JP2001158622A - 有機ヒ素化合物の処理方法 - Google Patents

有機ヒ素化合物の処理方法

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JP2001158622A JP34148599A JP34148599A JP2001158622A JP 2001158622 A JP2001158622 A JP 2001158622A JP 34148599 A JP34148599 A JP 34148599A JP 34148599 A JP34148599 A JP 34148599A JP 2001158622 A JP2001158622 A JP 2001158622A
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Mamoru Shibuya
守 渋谷
Fukuzo Todo
福蔵 藤堂
Hirokazu Konishi
裕和 小西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境を汚染することなく、有機ヒ素化合物を
完全に無機ヒ素に分解することができる有機ヒ素化合物
の処理方法を提供する。 【解決手段】 水性媒体中の有機ヒ素化合物に、鉄イオ
ン、銅イオン、コバルトイオンおよびマンガンイオンか
らなる群より選ばれる少なくとも1種の金属イオンの存
在下、過酸化水素を反応させて、有機ヒ素化合物を無機
ヒ素に酸化分解する有機ヒ素化合物の処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機ヒ素化合物の
処理方法に関し、詳しくは、環境を汚染することなく、
有機ヒ素化合物を完全に無機ヒ素に分解して処理する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機ヒ素化合物の一部には、ジフェニル
シアノアルシン((C652 AsCN)のように非常
に猛毒のものがあり、このような有機ヒ素化合物を安全
に、かつ完全に分解処理して、有害な有機ヒ素化合物か
らヒ素を回収することが望まれている。
【0003】有機ヒ素化合物を分解処理する方法として
は、専用の焼却炉を用いて有機ヒ素化合物を燃焼させる
方法が考えられる。しかしながら、有機ヒ素化合物を燃
焼させた場合、ヒ素の排ガスへの移行、焼却炉本体から
のヒ素の漏洩、ヒ素が含まれた焼却灰の飛散などによっ
て、環境がヒ素によって汚染されるおそれがある。
【0004】ヒ素による環境汚染がない有機ヒ素化合物
の処理方法としては、高圧高温下、強アルカリ水中で有
機ヒ素化合物を分解する方法が考えられる。しかしなが
ら、例えば、有機ヒ素化合物のフェニルアルソン酸(C
65AsO(OH)2 )を0.3MのNaOH中で30
0℃で処理しても、フェニルアルソン酸はまったく分解
されず、350℃で3時間処理してもフェニルアルソン
酸の84%が分解されるにすぎない。このように、有機
ヒ素化合物を安全に、かつ完全に分解する方法は、これ
まで確立されていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】よって、本発明の目的
は、環境を汚染することなく、有機ヒ素化合物を完全に
無機ヒ素に分解することができる有機ヒ素化合物の処理
方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の有機ヒ素化合物
の処理方法は、水性媒体中の有機ヒ素化合物に、鉄イオ
ン、銅イオン、コバルトイオンおよびマンガンイオンか
らなる群より選ばれる少なくとも1種の金属イオンの存
在下、過酸化水素を反応させて、有機ヒ素化合物を無機
ヒ素に酸化分解することを特徴とする。また、本発明の
有機ヒ素化合物の処理方法においては、有機ヒ素化合物
を酸化分解した後、水性媒体中の無機ヒ素に硫化水素ナ
トリウムを反応させて、無機ヒ素を不溶化することが望
ましい。
【0007】また、本発明の有機ヒ素化合物の処理方法
においては、有機ヒ素化合物を酸化分解するときに発生
する低分子量有機物が含まれた気体を回収した後、酸素
の存在下、この気体を酸化触媒に接触させて、気体中の
低分子量有機物を酸化分解することが望ましい。また、
水性媒体中の金属イオンの濃度は0.01〜0.05モ
ル/Lであることが望ましい。また、有機ヒ素化合物の
酸化分解を70℃以上、水性媒体の沸点以下の温度範囲
において行うことが望ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の有機ヒ素化合物の処理方法で使用され
る処理装置の一例を示す図である。この処理装置は、有
機ヒ素化合物を酸化分解するための、撹拌機を備えた反
応槽1と、反応槽1へ有機ヒ素化合物、過酸化水素、触
媒溶液、pH調整用の酸、アルカリおよび硫化水素ナト
リウムをそれぞれ供給する供給タンク2,3,4,5,
6,7と、有機ヒ素化合物を酸化分解するときに発生す
る低分子量有機物を酸化分解するための酸化触媒が設け
られた触媒燃焼装置8と、触媒燃焼装置8へ酸素を供給
する酸素供給手段9と、触媒燃焼装置8からの排ガスの
熱で反応槽1からの水蒸気等の気体を加熱するための熱
交換器10と、触媒燃焼装置8からの排ガスを冷却して
凝縮水を得るためのコンデンサー11と、凝縮水を貯留
する貯留タンク12と、硫化水素吸収塔13とを有して
概略構成される。
【0009】この処理装置を用いた有機ヒ素化合物の処
理は以下のようにして行われる。まず、反応槽1内の水
性媒体に、有機ヒ素化合物および触媒を加えて被処理液
を調製する。これに必要に応じてpH調整用の酸を加え
て被処理液のpHを調整した後、この被処理液を攪拌し
ながら加熱する。ついで、被処理液を攪拌しながら、被
処理液に過酸化水素をゆっくり加え、被処理液中の有機
ヒ素化合物に過酸化水素を反応させて、有機ヒ素化合物
を無機ヒ素に酸化分解する。
【0010】有機ヒ素化合物の酸化分解が終了したこと
を確認した後、被処理液の加熱を止める。ついで、必要
に応じてpH調整用の酸を加えて被処理液のpHを調整
した後、被処理液に硫化水素ナトリウムを加え、被処理
液中の無機ヒ素に硫化水素ナトリウムを反応させて無機
ヒ素を不溶化する。
【0011】なお、有機ヒ素化合物を酸化分解するとき
には、有機酸(ギ酸、酢酸)などの低分子量有機物が含
まれた水蒸気が発生する。この水蒸気は以下のようにし
て処理する。まず、この水蒸気が含まれた気体を熱交換
器10で加熱した後、酸素供給手段9から供給される酸
素の存在下、この気体を触媒燃焼装置8内の酸化触媒に
接触させて、気体中の低分子量有機物を酸化分解する。
触媒燃焼装置7からの排ガスを、コンデンサー11で冷
却して、排ガス中の水蒸気を凝縮水として回収する。
【0012】有機ヒ素化合物の過酸化水素による酸化分
解は、例えば、有機ヒ素化合物がビス(ジフェニルアル
シン)オキシドの場合、下記反応式(1)のように行わ
れ、5価の無機ヒ素であるヒ酸が生成する。 (C652AsOAs(C652 + 62H22 → 2H3AsO4 + 24C O2 + 69H2O (1) また、このように生成したヒ酸は、下記反応式(2)の
ように硫化水素ナトリウムによって硫化物となり、水性
媒体に不溶化して沈澱する。 2H3AsO4 + 5NaSH → As25 + 5NaOH + 3H2O (2)
【0013】本発明の有機ヒ素化合物の処理方法におい
て、分解処理される有機ヒ素化合物には、特に制限はな
い。前記水性媒体としては、例えば、イオン交換水、蒸
留水、工業用水等の水を用いることができる。
【0014】前記過酸化水素としては、例えば、濃度3
0〜35重量%の市販の過酸化水素水を用いることがで
きる。過酸化水素の使用量は、有機ヒ素化合物をH3
sO4、CO2、H2Oに完全に分解するのに必要なモル
量の1〜4倍であり、好ましくは105〜140%であ
る。過酸化水素の供給は、前記使用量の過酸化水素を1
〜7時間かけて被処理液に加えることによって行われる
ことが好ましい。また、被処理有機ヒ素化合物と過酸化
水素とを連続して反応槽1に供給して処理することも可
能である。過酸化水素は、被処理液中の有機ヒ素化合物
との接触が起こりやすくなるように、反応槽の下部に供
給することが好ましい。
【0015】前記触媒は、鉄イオン、銅イオン、コバル
トイオンおよびマンガンイオンからなる群より選ばれる
少なくとも1種の金属イオンである。金属イオンの酸化
数は、特に限定はされず、例えば鉄イオンの場合、第一
鉄イオン(Fe2+)であってもよく、第二鉄イオン(F
3+)であってもよい。金属イオン源としては、水性媒
体に可溶の金属塩を用いることができる。このような金
属塩としては、例えば、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化
第一鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第一鉄アンモニ
ウム、硫酸第二鉄アンモニウム、乳酸第一鉄、シュウ酸
第一鉄、硫酸第二銅、塩化第二銅、酢酸コバルト、硫酸
コバルト、酢酸マンガン、硫酸マンガンなどが挙げられ
る。これら金属塩は、単独で、または2種以上を混合し
て用いることができる。
【0016】水性媒体中の金属イオンの濃度は、好まし
くは0.01〜0.05mol/Lである。金属イオン
の濃度が0.01mol/L未満では、有機ヒ素化合物
の酸化分解が効率よく行われず、金属イオンの濃度が
0.05mol/Lを超えると、不経済である。金属イ
オンの供給は、前記金属塩を水に溶かして触媒溶液を調
製し、有機ヒ素化合物を水性媒体に供給した後に、この
触媒溶液を添加することによって行われることが好まし
い。また、金属イオンの供給は、前記金属塩を固体状の
まま反応槽1の水性媒体に直接添加することによって行
ってもよい。
【0017】有機ヒ素化合物の酸化分解は、70℃以
上、水性媒体の沸点以下の温度範囲で行うことが好まし
い。被処理液を70℃以上に加熱することによって、有
機ヒ素化合物の酸化分解反応はすみやかに進行する。有
機ヒ素化合物の酸化分解は発熱反応であるので、反応が
いったん進行すれば、以後の加熱は不要か、要するとし
てもわずかである。圧力をかけなければ、水性媒体の沸
点、すなわち100℃前後で反応が継続する。有機ヒ素
化合物の酸化分解は、加圧条件下で行ってもよいが、常
圧下でも酸化分解が十分に進行するので、常圧下で行う
ことが好ましい。
【0018】また、有機ヒ素化合物の酸化分解は、被処
理液のpHを3以下に調整してから行うことが好まし
い。被処理液のpHが3を超えると、ヒ素と触媒とが反
応して難溶性の塩となり、沈澱するので好ましくない。
【0019】有機ヒ素化合物の酸化分解反応の時間は、
通常、1〜7時間である。また、被処理液と過酸化水素
は連続して供給し、処理することも可能である。有機ヒ
素化合物の酸化分解の終了は、被処理液をサンプリング
し、液体クロマトグラフィーまたはGC−MSを用い
て、水性媒体中の有機ヒ素化合物の有無を確認すること
によって判断することが好ましい。もし、水性媒体中に
有機ヒ素化合物が検出された場合は、さらに過酸化水素
を加え、有機ヒ素化合物が検出されなくなるまで酸化分
解を行う。
【0020】前記硫化水素ナトリウムは、添加初期に硫
化水素に一部分解してしまうので、10〜50モル%余
分に添加することが好ましい。したがって、硫化水素ナ
トリウムの添加量は、好ましくは、無機ヒ素を硫化する
のに必要なモル量の1.1〜1.5倍である。硫化水素
ナトリウムの供給は、硫化水素ナトリウムを水に溶かし
て40〜45重量%の水溶液を調製し、これを水性媒体
に滴下することによって行われることが好ましい。
【0021】無機ヒ素に硫化水素ナトリウムを反応させ
て無機ヒ素を不溶化する際の反応温度は、特に制限され
ないが、通常、室温近傍で十分である。また、無機ヒ素
と硫化水素ナトリウムの反応時間も、特に規定されな
い。また、無機ヒ素と硫化水素ナトリウムの反応は、被
処理液のpHを1〜2に調整してから行うことが好まし
い。被処理液のpHが1未満では、硫化水素に分解して
揮散する割合が増え、被処理液のpHが2を超えると、
生成したAs25の溶解度が増大するため、好ましくな
い。
【0022】無機ヒ素に硫化水素ナトリウムを反応させ
て生成するAs25は、As23の原料として利用する
ことができる。無機ヒ素を硫化水素ナトリウムによって
硫化する際に発生する副生成物の硫化水素ガスは、硫化
水素吸収塔13内の水酸化ナトリウム水溶液に供給し
て、硫化水素ナトリウムに再生して回収することが好ま
しい。
【0023】前記触媒燃焼装置8に設けられる酸化触媒
としては、例えば、Ni−Cr系、SiO2 −Al23
−MgO系、γ−Al23系、Pt系の触媒などが挙げ
られる。その形状としては、スポンジ状、球状、ハニカ
ム体などが挙げられる。圧力損失を小さくするという観
点から、酸化触媒としては、Ni−Cr系発泡金属触媒
が好適である。触媒燃焼装置8として、塗装や印刷業界
において有機溶剤を含有する空気を浄化するために実用
化されている触媒燃焼装置を利用することができる。
【0024】低分子量有機物が含まれた気体を酸化触媒
に接触させて、低分子量有機物を酸化分解する際の気体
の温度は、通常、200℃以上、好ましくは300℃以
上である。気体の温度を200℃以上にすることによっ
て、低分子量有機物の酸化分解が盛んになる。触媒燃焼
装置8に供給される気体の温度が300〜350℃であ
れば、触媒燃焼装置8から排出される排ガスの温度は4
00〜500℃に達する。この排ガスの熱は、熱交換器
10において低分子量有機物が含まれた気体の加熱に利
用される。
【0025】このような有機ヒ素化合物の処理方法によ
れば、有機ヒ素化合物は、水性媒体中、金属イオンの存
在下で過酸化水素によって無機ヒ素に酸化分解されるの
で、ヒ素は常に水性媒体に存在し、大気中などに飛散す
ることはない。そのため、有機ヒ素化合物は、周囲の環
境を汚染することなく、無機ヒ素に完全に分解される。
また、有機ヒ素化合物の処理を比較的低温で、かつ常圧
で行うことができる。また、有機ヒ素化合物が酸化分解
されて生じた水性媒体中の無機ヒ素は、硫化水素ナトリ
ウムによって不溶化した後、回収されるので、水性媒体
中に無機ヒ素が残存することはなく、有機ヒ素化合物の
処理によって発生する廃液が環境を汚染することはな
い。また、回収された無機ヒ素化合物は再利用できる。
さらに、有機ヒ素化合物の酸化分解によって生ずる低分
子量有機物および水蒸気を含んだ気体は、酸素の存在
下、酸化触媒に接触することによって低分子量有機物を
酸化分解した後、凝縮水および排ガスとして回収されて
いるので、有機ヒ素化合物の処理によって生ずる凝縮水
はTOC(全有機炭素量)が実質上0(2ppm以下)
であり、排ガスは無臭かつ無害となる。
【0026】
【実施例】以下、実施例を示す。 [実施例1]撹拌装置、温度計、リービッヒ冷却管およ
び過酸化水素供給管を備えたパイレックスガラス製の反
応槽に、フェニルアルソン酸5.0g、イオン交換水2
50gおよび硫酸第一鉄0.38gを投入し、被処理液
を調製した。このときの被処理液のpHは2.1であっ
た。被処理液を100℃まで加熱し、この被処理液にチ
ューブポンプを用いて35重量%過酸化水素水48g
(有機ヒ素化合物を分解するのに必要なモル量の110
%)を1時間かけて供給した。この間、被処理液の温度
は反応熱によって100℃を保持していた。また、被処
理液から発生する低分子量有機物と水蒸気を含む気体を
回収し、この気体を350℃に加熱したPt触媒塔にS
V(空塔速度)5000で通し、気体内の低分子量有機
物を分解した。このとき、Pt触媒塔から排気される排
ガス中のTOC濃度は2ppm以下であった。過酸化水
素の供給終了後、被処理液を室温まで放冷し、被処理液
を液体クロマトグラフによって分析したところ、フェニ
ルアルソン酸のピークは完全に消失し、ヒ酸と過酸化水
素のピークのみ検出された。また、被処理液中にはごく
微量のヒ酸第二鉄(FeAsO4 )の沈澱が見られた。
【0027】反応後の被処理液に二酸化マンガン1gを
加えて、残存している過酸化水素を完全に分解した。こ
の液を濾過し、濾液200gを、pH計、滴下ロート、
ガス排出管および攪拌機を備えた内容積1000mLの
四つ口フラスコに投入した。この液のpHは2.0、ヒ
酸の濃度は0.04mol/Lであった。この被処理液
液に40重量%硫化水素ナトリウム水溶液10gを1時
間かけて滴下した。硫化水素ナトリウム水溶液の滴下と
ともに黒色沈澱が生成した。硫化水素ナトリウム水溶液
の滴下中、被処理液のpHが1から2の間になるよう
に、適宜20重量%の硫酸水溶液を加えた。硫化水素ナ
トリウム水溶液の滴下中は、四つ口フラスコを水浴で冷
却した。ガス排出管は、15重量%の水酸化ナトリウム
水溶液を入れた吸収ビンに接続した。排出される硫化水
素を吸収ビンに供給し、硫化水素を硫化水素ナトリウム
に再生して回収した。硫化水素ナトリウム滴下終了後、
被処理液のpHを1.0に調整し、その後1時間攪拌を
続けた。生成した沈殿物は、0.45μmのメンブレン
フィルターで濾過し、乾燥した。2.2gの黒色固体が
得られた。蛍光X線分析によって、この固体はAs25
であることが確認された。
【0028】[実施例2]実施例1と同じ処理装置に、
ジフェニルアルシン酸((C652 AsO(OH))
5.0g、イオン交換水250gおよび硫酸第一鉄0.
38gを投入し、被処理液を調製した。このときの被処
理液のpHは2.1であった。被処理液を100℃まで
加熱し、この被処理液にチューブポンプを用いて35重
量%過酸化水素水61g(有機ヒ素化合物を分解するの
に必要なモル量の110%)を1.5時間かけて供給し
た。また、被処理液から発生する低分子量有機物と水蒸
気を含む気体を回収し、この気体を350℃に加熱した
Pt触媒塔にSV(空塔速度)5000で通し、気体内
の低分子量有機物を分解した。このとき、Pt触媒塔か
ら排気される排ガス中のTOC濃度は2ppm以下であ
った。過酸化水素の供給終了後、被処理液を室温まで放
冷し、被処理液を液体クロマトグラフによって分析した
ところ、ジフェニルアルシン酸のピークは完全に消失
し、ヒ酸と過酸化水素のピークのみ検出された。また、
被処理液中にはごく微量のヒ酸第二鉄の沈澱が見られ
た。
【0029】[実施例3]実施例1と同じ処理装置に、
ビス(ジフェニルアルシン)オキシド5g、イオン交換
水250gおよび硫酸第二鉄0.38gを投入し、被処
理液を調製した。このときの被処理液のpHは2.0で
あった。被処理液を100℃まで加熱し、この被処理液
にチューブポンプを用いて35重量%過酸化水素水73
g(有機ヒ素化合物を分解するのに必要なモル量の11
5%)を2時間かけて供給した。また、被処理液から発
生する低分子量有機物と水蒸気を含む気体を回収し、こ
の気体を350℃に加熱したPt触媒塔にSV(空塔速
度)5000で通し、気体内の低分子量有機物を分解し
た。このとき、Pt触媒塔から排気される排ガス中のT
OC濃度は2ppm以下であった。過酸化水素の供給終
了後、被処理液を室温まで放冷し、被処理液を液体クロ
マトグラフによって分析したところ、ジフェニルアルシ
ン酸のピークは完全に消失し、ヒ酸と過酸化水素のピー
クのみ検出された。また、被処理液中にはごく微量のヒ
酸第二鉄の沈澱が見られた。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の有機ヒ素
化合物の処理方法は、水性媒体中の有機ヒ素化合物に、
鉄イオン、銅イオン、コバルトイオンおよびマンガンイ
オンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属イオ
ンの存在下、過酸化水素を反応させて、有機ヒ素化合物
を無機ヒ素に酸化分解する方法であるので、環境を汚染
することなく、有機ヒ素化合物を完全に無機ヒ素に分解
することができる。また、有機ヒ素化合物を酸化分解し
た後、水性媒体中の無機ヒ素に硫化水素ナトリウムを反
応させて、無機ヒ素を不溶化すれば、有機ヒ素化合物か
ら無機ヒ素を回収し、再利用することができる。また、
有機ヒ素化合物の処理によって発生する廃液が環境を汚
染することもない。
【0031】また、有機ヒ素化合物を酸化分解するとき
に発生する低分子量有機物が含まれた気体を回収した
後、酸素の存在下、この気体を酸化触媒に接触させて、
気体中の低分子量有機物を酸化分解すれば、有機ヒ素化
合物の処理によって生ずる凝縮水はTOCが実質上0で
あり、排ガスは無臭かつ無害となる。また、水性媒体中
の金属イオンの濃度が0.01〜0.05モル/Lであ
れば、有機ヒ素化合物の酸化分解を効率よく行うことが
できる。また、有機ヒ素化合物の酸化分解を70℃以
上、水性媒体の沸点以下の温度範囲において行えば、有
機ヒ素化合物の酸化分解をすみやかに進行させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の有機ヒ素化合物の処理方法で使用さ
れる処理装置の一例を示す概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小西 裕和 茨城県東茨城郡大洗町成田町2205 日揮株 式会社技術研究所内 Fターム(参考) 2E191 BA11 BB00 BC01 BD11 4G048 AA02 AA07 AB08 AE01 AE08 4H050 AA05 BE32 WA13 WA16

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性媒体中の有機ヒ素化合物に、鉄イオ
    ン、銅イオン、コバルトイオンおよびマンガンイオンか
    らなる群より選ばれる少なくとも1種の金属イオンの存
    在下、過酸化水素を反応させて、有機ヒ素化合物を無機
    ヒ素に酸化分解することを特徴とする有機ヒ素化合物の
    処理方法。
  2. 【請求項2】 有機ヒ素化合物を酸化分解した後、水性
    媒体中の無機ヒ素に硫化水素ナトリウムを反応させて、
    無機ヒ素を不溶化することを特徴とする請求項1記載の
    有機ヒ素化合物の処理方法。
  3. 【請求項3】 有機ヒ素化合物を酸化分解するときに発
    生する低分子量有機物が含まれた気体を回収した後、酸
    素の存在下、この気体を酸化触媒に接触させて、気体中
    の低分子量有機物を酸化分解することを特徴とする請求
    項1記載の有機ヒ素化合物の処理方法。
  4. 【請求項4】 水性媒体中の金属イオンの濃度が0.0
    1〜0.05モル/Lであることを特徴とする請求項1
    記載の有機ヒ素化合物の処理方法。
  5. 【請求項5】 有機ヒ素化合物の酸化分解を70℃以
    上、水性媒体の沸点以下の温度範囲において行うことを
    特徴とする請求項1記載の有機ヒ素化合物の処理方法。
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