JP2001158933A - Al−SiC系複合材料とその製造方法及びそれを用いた半導体装置 - Google Patents

Al−SiC系複合材料とその製造方法及びそれを用いた半導体装置

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JP2001158933A
JP2001158933A JP34295199A JP34295199A JP2001158933A JP 2001158933 A JP2001158933 A JP 2001158933A JP 34295199 A JP34295199 A JP 34295199A JP 34295199 A JP34295199 A JP 34295199A JP 2001158933 A JP2001158933 A JP 2001158933A
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Chihiro Kawai
千尋 河合
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体パワーデバイスにも適する280W/
mK以上の熱伝導率を有し、かつ半導体パッケージの周
辺部材の熱膨張係数とも整合するAl−SiC系複合材
料の提供を課題とする。 【解決手段】 Al又はAl合金とSiCからなり、S
iCの量が全体の40〜75vol%を占める複合材料
であって、複合材料組成中に、SiCの粒子同志が焼結
した疑似造粒骨格を形成する連続相となっているAl−
SiC系複合材料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種装置、機器に
用いられる放熱基板、特に半導体装置の放熱基板に用い
られる優れた熱伝導性を有するAl−SiC系複合材料
及びそれを用いた半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の半導体装置は、市場の要求によっ
て増すます高速演算・高集積化の傾向にある。それと共
に、該装置の半導体素子搭載用放熱基板には、半導体素
子から発生する熱を効率よく逃がすため熱伝導率の優れ
た材料が求められる。さらに、これ等を収納する半導体
パッケージとの熱歪みの差異を小さくするため、熱膨張
係数の整合性も求められる。具体的には、半導体素子と
して通常用いられるSi、GaAsの熱膨張係数がそれ
ぞれ4.2×10-6/℃、6.5×10-6/℃であり、
半導体パッケージの筐体として通常用いられるアルミナ
セラミックスのそれが6.5×10-6/℃程度であるこ
とから、放熱基板の熱膨張係数もこれらの値に近いこと
が好ましい。
【0003】また近年のエレクトロニクス機器の応用範
囲の著しい拡張に伴い、半導体装置の使用範囲は一層多
様化しつつある。その中で、高出力の交流変換機器・周
波数変換機器等のいわゆる半導体パワーデバイス機器へ
の利用が増えている。これらのデバイスでは、半導体素
子からの発熱が半導体メモリーやマイクロプロセツサー
に比べ数倍から数十倍にも及ぶ。従って、これらの機器
に用いられる放熱基板は、熱伝導率を格段に向上させる
と共にパッケージ周辺部材の熱膨張係数とできるだけ整
合させることが重要である。
【0004】半導体パッケージの代表的な構造として
は、Si等から成る各種半導体素子を第1の放熱基板で
ある高熱伝導性の窒化アルミニウム(以下、AlNと言
う)セラミックス基板に搭載する。次いで第1の放熱基
板の下にCu−W系等のより高熱伝導性の複合合金から
成る第2の放熱基板を配置する。さらに第2の放熱基板
の下に熱ポンプとなるペルチェ素子等を配置して、半導
体パッケージの外に放熱する。
【0005】この構造において、第1の放熱基板である
AlNセラミックスの熱伝導率が170W/mK程度の
ものを用いるとすると、第2の放熱基板は、室温で少な
くとも200W/mK以上の高い熱伝導率が要求され
る。また、第1の放熱基板との熱膨張係数の整合のた
め、10×10-6/℃以下、特に8×10-6/℃以下の
熱膨張係数を有するものが要求される。
【0006】またこの様な半導体パッケージの筐体や基
板には、従来からCu−W系やCu−Mo系の複合合金
が用いられてきた。これらの材料は、原料が高価で不経
済であると共に重量が大きいという問題があった。そこ
で、最近は安価で軽量な材料として各種のAl複合合金
が注目されるようになってきた。中でもAlと炭化珪素
(以下、SiCと言う)を主成分とするAl−SiC系
複合材料は、原料が比較的安価であり、軽量かつ高熱伝
導性を有する。なお通常市販されているAl、SiC単
体の熱伝導率は、それぞれ140W/mK、200〜3
00W/mK程度であるが、さらにその純度や欠陥濃度
を調整すれば熱伝導率のレベルは向上する。そして、純
粋なSiC、Al単体の熱膨張係数は、それぞれ4.2
×10-6/℃、24×10-6/℃程度であり、それらを
複合化することによって熱膨張係数が広い範囲で制御可
能となる。
【0007】斯かるAl−SiC系複合合金および製造
方法については、特開平10−335538号公報に開
示されている。このAl−SiC系複合合金は、10〜
70wt%の粒子状SiC粉末とAl粉末との混合粉末
を成形した後、99%の窒素を含み、酸素濃度が200
ppm以下、露点が−20℃以下の非酸化性雰囲気中、
600〜750℃のホットプレスによる液相焼結法によ
って得られる。このとき、Alは窒化されてAlNとな
る。そして、この様な簡単な焼結法によって得られるA
l−SiC系複合材料は、100W/mK以上の熱伝導
率と20×10 -6/℃以下の熱膨張係数を有する軽量で
均一な半導体基板材料を提供できると説明されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平10−
335538号公報に記載のAl−SiC系複合材料で
は、熱膨張係数を10×10-6/℃以下にしようとする
と、SiC量を60wt%以上にしなければならない。
その結果200W/mK程度の熱伝導率のものしか得ら
れない。また熱膨張係数を犠牲にしても、240W/m
K程度の熱伝導率が限界である。
【0009】特に、半導体パワーデバイス用の放熱基板
のように、実用サイズが比較的大きく放熱量の多い場合
は、以下に述べるいくつかの課題が残っている。このよ
うな従来以上に高い放熱性が要求される放熱基板の熱伝
導率のレベルは、今後は280W/mKを超える高いも
のが要求されようとしている。しかも、半導体パツケー
ジの周辺部材の熱膨張係数は比較的低いから、放熱基板
の熱歪みによって組合わせ界面において反りや変形が生
じ、半導体素子や周辺部材に亀裂や損傷を発生させては
ならない。
【0010】Al−SiC系複合材料の製造方法につい
ては、SiCとAlの混合物中のAlを溶融させて固化
する鋳造法、SiC多孔体のスケルトンの空隙にAlを
溶融させる溶浸法、SiCとAlの混合粉末の成形体を
金型内で、真空中、Alの融点以上の温度でホツトプレ
スする液相焼結法等がある。
【0011】鋳造法では、Al溶湯を鋳型に流し込みS
iC粉末を分散させて固化するが、AlとSiCとの密
度差により冷却時に成形体中のSiC粒子の偏析を生
じ、固化体の組成が不均一になり易い。そのため固化体
の表面部と内部との間では熱膨張係数にかなりの差がで
るため、両者の界面に熱が伝わると熱歪みを生じ易い。
【0012】溶浸法では、SiC多孔体のスケルトンの
空隙に溶融したAlを均一に溶浸させる。この場合鉄鋼
の鋳造時に発生するような溶融Alの引け巣を防ぎ、S
iC多孔体のスケルトン内にAlを完全に充填して複合
合金を得る必要がある。このため通常SiC多孔体の外
周に過剰なAlが溶浸剤として注入される。溶浸後、こ
の過剰なAlが溶浸体の外周に溶出固着し、その除去に
多大の工数がかかる。
【0013】液相焼結法では、ホットプレス装置が連続
式のものであれば、真空雰囲気にすると共にAlの溶融
点以上に温度を上げるため、金型の外への溶融物の流出
を抑える必要がある。従って、成分量のばらつきを抑え
均一組成のものを得ようとすると、非常に高価な製造装
置が必要となる。一方同装置をバッチ式にすれば、溶融
物の金型外への流出は連続式のものに比べ幾分抑えるこ
とができる。その反面、成形体の金型への装填、所定の
温度プログラムでの保持と冷却等の一連の工程を断続的
に繰り返すことになるため、この方式は生産性に欠け
る。
【0014】以上述べたように、従来の製造方法はいず
れも適切でなく第3の方法が必要である。本発明は、こ
の第3の方法によって製造され、半導体パワーデバイス
にも適する280W/mK以上の熱伝導率を有し、かつ
半導体パッケージの周辺部材の熱膨張係数とも整合する
Al−SiC系複合材料の提供を課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】Al−SiC系複合材料
は、Al又はAl合金とSiCからなり、SiCの量が
全体の40〜75vol%を占める複合材料であつて、
複合材料組成中でSiCの粒子同志が焼結して連続相と
なった疑似造粒骨格を形成したものである。
【0016】又、連続相となっている疑似造粒骨格の骨
格サイズを100〜600μmの範囲に収めることによ
つて、優れた熱伝導率の向上が得られる。さらに疑似造
粒骨格の骨格サイズを200〜500μmの範囲に収め
れば、より一層優れた効果が得られる。そして、連続相
となっている焼結されたSiC粒子骨格内にAlが溶融
して複合化されることによって、280W/mK以上の
熱伝導率を有する。
【0017】Al−SiC系複合材料の製造方法は、平
均粒径20〜200μmのSiC粉末に対して、1〜5
wt%のSi粉末を添加した混合粉末を、Ar中におい
て温度2000〜2400℃で熱処理することによって
疑似造粒骨格を形成し、Al又はAl合金粉末i疑似造
粒骨格から成るSiC粉末を全体の40〜75vol%
になるよう混合し、この混合粉末をプレス予備成形し、
予備成形体をプレス成形型内において、Al又はAl合
金の溶融点以上の非酸化雰囲気内で圧力500MPa以
上のもとに熱間鍛造する。
【0018】熱処理によって形成される疑似造粒骨格を
有するるSiC粉末の流動度は、JIS Z 2502
「金属粉の流動試験方法」に規定される手段によって測
定し、無限大であるものを用いてAl又はAl合金粉末
との混合粉末を造る。
【0019】又、Al中に1〜5wt%のSiが含まれ
るAl合金粉末を用いると、溶融Alの表面張力を低下
させ、SiC粒子から成る疑似造粒骨格の微細な気孔内
にも容易に溶融Alが浸透する。
【0020】そして、SiC粒子から成る疑似造粒骨格
の長径をXとし、Al又はAl合金粉末の粒径をYとす
るとき、Y>0.4Xの関係にある原料同士を混合する
と、混合工程における原料の偏析を防ぐことができる。
【0021】上述の製造方法によって得られるAl−S
iC系複合材料を用いて半導体装置を構成すれば、分け
ても半導体パワーデバイスのように高い放熱性が要求さ
れる放熱基板に用いれば、半導体素子や周辺部材の亀裂
や損傷を防ぐことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】Al−SiC系複合材料は、原料
が比較的安価であり、軽量かつ優れた熱伝導性を有する
ことは、既に述べた通りである。この従来のAl−Si
C系複合材料の熱伝導率や熱膨張係数の特性を、半導体
装置の構造部材として理想に近づけるためには、原料粉
末の形態や成形条件・方法に工夫を凝らす必要がある。
【0023】通常市販されている原料粉末のAl及びS
iCの熱伝導率は、それぞれ140W/mK、200〜
300W/mK程度である。そこで、熱伝導率の優れて
いるSiC粒子を熱処理(以下、アニール処理と言う)
して組成中に鎖状に分散させることに着目した。SiC
粉末は、Ar中で2000℃以上の雰囲気では一部がガ
ス化し、Si2C、SiC2などのガスが発生する。昇華
したこれらのガスは再び凝縮固化する。つまり、 SiC2→SiC+C (1) Si2C+C→2SiC (2) の如くSiC粉末として凝固する。
【0024】図1に、(1)及び(2)式の状態で凝縮
固化したSiC粒子の単体を模式図的に表現して示す。
1はSiCの単体粒子であり、2はSiC粒子同士が鎖
状にネッキングしたものである。しかし、その規模は小
さく不完全なものである。ところが、SiC粉末に微量
のSi粉末を添加するとSiC粒子間の濡れ性が改善さ
れ、粒子同士のつながりがよくなり疑似造粒骨格を形成
する。添加されたSiは温度1420℃近傍で溶融し、
さらに2000℃では完全にガス化する。そしてガス化
したSiは、 Si+C→SiC (3) SiC2→2SiC (4) の如く炭化してSiCに転化する。微量のSiが添加さ
れたSiC粉末は、(1)乃至(4)式のように、昇
華、凝縮固化反応を繰り返すことによって、SiC粒子
の一部が互いにネッキングしていわゆる疑似造粒骨格を
形成する。
【0025】Siガスが多いと、(3)、(4)式の反
応が促進されてSiC粒子同士をつなぐ効果が高くな
る。Si量がSiC粉末に対して1wt%未満である
と、添加しない場合とほとんど変化ない。上限は5wt
%程度である。これを超えるとSiガスの濃度が上が
り、SiCの昇華自体が起こり難くなり骨格も形成され
難い。アニール温度は、2000〜2400℃程度が好
ましい。下限未満ではネッキングされ難く、上限を超え
るとSiCの昇華が激しく粉末の回収が困難になる。昇
華したSiの一部は上記の反応系外へ出てしまうので、
それに見合うSiの添加量が最適である。
【0026】このようなアニール処理をしたSiC粉末
は、元来SiC結晶粒子内の積層欠陥量が少なくなり、
かつSiC中に固溶しているFeやAl等の金属不純物
が昇華する。しかも、過剰な電子や空格子(キャリア)
の濃度が減少することによって、SiC中のフォノンの
散乱が抑えられて、昇華後再析出した粉末は、その結晶
粒子自体が高い熱伝導性を有する。
【0027】Siの添加によりSiC粒子のネッキング
が促進された状態を、模式図的に表現して図2に示す。
3はSiC粒子がネッキングし、凝集して大きな粒子群
となっている疑似造粒骨格である。この様な疑似造粒骨
格においては、熱伝導率の高いSiC粒子が連続して鎖
状にネッキングすることにより、比較的熱伝導率の低い
Alに遮断されることなく熱が伝播される。粒子群の骨
格のサイズは、原料SiCの粒径にもよるが、Alと複
合化して顕著な熱伝導率向上効果が得られるのは、骨格
のサイズ(長径をXで表わす)が100μm以上であ
る。骨格サイズが大きいほど熱伝導率向上効果が高い。
200μm以上ではさらに効果がある。なお原料SiC
粉末の粒径は平均20〜200μmが好ましい。これ未
満ではSiC粒子自体の熱伝導率が低く、200μmを
超えるとSiC粒子同士がネッキングされ難くなる。ま
た疑似造粒骨格サイズの上限は600μm程度である。
これを超えると、Al粉末との混合性が急激に悪化す
る。
【0028】アニール処理によって見かけ上大きくなっ
たSiC粒子粉末は、AlまたはAl合金粉末の粒子を
選択しないと、均一な混合粉末が造れない。つまり、組
成の一部がAlリッチになったりSiCが偏析して熱伝
導率にばらつきができる。従って、両者はできるだけ類
似の粒子であることが好ましい。そこで、SiC粒子か
ら成る疑似造粒骨格の長径をXとし、Al又はAl合金
粉末の粒径をYとすれば、Y>0.4Xの関係にある原
料粉末同士を混合するのが好ましい。混合の手段は、ボ
ールミル又はニーダー等の公知のいずれの装置であって
も良い。
【0029】このような疑似造粒骨格を形成したSiC
粉末は、流動性が極めて悪くなる。流動性は、JIS
Z 2502「金属粉の流動試験方法」に規定される手
段によって、50g量の粉末を傾斜を有する漏斗状の容
器に入れ、下部の出口穴から自然落下する速度で評価さ
れる。本発明のアニール処理したSiC粉末の流動時間
は無限大である。これは、ネッキングされたSiC粉末
群の形状が複雑になるため、相互の摩擦係数が大きくな
るためである。
【0030】因みに、走査型電子顕微鏡(以下、SEM
と言う)により観察した疑似造粒骨格を図3に示す。図
3(イ)は、100μm内外のSiC粒子が骨格サイズ
500μmに形成されたものであり、図3(ロ)は、4
00μmを超えるSiC粒子の混在する骨格サイズ50
0μm程度のSEM写真である。
【0031】Al又はAl合金粉末と疑似造粒骨格から
成るSiCの混合比は、SiCが混合粉末全体の40〜
75vol%であることが好ましい。SiCが40vo
l%未満ではAlの熱膨張係数に支配され、熱膨張係数
が10×10-6/℃を超え、SiCが75vol%を超
えるとAlが少なすぎるため、焼結法では組成の緻密化
が困難である。
【0032】この混合粉末は、常温でプレス予備成形
し、この予備成形体をAl金属の溶融点以上で窒素ガス
を99%以上含む非酸化雰囲気内で加熱し、プレス成形
型内において、高圧の基に短時間で熱間鍛造する。従来
のホットプレス法では、成形体の均熱加熱やAlの溶浸
・浸透を確実に成形体内に行き渡らせるために、通常は
少なくとも時間単位の加熱が必要である。このため熱伝
導率の低い炭化アルミニウム(Al43)の生成量が多
くなり、その結果複合材料の熱伝導率の低下が避けられ
ない。これに対し短時間の加熱による鍛造によって成形
される緻密な複合材料は、熱伝導率の低下が最小限に抑
えられる。
【0033】図3のSEM写真に示すように、疑似造粒
骨格には小さな気孔が点在し、溶融Alが気孔に浸透す
るのを阻害し組成の緻密化の妨げとなる。そこで、Al
またはAl合金中の純Alに1〜5wt%のSiを添加
し、溶融Alの表面張力を低下させることにより、60
0〜750℃の低い温度でも容易に溶融Alを気孔内に
浸透させることができる。このSiは、複合材料中で一
部はAlの中に溶け一部は析出した状態となる。
【0034】鍛造条件としては、600℃以上の予備成
形体の金属の溶融点以上の熱間で、500MPa以上の
圧力で迅速に、一部のSiC骨格を粉砕しながら疑似造
粒骨格内に溶融Alを充填する。500MPa以下で
は、成形体の変形抵抗が大きいため空孔が残留し、製作
された複合材料の熱伝導率が低下する場合がある。なお
鍛造圧力は高くてもよいが、Alの溶融点以上では10
00MPaに上げても緻密化の効果及び熱伝導率の向上
効果は飽和する。また以上のように作製したAl−Si
C系複合材料の熱膨張係数は、ネッキングにより剛性が
高くなつたSiCのために、ネッキングしていないSi
Cを用いた場合よりも小さくなる。
【0035】
【実施例】実施例1 原料粉末として、平均粒径100μmの6H型結晶のS
iCと平均粒径50μmのSi粉末を用意し、Si粉末
の添加量を0〜6wt%に段階的に変えた混合粉末を造
った。この混合粉末をアニール処理しないものと190
0〜2400℃の範囲で段階的に変えてAr中で2時間
アニール処理し、SiC粒子間のネッキングを生成した
ものと無しのものを準備した。因みに、ネッキング無し
のグループは、流動度が45〜52sec/50gであ
った。ネッキング有りのグループの流動度は、いずれも
無限大であった。
【0036】Al粉末は、平均粒径30μmでAl組成
が99.90%のものを用意し、アニール処理したSi
C粉末が66.6vol%である混合粉末を造り、圧力
700MPaにて直径35mm、厚さ15mmの予備成
形体を用意した。この予備成形体を、99%以上の窒素
ガスを含む非酸化雰囲気中で、温度660℃の基に15
分加熱し、予め450℃に保持したプレス金型内に装填
し、圧力800Mpaで熱間鍛造した。
【0037】作成した複合材料から直径10mm、厚さ
2mmの試料を切出し、レーザーフラツシュ法で熱伝導
率(K)を測定した。又、作動トランス式の熱膨張係数
測定装置で熱膨張係数(α)を測定した結果を表1に示
す。
【0038】
【表1】
【0039】表1の結果を考察すると、Si粉末の添加
量が1Wt%未満であると、未添加で且つアニール工程
の無い試料と同様に、疑似造粒骨格が形成されず熱伝導
率は低い。又、Si粉末の添加量が5Wt%を超えても
Siガスの濃度が上がり、疑似造粒骨格が形成されず熱
伝導率は低い。これに対し、疑似造粒骨格が形成されて
もSiC粒子の骨格径が小さい試料は、大きいものに比
べ熱伝導率が低い傾向にあることが判る。また疑似造粒
骨格が形成されると、Al−SiC系複合材料の熱膨張
係数が低下することが判る。
【0040】実施例2 次に、平均粒径100μmのSiCに平均粒径50μm
のSi粉末を2wt%添加した混合粉末を造り、この混
合粉末をAr中で2400℃で2時間アニール処理し
た。その結果全ての試料の流動度は、無限大となった。
そして、平均粒径30μmのAl粉末にSiを0〜10
wt%まで段階的に変えて添加し、アニール処理したS
iC粉末を66.6vol%添加して混合粉末を造っ
た。又、焼結条件や測定項目を実施例1と同様に設定し
て評価した結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】表2の結果を考察すると、Al粉末に1w
t%以上のSiを添加することにより、溶融Alの表面
張力が低下し組成が緻密になることが判る。そして、熱
伝導率も若干向上するが、熱膨張係数はほとんど変化し
ない。
【0043】実施例3 さらに、Al粉末の粒子を123〜177μmに段階的
に変え、Siの添加量を0と1wt%の2グループに分
けて、アニール処理したSiC添加量を46.1〜7
0.9vol%に段階的に変更して、アニール処理やプ
レス焼結条件及び測定項目を実施例2と同様に設定して
評価した結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】表3の結果を考察すると、骨格径とAl粒
径を制御することにより、熱伝導率のばらつきの小さな
Al−SiC系複合材料の得られることが判る。
【0046】以上の製造方法によって成形されたAl−
SiC系複合材料は、半導体装置の部材として優れた特
性を発揮する。特に半導体パワーデバイスの放熱基板の
温度は100℃以上に昇温することがある。それ故、2
80W/mK以上の熱伝導率のものが要求される。その
容量に比例して、Si半導体素子のサイズも大きくな
る。例えば、大型のパソコンに用いられる放熱基板が2
0〜40mm角程度であるのに対し、容量の大きな半導
体パワーデバイスに用いられるそれは200mm角を超
えるものが求められる。実装寸法が大きくなると高温に
おける基板の反りや変形が、直に基板の下に配置される
放熱機構(熱ポンプやラジエターフィン)との接合面の
ずれを誘発し放熱効率を低下させる。
【0047】図4に、半導体装置の一例である光半導体
パッケージの構成図を示す。Cu−WまたはCu−Mo
合金からかる光半導体パッケージの筐体10の上に、第
1の絶縁基板11と第2の絶縁基板12の間に、熱ポン
プであるペルチェ素子13を挟んで設置する。第1の絶
縁基板11の上に放熱基板14を重ねて半導体搭載エリ
アを造り、光信号や電気信号を相互に変換するPD素子
15やLD素子16、ペルチェ素子13の制御温度を監
視するサーミスタ素子17、光の光軸を矯正するレンズ
18等を搭載する。これらの各種の半導体デバイスは、
セラミックス端子19に被着されたメタライズ配線層2
0にボンデイングワイヤにて接続されている。一方、筐
体10の窓部10aには、光の通過方向を制御するアイ
ソレータ21が取付けられ、コネクタ22にガイドされ
た光ファイバー23からの光線をフェルール24を介し
て、LD素子16に照射する。
【0048】このように構成した光半導体パッケージに
おいて、本発明のAl−SiC系複合材料を放熱基板1
4に用いれば、その優れた放熱性によつて、放熱機構の
小型化や一部省略が可能となる。又、半導体素子を含む
周辺部材との熱膨張係数の整合性がとれる。
【0049】
【発明の効果】本発明のAl−SiC系複合材料に用い
るSiCは、温度2000〜2400℃で熱処理するこ
とによって疑似造粒骨格を形成し、Al中に1〜5wt
%のSiが含まれるAl合金粉末とSiCの量が全体の
40〜75vol%を占める混合粉末を造る。この混合
粉末をプレス予備成形し、この予備成形体をプレス成形
型内において、Al又はAl合金の溶融点以上の非酸化
雰囲気内で圧力500MPa以上のもとに、短時間で熱
間鍛造したから、半導体パワーデバイスにも適する28
0W/mK以上の熱伝導率を有し、かつ半導体パッケー
ジの周辺部材の熱膨張係数とも整合するAl−SiC系
複合材料が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のSiC粉末のアニール処理後の凝縮固化
したSiC粒子の摸式図である。
【図2】本発明のSiCに微量のSiを添加した粉末を
アニール処理したSiC粒子の摸式図である。
【図3】本発明のSiC粒子の疑似造粒骨格の図面に代
る顕微鏡写真である。
【図4】本発明のAl−SiC系複合材料を用いた半導
体装置の構成図である。
【符号の説明】
1 SiCの単体粒子 2 ネッキングしたSiC粒子 3 SiC粒子の疑似造粒骨格 10 半導体パッケージの筐体 11 第1の絶縁基板 12 第2の絶縁基板 13 ペェルチェ素子 14 放熱基板

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Al又はAl合金とSiCからなり、前記
    SiCの量が全体の40〜75vol%を占める複合材
    料であって、前記SiC粒子同志が焼結した疑似造粒骨
    格を形成する連続相となっていることを特徴とするAl
    −SiC系複合材料。
  2. 【請求項2】連続相となっている前記疑似造粒骨格の骨
    格サイズが100〜600μmであることを特徴とする
    請求項1に記載のAl−SiC系複合材料。
  3. 【請求項3】連続相となっている前記疑似造粒骨格の骨
    格サイズが200〜500μmであることを特徴とする
    請求項1に記載のAl−SiC系複合材料。
  4. 【請求項4】熱伝導率が280W/mK以上であること
    を特徴とする請求項1に記載のAl−SiC系複合材
    料。
  5. 【請求項5】平均粒径20〜200μmのSiC粉末に
    対して、1〜5wt%のSi粉末を添加した混合粉末
    を、不活性ガス中において温度2000〜2400℃で
    熱処理することによって疑似造粒骨格を形成した粉末を
    作製し、Al又はAl合金粉末と前記疑似造粒骨格から
    成るSiC粉末が全体の40〜75vol%になるよう
    混合し、この混合粉末をプレス予備成形し、前記予備成
    形体をプレス成形型内において、前記Al又はAl合金
    の溶融点以上の非酸化雰囲気内で圧力500MPa以上
    のもとに熱間鍛造することを特徴とするAl−SiC系
    複合材料の製造方法。
  6. 【請求項6】前記疑似造粒骨格から成るSiC粉末の流
    動度が無限大であることを特徴とする請求項5に記載の
    Al−SiC系複合材料の製造方法。
  7. 【請求項7】Al中に1〜5wt%のSiが含まれるA
    l合金粉末を用いることを特徴とする請求項5に記載の
    Al−SiC系複合材料の製造方法。
  8. 【請求項8】SiC粒子から成る前記疑似造粒骨格の長
    径をXとし、Al又はAl合金粉末の粒径をYとすると
    き、Y>0.4Xの関係にある原料から混合粉末を造る
    ことを特徴とする請求項5に記載のAl−SiC系複合
    材料の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項1のAl−SiC系複合材料を用い
    たことを特徴とする半導体装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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