JP2001162057A - 人形像並びに立体造形物の製造用型と製造方法 - Google Patents

人形像並びに立体造形物の製造用型と製造方法

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JP2001162057A JP37643699A JP37643699A JP2001162057A JP 2001162057 A JP2001162057 A JP 2001162057A JP 37643699 A JP37643699 A JP 37643699A JP 37643699 A JP37643699 A JP 37643699A JP 2001162057 A JP2001162057 A JP 2001162057A
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gypsum
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富夫 小林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微細な表面形状を有する立体造形物の複製像
を作成するにはシリコンゴムを型材料に用いるのが適し
ているが、型材料が高価である為複製像も高価となって
いた。 【解決手段】 立体造形物表面の微細な表面形状を有す
る部分の表面近傍はシリコンゴム製であり、その部分以
外は石膏製から成る複合型であり、シリコンゴム型部と
石膏型部の界面が突起を有する界面を形成して強固に接
合されている複合型の中に複製像用材料を注型する事を
特徴とする製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人形、オブジェ、
立体形状モデル、塑像等の立体造形物についての複製像
の製造方法とそれに用いる複合型に関わる物である。
【0002】
【従来の技術】従来、人形等の立体形状構成物の構造と
しては、大理石彫刻、木彫り彫刻、石像、石膏塑像、粘
土像、ブロンズ像、紙粘土像、陶製彫刻像、素焼き彫刻
像、樹脂注型による像等が用いられており、美的観賞や
形状の把握、装飾用展示、記念的保存、疑似的構成物と
しての活用等に利用されている。
【0003】造形物を類別すると、先ず大理石彫刻や石
像、木彫り彫刻に代表される様な直接に基体材料に彫刻
刀やノミ、グラインダー等により彫り込みを入れて像と
した物がある(仮にここでは、これら個々の削り込みタ
イプを第一のグループと呼ぶ)。
【0004】次に、粘土像や紙粘土像に代表される様な
軟らかい粘性材料を用いて手や道具、機械による外力に
より所望の形状を整え乾燥後に立体形状構成物とする物
(仮にここでは、これら粘性状態加工タイプを第二のグ
ループと呼ぶ)が有る。
【0005】更には、ブロンズ像や樹脂注型像の様な所
望の形状に調整された型に材料を高温の流動状態で流し
込んだり、低粘性状態を保っている状態で注入したりす
る物(例えば、特開平06―079065号公報参照。
仮にここでは、これら型成形による物を第三のグループ
と呼ぶ)が有る。
【0006】更に又、陶製彫刻像や素焼き彫刻像の様な
粘土にて形状を形成後、乾燥を経た後、高温で焼成し安
定な酸化物とした物(仮にここでは、これら酸化物の焼
成による物を第四のグループと呼ぶ)等が有る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】近年例えば美的観賞に
供する造形物は観賞者である人々の多様性、嗜好の多様
性が広がるに従ってその好まれる造形物の種類は多くの
種類に及んでいる。一方、観賞者の要求としては従来、
美術館にわざわざ出かけて観賞したり高価な価格で購入
して自宅において観賞していた物が、もっと安価な価格
で購入出来るものでありかつ自分の細かな嗜好性に合致
した物が求められる様になってきた。
【0008】しかしながら、それら造形物の様式にはそ
れぞれの特徴が有り、微細な形状を実現出来るという点
では、第一、第二のグループに特徴があるものの、同一
の複製品を量産可能かどうかという点では劣る。一方、
第四のグループは複製品の量産という点では優れている
ものの高温での焼成による材料の収縮により表面の凹凸
が平準化されたり丸くなったりする事から微細な表面形
状の複製という点で第三のグループより劣っている。更
に又、構造の点でも高温での焼成時に自重による屈服や
変形を嫌って下部に繊細な断面形状が入るのを避けたり
下部を上部よりも大きな断面積で形成したりする制限条
件が入る事が多い。
【0009】第三のグループは、繊細で微細な構造を複
製するという点で優れているが、その型の製作が高価で
あるため実際に出来上がる像複製品の価格にも型の費用
が加えられるために結果として高価な物となってしま
う。シリコンゴムを用いた型は精密な形状を実現出来る
が例えば100立方センチメートル程度の大きさを持つ
シリコンゴム(たとえば、コニシ株式会社製のバスボン
ドやセメダイン株式会社のバスコーク、信越化学工業株
式会社のKE1300T等がある)の型は材料費だけで
も石膏の型に比べて同体積で比較して場合によっては十
数倍以上の価格となり非常に高価である。又、金属の型
は精密な表面構造と仕上げ面粗度を実現しようとすると
加工が高度であるためやはり高価である。その為に、多
くの種類の型を製作して多くの種類の像製品を安価に製
作するのは困難となり、種類が限られてしまう事が従来
の状況である。青銅等の金属を鋳造して造る像において
は、型を砂等の像の一体毎に破壊する材料で作成するた
めに型の製作費はやはり高価である。
【0010】この様な状況に鑑み、本発明が目指す分野
は微細な表面形状と入り組んだ構造及び大きな寸法を合
わせ持ちながら且つ量産性に富み安価な造形物を供給出
来る方法である。特に、量産時に用いる型の作成が安価
に出来るため多くの種類の像を且つそれぞれ大量に供給
出来る事を特徴としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明においては、上記
課題を解決するために立体像を形成するに際して安価な
石膏による型と高価ではあるが精密微細な表面形状を再
現出来るシリコンゴム等の樹脂による型を複合して作成
した型を用いて注型する事を特徴としている。又、第二
の特徴として、シリコンゴムによる型部分と石膏による
型部分の界面が起伏に富んだ界面から成る事を特徴とし
ている。更に第三の特徴として、本発明における複合型
を作成すべき、多数の複製を作成しようとする立体像の
原形は、多孔性の固形物に溶融性の樹脂を含浸させた材
料からなる事を特徴としている。
【0012】以下において更に詳細を具体的に述べる。
本発明の第一の特徴としている石膏とシリコンゴムとに
よる複合型は次の様な理由により優れている。即ち従来
法におけるシリコンゴムを用いた型は大きな形状の立体
像原形に使用する時材料費が高価であった。又、従来の
石膏が安価な型材料である事は良く知られているが次の
様な欠点を有している。つまり、図2〜図4に示した如
く、図2の中に示す紙粘土で作成された立体造形物原形
1の上から図3に示す如くにして転写させたい像表面に
焼石膏を水と混合攪拌したものを流し込む事を行う。そ
の時、凝固後に石膏型2となるべき未硬化の石膏の流れ
止めのための堰3を設けている。そして、焼石膏が結晶
石膏へと変化して凝固後乾燥を経てから石膏型2を立体
像原形よりはずすのであるが、この時立体像原形の表面
に石鹸液塗布等の剥離を容易ならしめる前処理をしてい
ても図4の様に、微細な表面形状や彫りが深い部分もし
くは、中広がりの形状を有している部分においては石膏
型の破壊片4が生じてしまう。
【0013】この様な問題点を解決するための概要を図
1及び図5〜図9を用いて説明する。本発明においては
図5に示した如く、先ず立体原型の微細な表面形状の領
域のみにシリコンゴムを充填塗布して凝固させる。次に
このシリコンゴム型5を図6の如くに剥離させるのであ
るが、シリコンゴムの伸縮及び屈曲性により破壊する事
無く剥離が可能である。次に、このシリコンゴム型5を
再び立体原型に嵌め戻した後、該シリコンゴムの上とシ
リコンゴムを形成していない原型表面部分にまたがる様
にして図7の如くに水と混合した焼石膏を流し込み石膏
型2を形成する。その後、図1の如くにシリコンゴム型
5と石膏型2とで構成される複合型6を剥離すると、原
型と石膏が接している界面は形状が平坦なためと微細表
面領域は軟らかいシリコンゴムで出来ている為に複合型
全体として、微細な表面形状を転写したまま破壊される
事無く原型より剥離する事ができる。
【0014】しかる後、図8に示した如く本発明複合型
6を用いて複製の立体像を形成する材料(石膏等)を流
し込み、凝固の後本発明の複合型を取り外せば図9に示
す石膏複製像8を作成する事が出来る。複製像を本発明
複合型から取り外す時においても、微細な表面形状部分
が破壊する事なく取り外す事が出来る。この様にして、
本発明は、一般的にシリコンゴムの価格は、石膏に対し
て成形完成時の同体積で比較して約10倍以上の値段で
ある事が多い為、微細表面形状を持たない部分には石膏
を用いる事で、低価格な型を実現しその結果として安価
な立体像を多量に作成出来る利点を有する。
【0015】本発明の第二の特徴としては、シリコンゴ
ムによる型部分と石膏による型部分の界面の少なくとも
一部領域に対する接面が該界面の包絡面の垂線であっ
て、その一部領域の最近接部分における垂線と20度以
下の角度で交差する事を特徴としている。この事により
シリコンゴム型と石膏型との界面の接着強度を増大せし
むる事が可能となり、シリコンゴムで形成する部分の面
積が大きくなっても、シリコンゴムと石膏とが離反する
こと無く、又複製像の注型製作時にシリコンゴム型部分
と石膏型部分のずれが生じる事がなく原型通りの像が作
成できる。
【0016】以下においてもシリコンゴムによる型部分
と石膏による型部分の界面を該界面と呼ぶ事にする。該
界面の少なくとも一部領域の接面が該界面に対する包絡
面のその一部領域に最近接している部分における垂線と
20度以下の角度で交差する事を特徴としている該界面
の作成方法としては、図1及び図5〜図8に示した如
く、シリコンゴム表面にシリコンゴム突起7をシリコン
ゴムの固化前に付けておく方法や、シリコンゴム固化後
に表面から多くの非貫通穴を形成してからその表面に石
膏を流し込む方法がある。シリコンゴム型を石膏型から
剥離させようとする外力、つまり該界面の包絡面に垂直
な方向の外力が働いた時に外力の向きを該界面と平行な
向きのせん断力成分を持つ物に分散させる事が出来る。
その結果、剥離を困難となし該界面の強固な接合が達成
される。更に又、シリコンゴム突起を形成する時に型内
面から離れる程断面積の増す様な外広がりの形状にした
り、フックや輪状の突起を作成して、石膏又はシリコン
ゴムの一方が破壊しないと互いに抜けない形状を作成す
る事も有効である。
【0017】本発明の第三の特徴として、本発明におけ
る複合型を作成すべき、多数の複製を作成しようとする
立体像の原形は、多孔性固形物からなり、その表面の少
なくとも一部が樹脂含浸された材料からなる事を特徴と
している。即ち、本発明の第1、第2の特徴として述べ
た内容は、もちろん微細空孔の無いプラスティック材料
や木及び石材料を彫刻して作成された立体像や浮き彫り
像を原型とした時にも有効であるが、より多種多様な原
型を作成する手段としては粘土や紙粘土、石膏で作成し
た立体原型が作り易さと安価に作成出来るという点で優
れている。しかし、粘土や紙粘土、石膏で作成された原
型は、より微細な表面凹凸形状を彫刻により作成しよう
とすると強度が不足している事からくずれてしまう不都
合が生じる。粘土や紙粘土、石膏は水分が蒸発してしま
う事により表面も多孔性であり、その事が表面に彫刻に
よる微細形状を付与させ様とすると微細な破壊に繋がり
微細表面形状の実現を困難としている。特に、紙粘土に
は繊維が混入されている事が彫刻刀による加工界面の破
壊を起こり易くしている。
【0018】種々検討の結果、本発明においては少なく
とも表面にパラフィンや鯨ろう、蜜ろう、シナろう等の
ろう及びワックスを溶融含浸させる事により粘土や紙粘
土、石膏の表面強度が飛躍的に増加し、微細表面形状を
有する立体原型の彫刻を行っても、形状が微細破壊によ
りくずれる事が少なく美しい形状を実現出来る事を見出
した。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態の一例について
図10〜図21を用いて説明する。図10は人形像の立
体造形物原形の縦断面を横に寝かせて示したものであ
り、本発明の効果を確認し説明するのに解り易い形状と
して用いた。この立体造形物は紙粘土を用いて作成後乾
燥し、更に100℃の温度で溶融させたパラフィン中に
浸漬し像の表面層にパラフィンを含浸させ、その後乾燥
冷却させて紙粘土製立体造形物原形1としたものであ
る。
【0020】次に図11に示す如く原形表面に未硬化シ
リコンゴム材(バスボンド)を塗り付けた後、乾燥凝固
させてシリコンゴム層9を形成した。この時のシリコン
ゴム層の厚さは約3mm程度に成るように形成すると共
に、シリコンゴムが硬化する前に表面にシリコンゴム突
起7を形成した。次に図12に示す如く硬化したシリコ
ンゴム層を3分割して剥がし分割シリコンゴム型5−
1、5−2、5−3を形成した。
【0021】次に図13に示す如く、再び分割シリコン
ゴム型を原形表面に戻して、原形の周囲の内で最終的に
完成する複合型6−1及び6−2を原形から抜く時に障
害となる事が予測される逆テーパ形状を有する部分にス
ポンジ10の詰め物を行った。なおこれらのスポンジは
表面の所々に未硬化シリコンゴムを付けてシリコンゴム
型に接着した。
【0022】次に図14に示す如く堰3を設けて焼石膏
を水と混合した状態で上から流し込んだ後、凝固させて
石膏型2−1を作成した。次に図15に示す如く石膏型
2−1に向かい合う石膏型2−2を同様の方法で作成し
た。その後図16に示す石膏型2−3を作成した。この
様にして図17に示す複合型6−1、6−2、6−3が
出来上り、それぞれシリコンゴム型5−1と石膏型2−
1、シリコンゴム型5−2と石膏型2−2、シリコンゴ
ム型5−3と石膏型2−3により成り立っている。
【0023】又これらの複合型を立体原形より引き抜く
時に、逆テーパ形状の部分ではシリコンゴム型内部に配
置したスポンジ10が自在に変形するためスムーズに引
き抜く事が可能であった。又それぞれのシリコンゴム型
と石膏型は、両者界面から剥離する事は無かった。一
方、図11に示したシリコンゴム層9を形成する時にシ
リコンゴム突起7を作らず表面が単調な曲面及び滑らか
な面のままシリコンゴムを硬化させてて、複合型を形成
した場合には、図18に示した様なシリコンゴム型と石
膏型の界面からの剥離が発生し空隙部11を生じた。
【0024】次に複合型6−1に注型口を加工して、複
合型6−2、複合型6−3と合わせて図19に示した様
に組み立てた。又、注型口の内面にはシリコンゴム12
を3mmの厚さで形成した。それにより、石膏13を注
型して凝固させた後に注型口部分を斜めにを押して折っ
て除去し易くする事が出来た。更に図20に示した様に
注型口より水と混合した焼石膏を流し込み、凝固後に注
型口部を折って除去し、続いて複合型を引き抜くと図2
1の石膏複製像8を得る事が出来た。
【0025】次に、本発明における第2の特徴であるシ
リコンゴム突起7の形状を最適化する為に次の様なテス
トを行った。先ず図22の立体図に示される様な種々の
シリコンゴム製の立体をシリコンゴムが硬化する前の成
形及び硬化後のナイフによる加工を併用して作成した。
各立体を切断面Aにおいて切断した時の断面形状を示す
と図23の如くになるが、底面が1センチメートル角の
形状をした平板の上に種々の断面形状を有するシリコン
ゴム突起が形成されている。図22におけるシリコンゴ
ム立体14―1、14―2、14―3、14―4、14
―5、14―6、14−7の断面図がそれぞれ図23の
断面15−1、15−2、15−3、15―4、15―
5、15―6、15―7に対応している。シリコンゴム
立体の突起を有している側の表面に4側面に堰を配置し
た状態で水と混合した焼石膏を流し込み凝固後、堰を取
り外した状態の立体図を示した物が図24である。立体
16―1、16―2、16―3、16―4、16―5、
16―7はそれぞれ断面15―1、15―2、15―
3、15―4、15―5、15―6、15―7に対応し
ている。
【0026】図24の状態において、シリコンゴムと石
膏の界面の形状は、図23の断面図におけるそれぞれの
上部に石膏が充填された形状となり、15―1はシリコ
ンゴム底面と該界面とがが平行な場合に対応する。15
―2及び15―3はシリコンゴム底面に対する垂線と該
界面のなす角度θが70度の場合、15―4は35度の
場合、15―5は15度の場合、15―6及び15―7
は該界面の一部領域における接面とシリコンゴム底面に
対する垂線とのなす角度が0度の場合に対応している。
又、引張り剥離試験を行うために図25に示した針金の
フック17−1を石膏の凝固前に石膏中に掴み部を残し
て埋めてある。一方、シリコンゴム側には、フック17
−2をシリコンゴムの平板部側面より差し込んで掴み部
とした。
【0027】次に、図24に示した7種類毎に三つの引
張り剥離試験片サンプルについてフック17―1と17
―2をバネ秤を介して引張り、シリコンゴムと石膏の界
面が完全に剥離する時にバネ秤が示す荷重を測定した。
その剥離時の荷重を整理した物を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1より本発明に従って、シリコンゴムに
よる型部分と石膏による型部分の界面の少なくとも一部
領域に対する接面が該界面の包絡面の垂線であって、且
つその一部領域の最近接部分における垂線と20度以下
の角度で交差する場合に剥離強度が飛躍的に増大してい
る事が分る。即ち、断面15―1、15―2、15―
3、15―4、15―5、15―6、15―7におい
て、シリコンゴム平板部の底面とシリコンゴム及び石膏
間の界面の包絡面とはほぼ平行をなしているため、シリ
コンゴムの底面の垂線はシリコンゴム及び石膏間の界面
の包絡面の垂線とほぼ平行であり、表1の結果より本発
明の効果が確認できる。なお図22において、該界面の
形状としてAと平行な平面による断面においては何処を
切断しても断面形状が同じ場合の例を示したが、Aと直
角な縦断面においても同様な事が成立するのは明らかで
あるし両者を複合させてもやはり本発明が有効であるの
は言うまでも無い。
【0030】次に、本発明における第3の特徴である立
体原形の作成の実施例について図26〜図27を用いて
述べる。従来法どおり紙粘土(株式会社パジコ社製等)
を用いて平板21を整形後乾燥させたものと、本発明法
に従って平板を整形乾燥後パラフィンを100℃の温度
で表面から溶融含浸させたものを作成した。それら2種
類の板の表面に図26に示した様に三角断面形状を有す
る彫刻刀刃先端18を切り込み、矢印の方向に板と平行
に動かす事により線状の切り込み加工を行った。その
後、彫刻刀刃切り込み部19の両脇に発生し広がってい
る切り込み端破壊幅20を測定した。
【0031】その結果、彫刻刀の切り込み深さを0.4
mmとした時の切り込み端破壊幅20の最大値を測定し
て比較したところ、本発明法によるパラフィンを含浸さ
せた物は含浸させない物の場合に比べ5分の1に低減さ
れていた。又、いくつかの切り込み加工を行った紙粘土
平板の平面を上方より観察した写真を図27に示す。同
じ倍率の同視野内で比較して、パラフィン含浸紙粘土板
22においてパラフィン非含浸紙粘土板23よりも切り
込み端破壊幅が極めて狭い事が分かる。図27の中に4
mmの実際寸法を写真と同倍率で比較して示している。
【0032】実際の人形の立体原形を紙粘土を用いて彫
刻刀による加工により作成する時にもパラフィンを表面
に含浸させた物は形状のくずれが極めてすくなかった。
更に又、紙粘土にて立体形状を概略整形した後乾燥さ
せ、その後表面からパラフィンを含浸させて冷却後、再
度立体形状の最終微細形状加工を追加する順序を経る事
により、最初からパラフィンを内部まで含浸させた紙粘
土に彫刻加工する時よりも簡便でいて、かつ同等以上の
精度の微細加工を施す事ができた。特に、人形の顔にお
ける二重瞼の彫刻などの微細な部分の彫刻においてパラ
フィン含浸紙粘土は破壊が少なく好適である。
【0033】なお、上記説明では複製像を得る為に複合
型に流し込む材料として石膏を用いた場合を述べたが、
上質な壁用セメントやエポキシ、ウレタン等の合成樹脂
等を用いる事も可能である。又、陶土の使用において水
配合量を多くしてスラリー状態で流し込んだ後徐々に乾
燥させる事も可能である。又、立体像の原形を作成する
に際して乾燥紙粘土にパラフィンを含浸させた材料の表
面に彫刻加工を施す工程について述べたが、本発明の複
合型を作成する部分の特徴だけをプラスティック彫りや
木彫像等の従来の方法で作成された立体像を原形として
用いる場合に適用する事も可能である。その時、原形を
作成する時の簡便さや低価格性は十分実現出来ないまで
も、型の作り易さと低価格性は確実に実現出来る。更に
又、本発明における最も好適な複合型用の材料として、
シリコンゴムと石膏の材料の組み合わせについて述べた
が、型材料としてはこれに限定されるものでは無く、シ
リコンゴムの代わりに他の種類の屈曲性を有するゴム材
料を用いる事も可能であるし、石膏の代わりにセメント
やエポキシ、ウレタン樹脂等の非屈曲性の凝固性固体材
料を用いる事も可能である。
【0034】更にまた、本発明法は3次元の立体像だけ
に限定されるだけで無く微細凹凸と長大な寸法部分を合
わせ持つ造形品であれば、浮き彫りの複製に際して用い
ても有効である事は言うまでも無いし、立体像内部に強
度補強のために針金が埋め込まれている像に適用しても
有効である。
【0035】
【発明の効果】以上、説明したように本発明の立体像複
製法によれば、シリコン樹脂と石膏による複合型を用い
るので微細な凹凸や逆テーパの形状を持つ部分と長大な
寸法を持つ部分とを合わせ持つ立体像の複製が安価に実
施出来る。立体像の微細構造部分や長大な部分の表面部
分にだけ高価なシリコン樹脂を用い、それ以外には石膏
を用いた複合型を使用するので、型に用いる材料の体積
はほとんど石膏により形成される事になる。そのため型
全体材料価格の多くが石膏材料費で決まってしまう事に
なり安価な型材料費となり、その結果、安価な複製像を
供給する事ができる。
【0036】又、シリコン樹脂型の表面部分の内、石膏
型と接触する界面には凹凸を形成してある為シリコン樹
脂型と石膏型は強固な接合が実現されており、複合型と
して一体化されて型から複製像を引き抜く時に両型材料
部分どうしが剥がれる事が無く、型全体を高価なシリコ
ン樹脂で作成した時と同様の良い作業性が得られる。
【0037】更に又、立体像の原形を作成する時に紙粘
土にパラフィンを溶融含浸させた材料を用いて彫刻成形
する事により、彫刻加工部がくずれる事の無い微細な形
状加工が可能であるので、安価で微細な立体原形を作成
する事が可能となり、多様な嗜好に応じた、種々の原形
を安価に作成する事が出来、先に述べた複合型による価
格低減効果と合わせてより安価で微細な凹凸を有する複
製像を提供する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合型の断面図である。
【図2】紙粘土製立体造形物原形の断面図である。
【図3】立体像原形表面に石膏を流し込んだ状態を示す
従来例の断面図である。
【図4】原型から石膏型を剥がす時に発生する石膏型の
破壊を示す従来例の断面図である。
【図5】本発明の複合型の一部を構成するシリコンゴム
型が原形の表面に形成される時の断面図である。
【図6】本発明の複合型を作成する途中工程(シリコン
ゴム型を立体像原形から剥がした所)を示す断面図であ
る。
【図7】本発明の複合型を作成する途中工程(シリコン
ゴム型と立体像原形にまたがって石膏を流し込む)を示
す断面図である。
【図8】本発明の複合型に石膏を流し込んだ状態を示す
断面図である。
【図9】本発明法により作成された複製像の断面図であ
る。
【図10】人形を模した紙粘土製の立体造形物原形を横
配置したものの断面図である。
【図11】紙粘土製の立体造形物原形の表面にシリコン
ゴム層を形成した物の断面図である。
【図12】シリコンゴム製の分割型の断面図である。
【図13】紙粘土製の立体造形物原形の表面にシリコン
ゴム型を戻して、シリコンゴム型を一方向に立体造形物
原形から引き抜く時障害になる部分にスポンジを充填し
た状態の断面図である。
【図14】立体造形物原形の上に配置されたシリコンゴ
ム型の表面の第一の部分に石膏を流し込んだ時の断面図
である。
【図15】立体造形物原形の上に配置されたシリコンゴ
ム型の表面の第二の部分に石膏を流し込んだ時の断面図
である。
【図16】立体造形物原形の上に配置されたシリコンゴ
ム型の表面の第三の部分に石膏を流し込んだ時の断面図
である。
【図17】本発明の複合型の断面図である。
【図18】シリコンゴム型と石膏型の界面でシリコンゴ
ム型部の剥離が生じている状態の断面図である。
【図19】本発明の三つの分割された複合型を石膏を注
型する為に集合した時の断面図である。
【図20】本発明の複合型に石膏を注型した状態の断面
図である。
【図21】石膏製の立体造形物複製像の断面図である。
【図22】引張り剥離試験片のシリコンゴム製部分の立
体図である。
【図23】引張り剥離試験片のシリコンゴム製部分の断
面図である。
【図24】引張り剥離試験片の立体図である。
【図25】引張り剥離試験片用のフックの斜視図であ
る。
【図26】紙粘土板表面に彫刻刀の刃を突き刺し、表面
と平行に刃先端を移動させる時の状況を示す説明用立体
図である。
【図27】本発明のパラフィンを含浸させた紙粘土板と
従来法のパラフィンを含浸させない紙粘土板とに、彫刻
刀による線引き加工を施した時の加工平面比較写真であ
る。
【符号の説明】
1 紙粘土製立体造形物原形 2、2―1、2―2、2―3 石膏型 3 堰 4 石膏型の破壊片 5、5―1、5―2、5―3 シリコンゴム型 6、6―1、6―2、6―3 複合型 7 シリコンゴム突起 8 石膏複製像 9 シリコンゴム層 10 スポンジ 11 空隙部 12 シリコンゴム 13 石膏 14―1、14―2、14―3、14―4、14―5、
14―6、14―7 引張り剥離試験片のシリコンゴム
製部分の立体 15―1、15―2、15―3、15―4、15―5、
15―6、15―7 引張り剥離試験片のシリコンゴム
製部分の断面 16―1、16―2、16―3、16―4、16―5、
16―6、16―7 引張り剥離試験片立体 17―1、17―2 フック 18 彫刻刀刃先端 19 彫刻刀刃切り込み部 20 切り込み端破壊幅 21 紙粘土板 22 パラフィン含浸紙粘土板 23 パラフィン非含浸紙粘土板 A 切断面 θ シリコンゴムと石膏の界面がシリコンゴム底面に対
する垂線との間でなす角度

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも型内表面の一部がシリコンゴ
    ムにより構成されたシリコンゴム型部と石膏により構成
    された石膏型部とからなる複合型を用いて複合型内部に
    複製像材料を注型する事を特徴とする立体造形物の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 シリコンゴムによる型部分と石膏による
    型部分の界面の少なくとも一部領域に対する接面が該界
    面の包絡面の垂線であって、その一部領域の最近接部分
    における垂線と20度以下の角度で交差する事を特徴と
    する請求項1記載の立体造形物の製造方法。
  3. 【請求項3】 多孔性固形物の表面の少なくとも一部に
    樹脂が含浸された材料を用いて作成された立体原形の上
    に未硬化シリコンゴムを塗布してシリコンゴム型を作成
    する事を特徴とする請求項2記載の立体造形物の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 シリコンゴムによる型部分と石膏による
    型部分の界面の少なくとも一部領域に対する接面が該界
    面の包絡面の垂線であって、その一部領域の最近接部分
    における垂線と20度以下の角度で交差する事を特徴と
    する複合型
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