JP2001151695A - アレルギー疾患処置剤 - Google Patents

アレルギー疾患処置剤

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JP2001151695A
JP2001151695A JP33584499A JP33584499A JP2001151695A JP 2001151695 A JP2001151695 A JP 2001151695A JP 33584499 A JP33584499 A JP 33584499A JP 33584499 A JP33584499 A JP 33584499A JP 2001151695 A JP2001151695 A JP 2001151695A
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sod
superoxide dismutase
therapeutic agent
group
residue
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English (en)
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Norihisa Fujii
教尚 藤井
Jiro Hoshino
二郎 星野
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LTT Institute Co Ltd
Seikagaku Corp
AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
LTT Institute Co Ltd
Seikagaku Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 III型アレルギー反応に起因する疾患の有効
な処置剤を提供する。 【解決手段】 下記一般式(I)で表されるレシチン化
スーパーオキシドジスムターゼを有効成分とする、III
型アレルギー反応に起因する疾患の処置剤。 SOD’(Q−B)m (I) (式中、SOD’はスーパーオキシドジスムターゼの残
基を表し、Qは化学的架橋を表し、Bはグリセロールの
2位に水酸基を有するリゾレシチンのその水酸基の水素
原子を除いた残基を表し、mはスーパーオキシドジスム
ターゼ1分子に対するリゾレシチンの平均結合数であっ
て、1以上の正数を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レシチン化スーパ
ーオキシドジスムターゼ(以下、単にPC−SODとも
いう)を有効成分とする、III型アレルギー反応に起因
する疾患の処置剤に関する。
【0002】
【従来の技術】Lab. Invest., 54(5), p499-506(1986)
には、スーパーオキシドジスムターゼ(以下、単にSO
Dともいう)が、IgA免疫複合体で惹起したラットの肺
傷害を抑制したことが記載されている。
【0003】New Current, 7 (19), p25-27(1996年9月
1日号)には、PC−SODが、II型アレルギー反応に
起因するフォルスマン抗血清によるモルモットの肺傷害
を抑制したことが記載されている。
【0004】しかし、PC−SODをIII型アレルギー
反応、及びこれに起因する疾患の処置剤として適用する
例は知られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、III型アレ
ルギー反応、及びこれに起因する疾患の有効な処置剤を
提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を行った結果、PC−SODが
III型アレルギー反応の抑制、及びこれに起因する組織
傷害の予防、進行抑制及び治療に有効であり、さらにこ
の効果はSODにより得られる効果に比して顕著である
ことを見いだし、本発明を完成した。
【0007】すなわち本発明は、下記一般式(I)で表
されるPC−SODを有効成分とする、III型アレルギ
ー反応に起因する疾患の処置剤(以下、本発明処置剤)
を提供する。 SOD’(Q−B)m (I) (式中、SOD’はスーパーオキシドジスムターゼの残
基を表し、Qは化学的架橋を表し、Bはグリセロールの
2位に水酸基を有するリゾレシチンのその水酸基の水素
原子を除いた残基を表し、mはスーパーオキシドジスム
ターゼ1分子に対するリゾレシチンの平均結合数であっ
て、1以上の正数を表す。)
【0008】
【発明の実施の形態】<1> 本発明処置剤で用いるP
C−SOD 本明細書における「レシチン」とは、フォスファチジル
コリンを意味する通常のレシチンをいい、「リゾレシチ
ン」とは、レシチンのグリセロールの2位に結合してい
る脂肪酸1分子がとれて、2位の炭素原子に水酸基が結
合した化合物をいう。
【0009】本発明におけるPC−SODは、通常、リ
ゾレシチンの2位の水酸基に化学的架橋剤を結合させた
レシチン誘導体を、SODに1個以上結合させて得るこ
とができる。このPC−SODは一般式(I)で表わさ
れる。 SOD’ (Q−B)m (I) 一般式(I)中、SOD’はスーパーオキシドジスムタ
ーゼの残基を表す。
【0010】SOD’は、生体内の活性酸素O2 -の分解
というその本来の機能を発揮し得る限りにおいて、その
起源等は特に限定されるものではなく、各種の動植物又
は微生物に由来するSOD残基を広く用いることができ
る。しかしながら、医薬品用途においては、生体内での
抗原性をできる限り減らすのが好ましいことから、SO
D’は、本発明処置剤を投与する動物種に応じて、適宜
適切なSOD残基を選択することが好ましい。例えば、
最も本発明処置剤が必要であると考えられるヒトを対象
とする場合のSOD’としては、ヒト体内における抗原
性をできる限り減らすために、ヒト由来のSOD残基を
用いることが好ましい。
【0011】ヒト由来のSODとしては、ヒト由来のC
u/Zn SOD(活性中心に銅と亜鉛を含むヒト由来
のSOD;以下、ヒトCu/Zn SODと略記するこ
ともある)が、細胞内における発現量が多く、また遺伝
子工学的手法による生産技術が確立しており、大量に調
製することが可能であるため、特に好ましい。
【0012】このヒトCu/Zn SODには、ヒト組
織または培養細胞から製造される天然のヒトCu/Zn
SOD;遺伝子工学的手法により製造されるヒトCu
/Zn SOD;天然のヒトCu/Zn SODと実質上
同一のアミノ酸配列を有する組換えヒトCu/Zn S
OD、これらのヒトCu/Zn SODのアミノ酸配列
中の一部のアミノ酸を化学的に修飾もしくは改変したS
OD等があり、いずれのヒトCu/Zn SODであっ
てもよい。
【0013】参考のため、この天然のヒトCu/Zn
SODのタンパク質のアミノ酸配列を配列番号1に示
す。なお、実際のヒトCu/Zn SODは、このアミ
ノ酸配列を有するタンパク質が二量体(ダイマー)とな
っている。
【0014】このタンパク質におけるアミノ酸配列に示
すように、天然のヒトCu/ZnSODの111位のア
ミノ酸はシステインであるが、蛋白工学的手法、例えば
部位特異的変異法により、この111位をセリンに変換
したヒトCu/Zn SOD(特開昭62-130684号公報)
や、化学的にこの111位のシステインを修飾したヒト
Cu/Zn SOD(特開平6-199895号公報)であって
もよい。これらのヒトCu/Zn SODの中でも、電
荷的及び分子量的に均一であり、かつSOD活性が安定
している、111位のシステインを化学的に修飾したも
のが好ましい。特に、このシステインをS−(2−ヒド
ロキシエチルチオシステイン)としたヒトCu/Zn
SODが好ましい。これらのヒトCu/Zn SODを
素材として、本発明におけるPC−SODを得ることが
できる。
【0015】なお本明細書においては、このようにヒト
Cu/Zn SODにおいて部位特異的変異法等により
一部アミノ酸を変換したものや、ヒトCu/Zn SO
Dの一部のアミノ酸を化学的に修飾して得られるものも
含めて、単にヒトCu/ZnSODという。
【0016】また、一般式(I)中のBで示される「グ
リセロールの2位に水酸基を有するリゾレシチンの、そ
の水酸基の水素原子を除いた残基」は、次式(II)で表さ
れる。
【0017】 -O-CH(CHOR)[CHOP(O)(O-)(OCHCHN+(CH))] (II) (式中、Rは脂肪酸残基(アシル基)である。)
【0018】Rは、炭素数10〜28の飽和又は不飽和
の脂肪酸残基が好ましく、より好ましくはミリストイル
基、パルミトイル基、ステアロイル基、イコサノイル
基、ドコサノイル基、その他の炭素数が14〜22の飽
和脂肪酸残基であり、特に好ましくは炭素数16の飽和
脂肪酸残基であるパルミトイル基である。
【0019】また一般式(I)中のQは化学的架橋を表
す。化学的架橋は、SODとレシチンとを架橋して化学
的に結合(共有結合)させ得るものであれば特に限定さ
れない。化学的架橋としては、残基−C(O)−(CH
)n−C(O)−が好ましい。この残基は、 式HO−
C(O)−(CH)n−C(O)−OHで表される直鎖
状ジカルボン酸、このジカルボン酸の無水物、このジカ
ルボン酸のエステル、このジカルボン酸のハロゲン化物
等(以下、これらをまとめてジカルボン酸等という)の
両端に存在する水酸基(無水物、エステル、ハロゲン化
物等の場合は、このジカルボン酸等の両端に存在する水
酸基に対応する部分)を除いた残基である。
【0020】一般式(I)中のQが上記直鎖状ジカルボ
ン酸の残基である場合、Qは、その一端において、前記
式(II)のリゾレシチン残基の水酸基由来の酸素とエス
テル結合により結合している。
【0021】また、エステル結合をしたQの他端は、S
ODのアミノ基とアミド結合などにより直接結合してい
ると考えられる。QがSODとアミド結合で結合した場
合のSOD’は、SODの結合に関与するアミノ基から
水素原子を除いた残基を示す。なお前記の化学的架橋に
おいて、基−(CH)n−におけるnは2以上の整数で
あり、好ましくは2〜10の整数であり、特に好ましく
は3である。
【0022】また一般式(I)中のmは、SOD1分子
に対するリゾレシチンの平均結合数を表している。mは
1以上の正数であり、1〜12の正数が好ましく、4で
あることが特に好ましい。
【0023】本発明におけるPC−SODの製造方法、
すなわち、レシチン誘導体とSODとの結合方法は、特
開平6−54681号公報に記載された公知の方法が採
用できる。PC−SODの製造例については、実施例中
に具体的に記載する。
【0024】また、本発明処置剤に用いるPC−SOD
は、医薬として使用できる程度に精製され、医薬として
使用する場合に混入が許されない物質を実質的に含まな
いものであることが好ましい。
【0025】例えばPC−SODは、2,500 U/mg(PC-SO
D)以上の比活性を有する精製されたものを用いるのが好
ましく、3,000 U/mg(PC-SOD)以上の比活性を有する精製
されたものがより好ましい。なお、本明細書における1
U(ユニット)とは、pH7.8、30℃下でNBT(ニトロブル
ーテトラゾリウム)を用いてJ. Biol. Chem. Vol. 244,N
o. 22, 6049-6055(1969)に準じた方法により測定された
値をいい、NBTの還元速度を50%阻害するPC−S
ODの酵素量を表す。
【0026】<2> 本発明処置剤の剤形等本発明処置
剤は、例えば注射(静脈内、腹腔内等)等による非経口
投与、吸入等による経口投与等の投与経路によって投与
できる。すなわち、PC−SODを投与方法に応じて適
宜製剤化して、本発明処置剤とすることができる。剤形
としては、注射剤(溶液、懸濁液、乳濁液、用時溶解用
固形剤等)、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、
リポ化剤、ゲル剤、外用散剤、スプレー剤、吸入散剤等
が挙げられ、注射剤が好ましい。
【0027】本発明処置剤を注射剤として提供する場
合、その形態は、溶液状、凍結状、または凍結乾燥状の
いずれであってもよい。これをアンプル、バイアル、注
射用シリンジ等の適当な容器に充填・密封し、そのまま
流通させあるいは保存するのが好ましい。
【0028】本発明処置剤の製剤化は、公知の方法を用
いることができる。また製剤化にあたり、PC−SOD
に悪影響を与えず、かつ本発明の効果に影響を与えない
限りにおいて、他の医薬活性成分や、慣用の賦形剤、安
定化剤、結合剤、滑沢剤、乳化剤、浸透圧調整剤、緩衝
剤、等張化剤、保存剤、無痛化剤、着色剤、崩壊剤等、
通常医薬に用いられる成分を使用できる。他の医薬活性
成分としては、抗炎症剤(例えばステロイド剤、非ステ
ロイド性抗炎症剤(NSAIDs))、免疫抑制剤等が例示され
る。
【0029】<3> 本発明処置剤の投与対象等本発明
処置剤を投与できる動物は、脊椎動物、特に哺乳動物が
好ましく、とりわけヒトが好ましい。本発明処置剤は、
これら動物におけるIII型アレルギー反応、及びこれに
起因する疾患の処置を目的として投与される剤である
が、予防剤、進行抑制(悪化防止)剤、又は治療剤とす
ることができる。特に本発明処置剤は、III型アレルギ
ー反応に起因する疾患の予防剤又は進行抑制剤とするこ
とが好ましい。
【0030】本発明にいうIII型アレルギー反応とは、
当分野においてこの用語により理解される意味を有し、
活性化補体成分が付着して組織に沈着した免疫複合体
(抗原・抗体の集塊)と好中球の反応により組織破壊が起
こる反応である。
【0031】III型アレルギー反応に類似するものとし
てII型アレルギー反応がある。II型アレルギー反応とII
I型アレルギー反応はともにIgG等の抗体により惹起され
るが、II型の場合、関与する抗体がある特定の組織や細
胞の表面に局在する抗原に反応するものであるのに対
し、III型の場合には血中に存在する種々の可溶性抗原
に対する抗体が関与する点で両者は大きく異なる。従っ
て、II型アレルギー反応によって惹起される傷害がある
特定の臓器または細胞に限られるのに対し、III型アレ
ルギー反応による組織傷害は、血流中を流れる抗原-抗
体複合体が沈着しうる臓器ならばどこにでも起こる。
【0032】III型アレルギー反応に起因する疾患の例
には、呼吸器科領域の疾患があり、例えば自己免疫疾患
に伴う肺傷害、気管支喘息、微生物感染に伴う肺炎、ア
レルギー性気管支肺アスペルギルス症、過敏性肺炎、術
後の肺炎が挙げられる。また、耳鼻咽喉科領域の疾患が
あり、例えばメニエール病、滲出性中耳炎が挙げられ
る。さらに皮膚科領域の疾患もあり、例えば蕁麻疹等が
挙げられる。なかでも、本発明処置剤を適用する疾患と
してはIII型アレルギー反応に起因する呼吸器科領域の
疾患が好ましく、特に自己免疫疾患に伴う肺傷害が好ま
しい。
【0033】本発明処置剤は上記疾患に限定されるもの
ではなく、その他のIII型アレルギー反応に起因する疾
患、あるいは各種疾患に伴うIII型アレルギーにも適用
可能である。
【0034】本発明処置剤におけるPC−SODの配合
量、1回あたりの投与量、投与間隔等は、本発明処置剤
の投与方法、製剤形態、投与目的等、患者の具体的症
状、年齢、性別、体重等に応じて個別に決定され、特に
限定されない。通常、PC−SODの臨床量としては成
人1人1回当り0.5〜500 mg(1,500〜1,500,000U)が
例示される。
【0035】また本発明処置剤の投与は、1日1回程度
でもよく、1日2〜3回に分けて投与することもでき
る。また数日に1回程度投与してもよい。
【0036】
【実施例】以下に、本発明を製造例及び実施例により具
体的に説明する。しかしながら、これらにより本発明の
技術的範囲は限定されない。
【0037】〔製造例〕 <1> ヒトCu/Zn SODの製造 実施例中で用いたSODは、特開平6-199895号公報に記
載された方法で製造した。このヒトCu/Zn SOD
の111位のアミノ酸はS−(2−ヒドロキシエチルチ
オ)システインとなっている。
【0038】<2> PC−SODの製造 実施例中で用いるPC−SODは、特開平6-54681号公
報に記載された方法によって、2−(4−ヒドロキシカ
ルボニルブチロイル)リゾレシチンの活性エステル体を
調製し、これと上記<1>で得たSODとを反応させる
ことによって調製した。該PC−SODを精製・濃縮
後、蛋白質濃度をローリー法(Lowry, O.H.ら、J. Biol.
Chem., 193 巻, 265 頁 (1951年))、SODの残存アミ
ノ基をTNBS(トリニトロベンゼンスルホン酸塩)法
(Goodwin, J. F.ら、Clin. Chem.,16 巻, 24頁 (1970
年))で分析することにより、SOD1分子あたりのレシ
チン誘導体の結合数を求めたところ、平均4.0個であ
った。このPC−SODの水溶液は青緑色〜緑色を呈
し、pHは7〜8であった。また、分子量をSDS−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動法により測定したとこ
ろ、PC−SODサブユニットのモノマー(PC−SO
Dはサブユニットのホモダイマーである)あたり約18
000であった。
【0039】〔実施例〕免疫複合体惹起ラット肺傷害モ
デルに対する効果の検討 (A) 本実施例で用いた物質の調製 (1) 被検物質の調製 ・前記<2>で製造したPC-SODを、5%キシリトール水
溶液で希釈した。 ・PC化していないSOD(以下、rh-SODともいう)とし
て、前記<1>で製造したヒトCu/Zn SODを、
5%キシリトール水溶液で希釈した。
【0040】(2) 惹起物質 ・ウシ血清アルブミン(Sigma製)と蛍光(フルオレセ
インイソチオシアネート)標識ウシ血清アルブミン(FI
TC-BSA;Sigma製)を6:4の比で混合し、この混合物を
20 mg/mlとなるように生理食塩水に溶解した。
【0041】(3) 感作物質 週1回、BSAを完全フロイントアジュバントと共にウサ
ギ皮下に感作し、これを4週間行った。最終感作より2
週間後に耳動脈より採血を行い、遠心分離(3000 rpm、
20分:KUBOTA 8800、ローター RS-4/6)してウサギ抗BS
A血清を得、これを感作物質として使用した。血清の抗
体価を重層法で測定した結果、抗体価2 であった。
【0042】(B) 本実施例で用いた実験動物 ・SD系雄性ラット 8.5週齢 SPF(日本チャー
ルスリバーより入手)
【0043】(C) 免疫複合体惹起ラット肺傷害モデルラ
ットの作製 実験動物にケタミン塩酸塩(三共)25 mg/kgを尾静脈内
投与し、その後麻酔下で上記感作物質を0.3 ml経気管内
投与した。感作物質である抗血清投与の15分後に上記惹
起物質を0.5 ml尾静脈内投与し、惹起を行った。これに
より惹起される肺傷害は、III型アレルギー反応に起因
する肺傷害である。
【0044】(D) 薬効薬理試験 (1) 群構成 前記の免疫複合体惹起肺傷害モデルのラットを、5%マ
ンニトール水溶液投与群(対照群)、PC-SOD 0.01 mg/kg
投与群(低用量群)、PC-SOD 0.1 mg/kg投与群(中用量
群)、PC-SOD 1.0 mg/kg投与群(高用量群) 、rh-SOD 1.0
mg/kg投与群(比較物質群)に分けた。各群20匹で構成し
た。また正常群として、肺傷害を惹起させていないラッ
トを5匹用いた。
【0045】(2) 被験物質の投与 惹起物質投与の15分前に、PC-SOD 0.01 mg/kg(低用量
群)、PC-SOD 0.1 mg/kg(中用量群)、PC-SOD 1.0 mg/kg
(高用量群)、rh-SOD 1 mg/kg(比較物質群)、又は5%マ
ンニトール水溶液(対照群)を尾静脈内投与(各群とも、
2.0 ml/kgとなるように投与)した。
【0046】(3) 薬理活性評価(浸潤細胞数と血管透過
性) 以下、特にことわらない限り、統計学的検定はModified
Williams検定により行った。
【0047】惹起物質投与から4時間後にラットを解剖
し、左肺の気管支をクレンメではさみ、生理食塩水を5
ml注入して右肺の気管支肺胞洗浄液(BALF)を回収
した。この操作を3回繰り返した。
【0048】(i) 浸潤細胞数による評価 III型アレルギー反応により肺傷害が起こるとBALF
中の浸潤細胞数が増加するため、BALF中の浸潤細胞
数をIII型アレルギー反応に起因する肺傷害の程度の指
標にすることができる。
【0049】回収したBALF中の浸潤細胞数を、血球
計算板を用いて算定した。PC-SODの低用量群、中用量群
および高用量群の結果を図1Aに示す。なお図中の*は
P<0.05で有意であること、**はP<0.01で有意であるこ
とを示す。
【0050】図1Aの結果から、いずれのPC-SOD投与群
においても、対照群に比して有意に浸潤細胞数が減少し
ていた。このことから、PC-SODがIII型アレルギー反応
に起因する肺傷害を抑制することが示された。また、PC
-SODの投与量に依存して浸潤細胞数が減少することが示
された。
【0051】(ii) 血管透過性による評価 III型アレルギー反応により肺傷害が起こると血管透過
性が亢進するため、血管内からBALFに滲出した物質
の量を、III型アレルギー反応に起因する肺傷害の程度
の指標にすることができる。
【0052】回収したBALF中の浸潤細胞数を算定
後、BALFを遠心分離(1,500rpm、10分:KUBOTA 880
0,ローター RS-4/6)し、上清を回収した。この上清を
0.1% NaCOで2倍に希釈した後、分光蛍光光度計(FP-7
77,日本分光:励起波長492nm、測定波長520nm)で蛍光
強度を測定し、BALF中のFITC-BSA濃度(血管を透過
したFITC-BSA)を算出した。PC-SODの低用量群、中用量
群および高用量群の結果を図1Bに示す。図中の*は前
記と同義である。
【0053】図1Bの結果から、PC-SODの中用量群およ
び高用量群において、対照群に比して有意にBALF中
のFITC-BSA濃度が減少していた。このことはPC-SODによ
り血管透過性の亢進が抑制されたことを示している。従
って、PC-SODがIII型アレルギー反応に起因する肺傷害
を抑制することが示された。また、PC-SODの投与量に依
存して血管透過性の亢進が抑制されることが示された。
【0054】また、対照群、PC-SOD投与群(高用量群)、
rh-SOD投与群(比較物質群)および正常群についての結果
を図2に示す。図2Aは浸潤細胞数を、図2Bは血管透
過性の結果を示す。なお図2における統計学的検定は、
Dunnettの多重比較検定により行った。また図2中の*
および**は、いずれも前記と同義である。
【0055】この結果、PC-SOD投与群(高用量群)では、
対照群およびrh-SOD投与群(比較物質群)に比して浸潤細
胞数の減少が顕著であった。この減少は対照群に対して
統計学的に有意であった(図2A)。
【0056】またPC-SOD投与群(高用量群)では、対照群
およびrh-SOD投与群(比較物質群)に比してBALF中の
FITC-BSA濃度の減少も顕著であった。この減少も対照群
に対して統計学的に有意であった(図2B)。
【0057】以上の結果から、PC-SODが顕著な細胞浸潤
抑制効果および血管透過性亢進の抑制効果を有すること
が示され、III型アレルギー反応に起因する肺傷害に対
して有効であることが示された。
【0058】(4) 病理組織学的検討 対照群、PC-SOD投与群およびrh-SOD投与群の肺につい
て、病理組織学的検討を行った。その結果、対照群では
好中球の浸潤および間質の肥厚(III型アレルギー反応に
起因する肺傷害の典型的な病理組織像)が認められた。
【0059】これに対し、PC-SOD投与群では好中球の浸
潤および間質の肥厚が抑制されていたが、rh-SOD投与群
ではそれらの効果は全く認められなかった。
【0060】以上の結果から、PC-SODがIII型アレルギ
ー反応に起因する肺傷害に対して有効であることが確認
され、PC-SODのIII型アレルギー反応に起因する疾患へ
の効果が示された。
【0061】
【発明の効果】本発明処置剤は、PC−SODを有効成
分とすることにより、III型アレルギー反応に起因する
疾患に対して顕著な効果を発揮することから、この疾患
の処置剤として有効である。
【0062】
【配列表】 <110> LTT Institute Co., Ltd., Asahi Glass Co., Ltd., and Seikagaku Corp oration <120> Agent for treating allergic diseases <130> <160> 1 <210> 1 <211> 153 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 1 Ala Thr Lys Ala Val Cys Val Leu Lys Gly Asp Gly Pro Val Gln Gly 1 5 10 15 Ile Ile Asn Phe Glu Gln Lys Glu Ser Asn Gly Pro Val Lys Val Trp 20 25 30 Gly Ser Ile Lys Gly Leu Thr Glu Gly Leu His Gly Phe His Val His 35 40 45 Glu Phe Gly Asp Asn Thr Ala Gly Cys Thr Ser Ala Gly Pro His Phe 50 55 60 Asn Pro Leu Ser Arg Lys His Gly Gly Pro Lys Asp Glu Glu Arg His 65 70 75 80 Val Gly Asp Leu Gly Asn Val Thr Ala Asp Lys Asp Gly Val Ala Asp 85 90 95 Val Ser Ile Glu Asp Ser Val Ile Ser Leu Ser Gly Asp His Cys Ile 100 105 110 Ile Gly Arg Thr Leu Val Val His Glu Lys Ala Asp Asp Leu Gly Lys 115 120 125 Gly Gly Asn Glu Glu Ser Thr Lys Thr Gly Asn Ala Gly Ser Arg Leu 130 135 140 Ala Cys Gly Val Ile Gly Ile Ala Gln 145 150
【図面の簡単な説明】
【図1】 PC−SODを種々の用量で投与した場合の
浸潤細胞数(A)および血管透過性(B)の結果を示す。
【図2】 対照群、PC−SOD投与群、比較物質投与
群および正常群における浸潤細胞数(A)および血管透過
性(B)の結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 教尚 神奈川県川崎市多摩区菅北浦2−26−9 チェリーハイツ302 (72)発明者 星野 二郎 東京都青梅市新町7−10−12 Fターム(参考) 4C084 AA02 AA07 BA01 BA22 BA36 CA18 CA25 CA53 CA56 DC24 MA17 MA35 MA37 MA43 MA52 MA66 NA03 NA12 NA15 ZB132

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表されるレシチン化
    スーパーオキシドジスムターゼを有効成分とする、III
    型アレルギー反応に起因する疾患の処置剤。 SOD’(Q−B)m (I) (式中、SOD’はスーパーオキシドジスムターゼの残
    基を表し、Qは化学的架橋を表し、Bはグリセロールの
    2位に水酸基を有するリゾレシチンのその水酸基の水素
    原子を除いた残基を表し、mはスーパーオキシドジスム
    ターゼ1分子に対するリゾレシチンの平均結合数であっ
    て、1以上の正数を表す。)
  2. 【請求項2】 Qが、−C(O)−(CH)n−C(O)−
    である、請求項1に記載の処置剤(nは2以上の整数を
    表す)。
  3. 【請求項3】 SOD’がヒトのスーパーオキシドジス
    ムターゼの残基である、請求項1又は2に記載の処置
    剤。
  4. 【請求項4】 SOD’が、ヒトのスーパーオキシドジ
    スムターゼのアミノ酸配列111位のアミノ酸がS−
    (2−ヒドロキシエチルチオ)システインとなったスー
    パーオキシドジスムターゼ修飾体の残基である、請求項
    1又は2に記載の処置剤。
  5. 【請求項5】 スーパーオキシドジスムターゼが、活性
    中心に銅と亜鉛を含むスーパーオキシドジスムターゼで
    ある、請求項3又は4に記載の処置剤。
  6. 【請求項6】 nが2〜10の整数である、請求項2〜
    5のいずれか1項に記載の処置剤。
  7. 【請求項7】 mが1〜12の正数である、請求項1〜
    6のいずれか1項に記載の処置剤。
  8. 【請求項8】 自己免疫疾患に伴う肺傷害の処置剤であ
    る、請求項1〜7のいずれか1項に記載の処置剤。
  9. 【請求項9】 処置剤が、予防剤、進行抑制剤又は治療
    剤である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の処置
    剤。
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WO2010064522A1 (ja) 2008-12-03 2010-06-10 株式会社Lttバイオファーマ 修飾型スーパーオキサイドジスムターゼ含有吸入剤
WO2010103959A1 (ja) 2009-03-13 2010-09-16 株式会社Lttバイオファーマ 慢性閉塞性肺疾患改善剤

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KR20110138372A (ko) 2009-03-13 2011-12-27 가부시키가이샤 엘티티 바이오파마 만성 폐색성 폐질환 개선제

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