JP3121543B2 - 沸騰水型原子炉用制御棒及び沸騰水型原子炉炉心 - Google Patents

沸騰水型原子炉用制御棒及び沸騰水型原子炉炉心

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JP3121543B2 JP08189266A JP18926696A JP3121543B2 JP 3121543 B2 JP3121543 B2 JP 3121543B2 JP 08189266 A JP08189266 A JP 08189266A JP 18926696 A JP18926696 A JP 18926696A JP 3121543 B2 JP3121543 B2 JP 3121543B2
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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、沸騰水型原子炉の
制御棒に係わり、特に、原子炉停止時に用いられる沸騰
水型原子炉用制御棒、及びこの制御棒を配置した沸騰水
型原子炉炉心に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、原子力エネルギーの核燃料リサ
イクルにおいては、再処理によって使用済み燃料から取
り出されたプルトニウムをウランと混合し、ウラン・プ
ルトニウム混合酸化物燃料(MOX燃料)として、軽水
炉で利用することが考えられている。この際、経済性の
向上を目的としたMOX燃料の高燃焼度化のニーズや、
プルトニウム使用量増加及びMOX燃料利用の集中を目
的とした炉心へのMOX燃料装荷率増加のニーズがあ
る。
【0003】MOX燃料は、その核分裂性物質であるプ
ルトニウム239やプルトニウム241の熱中性子吸収
断面積がウラン235より大きいこと、及びプルトニウ
ム240による中性子の吸収がウラン238より大きい
こと等により、ウラン燃料よりも熱中性子の割合が減少
し、中性子スペクトルが硬くなるという性質がある。こ
のようなMOX燃料の高燃焼度化を図るためには、燃料
の持つ反応度を高める必要があるが、そのためにMOX
燃料のプルトニウム富化度を増加させると、中性子スペ
クトルの硬化が増す傾向がある。一方、MOX装荷率を
高めるためには、例えば中性子スペクトルがより軟らか
いウラン燃料の装荷率を減少させればよいが、これによ
っても中性子スペクトルの硬化が増す傾向がある。
【0004】中性子スペクトルが硬化すると、制御棒構
成材中の熱中性子吸収物質であるB4Cやハフニウム等
の熱中性子吸収効果が低下するので、制御棒価値が低下
する。制御棒価値が低下すると、原子炉を停止したとき
の臨界への裕度を示す指標である炉停止余裕(未臨界
度)が減少する。したがって、低下した炉停止余裕は何
らかの手段により増加させる必要がある。炉停止余裕を
向上させる手段としては、制御棒価値の増加、ウォータ
ロッド等の増加による水対燃料体積比の増加、ガドリニ
ア等の燃料中に混入する可燃性毒物質濃度の増加等があ
る。しかしながら、これらのうち、ウォータロッド等の
増加による水対燃料体積比の増加は、プルトニウムの装
荷量の減少や燃料集合体等の形状変更を伴う。また、可
燃性毒物濃度増加は毒物のサイクル末期での燃え残りを
発生し、反応度を損失する。以上の理由から、炉停止余
裕を向上させる手段としては、炉心設計への影響が少な
い制御棒価値の増加が適切である。
【0005】制御棒価値を増加することを目的とした公
知技術例としては、例えば、以下の3つがある。 特開平1−254895号公報 この公知技術は、制御棒を、互いに並列した状態に接合
された正方形横断面管状部材で構成することにより、制
御棒内におけるB4Cの充填量を増加させ、制御棒価値
を高めるものである。
【0006】特開平2−2984号公報 この公知技術は、制御棒内の上部に天然ボロン等を充填
した被覆管を配置するとともに、制御棒内の下部にはこ
れを配置しない。すなわち、反応度効果の高い部位に中
性子吸収材を多く配置して制御棒価値を高めるものであ
る。
【0007】特開昭57−98893号公報 一般に、B4Cが熱中性子吸収材に使用されるのは、天
然に産出されるボロンに、熱中性子吸収断面積が非常に
大きい質量数10の同位体10Bが約20%含まれている
からである。従って、使用するB4C中の10B濃度を濃
縮によって高めることによって制御棒価値を増加させる
ことができる。この公知技術は、濃縮ボロンを用いてB
4C単位重量当たりの熱中性子吸収量を増加させ、使用
するB4Cの量を低減しつつ、制御棒価値を高めるもの
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
知技術には、以下の課題が存在する。すなわち、公知技
術においては、従来の制御棒の構造を変更する必要
があることから、新規な製造設備が必要となる。また従
来の制御棒に比べ廃棄物の体積が大きくなる。また公知
技術においては、制御棒構造は従来のものと同様のも
のを使用できるので、新規な製造設備は必要ないもの
の、濃縮ボロンは天然ボロンに比べ濃縮コストの関係上
高価であり、したがって制御棒も高価になり、コスト低
減が困難となるという課題があった。
【0009】本発明の目的は、新規な設備を必要とせ
ず、かつ製造コストが高価になることがなく、十分な制
御棒価値を確保できる、沸騰水型原子炉用制御棒及びこ
れを配置した沸騰水型原子炉炉心を提供することにあ
る。
【0010】上記目的を達成するために、本発明によれ
ば、炉心の非制御セルに配置され、原子炉運転中は該炉
心から引き抜かれるとともに該原子炉停止時に該炉心に
挿入され、中性子吸収材としてB4Cが用いられた沸騰
水型原子炉用制御棒において、 4 Cは、複数の仕切り
球により上下方向に分割された被覆管内に、B 4 C中の
10 B濃縮度が相対的に大きい上部領域とB 4 C中の 10
濃縮度が相対的に小さい下部領域との2つに分割される
ように、粉末状態で充填されており、かつ、それら上・
下2領域の境界は、その制御棒上端からの距離が、制御
棒全長の1/2を超え該制御棒全長未満となる位置に設
けられていることを特徴とする沸騰水型原子炉用制御棒
が提供される。一般に、BWRにおいては、運転時に炉
心内にボイド率分布が生じる。このとき炉心上部はボイ
ド率が高く、出力密度が相対的に低下するので、核分裂
性物質である235ウラン、239プルトニウム、24
1プルトニウム等が比較的多く残存する。また、発生す
るボイドにより中性子スペクトルの硬化を引き起こすた
め、中性子吸収によるプルトニウムの生成が促進され
る。このため、原子炉の運転後において炉心上部の核分
裂性物質の濃度が高くなり、その領域の原子炉停止余裕
が相対的に低下する。ここで本発明においては、この炉
停止余裕が相対的に低下する炉心上部領域に対応し、制
御棒の被覆管内の上部領域10Bの濃縮度が大きいB4
Cを充填し、炉停止余裕の相対的に大きい炉心下部の領
に対応する制御棒の被覆管内の下部領域には10Bの濃
縮度が小さいB4C、例えば天然ボロンを原料とするB4
Cを粉末状態で充填する。これにより、全体としての制
御棒価値を大きく低下させることなく十分に確保して炉
停止余裕を向上させつつ、使用する濃縮ボロンの量を低
減することができるので、製造コスト低減を図ることが
できる。
【0011】好ましくは、前記沸騰水型原子炉用制御棒
において、前記下部領域に、天然ボロンを原料とするB
4Cを配置したことを特徴とする沸騰水型原子炉用制御
棒が提供される。
【0012】また好ましくは、前記沸騰水型原子炉用制
御棒において、前記相対的に上部の領域は、上・下2領
域に分割したうちの上部領域であり、前記相対的に下部
の領域は、上・下2領域に分割したうちの下部領域であ
ることを特徴とする沸騰水型原子炉用制御棒が提供され
る。
【0013】さらに好ましくは、前記沸騰水型原子炉用
制御棒において、前記上・下2領域の境界は、制御棒上
端からの距離が制御棒全長の約1/4〜3/4である位
置に設けられていることを特徴とする沸騰水型原子炉用
制御棒が提供される。すなわち、例えば、上部領域に濃
縮ボロン、下部領域に天然ボロンを配置する場合には、
上・下2領域の境界を制御棒上端からの距離が制御棒全
長の約1/2である位置に設けることにより、全長にわ
たって濃縮ボロンを使用した場合と同等の制御棒価値を
得て同等の炉停止余裕性能向上効果を得ることができ、
使用する濃縮ボロンの量を1/2に低減することができ
る。また、上・下2領域の境界を制御棒上端からの距離
が制御棒全長の約1/4である位置に設けることによ
り、全長にわたって濃縮ボロンを使用した場合の1/2
の炉停止余裕性能向上効果を得ることができ、使用する
濃縮ボロンの量を1/4に低減することができる。さら
に、上・下2領域の境界を制御棒上端からの距離が制御
棒全長の約3/4である位置に設けることにより、原子
炉停止時の上・下の炉停止余裕の差があまり大きくなら
ない初装荷炉心・移行炉心等の低燃焼度炉心にも対応す
ることができる。
【0014】さらに好ましくは、前記沸騰水型原子炉用
制御棒において、前記上・下2領域の境界は、制御棒上
端からの距離が制御棒全長の約1/2である位置に設け
られていることを特徴とする沸騰水型原子炉用制御棒が
提供される。
【0015】また好ましくは、前記沸騰水型原子炉用制
御棒において、前記上部領域におけるB4Cの充填量
を、前記下部領域におけるB4Cの充填量より大きくし
たことを特徴とする沸騰水型原子炉用制御棒が提供され
る。
【0016】また上記目的を達成するために、本発明に
よれば、原子炉運転中は炉心から引き抜かれ、原子炉停
止時に炉心に挿入される第1の制御棒が配置される非制
御セルと、原子炉運転中に原子炉に挿入される第2の制
御棒が配置される制御セルとを備えた、沸騰水型原子炉
炉心において、前記第1の制御棒として、上記沸騰水型
原子炉用制御棒を配置し、前記第2の制御棒として、長
寿命制御棒を配置したことを特徴とする沸騰水型原子炉
炉心が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照しつつ説明する。本発明の第1の実施形態を図1〜
図5により説明する。本実施形態は、沸騰水型原子炉用
制御棒の実施形態である。
【0018】本実施形態による沸騰水型原子炉用制御棒
の構造を表す一部破断斜視図を図1に、図1中A−A断
面による水平横断面図を図2に示す。図1及び図2にお
いて、本実施形態による制御棒1は、沸騰水型原子炉炉
心の非制御セルに配置され、原子炉運転中は該炉心から
引き抜かれるとともに該原子炉停止時に該炉心に挿入さ
れ、中性子吸収材としてB4Cが用いられるものであ
り、中性子吸収材であるB4Cを充填した多数の中性子
吸収棒2を一列に配置して、これらをシース3によって
収容している。シース3は制御棒1の中央部を貫通する
支持材4に溶接されている。制御棒1の先端部には制御
棒1を炉外に取り出すためのハンドル5が取り付けられ
ている。
【0019】中性子吸収棒2の側断面図を図3に示す。
図3において、中性子吸収棒2は、ステンレス鋼管製の
細長い被覆管21中に普通カドミウムやB4C粉末等、
中性子を吸収しやすい中性子吸収物質を充填したもので
ある。被覆管21の中は上下方向にステンレス鋼製の仕
切り球22によって多数個に分割されており、各分割部
分に異なる種類の中性子吸収物質を充填することができ
るようになっている。本実施形態の制御棒1は、この仕
切り球22を利用し、上下方向に10B濃縮度差の違うB
4Cを充填している。すなわち、制御棒1を全長のほぼ
真ん中、すなわち上端からの距離が制御棒1全長の約1
/2である位置で上下2領域に分割し、上部領域に10
濃縮ボロンを使用したB4Cを充填し、下部領域には天
然ボロンを原料としたB4Cを充填している。
【0020】次に、本実施形態の作用を説明する。一般
に、BWRにおいては、運転時に炉心内にボイド率分布
が生じる。このとき炉心上部はボイド率が高く、出力密
度が相対的に低下するので、核分裂性物質である235
ウラン、239プルトニウム、241プルトニウム等が
比較的多く残存する。また、発生するボイドにより中性
子スペクトルの硬化を引き起こすため、中性子吸収によ
るプルトニウムの生成が促進される。このため、原子炉
の運転後において炉心上部の核分裂性物質の濃度が高く
なり、その領域の原子炉停止余裕が相対的に低下する。
ここで本実施形態の制御棒1においては、この炉停止余
裕が相対的に低下する炉心上部領域に対応し、制御棒1
のうち相対的に上部の領域に10B濃縮ボロンを原料とす
るB4Cを充填し、炉停止余裕の相対的に大きい炉心下
部の領域には天然ボロンを原料とするB4Cを充填する
ことにより、全体としての制御棒価値を十分に確保し炉
停止余裕を向上させつつ、使用する濃縮ボロンの量を低
減するものである。以下、このことを図4を用いて説明
する。
【0021】図4は、典型的な沸騰水型炉心において、
制御棒を上下2領域に分割して、上部領域に10B濃縮ボ
ロンを使用したB4Cを充填し、下部領域には天然ボロ
ンを原料としたB4Cを充填した場合において、上下領
域の切れ目の位置を上端から下端へ徐々に移動させると
炉停止余裕のどう変化するかをシミュレーションした計
算結果の一例を表したものである。図の横軸は、上下の
切れ目が下端、すなわち全長にわたって10B濃縮ボロン
を使用したB4Cを充填した場合を100とし、上下の
切れ目が上端、すなわち10B濃縮ボロンを全く使用しな
い場合を0としている。また縦軸は、運転期間通じての
炉停止余裕の最小値である。
【0022】図4からわかるように、上・下2領域の境
界を制御棒上端からの距離が制御棒全長の約1/2以上
となる位置に設ければ(すなわち境界を制御棒の下半分
領域に設ければ)、炉停止余裕の最小値は、制御棒全体
に濃縮ボロンを使用した場合の値とほぼ同一値となる。
【0023】本実施形態の制御棒1は、この上下2領域
の切れ目を、制御棒1全長の約1/2の位置に設けてい
るので、全長にわたって濃縮ボロンを使用した場合と同
等の炉停止余裕を得られるとともに、使用する濃縮ボロ
ンの量を1/2に削減できる。したがって、製造コスト
低減を図ることができる。またこのとき、制御棒1内の
ボロン濃縮度分布を変化させるだけであり、従来の制御
棒の構造を変更する必要はないので、新規な製造設備の
必要はない。
【0024】なお、上記実施形態においては、上・下2
領域の境界を制御棒上端からの距離が制御棒全長の約1
/2以上となる位置に設ければ、炉停止余裕の最小値
は、制御棒全体に濃縮ボロンを使用した場合の値とほぼ
同一値となることを明らかにしたが、図4に示されるよ
うに、炉停止余裕の向上量として必要な量が、全長にわ
たって濃縮ボロンを使用した場合の1/2程度でよいと
する場合には、上・下2領域の境界を制御棒上端からの
距離が制御棒全長の約1/4とすれば足りることがわか
る。この場合には、必要とする濃縮ボロンの量を1/4
に低減することができる。また、初装荷炉心や移行炉心
の様な燃焼度の低い炉心では、原子炉停止時の上下の炉
停止余裕の差が燃焼度の高い炉心ほど大きくならないこ
とも考えられる。そのような場合には、上下領域の切れ
目を、制御棒上端からの距離が制御棒全長の約1/2で
ある位置よりも下方(例えば3/4)にすれば有効であ
ると考えられる。
【0025】さらに、上記第1の実施形態では、境界よ
り上方の領域で10B濃縮度が相対的に高い10B濃縮ボロ
ンを使用し、境界より下方の領域で10B濃縮度が相対的
に低い天然ボロンを使用したが、これに限られず、本発
明の概念の応用は種々可能である。これを図5により説
明する。図5は、本発明の概念的構成を模式的に表した
ものであり、中性子吸収棒2の内部に充填するB4Cの
10B濃縮度の軸方向分布を表したものである。上記第1
の実施形態の制御棒1では、全長の中間位置で上下2領
域に分割したうちの、下部領域に天然ボロンを原料とし
たB4C、上部領域に10B濃縮ボロンを使用したB4Cを
充填して構成した(図5(a))。図5(b)はこれを
応用し、下部領域に濃縮度が相対的に低い10B濃縮ボロ
ンを原料としたB4C、上部領域に濃縮度が相対的に高
10B濃縮ボロンを使用したB4Cを充填して構成した
ものである。また図5(c)(d)に示すものは、この
ような10B濃縮度の高・低に加え、被覆管21内への充
填量そのものも大小の差をつける構成である。すなわ
ち、図5(c)は、下部領域に天然ボロンを原料とした
4Cを相対的に少なく充填し、上部領域に10B濃縮ボ
ロンを使用したB4Cを相対的に多く充填して構成した
ものであり、図5(d)は、下部領域に濃縮度が相対的
に低い10B濃縮ボロンを原料としたB4Cを相対的に少
なく充填し、上部領域に濃縮度が相対的に高い10B濃縮
ボロンを使用したB4Cを相対的に多く充填して構成し
たものである。この図5(c)(d)のように、上部の
4Cの量を下部よりも増加させることにより、上部で
使用する10B濃縮度を低下させることができる、もしく
は炉停止余裕を増加することが可能である。
【0026】また、本発明は、図1に示すタイプの制御
棒のみに適用可能なものではなく、B4Cを使用する制
御棒には全て適用可能であることは言うまでもない。例
えば、特開平1−254895号公報記載の制御棒のよ
うに、内部に充填する中性子吸収物質を増加させた制御
棒に本発明を適用すれば、使用するボロン濃縮度を低下
させる、もしくはさらに制御棒価値を増加させることが
でき有効である。
【0027】さらに、本発明は、いわゆる長寿命制御棒
に対しても有効である。この場合、長寿命でかつ制御棒
価値の高い制御棒を使用することができ、炉停止余裕を
向上させることができるほか、運転中に使用する制御棒
の数を削減でき、交換する制御棒の数を削減でき、運転
コストの削減を図ることができるという利点がある。
【0028】本発明の第2の実施形態を図6により説明
する。本実施形態は、非制御セルに第1の実施形態で説
明した制御棒を使用し、制御セルに長寿命制御棒を使用
した沸騰水型原子炉炉心の実施形態である。本実施形態
による炉心の構成を表す平面図を図6に示す。図6に示
されるように、炉心40は、原子炉運転中は炉心から引
き抜かれ、原子炉停止時に炉心に挿入される制御棒42
が配置される非制御セルと、原子炉運転中に原子炉に挿
入される制御棒41が配置される制御セルとを備えてい
る。
【0029】制御棒42は、第1の実施形態で説明した
高価値制御棒となっており、制御棒41は、一部B4
を使用し、中性子束が高く、従って中性子吸収材の減少
が早い制御棒上部及び翼端にハフニウムのような長寿命
型の中性子吸収材を併用した長寿命制御棒となってい
る。
【0030】このように、本実施形態の炉心40では、
高価値制御棒42と長寿命制御棒41を組み合わせたこ
とで、通常の制御棒よりは高価な高価値制御棒42の取
り替え本数を低減することができ、運転コストの削減を
図ることができる。
【0031】本発明によれば、制御棒の被覆管内の上部
領域10Bの濃縮度が大きいB4Cを充填し、制御棒の
被覆管内の下部領域には10Bの濃縮度が小さいB4C、
例えば天然ボロンを原料とするB4Cを充填する。した
がって、全体としての制御棒価値を大きく低下させるこ
となく十分に確保して炉停止余裕を向上させつつ、使用
する濃縮ボロンの量を低減することができるので、製造
コスト低減を図ることができる。またこのとき、制御棒
内のボロン濃縮度分布を変化させるだけであり、従来の
制御棒の構造を変更する必要はないので、新規な製造設
備の必要はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による沸騰水型原子炉
用制御棒の構造を表す一部破断斜視図である。
【図2】図1中A−A断面による水平横断面図である。
【図3】図1に示された中性子吸収棒の側断面図であ
る。
【図4】制御棒の上下領域の切れ目の位置を上端から下
端へ徐々に移動させると炉停止余裕のどう変化するかを
検討した結果の一例を表した図である。
【図5】本発明の概念的構成を模式的に表した図であ
る。
【図6】本発明の第2の実施形態による炉心の構成を表
す平面図である。
【符号の説明】
1 制御棒 2 中性子吸収棒 3 シース 4 支持材 5 ハンドル 21 ステンレス鋼管 22 ステンレス鋼球 40 原子炉炉心 41 長寿命制御棒 42 高価値制御棒
フロントページの続き (72)発明者 井筒 定幸 茨城県日立市幸町三丁目2番1号 日立 エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 藤田 聡志 茨城県日立市幸町三丁目2番1号 日立 エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 小泉 章 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 町田 浩一 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (56)参考文献 特開 昭58−27092(JP,A) 特開 平3−261894(JP,A) 特開 昭63−81296(JP,A) 特開 平2−222869(JP,A) 実開 昭51−3796(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21C 7/10 G21C 7/00 G21C 7/24

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炉心の非制御セルに配置され、原子炉運転
    中は該炉心から引き抜かれるとともに該原子炉停止時に
    該炉心に挿入され、中性子吸収材としてB4Cが用いら
    れた沸騰水型原子炉用制御棒において、 4 Cは、複数の仕切り球により上下方向に分割された
    被覆管内に、B 4 C中の 10 B濃縮度が相対的に大きい上
    部領域とB 4 C中の 10 B濃縮度が相対的に小さい下部領
    域との2つに分割されるように、粉末状態で充填されて
    おり、 かつ、それら上・下2領域の境界は、その制御棒上端か
    らの距離が、制御棒全長の1/2を超え該制御棒全長未
    満となる位置に設けられている ことを特徴とする沸騰水
    型原子炉用制御棒。
  2. 【請求項2】請求項1記載の沸騰水型原子炉用制御棒に
    おいて、前記下部領域に、天然ボロンを原料とするB4
    Cを配置したことを特徴とする沸騰水型原子炉用制御
    棒。
  3. 【請求項3】請求項1記載の沸騰水型原子炉用制御棒に
    おいて、前記上部領域におけるB4Cの充填量を、前記
    相対的に下部領域におけるB4Cの充填量より大きくし
    たことを特徴とする沸騰水型原子炉用制御棒。
  4. 【請求項4】原子炉運転中は炉心から引き抜かれ、原子
    炉停止時に炉心に挿入される第1の制御棒が配置される
    非制御セルと、原子炉運転中に原子炉に挿入される第2
    の制御棒が配置される制御セルとを備えた、沸騰水型原
    子炉炉心において、前記第1の制御棒として、請求項1
    記載の沸騰水型原子炉用制御棒を配置し、前記第2の制
    御棒として、長寿命制御棒を配置したことを特徴とする
    沸騰水型原子炉炉心。
JP08189266A 1996-07-18 1996-07-18 沸騰水型原子炉用制御棒及び沸騰水型原子炉炉心 Expired - Fee Related JP3121543B2 (ja)

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