JP2001159091A - パラ配向アラミド繊維紙及びその製造方法 - Google Patents

パラ配向アラミド繊維紙及びその製造方法

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JP2001159091A
JP2001159091A JP33441799A JP33441799A JP2001159091A JP 2001159091 A JP2001159091 A JP 2001159091A JP 33441799 A JP33441799 A JP 33441799A JP 33441799 A JP33441799 A JP 33441799A JP 2001159091 A JP2001159091 A JP 2001159091A
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Michio Shoji
陸夫 東海林
Yoshio Kagiya
良男 鍵矢
Maki Ichikawa
真樹 市川
Atsushi Tsunoda
角田  敦
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Naイオンを含有するポリパラ配向アラミド
繊維のみからなるウェブを使用して、エポキシ樹脂とア
ミンを反応させて揮発性酸で中和して合成したバインダ
ーで接着強化することにより提供すること 【解決手段】濃硫酸にポリマーを溶解して紡糸し、苛性
ソーダ溶液浴で中和して形成し、一部がスルフォン化さ
れたポリパラ配向アラミドからなる繊維のうち、繊維の
太さが0.5デニール以上5デニール以下、繊維長さが
1mm以上20mm以下のステープル繊維と、直径が5
μm以下のフィブリル化繊維からなる抄造ウェブを、エ
ポキシ樹脂とアミン化合物とを反応させた反応生成物
に、揮発性の酸を付加して水分散性又は水溶解性とした
バインダーで接着してなるパラ配向アラミド繊維紙にお
いて、前記抄造ウェブをバインダーで接着して乾燥、硬
化させた段階で、導電率が1μS/cm以下の純水若し
くはイオン交換水により洗浄した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、FRP、繊維補強樹脂
加工物等の高強度、高耐熱性を要求されるパラ配向アラ
ミド繊維紙及びその製造方法、さらに抵抗、ICなどの
リードレスチップ部品を表面実装するプリント配線基板
の基材等に使用され、絶縁特性をも要求されるパラ配向
アラミド繊維紙及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】携帯電話などの電子機器の小型軽量化、
高密度化を図るため、電子部品をプリント配線板に搭載
する技術としては、表面実装方式で行うことが近年の主
流な技術となってきている。このときにプリント配線板
の基礎となる絶縁基板の縦、横、厚み方向の熱膨張係数
は、表面実装されるリードレスチップ部品の熱膨張係数
(2〜7×10-6/℃のレベル)と同等であることが望ま
れる。なぜなら、これら絶縁基板とリードレスチップ部
品の熱膨張係数に差異があると、冷熱サイクルを繰り返
すことによって、クラックがリードレスチップ部品とプ
リント配線の半田接合部に生じ、機能上の障害となるか
らである。
【0003】そこで、このような問題点を解決するため
に、プリント配線板の基板材料となる積層板基材には負
の熱膨張係数を有する芳香族ポリアミド繊維のパラ配向
(以下「p−」とも記載する。メタ配向は「m−」とも
記載する。)アラミド繊維を使用した繊維紙の利用が検
討されている。このp−フェニレンテレフタラミド繊維
やp−フェニレンジフェニールエーテルテレフタラミド
繊維などのパラ配向のアラミド繊維紙(以下、「p−ア
ラミド繊維」という。)は、高強度、高弾性、高耐熱性
といった優れた性質も有しており、プリント配線基板と
して使用するには理想的な素材である。
【0004】しかし、p−アラミド繊維は、強度、弾
性、耐熱性といった繊維自体の物性の点では、確かに汎
用の合成繊維をはるかに超えた優れた繊維ではあるが、
繊維同士が水素結合をしない、及びフィラメントをカッ
トしたいわゆるステープル繊維は剛直繊維であって、そ
れら同士は全く絡み合うことはないという特性を有す
る。従って、湿式抄造により繊維紙を作製しても、高強
度、高剛性の繊維紙を得ることはできないのである。
【0005】この点については、p−アラミド繊維に叩
解処理を施していわゆる極細のフィブリルを有するパル
プ状繊維にしても、p−アラミド繊維が水素結合を有し
ないことには何等変わりなく、天然繊維質のパルプのよ
うに強度のある繊維シートを作製することはできない。
そこで、従来からp−アラミド繊維に接着硬化処理を施
して強度を付与させる方法が、種々試みられてきた。
【0006】こうした方法につき、まず、p−アラミド
繊維に他の接着性繊維を配合する方法がある。例えば、
特開平10−13017号公報には、パラ配向アラミド
繊維と、軟化温度220℃以上の熱可塑性樹脂繊維を混
抄した不織布を使用する方法が示されている。これは熱
可塑性樹脂繊維同士ないしは熱可塑性繊維とパラ配向ア
ラミド繊維を融着させて強度を出したものである。ま
た、特開平10-212688号公報には、同様の考え
方としてp−アラミド繊維とm−アラミド繊維の混抄不
織布を使用して、繊維同士を樹脂バインダーで結着さ
せ、m−アラミド繊維同士ないしm−アラミド繊維とp
−アラミド繊維を熱融着させる方法が示されている。し
かしながら、このようなp−アラミド繊維以外の繊維を
利用する方法は、p−アラミド繊維の高剛性、高耐熱性
及び低熱膨張率といった優れた性質を他の繊維の劣った
特性によってp−アラミド繊維の有する有利な特性を減
殺してしまい、p−アラミド繊維の特性を最大限に生か
すことができない。
【0007】次に、接着性繊維の代わりにバインダーを
ウェブに含浸する方法がある。特開平3−14832号
公報には、p−アラミド、アラミド溶剤、アルカリ土類
金属塩、N−メチルピロリドンからなるp−アラミド繊
維性ゲル組成物をバインダーとしてp−アラミド繊維紙
を製造する方法が開示されている。しかし、この文献の
実施例に記載されているように、この方法で現実に繊維
紙を作製しても、シート強度が低すぎて実用化するため
に不十分である。すなわち、これら文献に記載されたバ
インダーを使用する方法は、バインダーそのものの強度
が足りないという欠点を有する。
【0008】そこで、こうしたバインダーの欠点を解消
し、ウェブに含浸させて十分な強度を有するバインダー
が開発されてきた。例えば、特公昭52−39474
号、特開平6−310823号に開示された技術として
エポキシ樹脂と脂肪族アミンを反応させ、この反応物に
酸を付加して得た不織布用バインダーの応用がある。主
剤にエポキシ樹脂を使用し、硬化剤に脂肪族アミンを使
用したバインダーは硬化性、耐熱特性の点において確か
に優れたものである。
【0009】しかし、このバインダーはガラス繊維、他
の化学繊維及び合成繊維に使用する場合には何ら問題が
ないが、p−アラミド繊維、中でもポリパラフェニレン
テレフタルアミド繊維に応用するとバインダー本来の硬
化、強度の性能を発揮できず、実用化することができな
かった。これはポリパラフェニレンテレフタルアミド繊
維固有の性質によるものであった。すなわち、ポリパラ
フェニレンテレフタルアミド繊維は濃硫酸にポリマーを
溶解して紡糸し、苛性ソーダ溶液浴で中和しながら繊維
を作製する。従って、電気絶縁剤の用途としては無視で
きないほどの量のNaイオンが繊維に残留されることに
なる。このようにNaイオンが残留しているp−アラミ
ド繊維の湿式ウェブに前述の特公昭52−39474
号、特開平6−310823号によるバインダー、例え
ば、酢酸で中和された水溶性化エポキシ樹脂を含浸し、
乾燥と硬化のための熱をかけると酢酸が100%完全に
蒸散しないのである。これは一部繊維表面に介在するス
ルフォン化NaやNaイオンと反応して非揮発性の酢酸N
a塩を形成してしまうものと考えられる。これは、ポリ
パラフェニレンテレフタルアミド繊維の、その一部が
スルフォン化されている、そのスルフォン基は中和時
にNa塩になっている、繊維表面には洗浄では除去し
尽くすことのできない数千PPMのNaイオンが残って
いる、という特性から以下に示すようなバインダー本来
の性能を阻害する誘因となっているものと考えられる。
【0010】ポリパラフェニレンテレフタラミドのステ
ープル繊維とフィブリル繊維は適宜配合され、それらを
単繊維に分散してスラリー化してから抄造設備で湿ウェ
ブを得ている。しかしながら、ポリパラフェニレンテレ
フタラミド繊維は疎水性であるために、単繊維に分散し
ても水に安定懸濁することが難しく、再凝集する傾向が
強いため、一般に湿式抄造する場合、懸濁媒体の水(白
水と呼ばれる)にポリアクリルアミド系、ポリエチレン
オキサイドなどの粘剤を数十PPMないし数百PPM溶
解して白水の粘度を上げることで安定懸濁と地合いの均
質性を改良している。このときポリパラフェニレンテレ
フタラミド繊維に本質的に含有しているNaイオンは抄
造段階の脱水工程で大部分が流出するはずであるが、実
際の連続生産工程においては、白水を循環利用している
ため、白水中のNaイオン濃度が徐々に高くなってい
く。一方、脱水後であっても50%以上の水分を含有し
ている湿ウェブには、必然的に白水成分の残った状態の
アラミド繊維紙ができてしまう。従って、脱水後の湿ウ
ェブにおいても高い残留Naイオンを保有することにな
るのである。
【0011】こうした残留イオンの影響の一つ目は、硬
化反応の仮中止剤として作用する酢酸の蒸散による脱酢
酸反応のメカニズムを不十分なものとし、エポキシ樹脂
の本来の硬化が不完全なものとなって、硬化性能を不十
分なものとしてしまうこと、2つ目は酢酸塩の存在で電
気絶縁特性の低下を引き起こすことという欠点を引き起
こすのである。これらは、いずれもプリント基板を用途
に応用するには致命的な欠点となる。
【0012】理解容易のため具体例を用いて説明する
と、例えば、後述の実施例記載の「エピクロンN740
-80M」フェノールノボラックエポキシ樹脂と、トリ
エチレンテトラミンの硬化剤を使用して反応させ、酢酸
中和したエポキシバインダーを離型シートを貼着した表
面温度130℃のシリンダードライヤー表面にスプレー
して乾燥硬化させたのち、160℃のオーブンで1時間
硬化促進させたバインダー樹脂粉末を作製する。このよ
うにして得たバインダーサンプル12gを導電率1μS
/cm以下の純水で30分煮沸して抽出液200ccと
したもの(6%サンプル量)の25℃での導電率は31μ
S/cmである。また、アラミド紙中のバインダー量2
0%を想定した1.2%サンプル量を抽出して測定する
と測定値は15μS/cmであった。一方、純水若しく
はイオン交換水で抄造したバインダー含浸前の実施例記
載の湿ウェブを同様に純水で抽出したら、導電率は31
μS/cmとなった。従って、エポキシバインダーとポ
リパラフェニレンテレフタラミド「ケブラー#29」繊
維のステープル40%、同パルプ状繊維60%によるウ
ェブの純水抽出導電率は全く同じレベルにあることがわ
かる。
【0013】しかしながら、この導電率31μS/cm
レベルの両者の組み合わせでできた強化アラミド繊維紙
(バインダー比20%)の導電率(6%サンプル量で30
分煮沸による抽出液)を測定すると、後述の比較例に記
載のように270μS/cmと高い値になって絶縁性能
を大きく低下させるのである。
【0014】なお、参考までに従来の水性エポキシとい
われる特開平8-12932号公報に記載の第4の例と
類似の樹脂と考えられる樹脂の特性を測定してみると、
大日本インキ社製「ディックファインEN-0270」
100部にメラミンフォルマリン樹脂の「ベッカミンA
PM」10部の配合樹脂を乾燥と160℃1時間硬化し
た樹脂の6%サンプル量の純水抽出の導電率は78μS
/cmであり、実施例に使用の樹脂31μS/cmより
悪くなる。さらに、耐熱性の指標となるDSC法による
この樹脂のガラス転移点は109℃であり、本発明の実
施例のものは155℃と高かった。
【0015】以上のような欠点を解消するために、ポリ
パラフェニレンテレフタルアミド繊維自体の初期Naイ
オン含有量を極力低減させることが考えられる。この点
特開平11−181622号公報に、ポリパラフェニレ
ンテレフタルアミド繊維を脱イオン処理し、アルカリイ
オン含有量を0.2重量%(2000PPM)以下とし
たものが開発されている。しかし、バインダー性能を阻
害するレベルの数百PPMをはるかに越える残存イオン
を有しているのである。このようにポリパラフェニレン
テレフタラミド繊維のNa塩、Naイオンは本質的に、純
水若しくはイオン交換水で洗浄しても簡単に除去しきれ
ないのである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な課題を解決するためになされたものであり、プリント
配線板に使用されるような高い物性が要求される繊維紙
を、Naイオンを含有するポリパラ配向アラミド繊維の
みからなるウェブを使用して、エポキシ樹脂とアミンを
反応させて揮発性酸で中和して合成したバインダーで接
着強化することにより提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、濃硫酸にポリ
マーを溶解して紡糸し、苛性ソーダ溶液浴で中和して形
成し、一部がスルフォン化されたポリパラ配向アラミド
からなる繊維であって、繊維の太さが0.5デニール以
上5デニール以下、繊維長さが1mm以上20mm以下
のステープル繊維と、直径が5μm以下のフィブリル化
繊維のうち、いずれか一つ又は両方を有する抄造ウェブ
を、エポキシ樹脂とアミン化合物とを反応させた反応生
成物に、揮発性の酸を付加して水分散性又は水溶解性と
したバインダーで接着してなるパラ配向アラミド繊維紙
において、前記抄造ウェブをバインダーで接着して乾
燥、硬化させた段階で、導電率が1μS/cm以下の純
水若しくはイオン交換水により洗浄したものである。
【0018】そして、洗浄されたパラ配向アラミド繊維
紙は、導電率が10μS/cm以下の純水若しくはイオ
ン交換水により30分以上煮沸洗浄した抽出液100c
cが、前記パラ配向アラミド繊維紙6g抽出分に相当す
る濃度で、50μS/cm以下の導電率であることが望
ましい。
【0019】これは、『背景技術』で述べたようにポリ
パラフェニレンテレフタルアミド繊維の繊維表面には洗
浄では除去し尽くすことのできない数千PPMのNaイ
オンが残っており、繊維表面一部にスルフォン化Na塩
が形成されているために、酢酸中和のエポキシバインダ
ーが接触して熱がかけられると、これらNaイオンと酢
酸が反応して不揮発性の酢酸Na塩が形成される。そこ
で、抄造ウェブの段階をバインダーで接着して乾燥、硬
化させた段階において純水若しくはイオン交換水により
洗浄をおこなってNa塩、Naイオンを除去したところに
特徴を有するものである。
【0020】すなわち、以上のような弊害をもたらすパ
ラ配向アラミド繊維紙に含有するNaイオンを硬化性
能、絶縁性能に影響のでない程度まで減少ならしめるた
めには、抄造白水の水は導電率が10μS/cm以下、
好ましくは3μS/cm以下の純水若しくはイオン交換
水にする必要がある。しかし、前述したように本質的に
ポリパラフェニレンテレフタラミド「ケブラー#29」
繊維のNa塩、Naイオンは純水若しくはイオン交換水で
洗浄しても簡単に除去しきれないのである。そこで、本
発明者は、一旦該バインダーを含浸、加熱乾燥させてか
ら形成された酢酸塩や未反応のアミン、残留酢酸、そし
て抄造用の粘剤などの導電率を上げる成分を純水若しく
はイオン交換水を使って洗浄することで、驚くべき性能
の向上が得られることを見いだし、導電率10μS/c
m以下、のぞましくは3μS/cm以下の純水若しくは
イオン交換水を用いて、通常のウェブ洗浄装置により該
ウェブを洗浄することにより解決したのである。さらに
洗浄効率をよくするには、50℃以上の温度にして除去
することが好ましい。なお、この洗浄はバッチ式に巻き
取りを加熱した純水若しくはイオン交換水の浴に数時間
の浸漬とすすぎを行うのでも目的を達することができる
し、特に洗浄装置については限定するものではない。
【0021】そして、このようにして作製された芳香族
ポリアミド繊維紙は、耐熱性、電気絶縁性、微細な均質
構造にもとづく含浸性と積層間の密着性など、高度な物
性を備えていることから特にプリント配線基板用の原紙
としての使用に好適である。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の採った手段の実施の形態
を本発明の技術的意義を示すとともに詳しく説明する。
【0023】まず、初めに本発明に使用される繊維につ
いて説明する。本発明に使用されるパラ配向アラミド繊
維は、芳香族ポリアミド繊維の中でアミド結合が芳香族
環のパラ位置で結合される繰り返し単位から実質的にな
るポリパラフェニレンテレフタラミド繊維である。かか
るポリパラフェニレンテレフタラミド繊維のステープル
としては種々のものが開示されているが代表的なものを
例示すれば、「ケブラー」(登録商標:デュポン社製)
(化1)や「トワロン」(登録商標:アクゾ社製)等(化
2)がある。
【0024】
【化1】
【0025】
【化2】 また、本発明に使用されるポリパラフェニレンテレフタ
ラミド繊維は、その形状から2つのタイプがある。一つ
は、繊維の太さが0.5デニール以上5デニール以下、
繊維長さが1mm以上20mm以下のステープル繊維で
ある。このステープル繊維はアラミド繊維紙の強度を出
すことと、熱膨張に対する抵抗をもたせること、及び程
よい空隙構造をつくることに有利に作用する。
【0026】使用されるステープル繊維の太さは、さら
に0.5デニール以上2デニール以下の太さのものが好
ましい。5デニール以上では構造が粗すぎて激密性に欠
け、プリント基板用途には不向きである。また、0.5
デニール以下の太さでは逆に緻密すぎて積層板加工工程
での樹脂の含浸浸透性が劣る。一方、ステープル繊維の
長さは1mm以上20mm以下、さらには好ましくは3
mm以上13mm以下であることが好ましい。繊維長さ
が1mm未満では、ウェブの強度が弱すぎて湿式のウェ
ブ化工程でも生産が困難なほど弱く、繊維紙になっても
積層板加工の含浸時やプレス工程中に切断トラブルを起
こすことがある。また、プリント回路板の発熱部の熱膨
張に対する抵抗力が弱いため、回路を切断する危険もあ
る。逆に、20mm以上の長さでは均一な繊維の分散が
困難になり、地合が不均一になって高精度な積層板を得
ることが困難になりやすい。より高い強度と均質な地合
を満たすためには、3mm以上13mm以下の長さのス
テープル繊維を使用することが好ましい。
【0027】一方、もう一つの繊維はフィブリル化繊維
である。これはポリパラフェニレンテレフタラミド繊維
のスラリーをビーター、ディスクレファイナー、マスコ
ロイダー(増幸産業社製のコロイドミル)などの機械的
叩解処理や特開昭63-196790号公報に開示され
ている加圧ホモジナイサー法などにより、ステープル繊
維の切断を最小限にしながら主に表面を縦軸に裂いて繊
維径5μm以下、その大半を1μm以下の極細フィブリ
ルに生成させたものである。フィブリル化繊維には、ス
テープルから分離されて繊維全体がフィブリル化したも
のだけでなく、ステープル繊維の一部をフィブリル化さ
せステープル繊維の幹繊維からフィブリルの一部が枝状
に分岐しているものも含まれる。
【0028】ステープル繊維の幹繊維から離れないフィ
ブリル化繊維は、抄造工程において凝集しにくいために
均質に懸濁しやすいので均質な地合になりやすい特性が
あり、また、バインダーを含浸させるときには、毛管現
象によりウェブ全体にバインダーを浸透させやすくする
という特性も有する。このような特性は、強度の高い繊
維紙を形成するウェブ処方として重要な役割を有する。
また、フィブリルの存在は、ウェブ表面の表面積を大き
くすることになるため、繊維紙をプリプレグにして数枚
重ねてプレスする積層板として使用する場合には、層間
並びに銅箔との密着強度を上げるのにも効果的に作用す
る。また、フィブリルは、ウェブの厚さ方向にも配向し
やすいためにプリント回路の発熱による厚さ方向の熱膨
張を防止するのにも効果的に作用する。さらに、多層板
の回路を接続するためにレーザーで孔あけ加工をする
が、その際に、フィブリルの存在は切断面をきれいにし
やすいこと、その上、孔あけでたまに発生する亀裂面か
ら導電ペースト粒子の侵入を阻止する構造にあるため、
きわめて信頼性のある回路板を提供することができる。
【0029】なお、機械的叩解処理によりフィブリル化
する場合には、繊維自体が短く切断されてしまいがちな
ので、ウェブの強度を引き出すために好ましくは繊維長
が1mm以上、さらに好ましくは3mm以上のステープ
ル繊維を叩解処理するのがよい。しかし、10mmを超
えると機械的叩解処理の際に凝集し固まりになってしま
うので地合いの不良につながりやすくなるので10mm
以下であることが好ましい。
【0030】フィブリル化の度合いを測定する方法とし
ては、濾水性試験法としてのCSF(Canadian Standard
Freeness)がある。通常は、0ccから600cc程度
のフィブリル化処理したものから選択して使用される。
300ccから600ccの範囲のフィブリル化繊維
は、繊維の切断が少なく十分な強度が得られる上、ウェ
ブの空隙も程よく保てるために積層板加工時の樹脂液の
含浸速度が速く、加工性と樹脂による濡れ信頼性の点で
も良好だからである。一方、300cc以下までにフィ
ブリル化した場合には、脱水抵抗が大きくなって抄紙し
にくくなるので、ステープル繊維と配合して全体のCS
Fは200cc以上程度にした方が抄造性と最終物性バ
ランスに好都合となる。
【0031】そして、以上のようなポリパラフェニレン
テレフタラミド繊維のステープル繊維とフィブリル化繊
維を適宜配合し、それらを単繊維に分散してスラリー化
してから抄造設備で湿ウェブを得る。なお、このポリパ
ラフェニレンテレフタラミド繊維のステープル繊維及び
/又はフィブリル化繊維のいづれか一方を使用するか若
しくは両方を使用するか、また、両方を使用する場合に
はどの程度の配合比で使用するか、さらには、どの程度
の長さや太さの繊維を使用するかについては、ステープ
ル繊維の太さや、フィブリル化繊維のCSF、濾水性な
どの性質を考慮して使用目的・用途に応じて使用者によ
り適宜選択される。そして、ポリパラフェニレンテレフ
タラミド繊維のステープル繊維とフィブリル化繊維を適
宜配合し、それらを単繊維に分散してスラリー化してか
ら抄造設備で湿ウェブを得る。
【0032】次にバインダーについて説明する。まず、
本発明に使用されるエポキシ樹脂バインダーの特徴を明
らかにするために、まず従来から使用されている「水溶
性若しくは水分散性エポキシ樹脂」バインダーの欠点に
ついて説明する。エポキシ樹脂バインダーは、従来から
種々の目的・作用で使用されているが、「水溶性若しく
は水分散性エポキシ樹脂」と呼んでいるものには色々と
あるが、大別して次の4通りがある。
【0033】まず、第一の場合は、主剤のエポキシ樹脂
を界面活性剤で乳化させて、水溶性の硬化剤と組み合わ
せて使用されるものである。しかし、このエポキシ樹脂
は、硬化に10分以上の時間を要するため、アラミド繊
維紙の生産工程用バインダーとしては使用することがで
きない上、乳化剤の界面活性剤は吸水性があるので、電
気絶縁の目的で使用する場合には致命的な欠点となる。
すなわち、この種のバインダーは、硬化速度及び絶縁特
性の点で問題となる。
【0034】第二の場合は、グリシジル基をもったアク
リルエマルジョンにメラミン樹脂などで架橋して使用す
る方法である。これは、前記第一の場合と同様に、乳化
剤の界面活性剤が絶縁特性等の性能を落とす上に、ガラ
ス転移点温度がせいぜい110℃前後と低く、熱膨張を
抑えることができず、耐熱性の点で欠点を有している。
【0035】第三の場合としては、ポリエチレンイミン
エピクロルヒドリン縮合体、ポリアミドエピクロルヒド
リン樹脂などの主に製紙スラリー内部に添加して耐湿強
度を上げる目的として使用されるものがある。これは架
橋性が低い樹脂のために耐熱性、耐煮.沸性等の物性に
おいて欠点を有している。
【0036】さらに、第四の場合として、例えば、溶剤
媒体にスチレン・メタクリル酸・メタクリル酸のような
組成からなるカルボキシル基含有高分子化合物にエポキ
シ樹脂とジメチルアミノエタノールとを反応させてでき
た水性分散体(特開平8-12932号公報参照)を使用
したものがある。しかし、このタイプも前述と同様に架
橋密度が十分でないためガラス転移点温度が高くても1
20℃程度しかなく、高温の加熱乾燥に耐えることがで
きず、また熱膨張がおきやすい等の欠点がある。
【0037】本発明に使用されるバインダーは、このよ
うな従来の水溶性エポキシ樹脂がもつ欠点、すなわち、
硬化速度、絶縁性、耐熱性に弱いという特性を克服する
とともに、強度、高温加熱乾燥耐性等をも満たすエポキ
シ樹脂系のバインダーである。
【0038】なお、本発明に使用されるエポキシ樹脂系
のバインダーは、乳化剤を使用することなく水溶性に変
性して水媒体で使用できるものとする必要がある。これ
は絶縁特性の点で全く問題がなく良好なものとするため
である。また、このバインダーは、乾燥と同時に即硬化
できるようにする必要をも有する。乾燥と同時に引張り
強度と表面強度を発現するために乾燥装置を汚すことな
く、ウェブの受け渡しの問題を解決し、オンラインの生
産工程に適したバインダーとするためである。
【0039】前述のような特性を有するエポキシ樹脂に
は、次のようなものがある。まず、ビスフェノールA若
しくはFのジグリシジルエーテル(化3)、フェノール
ノボラックポリグリシジルエーテル(化4)、クレゾー
ルノボラックポリグリシジルエーテル(化5)や、多官
能グリシジルエーテル、例えばテトラフェニルグリシジ
ルエーテルエタン(化6)、トリフェニルグリシジルエ
ーテルメタン、多官能グリシジルアミン樹脂などがあ
る。これらの中でもエポキシ当量が200以下のものは
粘度が低く、粘度希釈用の溶剤を不要若しくは最小限と
することが可能になるので好都合である。さらに、エポ
キシ当量が低い程、架橋密度が高く、耐熱性、吸水特性
の良好なものが得られる。なお、ここで「エポキシ当
量」とは、分子量をグリシジル基の数で除したものであ
る。その他にも、トリグリシジルイソシアヌレート、ジ
グリシジルアニリン、ジグリシジルオルソトルイシン、
レゾルシンジグリシジルエーテルなども粘度が低く、耐
熱性も良好である。また、難燃性が要求されるときに
は、これら樹脂の臭素化されたエポキシ樹脂が好適に選
ばれる。なお、これらは単独で使用しても、2種以上の
併用でもよく、限定されるものではない。
【0040】
【化3】
【0041】
【化4】
【0042】
【化5】
【0043】
【化6】 次に、硬化剤について説明する。本発明に使用する硬化
剤は、脂肪族アミン及び環状化合物のアミン化合物を主
として用いる。脂肪族アミンとしては、エチレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、
テトラエチレンペンタミンなどの下記式に示す脂肪族ポ
リアミン(化7)が好適であるカミ、トリエチルアミン
のような第3級アミンや、ジエチルアミン、Nメチルエ
タノールアミンのような第2級アミンなど、他の脂肪族
アミンなどでもよく、これらは単独又は2種以上の併用
でもよく、特に限定されるものではない。
【0044】
【化7】 一方、本発明に使用される環状化合物のアミンの代表例
としては、分子構造式に少なくとも一つのシクロヘキサ
ン骨格、若しくはその誘導体を有した脂環族アミン化合
物がある。好適な脂環族アミン化合物の例としては、
3,3'ジメチル−4,4'ジアミノシシクロヘキシルメタ
ン(化8)、メンセンジアミン(メンタンジアミンとも
いう。)(化9)やイソホロンジアミン(化10)であ
る。場合によれば、Nアミノエチルピペラジン(化1
1)などの複素環状化合物や、ベンゼン環を含むアミ
ン、例えば、メタキシレンジアミンやその誘導体にも応
用できる。勿論、環状化合物のアミンであれば、これら
に限定されるものではない。
【0045】
【化8】
【0046】
【化9】
【0047】
【化10】
【0048】
【化11】 次に以上のようなエポキシ樹脂主剤と硬化剤たるアミン
化合物を用いてバインダーを生成する方法について具体
例とともに説明する。例えば、変性反応を1時間程度で
行うためには、脂肪族ポリアミンとの反応は反応樹脂量
に応じて変える必要がある。一般には約20℃ないし4
0℃程度が適当であるが、この温度条件はエポキシ主剤
とアミン硬化剤の種類、反応樹脂量、反応装置の撹拌装
置、冷却能力などに応じて適宜選ばれるもので限定され
るものではない。
【0049】このような条件の下で、エポキシ当量とア
ミン化合物の活性水素当量がほぼ1対1の配合比となる
ようにエポキシ樹脂とアミン化合物を配合して変性反応
を行う。そして、アミン化合物の活性水素とエポキシ基
とが、ある程度重付加反応したところで、酸、好ましく
は蟻酸、酢酸、乳酸などの水溶性有機揮発性酸を加えp
H7以下にして塩基性基をカチオン化の塩としてそれ以
上反応がすすまないようにする。この酸中和により、酸
性塩を形成して水に分散、溶解するようになると考えら
れる。このようにして水分散性又は水溶性となったバイ
ンダー中和液を適宜希釈して含浸用のバインダーとす
る。この揮発性酸は乾燥工程の熱により蒸散してアミン
化合物の未反応活性水素とエポキシ基のさらなる重縮合
反応を瞬時にすすめるのが本樹脂の特徴である。
【0050】変性反応を酢酸中和の例で説明すると、加
熱撹枠をしながら所定時間反応させるが、時々サンプリ
ングして10%酢酸への溶解性を確かめながら反応させ
て中和の最適時点をきめる。だいたい1時間前後に中和
の最適時点がくるように加熱して10%酢酸を加えて中
和希釈する。
【0051】なお、脂肪族アミンと環状化合物アミンの
両方の併用により、特性をさらに上げることもできる。
その場合、変性反応におけるそれぞれの反応条件、及び
硬化条件は異なることが多いので、環状化合物のアミン
で変性反応した樹脂液と脂肪族アミンで変性反応した樹
脂液を別々に調整してから両者を混合することが適当で
ある。混合比はその目的用途に応じて適宜きめられる。
【0052】以上のように、合成されたバインダーはポ
リパラフェニレンテレフタラミド繊維ウェブに含浸され
接着強化される。しかし、ポリパラフェニレンテレフタ
ラミド繊維の抄造後湿ウェブ及び乾燥後のウェブは強度
が低いため、一般的にバインダー液にウェブを浸漬して
絞るという含浸法は困難である。そこで、バインダーの
含浸には非接触法のスプレー含浸法が好都合である。こ
の場合、ウェブは乾燥前の水分をもっている状態の方が
粒子状のスプレーバインダーがウェブに接触してからの
拡散と浸透性が促進されるので好都合である。乾燥した
ウェブは撥水性を示すので均質な含浸になりにくい。ウ
ェブに含浸したバインダーは、加熱すると乾燥と樹脂の
硬化が同時に進行する。このときの乾燥方法としては、
通常、温度が120〜160℃程度の熱風乾燥か、赤外
線加熱装置、あるいは離型剤を貼ったシリンダードライ
ヤーによる乾燥が用いられるが、特にこれに限定される
ものではない。さらに追加的に赤外線加熱装置置などに
より熱処理を行うことで高いガラス転移温度(Tg)のパ
ラ配向アラミド繊維紙を得ることができる。
【0053】このようにしてバインダーを含浸し、加熱
乾燥された抄造ウェブには、Naイオンと酢酸が反応し
て不揮発性の酢酸塩が形成されているので、未反応のア
ミン、残留酢酸、抄造用の粘剤等の導電率を上げる成分
とともに、これを導電率が10μS/cm以下、望ましく
は、3μS/cm以下の純水又はイオン交換水を用いて洗
浄する。この時の洗浄方法は、特に限定されるものでは
なく、通常使用されているウェブ洗浄装置で洗浄すれば
よい。このときの純水又はイオン交換水は、50℃以上
であれば効率よく洗浄することができる。
【0054】そして、この洗浄工程後に乾燥と赤外線ヒ
ーターなどで後硬化を十分におこない、つづいて高温高
圧のカレンダーで処理して所望の見掛け密度のアラミド
繊維紙にしあげる。赤外線ヒーターの主波長は遠赤外線
の方が好ましい場合がある。以上のように、エポキシバ
インダーにより強化されたアラミド繊維紙は見掛け密度
が0.2〜0.3g/cm3程度であり、積層板としてのア
ラミド繊維本来の強度を発揮するために密度が低すぎる
ものである。そこで、望ましい密度、例えば0.5〜
0.7g/cm3程度に調製するために熱カレンダー処理を
おこなう。本発明のエポキシバインダーの硬化樹脂は、
ガラス転移温度が140℃から180℃程度と高いバイ
ンダー樹脂を作成することができるので250℃〜30
0℃の高い温度の熱カレンダーを通してもウェブ繊維の
乱れを起こすことがなく、耐熱性の高い均質なp−アラ
ミド繊維紙を提供することができる。
【0055】一方、エポキシバインダー樹脂のガラス転
移点は高いとはいっても200℃以下にあるので、カレ
ンダー入口に赤外線加熱装置をつけて予熱したりしてウ
ェブの実質処理温度を250〜300℃の温度とするこ
とで、カレンダーの線圧は200kg/cm以下程度でも
十分に0.5〜0.7g/cm3の密度にすることができ
る。
【0056】(実施例)以下、実施例としてエポキシバ
インダーの調製例とp−アラミド繊維紙の製造の実施例
について記載する。
【0057】(エポキシバインダーの調製例)大日本イ
ンキ社製「エピクロンN740-80M」樹脂分180g
のフェノールノボラックエポキシ樹脂と、トリエチレン
テトラミン24.4gの硬化剤を使用した。これらを配合
し、撹拌しながら45℃に加温して所定時間反応させ
た。適時サンプリングして10%酢酸への溶解性を確か
めながら反応させたところ、最適時点は55分後であっ
た。これに、10%酢酸水溶液を520g加えて乳液状
の水分散性バインダー原液を得た。さらに、このバイン
ダー原液を少量とって電子レンジ(電磁波加熱装置)で蒸
発乾燥後、さらに160℃で10分問熱硬化させた。こ
の樹脂を示差熱分析によりガラス転移温度(Tg)を測定
したところ、165℃であった。そして、このバインダ
ー原液を水希釈により12%濃度にして含浸用のバイン
ダーを得た。
【0058】(実施例1)繊維の太さが1・5デニー
ル、繊維長さが6mmのポリパラフェニレンテレフタラ
ミドステープル繊維「ケブラー#29(登録商標:デュポ
ン社製)」40重量%と、同じく繊維の太さが1.5デニ
ール、繊維長さが3mmのパラ配向アラミドステープル
繊維「ケブラー#29」を叩解処理してステープル繊維
の表面が縦軸に裂けて枝状の細いフィブリルを生成せし
めて濾水度CSF550ccとしたパルプ状繊維を乾燥
重量で60%を配合してパルパーにて導電率が3μS/
cm以下のイオン交換水を使用して水中に分散し、PA
M系粘剤として明成化学杜の「パムオール」を50PP
Mになるように添加し、繊維は0.2%濃度にした。こ
のスラリーを短網抄紙機にてウェブの坪量56g/m2
抄造して水分が62%の湿ウェブを得た。ついで上記
「エポキシバインダーの調製例」により調製した12%
濃度のエポキシバインダーを固形分付着量で全体中20
%になるようにスプレー含浸してウェブ全体に浸透させ
た。離型シートを貼着した表面温度130℃のシリンダ
ードライヤー、及び赤外線ヒーターでウェブを加熱して
乾燥と樹脂の硬化をおこなって坪量70g/m2のアラミ
ド繊維紙を得た。引き続き2組の75℃の湯浴と絞りロ
一ルからなる洗浄装置により洗浄をして水分率58%に
絞った。なお、洗浄水として導電率が3μS/cmのイ
オン交換水を使用した。引き続き表面温度130℃のシ
リンダードライヤー、及び遠赤外線ヒーターでウェブを
加熱して乾燥と硬化反応の完結をおこなった。この加熱
工程でアラミド繊維紙の表面温度が200℃以上ででた
ところで320℃の表面温度、線圧200kg/cmをも
つ表面が平滑なスチール/スチールカレンダーで6m/
分で処理して坪量70g/m2、厚み0.117mm、見
掛け密度0.6g/ccのプリント基板用アラミド繊維紙
を得た。
【0059】(実施例2)バインダー含浸、乾燥後のウ
ェブ洗浄水として導電率が10μS/cmのイオン交換
水を使用した以外は、実施例1と同様の条件で秤量7
0.4g/m2、厚さ0.118mm、見掛け密度0.
6g/ccのプリント基板用アラミド繊維紙を得た。
【0060】(比較例1)バインダー含浸、乾燥後のウ
ェブ洗浄水として導電率が120μS/cmの工業用水
を使用した他は実施例1と同様の条件で秤量70.1g
/m2、厚さ0.116mm、見掛け密度0.6g/c
cのプリント基板用アラミド繊維紙を得た。
【0061】(比較例2)75℃の湯浴と絞りロールか
らなる洗浄装置を用いた洗浄を行わなかった他は実施例
1と同様の条件で坪畳70g/m2、厚み0.117m
m、見掛け密度0.6g/ccのプリント基板用アラミド
繊維紙を得た。
【0062】 (エポキシ積層板の作成条件) 下記2種配合品(油化シェルエポキシ社製、「YL6090」) 70部 臭素化ビスワエノールAエポキシ樹脂(Br23%、エポキシ当量270)50% 3官能臭素化エポキシ樹脂(Br23%、エポキシ当量270) 50% ノボラックフェノール樹脂(水酸基当量120、油化シェルエポキシ社製、「Y HL129」) 30部 カルボニルシイミダゾール 0.1部 メチルエチルケトン 66.6部 上記ワニスを実施例、ならびに比較例のアラミド繊維紙
に含浸させ、オーブン乾燥により溶剤の除去と若干の樹
脂の硬化反応を行ってプリプレグを得た。ワニス樹脂の
含浸量は50重量%で加熱は140℃で5分であった。
このプリプレグを6枚重ねてプレス機により熱圧着して
エポキシ積層板を得た。熱圧着条件は50kg/cm2,1
80℃60分であった。以上の測定の結果を以下の表1
に示す。
【0063】
【表1】 以上の結果から、バインダー含浸乾燥後にイオン交換水
による洗浄処理を行った方が、熱水抽出導電率及びエポ
キシ積層板耐湿絶縁抵抗で良好なことがわかる。これ
は、アラミド繊維紙を工程中で純水若しくはイオン交換
水で洗浄することにより高い耐湿絶縁抵抗を示し、実用
に問題がないレベルのものとなった。なお、実施例、比
較例の各物性評価方法は次の通りである。 (1)坪量:JIS P-8124に準じて測定した。 (2)厚さ:JIS P-8118に準じて測定した。 (3)引張強度:JIS P-8113準じて測定した。 (4)耐溶剤強度:15mm巾に調整した試料をアセトン
に浸漬させ、10分経過後直ちに取り出し、試料の引張
強度をJIS P−8113準じて測定した。 (5)熱水抽出導電率:アラミド繊維紙を3cmないし5c
mの角状に切って12g分をコニカルビーカーに入れ、
1μS/cm以下の純水で30分以上電子レンジを使用
して煮沸した抽出液が200cc以下になるように煮沸
して最終的に同じ純水を加えて200ccとした。これ
は100ccあたりでは6g分の抽出濃度に相当する。
この抽出液を25℃に冷却して導電率計にて導電率を測
定した。 (6)エポキシ積層板の吸水率、耐湿絶縁抵抗の測定:純
水と銅箔を剥がしたエポキシ積層板試料を耐圧構造の容
器に入れて121℃、24時間エポキシ積層板の小片を
処理して表面水を拭き取り、吸水率と絶縁抵抗を測定し
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鍵矢 良男 愛媛県川之江市金生町下分2012番地 丸菱 ペーパーテック株式会社内 (72)発明者 市川 真樹 愛媛県伊予三島市紙屋町2番60号 大王製 紙株式会社内 (72)発明者 角田 敦 東京都中央区日本橋本町1−5−6 東 レ・デュポン株式会社内 Fターム(参考) 4J036 AB17 AC01 AC02 AC03 AC05 AD08 AF06 AF08 AH01 CA18 CB05 CB10 CB22 FB13 JA15 KA04 4L055 AF35 AG80 AG87 AG93 AG98 AH37 BE10 BE20 EA16 EA34 FA30 GA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 濃硫酸にポリマーを溶解して紡糸し、苛
    性ソーダ溶液浴で中和して形成し、一部がスルフォン化
    されたパラ配向アラミド繊維であって、繊維の太さが
    0.5デニール以上5デニール以下、繊維長さが1mm
    以上20mm以下のステープル繊維と、直径が5μm以
    下のフィブリル化繊維のうち、いずれか一つ又は両方を
    有する抄造ウェブを、エポキシ樹脂とアミン化合物とを
    反応させた反応生成物に、揮発性の酸を付加して水分散
    性又は水溶解性としたバインダーで接着してなるパラ配
    向アラミド繊維紙において、 前記抄造ウェブをバインダーで接着して乾燥、硬化させ
    た段階で、導電率が10μS/cm以下の純水若しくは
    イオン交換水により洗浄することを特徴とするパラ配向
    アラミド繊維紙。
  2. 【請求項2】 導電率が10μS/cm以下の純水若し
    くはイオン交換水により30分以上煮沸洗浄した抽出液
    100ccが、前記パラ配向アラミド繊維紙6g抽出分
    に相当する濃度で、50μS/cm以下の導電率である
    ことを特徴とした請求項1記載のパラ配向アラミド繊維
    紙。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のパラ配向アラミド
    繊維紙をプリント配線基板用の基材にしたことを特徴と
    するパラ配向アラミド繊維紙。
  4. 【請求項4】 繊維の太さが0.5デニール以上5デニ
    ール以下、繊維長さが1mm以上20mm以下のパラ配
    向アラミドステープル繊維と、パラ配向アラミドからな
    る直径が5μm以下のフィブリル化繊維のうち、いずれ
    か一つ又は両方を有する抄造ウェブを、エポキシ樹脂と
    アミン化合物とを反応させた反応生成物に、揮発性の酸
    を付加して水分散性又は水溶解性としたバインダーで接
    着して得られるパラ配向アラミド繊維紙の製造工程中
    に、 前記パラ配向アラミド繊維紙を導電率が10μS/cm
    以下の純水若しくはイオン交換水で洗浄し、 導電率が1μS/cm以下の純水で30分以上煮沸した
    抽出液100ccの該パラ配向アラミド繊維紙6g抽出
    分に相当する濃度での導電率を50μS/cm以下にし
    たことを特徴とするパラ配向アラミド繊維紙の製造方
    法。
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