JP2001153985A - 制御棒 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、信頼性を維持しながら、重量
を低減した制御棒を提供することにある。 【解決手段】中性子吸収部は、照射成長材１及びハフニ
ウム２から構成される。照射に伴うハフニウムの縮小率
ａと照射成長材の成長率ｂから、中性子吸収部における
照射成長材の長さの割合をａ／（ａ＋ｂ）とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、原子炉の出力を制
御するための制御棒に係わり、特に沸騰水型原子炉に用
いるのに好適な制御棒に関する。

【０００２】

【従来の技術】制御棒に関する従来技術としては、特開
平９−１１３６６４号に、ステンレス製の支持体にハフ
ニウムを固定して中性子吸収部を形成し、４つの支持体
を断面積が十字型となるようにコネクタに接続した中性
子吸収部と、エンドプラグと、ハンドルとから構成され
る制御棒が記載されている。

【０００３】この構成の制御棒においては、ハフニウム
は照射に伴い縮小するため、構造材として用いると制御
棒の信頼性を低下させるとため、構造材を設ける必要が
あり、制御棒の重量が増大するといった問題があった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、主に
ハフニウムによって構成される中性子吸収部の、照射に
よる寸法変化を低減することにより、信頼性を維持しな
がらハフニウムを構造材として用いることで、重量を低
減した制御棒を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、中性子吸収部に照射により寸法が大きくなる、ジル
コニウム、ジルカロイあるいは、ステンレス、インコネ
ル、ジルカロイ等の容器に充填した炭化硼素等（以下、
照射成長材と表す。）を配置することにより、中性子吸
収部の寸法変化を低減する。

【０００６】以下、本発明の作用を図４〜５及び数１を
使って説明する。

【０００７】ハフニウムの照射による縮小率をａ、照射
成長材の成長率をｂとした場合、成長と縮小を相殺させ
るには、中性子吸収部に占める照射成長材の割合を数１
で表される値とすればよい。

【０００８】

【数１】ｂ／（ａ＋ｂ）…（数１） ところで、中性子吸収能力がハフニウムよりも低い照射
成長材を、中性子吸収部の１ヶ所のみに配置した場合、
照射成長材の部位で中性子吸収能力が低下する。そこ
で、図４に示すように、ｂ／（ａ＋ｂ）枚以上の照射成
長材の高さが異なる中性子吸収材を組み合わせることに
より、中性子吸収部における中性子吸収能力に分布が生
じることは回避される。

【０００９】また、中性子束に分布がある場合、照射成
長材とハフニウムへの中性子照射量が異なるため、成長
量と縮小量が異なる値となる。そこで、図５に示すよう
に中性子吸収密度が同一とみなせるｍ個の領域に分割
し、各領域に数１で示される割合の照射成長材を組み込
むことにより、ハフニウムの縮小と照射成長材の成長を
同じ値とすることができ、中性子吸収部の寸法変化を押
さえることができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明による制御棒の第一
実施例を図１及び図２を使って説明する。図１は第１実
施例の中性子吸収部の詳細図、図２は第１実施例の一部
切りかき図である。

【００１１】図２に示すように、本制御棒は、照射成長
材１、ハフニウム２、横断面が十字型をして軸方向に長
いタイロッド４に固定されるシース３、シース３の上端
に設置されるハンドル５、シース３の下端に設置される
コネクタ６及びエンドプラグ７などから構成される。

【００１２】シース３に覆われるハフニウム２は、横断
面において、タイロッド４の十字型の各延長線上に配置
され、制御棒の横断面も十字型をしている。この様に、
本制御棒は、タイロッド４を中心とする４つの翼を有す
る。各翼のうち中性子吸収材であるハフニウムが装荷さ
れている部分が、中性子吸収部となる。

【００１３】中性子吸収材として制御棒の寿命時に縮小
率が０．２％となる純ハフニウム、照射成長材として成
長率が０．８％となるジルカロイを用いた場合、中性子
吸収部におけるそれぞれの長さの割合は数１から、純ハ
フニウム４に対してジルカロイ１となる。また、図１に
示すように中性子吸収部は、照射成長材１を、中性子吸
収部の下から１／５、２／５、３／５、４／５、５／５
の高さに配置した５枚の中性子吸収材を組み合わせるこ
とで、中性子吸収能力に分布が生じることを回避する。

【００１４】この構造を有する従来の制御棒では、ハフ
ニウムが縮小するため、ハフニウムを構造材として用い
ることができなかった。それに対し、本発明における中
性子吸収部は照射による寸法変化が発生しないため、信
頼性を維持しながらハフニウムを構造材として用いるこ
とができる。そのため、従来の構造材を省略できるの
で、重量が軽減される。

【００１５】次に、本発明による第２の実施例を図３を
使って説明する。

【００１６】本実施例においては、中性子吸収材として
制御棒の寿命時に縮小率が０．２％となる純ハフニウ
ム、照射成長材として成長率が３％となるステンレスに
充填した炭化硼素を用いる。この場合の中性子吸収部に
おけるハフニウムと照射成長材の割合は数１から、ハフ
ニウム１６に対し、炭化硼素１となる。また、中性子束
が同一とみなせる領域が６区画に分割される場合、図３
に示すように、中性子束が同一とみなせる各区画に照射
成長材を配置することで、ハフニウムと照射成長材との
中性子照射量を同一とすることで、各区画ごとに照射に
よる縮小と成長を相殺させ、制御部全体としての照射に
よる寸法変化を防止する。そのため前記実施例と同様
に、中性子束に分布が存在する領域でも、照射による寸
法変化が減少させられるので、信頼性を維持しながら、
重量を軽減できる。

【００１７】

【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、中性子吸収部の照射による寸法変化を減少
させることができるので、信頼性を維持しながら重量を
低減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例における中性子吸収部の
詳細図。

【図２】本発明の第1の実施例における制御棒の構成
図。

【図３】本発明の第２の実施例における中性子吸収部の
詳細図。

【図４】本発明における中性子吸収部の構成図。

【図５】本発明における他の中性子吸収部の構成図。

【符号の説明】

１…照射成長材、２…ハフニウム、３…シース、４…タ
イロッド、５…ハンドル、６…コネクタ、７…エンドプ
ラグ。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】中性子吸収材としてハフニウムあるいはハ
   フニウム合金（以下、ハフニウムとハフニウム合金を合
   わせて、ハフニウムと表す。）を内蔵する４枚の翼を備
   え、横断面が十字形をなし原子炉の出力を制御するため
   の制御棒において、 中性子吸収部に、照射によるハフニウムの縮小を補う照
   射成長材を備えることで、照射による中性子吸収材の寸
   法変化を低減したことを特徴とする制御棒。
2. 【請求項２】請求項１の制御棒において、照射成長材と
   して、ジルコニウム、ジルコニウム合金あるいは、ステ
   ンレス、インコネル、ジルカロイ等よりなる被覆管に充
   填した炭化硼素のうち、１つ以上の物質を用いたことを
   特徴とする制御棒。
3. 【請求項３】請求項１の制御棒において、中性子束がほ
   ぼ同一とみなせる領域ごとに照射成長材を配置したこと
   を特徴とする制御棒。
4. 【請求項４】請求項１の制御棒において、異なる高さに
   照射成長材を配置した複数の中性子吸収板を組み合わせ
   ることで中性子吸収部を構成することにより、中性子吸
   収部の高さ方向における中性子吸収能力の分布を小さく
   したことを特徴とする制御棒。