JP2001151873A - エアバッグ装置の収納カバー - Google Patents

エアバッグ装置の収納カバー

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JP2001151873A
JP2001151873A JP33367599A JP33367599A JP2001151873A JP 2001151873 A JP2001151873 A JP 2001151873A JP 33367599 A JP33367599 A JP 33367599A JP 33367599 A JP33367599 A JP 33367599A JP 2001151873 A JP2001151873 A JP 2001151873A
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Japan
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storage cover
block copolymer
acid
ester
glycol
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JP33367599A
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Inventor
Tetsuo Masubuchi
徹夫 増渕
Kiyoo Kato
清雄 加藤
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Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全確実性、広い温度範囲での適応性、耐久
性、好ましい感触を有し、高生産性と低コストを実現で
き、塗装レスが可能なエアバッグ収納カバーを提供す
る。 【解決手段】 脆弱な構造の破断予定部分を有し、次の
(a)、(b)及び(c)成分とを共重合したポリエー
テルエステルブロック共重合体100重量部に対し、添
加剤0.01〜5重量部配合し、しかも曲弾性率が12
0〜400MPa、ショアD硬度が56〜70である熱
可塑性エラストマー組成物を射出成形したエアバッグ装
置の収納カバー。 (a)短鎖ジカルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸及び
そのエステル形成性誘導体 (b)短鎖ジオール成分が脂肪族ジオール及びそのエス
テル形成性誘導体 (c)長鎖ジオール成分が特定のネオペンチレンオキシ
ド構造単位(N)とテトラメチレンオキシド構造単位
(T)よりなり、Nの比率が5〜50モル%であるポリ
エーテルであって、両末端がアルコール性水酸基であ
り、数平均分子量が400〜6000のポリエーテルグ
リコールである長鎖ジオール成分 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の高速移
動体が衝突事故等が発生した際に乗員を座席側に拘束し
て操縦装置や計器盤等との二次衝突から保護するように
設計されたエアバック装置の収納カバーに関する。
【0002】
【従来の技術】エアバッグシステムは原理的には高速移
動体の衝突を関知する衝突感知装置とエアバッグ装置と
で構成され、後者のエアバッグ装置はエアバッグ、エア
バッグを膨張させるためにガスを発生させるガス発生
器、エアバッグとガス発生器を収納する収納カバー及び
ガス発生器と収納カバーを取付ける取付具(リテーナ
ー)から構成されている。エアバッグ装置は高速移動体
中の乗員の前面に取り付けられ、衝突事故等によって衝
突検知装置が作動すると、ガス発生器から瞬間的にガス
が発生し、ガス発生器、収納カバー及び取付具によって
囲まれて形成される空間内に折り畳まれて収納されてい
るエアバッグにガスが充填され、エアバッグに充填され
たガスの圧力により収納カバーが展開し、展開によって
得た開口部からエアバッグが乗員の前面に向けて瞬間的
に放出、膨張することにより、乗員を座席側に拘束し、
その結果乗員が操縦装置や計器盤等に衝突して負傷する
ことを防ぐことが出来る。
【0003】従って、エアバッグ装置の収納カバーは衝
突事故等が発生しガス発生器が動作した際には、乗員を
傷つける危険性のある破片を飛散することなく確実に展
開しバッグを瞬間的に放出するものでなくてはならな
い。かかるエアバッグ装置の収納カバーに関しては、特
開昭50−127336号公報、特開昭55−1106
43号公報、特開昭52−116537号公報、特開平
1−202550号公報或いは特開平5−038996
号公報等に各種提案されている。
【0004】特開昭50−127336号公報や特開昭
55−110643号公報には、ウレタン樹脂や弾性材
料から形成されており、しかも破断予定部分以外の部分
には繊維ネットや金属網等の補強材が埋め込まれた構造
の収納カバーが提案されている。これらの提案では使用
される樹脂材料が脆弱であるので、エアバッグ装置が動
作したときの破片飛散防止のために補強材を埋め込む構
造を採らざるを得ず、収納カバーを製造するとき補強材
をセットするのに手間がかかり、また精度良く予定位置
に補強材が埋め込まれている成形体を得ることが難し
く、更にまた、反応射出成形によるウレタン樹脂の場合
には型内で十分に反応が進むための時間をとらなくては
ならず、低生産速度、低生産収率である欠点を有する。
特に、自動車の生産台数は年間一千万台にも及び、生産
速度、生産収率が低いことは致命的である。
【0005】特開昭52−116537号公報には、脆
化温度−50℃以下、曲げ剛性1,000〜3,000
kg/cm2 の熱可塑性エラストマーから形成され、破
断予定部分を脆弱構造にした収納カバーが提案されてい
る。この提案によれば、補強材を埋め込まない構造であ
るので生産性は改善されているが、材料の曲げ剛性が1
000〜3000kg/cm2 と高いため、特に低温領
域での性能が十分ではなく、低温で展開した場合破断予
定部以外で破壊してしまい、カバーの飛散が起こり乗員
を傷つける恐れが有る。
【0006】特開平1−202550号公報には、JI
S−K6301−A型硬度が30〜70である軟質樹脂
からなる表層と弾性を有する硬質樹脂からなるコア層と
が一体成形され、コア層にカバー開裂用スリットが設け
られた構造の収納カバーが提案されている。この提案の
収納カバーは乗員に適度に軟らかい感触を与えるもので
あるが、コア層と表層の二層成形が必須であり、そのた
めに射出機構を二式持った複雑で高価な成形機を必要と
するという大きな欠点がある。
【0007】特開平5−038996号公報には、内側
にエアバッグ収納用凹部を有すると共に脆弱な構造の破
断予定部分を有し、水素添加スチレン−共役ジエンブロ
ック共重合体、ゴム用可塑剤、オレフィン系樹脂及び添
加剤からなり、JIS−K6301A型硬度が60以上
85以下である熱可塑性エラストマー組成物の射出成形
体であるエアーバッグ装置の収納カバーが提案されてい
る。この提案の収納カバーは乗員に適度に軟らかい感触
を与え、生産性も高いが、低温下での曲げ剛性が比較的
大きく、場合によっては低温で脆化して展開性能の確実
性を失う可能性もある。さらに、表面の耐傷付性が必ず
しも良好でなく、硬質ウレタン塗装が必要であり、必ず
しもコスト的に有利ではない。
【0008】また、特開平5−038996号公報に
は、特定の構造、ショアD硬さが25〜55のポリエー
テルエステルブロック共重合体の射出成形体であるエア
バッグ装置の収納カバーが提案されている。この提案の
収納カバーは広い温度範囲での適応性、耐久性、しかも
表面が傷つきにくい収納カバーを提供するが、ショアD
硬さが25〜55の範囲では柔らかすぎ、展開した場合
リテーナーより脱離してしまうという欠点を有してい
る。また、柔らかいため、全体的に肉厚にしないと形状
を保持できないため、使用材料の量も多くなり経済的に
も好ましくない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】エアバッグ装置の収納
カバーが具備すべき要件の第一は、確実に展開すると共
に安全性を有することである。即ち、エアバッグ装置が
動作した際に収納カバーは乗員を傷つける危険性のある
破片を飛散することなく展開し、バッグを瞬間的に放出
しなくてはならない。第二は広い温度範囲での適応性で
ある。自動車の場合、使用される地域、季節、状態によ
り収納カバーの温度は往々にして−40℃〜90℃にな
るが、低温で脆化して確実性を失ったり、高温で軟質変
形したりしてはならない。第三は熱や光に対する耐久性
である。自動車の場合、収納カバーはフロントガラスを
通して入射する太陽光に照射される部位に往々にして取
り付けて使用されるため、光劣化し確実性を失ってはな
らない。
【0010】第四は高い生産性と安い生産コストであ
る。この要件は大量に生産される自動車用エアバッグ装
置では特に重要である。特に、材料コストを低減するた
めにはカバーの薄肉化が重要であり、そのためには剛性
のある程度高い材料が望まれる傾向に有る。第五は感触
である。乗員が収納カバーに触れたときに適度に軟らか
い感触を与え、ひいては安全運転に重要な心理的安らか
さを醸し出す効果の大きいものが好ましい。第六は外観
上の問題で、表面の傷付難さである。すなわち、本発明
の課題は安全確実性、広い温度範囲での適応性、耐久
性、好ましい感触を有し、高生産性と低コスト(薄肉
化)を実現でき、しかも表面が傷つきにくい収納カバー
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねた結果、内側にエアバッグ収納用凹部を有すると共
に脆弱な構造の破断予定部を有する収納カバーであっ
て、特定の構造を有するポリエーテルエステルブロック
共重合体100重量部に添加剤を0.01〜5重量部配
合してなり、しかも曲弾性率が120〜400MPa、
ショアD硬度が56〜70である熱可塑性エラストマー
組成物を射出成形法により成形して得られる収納カバー
が、前記課題を解決するものであることを見い出し本発
明を完成するに至った。すなわち、本発明は、内側にエ
アバッグ収納用凹部を有すると共に脆弱な構造の破断予
定部を有する収納カバーであって、次の(a)、(b)
及び(c)成分とを共重合してなるポリエーテルエステ
ルブロック共重合体100重量部に対し、添加剤0.0
1〜5重量部配合してなり、しかも曲弾性率が120〜
400MPa、ショアD硬度が56〜70である熱可塑
性エラストマー組成物の射出成形体であるエアバッグ装
置の収納カバーである。
【0012】(a)短鎖ジカルボン酸成分が芳香族ジカ
ルボン酸及びそのエステル形成性誘導体であるジカルボ
ン酸成分 (b)短鎖ジオール成分が脂肪族ジオール及びそのエス
テル形成性誘導体である短鎖ジオール成分 (c)長鎖ジオール成分が下式(1)に示すネオペンチ
レンオキシド構造単位(以下「N」と略す)と下式
(2)に示すテトラメチレンオキシド構造単位(以下
「T」と略す)よりなり、Nの比率が5〜50モル%で
あるポリエーテルであって、両末端がアルコール性水酸
基であり、数平均分子量が400〜6,000のポリエ
ーテルグリコールである長鎖ジオール成分
【0013】
【化2】 また、添加剤が熱安定剤及び紫外線吸収剤と光安定剤か
ら選ばれる添加剤のうち少なくとも一つからなる点にも
特徴を有する。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
使用する添加剤としては、少なくとも一つの酸化防止
剤、光安定剤及び熱安定剤が用いられることが望まし
い。脆弱な構造としてはカバーの部分に細長い凹部、よ
り好ましくは断面V形状の溝を設けると良い。本発明の
エアバッグ装置の収納カバーは、耐傷付性に優れるた
め、表面塗装しなくても(塗装レス)良い。
【0015】以下、本発明のエアバッグ装置の一例を示
す添付図面を参照して本発明を詳述する。本発明の収納
カバーの材料の主成分であるポリエーテルエステルブロ
ック共重合体は、(a)短鎖ジカルボン酸成分が芳香族
ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体であるジカ
ルボン酸成分と、(b)短鎖ジオール成分が脂肪族ジオ
ール及びそのエステル形成性誘導体である短鎖ジオール
成分と、(c)長鎖ジオール成分が下式(1)に示すN
と下式(2)に示すTよりなり、Nの比率が5〜50モ
ル%であるポリエーテルであって、両末端がアルコール
性水酸基であり、数平均分子量が400〜6,000で
あるポリエーテルグリコールとを共重合して得られるブ
ロック共重合体である。
【0016】
【化3】
【0017】本発明に使用するポリエーテルエステルブ
ロック共重合体の重合に用いる(a)成分、即ち、芳香
族ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレ
ン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカ
ルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフ
ェノキシエタンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸
及びこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。ま
た、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、
シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダ
イマー酸等の脂環式、脂肪族のジカルボン酸及びこれら
のエステル形成性誘導体を併用してもよい。これらは単
独、もしくは2種以上組み合わせて使用しても構わな
い。好適には、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレ
ン−2,6−ジカルボン酸が用いられる。
【0018】また、(b)成分、即ち、脂肪族ジオール
及びそのエステル形成性誘導体としては通常、分子量が
300以下のジオールが用いられる。例えば、エチレン
グリコール、1,3−プロピレンジオール、1,4−ブ
タンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチ
レングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレ
ングリコール及びこれらのエステル形成性誘導体が挙げ
られる。
【0019】また、1,1−シクロヘキサンジメタノー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロ
デカンジメタノール等の脂環式ジオール、及びこれらの
エステル形成性誘導体;キシリレングリコール、ビス
(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロ
キシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4(2−ヒ
ドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−
(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン
等の芳香族系ジオール、及びこれらのエステル形成性誘
導体が挙げられる。好適には、エチレングリコール、
1,4−ブタンジオール及びこれらのエステル形成性誘
導体が挙げられる。
【0020】上記の芳香族ジカルボン酸及びこれらのエ
ステル形成性誘導体と脂肪族ジオール及びこれらのエス
テル形成性誘導体との組合せによりポリエーテルエステ
ルブロック共重合体のハードセグメント、即ち短鎖ポリ
エステルが構成されるが、好ましい組合せはテレフタル
酸またはテレフタル酸ジエステルとエチレングリコール
若しくは1,4−ブタンジオールとの組合せ(ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)で
ある。さらに好ましくはポリブチレンテレフタレートが
ハードセグメントに使用するのが良い。
【0021】この理由はポリブチレンテレフタレートは
結晶化速度が大きく成型性が優れること、ポリエーテル
エステルブロック共重合体にした場合もゴム弾性、機械
的性質、耐熱性、耐化学薬品性等の物性バランスがよく
備わっていること等による。この組合せに他のジカルボ
ン酸及びそのエステル形成性誘導体を15モル%以内、
または他のジオール及びそのエステル形成性誘導体を1
5モル%以内加えて使用することも出来る。
【0022】本発明に用いられるポリエーテルエステル
ブロック共重合体の(c)成分、即ち、長鎖ポリエステ
ルを構成するポリエーテルグリコールはNとTよりな
り、Nの比率が5〜50モル%、好ましくは10〜30
モル%、さらに好ましくは15〜25モル%であるポリ
エーテルであって、両末端がアルコール性水酸基であ
り、数平均分子量が400〜6,000、好ましくは8
00〜3,000、さらに好ましくは1,000〜2,
000であるポリエーテルグリコールである。好適には
上記ポリエーテルグリコールは、その末端にないNにつ
いてはNを挟んで隣接する構造単位が必ずTであり、N
が末端にある場合には、末端にあってアルコール性水酸
基に結合されているNについては、アルコール性水酸基
の反対側でNに隣接する構造単位が必ずTである構造を
有し、かつNが5〜50モル%のポリエーテルグリコー
ルである。このことは実質的にNN連鎖がないことを意
味する。
【0023】本発明に使用されるポリエーテルエステル
ブロック共重合体の製造に用いられるポリエーテルグリ
コールは、3,3−ジメチルオキセタン(3,3−DM
O)の単独カチオン重合、3,3−DMOとネオペンチ
ルグリコール(NPG)とのカチオン共重合、3,3−
DMOとテトラヒドロフラン(THF)のカチオン共重
合、3,3−DMOとNPGとTHFのカチオン三元共
重合またはネオペンチルグリコールとテトラヒドロフラ
ンを原料として、アルコール性水酸基の存在下で活性を
示す触媒の存在下、純テトラメチレングリコールの解重
合が進行する反応条件下において製造することが出来
る。
【0024】本発明に使用されるポリエーテルエステル
ブロック共重合体の製造に用いられる好ましい態様のポ
リエーテルグリコールは、特開平6−87951号公報
及び特開平6−116379号公報に開示されているよ
うにNを挟んで隣接する構造単位が必ずTであるか、N
が末端にある場合には片方がアルコール性水酸基である
のでNのモル数は必ず50モル%以下になる。このポリ
エーテルグリコール中のNが5モル%に満たない共重合
組成ではこれをポリエーテルエステルブロック共重合体
にした場合、特に低温性能に満足な物性が得られない場
合があるために好ましくない。
【0025】本発明に使用されるポリエーテルエステル
ブロック共重合体の製造に用いられる好ましいポリエー
テルグリコールの製造方法は、アルコール性水酸基の存
在下で活性を示す触媒の存在下、多量のネオペンチルグ
リコールを仕込み、純テトラメチレングリコールの解重
合が進む高い温度と、低いTHF濃度、即ち高いポリマ
ー濃度での反応条件で行われる。アルコール性水酸基の
存在下で活性を示す触媒としては、特開昭60−203
66号公報にヘテロポリ酸が、特開昭61−12083
0号公報にヘテロポリ酸の塩が開示されているがこれら
を用いることが出来る。この際、触媒に対する水または
ジオールのモル比が10以下であるという要件は本発明
のポリエーテルグリコールを与える反応条件では不要で
ある。なお、アルコール性水酸基の存在下で活性を示す
触媒は、特にヘテロポリ酸に限定されるものではなく、
ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸なども用いら
れる。
【0026】本発明に使用されるポリエーテルエステル
ブロック共重合体の製造に用いられる好ましいポリエー
テルグリコールを与える特殊な反応条件方法に於てネオ
ペンチルグリコールの共重合比率を高めることができる
理由は、触媒に対するジオールのモル比が30であって
も重合を進めることが出来るので、多量のネオペンチル
グリコールを仕込むことが出来ることによる。また、T
HFのみが連なるポリマー分子鎖の形成が純ポリ(テト
ラメチレンオキシ)グリコールの解重合条件で重合を進
めるために抑制されている。本発明に使用される好まし
いポリエーテルグリコールに於てネオペンチルグリコー
ルの共重合比率が50モル%以下であるのは、NとNが
直接連結する構造がないことが13C−NMRの解析から
証明でき、従ってネオペンチルグリコールの共重合比率
が50%を越えることがない。なお、Nが50モル%以
上にするには、出発原料としてネオペンチルグリコール
を環化した3,3−ジメチルオキセタンを用いれば良
い。
【0027】本発明に用いられるポリエーテルエステル
ブロック共重合体に用いられるポリエーテルグリコール
を好ましく製造する必要要件をまとめると3要件有り、
第一にアルコール性水酸基の存在下で活性を示す触媒、
例えばヘテロポリ酸やスルホン酸等を用いること、第二
に共重合グリコールとして解重合の伝搬を阻止するグリ
コール、すなわちNPGを使用すること、第三に共重合
比率が高くなる重縮合を主反応とするために、純PTM
Gの解重合が進む温度、ポリマー濃度で反応を進めるこ
とである。この重縮合反応を好ましい速度で進めるた
め、反応温度は70℃以上、好ましくは75℃以上の条
件を採ることになる。但し、反応温度を上げすぎると反
応液や触媒の着色が強くなり好ましくない。例えば燐タ
ングステン酸を触媒として用いた場合、通常110℃を
越えると着色がひどくなる。
【0028】先に本発明で使用する触媒を挙げたが、こ
れらのうち好ましい触媒としては、市販されており、高
温度における安定性が良く、反応活性も高い燐タングス
テン酸を挙げることができる。そして、燐タングステン
酸等のヘテロポリ酸を触媒として使用する場合、反応が
進むに従い反応液は触媒濃度が高い触媒層と、触媒を1
%以下の低濃度に含む液層とに分離し、二層の分散状態
で反応が行なわれるようになる。反応終了時に撹拌を止
めて静置すれば、重い触媒層は下に、軽い液層は上に分
かれる。上の液層を取り出し、THF、オリゴマー、溶
存触媒を除去して目的であるポリマーを得る。下に残さ
れた触媒層に新しくNPG、THFを供給し、新しいバ
ッチの反応を開始する。このようにして、触媒を繰り返
し使用しながら本発明の原料となるポリエーテルエステ
エルブロック共重合体を得ることが出来る。
【0029】また、スルフォン酸を触媒として使用する
場合、ナフィオンのように反応液に溶解しない触媒が、
触媒の分離が簡単で好ましい。触媒である燐タングステ
ン酸、或いはスルフォン酸の使用量に対しNPGの仕込
量は、触媒1当量に対し2〜10モルのNPGを仕込む
のが適当である。NPGの量が少ないと反応終了時に採
取すべきポリマー量が少なくなるし、NPGの量が多い
と重縮合反応が遅くポリマーの重合度が上昇するのに長
時間を要するようになる。
【0030】重縮合によって生成する水は、反応系の気
相水分として取り出し、除去することが出来る。気相の
組成は大部分がTHFであり、気相水分は0.4〜2.
0重量%含まれているのが通常である。従って、水分を
除去する際にTHFも共に取り出すことになり新しいT
HFをその分多く補給する必要がある。このように反応
系の気相を取り出す必要があるため、反応液は沸騰温度
である。沸騰温度、即ち反応温度を所定にコントロ−ル
するにはTHFの濃度をコントロ−ルするのが容易な方
法である。具体的な操作として液温を所定に保つように
THFの補給速度をコントロ−ルすることにすれば、気
相水分と共に取り出されたTHF、反応の進行に伴う組
成変化及び重合によるTHFの消費、これら全ての変化
に対応できる基準操作をTHFに関して定め得たことに
なる。反応液中のTHF濃度は、反応圧力と反応温度、
即ち沸騰圧力、温度で変わる。従って、THF濃度は反
応温度を与件として反応圧力によってコントロール出来
る。反応液中の水濃度は、反応系の気相の水濃度と動的
平衡にある。従って反応液中の水濃度は、反応系の気相
の水濃度によってコントロール出来る。
【0031】本発明に使用されるポリエーテルエステル
ブロック共重合体の製造に用いられるポリエーテルグリ
コールの数平均分子量は400〜6,000の範囲であ
り、400未満であると重合する最終ポリエーテルエス
テルブロック共重合体のハード/ソフトセグメント比に
もよるが通常は短鎖ポリエステル(ハードセグメント)
の平均連鎖長が小さくなり、融点降下が激しくなって耐
熱性に劣るため、ポリエーテルエステルブロック共重合
体としてそのまま材料に使用する場合、或いは組成物に
した場合共に好ましくない。また、6,000を越える
と、単位重量当りのポリエーテルグリコール中の末端基
濃度が低くなり、重合しにくくなるので好ましくない。
【0032】このポリエーテルエステルブロック共重合
体に占める全ポリエーテルグリコールユニット(ソフト
セグメント)の量は15〜50重量%、好ましくは20
〜40重量%、さらに好ましくは25〜35重量%であ
る。この値は本発明の用途の要求硬度(ショアD硬度で
55〜70)を満たすに必要な範囲である。この場合の
ポリエーテルグリコールユニットの量とはソフトセグメ
ントの重量比のことであって仕込のポリエーテルグリコ
ールの全モノマー中に占める重量比のことではない。一
般に、ポリエーテルエステルブロック共重合体のハード
セグメントは短鎖エステルであり、ソフトセグメントは
長鎖エステルからなるが、ポリエーテル部分の末端はジ
カルボン酸成分とエステル結合にて連結し、ハードセグ
メントと連なっている。ポリエーテル部分の片末端のエ
ステル結合を構成するユニットも含めたものを便宜上ソ
フトセグメントとした。
【0033】このハード/ソフトセグメントの比率は 1
H−NMRにて正確に定量することが可能である。ソフ
トセグメントの量が15重量%より小さいと軟質性に劣
り、特に本発明の熱可塑性エラストマー組成物成形体の
低温(−40℃)での展開性が良くないため好ましくな
い。また、この量が50重量%を越えると柔らかくなり
すぎて、展開時にリテーナーから脱着してしまうので好
ましくない。またカバーを薄肉にした場合、形状を保持
できないので好ましくない。また、ショアD硬度で70
を越えると高温下での展開性は良好であるが低温下では
逆に硬くなりすぎて展開性能が悪くなるので好ましくな
い。最終的な熱可塑性エラストマー組成物は曲弾性率が
120〜400MPa、好ましくは150〜310MP
a、ショアD硬度が56〜70好ましくは60〜66の
範囲であるようにすれば良く、ソフトセグメント量は適
宜選択される。
【0034】かかるポリエーテルエステルブロック共重
合体は公知の方法で製造できる。例えば、ジカルボン酸
の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコ
ールおよびポリエーテルグリコールを触媒の存在下エス
テル交換反応させ、続いて得られる反応生成物を減圧下
重縮合する方法、あるいはジカルボン酸とグリコール及
びポリエーテルグリコールを触媒の存在下エステル化反
応させ、ついで得られる生成物を重縮合する方法、また
予め短鎖ポリエステル(例えばポリブチレンテレフタレ
ート)を作っておき、これに他のジカルボン酸やジオー
ルもしくはポリエーテルグリコールを加えたり、もしく
は他の共重合ポリエステルを添加してエステル交換によ
りランダム化させる方法など何れの方法を採用しても良
い。
【0035】ポリエーテルエステルブロック共重合体を
製造するのに利用するエステル交換反応またはエステル
化反応と重縮合反応に共通の触媒としては、テトラ(イ
ソプロポキシ)チタネート、テトラ(n−ブトキシ)チ
タネートに代表されるテトラアルキルチタネート、これ
らテトラアルキルチタネートとアルキレングリコールと
の反応生成物、テトラアルキルチタネートの部分加水分
解物、チタニウムヘキサアルコキサイドの金属塩、チタ
ンのカルボン酸塩、チタニル化合物等のチタン系触媒が
好ましい。また、モノn−ブチルモノヒドロキシ錫オキ
サイド、モノn−ブチル錫トリアセテート、モノn−ブ
チル錫モノオクチレート、モノn−ブチル錫モノアセテ
ート等のモノアルキル錫化合物、ジn−ブチル錫オキサ
イド、ジn−ブチル錫ジアセテート、ジフェニル錫オキ
サイド、ジフェニル錫ジアセテート、ジn−ブチル錫ジ
オクチレート等のジアルキル(またはジアリール)錫化
合物等も用いることができる。
【0036】この他、Mg、Pb、Zr、Zn等の金
属、金属酸化物、金属塩触媒が有用である。これらの触
媒は単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用しても
良い。エステル化あるいは重縮合触媒の添加量は生成ポ
リマーに対して0.005〜0.5重量%が好ましく、
特に0.03〜0.2重量%が好ましい。これら触媒は
エステル交換またはエステル化反応開始時に添加した
後、重縮合反応時に再び添加してもしなくても良い。ま
た、ジカルボン酸やグリコールの一部としてポリカルボ
ン酸や他官能ヒドロキシ化合物、オキシ酸等が共重合さ
れていても良い。他官能成分は高粘度化成分として有効
に作用し、その共重合し得る範囲は3モル%以下であ
る。かかる他官能成分として用いることが出来るものに
は、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、
ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボ
ン酸、グリセリン、ペンタエリスリトールおよびそれら
のエステル、酸無水物等を挙げることができる。
【0037】またさらに必要に応じて、本発明に用いら
れるポリエーテルグリコールをそれ以外のポリエーテル
グリコールで一部置換しても良い。かかる置換に用いら
れるポリエーテルグリコールとしては、ポリ(エチレン
オキシ)グリコール、ポリ(プロピレンオキシ)グリコ
ール、ポリ(テトラメチレンオキシ)グリコール、ポリ
(1,2−プロピレンオキシ)グリコール、エチレンオ
キシドとプロピレンオキシドのブロック又はランダム共
重合体、THFと3−メチルTHFのランダム共重合
体、エチレンオキシドとTHFのブロック又はランダム
共重合体、ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンオキ
シ)グリコール、ポリ(プロピレンオキシ)ジイミドジ
酸等が挙げられる。
【0038】これら置換に用いられるポリエーテルグリ
コールの好ましい数平均分子量は400〜6,000で
あり、特に1,000〜3,000が好適である。好ま
しい置換ポリエーテルグリコールとしてはポリ(テトラ
メチレンオキシ)グリコールが挙げられる。ポリ(テト
ラメチレンオキシ)グリコールを置換に用いた場合、数
平均分子量(Mn)が1,800を越えると分子量分布
[Mv/Mn:Mnは末端水酸基価より求めた数平均分
子量、Mvは式Mv=anti log(0.493l
ogη+3.0646)で規定される粘度平均分子量で
ある。但しηは40℃の温度における溶融粘度をポアズ
で示したもの]によっては結晶化が起こって低温性能に
好ましくない結果を与える場合がある。
【0039】この分子量分布(Mv/Mn)の値が1.
6以下と狭いものを用いることが好ましい。更に好まし
くは1.5以下である。しかし好適には置換のポリエー
テルグリコールは本発明に用いられるポリエーテルグリ
コールの90重量%以下の範囲で用いられる。この値が
90重量%を越えると、本発明に用いられるポリエーテ
ルグリコール中のネオペンチルオキシドユニットの含量
にもよるが一般的に耐水性や低温性能等の物性に満足な
結果が得られない場合があるので用途に応じた選定が必
要である。このようにして重合したポリエーテルエステ
ルブロック共重合体の重合度は一般には相対溶液粘度
(η rel)や固有粘度([η])、メルトフローレート
(MFR)にて表現されるが、本発明ではMFRにて表
現する。本発明ではMFRが0.1〜30g/10分
(荷重2.16kg、230℃:以下L条件)という高
分子量のポリエーテルエステルブロック共重合体が得ら
れる。
【0040】MFRが30以下のポリエーテルエステル
ブロック共重合体が物性、特に機械強度、耐屈曲疲労性
等に良い影響を与える。MFRが30を越えると分子量
が十分向上していないため特に機械物性(破断強度、破
断伸び等)や耐屈曲摩耗性、圧縮永久歪み(C−Se
t)等に劣るため、用途が制限される。また、MFRが
0.1より小さいとこれらの物性は良好となるが、射出
成形時の圧力が高くなり、良好な成形外観が得られない
ので好ましくない。機械物性と射出成形性とのバランス
を考慮するとより好ましいMFRはL条件で5〜25g
/10分である。本発明に用いられる添加剤としては少
なくとも一つの酸化防止剤、光安定剤及び熱安定剤を用
いることが望ましい。酸化防止剤はポリエーテルエステ
ルブロック共重合体の製造中または製造後の任意の時期
に加えることが出来るが、特にポリエーテルグリコール
が高温に曝される時点、例えば重縮合反応に入る時点で
ポリエーテルグリコールの酸化劣化を防止するため重縮
合反応を阻害せず、また触媒の機能を損なわない酸化防
止剤を加えることが望ましい。
【0041】これらの酸化防止剤としては、燐酸、亜燐
酸の脂肪族、芳香族又はアルキル基置換芳香族エステル
や次亜燐酸誘導体、フェニルホスホン酸、フェニルホス
フィン酸、ジフェニルホスホン酸、ポリホスホネート、
ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、ジア
ルキルビスフェノールAジホスファイト等のリン化合
物;フェノール系誘導体特にヒンダードフェノール化合
物:チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズ
イミダゾール系、チオカルバニリド系、チオジプロピオ
ン酸エステル等のイオウを含む化合物;錫マレート、ジ
ブチル錫モノオキシド等の錫系化合物を用いることがで
きる。
【0042】これらはこれらは単独で用いても2種以上
組み合わせて用いても構わない。これら安定剤の添加量
はポリエーテルエステルブロック共重合体100重量部
に対して0.01〜2重量部が望ましい。通常、酸化防
止剤は一次、二次、三次老化防止剤に分けることが出来
る。特に一次老化防止剤としてのヒンダードフェノール
化合物としては、イルガノックス1010(商品名:チ
バガイギー社製)、イルガノックス1520(商品名:
チバガイギー社製)等が好ましい。二次老化防止剤とし
ての燐系化合物は、PEP−36、PEP−24G、H
P−10(いずれも商品名:旭電化(株)製)、イルガ
ホス168(商品名:チバガイギー社製)が好ましい。
さらに三次老化防止剤としての硫黄化合物としてはジラ
ウリルチオプロピオネート(DLTP)、ジステアリル
チオプロピオネート(DSTP)等のチオエーテル化合
物が好ましい。また必要に応じて、同様な方法で紫外線
吸収剤・光安定剤を加えてもよい。これらの紫外線吸収
剤としてはベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系化
合物等が挙げられる。光安定剤としてはヒンダードアミ
ン化合物のようなラジカル捕捉型光安定剤が好適に用い
られる。
【0043】本願発明のエアバック装置の収納カバーを
構成する熱可塑性エラストマー組成物には、必要に応じ
て少なくとも2個のビニル芳香族ユニットを主体とする
重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエンユニット
を主体とするブロック共重合体ユニットを水素添加して
得られ、ビニル芳香族化合物ユニットの含有率が20〜
40重量%であり、共役ジエンブロックの炭素/炭素不
飽和二重結合の少なくとも80パーセントが水素添加さ
れている水添スチレン−共役ジエン系ブロック共重合体
をブレンドすることが出来る。水添スチレン−共役ジエ
ン系ブロック共重合体はスチレン−共役ジエン系ブロッ
ク共重合体のジエンブロックを水素添加させることで製
造される。
【0044】水添スチレン−共役ジエン系ブロック共重
合体の水添させる前のブロック共重合体は、ビニル芳香
族化合物重合体ブロックを少なくとも2個、共役ジエン
を主体とする重合体ブロックを少なくとも1個含有する
ものである。ここで、共役ジエンを主体とする重合体ブ
ロックは、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との
重量比が0/100〜50/50、好ましくは0/10
0〜40/60の組成範囲からなる重合体ブロックであ
り、このブロックにおけるビニル芳香族化合物の分布は
ランダム、テーパー(分子鎖に沿ってモノマー成分が増
加または減少するもの)、一部ブロック状、またはこれ
らの任意の組合せのいずれでもあっても良い。
【0045】なお、本発明における水添する前のブロッ
ク共重合体中にはビニル芳香族化合物重合体ブロックと
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックとの遷移
部等にビニル芳香族化合物が50重量%を越えるビニル
芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体部分が存
在していてもよいが、かかる重合体部分は前記の共役ジ
エン化合物を主体とする重合体ブロックに含めるものと
する。上記ブロック共重合体において、ビニル芳香族化
合物の含有量と共役ジエン化合物の含有量の重量比は、
10/90〜90/10であり、20/80〜85/1
5の範囲が好ましい。
【0046】上記水添前のブロック共重合体を構成する
ビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルス
チレン、p−メチルスチレン等の中から1種、または2
種以上が選ばれ、中でもスチレンが特に好ましい。ま
た、共役ジエン化合物としてはブタジエン、イソプレ
ン、1,3−ペンタジエン等のうちから1種または2種
以上が選ばれ、中でもブタジエンおよび/またはイソプ
レンが特に好ましい。上記ブロック共重合体は、数平均
分子量が20,000〜500,000の範囲であり、
分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)は
1.05〜10の範囲が好ましい。また、ブロック共重
合体の分子構造は直鎖状、分岐状、放射状、またはこれ
らの組合せなどいずれでも良い。
【0047】さらに、ブロック共重合体において共役ジ
エン化合物としてブタジエンを使用した場合には、ブタ
ジエン部分のミクロ構造の1,2−ビニル結合量が全ポ
リブタジエン中に10〜80%の範囲が好ましい。水添
ブロック共重合体にゴム弾性を持たせることを必要とす
る場合には、1,2−ビニル結合は全ポリブタジエン中
の25〜55%の範囲が特に好ましい。上記ブロック共
重合体がビニル芳香族化合物を主体とするブロックを2
個以上含有する場合においては、各ブロックは同一の構
造であっても良いし、モノマー成分含有量、それらの分
子鎖における分布、ブロックの分子量、ミクロ構造等の
各構造が異なるものであっても良い。
【0048】上記のブロック共重合体は通常、ベンゼ
ン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等の不活性炭
化水素溶媒中でn−ブチルリチウム等の有機リチウム化
合物を触媒として、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化
合物をリビングアニオン重合することによって得られ
る。さらに、上記方法によって得られるリチウム活性末
端を有するブロック共重合体を多官能のカップリング
剤、例えば四塩化炭素、四塩化珪素等とカップリング反
応させることにより分岐状、放射状のブロック共重合体
とすることも可能である。さらにブロック共重合体は1
種のみならず2種以上の混合物として使用することも可
能である。上記ブロック共重合体を公知の方法、例えば
特公平2−9041〜9043号公報に開示の方法で水
添することにより、ビニル芳香族化合物ブロックAの芳
香族二重結合を実質的に水添しないで共役ジエンブロッ
クの炭素/炭素不飽和二重結合の少なくとも80%が水
素添加される水添ブロック共重合体が製造できる。
【0049】かかる水添ブロック共重合体の共役ジエン
ブロック部分の炭素/炭素不飽和二重結合の水添率が8
0%に満たないと、ポリエーテルエステルブロック共重
合体との溶融混練時のゲル化・分子鎖切断等の好ましく
ない副反応が起こったり、最終熱可塑性エラストマー組
成物成形体の耐熱老化性、耐候性も充分で無くなるため
好ましくない。好ましい水添率は90%以上、さらに好
ましくは95%以上である。また、かかる水添ブロック
共重合体中に含まれる重合触媒及び/または水添触媒の
残渣は好適には脱灰等の処理により、除去しておくこと
が望ましい。これら触媒の残渣量は、金属種にもよるが
100ppm以下、好ましくは50ppm以下、さらに
好ましくは20ppm以下である。
【0050】本願発明のエアバック装置の収納カバーを
構成する熱可塑性エラストマー組成物に前記水添スチレ
ン・共役ジエン系ブロック共重合体をブレンドする際の
相容性・分散性を高めるために、かかる水添スチレン・
ジエン系ブロック共重合体は酸無水物基、カルボキシル
基、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、オキサゾ
リン基、イミド基、イソシアナート基、スルホニル基及
びスルホネート基から選ばれた少なくとも1種の官能基
を有する不飽和化合物をグラフト・或いは後反応させた
変性水添スチレン−共役ジエン系ブロック共重合体を用
いても良い。この中でも特に不飽和カルボン酸及びその
誘導体で変性した水添スチレン−共役ジエン系ブロック
共重合体が展開性能の温度域が最も広く、好ましい。
【0051】変性水添スチレン−共役ジエン系ブロック
共重合体を製造する一例を以下に示す。変性されるブロ
ック共重合体に炭素/炭素不飽和二重結合が全く存在し
ないかあるいは不飽和度が10%(水添率90%)以
下、好ましくは3%(水添率97%)以下の場合には後
述する化合物で変性する際に、通常使われるラジカル開
始剤を共存させてラジカル付加させることによって得ら
れる。これら変性エラストマーの製造方法に関しては、
本発明に於て特に限定されないが、得られた変性エラス
トマーがゲル等の好ましくない成分を含んだり、その溶
融粘度が著しく増大して加工性が極端に悪化したりする
製造方法は好ましくない。
【0052】好ましい製造方法としては、例えば押出機
中で不活性ガス存在下、ラジカル開始剤を共存させ、未
変性の水添ブロック共重合体と不飽和カルボン酸または
その誘導体とを反応させる方法がある。また未変性の水
添ブロック共重合体をトルエン、キシレン等の溶媒に溶
解させ、ラジカル開始剤の存在下、不飽和カルボン酸ま
たはその誘導体とを反応させる方法も用いられる。未反
応の不飽和カルボン酸またはその誘導体は真空脱気、抽
出、沈澱等の適当な後処理によって除いた方が好まし
い。
【0053】また、変性される水添ブロック共重合体が
炭素/炭素不飽和二重結合をその分子中に多量に含む場
合や不飽和度が10%を越える(水添率が90%以下)
ような場合は上記方法を用いると著しいゲル化を生じ、
最終組成物の物性を悪化させたり、加工性を悪化させる
ので好ましくない。このような場合は水添ブロック共重
合体と不飽和カルボン酸またはその誘導体を加熱混合し
て炭素/炭素不飽和二重結合に「エン反応」させること
によって変性エラストマーを製造させる。この際、必要
に応じて例えばフェノチアジン等の安定剤等を共存させ
て熱によるゲル化を防止させることもできる。
【0054】かかる変性ブロック共重合体に結合してい
る不飽和カルボン酸またはその誘導体の結合量は該ブロ
ック共重合体100重量部当り0.05〜5重量部であ
る。スチレン系飽和型熱可塑性エラストマーの変性に用
いられる不飽和カルボン酸またはその誘導体の例として
は、マレイン酸、マレイン酸エステル、マレイン酸アミ
ド、マレイン酸イミド、無水マレイン酸、フマル酸、フ
マル酸エステル、フマル酸アミド、フマル酸イミド、フ
タル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、イタコン酸エス
テル、イタコン酸アミド、イタコン酸イミド、ハロゲン
化マレイン酸、ハロゲン化マレイン酸エステル、ハロゲ
ン化マレイン酸アミド、ハロゲン化マレイン酸イミド、
アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、シス−4−シ
クロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、そのエステル、
その無水物、そのアミド、およびそのイミド、エンド−
シス−ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3
−ジカルボン酸、そのエステル、その無水物、そのアミ
ド、およびそのイミド:(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸グ
リシジル、(メタ)アクリル酸アミド等が挙げられる。
特に無水マレイン酸と(メタ)アクリル酸グリシジルが
好ましい。
【0055】この他、ビニルグリシジルエーテル、ビニ
ルオキサゾリン等の非不飽和カルボン酸化合物、その誘
導体である含官能基ビニル化合物も好適に用いられる。
これら変性スチレン−共役ジエン系ブロック共重合体は
水添スチレン−共役ジエン系ブロック共重合体の全部ま
たは一部置換させることが可能である。これらブロック
共重合体は、本願発明のエアバック装置の収納カバーを
構成する熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対
して5〜100重量部の範囲で好適にブレンドされる。
【0056】また必要に応じて得られる組成物に可塑剤
を添加しても良い。かかる可塑剤の例としては、ジオク
チルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレ
ート、ブチルベンジルフタレート、ジ−2−エチルヘキ
シルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシ
ルフタレート、ジイソノニルフタレート等のフタル酸エ
ステル類:トリクレジルホスフェート、トリエチルホス
フェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチル
ヘキシルホスフェート、トリメチルヘキシルホスフェー
ト、トリス−クロロエチルホスフェート、トリス−ジク
ロロプロピルホスフェート等の燐酸エステル類:トリメ
リット酸オクチルエステル、トリメリット酸イソデシル
エステル、トリメリット酸エステル類、ジペンタエリス
リトールエステル類、ジオクチルアジペート、ジメチル
アジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジオ
クチルアゼレート、ジオクチルセバケート、ジ−2−エ
チルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシノケート
等の脂肪酸エステル類:ピロメリット酸オクチルエステ
ル等のピロメリット酸エステル:エポキシ化大豆油、エ
ポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル
等のエポキシ系可塑剤:アジピン酸エーテルエステル、
ポリエーテル等のポリエーテル系可塑剤:液状NBR、
液状アクリルゴム、液状ポリブタジエン等の液状ゴム:
プロセスオイル等が挙げられる。
【0057】これら可塑剤は単独、あるいは2種以上組
み合わせて使用することが出来る。可塑剤の添加量は要
求される硬度、物性に応じて適宜選択されるが、組成物
100重量部当り1〜50重量部の範囲が好ましい。ま
た物性を損なわない範囲で、カオリン、シリカ、マイ
カ、二酸化チタン、アルミナ、炭酸カルシウム、珪酸カ
ルシウム、クレー、カオリン、ケイソウ土、アスベス
ト、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウ
ム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラ
ファイト、ガラス繊維、炭素繊維等の充填剤や補強材:
ステアリン酸亜鉛やステアリン酸ビスアマイドのような
滑剤ないしは離型剤:着色のためのカーボンブラック、
群青、チタンホワイト、亜鉛華、べんがら、紺青、アゾ
顔料、ニトロ顔料、レーキ顔料、フタロシアニン顔料等
の染顔料:オクタブロモジフェニル、テトラブロモビス
フェノールポリカーボネート等の難燃化剤:発泡剤:エ
ポキシ化合物やイソシアネート化合物等の増粘剤:シリ
コーンオイルやシリコーン樹脂等、公知の各種添加剤を
用いることが出来る。
【0058】本発明のエアバック装置の収納カバーを構
成する熱可塑性エラストマー組成物は、各種押出機、バ
ンバリーミキサー、ニーダー、ロール、さらにこれらを
組み合わせたもの等により、溶融混練後、造粒すること
により容易にペレットの形態で得られる。この熱可塑性
エラストマー組成物を一般の熱可塑性樹脂や熱可塑性エ
ラストマーの成形に使用される汎用の単純な射出成形機
で成形することにより高い生産性で収納カバーを得るこ
とが出来る。図に従って、本発明の収納カバーの構造を
具体的に説明する。図1は本発明による運転席用エアバ
ッグ装置の収納カバーの一例を示す斜視図である。図5
は本発明による助手席用エアバッグ装置の収納カバーの
一例を示す斜視図である。図8は本発明による助手席用
エアバッグ装置の収納カバーの他の例を示す図6と同様
の断面を示す模式図である。図9は図8に示す収納カバ
ーの図7と同様の断面を示す模式図である。
【0059】収納カバーの天面は、図1に示すようなH
字状、図5に示すようなコの字状、その他X字状、放射
状、円弧状、U字状等に設定できる。また、収納カバー
の側壁は、図8、9に示すように設定することが出来
る。脆弱な構造の破断予定部分は、収納カバーの設定さ
れた破断予定線に沿った部分にV字状溝、U字状溝、コ
の字状溝、その他の断面形状の溝を設けたり他の部分の
肉厚より薄くしたり、スリットや切込みを断続的に設け
ることにより実現できる。また、収納カバー表面をシボ
加工することにより表面の耐傷付性をさらに改善するこ
とが出来る。
【0060】
【実施例】以下に実施例、比較例に基づき本発明を更に
詳しく説明するが、本発明はこれにより何ら限定される
ものではない。 <評価方法>はじめに実施例及び比較例において用いら
れた物性評価項目と、その評価方法について以下に説明
する。 〔メルトフローレート(MFR)〕各熱可塑性エラスト
マー組成物のペレット約5gを、真空乾燥器にて70℃
で約12時間真空乾燥させた後、直ちに、直径2.09
0mm、長さ8mmのオリフィスにより、荷重2.16
kg、測定温度230℃のL条件でMFRを測定した。
【0061】〔融点〕各熱可塑性エラストマー組成物約
10mgを、SEIKO電子工業社製の示差熱量計(D
SC−200)を用いて、昇温速度10℃/分の条件
で、窒素雰囲気下(10cc/分)、標準物質との温度
差ΔTの変化を調べて、得られた温度−温度差(ΔT)
曲線から吸熱ピ−クのトップの温度を融点とした。 〔表面硬度〕ショアD硬度を25℃で測定した。 〔曲げ弾性率(MPa)〕JIS−K7203に従っ
て、長さ125mm×幅12.5mm×厚さ3mmの射
出成形試験片を用い、曲げ速度2mm/分の条件で、−
50℃、−40℃、−25℃、0℃、23℃、100℃
の各温度において曲げ弾性率を測定した。
【0062】〔破断強度(MPa)、破断伸び(%)〕
JIS−K6301に従って、長さ20mm×幅3mm
×厚さ2mmの射出成形試験片を用い、25℃で、ヘッ
ドスピード20mm/分の条件で引張試験を行うことに
より測定した。 〔捻り弾性率(kg・f/cm2 )〕捻り弾性率はクラ
ッシュ・バーグ試験機を用い、JIS−K6745の方
法に従って−50℃〜10℃まで測定した。−50℃に
おける弾性率を示す。
【0063】〔収納カバーの展開性能〕鉄製の取付金具
(リテーナー)にエアバッグと収納カバーを取り付け、
更にガス発生器を取り付けてエアバッグ装置を組み立て
る。次にこのエアバッグ装置を展開温度(−40℃、室
温(23℃)あるいは90℃)の空気恒温槽に入れ、内
温が安定してから更に2時間放置した後エアバッグを取
り出し、架台に取付け通電し展開する(空気恒温槽から
エアバッグ装置を取り出してから一分以内に通電す
る。)。収納カバーが破断片を発生することなく破断予
定部分で開裂しエアバッグが展開すれば収納カバーの展
開性は良好とする。
【0064】〔表面耐傷付性〕荷重を340gとして鉛
筆硬度(9B〜9H)にて評価した。なお、ポリエーテ
ルエステルブロック共重合体のソフトセグメントに用い
るポリオキシアルキレングリコールとしては、以下に示
す二種類を使用した。(a)ネオペンチルグリコール共
重合ポリ(テトラメチレンオキシ)グリコール(TとN
との共重合体で両末端がアルコール性水酸基であるも
の):旭化成工業(株)製、Mn=1480、Mv/M
n=1.73、N含率=18.3モル%(b)ポリ(テ
トラメチレンオキシ)グリコール:保土ヶ谷化学(株)
製、PTG−1, 800、Mn=1828、Mv/Mn
=2.11
【0065】(実施例1)15リットルの三菱重工業
(株)製円錐型リアクタ−(VCR)に、ジメチルテレ
フタレート(三菱化成(株)製、以下同じ)2490
g、1,4−ブタンジオール(和光純薬(株)製、試薬
特級、以下同じ)1730g、(a)のポリオキシアル
キレングリコールを2050g、イルガノックス101
0(チバガイギー社製)15gを仕込み、窒素置換後、
窒素雰囲気下で200℃まで昇温した。次いでテトライ
ソプロポキシチタネート(東京化成社製試薬1級、以下
同じ)を1.5g添加した。そして、200℃に30分
間保持した後に230℃まで昇温し、回転数150rp
mで撹拌しながら2時間かけてエステル交換反応を行っ
た。留出してきたメタノール量は理論量の94%であっ
た。次いで温度を250℃にし、回転数50rpmで撹
拌しながら30分かけて0.5mmHgまで減圧し、そ
の後約3時間かけて、トルク上昇が起こらなくなるまで
縮合反応を行った。
【0066】リアクターの内容物を下部より抜きだした
ところ、ポリエーテルエステルブロック共重合体が透明
な粘調重合体として得られた。これをストランドカッテ
ィングすることでペレット化し、70℃で12時間真空
乾燥した。このペレット100重量部に対し、カーボン
ブラックマスターペレット(ロイヤルブラックRB90
05)を1重量部、イルガノックス1010を0.1重
量部、ジラウリルチオプロピオネート(DLTP、吉富
製薬(株)製)を0.15重量部、及びチヌビン327
(チバガイギー社製)を0.1重量部それぞれ230
℃、押出機で溶融ブレンドすることで熱可塑性エラスト
マー組成物を得た。この熱可塑性エラストマー組成物の
曲げ弾性率は150MPa、表面硬度はショアD硬度で
56であった。射出成形した試験片の物性評価一覧を表
1に示した。次に、この熱可塑性エラストマー組成物の
ペレットを射出成形し、複数の運転席用エア−バッグ装
置の収納カバーを得た。成形サイクルは80秒であり、
得られた収納カバーを使って組み立てたエアバッグ装置
の−40℃、常温(23℃)、90℃での展開性能をま
とめて表1に示す。
【0067】実施例1の収納カバーの形状を図1〜図4
を参照して以下具体的に説明する。図1は本発明による
運転席用エアバッグ装置の収納カバーの一例を示す斜視
図である。図2は図1のII−II線による収納カバー
の断面を示す模式図である。図3は図2の収納カバーの
V字状溝の拡大断面を示す模式図である。図4は図2の
収納カバーのU字状溝の拡大断面を示す模式図である。
図1に示すように、収納カバーはリテーナー(図字せ
ず)に取り付けるためのボルト穴9を有するフランジ5
を周囲に有し、一方が開き、内側にエアバッグを収納で
きる空間8を有する箱状に形成されており、天面2に脆
弱な構造の破断予定部分3が図1の点線で示すようにH
字状に配設され、天面2の二個所に図1の点線で示すよ
うにヒンジ部4が配設されている。
【0068】破断予定部分3は図2及び図3に示すよう
に天面2の裏側の破断形状がV字状のV溝6により形成
されている。ヒンジ部4は図2、図4に示すように天面
2の裏側の断面形状がU字状のU溝7により形成されて
いる。エアバッグ(図字せず)が膨張すると収納カバー
1は破断予定部分3で破断し、二つの扉2a、2bがそ
れぞれヒンジ部4を軸に展開し、エアバッグが放出され
膨張する。破断予定部分3の寸法はH字の縦の二本の棒
に相当する部分が12cm、横の棒に相当する部分が1
5cmであり、破断予定部分の肉厚が0.5mm、ヒン
ジ部の肉厚が1.9mm、その他の部分は3mmであ
る。また、実施例1の収納カバーは最大型締力150k
g/cm2 、最大射出圧力60kg/cm2 の汎用型射
出成形機に上記収納カバー用金型を取付け、運転温度2
00〜230℃で成形した。また、実施例1では内容積
60リットルのエアバッグを使用し、ガス発生量が約1
モルであるガス発生器1個を使用した。
【0069】(実施例2)実施例1で仕込の(a)のポ
リオキシアルキレングリコールを1560g仕込んだ以
外は同様に、エステル交換反応と縮合反応を行った。添
加剤の種類及び調合比率も実施例1同様に行い、得られ
た熱可塑性エラストマー組成物の曲げ弾性率は200M
Pa、表面硬度はショアD硬度で61であった。同様に
射出成形した試験片の物性評価一覧を表1に示した。次
に、この熱可塑性エラストマー組成物のペレットを実施
例1と同様に射出成形して複数の収納カバーを使って組
み立てたエアバッグ装置の−40℃、常温(23℃)、
90℃の展開性を表1に示した。
【0070】(実施例3)実施例1で仕込の(a)のポ
リオキシアルキレングリコールを1020g仕込んだ以
外は同様に、エステル交換反応と縮合反応を行った。添
加剤の種類及び調合比率も実施例1同様に行い、得られ
た熱可塑性エラストマー組成物の曲げ弾性率は310M
Pa、表面硬度はショアD硬度で65であった。同様に
射出成形した試験片の物性評価一覧を表1に示した。ま
た、実施例1と同様に射出成形して複数の収納カバーを
使って組み立てたエアバッグ装置の−40℃、常温(2
3℃)、90℃の展開性を表1に示した。
【0071】(実施例4)実施例2で使用したものと同
じ熱可塑性エラストマー組成物のペレットを射出成形し
て下記に示す複数の助手席用エアバッグ装置の収納カバ
ーを得た。成形サイクルは65秒であった。得られた収
納カバーを使って組み立てたエアバッグ装置の−40
℃、常温(23℃)、90℃での展開性はいずれも良好
であった。同様に射出成形した試験片の物性評価一覧を
表1に示した。また、実施例1と同様に射出成形して複
数の収納カバーを使って組み立てたエアバッグ装置の−
40℃、常温(23℃)、90℃の展開性を表1に示し
た。
【0072】図5は本発明による助手席用エアバッグ装
置の収納カバーの一例を示す斜視図である。図6は図5
のVI−VI線による収納カバーの断面を示す模式図で
ある。図7は図5のVII−VII線による収納カバー
の断面を示す模式図である。なお、この実施例4の収納
カバーの形状を図5、図6及び図7に示す。即ち、収納
カバー11は天板12と四枚の側壁18とからなる。天
板12は側壁18の外側まで庇状に張り出しており、側
壁は下端外周につば15がつけられている。収納カバー
11は側壁18に配置されている穴19を使ってリテー
ナー(図字せず)に取り付けることが出来、リテーナー
にはガス発生器(図字せず)が取り付けられる。
【0073】収納カバーの天板12、側壁18、リテー
ナー、ガス発生器で形成される空間にエアバッグ(図字
せず)を収納することが出来る。脆弱な構造の破断予定
部分13、13’が図5、図6、図7に示すように天面
12の側壁18より内側に配設され、ヒンジ部14が図
5、図6に示すように配設されている。破断予定部分1
3、13’は図5、6に示すように配設されている。破
断予定部分13、13’は図6、図7に示すように天板
12の裏側の断面形状がV字状のV溝16、16’によ
り形成されている。ヒンジ部14は図6に示すように天
板12の裏側の断面形状がU字状のU溝17により形成
されている。
【0074】エア−バッグが膨張すると収納カバー11
は破断予定部分13、13’で破断し、破断予定部1
3、13’とヒンジ部で囲まれる部分12aがヒンジ部
14を軸として展開し、エアバッグが放出され膨張する
ことになっている。収納カバー11の寸法は、(イ)天
板12の長辺34cm、短辺14cm、厚さ3mm、
(ロ)側壁18の長辺約28cm、短辺約10cm、高
さ約6.8cm、厚さ約3mm、(ハ)破断予定部の肉
厚0.5mm、(ニ)ヒンジ部の肉厚1.9mmであ
る。また、実施例4の収納カバーは最大型締力215k
g/cm2 、最大射出圧力60kg/cm2 の汎用型射
出成形機に上記収納カバー用金型を取付け、運転温度2
00〜230℃で成形した。また、実施例4では内容積
120リットルのエアバッグを使用し、ガス発生量が約
1モルであるガス発生器2個を使用した。
【0075】
【表1】
【0076】(比較例1)東洋紡績社製のポリエーテル
エステルブロック共重合体であるペルプレン( 登録商
標) P−150U(ソフトセグメント:ポリ(テトラメ
チレンオキシ)グリコール)に実施例1と同じ配合で添
加剤を添加し、押出機で溶融ブレンドすることで曲げ弾
性率270MPa表面硬度59(ショアD硬度)の熱可
塑性エラストマー組成物を得た。同様に射出成形した試
験片の物性評価一覧を表2に示した。また、実施例1と
同様に射出成形して複数の収納カバーを使って組み立て
たエアバッグ装置の−40℃、常温(23℃)、90℃
の展開性を表2に示した。
【0077】( 比較例2)GE(ゼネラルエレクトリッ
ク)社製のポリエーテルエステルブロック共重合体であ
るLOMOD( 登録商標) B0320(ソフトセグメン
ト:ポリ(プロピレンオキシ)グリコールジイミドジ
酸)に実施例1と同じ配合で添加剤を添加し、押出機で
溶融ブレンドすることで曲げ弾性率240MPa表面硬
度57(ショアD硬度)の熱可塑性エラストマー組成物
を得た。射出成形した試験片の物性評価一覧を表2に示
した。また、実施例1と同様に射出成形して複数の収納
カバーを使って組み立てたエアバッグ装置の−40℃、
常温(23℃)、90℃の展開性を表2に示した。
【0078】(比較例3)実施例1で仕込の(a)のポ
リオキシアルキレングリコールを3000g仕込んだ以
外は同様に、エステル交換反応と縮合反応を行った。添
加剤の種類及び調合比率も実施例1同様に行い、得られ
た熱可塑性エラストマー組成物の曲げ弾性率は65MP
a、表面硬度はショアD硬度で47であった。同様に射
出成形した試験片の物性評価一覧を表2に示した。ま
た、実施例1と同様に射出成形して複数の収納カバーを
使って組み立てたエアバッグ装置の−40℃、常温(2
3℃)、90℃の展開性を表2に示した。
【0079】(比較例4)仕込の(a)のポリオキシア
ルキレングリコールを800gにした以外は実施例1と
同様に行った。この熱可塑性エラストマー組成物の曲げ
弾性率は420MPa、表面硬度はショアD硬度で71
であった。射出成形した試験片の物性評価一覧を表2に
示した。また、この熱可塑性エラストマー組成物のペレ
ットを射出成形し、複数の運転席用エアバッグ装置の収
納カバーを得た。この収納バッグの−40℃、常温(2
3℃)、90℃での展開性能を表2に示した。
【0080】
【表2】
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、−50
℃より低い脆化温度と120℃を越える熱変形温度を有
し、曲げ弾性率の温度変化が小さく、耐油・耐薬品性に
優れ、かつ熱や光に対する耐久性が優れる、特定の構造
を有する熱可塑性ポリエーテルエステルブロック共重合
体組成物よりなるエアバッグカバーを提供するものであ
る。特定の熱可塑性エラストマー組成物を射出成形法に
より成形することを採用し、脆弱な構造の破断予定部分
を配設したことにより、耐久性に優れ、優れた感触を有
し、広い温度範囲で確実に展開できるばかりではなく、
高生産性、塗装レスが可能となり、低コストが実現され
るエアバッグ収納カバーを実現した。特に、高剛性であ
っても低温特性に優れるため、肉薄化によるコストダウ
ンが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による運転席用エアバッグ装置の収納カ
バーの一例を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線による収納カバーの断面を
示す模式図である。
【図3】図2の収納カバーのV字状溝の拡大断面を示す
模式図である。
【図4】図2の収納カバーのV字状溝の拡大断面を示す
模式図である。
【図5】本発明による助手席用エアバッグ装置の収納カ
バーの一例を示す斜視図である。
【図6】図5のVI−VI線による収納カバーの断面を
示す模式図である。
【図7】図5のVII−VII線による収納カバーの断
面を示す模式図である。
【図8】本発明による助手席用エアバッグ装置の収納カ
バーの他の例を示す図6と同様の断面を示す模式図であ
る。
【図9】図8に示す収納カバーの図7と同様の断面を示
す模式図である。
【符号の説明】
1、11、21・・・収納カバー 2・・・天面 2a・・・扉 3、13、13’、23、23’・・・破断予定部分 4、14、24・・・ヒンジ部 5・・・フランジ 6、16、16’、26、26’・・・V溝 7、7’、17、27・・・U溝 8・・・空間 9・・・穴 12、22・・・天板 12a・・・天板の開口部 18・・・側板 19・・・穴
フロントページの続き Fターム(参考) 3D054 AA02 AA03 AA13 AA14 BB02 BB09 BB23 BB24 BB30 FF01 FF02 FF04 FF18 FF20 4F071 AA47 AE05 AF17Y AF20Y AF25Y AH07 BA01 BB05 BC04 BC10 BC17 4J002 CF101 DH026 EE037 EU078 EU177 EW046 FD048 FD057 FD066 GN00 4J029 AA03 AB07 AC03 AD01 AE01 BA02 BA03 BA04 BA05 BA10 BB13A BD06A BD07A BD09A BD10 BE01 BF26 BH02 CA02 CA04 CA06 CA09 CB04A CB05A CB06A CB10A CB11A CC05A CC06A CD03 CH02 DB02 DB13 HA01 HB01 JA253 JB133 JB153 JC263 JC313 JC333 JC343 JC483 JC583 JC593 JC633 JF373

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内側にエアバッグ収納用凹部を有すると
    共に脆弱な構造の破断予定部を有する収納カバーであっ
    て、次の(a)、(b)及び(c)成分とを共重合して
    なるポリエーテルエステルブロック共重合体100重量
    部に対し、添加剤0.01〜5重量部配合してなり、し
    かも曲弾性率が120〜400MPa、ショアD硬度が
    56〜70である熱可塑性エラストマー組成物の射出成
    形体であることを特徴とするエアバッグ装置の収納カバ
    ー。 (a)短鎖ジカルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸及び
    そのエステル形成性誘導体であるジカルボン酸成分 (b)短鎖ジオール成分が脂肪族ジオール及びそのエス
    テル形成性誘導体である短鎖ジオール成分 (c)長鎖ジオール成分が下式(1)に示すネオペンチ
    レンオキシド構造単位(以下「N」と略す)と下式
    (2)に示すテトラメチレンオキシド構造単位(以下
    「T」と略す)よりなり、Nの比率が5〜50モル%で
    あるポリエーテルであって、両末端がアルコール性水酸
    基であり、数平均分子量が400〜6,000のポリエ
    ーテルグリコールである長鎖ジオール成分 【化1】
  2. 【請求項2】 添加剤が熱安定剤及び紫外線吸収剤と光
    安定剤から選ばれる添加剤のうち少なくとも一つからな
    ることを特徴とする請求項1記載のエアバッグ装置の収
    納カバー。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100508831B1 (ko) * 2002-12-09 2005-08-18 주식회사 코오롱 고내구성 열가소성 폴리에테르에스테르 엘라스토머수지조성물 및 이로부터 제조된 차량용 에어백 장치용 커버

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100508831B1 (ko) * 2002-12-09 2005-08-18 주식회사 코오롱 고내구성 열가소성 폴리에테르에스테르 엘라스토머수지조성물 및 이로부터 제조된 차량용 에어백 장치용 커버

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