JP2001151930A - 難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物の処理方法 - Google Patents
難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物の処理方法Info
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Abstract
理、再利用のために、難燃剤と熱可塑性樹脂とを効率よ
く分離するために処理方法を提供する。 【解決手段】 難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を
溶剤と接触させ、難燃剤の少なくとも一部を溶剤に溶解
あるいは分散させる。また、その難燃剤が溶解あるいは
分散した溶液を分離する。さらには、難燃剤が分離され
た熱可塑性樹脂組成物を乾燥する。
Description
ンピュータなどのモニターの筐体に用いられている、難
燃剤を含む熱可塑性樹脂組成物から、難燃剤と熱可塑性
樹脂とを分離するための処理方法に関するものである。
ーやビデオなどの筐体として、スチレン樹脂やABS
(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、耐
衝撃性を向上させたハイインパクトポリスチレン樹脂
(ポリブタジエンとポリスチレンのブレンドなど)など
の熱可塑性樹脂が一般的に用いられている。しかし、熱
可塑性樹脂は、単体では燃焼性が高いという課題があ
る。従って火災時の延焼防止の観点から、難燃剤や難燃
助剤などの難燃性付与剤を樹脂に配合して難燃化した樹
脂組成物が広く使用されている。ハロゲン化難燃剤は各
種プラスチック樹脂に対して高い難燃効果を有してお
り、また価格も安いことから、世界的なレベルで使用さ
れている。
に臭素系難燃剤は、スチレン系樹脂を代表とする芳香族
系樹脂に対して難燃効果に優れており、これまで家電製
品の各種筐体や部品材料に多量に使用されてきた。この
ためこれら家電製品の廃棄と共に臭素系難燃剤を含む樹
脂組成物が大量に廃棄されることになる。
却や埋め立てが中心であり、一部が加熱溶融などで再利
用されているに過ぎない。しかしながら、難燃性を含有
する樹脂組成物はその付与された高度の難燃性のために
焼却が困難であり、処理が困難になってきている。
ゲン化有機物の環境への有害性が指摘され、ハロゲン化
有機物の使用は規制されつつある。現在、各使用メーカ
ーはハロゲン系難燃剤から、リン系化合物などのハロゲ
ン化有機物を含まない難燃剤への転換を検討している
が、リン系化合物はハロゲン化有機物と比較して、難燃
性の付与程度が弱く、ハロゲン化有機物からの転換は、
なかなか進まない現状にある。
が求められており、特にプラスチック材料の再利用は全
地球規模の問題となっている。そのため樹脂廃棄物の処
理、再利用方法の確立が重要な課題となっている。特に
難燃剤を含んだ樹脂組成物の処理、再利用に関してはほ
とんど取り組みがなされておらず、大きな問題となって
いた。
れたものであって、難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成
物において、難燃剤と熱可塑性樹脂とを効率よく分離す
るための処理方法を提供することを目的とする。
に対し鋭意研究を重ねた結果、難燃剤を含有する熱可塑
性樹脂組成物を溶剤と接触させることにより、難燃剤成
分のみを積極的に溶解あるいは分散させることで難燃剤
を樹脂組成物から分離する方法を見いだし本発明を完成
するに至った。
剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を溶剤と接触させ、難
燃剤の少なくとも一部を該溶剤に溶解あるいは分散させ
る溶解・分散工程を有することを特徴とする難燃剤を含
有する熱可塑性樹脂組成物の処理方法である。
剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を溶剤と接触させ、難
燃剤の少なくとも一部を該溶剤に溶解あるいは分散させ
る溶解・分散工程と、その難燃剤が溶解あるいは分散し
た溶液を分離する分離工程とを備えることを特徴とする
難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物の処理方法であ
る。
剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を溶剤と接触させ、難
燃剤の少なくとも一部を該溶剤に溶解あるいは分散させ
る溶解・分散工程と、その難燃剤が溶解あるいは分散し
た溶液を分離する分離工程と、難燃剤が分離された熱可
塑性樹脂組成物を乾燥する乾燥工程を備えることを特徴
とする難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物の処理方法
である。
難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物と溶剤を接触させ
るとき、少なくとも所定時間、溶剤の温度を熱可塑性樹
脂組成物の加熱変形温度以上に保持することを特徴とす
る第一〜第三のいずれかの本発明の難燃剤を含有する熱
可塑性樹脂組成物の処理方法である。
難燃剤が臭素系難燃剤であることを特徴とする第一〜第
四のいずれかの本発明の難燃剤を含有する熱可塑性樹脂
組成物の処理方法である。
熱可塑性樹脂が、スチレン系ポリマーであることを特徴
とする第一〜第五のいずれかの本発明の難燃剤を含有す
る熱可塑性樹脂組成物の処理方法である。
溶剤が(化1)で示されることを特徴とする第一〜第六
のいずれかの本発明の難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組
成物の処理方法である。
塑性樹脂組成物を溶剤と接触させ、難燃剤の少なくとも
一部を溶解あるいは分散させ、最終的に難燃剤と熱可塑
性樹脂とを分離する方法に関するものである。
熱可塑性樹脂と難燃性を付与させるための難燃剤を少な
くとも含み、それ以外に樹脂組成物の用いられる用途に
合わせて、難燃助剤、安定剤、着色剤、流動改質剤、離
型剤などの添加剤を含むものであり、樹脂と各種添加剤
を混合して形成された樹脂組成物を示す。
キサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、テトラ
ブロモジフェニルオキサイドなどのフェニルオキサイド
系難燃剤や、テトラブロモビスフェノールA(TBA)
をはじめとするビスフェノールA型の難燃剤、ヘキサブ
ロモシクロドデカン、ビストリブロモフェノキシエタ
ン、トリブロモフェノール、エチレンビステトラブロモ
フタルイミド、TBAポリカーボネートオリゴマー、臭
素化ポリスチレン、TBAエポキシオリゴマーなどの臭
素系難燃剤や、塩素化パラフィン、パークロロシクロペ
ンタデカン、クロレンド酸などの塩素系難燃剤、燐系難
燃剤、窒素化合物を含む難燃剤、無機系難燃剤が知られ
ている。
燃剤は単一種類のものでも複数種混合されていても良
く、またその含有量がどの程度であってもよい。
可能であるが、特にスチレン系ポリマーにおいて有効で
ある。スチレン系ポリマーとしては、ポリスチレン、ポ
リ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン、スチ
レン−アクリロニトリル、スチレン−ブタジエン−アク
リロニトリル、スチレン−無水マレイン酸からなるポリ
マーなどが挙げられる。
良いし、複数を混合して用いても良い。また他のポリマ
ーとの混合品であっても良い。またスチレン系ポリマー
の分子量も任意であるが、3,000〜1,000,0
00程度が好ましい。
プと呼ばれている化合物群が汎用性溶剤に対して一般に
良好な溶解性を示すのに対して、デカブロモジフェニル
オキサイド(通称デカブロ)は溶剤に不溶である。本発
明によれば、樹脂中の難燃剤の種類や含有量に関わら
ず、同一の処理法により難燃剤を樹脂と分離することが
可能であり、これも本発明の重要な特徴でもある。
せるのに用いた溶剤は、蒸留操作を行うことで、繰り返
し使用が可能であり、使用量を抑えることができる。ま
た溶剤除去後に残渣として回収された難燃剤、その他の
添加剤は大気中に拡散させることなく、回収することが
できる。またこれらは初期の樹脂組成物全体の重量と比
較すれば非常に小さくなっており、特別な管理下で扱う
ことができる。
性物質の適正処理、回収、リサイクル処理ならびに溶剤
使用量の削減化など、環境に配慮した形で処理を行うこ
とができる。
明する。
性樹脂組成物の処理方法においては、難燃剤を含有する
熱可塑性樹脂組成物を溶剤と接触させ、難燃剤の少なく
とも一部を溶剤に溶解あるいは分散させる溶解・分散工
程を有する。難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物と溶
剤の接触方法としては、それら樹脂組成物を溶剤中に投
入し撹拌する方法や、抽出方法などが考えられる。抽出
方法を用いる場合は、最初から樹脂組成物と溶剤は分離
した状態にあるため、樹脂組成物中から難燃剤を抽出し
た後に特別の分離操作を必要としない。また溶剤中に溶
け出したあるいは分散した難燃剤と溶剤の分離は、溶剤
の蒸留操作を行うことによって容易に行うことができ、
溶剤は何度も繰り返し溶解・分散工程に用いることがで
きる。さらに抽出方法を用いる場合には、樹脂組成物を
あらかじめ粉砕しておき、溶剤との接触面積が大きくな
るようにするなどしておくのが良く、さらにある一定以
上の温度を加えることで反応を促進するのが好ましい。
脂組成物は、難燃剤以外に難燃助剤や安定剤、着色剤、
流動改質剤、離型剤などの各種添加物が含まれることが
多い。それらの添加剤が上記溶解工程で用いた溶剤に対
して可溶な場合には同様の方法で処理することができる
が、不溶成分が存在する場合には、二番目の工程とし
て、難燃剤や他の添加剤成分が溶解もしくは分散した溶
剤を分離する分離工程をさらに設けることが好ましい。
難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物中に含まれていた
各種の添加剤が、上記溶解工程において、溶剤に溶解も
しくは分散し、熱可塑性樹脂成分から脱離する。熱可塑
性樹脂成分を取り出すことで、添加剤成分が取り除かれ
た熱可塑性樹脂成分を得ることができる。
離工程は、操作性を加味すればそれぞれ1回の操作であ
ることが好ましいが、除去率などの点から2回以上行っ
てもなんら問題はない。
程、分離工程を経た熱可塑性樹脂はある程度の溶剤を保
持することになり、そのままでは再利用することが難し
い。そこで3番目の工程として、難燃剤などの添加剤が
分離された熱可塑性樹脂組成物を乾燥する乾燥工程を設
けることがさらに好ましい。手法としては、加熱方法や
加圧方法、粉砕方法などにより溶剤を除去する方法が考
えられる。
めには、溶剤の温度をある一定温度以上に保持する、特
に熱可塑性樹脂組成物の加熱変形温度以上に保持するこ
とが大切であることを突き止めた。加熱変形温度とは、
例えばポリスチレンなどの場合ではガラス転移温度(約
90℃)以上であれば、樹脂の形態がかなり変形するこ
とから、ガラス転移温度と考えて差し支えない。一般に
難燃剤やその他の添加剤を多く含む樹脂組成物では明確
なガラス転移温度が得られない場合があるため、上記表
現の様に加熱変形温度と表記した。この温度付近あるい
はそれ以上に保持することによって、樹脂の軟化、変形
が促進される。この状態では樹脂中に存在していた難燃
剤や他の添加物も溶剤中に分散、あるいは溶解が進行す
る。ある一定時間高温に保持した後冷却することによ
り、樹脂成分は溶剤に溶けないので再び固化するが、一
度溶け出した難燃剤や他の添加剤は樹脂と混ざり合うこ
となく分離する。
関する溶解性を別途検討したところ、100℃から15
0℃程度に溶剤の温度を上げることによって、5%程度
の濃度であればどの難燃剤も完全に溶解することが確か
められた。一般に難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物
中の難燃剤濃度は10%前後であることから、これら樹
脂組成物を溶剤中で10−50%程度の濃度で処理する
のであれば、難燃剤は充分溶けると考えられる。樹脂組
成物に対してより多くの溶剤を用いれば、難燃剤の除去
効率が高くなるが、一般にそれらの割合は溶剤の回収効
率やコスト、作業性とのかねあいで決定される場合が多
い。
で用いる溶剤として必要な条件としては、 1.難燃剤が比較的容易に溶解あるいは分散すること 2.樹脂成分が溶けない、あるいは溶けにくいこと である。種々の溶剤の検討を行った結果、グリコールエ
ーテル系の化合物群がこの条件に最適であることを突き
止めた。両末端基がメチル基となる、グリコールエーテ
ル系のジアルキル化合物の場合は、樹脂成分も容易に溶
けるため、溶解性の良好な難燃剤の処理として用いた場
合には難燃剤と樹脂を再度分離する工程が必要となる。
高いものが多く、作業環境としてはより安全性が高いの
で好ましいと考えられる。
化合物は、具体的には、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレング
リコール、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエ
チレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコー
ルプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエー
テル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロ
ピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコ
ールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチル
エーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、ト
リエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレング
リコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールブ
チルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテ
ル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプ
ロピレングリコールプロピルエーテル、トリプロピレン
グリコールブチルエーテル、などが挙げられる。
分散工程で用いる溶剤は、これらグリコールエーテル系
化合物を高濃度に含むほど、スチレン系ポリマーに対す
る非溶解性を高め、かつ難燃剤に対する溶解性を高める
ことができるので、(化1)で示されるグリコールエー
テル系化合物の濃度を出来るだけ高くすることが望まし
い。なお、その濃度としては主成分として含まれている
のが望ましく、全容剤の重量の少なくとも50重量パー
セント以上であるのが良い。
で用いる溶剤は、溶剤の溶解能力が大きく損なわれない
程度に、必要に応じて公知の添加剤の粉体または溶液を
添加することができる。例えば、酸化防止剤、抗菌・抗
カビ剤、害虫忌避剤、着色剤、発泡剤、界面活性剤ある
いは粉体流動性改善剤などが適宜使用される。
樹脂組成物の処理方法においては、溶解速度を向上させ
るために該樹脂組成物を粗破砕による固片状、さらに微
粉砕して粉末状にしてもよい。
してTVモニターの筐体など、各種熱可塑性樹脂を用い
る製品にも再利用できる。なお、着色剤などの成分は再
生樹脂に対して大きな影響与えない範囲で混合したまま
でもよい。
性樹脂組成物の処理方法について、具体的に示す。
性樹脂組成物として、難燃剤成分:テトラブロモビスフ
ェノールA、樹脂成分:ポリスチレンからなる熱可塑性
樹脂組成物(樹脂の重量平均分子量35,000)をあ
らかじめ用意し、この樹脂組成物中に含まれる難燃剤と
樹脂の分離を行った。このとき難燃剤は樹脂組成物に対
して10重量部含まれるように調整した。
度のブロック状に粗破砕し、このうち100gをジプロ
ピレングリコールメチルエーテル中で室温で撹拌を2時
間続けた。樹脂組成物は溶剤を含んだためか、少し膨潤
した。
布測定を行った。処理前に存在していたテトラブロモビ
スフェノールAのピークは約80%に減少していること
が確認された。また抽出処理前後のポリスチレンの重量
平均分子量を調べたところ、分子量変化に有為な差はみ
られなかった。さらに反応に用いたジプロピレングリコ
ールメチルエーテルの溶液についてGC−MS分析した
ところ、テトラブロモビスフェノールAのピークが存在
することがわかった。
よって、樹脂は溶剤に溶け出さないが、室温での撹拌で
もある程度難燃剤を除去できることがわかった。
性樹脂組成物として、難燃剤成分:テトラブロモビスフ
ェノールA、樹脂成分:ポリスチレンからなる熱可塑性
樹脂組成物(樹脂の重量平均分子量35,000、加熱
変形温度85℃)をあらかじめ用意し、この樹脂組成物
中に含まれる難燃剤と樹脂の分離を行った。このとき難
燃剤は樹脂組成物に対して10重量部含まれるように調
整した。
度のブロック状に粗破砕し、このうち100gをソック
スレー抽出管フィルター上に配置し、溶剤としてジプロ
ピレングリコールメチルエーテル(沸点190℃)を用
い、抽出を行った。
却し、ソックスレー抽出管フィルター上の成分の分子量
分布測定を行った。処理前に存在していたテトラブロモ
ビスフェノールAのピークが完全に消滅していることが
確認された。また抽出処理前後のポリスチレンの重量平
均分子量を調べたところ、分子量変化に有為な差はみら
れず、回収されたポリスチレンは、再度原料として用い
ることができることがわかった。
性樹脂組成物として、リン酸イソプロピルフェニルジフ
ェニルを主成分とする難燃剤を5重量部含んだスチレン
樹脂組成物(樹脂の重量平均分子量35,000、加熱
変形温度90℃)を用意し、この樹脂中に含まれる難燃
剤と樹脂の分離を行った。
度のブロック状に粗破砕し、このうち100gをソック
スレー抽出抽出管フィルター上に配置し、溶剤としてジ
プロピレングリコールnープロピルエーテル(沸点21
2℃)を用い、抽出を行った。
却し、ソックスレー抽出管フィルター上の成分の分子量
分布測定を行った。処理前に存在していた難燃剤のピー
クは完全に消滅していることが確認された。また抽出処
理前後のポリスチレンの重量平均分子量を調べたとこ
ろ、分子量変化に有為な差はみられず、回収されたポリ
スチレンは、再度原料として用いることができることが
わかった。
性樹脂組成物として、デカブロモジフェニルオキシドを
主成分とする難燃剤を10重量部含んだHIPS樹脂組
成物(樹脂の重量平均分子量36,000、加熱変形温
度77℃)を用い、この樹脂中に含まれる難燃剤と樹脂
の分離を行った。
砕した被処理用樹脂組成物100gを撹拌棒付きの容器
に入れ、トリプロピレングリコールメチルエーテル(沸
点242℃)を1リットル加え、150℃での加熱撹拌
を2時間続けた。
加熱を終了し室温まで撹拌しながら放冷したところ、か
たまり状の成分が沈降した。液成分とかたまり状成分を
分離し、それぞれの分子量分布測定を行ったところ、液
成分には難燃剤が含まれ、かたまり状成分は難燃剤が分
離されたHIPSであることがわかった。また分離され
たHIPS樹脂の処理前後での重量平均分子量変化を調
べたところ、変化に有為な差はみられず、HIPS樹脂
の原料として用いることができることを確認した。
性樹脂組成物として、テトラブロモビスフェノールAを
主成分とする難燃剤を10重量部含んだポリスチレン樹
脂組成物(樹脂の重量平均分子量36,000、加熱変
形温度76℃)を用い、この樹脂中に含まれる難燃剤と
樹脂の分離を行った。
砕した被処理用樹脂組成物200gを撹拌棒付きの容器
に入れ、ジプロピレングリコールメチルエーテル(沸点
190℃)を1リットル加え、120℃での加熱撹拌を
2時間続けた。
加熱を終了し室温まで撹拌しながら放冷したところ、か
たまり状の成分が沈降した。液成分とかたまり状成分を
分離し、それぞれの分子量分布測定を行ったところ、液
成分には難燃剤が含まれ、かたまり状成分は難燃剤が分
離されたポリスチレンであることがわかった。また分離
されたポリスチレン樹脂の処理前後での重量平均分子量
変化を調べたところ、変化に有為な差はみられず、ポリ
スチレン樹脂の原料として用いることができることを確
認した。
性樹脂組成物として、デカブロモジフェニルオキシドを
主成分とする難燃剤を9重量部含んだポリスチレン樹脂
組成物(樹脂の重量平均分子量36,000、加熱変形
温度77℃)を用い、この樹脂中に含まれる難燃剤と樹
脂の分離を行った。
砕した被処理用樹脂組成物100gを撹拌棒付きの容器
に入れ、ジプロピレングリコールメチルエーテル(沸点
190℃)を1リットル加え、150℃での加熱撹拌を
2時間続けた。その後撹拌しながら放冷し、樹脂成分と
難燃剤成分を分離した。かたまり状となったポリスチレ
ン樹脂成分を脱溶剤ろ過が可能な遠心分離装置に移し、
5,000rpmで約30分間脱溶剤乾燥処理を行っ
た。
ルオキサイドが存在していないことを分子量分布測定に
よって確認した。また分離、乾燥されたポリスチレン樹
脂の処理前後での重量平均分子量変化を調べたところ、
変化に有為な差はみられず、ポリスチレン樹脂の原料と
して用いることができることを確認した。
性樹脂組成物として、テレビ用バックカバーに使用され
たHIPS樹脂組成物(難燃剤として、デカブロモジフ
ェニルオキサイドが約10重量部含有。その他着色剤、
難燃助剤、離型剤などの添加剤も含む)の廃棄材を用意
した。
砕した被処理用樹脂組成物100gを撹拌棒付きの容器
に入れ、トリプロピレングリコールメチルエーテル(沸
点242℃)を1リットル加え、150℃での加熱撹拌
を2時間続けた。その後撹拌しながら放冷し、HIPS
樹脂成分と難燃剤成分を分離した。かたまり状となった
HIPS樹脂成分を脱溶剤ろ過が可能な遠心分離装置に
移し、5,000rpmで約30分間脱溶剤乾燥処理を
行った。
ルオキサイドが存在していないことを分子量分布測定に
よって確認した。また分離、乾燥されたHIPS樹脂の
処理前後での重量平均分子量変化を調べたところ、変化
に有為な差はみられず、HIPS樹脂の原料として用い
ることができることを確認した。
性樹脂組成物として、テトラブロモビスフェノールAを
主成分とする難燃剤を10重量部含んだスチレン樹脂組
成物(樹脂の重量平均分子量35,000、加熱変形温
度90℃)を用意し、この樹脂中に含まれる難燃剤と樹
脂の分離を行った。
度のブロック状に粗破砕し、このうち100gをソック
スレー抽出抽出管フィルター上に配置し、溶剤としてジ
エチレングリコール(沸点188℃)を用い、抽出を行
った。
却し、ソックスレー抽出管フィルター上の成分の分子量
分布測定を行った。処理前に存在していた難燃剤のピー
クは完全に消滅していることが確認された。また抽出処
理前後のポリスチレンの重量平均分子量を調べたとこ
ろ、分子量変化に有為な差はみられず、回収されたポリ
スチレンは、再度原料として用いることができることが
わかった。
性樹脂組成物として、デカブロモジフェニルオキシドを
主成分とする難燃剤を10重量部含んだHIPS樹脂組
成物(樹脂の重量平均分子量36,000、加熱変形温
度77℃)を用い、この樹脂中に含まれる難燃剤と樹脂
の分離を行った。
砕した被処理用樹脂組成物100gを撹拌棒付きの容器
に入れ、ジプロピレングリコール(沸点233℃)を1
リットル加え、180℃での加熱撹拌を2時間続けた
後、放冷したところ、かたまり状の成分が沈降した。液
成分とかたまり状成分を分離し、それぞれの分子量分布
測定を行ったところ、液成分には難燃剤が含まれ、かた
まり状成分は難燃剤が分離されたHIPSであることが
わかった。また分離されたHIPS樹脂の処理前後での
重量平均分子量変化を調べたところ、変化に有為な差は
みられず、HIPS樹脂の原料として用いることができ
ることを確認した。
ることにより、今後大量に廃棄され、問題となると思わ
れる、難燃剤入りの熱可塑性樹脂組成物を、もとの難燃
剤と熱可塑性樹脂とに容易に分離することが出来る。さ
らに熱可塑性樹脂を再利用することによって、廃棄物量
削減を達成するとともに、再生に用いた溶剤も再使用で
きるために、昨今必要とされている環境問題解決の一助
となるものである。
Claims (7)
- 【請求項1】 難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を
溶剤と接触させ、難燃剤の少なくとも一部を該溶剤に溶
解あるいは分散させる溶解・分散工程を有することを特
徴とする難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物の処理方
法。 - 【請求項2】 難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を
溶剤と接触させ、難燃剤の少なくとも一部を該溶剤に溶
解あるいは分散させる溶解・分散工程と、その難燃剤が
溶解あるいは分散した溶液を分離する分離工程とを備え
ることを特徴とする難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成
物の処理方法。 - 【請求項3】 難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を
溶剤と接触させ、難燃剤の少なくとも一部を該溶剤に溶
解あるいは分散させる溶解・分散工程と、その難燃剤が
溶解あるいは分散した溶液を分離する分離工程と、難燃
剤が分離された熱可塑性樹脂組成物を乾燥する乾燥工程
を備えることを特徴とする難燃剤を含有する熱可塑性樹
脂組成物の処理方法。 - 【請求項4】 前記難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成
物と溶剤を接触させるとき、少なくとも所定時間、溶剤
の温度を熱可塑性樹脂組成物の加熱変形温度以上に保持
することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物の処理方法。 - 【請求項5】 前記難燃剤が臭素系難燃剤であることを
特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の難燃剤を含
有する熱可塑性樹脂組成物の処理方法。 - 【請求項6】 前記熱可塑性樹脂が、スチレン系ポリマ
ーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記
載の難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物の処理方法。 - 【請求項7】 前記溶剤が(化1)で示されることを特
徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の難燃剤を含有
する熱可塑性樹脂組成物の処理方法。 【化1】 (Rは水素またはメチル基、mは0以上で4以下の整
数、xは1から3の整数を表す)
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