JP2001150321A - 研磨工具保持装置及び研磨装置及び滑り部材の支点高さ設定方法 - Google Patents

研磨工具保持装置及び研磨装置及び滑り部材の支点高さ設定方法

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JP2001150321A
JP2001150321A JP2000264257A JP2000264257A JP2001150321A JP 2001150321 A JP2001150321 A JP 2001150321A JP 2000264257 A JP2000264257 A JP 2000264257A JP 2000264257 A JP2000264257 A JP 2000264257A JP 2001150321 A JP2001150321 A JP 2001150321A
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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 研磨時、工具保持部に保持された研磨工具の
研磨面が被加工物の被加工面に円滑に追随することがで
き、高速度で揺動運動させても常に安定した研磨加工を
可能とする研磨工具保持装置を提供する。 【解決手段】 小径の研磨工具1を軸受け2eを介して
保持する工具保持部2の凸状部2bに潤滑性のあるフッ
素樹脂製の輪帯状の滑り部材8を配設し、工具保持部2
の凸状部2bと加工力を加えるための荷重軸7に取り付
けられた支持部3の凹球面3bとを滑り部材8を挟むよ
うに空間をもって相対向するように配置し、滑り部材8
の外周上部の円弧面の中心軸と支持部3の凹球面3bの
中心点を研磨工具1の研磨面1aの中心点Oにそれぞれ
一致させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レンズやミラー等
の光学素子あるいは金型等を研磨する際に研磨工具を保
持するために使用される研磨工具保持装置に関し、特
に、非球面形状の被加工面の高精度な研磨加工に用いる
ことができる研磨工具保持装置及び研磨装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】レンズやミラー等の光学素子あるいは金
型等を研磨する際には、一般に、研磨工具を保持するた
めに研磨工具保持装置が使用されている。
【0003】従来、この種の研磨工具保持装置として
は、特開平4−244372号公報、特開平7−759
52号公報に開示する研磨工具保持装置が知られてい
る。これらの研磨工具保持装置は、図2(特開平7−7
5952号公報)に示すように、ポリッシャ(研磨工
具)31cを保持するための工具保持部材31aに設けら
れた凸球面31dと加工力を加えるための荷重軸39の
端部の支持部33に設けられた案内部35aとにより、
少なくとも3個の互いに間隔をおいて配列された球35
b…を挟み、凸球面31dの中心点が工具保持部材31
aに保持された研磨工具31cの研磨面の中心点Oに一
致するように構成する。このように、研磨工具31cの
揺動に伴なうモーメントの発生による姿勢変化(被加工
面の工具のある位置の曲率半径の球面を仮定して、その
球面に研磨工具の研磨面が沿って揺動するときの工具の
ピッチング方向の姿勢変化)を原理上無視できる構成が
提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の研磨工具保持装置では、工具を高速に揺動
運動させた場合に、工具保持部材31aに設けられた凸
球面31dと加工力が加えられる支持部33に設けられ
た案内部35aとによって挟まれ互いに間隔を置いて配
置された球35bが慣性力により接触状態が不安定とな
り、研磨工具31cや工具保持部材31aに必要な円滑な
傾動追随運動が妨げられ、その結果、偏荷重が発生し、
被加工面の形状創成に支障をきたすことがあった。
【0005】また、工具保持部材31aに設けられた凸
球面31dと支持部33に設けられた案内部35aとによ
って挟まれた球35bの支点を含む面内で、球のない区
間は加工時に発生する工具と被加工面間の摩擦力を最寄
の2個の球(2支点)に分配して支持部33に設けられ
た案内部に伝えるため、摩擦力を支える2つの球を結ぶ
仮想線を軸に新たなモーメント力が発生し、工具保持部
に必要な円滑な傾動追随運動が妨げられ、その結果偏加
重が発生し、被加工面の形状創成に支障をきたすことが
あった。
【0006】また、凸球面31dの工具保持部から案内
部35aの工具支持部までの構成要素が剛性の高い金属
材料で形成されているために、高荷重で研磨工具を揺動
させたときに、わずかな製作誤差によって生じる接触状
態のアンバランスに起因する振動が発生することもあ
り、高能率な研磨加工が難しいことがあった。
【0007】これは、それぞれの構成要素が金属で形成
されているので、比較的大きな質量をもつため、高速で
揺動させたときに特に顕著となる。
【0008】そこで、本発明は、上述の従来技術の有す
る未解決の問題点に鑑みてなされたものであって、研磨
時、工具保持部に保持された研磨工具の研磨面が被加工
物の被加工面の位置による曲率半径や法線方向の変化に
対して円滑に追随することができ、かつ、高速度で揺動
運動させても常に安定した研磨加工を可能とする研磨工
具保持装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の研磨工具保持装置は、研磨工具を保持する
工具保持部に設けられた凸状部と加工力を加えるための
荷重軸に取り付けられた支持部に設けられた凹球面とを
空間をもって相対向するように配置し、前記工具保持部
に研磨工具を前記荷重軸回りに回転自在に保持するよう
に軸受けを配設した研磨工具保持装置において、前記工
具保持部の凸状部に潤滑性のある滑り部材を配設して、
前記工具保持部の凸状部と前記支持部の凹球面は前記滑
り部材を前記空間内に挟むように位置付けられ、前記滑
り部材の外周上部の円弧面の中心軸と前記支持部の凹球
面の中心点は、前記工具保持部に保持される研磨工具の
研磨面の中心点に一致することを特徴とする。
【0010】本発明の研磨工具保持装置においては、前
記滑り部材が輪帯状のフッ素樹脂で構成されていること
が好ましい。
【0011】本発明の研磨工具保持装置においては、前
記工具保持部と前記支持部を連結して前記空間を密閉す
る可撓性部材が配設されていることが好ましい。
【0012】
【作用】本発明の研磨工具保持装置によれば、工具保持
部の凸状部と支持部の凹球面とで形成される空間内に工
具保持部に嵌入した潤滑性のある滑り部材を配設したこ
とにより、滑り部材の全周で加工力を分散して伝えるこ
とができ、凸状部と凹球面に浮き上がりが発生せず、工
具保持部の凸状部に嵌入した滑り部材の外周上部の円弧
面の中心軸と支持部の凹球面の中心点は研磨工具の研磨
面の中心点と常に一致する。その結果、研磨工具を高速
で揺動しても加工力の作用点は常に研磨面の中心点に一
致し、そのため、研磨時に、研磨工具を揺動方向にピッ
チング(回転)させようとする偶力が発生しないので、
被加工面に余分なうねりを発生させることもない。
【0013】より具体的には、従来例では、工具保持部
に設けられた凸球面と支持部に設けられた凹球面とによ
って挟まれた3個の球の支点を含む面内で、球のない区
間は加工時に発生する工具と被加工面間の摩擦力を最寄
の2個の球(2支点)に分配して支持部に設けられた凹
球面に伝えるため、摩擦力を支える2つの球を結ぶ仮想
線を軸に新たなモーメント力が発生し、工具保持部に必
要な円滑な傾動追随運動が妨げられ、その結果偏加重が
発生し、被加工面の形状創成に支障をきたすことがあっ
た。
【0014】これに対し、本発明では、凸球面と凹球面
とにより挟まれた空間に、潤滑性のある滑り部材を挟む
構造としたので、この滑り部材の全周で加工力を分散し
て伝えることができ、したがって上記の3個の球を使用
した場合の問題点を解決でき、安定した工具支持が可能
となるので被加工面の形状創成に支障をきたすことがな
い。
【0015】また、工具保持部の構成が簡単にでき、質
量も小さくすることができ、さらに、潤滑性のある滑り
部材をフッ素樹脂で形成することにより、従来用いられ
ていた鋼球に比べ質量を小さくでき、高速での揺動に対
して有利となる。
【0016】より具体的には、従来例では、球を3ヶ所
に分けてなおかつ回転自在とするために、工具保持部に
複雑な球受け部の加工が必要となるが、本発明では、工
具保持部には滑り部材をはめるための軸部があればよ
く、球に替えて1個のリング状の滑り部材を作り前記軸
部にはめるだけでよいので複雑な球受け部の加工が不要
となる。これにより工具保持部の構成が単純化される。
また、従来例では球は少なくとも3個必要であり、本発
明の潤滑樹脂製の滑り部材よりも質量が大きくなる。す
なわち本発明では工具保持部の質量を小さくすることが
できる。
【0017】また、研磨工具を工具保持部に対して回転
自在とする軸受けを介して取り付けることにより、研磨
工具は荷重軸回りに自由な位置を取ることができ、研磨
工具の研磨面の圧力分布を短時間で確実に最も均一な状
態にすることができる。
【0018】また、工具保持装置内で工具を安定して保
持するためには工具軸にかかる荷重Pと研磨運動(たと
えば揺動)により発生する工具研磨面と被加工面間の摩
擦力が、支点(滑り部材の稜線)を介して安定でなけれ
ばならない(図3により説明する)。
【0019】このためには、工具面の中心を原点とし
て、工具にかかる荷重反力の合力Vと摩擦力の合力が工
具軸法線となす角度(α )と、同様に工具面の中心を
原点として滑り部材の稜線が工具軸法線となす角度(β
)を比較してβ がα よりも大きいことが必要であ
る.言い換えると、α のなす円錐面よりも下部に滑り
部材の稜線がある。
【0020】このような条件下では工具支持部材の球面
凹部面内に研磨工具、研磨工具保持部を安定して(摩擦
力に抗して)保つ事ができる。
【0021】この関係が逆で、αの方が大きい(言い換
えると、αのなす円錐面よりも上部に滑り部材の稜線が
ある)と、工具軸の荷重により生ずる工具、工具保持部
への水平方向駆動力よりも摩擦力の方が大きくなってし
まい、工具、工具保持部は工具支持部材の球面凹部面内
から外れる可能性があり、安定した研磨除去が行えない
恐れがある。
【0022】摩擦力は使用する工具面構成材料と被加工
物間の静的、動的な値として、事前に測定しておく。
【0023】摩擦力の測定方法としては、ラップ盤に平
面に仕上げた被加工面を取り付け、ラップ盤外から出し
たアームで研磨工具(研磨面に所定の構成材料を設けた
もの)を支える。その支点部にロードセルを摩擦力が測
定可能な方向に設けて置き、ラップ盤を回転させること
で発生する摩擦力を直接測定する。そして、研磨工具に
かかっている鉛直荷重から摩擦係数を求める。このと
き、始動時の水平力を測定することで静摩擦係数を、ラ
ップ盤が安定した回転をしているときの水平力から動摩
擦係数を求めることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。
【0025】図1は、本発明の研磨工具保持装置を示す
図であって、(a)は要部断面図であり、(b)は構成
概略図である。
【0026】本発明の研磨工具保持装置10は、研磨工
具1を保持する工具保持部2と加工力を加えるための荷
重軸7の端部に取り付けられた支持部3とを備えてい
る。
【0027】工具保持部2に保持される研磨工具1は、
被加工物Wの被加工面Waに対して十分小さい直径の円
盤状に形成され、例えば、直径φ100mmの被加工面
Waに対して研磨工具外径は約φ20mmとする。そし
て、研磨工具1は、被加工物Wの被加工面Waに接触し
て被加工面Waを研磨するアスファルトピッチ等の粘弾
性体層1bと、被加工面に対して形状追随する弾性体か
らなる形状追随層1cと、金属等の磁性体からなる工具
本体1dとから構成されており、粘弾性体層1bの下面
が被加工面Waを研磨する研磨面1aとなる。
【0028】工具保持部2は、その中央部の上下にそれ
ぞれ磁石4a、4bが埋め込まれて接着あるいはねじ止
め等の手段により固定されている。研磨工具1は、その
工具本体1dの上方部のボス部が、工具保持部2の中央
部に形成された穴部2aにラジアルボールベアリング等
の軸受け2eを介して取り付けられる。このとき、軸受
け(ラジアルボールベアリング)2eは、その外輪が工
具保持部2の穴部2aに嵌入され、その内輪に工具本体
1dの上方部のボス部が挿入される。そして、研磨工具
1は、磁石4(4a、4b)の磁力により工具保持部2
に吸着されることにより保持される。このように、工具
保持部2は、軸受け2eの外輪には接触するが内輪には
全く接触しない構成で、研磨工具1は、軸受け2eの内
輪には接触するが軸受け2eの外輪には全く接触しない
構成となっており、また、研磨工具1を工具保持部2か
ら磁石4(4a、4b)の磁力に抗して引き離すことに
より、研磨工具1は容易に工具保持部2から取り外すこ
とができる構成となっている。
【0029】工具保持部2の上部表面の凸状部2bには
段部2cが形成されており、その段部2cには、フッ素
樹脂等の潤滑性部材でリング状に成形された滑り部材8
が嵌め込まれ、この滑り部材8の外周上部のエッジはC
0.1程度の面取りがなされている。このエッジに形成さ
れる外周面は、工具保持部2に保持されている研磨工具
1の研磨面1aの中心点Oを中心とした半径Rtの球面
上に位置するように形成されている。
【0030】金属等の磁性体からなる支持部3は、荷重
軸7の下端部にねじ等により取り付けられ、工具保持部
2に対向する面には凹球面3bが形成されており、この
凹球面3b内には、潤滑性のフッ素樹脂からなる滑り部
材8を嵌め込んだ工具保持部2が位置付けられ、磁石4
(4a、4b)の磁力により常に支持部3に吸引される
構成となっている。また、凹球面3bは、工具保持部2
に保持される研磨工具1の研磨面1aの中心点Oを中心
とする半径Rtの球面となるように形成されている。し
たがって、滑り部材8(図4に示す)の外周上部のエッ
ジ外周面と凹球面3bは中心が一致しており、滑り部材
8は、工具保持部2と支持部3とがどのように相対移動
しても、円滑に滑動することができる。
【0031】工具保持部2の周縁部2dと支持部3の周
縁部3cとには、ポリクロロプレン等の材料で形成され
た環状の可撓性部材(ゴムシール)6が固着され、この
可撓性部材(ゴムシール)6は、工具保持部2と支持部
3とを連結し、工具保持部2の凸状部2bと支持部3の
凹球面3bとにより挟まれる空間を外部から密閉する。
【0032】次に、本発明の研磨工具保持装置10の作
動について、図1の(a)および(b)を参照して説明
する。
【0033】荷重軸7を介して支持部3に加えられる加
圧力Pと揺動時に荷重軸7および支持部3を介して伝え
られる揺動力Nとの合力(加工力)は、支持部3の凹球
面3bからフッ素樹脂製の滑り部材8を介して工具保持
部2に伝わり、工具保持部2に保持された研磨工具1の
研磨面1aに作用する。
【0034】そして、工具保持部2は、軸受け(ラジア
ルボールベアリング)2eの外輪には接触するが軸受け
2eの内輪には全く接触せず、また、研磨工具1は軸受
け2eの内輪には接触するが軸受け2eの外輪には全く
接触しない構成となっているので、研磨工具1は工具保
持部2に対して回転自在であり、荷重軸7回りに円滑に
回転する。
【0035】フッ素樹脂製の滑り部材8の外周上部のエ
ッジと研磨面1a(工具加工面)の中心点Oで規定され
る球面は、支持部3の凹球面3bと一致するので、工具
保持部2が支持部3に対してどのように傾斜していて
も、前記加工力の作用点は研磨面1aの中心点Oに位置
する。また、研磨時に発生する摩擦力Fも研磨面1aに
作用するので、研磨工具1を揺動方向に回転させようと
するモーメント力(偶力)は発生しないので、研磨面1
aの圧力分布ωは常に均一に保たれる。
【0036】なお、参考のために、研磨加工の加工条件
の一例を以下に示す。
【0037】荷重:10N 揺動:ストローク±5mm、周期4Hz このとき、研磨面1aと被加工面の動摩擦係数は約0.
55、静摩擦係数は約0.75なので、摩擦力の内最大
のものは、10N×0.75=7.5N程度となる。こ
れをFmaxとする。
【0038】従って、工具にかかる荷重反力の合力Vは1
0N、摩擦力の最大値Fmaxは7.5Nであるから、これら
の2力の合力と工具軸法線とのなす角度(α)は、α=
tan- 1(Fmax/V)を求めればよく、α=tan-1(0.75)=3
6.87度、となる。
【0039】従って、滑り部材8の滑り稜線面のなす角
度βはαよりも大きく、すなわち工具軸法線上部から3
6.87度以上必要である。
【0040】本実施形態ではβを約55度とする。βが
十分にαよりも大きいので安定した工具保持が可能であ
る。
【0041】また、本実施形態では工具保持部の構成が
簡単にでき、質量も小さくすることができ、さらに、滑
り部材8をフッ素樹脂で形成することにより、従来用い
られている鋼球に比べ質量を小さくできるので、総合し
て軽量化が可能となり高速揺動を加えてもフッ素樹脂製
の滑り部材8が浮き上がることがなく、またフッ素樹脂
製の滑り部材8が支持部3の凹球面3bと全周にわたり
円滑に接触しているので研磨工具に不要な外力を加える
こともない。
【0042】以上のことから、本発明の研磨工具保持装
置10においては、被加工物Wの被加工面Waが非球面
などの複雑な形状であっても、研磨工具1が支持部3に
対して自在に傾斜して研磨面1aが前記形状に十分に追
随することができ、さらに、研磨工具は荷重軸回りに自
由な位置を取ることができ、研磨工具の研磨面の圧力分
布を短時間で確実に最も均一な状態にすることができ
る。
【0043】なお、フッ素樹脂製の滑り部材8は、全周
すべてが支持部3の凹球面3bと接触する必要はなく、
空気抜きのために一部を切り欠いてもよい。
【0044】また、滑り部材の材質は樹脂材料に限定す
るわけではなく、グラファイト、ウルツ鉱型のBN(ボ
ロンナイトライド)の焼結体などの摩耗の少ない固形潤
滑材料でもよい。
【0045】以上説明したように、上記の実施形態によ
れば、凸球面と凹球面とにより挟まれた空間に、潤滑性
のある滑り部材を挟む構造としたので、この滑り部材の
全周で加工力を分散して伝えることができ、したがっ
て、安定した工具支持が可能となる。またその結果、凸
球面に余分なモーメントが発生しないので、工具保持部
の浮き上がりが発生せず、凸球面の中心点及び凹球面の
中心点は研磨工具の研磨面の中心点と常に一致する。ま
た、工具を高速で揺動しても加工力の作用点は常に研磨
面の中心点に一致する。そのため、研磨時に研磨工具を
揺動方向にピッチング(回転)させようとするモーメン
トが発生しないので被加工面に余分なうねりを生じるこ
とがない。
【0046】また、潤滑性のある滑り部材は鋼球と異な
り、ダンピング特性に優れているので、高荷重で工具を
保持して揺動させても工具支持部内に不要な振動を発生
させることがない。この結果、高荷重研磨を安定して実
現できる。
【0047】また、工具保持部の構成を簡単にでき、ま
た鋼球を用いる場合に比べ質量を小さくできるので、高
速での揺動に対して有利となる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
次のような作用効果を奏する。
【0049】支持部に加えられた加圧力の作用点は、研
磨工具が支持部に対してどのように傾斜していても、常
に研磨工具の研磨面の中心点に位置して研磨工具を揺動
方向に回転させようとするモーメント力(偶力)が発生
しないので、研磨工具の研磨面の圧力分布を常に均一に
することができる。
【0050】その結果、被加工物の被加工面が、回転楕
円面、楕円筒面、あるいは、子線と母線の曲率半径差が
比較的大きくかつ母線の曲率半径も比較的短いトロイダ
ル面、あるいは高次の次数をもつ回転対称非球面等のよ
うな複雑な形状をしていても、その被加工面を高精度に
均一に研磨加工することができる。
【0051】さらに、曲率半径の小さな被加工面上にお
いても研磨工具の被加工面への追随のために必要となる
揺動方向への傾動運動(ピッチング回転)が自在である
ので、研磨工具の研磨面の形状が崩れることもなく、高
精度な超平滑な研磨加工が可能となり、汎用性が向上す
る。
【0052】研磨工具は、軸受け部により支えられてい
るので、荷重軸回りに円滑に回転できる。したがって、
研磨工具が荷重軸回りに自由な位置を取ることができる
ので、研磨工具の製作精度等に起因する研磨面の圧力分
布の不均一性を研磨工具自身の回転により短時間で確実
により均一な状態にすることができる。
【0053】また、工具面の中心を原点として、工具に
かかる荷重反力の合力Vと摩擦力の合力が工具軸法線と
なす角度(α )と、同様に工具面の中心を原点として
滑り部材の稜線が工具軸法線となす角度(β )を比較
してβ がα よりも大きいことが必要である。言い換え
ると、α のなす円錐面よりも下部に滑り部材の稜線が
ある。この配置で工具の保持は安定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研磨工具保持装置を示す図であって、
(a)は要部断面図であり、(b)は構成概略図であ
る。
【図2】従来の研磨工具保持装置の一例を示す断面図で
ある。
【図3】滑り部材の稜線の位置を示す図である。
【図4】滑り部材の形状を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 研磨工具 1a 研磨面 1b 粘弾性体層 1c 形状追随層 1d 工具本体 2 工具保持部 2a 穴部 2b 凸状部 2c 段部 2e 軸受け(ラジアルボールベアリング) 3 支持部 3b 凹球面 4(4a、4b) 磁石 6 可撓性部材(ゴムシール) 6a ベローズ部(変形余裕部分) 7 荷重軸 8 滑り部材 10 研磨工具保持装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 研磨工具を保持する工具保持部に設けら
    れた凸状部と加工力を加えるための荷重軸に取り付けら
    れた支持部に設けられた凹球面とを空間をもって相対向
    するように配置した研磨工具保持装置において、 前記工具保持部の凸状部に潤滑性のある滑り部材を配設
    して、前記工具保持部の凸状部と前記支持部の凹球面は
    前記滑り部材を前記空間内に挟むように位置付けられ、
    前記滑り部材の外周上部の円弧面の中心軸と前記支持部
    の凹球面の中心点は、前記工具保持部に保持される研磨
    工具の研磨面の中心点に一致することを特徴とする研磨
    工具保持装置。
  2. 【請求項2】 前記滑り部材が輪帯状のフッ素樹脂等の
    合成樹脂材料で構成されていることを特徴とする請求項
    1に記載の研磨工具保持装置。
  3. 【請求項3】 前記工具保持部に研磨工具を前記荷重軸
    周りに回転自在に保持するように軸受けを配設したこと
    を特徴とする請求項1に記載の研磨工具保持装置。
  4. 【請求項4】 被研磨物の被研磨面に研磨工具を圧接し
    て研磨加工するための研磨装置であって、 凹球面形状を有し加工力を受ける工具支持部材内に、前
    記研磨工具を保持する工具保持部材を配置し、該工具保
    持部材に前記工具支持部材と接触する滑り部材を装着
    し、前記工具保持部材と前記工具支持部材とが前記滑り
    部材を介して線状に接触するようにしたことを特徴とす
    る研磨装置。
  5. 【請求項5】 前記滑り部材はリング状に形成されてい
    ることを特徴とする請求項4に記載の研磨装置。
  6. 【請求項6】 被研磨物の被研磨面に研磨工具を圧接し
    て研磨加工するための研磨装置であって、 凹球面形状を有する工具支持部材の前記凹球面形状内に
    前記研磨工具を保持する工具保持部材を配置し、前記工
    具保持部材と前記工具支持部材との接触部に滑り部材を
    設け、前記工具支持部材と前記工具保持部材との間に磁
    性力を作用させて前記滑り部材と前記工具支持部材との
    線状の接触状態を保持して、前記工具支持部材からの加
    工力を前記工具保持部材に伝えることを特徴とする研磨
    装置。
  7. 【請求項7】被研磨物の被研磨面に研磨工具を圧接して
    研磨加工するための研磨装置であって、凹球面形状を有
    する工具支持部材の前記凹球面形状内に前記研磨工具を
    保持する工具保持部材を配置し、前記工具保持部材と前
    記工具支持部材との接触部に滑り部材を設け、前記滑り
    部材と前記工具支持部材の前記凹球面形状との線状の接
    触状態を保持して、前記工具支持部材からの加工力を前
    記工具保持部材に伝えるように構成された研磨装置にお
    ける、滑り部材の支点高さ設定方法であって、 前記研磨工具の研磨面と前記被研磨面との静摩擦係数Fs
    と動摩擦係数Fdを求める工程と、 得られた摩擦係数のうちの大きい方の数値Fmaxと研磨荷
    重の反力Vを用いて、角度αを、 α = Tan-1(Fmax/V) の式から求める工程と、 前記研磨面と前記研磨工具の中心軸との交点を頂点とし
    て前記研磨工具の中心軸から離れる方向に前記角度αだ
    け開いた稜線で形成される円錐面と、前記工具支持部材
    内の前記凹球面形状との交線よりも下部に前記滑り部材
    の稜線を配置するように前記滑り部材の形状を設定する
    工程とを具備することを特徴とする滑り部材の支点高さ
    設定方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013066997A (ja) * 2011-09-05 2013-04-18 Canon Inc 加工装置および光学部材の製造方法
CN105437020A (zh) * 2015-12-23 2016-03-30 福建福光股份有限公司 有平台面球面镜加工工艺
CN110774168A (zh) * 2018-07-31 2020-02-11 株式会社荏原制作所 具备球面轴承的连结机构、球面轴承的轴承半径决定方法以及基板研磨装置
CN114147581A (zh) * 2021-11-18 2022-03-08 徐州普拓机械科技有限公司 一种变压式高精度外曲面磨削装置及其使用方法

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