとともに、上記1対のロータリ
ドレッサを相互に同期せしめて前記座標軸(X)方向に
トラバースせしめることを特徴とする。以上に説明した
請求項2の発明方法によると、1対の(つまり2個の)
ロータリドレッサそれぞれの研削力が小径研削砥石の軸
部を撓ませようとする作用が、より完全に相殺される。
すなわち、小径研削砥石に作用する研削力が該小径研削
砥石の軸部を撓ませようとするモーメントは(研削力
の、X軸に直交する分力)×(X軸方向の腕の長さ)で
ある。従って、同じ大きさの2つの研削力が反対方向に
作用しても、該2つの研削力の作用点がX軸方向にずれ
ていればモーメントの合力はゼロにはならない。こうし
た不具合が生じないように本請求項においては、1対の
ロータリドレッサをX軸方向について同じ座標値となる
ように位置せしめるので、該1対のロータリドレッサ相
互の研削力によって生じるモーメントがほぼ完全に相殺
され、高精度のツルーイングおよび/またはドレッシン
グが可能になる。しかも、前記1対のロータリドレッサ
のX軸方向の位置を同一に揃えつつ、同期せしめてX軸
方向にトラバースさせるので、被加工物である小径研削
砥石が、高精度の円柱面に研削仕上げされ、かつ、該ロ
ータリドレッサに「X軸と直交する方向の切込み送り」
を併せて与えることにより、非円柱状の回転体形状に研
削仕上げすることも可能である。
【0011】請求項3に係る発明方法の構成は、前記請
求項1の発明方法の構成要件に加えて、前記被加工物で
ある小径研削砥石が、前記1対のロータリドレッサそれ
ぞれの接触を受ける区域を、前記座標軸(X)方向にず
らせ、該1対のロータリドレッサ相互に位相差を与え
て、上記座標軸(X)方向にトラバースせしめることを
特徴とする。以上に説明した請求項3の発明方法による
と、ツルーイングおよび/またはドレッシングに際して
比較的重研削が可能となり、しかも小径研削砥石の研削
面が綺麗に仕上げられる。すなわち、小径研削砥石が1
対の(つまり2個の)ドレッサによって研削を受ける区
域が座標軸(X)方向にずらされるので、発熱区域が座
標軸(X)方向に分散され、発熱の影響に因る不具合
(精度低下や面の荒れ、およびロータリドレッサの早期
損耗など)が防止される。瞬時的に考察すると、小径研
削砥石とロータリドレッサとの接触箇所は、座標軸
(X)方向とほぼ平行な短い線と見做すことができる
が、該小径研削砥石は座標軸(X)を中心として回転し
ているので、その回転周期程度の微小時間について考察
すると、研削による発熱区域は小径研削砥石の周方向の
輪状帯である。本請求項においては、1対のロータリド
レッサを座標軸(X)方向にずらせたので、該1対のロ
ータリドレッサによる輪状の発熱帯が重なり合わない。
このため、熱の伝導,放散が均一に近くなり、温度分布
がほぼ均一になって温度勾配が小さくなる。これによ
り、熱歪による精度低下が軽減される。その上、上述の
ようにして1対のロータリドレッサが座標軸(X)方向
にずらされると、研削液(クーラント)の注加が容易に
なり、研削粉の洗い流しが円滑に行なわれる。
【0012】請求項4に係る発明方法の構成は、前記請
求項1の発明方法の構成要件に加えて、前記1対のロー
タリドレッサのそれぞれを、前記被加工物である小径研
削砥石の被加工面について、前記座標軸(X)方向の全
域に対して、ほぼ同時に接触せしめ、かつ、該1対のロ
ータリドレッサのそれぞれを、前記座標軸(X)に対し
て接近せしめる方向に、互いに等しい切込み速さで、望
ましくは小径研削砥石に対する押圧力が互いに等しくな
るように、切込み送りすることを特徴とする。以上に説
明した請求項4の発明方法によると、ロータリドレッサ
にトラバースを行なわせることなく小径研削砥石を所望
の形状にツルーイングおよび/またはドレッシングする
ことができ、しかも、該小径研削砥石に対して過大な曲
げ応力を与える虞れが無い。これにより、ロータリドレ
ッサのトラバース精度に関連する形状,寸法誤差を生ぜ
しめることなく、前記小径研削砥石を高精度の円柱面も
しくは高精度の非円柱状回転面(例えば円錐面)に仕上
げることができる。1対のロータリドレッサを、互いに
等しい切込み速さで小径研削砥石に対して切込み送りす
ると、理論的には該1対のロータリドレッサの研削力が
互いに打ち消し合って、小径研削砥石に対して曲げ応力
を与えない。さらに、実用技術の面において、1対のロ
ータリドレッサの切込み速さを同一ならしめることにつ
いて誤差を厳密にゼロならしめることは至難である。こ
うした事情を考慮すると、該1対のロータリドレッサが
小径研削砥石に押しつけられる力(具体的には、研削反
力の、X軸に直交する分力)を相互に等しからしめるこ
とにより、実用上必要にして充分なる精度で小径研削砥
石の撓みを防止することができる。
【0013】請求項5に係る発明方法の構成は、前記請
求項4の発明方法の構成要件に加えて、前記1対のロー
タリドレッサの研削面を、「それぞれの回転中心線(χ
1,χ2)を含む仮想の面による断面形状」が、互いに等
しい曲線となるように構成して、被加工物である小径研
削砥石の側面を非円柱面形状に成形することを特徴とす
る。以上に説明した請求項5の発明方法によると、小径
研削砥石の側面(研削面)の形状を、「研削砥石として
必要とされる、任意所望の回転面形状」にツルーイング
および/またはドレッシングすることができる。このよ
うな特性を有しているので、本請求項の発明方法は、例
えば「最終被加工物としての球継手部材における球面座
を内面研削するための小径研削砥石」のように、「曲線
を回転させた場合に作られる回転面」を有する小径の研
削砥石をツルーイングおよび/またはドレッシングする
場合に好適である。いわゆる総型のロータリドレッサで
ツルーイングおよび/またはドレッシングすることのみ
を見れば公知の技術であるが、本請求項の発明方法にお
いては、1対のロータリドレッサによって被加工物(小
径研削砥石)を挟みつけるので、該1対のロータリドレ
ッサそれぞれの研削面に微小な形状誤差が有っても、互
いに補正し合って悪影響が軽減される。
【0014】請求項6に係る発明方法の構成は、前記請
求項1ないし請求項5の発明方法の構成要件に加えて、
前記1対のロータリドレッサの回転方向を相互に同一方
向ならしめて、該1対のロータリドレッサのそれぞれが
内研用小径砥石に対して与える研削力を、「該内研用小
径砥石に与えるベンディングが相互に打ち消される方
向」に作用せしめることを特徴とする。以上に説明した
請求項6の発明方法によると、ツルーイングおよび/ま
たはドレッシングに際して小径研削砥石に加えられるベ
ンディングが、より完全に相殺されて加工精度を向上せ
しめることができる。すなわち、小径研削砥石に加えら
れる研削力の方向は、該小径研削砥石の中心線である座
標軸(X)に対して交わりもせず平行でもない。そし
て、請求項1の発明方法を適用することによって「座標
軸(X)とロータリドレッサ回転中心線とを含む仮想の
平面」内におけるベンディングを、ほぼゼロならしめる
ことができた。しかし、上記請求項1の発明方向によっ
ては「座標軸(X)を含み、上記仮想の面に直交する
面」内のベンディングを防止するに充分でない。そこで
本請求項6を適用して1対のロータリドレッサを同じ方
向に回転させることにより(該1対のロータリドレッサ
が、小径研削砥石から見て互いに反対側に位置している
ので)、前記の「座標軸(X)を含み前記仮想の面に直
交する面」内のベンディングを防止することができる。
【0015】請求項7の発明に係る内研用小径砥石の成
形方法の構成は、内面研削用の、直径5ミリメートル以
下の小径研削砥石車をツルーイングおよび/またはドレ
ッシングする方法において、被加工物である小径研削砥
石を、3次元空間内の座標軸(X)を中心として回転せ
しめつつ、1対のロータリドレッサそれぞれの回転中心
線(z1,z2)を、上記座標軸(X)に直交する仮想の
平面上にほぼ位置せしめるとともに、該1対のロータリ
ドレッサの回転中心線を相互にほぼ平行ならしめ、上記
1対のロータリドレッサを、前記被加工物である小径研
削砥石に対して、ほぼ同時に接触せしめてツルーイング
および/またはドレッシングすることを特徴とする。以
上に説明した請求項7の発明方法によると、1対のロー
タリドレッサの回転中心線を、被加工物である小径研削
砥石の両側に、立体交差状に直交させた形に配置して、
該小径研削砥石を挟み付ける形に、両側から同時に接触
させるので、上記小径研削砥石は1対のロータリドレッ
サのそれぞれから対称的に研削力を受ける。上記の小径
研削砥石は、これを支持している軸部が細い上に、片持
ち形に支持された状態でツルーイングおよび/またはド
レッシングを受けるので、研削力を受けたときに撓み易
い。(この内研用の小径砥石は、最終被加工物を研削加
工するときは研削反力を受け、ツルーイングやドレッシ
ングのときは研削力を受けて撓む虞れが有る。いま当面
している問題は、研削力を受けて撓まされることであ
る)。本請求項の発明方法によると、小径研削砥石が1
対のロータリドレッサから対称に研削力を受けるので、
該小径研削砥石の軸部を撓ませるという作用に関して
は、該1対のロータリドレッサそれぞれの研削力が相殺
される形になり、撓みの発生が軽減される。そして、前
記の小径研削砥石は、座標軸(X)を中心として回転し
つつツルーイングおよび/またはドレッシングを受ける
ので、該小径研削砥石が受ける対称の研削力に不釣合成
分が有った場合にも、該不釣合成分が小径研削砥石の軸
部に与える曲げ応力は、座標軸(X)を中心として相対
的に回転する形に常に移動し、該小径研削砥石の軸部を
特定の方向に撓ませることが無い。本請求項7の発明方
法においては、ロータリドレッサの研削力が、ほぼ「小
径研削砥石の回転中心線である座標軸(X)を含む面」
内に位置する。すなわち、上記の研削力は「上記座標軸
(X)に直交する面」内の分力を含まない。従って「座
標軸(X)を含む面」内において1対のロータリドレッ
サの研削力に因る曲げ応力が相殺される上に、「座標軸
(X)に直交する面」内において小径研削砥石を撓ませ
ようとする力が発生しない。その上、本請求項7に係る
方式にロータリドレッサを配置すると、上記ロータリド
レッサの研削面を微視的に考察したとき、研削に伴って
形成されるボンドテールの発生が軽減されるので、良好
な研削性能(切れ味)を長期間にわたって保持すること
ができる。
【0016】請求項8の発明に係る内研用小径砥石の成
形装置の構成は、被加工物である内面研削用の、直径5
ミリメートル以下の小径研削砥石車を、座標軸(X)に
沿わしめて支持するとともに、該座標軸(X)の周りに
回転せしめ得る支持,回転駆動手段と、それぞれロータ
リドレッサを支持して回転せしめる、1対のドレッシン
グ手段と、を具備するとともに、上記1対のドレッシン
グ手段が支持して回転駆動している1対のロータリドレ
ッサの回転中心線(χ1,χ2)が、ほぼ「座標軸(X)
を含む平面」の上に配置されており、該1対のロータリ
ドレッサの回転中心線(χ1,χ2)が、相互に平行をな
していることを特徴とする。以上に説明した請求項8の
発明装置によると、1対のロータリドレッサの回転中心
線を、被加工物である小径研削砥石の両側に、平行に配
置して、該小径研削砥石を挟みつける形に、両側から接
触させるので、上記小径研削砥石は1対のロータリドレ
ッサのそれぞれから対称的に研削力を受ける。上記の小
径研削砥石は、これを支持している軸部が細い上に、片
持ち形に支持された状態でツルーイングおよび/または
ドレッシングを受けるので、研削力を受けたときに撓み
易い。(この内研用の小径研削砥石は、最終被加工物を
研削加工するときは研削反力を受け、ツルーイングやド
レッシングのときは研削力を受けて撓む虞れが有る。本
請求項8で解決しようとしている問題は、研削力を受け
て撓まされることである)。本請求項の発明装置による
と、小径研削砥石が1対のロータリドレッサから対称に
研削力を受けるので、該小径研削砥石の軸部を撓ませる
という作用に関しては、該1対のロータリドレッサそれ
ぞれの研削力が相殺される形になり、撓みの発生が軽減
される。そして、前記の小径研削砥石は、座標軸(X)
を中心として回転しつつツルーイングおよび/またはド
レッシングを受けるので、該小径研削砥石が受ける対称
の研削力に不釣合成分が有った場合にも、該不釣合成分
が小径研削砥石の軸部に与える曲げ応力は、座標軸
(X)を中心として相対的に回転する形に常に移動し、
該小径研削砥石の軸部を特定の方向に撓ませることが無
い。さらに、前記1対のロータリドレッサの回転中心線
(χ1,χ2)を、小径研削砥石の回転中心である座標軸
(X)と平行ならしめたので、該小径研削砥石の研削面
を均一にツルーイングおよび/またはドレッシングする
ことが容易に可能である。すなわち、被加工物である小
径研削砥石と加工具であるロータリドレッサとの接触部
は点ではなくて線である(きわめて厳密に言えば面であ
るが、近似的に線と見做し得る)。従って、前記1対の
ロータリドレッサの回転中心線と小径研削砥石の回転中
心線とを平行ならしめることによって、ほぼ均一な線接
触が得られ、かつ、基本的にはほぼ均一な研削速度が得
られ、高精度のツルーイングおよび/またはドレッシン
グを可能ならしめる。
【0017】請求項9に係る発明装置の構成は、前記請
求項8の発明装置の構成要件に加えて、前記1対のロー
タリドレッサが、互いに同期しつつ座標軸(X)方向に
トラバースされる構造であり、または互いに位相をずら
せて座標軸(X)方向にトラバースされる構造であるこ
とを特徴とする。以上に説明した請求項9の発明装置に
よると、1対のロータリドレッサを、 a.同位相で同期してトラバースさせることもでき、 b.位相をずらせて同期してトラバースさせることもで
きる。 いずれの場合も同期してトラバースさせるので、該1対
の(つまり2個の)ロータリドレッサが相互に等しい取
代の研削を行ない、両者のバランスが保たれる。さら
に、同位相を保てば力のバランス(曲げ応力の相殺)が
いっそう良くなり、位相をずらせれば熱の放散や研削粉
の洗い流しについて好都合である。ロータリドレッサを
トラバースさせることにより、該ロータリドレッサの研
削面の精度が被加工物である小径研削砥石のプロファイ
ルに与える影響を著しく軽減することができる。
【0018】請求項10に係る発明装置の構成は、前記
請求項8の発明装置の構成要件に加えて前記1対のロー
タリドレッサが、それぞれの回転中心軸(χ1,χ2)を
座標軸(X)に対して平行を保持しつつ、 同時に該座
標軸(X)に対して接近する方向に切込み送りされる構
造であり、かつ、前記1対のロータリドレッサが、被加
工物である内面研削用小径砥石の被加工面に対して、互
いに等しい圧力で接触せしめられるようになっているこ
とを特徴とする。以上に説明した請求項10の発明装置
によると、1対のロータリドレッサが被加工物である小
径研削砥石に対して、両側から切り込まれる際、その押
圧力が等しくなるように構成されているので、該1対の
(つまり2個の)ロータリドレッサそれぞれの研削力が
互いに等しくなる。このため、前記小径研削砥石に与え
られる2つの切削力が互いに釣合って、該小径研削砥石
の軸部を撓ませようとする作用が相互に相殺される。こ
の作用効果は、被加工物である小径研削砥石も、加工用
の工具であるロータリドレッサも、共に超硬砥粒で作ら
れた剛性の部材であることに着目することによって理解
される。すなわち、ツルーイングおよび/またはドレッ
シングの際に接触し合う部材の剛性が高いので、1対の
ロータリドレッサが等しい速さで切り込み送りされる場
合、両者の切込速さの誤差によって極微小の切込速度差
が生じても、それぞれの接触箇所の押圧力が著しく異な
り、この押圧力の差は小径研削砥石の軸部を撓ませるよ
うに作用する。本請求項の発明装置は、1対のロータリ
ドレッサ相互の押圧力を等しからしめるので、切込み速
さに極微小の誤差か有っても、小径研削砥石の軸部を撓
ませる虞れが無い。
【0019】請求項11の発明に係る内研用小径砥石の
成形装置の構成は、被加工物である内面研削用の、直径
5ミリメートル以下の小径研削砥石車を、座標軸(X)
に沿わしめて支持するとともに、該座標軸(X)の周り
に回転せしめ得る支持,回転駆動手段と、それぞれロー
タリドレッサを支持して回転せしめる、1対のドレッシ
ング手段と、を具備しており、上記ドレッシング手段に
支持されて回転駆動される1対のロータリドレッサの回
転中心線(z1,z2)が、ほぼ「座標軸(X)に直交す
る仮想の平面」上に、かつ、該座標軸(X)を挟む形で
その両側に位置するとともに、該1対のロータリドレッ
サの回転中心線(z1,z2)が、相互にほぼ平行をなし
ていることを特徴とする。以上に説明した請求項11の
発明装置によると、1対のロータリドレッサによって被
加工物である小径研削砥石を両側から挟みつけるので、
該小径研削砥石の軸部に対して曲げ応力を与えない。さ
らに、被加工物である小径研削砥石も加工具であるロー
タリドレッサも、共に回転していて、両者の軸心が立体
交差状に直交しているので、ロータリドレッサの研削面
に対する小径研削砥石被加工面の相対的な移動方向は、
周方向移動と軸方向に類似する移動とが合成された斜め
方向(立体的に見れば螺旋に類似した軌跡)となる。こ
のため、ボンドテールが発生しにくく、長期間にわたっ
て良好な研削性能(切れ味)を保つこともできる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る成形方法を
実施するために構成した内研用小径砥石の成形装置の1
実施形態を示し、ツルーイングまたはドレッシングして
いる状態の外観斜視図である。内研用小径砥石4は、そ
の軸部4aを砥石軸5に取りつけられている。上記内研
用小径砥石(略称:小径研削砥石)の中心線に一致せし
めて座標軸Xを想定する。すなわち、座標軸Xは地球を
基準として特定されるものではなく、内研用小径砥石4
aに合わせて設定される。結果的にこれを見れば、内研
用小径砥石4は3次元空間内において座標軸Xと同心に
保持されるとともに、該座標軸Xの周りに回転せしめら
れる。前記内研用小径砥石の「小径」とは、直径5ミリ
メートル以下であることを指す。本発明は、直径5ミリ
メートル以上の研削砥石に適用することも可能である
が、直径5ミリメートル以下の場合に効果が顕著であ
り、かつ、直径5ミリメートル以上の場合は本発明を適
用しなくても実用上充分な精度を得ることが可能であ
る。なお、大径部と小径部とを有する研削砥石の場合
は、最小径部の直径が5ミリメートル以下であれば本発
明の技術的範囲に属するものとする。1対のドレッシン
グ手段・甲11と、ドレッシング手段・乙12とを設け
て、それぞれの回転中心線χ1,χ2を、前記座標軸Xを
含む平面上に位置せしめ、すなわち、座標軸Xと、中心
線χ1,χ2とを同一平面上に配置し、かつ、回転中心線
χ1と同χ2とで座標軸Xを挟む形に、該座標軸Xの両側
に配置する。このようにして、1対のロータリドレッサ
・甲9と、ロータリドレッサ・乙10とで内研用小径砥
石4を挟みつける形で、対称に位置せしめる。それぞれ
のロータリドレッサ9,10は、被加工物である小径研
削砥石4に対して研削力を及ぼす。この研削力は、小径
研削砥石を押圧する力と、回転せしめる力との合力であ
るが、これらの内の押圧力が、内研用小径砥石4を撓ま
せるように作用する。すなわち、研削力の「座標軸Xに
直交する分力」が、押圧力として内研用小径砥石4を撓
ませようとする。本実施形態においては、1対のロータ
リドレッサ9,10で内研用小径砥石4を挟みつけるこ
とにより、該1対のロータリドレッサの押圧力を釣り合
わせて相殺し、内研用小径砥石が撓まされることを防止
した。
【0021】上述の作用,効果から容易に理解されるよ
うに、本発明を実施する場合は(本実施形態に限らず、
総べての実施形態において)1対のロータリドレッサ
を、被加工物である内研用小径砥石(小径研削砥石)に
対して、同時に接触させ、同時に離間せしめることが必
要である。ただし、上記の同時とは、微小な誤差を許容
する意であり、厳密に述べるならばほぼ同時に接触せし
めれば足りる。。さらに上述の作用,効果を考察すると
「1対のドレッサで被加工物を挟みつけることにより、
該被加工物の撓みを防止する」という原理は、必ずしも
ロータリドレッサに限定されず、いわゆる単石ドレッサ
(譬えて言えばダイヤモンドバイトに類似する研削工
具)によってツルーイングおよび/またはドレッシング
する場合にも応用し得る。しかし、本発明者の試験研究
によると、被加工物を撓ませることなくツルーイングお
よび/またはドレッシングするために、ロータリドレッ
サの方が単石ドレッサよりも有利である。
【0022】図2は、前掲の図1に示した実施例におけ
る1対のロータリドレッサの配置、および、そのトラバ
ース作動を説明するために示したもので、(A)は上記
1対のロータリドレッサ相互の位相をずらせた例の模式
図、(B)は同じく位相を揃えた例の模式図である。本
図2において符号を付して示した構成部材は、前掲の図
1において同一の符号を付して示した構成部材である。
図2(A)の実施例においては、ロータリドレッサ・甲
9を往復矢印c−c′のごとく、ロータリドレッサ・乙
10を往復矢印d−d′のごとく、それぞれ座標軸Xと
平行に、相互に同期せしめてトラバースさせる。内研用
小径砥石4がそれぞれのロータリドレッサに接触する箇
所は、概要的に円柱と円柱との接触線に相当し、X軸方
向に長さ(ロータリドレッサの厚さ寸法に対応する長
さ)を有していて、この接触部で研削熱が発生する。し
かし、上記内研用小径砥石4はX軸周りに回転している
ので、発熱部はハッチングを付して示したH,H′のご
とく周方向の輪状のバンド区域である。本実施例(図2
(A))においては、前記1対のロータリドレッサ・甲
9と同・乙10との位相をずらせてあるので、2箇所の
発熱区域H,H′が重ならない。このため、熱の放散が
円滑に行なわれ、内研用小径砥石4内の温度勾配が小さ
く、熱膨張に因る誤差が軽減される。その上、本例(A
図)のごとく2箇所の研削区域がX軸方向に離間してい
ると研削液(クーラメント)の注加が容易であり、研削
粉の洗い流しが円滑に行なわれる。図2(B)の実施例
では、1対のロータリドレッサ甲・9と同・乙10と
を、「X軸に直交する仮想の平面S1に沿わしめて配置
し、相互に同期せしめて同位相を保ちつつ往復矢印e−
e′のごとくトラバースさせる。本実施例(B図)によ
れば、内研用小径砥石4が1対のロータリドレッサのそ
れぞれから受ける押圧力の作用点が座標軸X方向に関し
て等しくなるので、該内研用小径砥石を撓ませる押圧力
がほとんど完全に相殺され、高精度のツルーイングおよ
び/またはドレッシングが可能となる。
【0023】図3は、前掲の図2と異なる実施形態を示
し、(A)は内研用小径砥石を円柱面状にツルーイング
またはドレッシングしている状態の模式図であり、
(B)は非円柱面状のロータリドレッサを用いて内研用
小径砥石を非円柱形の回転体形状にツルーイングまたは
ドレッシングしている状態の模式図であって、切込送り
方向を表す矢印を付記してある。(図3(A)参照)こ
の実施例は、円柱状の1対のロータリドレッサ甲・13
および同じくロータリドレッサ・乙14を用いて、内研
用小径砥石4に向けて矢印f,f′のごとく切込み送り
して、該内研用小径砥石4を円柱状に研削仕上げする。
図示を省略するが、本例(図3(A))の変形例とし
て、1対の円錐状ロータリドレッサを用いれば、被加工
物である内研用小径砥石4を円錐形状に研削仕上げする
こともできる。例えば回転楕円面などのように、軸心を
通る面による切断面が曲線の輪郭を有するような回転体
形状に内研用小径砥石をツルーイングおよび/またはド
レッシングするには、図4(B)に示したように、上記
の曲線に対応する曲線を中心線χ1,χ2の周りに回転せ
しめた回転面を有する1対のロータリドレッサ・甲16
および同・乙17を用いて、上記1対のロータリドレッ
サ16,17を矢印f,f′のように互いに等しい速さ
で切込み送りする。
【0024】図3(A)の実施例において1対のロータ
リドレッサ13,14を矢印f,f′のように互いに等
しい速さで切込み送りし、また図3(B)の実施例にお
いて1対のロータリドレッサ16,17を矢印f,f′
のごとく互いに等しい速さで切込み送りする場合、該1
対のロータリドレッサの切込速さは互いに厳密に等しい
ことを必要とする。その理由は、被加工物である内研用
小径砥石も、加工具であるロータリドレッサも、共に剛
性の高い材料で構成されているので、切込速さに微小の
差が有っても、速く切込まれた方のロータリドレッサが
内研用小径砥石に対して強く押圧され、該内研用小径砥
石の軸部に曲げ応力を発生させる。上述のような押圧力
の不均衡を生じさせないためには、1対のロータリドレ
ッサを、互いに等しい押圧力で切込ませるように制御す
ることが望ましい。1対のロータリドレッサが、互いに
等しい押圧力となるように切り込まれると、該1対のロ
ータリドレッサの切込量は互いに等しくなり、その結
果、等しい切込み速さで切込み送りされることになる。
従って、1対のロータリドレッサについて「等しい速さ
で切込み送りすること」と、「押圧力が等しくなるよう
に切込み送りすること」とは、技術的思想において本質
的に同様であり、矛盾するものではない。押圧力が等し
くなるように切込み送りすることの具体的な手段は、公
知技術を適用して行なうことができる。例えば1対のロ
ータリドレッサの切込み駆動を、それぞれ油圧もしくは
空気圧アクチュエータによって行なうとともに、双方の
アクチュエータに等しい圧力の油圧もしくは空気圧を送
給しても良く、または、1対のロータリドレッサの切込
み駆動の伝動部材に圧力センサを設けて押圧力を検出
し、検出された圧力信号を駆動機器にフィードバックし
て切込み押圧力を揃えるように制御しても良い。また、
1対のロータリドレッサの切込み駆動機構の伝動部材に
スプリングを介在せしめることによって、該1対のロー
タリドレッサ相互の切込み押圧力の差を軽減させること
も考えられる。
【0025】図4は、前掲の図1に示した実施形態にお
ける1対のロータリドレッサのそれぞれと内研用小径砥
石との3者の回転方向を説明するために示したもので、
(A),(B),(C),(D)はそれぞれ互いに異な
る方向に回転している状態の模式的な端面図である。こ
れらA〜Dの4つの例は、いずれも内研用小径砥石が右
周り(時計方向)に回転しているが、この状態を紙面の
背後から見れば左回り(反時計方向)となるので、これ
らの4例によって全部の場合を考察することとする。図
4(A)の例では、1対のロータリドレッサ9,10が
両方とも右回り(時計方向)しているので、ロータリド
レッサ・甲9は内研用小径砥石4に対して矢印Uのよう
に、ほぼ上向きの研削力を与える。一方、ロータリドレ
ッサ・乙10は矢印Dのように、ほぼ下向きの研削力を
与える。これにより、前記の切削力UとDとは内研用小
径砥石4の回転を阻止する方向のモーメントを生じる
が、その利害は些小である。そして、Z軸方向に関して
は前記矢印Uの力と矢印Dの力とが釣合うので、内研用
小径砥石(その軸心Xは紙面と垂直)を撓ませない。図
4(B)の例も、1対のロータリドレッサが同方向に回
転していて、それぞれの研削力の方向は矢印Dと矢印U
のごとくになり、内研用小径砥石4の回転を助長する方
向のモーメントを生じるが、その利害は些小である。そ
して、Z軸方向に関しては上向きの研削力(矢印U)と
下向きの研削力(矢印D)とが釣合って、内研用小径砥
石4の撓みを防止する。これに比して図4(C),
(D)の例では、前記1対のロータリドレッサ・甲9,
同・乙10が互いに反対方向に回っているので、これら
ロータリドレッサの研削力が上,下同じ方向となり、内
研用小径砥石を撓ませるということに関して好ましくな
い。例えば図4(C)において、内研用小径砥石4の軸
心はX−Z面内でベンディングを受ける。
【0026】図5は、前掲の図1と異なる実施形態と、
その変形例とを示し、(A)は内研用小径砥石と、1対
のロータリドレッサと、上記内研用小径砥石の中心線X
に直交する仮想の平面とを描いた模式的な斜視図であ
り、(B)は上記(A)図の実施形態をX軸方向に見た
模式図であり、(C)は上記実施形態の変形例をX軸方
向に見たところを描いた模式図である。本図5に示した
実施形態およびその変形例が、前述の図1の実施形態に
比して異なるところは、1対のロータリドレッサの回転
中心線の方向である。(図5(A),(B)を参照)砥
石軸5および内研用小径砥石4の中心線である座標軸X
に直交する仮想の平面S2を設定し、ロータリドレッサ
・甲18の回転中心線z1、および、ロータリドレッサ
・乙19の回転中心線z2を、上記仮想の平面S2上に
配設する。上記の回転中心線z1,z2は、互いに平行な
らしめる。ただし、格別厳密に平行ならしめなくても良
い。上記1対のロータリドレッサ18および同19を同
期せしめて、座標軸と平行な方向にトラバースさせる。
図示を省略するが、本実施形態およびその変形例(図5
(A),(B),(C)の異なる応用例として、座標軸
Xに直交する仮想の平面を2枚想定し、それぞれの上に
回転中心線z1,z2を分散配置しても良い。すなわち、
1対のロータリドレッサ・甲18と同・乙19とをX軸
方向にずらせて、トラバースに位相差を与えても良い。
図5(A),(B)の実施形態またはその応用例(X軸
方向にずらせる)によると、内研用小径砥石4の回転中
心線とロータリドレッサ18,19の回転中心線とが、
立体交差状に直交するので、ロータリドレッサの研削面
に対する内研用小径砥石の被加工面の相対的な移動軌跡
が螺旋に類似した形となり、ボンドテールが発生しにく
くなるので、良好な研削性能(切れ味)が長期間にわた
って保持される。図5(C)に示した変形例は、動図
(A),(B)に示した実施形態に比して、そのロータ
リドレッサ・甲18′の中心軸z1′およびロータリド
レッサ・乙19′の中心軸z2′が「内研用小径砥石4
の回転中心線であるX軸に直交する仮想の平面」上に位
置していること、並びに、上記双方の中心軸z1′,
2′が相互に平行であるという点において、本図5
(A),(B)の実施形態と同様である。また、双方の
ロータリドレッサ・甲18′と同・乙19′とによって
内研用小径砥石4を挟みつけた形でツルーイングおよび
/またはドレッシングするという点においても本図5
(A),(B)の実施形態と同様である。異なるところ
はロータリドレッサの円錐面を内研用小径砥石4に接触
させて研削することである。
【0027】
【発明の効果】以上に本発明の実施形態を挙げてその構
成・機能を明らかならしめたように、請求項1の発明方
法によると、1対のロータリドレッサの回転中心線を、
被加工物である内研用小径砥石(略称:小径研削砥石)
の両側に、平行に配置して、該小径研削砥石を挟みつけ
る形に、両側から同時に接触させるので、上記小径研削
砥石は1対のロータリドレッサのそれぞれから対称的に
研削力を受ける。上記の小径研削砥石は、これを支持し
ている軸部が細い上に、片持ち形に支持された状態でツ
ルーイングおよび/またはドレッシングを受けるので、
研削力を受けたときに撓み易い。(この内研用の小径研
削砥石は、最終被加工物を研削加工するときは研削反力
を受け、ツルーイングやドレッシングのときは研削力を
受けて撓む虞れが有る。いま当面している問題は、研削
力を受けて撓まされることである)。本請求項の発明方
法によると、小径研削砥石が1対のロータリドレッサか
ら対称に研削力を受けるので、該小径研削砥石の軸部を
撓ませるという作用に関しては、該1対のロータリドレ
ッサそれぞれの研削力が相殺される形になり、撓みの発
生が相殺される。そして、前記の小径研削砥石は、座標
軸(X)を中心として回転しつつツルーイングおよび/
またはドレッシングを受けるので、該小径研削砥石が受
ける対称の研削力に不釣合成分が有った場合にも、該不
釣合成分が小径研削砥石の軸部に与える曲げ応力は、座
標軸(X)を中心として相対的に回転する形に常に移動
し、該小径研削砥石の軸部を特定の方向に撓ませること
が無い。さらに、前記1対のロータリドレッサの回転中
心線(χ1,χ2)を、小径研削砥石の回転中心である座
標軸(X)と平行ならしめるので、該小径研削砥石の研
削面を均一にツルーイングおよび/またはドレッシング
することが容易に可能である。すなわち、被加工物であ
る小径研削砥石と加工具であるロータリドレッサとの接
触部は点ではなくて線である(きわめて厳密に言えば面
であるが、近似的に線と見做し得る)。従って、前記1
対のロータリドレッサの回転中心線と小径研削砥石の回
転中心線とを平行ならしめることによって、ほぼ均一な
線接触が得られ、かつ、基本的にはほぼ均一な研削速度
が得られ、高精度のツルーイングおよび/またはドレッ
シングを可能ならしめる。
【0028】請求項2の発明方法によると、1対の(つ
まり2個の)ロータリドレッサそれぞれの研削力が小径
研削砥石の軸部を撓ませようとする作用が、より完全に
相殺される。すなわち、小径研削砥石に作用する研削力
が該小径研削砥石の軸部を撓ませようとするモーメント
は(研削力の、X軸に直交する分力)×(X軸方向の腕
の長さ)である。従って、同じ大きさの2つの研削力が
反対方向に作用しても、該2つの研削力の作用点がX軸
方向にずれていればモーメントの合力はゼロにはならな
い。こうした不具合が生じないように本請求項において
は、1対のロータリドレッサをX軸方向について同じ座
標値となるように位置せしめるので、該1対のロータリ
ドレッサ相互の研削力によって生じるモーメントがほぼ
完全に相殺され、高精度のツルーイングおよび/または
ドレッシングが可能になる。しかも、前記1対のロータ
リドレッサのX軸方向の位置を同一に揃えつつ、同期せ
しめてX軸方向にトラバースさせるので、被加工物であ
る小径研削砥石が、高精度の円柱面に研削仕上げされ、
かつ、該ロータリドレッサに「X軸と直交する方向の切
込み送り」を併せて与えることにより、非円柱面の回転
体形状に研削仕上げすることも可能である。
【0029】請求項3の発明方法によると、ツルーイン
グおよび/またはドレッシングに際して比較的重研削が
可能となり、しかも小径研削砥石の研削面が綺麗に仕上
げられる。すなわち、小径研削砥石が1対の(つまり2
個の)ドレッサによって研削を受ける区域が座標軸
(X)方向にずらされるので、発熱区域が座標軸(X)
方向に分散され、発熱の影響に因る不具合(精度低下や
面の荒れ、およびロータリドレッサの早期損耗など)が
防止される。瞬時的に考察すると、小径研削砥石とロー
タリドレッサとの接触箇所は、座標軸(X)方向とほぼ
平行な短い線と見做すことができるが、該小径研削砥石
は座標軸(X)を中心として回転しているので、その回
転周期程度の微小時間について考察すると、研削による
発熱区域は小径研削砥石の周方向の輪状帯である。本請
求項においては、1対のロータリドレッサを座標軸
(X)方向にずらせたので、該1対のロータリドレッサ
による輪状の発熱帯が重なり合わない。このため、熱の
伝導,放散が均一に近くなり、温度分布がほぼ均一にな
って温度勾配が小さくなる。これにより、熱歪による精
度低下が軽減される。その上、上述のようにして1対の
ロータリドレッサが座標軸(X)方向にずらされると、
研削液(クーラント)の注加が容易になり、研削粉の洗
い流しが円滑に行なわれる。
【0030】請求項4の発明方法によると、ロータリド
レッサにトラバースを行なわせることなく小径研削砥石
を所望の形状にツルーイングおよび/またはドレッシン
グすることができ、しかも、該小径研削砥石に対して過
大な曲げ応力を与える虞れが無い。これにより、ロータ
リドレッサのトラバース精度に関連する形状,寸法誤差
を生ぜしめることなく、前記小径研削砥石を高精度の円
柱面もしくは高精度の非円柱状回転面(例えば円錐面)
に仕上げることができる。1対のロータリドレッサを、
互いに等しい切込み速さで小径研削砥石に対して切込み
送りすると、理論的には該1対のロータリドレッサの研
削力が互いに打ち消し合って、小径研削砥石に対して曲
げ応力を与えない。さらに、実用技術の面において、1
対のロータリドレッサの切込み速さを同一ならしめるこ
とについて誤差を厳密にゼロならしめることは至難であ
る。こうした事情を考慮すると、該1対のロータリドレ
ッサが小径研削砥石に押しつけられる力(具体的には、
研削反力の、X軸に直交する分力)を相互に等しからし
めることにより、実用上必要にして充分なる精度で小径
研削砥石の撓みを防止することができる。
【0031】請求項5の発明方法によると、小径研削砥
石の側面(研削面)の形状を、「研削砥石として必要と
される、任意所望の回転面形状」にツルーイングおよび
/またはドレッシングすることができる。このような特
性を有しているので、本請求項の発明方法は、例えば
「最終被加工物としての球継手部材における球面座を内
面研削するための小径研削砥石」のように、「曲線を回
転させた場合に作られる回転面」を有する小径の研削砥
石をツルーイングおよび/またはドレッシングする場合
に好適である。いわゆる総型のロータリドレッサでツル
ーイングおよび/またはドレッシングすることのみを見
れば公知の技術であるが、本請求項の発明方法において
は、1対のロータリドレッサによって被加工物(小径研
削砥石)を挟みつけるので、該1対のロータリドレッサ
それぞれの研削面に微小な形状誤差が有っても、互いに
補正し合って悪影響が軽減される。
【0032】請求項6の発明方法によると、ツルーイン
グおよび/またはドレッシングに際して小径研削砥石に
加えられるベンディングが、より完全に相殺されて加工
精度を向上せしめることができる。すなわち、小径研削
砥石に加えられる研削力の方向は、該小径研削砥石の中
心線である座標軸(X)に対して交わりもせず平行でも
ない。そして、請求項1の発明方法を適用することによ
って「座標軸(X)とロータリドレッサ回転中心線とを
含む仮想の平面」内におけるベンディングを、ほぼゼロ
ならしめることができた。しかし、上記請求項1の発明
方向によっては「座標軸(X)を含み、上記仮想の面に
直交する面」内のベンディングを防止するに充分でな
い。そこで本請求項6を適用して1対のロータリドレッ
サを同じ方向に回転させることにより(該1対のロータ
リドレッサが、小径研削砥石から見て互いに反対側に位
置しているので)、前記の「座標軸(X)を含み前記仮
想の面に直交する面」内のベンディングを防止すること
ができる。
【0033】請求項7の発明方法によると、1対のロー
タリドレッサの回転中心線を、被加工物である小径研削
砥石の両側に、立体交差状に直交させた形に配置して、
該小径研削砥石を挟み付ける形に、両側から同時に接触
させるので、上記小径研削砥石は1対のロータリドレッ
サのそれぞれから対称的に研削力を受ける。上記の小径
研削砥石は、これを支持している軸部が細い上に、片持
ち形に支持された状態でツルーイングおよび/またはド
レッシングを受けるので、研削力を受けたときに撓み易
い。(この内研用の小径砥石は、最終被加工物を研削加
工するときは研削反力を受け、ツルーイングやドレッシ
ングのときは研削力を受けて撓む虞れが有る。いま当面
している問題は、研削力を受けて撓まされることであ
る)。本請求項の発明方法によると、小径研削砥石が1
対のロータリドレッサから対称に研削力を受けるので、
該小径研削砥石の軸部を撓ませるという作用に関して
は、該1対のロータリドレッサそれぞれの研削力が相殺
される形になり、撓みの発生が軽減される。そして、前
記の小径研削砥石は、座標軸(X)を中心として回転し
つつツルーイングおよび/またはドレッシングを受ける
ので、該小径研削砥石が受ける対称の研削力に不釣合成
分が有った場合にも、該不釣合成分が小径研削砥石の軸
部に与える曲げ応力は、座標軸(X)を中心として相対
的に回転する形に常に移動し、該小径研削砥石の軸部を
特定の方向に撓ませることが無い。本請求項7の発明方
法においては、ロータリドレッサの研削力が、ほぼ「小
径研削砥石の回転中心線である座標軸(X)を含む面」
内に位置する。すなわち、上記の研削力は「上記座標軸
(X)に直交する面」内の分力を含まない。従って「座
標軸(X)を含む面」内において1対のロータリドレッ
サの研削力に因る曲げ応力が相殺される上に、「座標軸
(X)に直交する面」内において小径研削砥石を撓ませ
ようとする力が発生しない。その上、本請求項7に係る
方式にロータリドレッサを配置すると、上記ロータリド
レッサの研削面を微視的に考察したとき、研削に伴って
形成されるボンドテールの発生が軽減されるので、良好
な研削性能(切れ味)を長期間にわたって保持すること
ができる。
【0034】請求項8の発明方法によると、1対のロー
タリドレッサの回転中心線を、被加工物である小径研削
砥石の両側に、平行に配置して、該小径研削砥石を挟み
つける形に、両側から接触させるので、上記小径研削砥
石は1対のロータリドレッサのそれぞれから対称的に研
削力を受ける。上記の小径研削砥石は、これを支持して
いる軸部が細い上に、片持ち形に支持された状態でツル
ーイングおよび/またはドレッシングを受けるので、研
削力を受けたときに撓み易い。(この内研用の小径研削
砥石は、最終被加工物を研削加工するときは研削反力を
受け、ツルーイングやドレッシングのときは研削力を受
けて撓む虞れが有る。本請求項8で解決しようとしてい
る問題は、研削力を受けて撓まされることである)。本
請求項の発明装置によると、小径研削砥石が1対のロー
タリドレッサから対称に研削力を受けるので、該小径研
削砥石の軸部を撓ませるという作用に関しては、該1対
のロータリドレッサそれぞれの研削力が相殺される形に
なり、撓みの発生が軽減される。そして、前記の小径研
削砥石は、座標軸(X)を中心として回転しつつツルー
イングおよび/またはドレッシングを受けるので、該小
径研削砥石が受ける対称の研削力に不釣合成分が有った
場合にも、該不釣合成分が小径研削砥石の軸部に与える
曲げ応力は、座標軸(X)を中心として相対的に回転す
る形に常に移動し、該小径研削砥石の軸部を特定の方向
に撓ませることが無い。さらに、前記1対のロータリド
レッサの回転中心線(χ1,χ2)を、小径研削砥石の回
転中心である座標軸(X)と平行ならしめたので、該小
径研削砥石の研削面を均一にツルーイングおよび/また
はドレッシングすることが容易に可能である。すなわ
ち、被加工物である小径研削砥石と加工具であるロータ
リドレッサとの接触部は点ではなくて線である(きわめ
て厳密に言えば面であるが、近似的に線と見做し得
る)。従って、前記1対のロータリドレッサの回転中心
線と小径研削砥石の回転中心線とを平行ならしめること
によって、ほぼ均一な線接触が得られ、かつ、基本的に
はほぼ均一な研削速度が得られ、高精度のツルーイング
および/またはドレッシングを可能ならしめる。
【0035】請求項9の発明装置によると、1対のロー
タリドレッサを、 a.同位相で同期してトラバースさせることもでき、 b.位相をずらせて同期してトラバースさせることもで
きる。 いずれの場合も同期してトラバースさせるので、該1対
の(つまり2個の)ロータリドレッサが相互に等しい取
代の研削を行ない、両者のバランスが保たれる。さら
に、同位相を保てば力のバランス(曲げ応力の相殺)が
いっそう良くなり、位相をずらせれば熱の放散や研削粉
の洗い流しについて好都合である。ロータリドレッサを
トラバースさせることにより、該ロータリドレッサの研
削面の精度が被加工物である小径研削砥石のプロファイ
ルに与える影響を著しく軽減することができる。
【0036】請求項10の発明装置によると、1対のロ
ータリドレッサが被加工物である小径研削砥石に対し
て、両側から切り込まれる際、その押圧力が等しくなる
ように構成されているので、該1対の(つまり2個の)
ロータリドレッサそれぞれの研削力が互いに等しくな
る。このため、前記小径研削砥石に与えられる2つの研
削力が互いに釣合って、該小径研削砥石の軸部を撓ませ
ようとする作用が相互に相殺される。この作用効果は、
被加工物である小径研削砥石も、加工用の工具であるロ
ータリドレッサも、共に超硬砥粒で作られた剛性の部材
であることに着目することによって理解される。すなわ
ち、ツルーイングおよび/またはドレッシングの際に接
触し合う部材の剛性が高いので、1対のロータリドレッ
サが等しい速さで切り込み送りされる場合、両者の切込
速さの誤差によって極微小の切込速度差が生じても、そ
れぞれの接触箇所の押圧力が著しく異なり、この押圧力
の差は小径研削砥石の軸部を撓ませるように作用する。
本請求項の発明装置は、1対のロータリドレッサ相互の
押圧力を等しからしめるので、切込み速さに極微小の誤
差か有っても、小径研削砥石の軸部を撓ませる虞れが無
い。
【0037】請求項11の発明装置によると、1対のロ
ータリドレッサによって被加工物である小径研削砥石を
両側から挟みつけるので、該小径研削砥石の軸部に対し
て曲げ応力を与えない。さらに、被加工物である小径研
削砥石も加工具であるロータリドレッサも、共に回転し
ていて、両者の軸心が立体交差状に直交しているので、
ロータリドレッサの研削面に対する小径研削砥石被加工
面の相対的な移動方向は、周方向移動と軸方向に類似す
る移動とが合成された斜め方向(立体的に見れば螺旋に
類似した軌跡)となる。このため、ボンドテールが発生
しにくく、長期間にわたって良好な研削性能(切れ味)
を保つこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る成形方法を実施するために構成し
た内研用小径砥石の成形装置の1実施形態を示し、ツル
ーイングまたはドレッシングしている状態の外観斜視図
である。
【図2】前掲の図1に示した実施例における1対のロー
タリドレッサの配置、および、そのトラバース作動を説
明するために示したもので、(A)は上記1対のロータ
リドレッサ相互の位相をずらせた例の模式図、(B)は
同じく位相を揃えた例の模式図である。
【図3】前掲の図2と異なる実施形態を示し、(A)は
内研用小径砥石を円柱面状にツルーイングまたはドレッ
シングしている状態の模式図であり、(B)は非円柱面
状のロータリドレッサを用いて内研用小径砥石を非円柱
形の回転体形状にツルーイングまたはドレッシングして
いる状態の模式図であって、切込送り方向を表す矢印を
付記してある。
【図4】前掲の図1に示した実施形態における1対のロ
ータリドレッサのそれぞれと内研用小径砥石との3者の
回転方向を説明するために示したもので、(A),
(B),(C),(D)はそれぞれ互いに異なる方向に
回転している状態の模式的な端面図である。
【図5】前掲の図1と異なる実施形態と、その変形例と
を示し、(A)は内研用小径砥石と、1対のロータリド
レッサと、上記内研用小径砥石の中心線Xに直交する仮
想の平面とを描いた模式的な斜視図であり、(B)は上
記(A)図の実施形態をX軸方向に見た模式図であり、
(C)は上記実施形態の変形例をX軸方向に見たところ
を描いた模式図である。
【図6】内研用小径砥石によって最終被加工物を研削し
ている状態を説明するために示したもので、(A)はコ
レットチャックの内周面を研削している状態の断面図、
(B)はボールジョイントの凹球面を研削している状態
の断面図、(C)はディゼルエンジン用燃料噴射ノズル
のニードル案内穴の内周面を研削している状態の断面図
である。
【図7】cBNクイルをツルーイングするために試作さ
れたツルーイング装置(ドレッシング装置としても使用
できる)の1例を示し、砥石軸にチャックされた内研用
小径砥石の軸心方向に見て描かれた外観図である。
【図8】前掲の図7に示されたツルーイング装置に設け
られたツルアと、内研用小径砥石とを抽出して示された
もので、(A)は模式的に描かれた平面図、(B)は同
じく正面図である。
【符号の説明】
1…最終被加工物の例としてのコレットチャック、2…
最終被加工物の例としてのボールジョイント、3…最終
被加工物の例としての燃料噴射ノズル、4,4A,4
B,4C…内研用小径砥石(略称:小径研削砥石)、6
…ドレッシング装置、7…ツルア、8…クイル、9…ロ
ータリドレッサ・甲、10…ロータリドレッサ・乙、1
1…ドレッシング手段・甲、12…ドレッシング手段・
乙、13…ロータリドレッサ・甲、14…ロータリドレ
ッサ・乙、15…内研用小径砥石(略称:小径研削砥
石)、16…ロータリドレッサ・甲、17…ロータリド
レッサ・乙、18…ロータリドレッサ・甲、19…ロー
タリドレッサ・乙。
フロントページの続き (72)発明者 高橋 征幸 山形県山形市蔵王上野578番地の2 ミク ロン精密 株式会社内 (72)発明者 井上 雅人 山形県山形市蔵王上野578番地の2 ミク ロン精密 株式会社内 Fターム(参考) 3C047 AA15 AA31 AA38 CC08 CC15

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内面研削用の、直径5ミリメートル以下
    の小径研削砥石車をツルーイングおよび/またはドレッ
    シングする方法において、 被加工物である小径研削砥石を、3次元空間内の座標軸
    (X)を中心として回転せしめつつ、 1対のロータリドレッサそれぞれの回転中心線(χ1
    χ2)を、上記座標軸(X)を含む平面上にほぼ位置せ
    しめるとともに、該1対のロータリドレッサの回転中心
    線を相互に平行ならしめて、前記内面研削用小径砥石の
    両側に位置せしめ、 上記1対のロータリドレッサを、前記被加工物である小
    径研削砥石に対して、ほぼ同時に接触せしめてツルーイ
    ングおよび/またはドレッシングすることを特徴とす
    る、内研用小径砥石の成形方法。
  2. 【請求項2】 前記被加工物である小径研削砥石が、前
    記1対のロータリドレッサそれぞれの接触を受ける区域
    を、前記座標軸(X)方向についてほぼ同一ならしめる
    とともに、 上記1対のロータリドレッサを相互に同期せしめて前記
    座標軸(X)方向にトラバースせしめることを特徴とす
    る、請求項1に記載した内研用小径砥石の成形方法。
  3. 【請求項3】 前記被加工物である小径研削砥石が、前
    記1対のロータリドレッサそれぞれの接触を受ける区域
    を、前記座標軸(X)方向にずらせ、 該1対のロータリドレッサ相互に位相差を与えて、上記
    座標軸(X)方向にトラバースせしめることを特徴とす
    る、請求項1に記載した内研用小径砥石の成形方法。
  4. 【請求項4】 前記1対のロータリドレッサのそれぞれ
    を、前記被加工物である小径用研削砥石の被加工面につ
    いて、前記座標軸(X)方向の全域に対して、ほぼ同時
    に接触せしめ、 かつ、該1対のロータリドレッサのそれぞれを、前記座
    標軸(X)に対して接近せしめる方向に、互いに等しい
    切込み速さで、望ましくは小径研削砥石に対する押圧力
    が互いに等しくなるように、切込み送りすることを特徴
    とする、請求項1に記載した内研用小径砥石の成形方
    法。
  5. 【請求項5】 前記1対のロータリドレッサの研削面
    を、「それぞれの回転中心線(χ1,χ2)を含む仮想の
    面による断面形状」が、互いに等しい曲線となるように
    構成して、 被加工物である小径研削砥石の側面を非円柱面形状に成
    形することを特徴とする、請求項4に記載した内研用小
    径砥石の成形方法。
  6. 【請求項6】 前記1対のロータリドレッサの回転方向
    を相互に同一方向ならしめて、 該1対のロータリドレッサのそれぞれが内研用小径砥石
    に対して与える研削力を、「該内研用小径砥石に与える
    ベンディングが相互に打ち消される方向」に作用せしめ
    ることを特徴とする、請求項1ないし請求項5の何れか
    に記載した内研用小径砥石の成形方法。
  7. 【請求項7】 内面研削用の、直径5ミリメートル以下
    の小径研削砥石車をツルーイングおよび/またはドレッ
    シングする方法において、 被加工物である小径研削砥石を、3次元空間内の座標軸
    (X)を中心として回転せしめつつ、 1対のロータリドレッサそれぞれの回転中心線(z1
    2)を、上記座標軸(X)に直交する仮想の平面上に
    ほぼ位置せしめるとともに、該1対のロータリドレッサ
    の回転中心線を相互にほぼ平行ならしめ、 上記1対のロータリドレッサを、前記被加工物である小
    径研削砥石に対して、ほぼ同時に接触せしめてツルーイ
    ングおよび/またはドレッシングすることを特徴とす
    る、内研用小径砥石の成形方法。
  8. 【請求項8】 被加工物である内面研削用の、直径5ミ
    リメートル以下の小径研削砥石車を、座標軸(X)に沿
    わしめて支持するとともに、該座標軸(X)の周りに回
    転せしめ得る支持,回転駆動手段と、 それぞれロータリドレッサを支持して回転せしめる、1
    対のドレッシング手段と、を具備するとともに、 上記1対のドレッシング手段が支持して回転駆動してい
    る1対のロータリドレッサの回転中心線(χ1,χ2
    が、ほぼ「座標軸(X)を含む平面」の上に配置されて
    おり、 該1対のロータリドレッサの回転中心線(χ1,χ2
    が、相互に平行をなすとともに、前記座標(X)の両側
    に位置していることを特徴とする、内研用小径砥石の成
    形装置。
  9. 【請求項9】 前記1対のロータリドレッサが、 互いに同期しつつ座標軸(X)方向にトラバースされる
    構造であり、 または、互いに位相をずらせて座標軸(X)方向にトラ
    バースされる構造であることを特徴とする、請求項8に
    記載した内研用小径砥石の成形装置。
  10. 【請求項10】 前記1対のロータリドレッサが、 それぞれの回転中心軸(χ1,χ2)を座標軸(X)に対
    して平行を保持しつつ、 同時に該座標軸(X)に対し
    て接近する方向に切込み送りされる構造であり、 かつ、前記1対のロータリドレッサが、被加工物である
    内面研削用小径砥石の被加工面に対して、互いに等しい
    圧力で接触せしめられるようになっていることを特徴と
    する、請求項8に記載した内研用小径砥石の成形装置。
  11. 【請求項11】 被加工物である内面研削用の、直径5
    ミリメートル以下の小径研削砥石車を、座標軸(X)に
    沿わしめて支持するとともに、該座標軸(X)の周りに
    回転せしめ得る支持,回転駆動手段と、 それぞれロータリドレッサを支持して回転せしめる、1
    対のドレッシング手段と、を具備しており、 上記ドレッシング手段に支持されて回転駆動される1対
    のロータリドレッサの回転中心線(z1,z2)が、ほぼ
    「座標軸(X)に直交する仮想の平面」上に、かつ、該
    座標軸(X)を挟む形でその両側に位置するとともに、 該1対のロータリドレッサの回転中心線(z1,z2
    が、相互にほぼ平行をなしていることを特徴とする、内
    研用小径砥石の成形装置。
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