JP2001154069A - 細径耐熱光ファイバ - Google Patents

細径耐熱光ファイバ

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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 FRPに埋設してもFRPの強度低下を招か
ない細径耐熱光ファイバを提供する。 【解決手段】 コア及びコアを覆うクラッドからなる石
英系のガラスファイバ2の周囲に有機系耐熱材料(金属
材料)3を被覆することにより、光ファイバ被覆構造を
最適化したので、伝送特性を低下させることなく、FR
Pに埋設してもFRPの強度低下を招くことがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細径の光ファイバ
に関し、特に細径耐熱光ファイバに関する。
【0002】
【従来の技術】図2は従来の耐熱光ファイバの断面図で
ある。
【0003】同図に示す耐熱光ファイバ10は、コア及
びコアを覆うクラッドからなる直径φ125μmガラス
ファイバ11と、ガラスファイバ11を覆う直径φ14
5μmの耐熱被覆層12とで構成されている。耐熱光フ
ァイバ10はシングルモード用またはマルチモード用で
ある。ガラスファイバ11のクラッド表面の耐熱被覆層
12はファイバ線引工程で被覆されたものである。例え
ば耐熱被覆層としてポリイミドが用いられる。シングル
モードの場合の耐熱光ファイバ10の伝送特性は通常の
UV硬化型樹脂やシリコーン樹脂を被覆した通信用のフ
ァイバと同等であり、伝送損失は波長1.3μm帯で
0.34dB/kmである。
【0004】この耐熱光ファイバ10の用途は、発電
所、製鉄所内で使用される高温領域での通信、温度セン
サ用である。通常は耐熱光ファイバ10単体で布設され
るケースは少なく、この耐熱光ファイバ10の外周にさ
らにテフロン系の耐熱樹脂を被覆したり、あるいは金属
管の中にこの耐熱光ファイバ10を挿入した後布設され
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年、光ファイバの用
途の多様化に伴い、光ファイバをセンサとして用い構造
物等の歪みを測定する技術が実用化されつつある。これ
らの中でFRP(繊維強化型プラスチック)の歪みを計
測したり、破壊を予知する目的でFRP内に直接光ファ
イバを埋設する技術が実用化されつつある。
【0006】しかしながら、光ファイバをFRP内に埋
設する上で二つの課題がある。
【0007】FRP成型時の樹脂温度が200℃近く
まで達するため、光ファイバに耐熱性が要求される。
【0008】FRPの強化用繊維は予めシート状に織
り込まれており、その厚さは約100μmである。この
シートを何枚も積層しプラスチックで一体成型するが、
光ファイバ径がシート厚100μmを超えると、ファイ
バ埋設部が起点となりクラック(亀裂)が頻繁に発生し
樹脂の強度が著しく低下してしまうという問題があっ
た。
【0009】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決
し、FRPに埋設してもFRPの強度低下を招かない細
径耐熱光ファイバを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の細径耐熱光ファイバは、コア及びコアを覆う
クラッドからなる石英系のガラスファイバの周囲に有機
系耐熱材料または金属材料を被覆した光ファイバであっ
て、ガラスファイバ外径がコアの直径の3倍以上、70
μm以下であり、かつ被覆厚が10μm以下であるもの
である。
【0011】上記構成に加え本発明の細径耐熱光ファイ
バは、有機系耐熱材料としてポリイミドを用いるのが好
ましい。
【0012】上記構成に加え本発明の細径耐熱光ファイ
バは、金属材料として金またはニッケルを用いるのが好
ましい。
【0013】上記構成に加え本発明の細径耐熱光ファイ
バは、その被覆層が有機系耐熱材料と金属材料との積層
構造から成ることが好ましい。
【0014】上記構成に加え本発明の細径耐熱光ファイ
バは、その被覆層を一部除去し、被覆除去部のコアの屈
折率を局所的に変化させた後、再度被覆を除去した部分
に耐熱性被覆を施すことが好ましい。
【0015】本発明によれば、ガラスファイバ及び被覆
構造を最適化したので、伝送特性を劣化させることな
く、FRPに埋設してもFRPの強度低下を招くことが
ない。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて詳述する。
【0017】図1は本発明の細径耐熱光ファイバの一実
施の形態を示す断面図である。
【0018】本細径耐熱光ファイバ1は、コア及びコア
を覆うクラッドからなる石英系のガラスファイバ2の周
囲に耐熱被覆層3を施した光ファイバであって、ガラス
ファイバ2の外径をコアの直径の3倍以上、70μm以
下とし、かつ耐熱被覆層3の厚さを10μm以下とした
ものである。
【0019】耐熱被覆層3の材料としては有機系耐熱材
料であるポリイミドあるいは金属材料である金またはニ
ッケルを用いるのが好ましく、あるいはこれらの材料を
積層してもよい。
【0020】また本発明では被覆層を一旦除去した後、
被覆除去部分のコアの屈折率を局所的に変化させ、さら
に再度耐熱性被覆層を施してもよい。このように長手方
向の一部の屈折率を変化させた光ファイバは、線状のセ
ンサとして利用することができる。
【0021】本細径耐熱光ファイバは、このように構成
したことで、伝送特性を劣化させることなく、FRPに
埋設してもFRPの強度低下を招くことがない。
【0022】
【実施例】(実施例)本細径耐熱光ファイバ1のガラス
ファイバ2の外径は40μmであり、コアの直径は8.
5μmで耐熱被覆層3の外径はφ55μm(厚さは7.
5μm)である。本細径耐熱光ファイバ1のガラス母材
は通常のφ125μmシングルモードファイバ母材のク
ラッド厚を約1/3としたものであり、φ40μm線引
き後でコア径が同一になるように予め調整されている。
そのため通常径のシングルモード光ファイバと接続して
も大きな接続損を生じることはない。
【0023】また、ガラスファイバ2の外径は40μm
でコア直径の3倍以上とすることで曲げによる損失増加
を抑制することができる。
【0024】ポリイミドの耐熱被覆層3は、光ファイバ
線引き時にオンラインで行い、東レ(株)製セミコファ
インを3層に分けて連続被覆したものである。
【0025】本細径耐熱光ファイバ1の伝送損失は、波
長1.3μm帯で0.34dB/km、波長1.55μ
m帯で0.20dB/kmと通常の通信用光ファイバと
同等であった。また、破断強度は約7Nで安定し、ファ
イバ寿命の最も重要なパラメータである疲労係数n=2
3とφ125μmの通常の光ファイバと同等であった。
【0026】次に最適条件の根拠について述べる。
【0027】(1) ガラスファイバの外径がコアの直径の
3倍以上70μm以下の根拠 ガラスファイバの外径がコアの直径の3倍以下、すなわ
ちクラッド層が薄い場合、曲げによる損失が無視できな
くなる。本発明の細径光ファイバの外径が従来の1/3
程度であり、機械的許容曲げは約10mmと低減でき
る。この最小許容曲げ半径とすると、ガラスファイバの
外径がコアの直径の3倍以上では曲げ損失は実用上無視
できる。
【0028】また、FRP内に埋設した場合、ガラスフ
ァイバの外径が概ね70μmを超えると、そのガラスフ
ァイバが起点となりクラックが頻繁に発生し、FRPの
強度が著しく低下してしまう。
【0029】ここで、確認実験としてFRP内にガラス
ファイバ外径約60、70、80、90μmのポリイミ
ド被覆ファイバをFRP内に実装してヒートサイクル試
験を実施した。
【0030】表1にその結果を示す。
【0031】
【表1】
【0032】ガラスファイバ外径がφ70μm以下では
FRPに異常は見られなかったが、直径φ80、90μ
mではクラックが発生した。
【0033】(2) 被覆厚10μm以下の根拠 前述したガラスファイバ外径φ40μmのシングルモー
ドファイバに被覆厚を変えてポリイミド被覆したときの
波長1.3μm帯の伝送損失を測定した。その結果を図
3に示す。
【0034】図3は耐熱光ファイバの伝送損失の被覆厚
依存性を示す図であり、横軸がポリイミド被覆厚軸であ
り、縦軸が1.3μm帯伝送損失軸である。
【0035】同図より被覆厚10μmまでは0.34d
B/kmと良好であったが、被覆厚10μmを超えると
損失が増加することが分かる。
【0036】なお、本実施例では被覆用材料にポリイミ
ドを用いた場合で説明したが、これに限定されるもので
はなく、200℃以上の耐熱性を備え、かつ薄膜被覆で
もファイバ保護が可能な程度の弾性率を有する材料であ
ればよい。例えば、ガラスファイバの周りに金、ニッケ
ル等の金属をメッキ等で被覆したり、硬質のラダー型シ
リコーン等を被覆してもよい。
【0037】また、本発明では上記最適条件を満足した
細径光ファイバにおいて、被覆層の一部を一旦除去した
後、被覆除去部のコアの屈折率を局所的に変化させた。
こあの屈折率を局所的に変化させる手法としては、エキ
シマレーザ照射によるGe添加SiO2 ガラスの光誘起
屈折率効果、あるいはCO2 レーザ照射による熱拡散効
果を利用することができ、このようにしてコアの屈折率
を長手方向に変化させることができる。その後再び被覆
除去部に本発明の条件を満足する耐熱被覆層を被覆す
る。このような細径耐熱光ファイバは、屈折率が変化し
た部分の位置と光学特性の変化を検出することにより、
温度や歪を計測する線状のセンサとして機能させること
ができる。
【0038】以上において本発明によれば、 (1) FRPクラックを防止できる。
【0039】FRP内の温度あるいは歪み検出用センサ
として埋設しても、細径であるため光ファイバを起点と
したクラックの発生が皆無となる。
【0040】(2) 許容曲げ半径を小さくできる。
【0041】光ファイバ外径が従来の約1/3で疲労係
数が同等であることから、埋設の際のコーナー部での許
容曲げ半径が従来の約30mmから約10mmと1/3
に低減できるため、埋設の自由度が広がる。
【0042】(3) 曲げ剛性が減少する。
【0043】光ファイバ外径が従来の約1/3、被覆外
径でも1/2未満であるため、光ファイバの曲げ剛性が
1/80以下に減少する。その結果、複雑な光ファイバ
取り回しが容易になる。
【0044】ここで、従来の耐熱光ファイバ(ポリイミ
ド被覆ファイバ)の曲げ剛性EI1は数1式で表され
る。
【0045】
【数1】EI1 =Eπd4 /64 (但し、dはガラスファイバの直径、Eは弾性率を示
す。) 数1式に数値(石英の弾性率7200kg/mm2 、ポ
リイミドの弾性率300kg/mm2 )を代入すると、
数2式となる。
【0046】
【数2】EI1=7200×π×0.1254 /64+
300×(0.144 −0.1254 )/64=8.8
35×10-2(kg/mm4 ) 本発明の細径耐熱光ファイバの曲げ剛性EI2 は数3式
で表される。
【0047】
【数3】EI2=7200×π×0.044 /64+3
00×π×(0.0554 −0.044)/64=0.
1002×10-2(kg/mm4
【0048】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、次のよう
な優れた効果を発揮する。
【0049】FRPに埋設してもFRPの強度低下を招
かない細径耐熱光ファイバの提供を実現することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の細径耐熱光ファイバの一実施の形態を
示す断面図である。
【図2】従来の耐熱光ファイバの断面図である。
【図3】耐熱光ファイバの伝送損失の被覆厚依存性を示
す図である。
【符号の説明】
1 細径耐熱光ファイバ 2 ガラスファイバ 3 耐熱被覆層(有機系耐熱材料、金属材料)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 6/16 321 C03C 25/02 F (72)発明者 黒沢 芳宣 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日立 電線株式会社オプトロシステム研究所内 (72)発明者 武田 展雄 埼玉県浦和市井沼方164 Fターム(参考) 2H050 AB03Z AC03 AC09 AC82 AD06 BB04Q BB06Q BB26Q BB26S BC03 BD03 4G060 CB12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コア及び該コアを覆うクラッドからなる
    石英系のガラスファイバの周囲に有機系耐熱材料または
    金属材料を被覆した光ファイバであって、ガラスファイ
    バ外径がコアの直径の3倍以上、70μm以下であり、
    かつ被覆厚が10μm以下であることを特徴とする細径
    耐熱光ファイバ。
  2. 【請求項2】 上記有機系耐熱材料としてポリイミドを
    用いた請求項1に記載の細径耐熱光ファイバ。
  3. 【請求項3】 上記金属材料として金またはニッケルを
    用いた請求項1に記載の細径耐熱光ファイバ。
  4. 【請求項4】 細径耐熱光ファイバの被覆層が、有機系
    耐熱材料と金属材料とで積層されていることを特徴とす
    る請求項1に記載の細径耐熱光ファイバ。
  5. 【請求項5】 耐熱性被覆を施した細径耐熱光ファイバ
    において、一部被覆層を除去し、該被覆除去部のコアの
    屈折率を局所的に変化させた後、再度該被覆層除去部に
    耐熱性被覆を施した請求項1または4に記載の細径耐熱
    光ファイバ。
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