JP2001153153A - クラッチ装置 - Google Patents

クラッチ装置

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JP2001153153A
JP2001153153A JP33941699A JP33941699A JP2001153153A JP 2001153153 A JP2001153153 A JP 2001153153A JP 33941699 A JP33941699 A JP 33941699A JP 33941699 A JP33941699 A JP 33941699A JP 2001153153 A JP2001153153 A JP 2001153153A
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clutch
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cylindrical portion
hydraulic pressure
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Mamoru Okubo
護 大久保
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 油圧キャンセル室の部品点数を低減するとと
もに、油圧キャンセル室の気密性を高めることにある。 【解決手段】 この低高速切換装置1は、ピストン1
8,クラッチケース15,クラッチ部17,油圧室19
及びリターンスプリング20を備えている。18は環状
の部材である。15は、18の内周及び外周を支持する
ための内周筒状部15b及び外周筒状部15fを有し、
18が収容されている。17は18支持部の第1軸方向
側に配置されている。19は18の第2軸方向側に配置
されている。20は、18の第1軸方向側に配置され、
18を第2軸方向側に付勢するとともに18との間に2
1を形成する環状かつ円板状の部材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クラッチ装置、特
に、油圧操作によってピストンを駆動する油圧クラッチ
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】油圧クラッチ装置は、入力側の部材と出
力側の部材との間で動力の伝達及び遮断を行うための装
置であり、一般的に、内周部及び外周部に筒状壁を有す
るクラッチケースと、クラッチケース内に配置されたピ
ニオンギア等の他の部材と、クラッチケースと他の部材
との間に配置された複数のクラッチプレートからなるク
ラッチ部と、複数のクラッチプレートを互いに押圧する
ためのピストンと、油圧によりピストンをクラッチ部側
に押圧するための油圧室と、クラッチ遮断時にピストン
を油圧室側に戻すためのリターンスプリングとを有して
いる。
【0003】この装置では、油圧室に油圧が供給される
と、ピストンはクラッチ部側に移動し、複数のクラッチ
プレートを互いに密着させる。これにより、クラッチが
接続され、入力側部材からの動力が出力側部材に伝達さ
れる。また、油圧室の油圧が解除されると、リターンス
プリングの付勢力により、ピストンはクラッチ部から離
れる方向に移動するため、各クラッチプレートは互いに
離れる。これにより、クラッチは解除される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述のような油圧クラ
ッチ装置では、油圧室内の作動油に遠心力が作用するこ
とで、油圧室内に遠心油圧が発生する。この遠心油圧に
よってクラッチ遮断時にもかかわらずピストンがリター
ンスプリングの弾性力に打ち勝ってしまい、クラッチ部
側に移動してしまうことがある。この場合はクラッチ部
においてクラッチプレートが互いに接触してしまう。
【0005】そのような問題を解決するために、ピスト
ンのクラッチ部側に油圧キャンセル室を備えた油圧クラ
ッチ装置が知られている。油圧キャンセル室は、ピスト
ンと、ピストンのクラッチ部側に配置された環状プレー
トとによって形成されている。環状プレートは、内周縁
が内周筒状部に固定され、外周縁がピストンの内周面に
当接している。環状プレートの外周とピストンとの間に
配置されたシール部材が油圧キャンセル室の外周側をシ
ールしている。前述のリターンスプリングは、第2油圧
室内において、一端が環状プレートに支持され、他端が
ピストンに支持されている。リターンスプリングは例え
ば複数のコイルスプリングからなる。
【0006】このような装置では、クラッチ解除時に
は、リターンスプリングの付勢力に加え、油圧キャンセ
ル室で発生する遠心油圧による付勢力によって、ピスト
ンはクラッチ部から離れる方向に移動する。ここでは、
油圧室において発生する遠心油圧によるピストンへの付
勢力が、油圧キャンセル室において発生する遠心油圧に
よるピストンへの付勢力によってキャンセルされたこと
になる。
【0007】しかし、このようなクラッチ装置では、環
状プレートやリターンスプリング等の複数の部材によっ
て、ピストンを戻すための構造を形成しているため、部
品点数は多くなっている。特に、リターンスプリングは
数十本のコイルスプリングからなる。本発明の目的は、
油圧クラッチ装置のピストンを戻すための構造の部品点
数を低減することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載のクラッ
チ装置は、ピストン,ピストン支持部,クラッチ部,油
圧室及びばね部材を備えている。ピストンは環状の部材
である。ピストン支持部は、ピストンの内周及び外周を
それぞれ支持するための内周筒状部及び外周筒状部を有
し、ピストンを収容している。クラッチ部はピストンの
第1軸方向側に配置されている。油圧室はピストンの第
2軸方向側に配置されている。ばね部材は、ピストンの
第1軸方向側に配置され、クラッチ連結解除時にピスト
ンを第2軸方向側に付勢するとともに、ピストンとの間
に遠心油圧を発生するための第2油圧室を形成する環状
かつ円板状の部材である。
【0009】このクラッチ装置では、クラッチ接続時に
油圧室に油圧が供給されると、ピストンはばね部材の抵
抗力に抗して第1軸方向側に移動し、クラッチ部を押圧
する。これにより、クラッチは接続状態となる。また、
クラッチ解除時に油圧室の油圧が解除されると、ピスト
ンは、ばね部材による付勢力及び油圧キャンセル室内で
発生する遠心油圧による付勢力によって、第2軸方向側
に移動してクラッチ部から離れる。これにより、クラッ
チは解除状態となり、入力側部材からの動力はクラッチ
部において遮断される。
【0010】ここでは、単体の部材であるばね部材が、
自ら弾性力をピストンに作用させるとともに、遠心油圧
を発生するための油圧キャンセル室の一部を構成してい
る。したがって、従来例における環状プレートを省略す
ることができ、ピストンを確実に戻すための構造の部品
点数を低減することができる。請求項2に係るクラッチ
装置は、請求項1の装置において、油圧キャンセル室
は、ピストンとばね部材と内周筒状部とから構成され、
内周筒状部には外部油路と連通する開口が形成されてい
る。
【0011】このクラッチ装置では、作動油は内周筒状
部開口から油圧キャンセル室内に供給される。請求項3
に係るクラッチ装置では、請求項2の装置において、ば
ね部材は、内周部が内周筒状部に支持され、外周部が前
記ピストンに支持されており、ばね部材とピストンとの
当接部分に環状のシールが形成されている。
【0012】請求項4に係るクラッチ装置では、請求項
3の装置において、環状のシールはピストン又はばね部
材に一体に形成された環状突起である。環状のシールが
環状突起からなるため、別のシール部材を必要としな
い。請求項5に係るクラッチ装置では、請求項1から4
のいずれかの装置において、ばね部材は自由状態で平坦
な形状である。このため、ばね部材に曲げ加工等を施す
必要がなく、ばね部材の製造に係るコストを低減するこ
とができる。
【0013】請求項6に記載のクラッチ装置では、請求
項3から5のいずれかの装置において、ピストンが最も
第2軸方向側に移動した状態において、ばね部材はピス
トンと内周筒状部との間で軸方向に圧縮されている。こ
の装置では、ばね部材は常にピストン及び内周筒状部に
密着しており、油圧キャンセル室の液密性を高めてい
る。
【0014】
【発明の実施の形態】図1に本発明の一実施形態が採用
された速度切換装置1を示す。速度切換装置1は、トル
クコンバータからの動力をベルト式無段変速装置に伝達
するための動力伝達装置であり、その動力を高速・低速
の2段階に切替可能である。以下の説明では、ベルト式
無段変速装置側を第1軸方向とし、トルクコンバータ側
を第2軸方向とする。
【0015】速度切換装置1は、主に、トルクコンバー
タから延びる入力シャフト2とベルト式無段変速装置か
ら延びる出力シャフト3との間でトルクを伝達するため
の遊星歯車装置4と、その動力の伝達経路を切り換える
ことで速度を変更するクラッチ5,6とからなる。入力
シャフト2と出力シャフト3は回転軸O−O回りで同心
に配置されている。出力シャフト3は、筒状部3aと、
筒状部3aから外周側に延びるフランジ3bと、フラン
ジ3b外周縁から第2軸方向側に延びる筒状部3cとを
有している。筒状部3cの内周にはリングギア10が形
成されている。入力シャフト2は、シャフト本体2a
と、その先端に設けられたフランジ2bとからなる。シ
ャフト本体2aの先端は出力シャフト3の先端によって
回転自在に支持されている。フランジ2bはフランジ3
bの第2軸方向側に近接して配置されている。
【0016】さらに、入力シャフト2の外周側には、回
転不能なハウジング8の一部が配置されている。 〔遊星歯車装置〕遊星歯車装置4は、出力シャフト3の
一部であるリングギア10と、リングギア10の内周側
で入力シャフト2の先端外周面に近接して配置されたサ
ンギア11と、リングギア10及びサンギア11に噛み
合う複数の遊星ギア12とを有している。遊星ギア12
はキャリア13に回転自在に支持されている。キャリア
13は一端がフランジ2bに固定され、他端がキャリア
部材14(後述)に固定されている。したがって、遊星
ギア12は入力シャフト2とともに回転する。サンギア
11は後述するクラッチケース15の一部である。
【0017】高速用クラッチ5と低速用クラッチ6とは
両者が同時にオンされることがないように油圧制御され
ている。速度切換装置1は、高速用クラッチ5がオンの
状態で高速となるように、低速用クラッチ6がオンの状
態で低速となるように、遊星歯車装置4の動力伝達状態
を切り替えることができる。より具体的には、高速用ク
ラッチ5は、クラッチケース15をキャリア部材14に
連結することで、サンギア11をキャリア13に一体回
転するように連結するためのクラッチである。この場合
は、遊星ギア12は自転できなくなるため、入力シャフ
ト2の動力は遊星ギア12から直接リングギア10に伝
達される。低速用クラッチ6は、クラッチケース15を
ハウジング8に連結することで、サンギア11をハウジ
ング8に連結するためのクラッチである。この場合は、
遊星ギア12は自転しながらサンギア11の外周を公転
するため、入力シャフト2の動力は減速されてリングギ
ア10に伝達される。 〔高速用クラッチ〕高速用クラッチ5は、図1に示すよ
うに、クラッチケース15(ピストン支持部)と、クラ
ッチケース15内に配置されたキャリア部材14と、ク
ラッチケース15とキャリア部材14とを連結又は解除
するためのクラッチ部17と、クラッチケース15内に
軸方向に移動自在に配置されたピストン18と、油圧に
よりピストン18を押圧するための油圧室19と、ピス
トン18をクラッチ部17から離れる方向に付勢するた
めのリターンスプリング20(ばね部材)とを有してい
る。なお、図1は高速用クラッチ5では、ピストン18
が第1軸方向に最も移動した、つまりクラッチ部17か
ら最も離れたクラッチ連結解除状態を示している。
【0018】クラッチケース15は、入力シャフト2の
回りに配置された環状部材であり、第1軸方向側に開い
た筒形状に形成されている。クラッチケース15は、外
周筒状部15aと、内周筒状部15bと、外周筒状部1
5aと内周筒状部15bとの間に形成された側壁部15
cとからなる。外周筒状部15aは、断面が波形凹凸に
形成されることにより、内周面に軸方向に延びる複数の
係合凹部15gが形成されている。内周筒状部15bの
先端には前述のサンギア11が形成されている。側壁部
15cは、外周側の第1環状側壁15dと、内周側の第
2環状側壁部15eとを有している。第2環状側壁部1
5eは、第1環状側壁15dに比べて第2軸方向側に凹
んでいる。このようにして、第2環状側壁部15eと、
内周筒状部15bの根元部分と、第1環状側壁15dと
第2環状側壁部15eとの間の筒状部分15fとによっ
て、第1軸方向側が開いた環状空間Aが形成されてい
る。
【0019】キャリア部材14は、概ね円板状の部材で
あり、クラッチケース15内に配置されている。キャリ
ア部材14は、第2軸方向に延びる筒状部14aを外周
縁に有している。筒状部14aの外周面には軸方向に延
びる複数の溝14bが形成されている。キャリア部材1
4は、前述したとおり、キャリア13に固定されてい
る。
【0020】クラッチ部17は、クラッチケース15の
外周筒状部15aとキャリア部材14の筒状部14aと
の半径方向間に配置されている。クラッチ部17は複数
の第1クラッチプレート50及び第2クラッチプレート
51を有している。第1及び第2クラッチプレート5
0,51は、ともに環状のプレート部材であり、軸方向
に交互に並んで配置されている。第1クラッチプレート
50の外周部には、クラッチケース15の係合凹部15
gに係合する複数の係合歯部が形成されている。第2ク
ラッチプレート51の内周部には、キャリア部材14の
溝14bに係合する複数の係合歯部が形成されている。
これにより、第1クラッチプレート50はクラッチケー
ス15に対して軸方向に移動可能かつ相対回転不能とな
り、第2クラッチプレート51はキャリア部材14に対
して軸方向に移動可能かつ相対回転不能となっている。
【0021】第2クラッチプレート51の両側面には摩
擦部材が装着されている。また、複数の第2クラッチプ
レート51のうち最も出力側のプレートよりさらに出力
側には、第1クラッチプレート50と厚みを除いて同形
状のバックアッププレート22が配置されている。そし
て、このバックアッププレート22のさらに出力側に
は、止め輪23が外周筒状部15aの内周面に固定され
ている。
【0022】ピストン18は、クラッチケース15内
で、側壁15cの第1軸方向側に近接して配置されてい
る。ピストン18は、概ねリング状の部材であり、第1
環状部18aと、第1環状部18aの外周部第1軸方向
側端から外周側に延びる第2環状部18bとから構成さ
れている。第1環状部18aは環状空間A内に配置され
ている。第1環状部18aの外周面は筒状部分15fに
当接するシールリング52が固定され、内周面には内周
筒状部15bに当接するシールリング53が固定されて
いる。このようにして、ピストン18と側壁部15cの
間に、ピストン18を作動させるための油圧室19が形
成されている。なお、第1環状部18aの第1軸方向側
には、後述する油圧キャンセル室21の一部となる環状
凹部18dが形成されている。
【0023】第2環状部18bは概ね円板状部材であ
り、第1環状側壁15dの第1軸方向側に近接して配置
されている。第2環状部18bの外周部はクラッチ部1
7の第2軸方向側に位置している。また、第2環状部1
8bの内周側又は第1環状部18aの外周側の第1軸方
向側には他の部分より第1軸方向側に突出する環状突起
18cが形成されている。環状突起18cは筒状部14
aに近接しているが、その半径方向内側に位置してい
る。環状突起18cは後述するリターンスプリング20
の外周部を支持する支点となる。
【0024】油圧室19は、油圧によりピストン18を
第1軸方向側に押圧することによりクラッチ部17の各
クラッチプレート50,51を互いに密着させるための
空間である。油圧室19は、前述のシールリング52,
53により液密性が保たれている。油圧室19と外部の
油圧作動機構とを連絡する油路は、内周筒状部15bの
根元部分に形成された開口31,ハウジング8に形成さ
れた油路32、シャフト2に形成された油路33等から
なる。油路33は、入力シャフト2内を延びる油路34
に連通している。
【0025】リターンスプリング20は、クラッチ連結
解除時にピストン18をクラッチ部17から離れる方向
(第2軸方向)に付勢するための部材である。リターン
スプリング20は、環状かつ円板状のばね部材であり、
ピストン18の第1環状部18aの第1軸方向側すなわ
ち内周筒状部15bと筒状部14aとの間に配置されて
いる。この結果、リターンスプリング20の内周縁は、
内周筒状部15bの外周面に近接しており、外周縁は筒
状部14aの内周面特にその先端に近接している。リタ
ーンスプリング20の外周部は第1軸方向側面が環状突
起18cに支持されている。内周筒状部15bの外周面
には第1軸方向側から止め輪36,ワイヤーリング37
が配置されており、リターンスプリング20の内周部は
第1軸方向側がワイヤーリング37に当接している。止
め輪36は、内周筒状部15bに固定され、リターンス
プリング20からの弾性力を支持するようになってい
る。
【0026】なお、リターンスプリング20は、自由状
態で平坦な形状であるが、図1に示すクラッチ連結解除
状態(ピストン15が最も第1軸方向側に位置してい
る)では、わずかにたわんだ状態でイニシャル荷重を発
生している。すなわち、リターンスプリング20は、内
周部がワイヤーリング37に密着し、外周部が環状突起
18cに密着している。
【0027】油圧キャンセル室21は、その中で発生す
る遠心油圧によって、クラッチ連結解除時にビストン1
8のクラッチ部17側への移動を抑える機能を有してい
る。油圧キャンセル室21は、ピストン18の環状突起
18cから内周側の部分と、リターンスプリング20
と、内周筒状部15bとによって構成されている。より
詳細には、油圧キャンセル室21は、ピストン18の第
1環状部18aの第1軸方向側面(環状凹部18dが形
成されている部分)と、リターンスプリング20の第2
軸方向側面と、内周筒状部15bの外周面とによって構
成されている。油圧キャンセル室21を構成する内周筒
状部15bの根元部分には、作動油が供給されるための
開口41が形成されている。シャフト2には、開口41
と連通する油路42が形成されている。油路42は油路
34に連通している。以上より、油圧キャンセル室21
は油圧室19と共通の油圧回路につながっていることに
なる。しかし、油路41は油路31より流路面積が小さ
く、油路42は油路33より流路面積が小さい。つま
り、油圧キャンセル室21で生じる油圧は油圧室19で
生じる油圧より常に小さくなるようになっている。
【0028】高速用クラッチ5の動作について説明す
る。図1の状態から、油圧室19に油路31,32,3
3等を介して油圧が供給されると、ピストン18は第1
軸方向側に移動し、クラッチ部17を連結させる。この
とき、ピストン18には、リターンスプリング20から
の弾性力及び油圧キャンセル室21で発生する油圧等か
らなる抵抗が作用している。
【0029】次に油圧室19から油路52,53,33
等を介して油圧がドレンされると、ピストン18は第2
軸方向側に移動し、クラッチ部17の連結を解除する。
この動作において、ピストン18は、リターンスプリン
グ20の弾性力及び油圧キャンセル室21で発生する遠
心油圧による付勢力によって、第2軸方向側に付勢され
ている。このとき、油圧室19においても遠心油圧によ
る付勢力がピストン18を第1軸方向側に付勢している
が、リターンスプリング18の弾性力及び油圧キャンセ
ル室21で発生する遠心油圧による付勢力の合計よりも
小さい。
【0030】油圧キャンセル室21は、クラッチ連結解
除時に油圧室19で発生する遠心油圧による付勢力の一
部をキャンセルすることで以下の効果をもたらしてい
る。 (1)クラッチ連結解除動作時に、ピストン18のリタ
ーンレスポンスを高める。すなわちピストン18の戻り
動作が素早く行われる。 (2)クラッチ連結解除中にピストン18がクラッチ部
17側に移動するのを防止する。
【0031】リターンスプリング20による効果につい
て説明する。単一部材であるリターンスプリング20
が、ばね機能を有するとともに、油圧キャンセル室の一
部を構成している。したがって、従来の環状プレートを
省略することができる。また、従来とは異なり、複数の
ばね部材を設ける必要がない。また、リターンスプリン
グ20は自由状態で平坦であるため、リターンスプリン
グ20に曲げ加工等を施す必要がなく、リターンスプリ
ング20の製造に係るコストを低減することができる。
しかし、必要な場合は、リターンスプリングを自由状態
でコーン形状となるようにしてもよい。 [他の実施形態]リターンスプリングの両端を支持及び
シールするための構造は前記実施形態に限定されない。
例えば、リターンスプリングの外周側では、ピストン側
を平坦にし、リターンスプリングの外周部に環状突起を
設けても良い。また、リターンスプリングの内周側で
は、ワイヤーリングを省略してリターンスプリングの内
周部に環状突起を設けても良い。
【0032】本発明に係る油圧クラッチは、前記実施形
態の動力伝達装置のみならず、他の構造にも採用可能で
ある。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、単体の部材であるばね
部材が、自ら弾性力をピストンに作用させるとともに、
遠心油圧を発生するための油圧キャンセル室の一部を構
成している。したがって、ピストンを確実に戻すための
構造の部品点数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る油圧クラッチ装置が採用された動
力伝達装置の断面概略図。
【符号の説明】
1 速度切換装置 15 クラッチケース 15b 内周筒状部 15f 筒状部 17 クラッチ部 18 ピストン 18c 環状突起 19 油圧室 20 リターンスプリング 21 油圧キャンセル室 41 開口

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】環状のピストンと、 前記ピストンの内周及び外周をそれぞれ支持するための
    内周筒状部及び外周筒状部を有し、前記ピストンが収容
    されるピストン支持部と、 前記ピストンの第1軸方向側に配置されたクラッチ部
    と、 前記ピストンの第2軸方向側に配置され、前記ピストン
    を前記クラッチ部側に付勢するために油圧が供給される
    油圧室と、 前記ピストンの第1軸方向側に配置され、クラッチ連結
    時に前記ピストンを第2軸方向側に付勢するとともに、
    遠心油圧を発生するための油圧キャンセル室を前記ピス
    トンとの間に形成する環状かつ円板状のばね部材と、を
    備えたクラッチ装置。
  2. 【請求項2】前記油圧キャンセル室は、前記ピストンと
    前記ばね部材と前記内周筒状部とから構成され、 前記内周筒状部には外部油路と連通する開口が形成され
    ている、請求項1に記載のクラッチ装置。
  3. 【請求項3】前記ばね部材は、内周部が前記内周筒状部
    に支持され、外周部が前記ピストンに支持されており、 前記ばね部材と前記ピストンとの当接部分に環状のシー
    ルが形成されている、請求項1に記載のクラッチ装置。
  4. 【請求項4】前記環状のシールは前記ピストン又は前記
    ばね部材と一体に形成された環状突起である、請求項3
    に記載のクラッチ装置。
  5. 【請求項5】前記ばね部材は自由状態で平坦な形状であ
    る、請求項1から4のいずれかに記載のクラッチ装置。
  6. 【請求項6】前記ピストンが最も第2軸方向側に移動し
    た状態において、前記ばね部材は前記ピストンと前記内
    周筒状部との間で軸方向に圧縮されている、請求項3か
    ら5のいずれかに記載のクラッチ装置。
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JP33941699A Pending JP2001153153A (ja) 1999-11-30 1999-11-30 クラッチ装置

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015509174A (ja) * 2012-02-02 2015-03-26 ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフトZf Friedrichshafen Ag クラッチ装置およびシール要素

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