JP2001151831A - グラフト共重合体及び組成物 - Google Patents

グラフト共重合体及び組成物

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JP2001151831A JP33856299A JP33856299A JP2001151831A JP 2001151831 A JP2001151831 A JP 2001151831A JP 33856299 A JP33856299 A JP 33856299A JP 33856299 A JP33856299 A JP 33856299A JP 2001151831 A JP2001151831 A JP 2001151831A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗膜としたときに長期間に亘って優れた撥水
性、撥油性及び耐汚染性を維持できる新規のグラフト共
重合体及びそれを含有する組成物を提供する。 【構成】 グラフト共重合体は、(A)ウレタン結合を
介してラジカル重合性不飽和結合部分を有する有機溶剤
可溶性フッ素樹脂2〜66重量%、(B)片末端ラジカ
ル重合性ポリシロキサン4〜40重量%、(C)分子内
に1個のラジカル重合性二重結合と少なくとも1個のフ
ルオロアルキル基を有するラジカル重合性単量体1〜5
0重量%、及び成分(A)、(B)、及び(C)以外の
ラジカル重合性単量体4〜93重量%を共重合してな
り、組成物はこのグラフト共重合体を含有してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グラフト共重合体
及びそのグラフト共重合体を含有する組成物に関する。
本発明によるグラフト共重合体及びそのグラフト共重合
体を含有する組成物から得られた塗膜は、長期間に亘っ
て優れた撥水性、撥油性及び耐汚染性を維持することが
できる
【0002】
【従来の技術】近年、特に高層建築物、車輌の外装面等
において美観を保つためや清掃作業の省力化等の観点か
ら、塗膜のメインテナンスフリーが求められている。こ
のような用途には、従来よりアクリルウレタン樹脂とし
て知られる硬化型アクリル樹脂が用いられてきたが、塗
膜の耐久性はあまり良好ではなく、表面がチョーキング
したり黄変するといった問題点があった。このために頻
繁に塗膜の剥離あるいは塗り替え作業が必要となる等メ
インテナンスフリーにはほど遠かった。
【0003】塗膜の耐久性を向上させるために、特開昭
57−34107号公報、特開昭61−57609号公
報に代表されるような有機溶剤可溶性フッ素樹脂が挙げ
られ、広く使用されるようになってきた。しかし、この
有機溶剤可溶性フッ素樹脂は、表面がチョーキングした
り黄変するといった点と初期の耐汚染性については解決
されているが、その撥水性、撥油性はあまり高いとはい
えない。また、屋外に曝露されることによって意外にも
経時的に撥水性、撥油性が更に低下してしまい、このた
めに耐汚染性が徐々に低下するという問題点がある。
【0004】塗膜に耐汚染性を付与できる樹脂として近
年、アクリルシリコン型と呼ばれる樹脂が市場に現れ
た。この樹脂は一般的に、親水性塗膜を形成し雨水によ
って表面に付着した汚れを洗い流すものである。このア
クリルシリコン型樹脂は耐汚染性の観点からは比較的良
好な性能を示すが、例えば寒冷地の建築物、車両等にお
いては表面が親水的であるために氷や雪が付着してしま
い容易に除去できなかったり、道路標識、看板等におい
ては視認性が極端に悪化するといった問題点があった。
【0005】この問題を解決するものとして、特願平1
0−291981号公報に疎水的塗膜を形成する樹脂が
記載されている。この樹脂は表面が疎水的であるために
前記のようなおそれもなく、耐汚染性も十分な性能を示
している。しかし、この樹脂はあまり露光を受けない室
内等の環境で使用している限りは十分な性能を維持する
が、屋外(日光)曝露環境におかれたとき前記溶剤可溶
性フッ素樹脂と同様に、経時的に撥水性、撥油性が低下
し、このために耐汚染性が徐々に低下するという問題が
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような状況下
で、本発明の解決しようとしている課題は、屋外(日
光)曝露環境下で長期間に亘って撥水性、撥油性の低下
がなく、優れた耐汚染性を維持できる塗膜を得るための
グラフト共重合体、及びこのグラフト共重合体を含有し
てなる組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、本発明に
より、(A) ウレタン結合を介してラジカル重合性不
飽和結合を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(以下、単
にラジカル重合性フッ素樹脂と称することがある)2〜
66重量%、(B) 下記一般式(1):
【化3】 (式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化
水素基であり、R、R 、R、R、及びRは互
いに同一でも異なっていてもよい水素原子又は炭素原子
数1〜10の炭化水素基であり、nは2以上の整数であ
る。)で示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン
及び/又は、下記一般式(2):
【化4】 (式中、Rは水素原子または炭素原子数1〜10の炭
化水素基であり、R、R、R10、R11、及びR
12は互いに同一でも異なっていてもよい水素原子また
は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、pは0〜1
0の整数であり、qは2以上の整数である。)で示され
る片末端ラジカル重合性ポリシロキサン4〜40重量
%、及び(C) 分子内に1個のラジカル重合性二重結
合と少なくとも1個のフルオロアルキル基を有するラジ
カル重合性単量体 1〜50重量%、及び(D) 成分
(A)、(B)、及び(C)以外のラジカル重合性単量
体(以下、単に非反応性ラジカル重合性単量体と称する
ことがある)4〜93重量%、(但し(A)〜(D)成
分は、それらの和が100重量%となる値をとる)を共
重合してなるグラフト共重合体によって解決することが
できる。
【0008】また、本発明は、前記のグラフト共重合体
を含有することを特徴とする組成物に関する。本発明に
よる前記のグラフト共重合体を用いた組成物から得られ
る塗膜は、屋外(日光)曝露環境下でも長期間に亘って
撥水性、撥油性の低下がなく、このために耐汚染性に優
れる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明のグラフト共重合体
及びこのグラフト共重合体を含有する組成物について詳
細に説明する。本発明に用いられるウレタン結合を介し
てラジカル重合性不飽和結合部分を有する有機溶剤可溶
性フッ素樹脂(A)、即ち、ラジカル重合性フッ素樹脂
(A)は、例えば、水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ
素樹脂(A−1)とイソシアネート基を有するラジカル
重合性単量体(A−2)を反応させることによって得る
ことができる。
【0010】前記の水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ
素樹脂(A−1)は、その構成成分として少なくとも水
酸基含有単量体部分とポリフルオロパラフィン部分とを
含むものであれば特に限定されるものではないが、例え
ば、繰り返し単位として少なくとも、一般式(3):
【化5】 (式中、R21及びR22は、各繰り返し単位毎に独立
して、かつ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハ
ロゲン原子(例えばフッ素原子、又は塩素原子)、炭素
数1〜10のアルキル基(例えば、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基又はヘキシル基)、炭素数6
〜10のアリール基(例えば、フェニル基)、ハロゲン
原子(例えばフッ素原子、又は塩素原子)で1個又は複
数個置換された炭素数1〜10のアルキル基(例えば、
トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチ
ル基、トリクロロメチル基)、あるいはハロゲン原子
(例えばフッ素原子、又は塩素原子)で1個又は複数個
置換された炭素数6〜10のアリール基(例えば、ペン
タフルオロフェニル基)である)で表される繰り返し単
位、及び少なくとも、一般式(4):
【化6】 (式中、R23は、各繰り返し単位毎に独立して、水素
原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、又は塩素原
子)、炭素数1〜10のアルキル基(例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はヘキシル
基)、炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル
基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、又は塩素原
子)で1個又は複数個置換された炭素数1〜10のアル
キル基(例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−
トリフルオロエチル基、トリクロロメチル基)、あるい
はハロゲン原子(例えばフッ素原子、又は塩素原子)で
1個又は複数個置換された炭素数6〜10のアリール基
(例えば、ペンタフルオロフェニル基)であり、R24
は、繰り返し単位毎に独立して、OR25a基、CH
OR 5b基、COOR25c基から選択した2価の基
であり、R25a、R25b、及びR25cは、OとO
Hの間に位置し炭素数1〜10のアルキレン基(例え
ば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラ
メチレン基、又はヘキサメチレン基)、炭素数6〜10
のシクロアルキレン基(例えば、シクロヘキシレン
基)、炭素数2〜10のアルキリデン基(例えばイソプ
ロピリデン基)、及び炭素数6〜10のアリーレン基
(例えば、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基)
から選択した2価の残基である)で表される繰り返し単
位を含むものであることができる。更に、前記の水酸基
を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)は、その
構成成分として、例えば、一般式(5):
【化7】 (式中、R26は、各繰り返し単位毎に独立して、水素
原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、又は塩素原
子)、炭素数1〜10のアルキル基(例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はヘキシル
基)、炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル
基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、又は塩素原
子)で1個又は複数個置換された炭素数1〜10のアル
キル基(例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−
トリフルオロエチル基、トリクロロメチル基)、あるい
はハロゲン原子(例えばフッ素原子、又は塩素原子)で
1個又は複数個置換された炭素数6〜10のアリール基
(例えば、ペンタフルオロフェニル基)であり、R27
は、繰り返し単位毎に独立して、OR28a基又はOC
OR 8b基であり、R28a及びR28bは、水素原
子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、又は塩素原
子)、炭素数1〜20のアルキル基(例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はヘキシル
基)、炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル
基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、又は塩素原
子)で1個又は複数個置換された炭素数1〜10のアル
キル基(例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−
トリフルオロエチル基、トリクロロメチル基)、あるい
はハロゲン原子(例えばフッ素原子、又は塩素原子)で
1個又は複数個置換された炭素数6〜10のアリール基
(例えば、ペンタフルオロフェニル基)である)で表さ
れる繰り返し単位を含むことができる。この一般式
(5)で表される繰り返し単位を含むことにより、有機
溶剤に対する溶解性を向上させることができる。
【0011】前記の水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ
素樹脂(A−1)の水酸基価は、5〜250であること
が好ましく、10〜200であることがより好ましく、
20〜150であることが更に好ましい。水酸基価が5
未満であると、イソシアネート基を有するラジカル重合
性単量体(A−2)の導入量が少なくなるために反応混
合物に濁りが生じたり、経時的に二層分離したりするこ
とがある。一方、水酸基価が250を越えると後述の片
末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B)との相溶性が
悪化し、グラフト共重合が進行しなくなる場合がある。
前記水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−
1)は酸価を有していてもよい。即ち、遊離カルボキシ
ル基を有していることによって基材に対する塗膜の接着
性が向上し、かつ、後述のメラミン、イソシアネートプ
レポリマー、ブロック化イソシアネートプレポリマー等
の硬化剤と組み合わせたときの反応率が上昇するため、
塗膜硬度、撥水性、撥油性が向上し、結果として耐汚染
性が向上するので好ましい。
【0012】本発明で用いる水酸基を有する有機溶剤可
溶性フッ素樹脂(A−1)は公知の方法で調製すること
ができるが、市販品を用いることもできる。市販品とし
ては、ルミフロンLF−100、LF−200、LF−
302、LF−400、LF−554、LF−600、
LF−986N(旭硝子社製)、セフラルコートPX−
40、A606X、A202B、CF−803(セント
ラル硝子社製)、ザフロンFC−110、FC−22
0、FC−250、FC−275、FC−310、FC
−575、XFC−973(東亞合成社製)、ゼッフル
GK−510(ダイキン工業社製)又はフルオネートシ
リーズ(大日本インキ化学工業社製)等を挙げることが
できる。前記の水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹
脂(A−1)は、単独で使用するか又は2種類以上を混
合して使用することができる。
【0013】イソシアネート基を有するラジカル重合性
単量体(A−2)は、イソシアネート基とラジカル重合
性を有する部分とを含むものであれば特に限定されるも
のではないが、好適なイソシアネート基を有するラジカ
ル重合性単量体(A−2)としては、例えば一般式
(6):
【化8】 (式中、R31は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化
水素基、例えば炭素数1〜10のアルキル基(例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基又はヘキシル基)、炭素数6〜10のアリール基(例
えば、フェニル基)、又は炭素数3〜10のシクロアル
キル基(例えばシクロヘキシル基)であり、R32は酸
素原子又は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭
化水素基、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基(例
えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テト
ラメチレン基、又はヘキサメチレン基)、炭素数2〜1
0のアルキリデン基(例えばプロピリデン基)、炭素数
6〜10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、トリ
レン基、又はキシリレン基)、又は炭素数3〜10のシ
クロアルキレン基(例えばシクロヘキシレン基)であ
る)で表されるラジカル重合性単量体、あるいは一般式
(7):
【化9】 (式中、R41は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化
水素基、例えば炭素数1〜10のアルキル基(例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基又はヘキシル基)、炭素数6〜10のアリール基(例
えば、フェニル基)、又は炭素数3〜10のシクロアル
キル基(例えばシクロヘキシル基)であり、R42は酸
素原子又は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭
化水素基、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基(例
えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テト
ラメチレン基、又はヘキサメチレン基)、炭素数2〜1
0のアルキリデン基(例えばプロピリデン基)、炭素数
6〜10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、トリ
レン基、又はキシリレン基)、炭素数7〜10のアルキ
リデン−1,4−フェニレン基(例えば、イソプロピリ
デン−1,4−フェニレン基)、又は炭素数3〜10の
シクロアルキレン基(例えばシクロヘキシレン基)であ
る)で表されるラジカル重合性単量体を用いるのが好ま
しい。
【0014】前記のイソシアネート基を有するラジカル
重合製単量体(A−2)としては、メタクリロイルイソ
シアネート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、
又はm−若しくはp−イソプロペニル−α,α−ジメチ
ルベンジルイソシアネートの1種又は2種以上を用いる
のが好ましい。
【0015】前記の水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ
素樹脂(A−1)と前記のイソシアネート基を有するラ
ジカル重合性単量体(A−2)とから前記のラジカル重
合性フッ素樹脂(A)を調製する反応では、前記のイソ
シアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)
を、前記の水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂
(A−1)の水酸基1当量あたり、好ましくは0.00
1モル以上0.1モル未満の量、より好ましくは0.0
1モル以上0.08モル未満の量で反応させる。このイ
ソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−
2)が0.001モル未満であるとグラフト共重合が困
難となり、反応混合物が濁りが生じたり、経時的に二層
分離したりすることがあり好ましくない。また、0.1
モル以上であるとグラフト共重合の際にゲル化が起こり
やすくなり好ましくない。また、水酸基を有する有機溶
剤可溶性フッ素樹脂(A−1)とイソシアネート基を有
するラジカル重合性単量体(A−2)の反応は、無触媒
下あるいは触媒存在下、室温〜100℃で行うことがで
きる。
【0016】こうして得られた成分(A)は、使用する
成分全量に対して2〜66重量%、好ましくは3〜50
重量%の範囲で用いられる。2重量%未満とすると塗膜
としたときの撥水性、撥油性が低下することがあり、6
6重量%を越えるとグラフト共重合時にゲル化すること
がある。
【0017】本発明においては、片末端ラジカル重合性
ポリシロキサン(B)として、前記一般式(1)で示さ
れる単量体を用いることができる。前記一般式(1)中
のR は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基で
ある。本明細書において炭素数1〜10の炭化水素基と
は、例えば、炭素数1〜10のアルキル基(例えばメチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基)、炭素数6〜10のアリール基(例えばフ
ェニル基)、又は炭素数3〜10のシクロアルキル基
(例えばシクロヘキシル基)を表すものとする。R
は、好ましくは水素原子、メチル基である。また、前
記一般式(1)中のR、R、R、R、Rは互
いに同一でも異なっていてもよい。R、R、R
は、それぞれ独立してメチル基、フェニル基である
ことが好ましく、Rはメチル基、ブチル基、又はフェ
ニル基であることが好ましい。また、前記一般式(1)
中のnは2以上の整数であり、好ましくは10以上の整
数、より好ましくは30以上の整数である。
【0018】また、本発明においては、片末端ラジカル
重合性ポリシロキサン(B)として、前記一般式(2)
で示される単量体を用いることもできる。前記一般式
(2)において、Rは水素原子または炭素原子数1〜
10の炭化水素基であり、好ましくは水素原子、メチル
基である。また、前記一般式(2)中のR、R、R
10、R11、R12は互いに同一でも異なっていても
よい。R、R、R 、R11はそれぞれ独立して
メチル基、フェニル基であることが好ましく、R 12
メチル基、ブチル基、又はフェニル基であることが好ま
しい。また前記一般式(2)中のpは0〜10の整数で
あり、好ましくは3である。また、前記一般式(2)中
のqは2以上の整数であり、好ましくは10以上の整
数、より好ましくは30以上の整数である。
【0019】このような片末端ラジカル重合性ポリシロ
キサン(B)は公知の方法で調製することができるが、
市販品を用いることもできる。市販品として、例えば、
サイラプレーンFM−0711(数平均分子量100
0;チッソ社製)、サイラプレーンFM−0721(数
平均分子量5000;チッソ社製)、サイラプレーンF
M−0725(数平均分子量10000;チッソ社
製)、X−22−174DX(数平均分子量4600;
信越化学工業社製)等を挙げることができる。
【0020】本発明においては、前記一般式(1)で表
される片末端ラジカル重合性ポリシロキサンを単独で又
は2種類以上混合して、あるいは前記一般式(2)で表
される片末端ラジカル重合性ポリシロキサンを単独で又
は2種類以上混合して使用することができ、更には前記
一般式(1)で表される片末端ラジカル重合性ポリシロ
キサンの1種若しくはそれ以上と前記一般式(2)で表
される片末端ラジカル重合性ポリシロキサンの1種若し
くはそれ以上とを混合して使用することができる。
【0021】これらの片末端ラジカル重合性ポリシロキ
サン(B)は、使用する成分全量に対して4〜40重量
%、好ましくは5〜30重量%の範囲で用いられる。4
重量%未満とすると所期の目的である撥水性、撥油性が
不十分となり、結果的に耐汚染性が不十分となることが
あり、40重量%を越えると重合後の未反応単量体成分
が多くなり、塗膜の軟化、未反応単量体成分のブリード
等好ましくない事態を招くことがある。
【0022】本発明における、分子内に1個のラジカル
重合性二重結合と少なくとも1個のフルオロアルキル基
を有するラジカル重合性単量体(C)としては、特に制
限されるものではないが、例として、パーフルオロブチ
ルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフル
オロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレン、
1−メトキシ−(パーフルオロ−2−メチル−1−プロ
ペン)、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アク
リレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピ
ル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)
エチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロブチル
−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−
(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレー
ト、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチ
ル)エチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロオ
クチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリ
レート、3−パーフルオロデシル−2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−3−
メチルブチル)エチル(メタ)アクリレート、3−(パ
ーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−3−
メチルヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−
(パーフルオロ−3−メチルオクチル)エチル(メタ)
アクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルデシ
ル)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0023】このような分子内に1個のラジカル重合性
二重結合と少なくとも1個のフルオロアルキル基を有す
るラジカル重合性単量体(C)は公知の方法で調製する
ことができるが、市販品を用いることもできる。市販品
としては、例えば、アクリエステル3FE、4FE、5
FE、8FE、17FE(三菱レイヨン社製)、ビスコ
ート3F、3FM、4F、8F、8FM(大阪有機化学
工業社製)、ライトエステルM−3F、M−4F、M−
6F、FM−108、ライトアクリレートFA−108
(共栄社化学社製)、M−1110、M−1210、M
−1420、M−1620、M−1633、M−182
0、M−1833、M−2020、M−3420、M−
3433、M−3620、M−3633、M−382
0、M−3833、M−4020、M−5210、M−
5410、M−5610、M−5810、M−721
0、M−7310、R−1110、R−1210、R−
1420、R−1433、R−1620、R−163
3、R−1820、R−1833、R−2020、R−
3420、R−3433、R−3620、R−363
3、R−3820、R−3833、R−4020、R−
5210、R−5410、R−5610、R−581
0、R−7210、R−7310(ダイキン工業社
製)、HFIP−M、HFIP−A、TFOL−M、T
FOL−A、PFIP−A、HpIP−AE、HFIP
−I(セントラル硝子社製)等を挙げることができる。
【0024】本発明においては、分子内に1個のラジカ
ル重合性二重結合と少なくとも1個のフルオロアルキル
基を有するラジカル重合性単量体(C)は単独で又は2
種類以上を混合して用いることができる。
【0025】これらの成分(C)は、使用する成分全量
に対して1〜50重量%、好ましくは2〜40重量%の
範囲で用いられる。1重量%未満とすると所期の目的で
ある屋外曝露時の撥水性、撥油性の維持が不十分となる
場合があり、50重量%を越えると共重合体の価格があ
まりにも高くなり過ぎ実用的でない。
【0026】成分(A)、(B)、及び(C)以外のラ
ジカル重合性単量体(D)、即ち、前記の非反応性ラジ
カル重合性単量体(D)とは少なくとも、ラジカル重合
の際の条件下で、前記のラジカル重合性フッ素樹脂
(A)とラジカル重合以外の反応をしない官能基を有し
ていてもよいということを意味する。このような官能基
としては、具体的には、例えば、ハロゲン原子(例え
ば、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子)、炭素数1
〜20のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ラウリル基、又はス
テアリル基)、炭素数6〜10のアリール基(例えば、
フェニル基、トリル基、又はキシリル基)、又はアルキ
ル部分の炭素数が1〜10でアリール部分の炭素数が6
〜10のアラルキル基(例えば、ベンジル基)、(前出
のアルキル基、アリール基、及びアラルキル基をまとめ
て、以下単に“炭化水素基R”と称することがある)、
水酸基1個は複数個を有する前記炭化水素基R(例え
ば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロ
キシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、ヒ
ドロキシブチル基、ヒドロキシフェニル基、又は4−ヒ
ドロキシメチルフェニル基)、ニトリル基1個又は複数
個を有する前記炭化水素基R(例えば、シアノエチル
基)、エーテル基1個又は複数個を有する前記炭化水素
基R(例えば、メトキシメチル基、エトキシエチル基、
又はメトキシメトキシメチル基)、エステル基1個又は
複数個を有する前記炭化水素基R(例えば、アセトキシ
メチル基)、第3アミノ基1個又は複数個を有する前記
炭化水素基R(例えば、ジメチルアミノメチル基、又は
ジエチルアミノエチル基)、エポキシ基1個又は複数個
を有する前記炭化水素基R(例えば、グリシジル基、又
は3,4−エポキシシクロヘキシルメチル基)、アミド
基1個又は複数個を有する前記炭化水素基R、カルボキ
シル基1個又は複数個を有する前記炭化水素基R(例え
ば、カルボキシメチル基)、ウレタン基1個又は複数個
を有する前記炭化水素基R、尿素基1個又は複数個を有
する前記炭化水素基R、アルコキシシリル基1個又は複
数個を有する前記炭化水素基R(例えば、トリメトキシ
シリルメチル基、又はジメトキシメチルシリルメチル
基)等を挙げることができる。
【0027】一方、前記のラジカル重合の際に、前記の
ラジカル重合性フッ素樹脂とラジカル重合反応以外の反
応をする可能性のある官能基としては、例えば、酸ハロ
ゲン化物(例えば、カルボン酸塩化物、カルボン酸臭化
物、リン酸塩化物、又はスルホン酸塩化物)、酸無水物
(例えば、無水マレイン酸)、イソシアネート化合物等
を挙げることができる。前記の非反応性ラジカル重合性
単量体(D)は、これらの官能基を持つことはできない
が、前記のラジカル重合性フッ素樹脂(A)と前記の条
件下で反応しない任意の官能基を有することができる。
【0028】具体的には、例えば、スチレン、p−メチ
ルスチレン、p−クロロメチルスチレン、又はビニルト
ルエン等のスチレン系単量体;メチル(メタ)アクリレ
ート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メ
タ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メ
タ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレ
ート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキ
シル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ス
テアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)
アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、フ
ェニル(メタ)アクリレート、又はベンジル(メタ)ア
クリレート等の炭化水素基をもつ(メタ)アクリレート
系単量体;酢酸ビニル、安息香酸ビニル、又は分岐状モ
ノカルボン酸のビニルエステル(ベオバ:シェル化学社
製)等のビニルエステル系単量体;アクリロニトリル、
又はメタクリロニトリル等のアクリロニトリル系単量
体;エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテ
ル、i−ブチルビニルエーテル、又はシクロヘキシルビ
ニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;(メタ)ア
クリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、又は
ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド系単量
体;ビニルピリジン、N、N−ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、N、N−ジエチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、N、N−ジメチル(メタ)アク
リルアミド、4−(N、N−ジメチルアミノ)スチレ
ン、又はN−{2−(メタ)アクリロイルオキシエチ
ル}ピペリジン等の塩基性窒素含有ビニル化合物系単量
体;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキ
シシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、又は
3,4−エポキシビニルシクロヘキサン等のエポキシ基
含有ビニル化合物系単量体;(メタ)アクリル酸、アン
ゲリカ酸、クロトン酸、マレイン酸、4−ビニル安息香
酸、p−ビニルベンゼンスルホン酸、2−(メタ)アク
リロイルオキシエタンスルホン酸、又はモノ{2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチル}アシッドホスフェート
等の酸性ビニル化合物系単量体;p−ヒドロキシメチル
スチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブ
チル(メタ)アクリレート、ジ−2−ヒドロキシエチル
フマレート、ポリエチレングリコール若しくはポリプロ
ピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、又はこれ
らのε−カプロラクトン付加物、(メタ)アクリル酸、
クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、若し
くはシトラコン酸のようなα,β−エチレン性不飽和カ
ルボン酸とε−カプロラクトンとの付加物、前記のα,
β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキル
エステル類、又は前記のα,β−エチレン性不飽和カル
ボン酸とブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジ
ルエーテル、分岐状カルボン酸グリシジルエステル(カ
ージュラE;シェル化学社製)のようなエポキシ化合物
との付加物等の水酸基含有ビニル化合物系単量体;ビニ
ルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシエチルト
リメトキシシラン、γ−メタクリルオキシエチルメチル
ジメトキシシラン等のシラン化合物系単量体;エチレ
ン、プロピレン等のオレフィン系単量体;塩化ビニル、
塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、テトラフ
ルオロエチレン、又はクロロトリフルオロエチレン等の
ハロゲン化オレフィン系単量体;その他マレイミド、ビ
ニルスルホン等を挙げることができる。
【0029】前記の非反応性ラジカル重合性単量体
(D)としては、前記の単量体を単独で用いても、ある
いは2種類以上を混合して用いてもよく、主として共重
合性及び耐黄変性の観点から(メタ)アクリレート系が
好ましく用いられる。
【0030】前記の成分(D)は、使用する成分全量に
対し4〜93重量%、好ましくは20〜80重量%の範
囲で用いられる。4重量%未満では共重合体のガラス転
移点、即ち塗膜としたときの硬度の調整が困難となり、
93重量%を越えると撥水性、撥油性が不十分となり結
果的に耐汚染性が不十分となる。
【0031】本発明において、成分(B)、成分
(C)、成分(D)との合計使用重量に対する成分
(A)の使用重量の比率(即ち、A/(B+C+D);
以下、「フッ素樹脂/アクリル比」と称する)は、2/
1〜1/50の範囲であることが好ましい。フッ素樹脂
/アクリル比が2/1未満の場合には、塗膜としたとき
に光沢が低下することがある。また、フッ素樹脂/アク
リル比が1/50を越える場合には撥水性、撥油性が低
下することがある。
【0032】成分(A)、(B)、(C)、(D)を用
いて本発明の共重合体を調製するには、公知慣用の任意
の重合方法を用いることができ、中でも溶液ラジカル重
合法又は非水分散ラジカル重合法によるのが最も簡便で
あり、特に推奨される。
【0033】重合の際に用いられる溶剤としては、例え
ば、トルエン、キシレン、又は芳香族炭化水素の混合溶
剤(ソルベッソ100;エッソ石油社製)等の芳香族炭
化水素化合物;n−ヘキサン、シクロヘキサン、オクタ
ン、ミネラルスピリット、又はケロシン等の脂肪族、脂
環族炭化水素化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢
酸i−ブチル、又はブチルセロソルブアセテート、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−
メトキシブチルアセテート等のエステル系化合物;アセ
トン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケト
ン等のケトン系化合物;メタノール、エタノール、n−
プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i
−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコ
ール系化合物等を挙げることができ、これらの溶剤は単
独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができ
る。
【0034】前記の重合は、公知慣用の種々のラジカル
重合開始剤、例えば、アゾ系化合物又は過酸化物系化合
物のようなラジカル重合開始剤を用いて、常法により実
施することができる。重合時間は特に制限されないが、
通常1〜48時間の範囲が選ばれる。また、重合温度は
通常30〜120℃、好ましくは60〜100℃であ
る。前記の重合は、更に必要に応じて公知慣用の連鎖移
動剤、例えば、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプ
タン、又はα−メチルスチレンダイマー等を添加した
り、公知慣用のレドックス触媒を添加して実施すること
もできる。
【0035】本発明におけるグラフト共重合体の分子量
は特に限定されるものではないが、その重量平均分子量
が、ポリスチレン換算のGPC(ゲルパーミエーション
クロマトグラフィー)により、好ましくは約5,000
〜2,000,000、より好ましくは約10,000
〜1,000,000の範囲である。5,000未満と
すると造膜性、耐候性、又は耐薬品性が低下し、2,0
00,000を越えると重合時にゲル化する危険があ
る。
【0036】このようにして得られた本発明のグラフト
共重合体は、塗料のバインダー成分等の組成物として使
用することができる。本発明の組成物は、前記グラフト
共重合体を含有してなるものである。本発明の前記グラ
フト共重合体の溶液をそのまま用いてもよいが、前記グ
ラフト共重合体と硬化剤とを組み合わせて硬化型組成物
とすることが好ましい。
【0037】硬化型組成物とする場合には、一般に硬化
型アクリル塗料の硬化剤として知られているものと、前
記グラフト共重合体とを組み合わせて調製することがで
きる。このような硬化剤としては、例えば、アニリンア
ルデヒド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、イソシアネー
トプレポリマー、又はブロック化イソシアネートプレポ
リマー等を挙げることができる。
【0038】本発明のグラフト共重合体の水酸基価は、
硬化塗膜の性質を左右する因子の一つである。この水酸
基価は、前記のラジカル重合性フッ素樹脂(A)成分の
水酸基価で調整することができ、更に、前記の非反応性
ラジカル重合性単量体(D)成分中に水酸基を有する単
量体が含まれる場合にはその使用量によって調整するこ
とができる。グラフト共重合体の水酸基価は特に制限さ
れるものではないが、10〜200とすることが塗膜硬
度、耐薬品性、及び耐汚染性の点から好ましい。
【0039】また、前記の非反応性ラジカル重合性単量
体(D)成分中にアルコキシシリル基を有する単量体が
含まれる場合には、特に硬化剤を必要とせず、空気中の
水分によって硬化せしめることもできる。
【0040】また、本発明の組成物の樹脂固形分は特に
制限されるものではなく、用途、使用方法によって適宜
選択されるが、通常10〜60重量%とすることが好ま
しい。本発明の組成物における乾燥条件も特に制限され
ないが、通常、室温〜200℃の範囲で1分間〜14日
間程度の乾燥を行う。更に、本発明の組成物は本発明の
目的を逸脱しない範囲で必要に応じて、他の樹脂、例え
ばフッ素樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、
ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系
樹脂等や、各種添加剤、例えば、界面活性剤、増量剤、
着色顔料、防錆顔料、フッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂
粉末、防錆剤、染料、ワックス等を添加してもよい。
【0041】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。以下の製造例等において“部”及び“%”は特に示
さない限り“重量部”及び“重量%”を意味するものと
する。
【0042】以下の参考例、製造例、製造比較例、実施
例、比較例において用いられた材料の市販品名を次に示
す。 (1)水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−
1) セフラルコートCF−803(水酸基価60、数平均分
子量15,000;セントラル硝子社製) ルミフロンLF−600(水酸基価60、数平均分子量
15,000;旭硝子社製) (2)片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B) サイラプレーンFM−0721(数平均分子量5,00
0;チッソ社製) (3)分子内に1個のラジカル重合性二重結合と少なく
とも1個のフルオロアルキル基を有するラジカル重合性
単量体(C) ライトエステルFM−108(ヘプタデカフルオロデシ
ルメタクリレート;共栄社化学社製) (4)ラジカル重合開始剤 パーブチルO(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキ
サノエート;日本油脂社製) (5)硬化型アクリル樹脂 デスモフェンA160(水酸基価90;住友バイエルウ
レタン社製) (6)硬化剤 コロネートHX(ヘキサメチレンジイソシアネートのイ
ソシアヌレート型プレポリマー;日本ポリウレタン社
製)
【0043】また、下記の実施例及び比較例における物
性評価試験方法を以下に示す。 (1)初期耐汚染性 硬化塗膜上にマジックインキ(赤色)で線を引き、その
はじき具合を調べた。以下の3段階で評価し、結果を表
2に示す。即ち、油滴状にはじき、布で簡単にふき取れ
るものを◎、油滴状にはじき、一部分はふき取れるが、
ふき取れずに硬化塗膜上に一部が残存するものを△、は
じかず線が引け、布でふき取れないものを×で表した。 (2)汚染除去性(耐汚染性) 硬化塗膜上にマジックインキ(青色、黒色、赤色、及び
緑色の4色)で線を引き、室温で24時間乾燥後、青色
及び黒色のマジックインキについてはエタノールをしみ
込ませた布でふき取り、赤色及び緑色のマジックインキ
についてはキシレンをしみ込ませた布で拭き取った。そ
の結果を以下の3段階で評価し、表2に示す。即ち、マ
ジックインキの跡が全く残らないものを◎、僅かに跡が
残るものを○、はっきりと跡が残るものを×で表した。 (3)初期撥水性及び初期撥油性(接触角測定) 協和界面科学社製CA−W型自動接触角計を用い、硬化
塗膜上に約5μlの脱イオン水又はn−ヘキサデカンを
載せ、このときの接触角を測定した。載せる位置を変え
て6点測定し、最も小さい値と最も大きい値を除いた4
点で平均値を計算し、四捨五入によって整数値に丸め
た。結果を表2及び図1〜図4に示す。 (4)撥水性及び撥油性の維持性 (4−1)促進耐候性試験 ATLAS社製Ci4000サンシャインウェザオメー
ターを用い、キセノンを光源としてISO11341;
method1屋外(塗料、ワニスの促進耐候性試験
法)に従って曝露した。200、400、600、10
00、2000時間経過する毎に塗装板をとりだし、洗
剤(ライポンLS−250;ライオン社製)と水道水で
軽く洗浄し、十分水分を取り除いた後、前記接触角測定
を行った。結果を脱イオン水について図1、n−ヘキサ
デカンについて図2に示す。 (4−2)曝露試験 埼玉県入間郡三芳町当社技術研究所屋上において1年
間、南面45°の角度で曝露した。1、2、3、6、1
2ケ月経過する毎に塗装板を外し、洗剤(ライポンLS
−250;ライオン社製)と水道水で軽く洗浄し、十分
水分を取り除いた後、前記接触角測定及び汚染除去性試
験を行った。結果を脱イオン水について図3、n−ヘキ
サデカンについて図4に示す。
【0044】
【参考例1】本例では、本発明におけるラジカル重合性
フッ素樹脂(A)の合成手順を示す。機械式撹拌装置、
温度計、コンデンサー及び乾燥窒素ガス導入口を備えた
ガラス製反応器に、セフラルコートCF−803(15
54部)、キシレン(233部)、2−イソシアナトエ
チルメタクリレート(6.3部)を入れ、乾燥窒素雰囲
気下80℃に加熱した。80℃で2時間反応し、サンプ
リング物の赤外吸収スペクトルによりイソシアネートの
吸収が消失したことを確認した後、反応混合物を取り出
し、不揮発分が50%のラジカル重合性フッ素樹脂
(A)を得た。
【0045】
【製造例1】本例では、本発明によるグラフト共重合体
の合成手順を示す。機械式撹拌装置、温度計、コンデン
サー及び窒素ガス導入口を備えたガラス製反応器に、参
考例1で合成したラジカル重合性フッ素樹脂(A)(3
6.2部)、メチルメタクリレート(11.6部)、2
−ヒドロキシエチルメタクリレート(4.9部)、FM
−0721(10.5部)、FM−108(7.7
部)、メタクリル酸(0.4部)、キシレン(1.5
部)、酢酸n−ブチル(60.2部)、パーブチルO
(0.3部)を入れ、窒素雰囲気中で90℃まで加熱し
た後、90℃で2時間保持した。パーブチルO(0.1
部)を追加し、更に90℃で5時間保持することによっ
て、不揮発分が40%で、GPC(ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー)による重量平均分子量が168
000である目的とするグラフト共重合体の溶液を得
た。
【0046】
【製造例2、3及び製造比較例1】本例では、本発明に
よるグラフト共重合体の合成手順と比較用のグラフト共
重合体の合成手順とを示す。溶剤、単量体、開始剤類の
仕込量を表1に示したように変更したこと以外は、製造
例1と同様に操作して目的とするグラフト共重合体の溶
液を得た。製造例2、3では本発明によるグラフト共重
合体が得られる。一方、製造比較例1では製造例1の成
分(C)を使用しない場合について示した。
【0047】
【表1】
【0048】
【実施例1】製造例1で得られたグラフト共重合体の水
酸基当量に対して当量のコロネートHXを加え、更に塗
料中の不揮発分が35重量%になるように酢酸n−ブチ
ルで希釈した。白色アクリル樹脂塗装板(50×100
mm)上に、前記の塗料組成物をバーコーター#50を
用いて塗布した。これを140℃で30分間加熱硬化し
て硬化塗膜を得た。前述の各種試験を行い、結果を表2
及び図1〜図4に示す。この硬化塗膜の初期接触角は脱
イオン水に対して103°、n−ヘキサデカンに対して
33°と良好な値を示し、促進耐候性試験及び曝露試験
後も接触角低下は小さかった。加えて、曝露試験後の汚
染除去性も良好な結果を示した。
【0049】
【実施例2、3及び比較例1〜3】製造例2、3及び比
較製造例1で得られたグラフト共重合体に対して、前記
の実施例1と同様にして硬化塗膜を作製して前述の各種
物性評価試験を行い、それぞれ実施例2、3及び比較例
1として結果を表2及び図1〜図4に示した。また、比
較例2として、有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−I)で
あるルミフロンLF−600、比較例3として硬化型ア
クリル樹脂であるデスモフェンA−160について前記
の実施例1と同様にして硬化塗膜を作製して前述の各種
物性評価試験を行い、結果を表2及び図1〜図4に示し
た。実施例2、3においては初期接触角は比較的大きな
値となり、接触角の維持性は良好かつ曝露試験後の汚染
除去性も良好であった。比較例1においては初期接触角
は比較的大きな値となるものの、接触角は経時的に低下
してしまい曝露試験後の汚染除去性に難点がみられた。
比較例2においては初期接触角は中程度であった上に、
経時的に接触角が低下し、比較例1と同様に曝露試験後
の汚染除去性に難点がみられた。比較例3においては初
期段階より接触角は小さく、経時的に更に低下し初期か
ら汚染除去性は不良であった、
【0050】
【表2】
【0051】以上のデータより、本発明のグラフト共重
合体及び組成物が、曝露環境下においても被塗物の表面
に長期間に亘って優れた撥水性、撥油性、及び耐汚染性
を付与できる塗膜を得ることができることは明らかであ
る。
【0052】
【発明の効果】本発明のグラフト共重合体及び組成物
は、造膜したときに基材表面に長期間に亘って優れた撥
水性、撥油性、及び耐汚染性を付与できる塗膜を得るこ
とができるという特徴を有することから、各種基材の表
面処理に適用することができる。具体的には、自動車、
鉄道車輌、その他の車輌、又は建築物(住宅、若しくは
ビル)等の外板又は外壁、トンネル等の内壁、また、便
器、洗面器、浴槽、キッチンシンク等の水周り器具、ま
た、エアコン、冷蔵庫等の熱交換器、また道路標識、カ
ーブミラー等に適用することができ、耐汚染性、視認
性、難着氷雪性の改善に有効である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年11月29日(1999.11.
29)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】追加
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1〜3、比較例1〜3の照射時間に対
する脱イオン水接触角の結果を示すグラフ。
【図2】 実施例1〜3、比較例1〜3の照射時間に対
するn-ヘキサデカン接触角の結果を示すグラフ。
【図3】 実施例1〜3、比較例1〜3の曝露時間に対
する脱イオン水接触角の結果を示すグラフ。
【図4】 実施例1〜3、比較例1〜3の曝露時間に対
するn-ヘキサデカン接触角の結果を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 3/18 104 C09K 3/18 104 Fターム(参考) 4H020 BA13 BA32 BA36 4J002 BQ001 FD140 GH01 4J027 AA06 AC03 AC06 AF03 AF05 AJ08 AJ09 BA02 BA04 BA05 BA06 BA07 BA08 BA09 BA10 BA11 BA12 BA13 BA14 CB01 CB09 CD08 4J038 CP021 CP051 GA03 GA11 MA07 MA09 NA05 NA07 PB05 PB07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) ウレタン結合を介してラジカル重
    合性不飽和結合部分を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂
    2〜66重量%、(B)下記一般式(1): 【化1】 (式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化
    水素基であり、R、R 、R、R、及びRは互
    いに同一でも異なっていてもよい水素原子又は炭素原子
    数1〜10の炭化水素基であり、nは2以上の整数であ
    る)で示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン及
    び/又は下記一般式(2): 【化2】 (式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化
    水素基であり、R、R 、R10、R11、及びR
    12は互いに同一でも異なっていてもよい水素原子又は
    炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、pは0〜10
    の整数であり、qは2以上の整数である)で示される片
    末端ラジカル重合性ポリシロキサン4〜40重量%、及
    び(C) 分子内に1個のラジカル重合性二重結合と少
    なくとも1個のフルオロアルキル基を有するラジカル重
    合性単量体 1〜50重量%、及び(D) 成分
    (A)、(B)、及び(C)以外のラジカル重合性単量
    体4〜93重量%、(但し、(A)〜(D)成分は、そ
    れらの和が100重量%となる値をとる)を共重合して
    なるグラフト共重合体。
  2. 【請求項2】前記のウレタン結合を介してラジカル重合
    性不飽和結合部分を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂
    (A)が、(A−1)水酸基を有する有機溶剤可溶性フ
    ッ素樹脂と(A−2)イソシアネート基を有するラジカ
    ル重合性単量体との反応生成物である請求項1に記載の
    グラフト共重合体。
  3. 【請求項3】前記のイソシアネート基を有するラジカル
    重合性単量体(A−2)が、メタクリロイルイソシアネ
    ート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、又はm
    −若しくはp−イソプロペニル−α,α−ジメチルベン
    ジルイソシアネートから選ばれた単量体1種又は2種以
    上である請求項2に記載のグラフト共重合体。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか一項に記載のグラ
    フト共重合体を含有することを特徴とする組成物。
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