JP2001152040A - 金属キレート色素及び該金属キレート色素を使用する光学記録媒体 - Google Patents

金属キレート色素及び該金属キレート色素を使用する光学記録媒体

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JP2001152040A
JP2001152040A JP33975699A JP33975699A JP2001152040A JP 2001152040 A JP2001152040 A JP 2001152040A JP 33975699 A JP33975699 A JP 33975699A JP 33975699 A JP33975699 A JP 33975699A JP 2001152040 A JP2001152040 A JP 2001152040A
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賢一 佐竹
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裕 黒瀬
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速記録に対応した、高記録感度な光学記録
媒体に使用できる色素を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)または(2)で示され
るアゾ系化合物と金属からなる金属キレート色素。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の構造のアゾ
系化合物と金属との金属キレート色素及び該色素を用い
た光学記録媒体に関するものである。近年、発振波長の
短い半導体レーザーの開発が進められ、従来の780n
m、830nmよりも短波長のレーザー光を用いた高密
度の記録再生可能な光学記録媒体が求められている。従
来提案されている光学記録媒体としては、光磁気記録媒
体、相変化記録媒体、カルコゲン酸化物光記録媒体、有
機色素系光記録媒体、等がある。これらの中で、安価で
プロセス上容易であるという点で、有機色素系光学記録
媒体は有意性を有するものと考えられている。現在、有
機色素系光学記録媒体としては、反射率の高い金属層を
有機色素層の上に積層したタイプのCD−Rが、量産化
され広く知られているが、今後、これよりもさらに短波
長半導体レーザーで記録再生可能な、高密度の有機色素
系光学記録媒体が必要になると考えられる。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】一般に、CD−Rとし
て使用されている媒体は、例えば680nm、650n
m、635nmなどの、本来の記録再生波長(780n
m)より短い波長で使用すると、反射率が低く記録再生
ができないという問題を有している。また、短波長での
記録用として現在提案されている媒体であっても、記録
時の色素分解による記録部の変形が大きい、変調度があ
まり得られない、耐光性や耐久性が不十分である、等の
問題を有している。本発明者らは先に特開平3−268
994号公報において、耐光性と耐久性に優れた新規な
アゾ系金属キレート色素を使用した光学記録媒体を提案
したが、短波長半導体レーザーによる記録再生特性の更
なる向上を求めて改良を行った。
【0003】
【課題を解決するための手段】また、先に本出願人は、
アゾ系金属キレート色素を形成するアゾ系化合物の、カ
ップリング成分のベンゼン環に結合しているアルキルス
ルホニルアミノ基がフッ素で置換されており、しかもカ
ップリング成分のベンゼン環が特定のアミノ基を有して
いるアゾ金属キレート色素を使用することにより、耐光
性と耐久性に優れ、記録、再生特性が著しく改良された
光学記録媒体を提供できる色素を見出し、出願を行った
(特開平11−166125号公報)。今般本発明者ら
は、更にカップリング成分のベンゼン環上のアミノ基が
ヘテロ原子を介してベンゼン環に結合し、該ベンゼン環
に縮合する環を形成することにより、光学記録媒体の記
録特性がより向上する傾向が有ることを見出し、本発明
に到達した。
【0004】すなわち、下記一般式(1)または(2)
で示されるアゾ系化合物と金属からなる金属キレート色
素、およびこれを使用する光学記録媒体に存する。
【0005】
【化3】
【0006】(式中、環Eはそれぞれ結合している炭素
原子及び窒素原子と一緒になって形成する複素環を表
し、環AはR1 と結合する窒素原子以外に少なくとも1
個のヘテロ原子を含む、置換されてもよい5〜8員環を
表す。環Bは少なくともX1 及び/又はX2 で置換され
たベンゼン環を表すが、X1 かX2 の少なくともいずれ
か一方が−NHSO2 Y基を表し、Yは少なくとも2つ
はフッ素原子で置換されている直鎖または分岐のアルキ
ル基を表す。R1 は水素原子、置換されてもよい直鎖ま
たは分岐のアルキル基を表す。)
【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明につき詳細に説明す
る。本発明におけるアゾ系化合物としては、前記一般式
(1)および(2)において、環Eはそれぞれ結合して
いる炭素原子及び窒素原子と一緒になって形成する複素
環であればよく、それらの群であれば特に制限されない
が、好ましくは下記のものが挙げられる。
【0008】
【化4】
【0009】(式中、D1 〜D42は水素原子、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n
−ペンチル基、n−ヘキシル基などの炭素数1から6の
直鎖または分岐のアルキル基;シクロプロピル基、シク
ロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の
炭素数3から6の環状アルキル基;メトキシ基、エトキ
シ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブト
キシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、
n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等の炭素
数1から6のアルコキシ基;アセチル基、プロピオル
基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバ
レリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイ
ル基等の炭素数1〜6のアルキルカルボニル基;ビニル
基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセ
ニル基等の炭素数2〜6の直鎖または分岐のアルケニル
基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素
数3〜6の環状アルケニル基;フッ素原子、塩素原子、
臭素原子等のハロゲン原子;ホルミル基;ヒドロキシル
基;カルボキシル基;ヒドロキシメチル基、ヒドロキシ
エチル基等の炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基;メ
トキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロ
ポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n
−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニ
ル基、sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオ
キシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等
の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;ニトロ基;
シアノ基;アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ
基、n−プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジメ
チルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルア
ミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基等の炭素数1〜10の
アルキルアミノ基;メトキシカルボニルメチル基、エト
キシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメ
チル基、イソプロポキシカルボニルエチル基等の炭素数
3〜7のアルコキシカルボニルアルキル基;メチルチオ
基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、tert−ブ
チルチオ基、sec−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ
基、n−ヘキシルチオ基等の炭素数1〜6のアルキルチ
オ基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−
プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n
−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル
基、sec−ブチルスルホニル基、n−ペンチルスルホ
ニル基、n−ヘキシルスルホニル基等の炭素数1〜6の
アルキルスルホニル基;置換基を有していてもよい炭素
数6〜16のアリール基;置換基を有していてもよい炭
素数7〜17のアリールカルボニル基;−CD43=C
(CN)D44(D43は水素原子またはメチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル
基、n−ヘキシル基などの炭素数1から6のアルキル基
を表わし、D44はシアノ基またはメトキシカルボニル
基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル
基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボ
ニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブ
トキシカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、n−
ヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7のアルコ
キシ基を表わす。);
【0010】
【化5】
【0011】D45〜D47はそれぞれ独立して水素原子、
ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲ
ン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプ
ロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert
−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などの炭
素数1から6の直鎖または分岐のアルキル基;シクロプ
ロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロ
ヘキシル基等の炭素数3から6の環状のアルキル基、メ
トキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポ
キシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、se
c−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシル
オキシ基等の炭素数1から6のアルコキシ基を表わ
す。);
【0012】
【化6】
【0013】D48〜D50はそれぞれ独立して水素原子、
ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲ
ン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプ
ロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert
−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などの炭
素数1から6の直鎖または分岐のアルキル基;シクロプ
ロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロ
ヘキシル基等の炭素数3から6の環状のアルキル基、メ
トキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポ
キシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、se
c−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシル
オキシ基等の炭素数1から6のアルコキシ基を表わし、
Lは−SCH2 −、−SO2 −を表わす。);トリフル
オロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオ
ロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、
パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−sec−
ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオ
ロ−n−ヘキシル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アル
キル基;トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエト
キシ基、トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエト
キシ基、パーフルオロ−n−ブトキシ基、パーフルオロ
−tert−ブトキシ基、パーフルオロ−sec−ブト
キシ基、パーフルオロ−n−ペンチルオキシ基、パーフ
ルオロ−n−ヘキシルオキシ基等炭素数1から6のハロ
ゲン化アルコキシ基;トリフルオロメチルチオ基、トリ
フルオロエチルチオ基、ペンタフルオロエチルチオ基、
ヘプタフルオロ−n−プロピルチオ基、ヘプタフルオロ
イソプロピルチオ基、パーフルオロ−n−ブチルチオ
基、パーフルオロ−t−ブチルチオ基、パーフルオロ−
sec−ブチルチオ基、パーフルオロ−n−ペンチルチ
オ基、パーフルオロ−n−ヘキシルチオ基等炭素数1か
ら6のハロゲン化アルキルチオ基等を表わす。)
【0014】環Eに対する置換基D1 〜D42として挙げ
たもののうち好ましい基は、環Eの構造によって多少異
なるが、水素、無置換のアルキル基、ハロゲン化アルキ
ル基、アルキルチオ基、無置換のアルコキシ基、ハロゲ
ン化アルコキシ基、アルケニル基、アルデヒド基、カル
ボキシル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボ
ニル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子であ
る。
【0015】また、前記一般式(1)および(2)にお
ける環Aは、R1 と結合する窒素原子以外に少なくとも
1個のヘテロ原子を含む、置換されてもよい5〜8員環
を表し、それらの群であれば特に制限されない。ヘテロ
原子としては通常、酸素原子、硫黄原子、窒素原子であ
る。
【0016】
【化7】
【0017】構造としては下記のものが挙げられる。
【0018】
【化8】
【0019】
【化9】
【0020】
【化10】
【0021】
【化11】
【0022】環Aにおける、R1 に結合する窒素原子以
外のヘテロ原子の位置に特に制限はないが、好ましくは
環Bに直接結合する位置にあるもの、すなわち下記部分
構造式(3)
【0023】
【化12】
【0024】(式中、Zはヘテロ原子を表し、環Aおよ
びR1 は一般式(1)におけると同義)で表されるもの
が好ましい。またヘテロ原子の種類は、酸素原子または
−NR 2 −(但しR2 は水素原子、または置換されてい
てもよい直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す)が特に
好ましい。環Aは5〜8員環であるが、より好ましくは
5員環または6員環を表し、さらに好ましくは環を構成
する原子として合計2個のヘテロ原子を含む5員環また
は6員環を表す。
【0025】R1 、R2 、R2 ′は各々独立に、水素原
子または置換されてもよい直鎖もしくは分岐のアルキル
基を表す。直鎖または分岐のアルキル基として、具体的
には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロ
ピル基。n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−
ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプ
チル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル
基、n−オクタデシル基等の炭素数1〜20の直鎖また
は分岐のアルキル基、好ましくは炭素数1〜10の直鎖
または分岐のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6
の直鎖または分岐のアルキル基を表わす。
【0026】かかる炭素数1〜20の直鎖または分岐の
アルキル基はメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ
基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブ
トキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ
基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n
−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基等の炭素数1
〜10のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシ
メトキシ基、プロポキシメトキシ基、メトキシエトキシ
基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、メト
キシプロポキシ基、エトキシプロポキシ基、メトキシブ
トキシ基、エトキシブトキシ基等の炭素数2〜12のア
ルコキシアルコキシ基;メトキシメトキシメトキシ基、
メトキシメトキシエトキシ基、メトエキシエトキシメト
キシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシメトキ
シメトキシ基、エトキシメトキシエトキシ基、エトキシ
エトキシメトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基等の
炭素数3〜15のアルコキシアルコキシアルコキシ基;
アリルオキシ基;フェニル基、トリル基、キシリル基、
ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基;フェノキ
シ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオ
キシ基等の炭素数6〜12のアリールオキシ基;シアノ
基;ニトロ基;ヒドロキシ基;テトラヒドロフリル基;
テトラヒドロフリル基;メチルスルホニルアミノ基、エ
チルスルホニルアミノ基、n−プロピルスルホニルアミ
ノ基、イソプロピルスルホニルアミノ基、n−ブチルス
ルホニルアミノ基、tert−ブチルスルホニルアミノ
基、sec−ブチルスルホニルアミノ基、n−ペンチル
スルホニル基アミノ、n−ヘキシルスルホニルアミノ基
等の炭素数1〜6のアルキルスルホニルアミノ基;フッ
素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン基;メトキシ
カルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシ
カルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブト
キシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、
sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカ
ルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等の炭素
数2〜7のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニル
オキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカ
ルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、
n−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカル
ボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、
n−ペンチルカルボニルオキシ基;n−ヘキシルカルボ
ニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルキルカルボニルオ
キシ基;メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボ
ニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、イ
ソプロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボ
ニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ
基、sec−ブトキシカルボニルオキシ基、n−ペンチ
ルオキシカルボニルオキシ基、n−ヘキシルオキシカル
ボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニ
ルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0027】これらの中で、R1 、R2 およびR2 ′と
して特に好ましいのは、いずれも、無置換のアルキル
基、ハロゲン原子またはアルケニル基で置換されたアル
キル基である。環Aは置換されてもよい環、つまり
1 、R2 およびR2 ′以外にも置換基を有していても
よい環を表す。その置換基として、特に制限はないが、
好ましくは、R1 として挙げたものがいずれも使用で
き、中でも無置換のアルキル基がより好ましい。環Bは
少なくともX1 及び/又はX2 で置換されたベンゼン環
を表わすが、X 1 かX2 のいずれか1つは−NHSO2
Yを表し、Yは少なくとも2つのフッ素原子で置換され
ている直鎖または分岐のアルキル基である。Yは具体的
にはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、
ペンタフルオロプロピル基、2,2,2−トリフルオロ
エチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2,
2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、等が挙げ
られ、合計の炭素数が1〜6のアルキル基がより好まし
く、吸収スペクトル形状及び耐光性、耐久性の点から−
CH2 CF3 、−CF3 が特に好ましい。
【0028】環BはX1 およびX2 以外にも置換基を有
していてもよく、その置換基として、特に制限はない
が、ハロゲン原子、置換されてもよい直鎖または分岐の
アルキル基、置換されてもよい直鎖または分岐のアルコ
キシ基等が挙げられる。置換されてもよい直鎖または分
岐アルキル基としては、R1 として挙げたものがいずれ
も使用できるが、中でも無置換のアルキル基またはハロ
ゲン化アルキル基が好ましい。また置換されていてもよ
い直鎖または分岐のアルコキシ基としても、そのアルキ
ル鎖部分がR1 の「置換されてもよい直鎖または分岐の
アルキル基」として挙げたものいずれかであるアルコキ
シ基が使用できるが、中でも好ましいのは、無置換のア
ルコキシ基及びハロゲン化アルコキシ基である。これら
は環Bにおいて、X1 またはX2 のいずれか一方のみが
−NHSO2 Y基であった場合の他方に相当しても、あ
るいはX1 およびX2 以外に環Bが有する置換基であっ
ても、どちらでもよい。
【0029】一般式(1)または(2)で表されるアゾ
系化合物において、特に好ましい例としては下記のもの
が挙げられる。
【0030】
【化13】
【0031】
【化14】
【0032】
【化15】
【0033】
【化16】
【0034】
【化17】
【0035】
【化18】
【0036】
【化19】
【0037】
【化20】
【0038】
【化21】
【0039】
【化22】
【0040】
【化23】
【0041】
【化24】
【0042】
【化25】
【0043】
【化26】
【0044】
【化27】
【0045】
【化28】
【0046】
【化29】
【0047】
【化30】
【0048】
【化31】
【0049】
【化32】
【0050】
【化33】
【0051】また、前記環Eの具体例の中でも、より好
ましいものは、
【0052】
【化34】
【0053】(式中、D1 〜D33は前出と同様)であ
る。一般式(1)または(2)で表される色素に対して
は、構造以外の制限は特にないが、今後ますます必要と
される、短波長のレーザー光による記録再生可能な光学
記録媒体への利用の点からは、色素単層膜について測定
した時に波長650nm以下に吸収極大を有する色素が
より好ましく、波長650〜500nmに吸収極大をも
つものであれば更に好ましい。
【0054】本発明において、アゾ系化合物とキレート
を形成する金属としては、錯体形成可能な各種の金属ま
たは金属イオンを用いることができるが、吸収スペクト
ルの形状が良好であるという点から遷移金属、中でもN
i、Co、またはCuが好ましく、また各種溶媒への溶
解度や耐光性、耐久性の点から特にNiが好ましい。本
発明の金属キレート色素は、例えば一般式(1)で表さ
れるアゾ系化合物を、一般式(4)
【0055】
【化35】
【0056】で示されるアミノ化合物を公知の方法によ
りジアゾ化し、一般式(5)
【0057】
【化36】
【0058】で示されるカップリング成分と反応させる
ことにより合成し、メタノール、テトラヒドロフラン、
アセトンなどの有機溶媒中で金属化合物のメタノール溶
液や水溶液を加えることにより得られる。一般式(2)
で表されるアゾ系化合物の金属キレート色素の場合も同
様である。本発明の光学記録媒体は、少なくとも基板と
前記アゾ系化合物の金属キレート色素を含む記録層を有
するが、必要に応じて基板上に下引き層、金属反射層、
保護層等を設けても良い。好ましい層構成の一例として
は、基板上に記録層、金属反射層および保護層を設けた
高反射率の媒体が挙げられる。
【0059】以下、この構造の媒体を例に、本発明の光
学記録媒体について説明する。本発明の光学記録媒体に
おける基板の材質としては、基本的には記録光及び再生
光の波長で透明であればよい。例えば、ポリカーボネー
ト樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリメタクリル産メチル等
のアクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹
脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレ
ン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリイミド系樹脂等
の高分子材料やガラス等の無機材料が利用されるが、高
生産性、コスト、耐吸湿性、などの点からポリカーボネ
ート樹脂が好ましい。
【0060】これらの基板材料は射出成形法等により円
盤状に基板に成形される。必要に応じて、基板表面に案
内溝やピットを形成することもある。このような案内溝
やピットは、基板の成形時に付与することが好ましい
が、基板の上に紫外線硬化樹脂層を用いて付与すること
もできる。案内溝がスパイラル状の場合、この溝ピッチ
が0.5〜1.2μm程度であることが好ましい。
【0061】基板上、または必要に応じ下引き層等を設
けた上に、本発明の金属キレート色素を含む記録層を形
成する。記録層の成膜方法としては、真空蒸着法、スパ
ッタリング法、ドクターブレード法、キャスト法、スピ
ンコート法、浸漬法等一般に行われている薄膜形成法が
挙げられるが、量産性、コスト面からスピンコート法が
特に好ましい。スピンコート法による成膜の場合、回転
数は500〜5000rpmが好ましく、スピンコート
の後、場合によっては、加熱あるいは溶媒蒸気にあてる
等の処理を行っても良い。
【0062】ドクターブレード法、キャスト法、スピン
コート法、浸漬法等の塗布方法により記録層を形成する
場合の塗布溶媒としては、基板を侵さない溶媒であれば
よく、特に限定されない。例えば、ジアセトンアルコー
ル、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケ
トンアルコール系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロ
ソルブ等のセロソルブ系溶媒、n−ヘキサン、n−オク
タン等の鎖状炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチル
シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシク
ロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、t−ブチルシ
クロヘキサン、シクロオクタン等の環状炭化水素系溶
媒、テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペン
タノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロ
アルキルアルコール系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチル、
イソ酪酸メチル等のヒドロキシカルボン酸エステル系溶
媒等が挙げられる。
【0063】記録層を成膜する際に、必要に応じて、前
記の色素に、クエンチャー、紫外線吸収剤、接着剤等の
添加剤を混合か、あるいは、そのような効果を有する置
換基として導入することも可能である。記録層の耐光性
や耐久性向上のために加える一重項酸素クエンチャーと
しては、アセチルアセトナート系、ビスジチオ−α−ジ
ケトン系やビスフェニルジチオール系などのビスジチオ
ール系、チオカテコール系、サリチルアルデヒドオキシ
ム系、チオビスフェノレート系等の金属錯体が好まし
い。またアミン系化合物も好適である。
【0064】また、記録特性などの改善のために、他の
色素を併用してもよい。併用可能な色素としては、本発
明の色素と同系統の、アゾ系色素またはアゾ系金属キレ
ート色素であっても、シアニン系色素、スクアリリウム
系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、
ポルフィリン系色素、テトラピラポルフィラジン系色
素、インドフェノール系色素、ピリリウム系色素、チオ
ピリリウム系色素、アズレニウム系色素、トリフェニル
メタン系色素、キサンテン系色素、インダンスレン系色
素、インジゴ系色素、チオインジゴ系色素、メロシアニ
ン系色素、ビスピロメテン系色素、チアジン系色素、ア
クリジン系色素、オキサジン系色素、インドアニリン系
色素など、他系統の色素でもよい。
【0065】色素の熱分解促進剤としては、例えば、金
属系アンチノッキング剤、メタロセン化合物、アセチル
アセトナト系金属錯体等の金属化合物が挙げられる。さ
らに、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡
剤等を併用することもできる。好ましいバインダーとし
ては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、
ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン系樹脂、ア
クリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、
ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフ
ィン等が挙げられる。色素層の膜厚は、特に限定するも
のではないが、好ましくは50〜300nmである。色
素層の膜厚を50nmよりあまり薄くすると、熱拡散が
大きいため記録出来ないか、記録信号に歪みが発生する
上、信号振幅が小さくなる傾向がある。また、膜厚が3
00nmよりあまり厚い場合は反射率が低下し、再生信
号特性が悪化するおそれがある。
【0066】次に記録層の上に、好ましくは、厚さ50
〜300nmの反射層を形成する。反射層の材料として
は、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、A
u、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、T
a、Cr及びPdの金属を単独あるいは合金にして用い
ることが可能である。この中でもAu、Al、Agは反
射率が高く反射層の材料として適している。これ以外で
も下記のものを含んでいてもよい。例えば、Mg、S
e、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、C
o、Rh、Ir、Cu、Zn、Cd、Ga、In、S
i、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属及
び半金属を挙げることができる。中でもAgを主成分と
しているものはコストが安い点、アゾ金属キレート系色
素と組み合わせた時に反射率が向上する傾向がある点、
更に後に述べる印刷受容層を設ける場合には地色が白く
美しいものが得られる点、等から、特に好ましい。ここ
で主成分とは含有率が50%以上のものをいう。金属以
外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重
ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能で
ある。
【0067】反射層を形成する方法としては、例えば、
スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真
空蒸着法等が挙げられる。また、基板の上や反射層の下
に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のた
めに公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設け
ることもできる。反射層の上に形成する保護層の材料と
しては、反射層を外力から保護するものであれば特に限
定しない。有機物質としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性
樹脂、電子線硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等を挙げるこ
とができる。また、無機物質としては、SiO2 、Si
4 、MgF2 、SnO2 等が挙げられる。熱可塑性樹
脂、熱硬化性樹脂などは適当な溶剤に溶解して塗布液を
塗布し、乾燥することによって形成することができる。
UV硬化性樹脂は、そのままもしくは適当な溶剤に溶解
して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、UV光
を照射して硬化させることによって形成することができ
る。UV硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリ
レート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレ
ートなどのアクリレート系樹脂を用いることができる。
これらの材料は単独であるいは混合して用いてもよい
し、1層だけでなく多層膜にして用いてもよい。
【0068】保護層の形成の方法としては、記録層と同
様にスピンコート法やキャスト法などの塗布法やスパッ
タ法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、この中でも
スピンコート法が好ましい。保護層の膜厚は、一般には
0.1〜100μmの範囲であるが、本発明において
は、3〜30μmであり、好ましくは5〜20μmがよ
り好ましい。また、反射層面に基板を貼り合わせる、あ
るいは反射層面相互を内側とし対向させ光記録媒体2枚
を貼り合わせる等の手段を用いてもよい。基板鏡面側
に、表面保護やゴミ等の付着防止のために紫外線硬化樹
脂、無機系薄膜等を成膜してもよい。反射層上に受けた
保護層の上、又は反射層面に貼りあわせた基板の上等に
更に印刷受容層を形成することもできる。
【0069】上記のようにして得られた光学記録媒体へ
の記録は、基板の両面または片面に設けた記録層にレー
ザー光をあてることにより行う。レーザー光の照射され
た部分には、レーザー光エネルギーの吸収による分解、
発熱、溶融等の記録層の熱的変形が起こる。記録された
情報の再生は、レーザー光により熱的変形が起きている
部分と起きてない部分の反射率の差を読みとることによ
り行う。本発明の光記録媒体は、記録・再生に使用する
波長のレーザー光に対して、基板側から測定した反射率
が20%以上であることが好ましい。
【0070】記録・再生に使用するレーザーに特に限定
はないが、例えば、可視領域の広範囲で波長選択のでき
る色素レーザーや、波長633nmのヘリウムネオンレ
ーザー、最近開発されている波長680、650、63
5nm付近の高出力半導体レーザー、波長532nmの
高調波変換YAGレーザーなどが挙げられるが、軽量
性、取り扱いの容易さ、コンパクト性、コスト等の点で
は半導体レーザーが好適である。本発明では、これらか
ら選択される一波長または複数波長において高密度記録
及び再生が可能となる。
【0071】
【実施例】以下実施例によりこの発明を具体的に説明す
るが、かかる実施例はその要旨を超えない限り、本発明
を限定するものではない。尚、ε(分子吸光係数)は、
金属一原子に対して二原子のアゾ系化合物が配位したも
のとして算出した。 実施例1 (a)製造例
【0072】
【化37】
【0073】窒素気流化で、上記構造式(a) で示される
2-ヒドロキシアセトアニリド25.5g(湿結晶、0.15mol
相当)をTHF200ml 、トルエン250ml に溶解し、テト
ラブチルアンモニウムブロミド4.5g、1,2-ジブチルエタ
ン113g、水酸化ナトリウム24g を加えた。混合物を24〜
25℃で12時間攪拌後、反応混合物を水1l中に注いだ。こ
の混合物をトルエンで抽出、水洗した後、無水硫酸ナト
リウムで乾燥し、トルエンを留去して下記構造式(b) で
示される茶色オイル17.7g を得た。
【0074】
【化38】
【0075】水酸化ナトリウム60gをメタノール200 m
lと水70mlの混合溶液に加え溶解した。次に上記構造
式(b) で示される化合物30gのメタノール50ml溶液を
加え、45℃で3 時間攪拌反応させた。反応終了後、反応
液にトルエン250 mlと水1lを加え抽出し、得たトル
エン層を水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
次に、無水硫酸ナトリウムをろ去し、ろ液を濃縮して下
記構造式(c) で示される濃茶色オイル17.3g を得た。
【0076】
【化39】
【0077】上記構造式(c) で示される化合物8.0 gを
N−メチル−2−ピロリドンに溶解し、ヨウ化イソプロ
ピル15.24 gと炭酸カリウム 8.2 gを加えた。混合物
を攪拌下加温し、80〜90℃で1時間反応させた。反応終
了後、反応液にトルエン100mlと水300 mlを加え抽
出、水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮して
下記構造式(d) で示される濃茶色オイルを9.5g得た。
【0078】
【化40】
【0079】上記構造式(d) で示される化合物10.0gを
濃硫酸100 gに溶解し冷却した。この混合液に60%硝酸
6.5 gと濃硫酸25gの混合液を10℃以下で加え、15分間
攪拌した。次に反応液を氷水240 gに加え、15℃以下で
50%水酸化ナトリウム163.3gを滴下、晶析させた。晶
析した結晶をろ別し、結晶を水で良く洗浄した後、乾燥
して下記構造式(e) で示される橙色結晶10.8gを得た。
【0080】
【化41】
【0081】鉄粉24.5g をDMF−水(2:1)150ml
に懸濁させ、攪拌しながら85〜90℃に加熱し, そこに35
%塩酸4.0 g、DMF−水(2:1)75mlを混合させた
溶液を滴下した。続いて上記化合物(e) で示される化合
物10.8g のDMF 溶液60mlを内温80〜95℃に保ちながら約
15分間で滴下した。滴下後、反応混合物を80〜95℃で20
分間攪拌し、その後放冷しながら炭酸水素ナトリウム4.
9gを添加して10分攪拌後、ろ過して鉄粉を除去し、その
ろ液を氷水400ml に注入しトルエン抽出した。無水硫酸
ナトリウムで乾燥後、トルエンを留去し下記構造式(f)
で示される褐色液体9.6gを得た。
【0082】
【化42】
【0083】窒素気流下で上記化合物(f)9.6g のトルエ
ン溶液を攪拌しながら5 ℃以下保ち、トリフルオロメタ
ンスルホン酸無水物18.6g を滴下した。滴下後10〜15℃
で30分攪拌した後、一晩放置後、デカンテーションでト
ルエンを除き、残った固体に水100ml を加え、酢酸エチ
ル100ml で抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、酢
酸エチルを留去して下記構造式(g) で示される濃褐色液
体8.8gを得た。
【0084】
【化43】
【0085】下記構造式(h) で示される2-アミノ-4,5-
ジシアノイミダゾール3.42g
【0086】
【化44】
【0087】を水100ml に懸濁し-5〜10℃で35%塩酸を
滴下した。続いて-5〜5 ℃で亜硝酸ナトリウム1.95g の
水6.6gの溶液を滴下しジアゾ化した。前記構造式(g) で
示される化合物10.0g 、尿素1.02g 、酢酸ナトリウム1
0.2gをメタノール90mlに溶解させた溶液に、ジアゾ液を
-5〜5 ℃で滴下し、3 時間攪拌後、一晩放置した。析出
した結晶をろ別し、乾燥して下記構造式(i) で示される
赤褐色結晶11.0g を得た。
【0088】
【化45】
【0089】上記構造式(i) で示されるアゾ化合物11.0
gをメタノール220ml に溶解し、炭酸カリウム3.9gを加
え、攪拌しながら40〜50℃に加温した。40〜50℃でジメ
チル硫酸3.55g を滴下し、2時間攪拌後、放冷晶析させ
た。析出した結晶をろ別し、メタノールで洗浄し、乾燥
して下記構造式(j) で示される赤色結晶7.9gを得た。
【0090】
【化46】
【0091】上記構造式(j) で示されるアゾ化合物7.9g
をTHF240mlに溶解し、室温で酢酸ニッケル四水和物
2.4gのメタノール50ml溶液を加えた後、室温で3 時間攪
拌し、水240ml を加えた。析出した結晶をろ別し、これ
を水で洗浄、乾燥してニッケルキレート色素4.2gを得
た。この化合物のλmax (クロロホルム中)は597nm
(ε=10.5×104 )であった。
【0092】(b) 記録媒体例 前記のようにして得られたニッケルキレート色素をオク
タフルオロペンタノールに溶解し、1.1wt %にした。こ
れを50℃以下で30分間超音波分散した後、0.2μmのフ
ィルターでろ過し、その液を回転数800rpmで0.6mm 厚の
ポリカーボネート基板にスピンコートした。尚、この基
板の溝幅は0.32μm であり、(トラックピッチ0.8 μm
)溝深さは140nm である。次にこの塗布膜を80℃のオ
ーブンで乾燥した後、塗布膜の上にスパッタリング法に
より膜厚100nm のAg膜を成膜し、反射層を形成した。さ
らにこの反射層の上に紫外線硬化樹脂を3 μmスピンコ
ートし、これに紫外線を照射して硬化させて保護層を形
成し、記録媒体とした。さらに保護層上にホットメルト
接着剤をつけ、まったく同様にして得られた記録媒体同
士を接着し、光ディスクとした。ニッケルキレート色素
の塗布膜(記録層)のλmax は613.5nm であった。記録
層の膜厚はランドと溝部平均で60nmであった。
【0093】(c) 光記録法 657nm の半導体レーザー評価機(パルステック社製DD
U−1000、NA=0.65) で、線速3.5m/s、再生パワ
ー0.7mW で、最短マーク長0.40μm の8 /16変調信号を
入力して(3Ttop パルス幅=1.5 T;ここでTは基準
クロック周波数で本例では38.2ns. )記録したところ、
記録パワー8.0mW 、Itop反射率(上記評価機での偏光ビ
ームスプリッターを通した、8/16変調記録部トップ
(14T)の反射率)45%、変調度68%の良好な記録特
性が得られた。 実施例2 (a) 製造例
【0094】
【化47】
【0095】上記構造式(k) で示される3-アミノ-5- メ
チル-1,2- イソオキサゾール1.0gを酢酸10mL、プロピオ
ン酸5ml に溶解し、0 〜5 ℃で硫酸1ml を添加し、0 〜
5 ℃で43%ニトロシル硫酸3.55g を加えジアゾ化した。
上記構造式(g) で示される化合物4.0g、尿素0.4g、酢酸
ナトリウム4.0gをメタノール100ml に溶解させた溶液
に、ジアゾ液を-5〜5 ℃で滴下し、3 時間攪拌後、一晩
放置した。析出した結晶をろ別し、乾燥して下記構造式
(l) で示される赤褐色結晶2.23g を得た。
【0096】
【化48】
【0097】上記構造式(l) で示されるアゾ化合物2.1g
をメタノール20mlに溶解し、室温で酢酸ニッケル四水和
物0.72g のメタノール15ml溶液を加えた後、室温で3 時
間攪拌し、水20mlを加えた。析出した結晶をろ別し、こ
れを水とメタノールで洗浄、乾燥してニッケルキレート
色素2.0gを得た。この色素のλmax (クロロホルム中)
は568nm (ε=5.7 ×104 )であった。
【0098】(b) 記録媒体例 前記のようにして得られたニッケルキレート色素を用い
て実施例1と同様の方法で光ディスクを作成した。塗布
膜のλmax は586nm であった。記録層の平均膜厚は約80
nmであった。
【0099】(c) 光記録法 実施例1と同様の方法で記録したところ、記録パワー11
mW、Itop反射率51%、変調度68%の良好な記録特性が得
られた。
【0100】
【発明の効果】本発明の金属キレート色素を使用するこ
とにより、比較的短波長での記録に対して感度がよいた
め高速記録に適し、かつ耐光性に優れた光学記録媒体を
提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒瀬 裕 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 鈴木 夕起 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 Fターム(参考) 2H111 EA03 EA12 EA22 EA25 EA33 EA39 EA43 FA01 FB42 5D029 JA04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)または(2)で示され
    るアゾ系化合物と金属からなる金属キレート色素。 【化1】 (式中、環Eはそれぞれ結合している炭素原子及び窒素
    原子と一緒になって形成する複素環を表し、環AはR1
    と結合する窒素原子以外に少なくとも1個のヘテロ原子
    を含む、置換されてもよい5〜8員環を表す。環Bは少
    なくともX1 及び/又はX2 で置換されたベンゼン環を
    表すが、X1 かX2 の少なくともいずれか一方が−NH
    SO2 Y基を表し、Yは少なくとも2つはフッ素原子で
    置換されている直鎖または分岐のアルキル基を表す。R
    1 は水素原子、置換されてもよい直鎖または分岐のアル
    キル基を表す。)
  2. 【請求項2】 環Aが下記構造式(3)で表される請求
    項1の金属キレート色素。 【化2】 (式中、環AおよびR1 は一般式(1)および(2)に
    おけると同義であり、Zはヘテロ原子を表す。)
  3. 【請求項3】 ヘテロ原子が酸素原子、またはNR
    2 (但しR2 は、水素原子または置換されていてもよい
    直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。)である、請求
    項1又は2に記載の金属キレート色素。
  4. 【請求項4】 透明基板上に、光ビームによる情報の書
    き込み及び/または読みとりが可能な記録層が設けられ
    た光学記録媒体において、記録層に請求項1ないし3の
    いずれか1項に記載の金属キレート色素を含有すること
    を特徴とする光学記録媒体。
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