JP3890188B2 - 研磨装置 - Google Patents

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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズやミラー等の光学素子あるいは金型等を研磨する際に研磨工具を保持するために使用される研磨工具保持装置に関し、特に、非球面形状の被加工面の高精度な研磨加工に用いることができる研磨工具保持装置及び研磨装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レンズやミラー等の光学素子あるいは金型等を研磨する際には、一般に、研磨工具を保持するために研磨工具保持装置が使用されている。
【0003】
従来、この種の研磨工具保持装置としては、特開平4−244372号公報、特開平7−75952号公報に開示する研磨工具保持装置が知られている。これらの研磨工具保持装置は、図2(特開平7−75952号公報)に示すように、ポリッシャ(研磨工具)31cを保持するための工具保持部材31aに設けられた凸球面31dと加工力を加えるための荷重軸39の端部の支持部33に設けられた案内部35aとにより、少なくとも3個の互いに間隔をおいて配列された球35b…を挟み、凸球面31dの中心点が工具保持部材31aに保持された研磨工具31cの研磨面の中心点Oに一致するように構成する。このように、研磨工具31cの揺動に伴なうモーメントの発生による姿勢変化(被加工面の工具のある位置の曲率半径の球面を仮定して、その球面に研磨工具の研磨面が沿って揺動するときの工具のピッチング方向の姿勢変化)を原理上無視できる構成が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の研磨工具保持装置では、工具を高速に揺動運動させた場合に、工具保持部材31aに設けられた凸球面31dと加工力が加えられる支持部33に設けられた案内部35aとによって挟まれ互いに間隔を置いて配置された球35bが慣性力により接触状態が不安定となり、研磨工具31cや工具保持部材31aに必要な円滑な傾動追随運動が妨げられ、その結果、偏荷重が発生し、被加工面の形状創成に支障をきたすことがあった。
【0005】
また、工具保持部材31aに設けられた凸球面31dと支持部33に設けられた案内部35aとによって挟まれた球35bの支点を含む面内で、球のない区間は加工時に発生する工具と被加工面間の摩擦力を最寄の2個の球(2支点)に分配して支持部33に設けられた案内部に伝えるため、摩擦力を支える2つの球を結ぶ仮想線を軸に新たなモーメント力が発生し、工具保持部に必要な円滑な傾動追随運動が妨げられ、その結果偏加重が発生し、被加工面の形状創成に支障をきたすことがあった。
【0006】
また、凸球面31dの工具保持部から案内部35aの工具支持部までの構成要素が剛性の高い金属材料で形成されているために、高荷重で研磨工具を揺動させたときに、わずかな製作誤差によって生じる接触状態のアンバランスに起因する振動が発生することもあり、高能率な研磨加工が難しいことがあった。
【0007】
これは、それぞれの構成要素が金属で形成されているので、比較的大きな質量をもつため、高速で揺動させたときに特に顕著となる。
【0008】
そこで、本発明は、上述の従来技術の有する未解決の問題点に鑑みてなされたものであって、研磨時、工具保持部に保持された研磨工具の研磨面が被加工物の被加工面の位置による曲率半径や法線方向の変化に対して円滑に追随することができ、かつ、高速度で揺動運動させても常に安定した研磨加工を可能とする研磨工具保持装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の研磨装置は、研磨工具と、該研磨工具を保持する工具保持部材と、前記研磨工具に加工力を加えるための荷重軸に取り付けられた支持部材とを有し、被研磨物の被研磨面に前記研磨工具を圧接して研磨加工するための研磨装置であって前記研磨工具は前記工具保持部材に軸受けを介して回転自在に支持され、前記支持部材は凹球面形状部を有し、前記工具保持部材は、前記凹球面形状部に接触する部分が球面の一部を形成する潤滑性を有するリング状の滑り部材を有し、前記凹球面形状部の球面の中心と、前記リング状の滑り部材の前記凹球面形状部に接触する部分の球面の中心と、前記研磨工具の研磨面の中心とが一致していることを特徴とする。
【0010】
本発明の研磨装置においては、前記滑り部材がフッ素樹脂で構成されていることが好ましい。
【0011】
本発明の研磨装置においては、前記支持部材と前記工具保持部材との間に磁性力を作用させて前記滑り部材と前記工具支持部材との接触状態を保持することが好ましい。
【0012】
【作用】
本発明の研磨工具保持装置によれば、工具保持部の凸状部と支持部の凹球面とで形成される空間内に工具保持部に嵌入した潤滑性のある滑り部材を配設したことにより、滑り部材の全周で加工力を分散して伝えることができ、凸状部と凹球面に浮き上がりが発生せず、工具保持部の凸状部に嵌入した滑り部材の外周上部の円弧面の中心軸と支持部の凹球面の中心点は研磨工具の研磨面の中心点と常に一致する。その結果、研磨工具を高速で揺動しても加工力の作用点は常に研磨面の中心点に一致し、そのため、研磨時に、研磨工具を揺動方向にピッチング(回転)させようとする偶力が発生しないので、被加工面に余分なうねりを発生させることもない。
【0013】
より具体的には、従来例では、工具保持部に設けられた凸球面と支持部に設けられた凹球面とによって挟まれた3個の球の支点を含む面内で、球のない区間は加工時に発生する工具と被加工面間の摩擦力を最寄の2個の球(2支点)に分配して支持部に設けられた凹球面に伝えるため、摩擦力を支える2つの球を結ぶ仮想線を軸に新たなモーメント力が発生し、工具保持部に必要な円滑な傾動追随運動が妨げられ、その結果偏加重が発生し、被加工面の形状創成に支障をきたすことがあった。
【0014】
これに対し、本発明では、凸球面と凹球面とにより挟まれた空間に、潤滑性のある滑り部材を挟む構造としたので、この滑り部材の全周で加工力を分散して伝えることができ、したがって上記の3個の球を使用した場合の問題点を解決でき、安定した工具支持が可能となるので被加工面の形状創成に支障をきたすことがない。
【0015】
また、工具保持部の構成が簡単にでき、質量も小さくすることができ、さらに、潤滑性のある滑り部材をフッ素樹脂で形成することにより、従来用いられていた鋼球に比べ質量を小さくでき、高速での揺動に対して有利となる。
【0016】
より具体的には、従来例では、球を3ヶ所に分けてなおかつ回転自在とするために、工具保持部に複雑な球受け部の加工が必要となるが、本発明では、工具保持部には滑り部材をはめるための軸部があればよく、球に替えて1個のリング状の滑り部材を作り前記軸部にはめるだけでよいので複雑な球受け部の加工が不要となる。これにより工具保持部の構成が単純化される。また、従来例では球は少なくとも3個必要であり、本発明の潤滑樹脂製の滑り部材よりも質量が大きくなる。すなわち本発明では工具保持部の質量を小さくすることができる。
【0017】
また、研磨工具を工具保持部に対して回転自在とする軸受けを介して取り付けることにより、研磨工具は荷重軸回りに自由な位置を取ることができ、研磨工具の研磨面の圧力分布を短時間で確実に最も均一な状態にすることができる。
【0018】
また、工具保持装置内で工具を安定して保持するためには工具軸にかかる荷重Pと研磨運動(たとえば揺動)により発生する工具研磨面と被加工面間の摩擦力が、支点(滑り部材の稜線)を介して安定でなければならない(図3により説明する)。
【0019】
このためには、工具面の中心を原点として、工具にかかる荷重反力の合力Vと摩擦力の合力が工具軸法線となす角度(α )と、同様に工具面の中心を原点として滑り部材の稜線が工具軸法線となす角度(β )を比較してβ がα よりも大きいことが必要である.言い換えると、α のなす円錐面よりも下部に滑り部材の稜線がある。
【0020】
このような条件下では工具支持部材の球面凹部面内に研磨工具、研磨工具保持部を安定して(摩擦力に抗して)保つ事ができる。
【0021】
この関係が逆で、αの方が大きい(言い換えると、αのなす円錐面よりも上部に滑り部材の稜線がある)と、工具軸の荷重により生ずる工具、工具保持部への水平方向駆動力よりも摩擦力の方が大きくなってしまい、工具、工具保持部は工具支持部材の球面凹部面内から外れる可能性があり、安定した研磨除去が行えない恐れがある。
【0022】
摩擦力は使用する工具面構成材料と被加工物間の静的、動的な値として、事前に測定しておく。
【0023】
摩擦力の測定方法としては、ラップ盤に平面に仕上げた被加工面を取り付け、ラップ盤外から出したアームで研磨工具(研磨面に所定の構成材料を設けたもの)を支える。その支点部にロードセルを摩擦力が測定可能な方向に設けて置き、ラップ盤を回転させることで発生する摩擦力を直接測定する。そして、研磨工具にかかっている鉛直荷重から摩擦係数を求める。このとき、始動時の水平力を測定することで静摩擦係数を、ラップ盤が安定した回転をしているときの水平力から動摩擦係数を求めることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は、本発明の研磨工具保持装置を示す図であって、(a)は要部断面図であり、(b)は構成概略図である。
【0026】
本発明の研磨工具保持装置10は、研磨工具1を保持する工具保持部2と加工力を加えるための荷重軸7の端部に取り付けられた支持部3とを備えている。
【0027】
工具保持部2に保持される研磨工具1は、被加工物Wの被加工面Waに対して十分小さい直径の円盤状に形成され、例えば、直径φ100mmの被加工面Waに対して研磨工具外径は約φ20mmとする。そして、研磨工具1は、被加工物Wの被加工面Waに接触して被加工面Waを研磨するアスファルトピッチ等の粘弾性体層1bと、被加工面に対して形状追随する弾性体からなる形状追随層1cと、金属等の磁性体からなる工具本体1dとから構成されており、粘弾性体層1bの下面が被加工面Waを研磨する研磨面1aとなる。
【0028】
工具保持部2は、その中央部の上下にそれぞれ磁石4a、4bが埋め込まれて接着あるいはねじ止め等の手段により固定されている。研磨工具1は、その工具本体1dの上方部のボス部が、工具保持部2の中央部に形成された穴部2aにラジアルボールベアリング等の軸受け2eを介して取り付けられる。このとき、軸受け(ラジアルボールベアリング)2eは、その外輪が工具保持部2の穴部2aに嵌入され、その内輪に工具本体1dの上方部のボス部が挿入される。そして、研磨工具1は、磁石4(4a、4b)の磁力により工具保持部2に吸着されることにより保持される。このように、工具保持部2は、軸受け2eの外輪には接触するが内輪には全く接触しない構成で、研磨工具1は、軸受け2eの内輪には接触するが軸受け2eの外輪には全く接触しない構成となっており、また、研磨工具1を工具保持部2から磁石4(4a、4b)の磁力に抗して引き離すことにより、研磨工具1は容易に工具保持部2から取り外すことができる構成となっている。
【0029】
工具保持部2の上部表面の凸状部2bには段部2cが形成されており、その段部2cには、フッ素樹脂等の潤滑性部材でリング状に成形された滑り部材8が嵌め込まれ、この滑り部材8の外周上部のエッジはC0.1程度の面取りがなされている。このエッジに形成される外周面は、工具保持部2に保持されている研磨工具1の研磨面1aの中心点Oを中心とした半径Rtの球面上に位置するように形成されている。
【0030】
金属等の磁性体からなる支持部3は、荷重軸7の下端部にねじ等により取り付けられ、工具保持部2に対向する面には凹球面3bが形成されており、この凹球面3b内には、潤滑性のフッ素樹脂からなる滑り部材8を嵌め込んだ工具保持部2が位置付けられ、磁石4(4a、4b)の磁力により常に支持部3に吸引される構成となっている。また、凹球面3bは、工具保持部2に保持される研磨工具1の研磨面1aの中心点Oを中心とする半径Rtの球面となるように形成されている。したがって、滑り部材8(図4に示す)の外周上部のエッジ外周面と凹球面3bは中心が一致しており、滑り部材8は、工具保持部2と支持部3とがどのように相対移動しても、円滑に滑動することができる。
【0031】
工具保持部2の周縁部2dと支持部3の周縁部3cとには、ポリクロロプレン等の材料で形成された環状の可撓性部材(ゴムシール)6が固着され、この可撓性部材(ゴムシール)6は、工具保持部2と支持部3とを連結し、工具保持部2の凸状部2bと支持部3の凹球面3bとにより挟まれる空間を外部から密閉する。
【0032】
次に、本発明の研磨工具保持装置10の作動について、図1の(a)および(b)を参照して説明する。
【0033】
荷重軸7を介して支持部3に加えられる加圧力Pと揺動時に荷重軸7および支持部3を介して伝えられる揺動力Nとの合力(加工力)は、支持部3の凹球面3bからフッ素樹脂製の滑り部材8を介して工具保持部2に伝わり、工具保持部2に保持された研磨工具1の研磨面1aに作用する。
【0034】
そして、工具保持部2は、軸受け(ラジアルボールベアリング)2eの外輪には接触するが軸受け2eの内輪には全く接触せず、また、研磨工具1は軸受け2eの内輪には接触するが軸受け2eの外輪には全く接触しない構成となっているので、研磨工具1は工具保持部2に対して回転自在であり、荷重軸7回りに円滑に回転する。
【0035】
フッ素樹脂製の滑り部材8の外周上部のエッジと研磨面1a(工具加工面)の中心点Oで規定される球面は、支持部3の凹球面3bと一致するので、工具保持部2が支持部3に対してどのように傾斜していても、前記加工力の作用点は研磨面1aの中心点Oに位置する。また、研磨時に発生する摩擦力Fも研磨面1aに作用するので、研磨工具1を揺動方向に回転させようとするモーメント力(偶力)は発生しないので、研磨面1aの圧力分布ωは常に均一に保たれる。
【0036】
なお、参考のために、研磨加工の加工条件の一例を以下に示す。
【0037】
荷重:10N
揺動:ストローク±5mm、周期4Hz
このとき、研磨面1aと被加工面の動摩擦係数は約0.55、静摩擦係数は約0.75なので、摩擦力の内最大のものは、10N×0.75=7.5N程度となる。これをFmaxとする。
【0038】
従って、工具にかかる荷重反力の合力Vは10N、摩擦力の最大値Fmaxは7.5Nであるから、これらの2力の合力と工具軸法線とのなす角度(α)は、α=tan-1(Fmax/V)を求めればよく、α=tan-1(0.75)=36.87度、となる。
【0039】
従って、滑り部材8の滑り稜線面のなす角度βはαよりも大きく、すなわち工具軸法線上部から36.87度以上必要である。
【0040】
本実施形態ではβを約55度とする。βが十分にαよりも大きいので安定した工具保持が可能である。
【0041】
また、本実施形態では工具保持部の構成が簡単にでき、質量も小さくすることができ、さらに、滑り部材8をフッ素樹脂で形成することにより、従来用いられている鋼球に比べ質量を小さくできるので、総合して軽量化が可能となり高速揺動を加えてもフッ素樹脂製の滑り部材8が浮き上がることがなく、またフッ素樹脂製の滑り部材8が支持部3の凹球面3bと全周にわたり円滑に接触しているので研磨工具に不要な外力を加えることもない。
【0042】
以上のことから、本発明の研磨工具保持装置10においては、被加工物Wの被加工面Waが非球面などの複雑な形状であっても、研磨工具1が支持部3に対して自在に傾斜して研磨面1aが前記形状に十分に追随することができ、さらに、研磨工具は荷重軸回りに自由な位置を取ることができ、研磨工具の研磨面の圧力分布を短時間で確実に最も均一な状態にすることができる。
【0043】
なお、フッ素樹脂製の滑り部材8は、全周すべてが支持部3の凹球面3bと接触する必要はなく、空気抜きのために一部を切り欠いてもよい。
【0044】
また、滑り部材の材質は樹脂材料に限定するわけではなく、グラファイト、ウルツ鉱型のBN(ボロンナイトライド)の焼結体などの摩耗の少ない固形潤滑材料でもよい。
【0045】
以上説明したように、上記の実施形態によれば、凸球面と凹球面とにより挟まれた空間に、潤滑性のある滑り部材を挟む構造としたので、この滑り部材の全周で加工力を分散して伝えることができ、したがって、安定した工具支持が可能となる。またその結果、凸球面に余分なモーメントが発生しないので、工具保持部の浮き上がりが発生せず、凸球面の中心点及び凹球面の中心点は研磨工具の研磨面の中心点と常に一致する。また、工具を高速で揺動しても加工力の作用点は常に研磨面の中心点に一致する。そのため、研磨時に研磨工具を揺動方向にピッチング(回転)させようとするモーメントが発生しないので被加工面に余分なうねりを生じることがない。
【0046】
また、潤滑性のある滑り部材は鋼球と異なり、ダンピング特性に優れているので、高荷重で工具を保持して揺動させても工具支持部内に不要な振動を発生させることがない。この結果、高荷重研磨を安定して実現できる。
【0047】
また、工具保持部の構成を簡単にでき、また鋼球を用いる場合に比べ質量を小さくできるので、高速での揺動に対して有利となる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、次のような作用効果を奏する。
【0049】
支持部に加えられた加圧力の作用点は、研磨工具が支持部に対してどのように傾斜していても、常に研磨工具の研磨面の中心点に位置して研磨工具を揺動方向に回転させようとするモーメント力(偶力)が発生しないので、研磨工具の研磨面の圧力分布を常に均一にすることができる。
【0050】
その結果、被加工物の被加工面が、回転楕円面、楕円筒面、あるいは、子線と母線の曲率半径差が比較的大きくかつ母線の曲率半径も比較的短いトロイダル面、あるいは高次の次数をもつ回転対称非球面等のような複雑な形状をしていても、その被加工面を高精度に均一に研磨加工することができる。
【0051】
さらに、曲率半径の小さな被加工面上においても研磨工具の被加工面への追随のために必要となる揺動方向への傾動運動(ピッチング回転)が自在であるので、研磨工具の研磨面の形状が崩れることもなく、高精度な超平滑な研磨加工が可能となり、汎用性が向上する。
【0052】
研磨工具は、軸受け部により支えられているので、荷重軸回りに円滑に回転できる。したがって、研磨工具が荷重軸回りに自由な位置を取ることができるので、研磨工具の製作精度等に起因する研磨面の圧力分布の不均一性を研磨工具自身の回転により短時間で確実により均一な状態にすることができる。
【0053】
また、工具面の中心を原点として、工具にかかる荷重反力の合力Vと摩擦力の合力が工具軸法線となす角度(α )と、同様に工具面の中心を原点として滑り部材の稜線が工具軸法線となす角度(β )を比較してβ がα よりも大きいことが必要である。言い換えると、α のなす円錐面よりも下部に滑り部材の稜線がある。この配置で工具の保持は安定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研磨工具保持装置を示す図であって、(a)は要部断面図であり、(b)は構成概略図である。
【図2】従来の研磨工具保持装置の一例を示す断面図である。
【図3】滑り部材の稜線の位置を示す図である。
【図4】滑り部材の形状を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 研磨工具
1a 研磨面
1b 粘弾性体層
1c 形状追随層
1d 工具本体
2 工具保持部
2a 穴部
2b 凸状部
2c 段部
2e 軸受け(ラジアルボールベアリング)
3 支持部
3b 凹球面
4(4a、4b) 磁石
6 可撓性部材(ゴムシール)
6a ベローズ部(変形余裕部分)
7 荷重軸
8 滑り部材
10 研磨工具保持装置

Claims (3)

  1. 研磨工具と、該研磨工具を保持する工具保持部材と、前記研磨工具に加工力を加えるための荷重軸に取り付けられた支持部材とを有し、被研磨物の被研磨面に前記研磨工具を圧接して研磨加工するための研磨装置であって
    前記研磨工具は前記工具保持部材に軸受けを介して回転自在に支持され、
    前記支持部材は凹球面形状部を有し、前記工具保持部材は、前記凹球面形状部に接触する部分が球面の一部を形成する潤滑性を有するリング状の滑り部材を有し、
    前記凹球面形状部の球面の中心と、前記リング状の滑り部材の前記凹球面形状部に接触する部分の球面の中心と、前記研磨工具の研磨面の中心とが一致していることを特徴とする研磨装置。
  2. 前記滑り部材がフッ素樹脂等の合成樹脂材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
  3. 前記支持部材と前記工具保持部材との間に磁性力を作用させて前記滑り部材と前記工具支持部材との接触状態を保持することを特徴とする請求項1又は2に記載の研磨装置。
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