JP2001150083A - 材料の打鍛展延成形装置及び方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】圧し出しプレス成形、型絞り出し成形等では加
工が困難な低展性、堅い、脆い等の材料で比較的大型品
を加工できる打鍛展延成形装置及び方法。 【解決手段】下面を打撃面２とした成形ハンマー１と上
面を受型４とした受台３を、各中心線を一致させて対設
し、成形ハンマーの打撃面は平面状、若しくは受台の受
型と凹凸相対する皿状、半球状、その他成形目的形状の
凸型または凹型に成型し、受型はこれらに対応して形成
し、その中心に材料６を載せ、成形ハンマーをサーボシ
リンダー７その他の震動手段で強力高速上下震動し、そ
の打撃面を型台の受型上の材料に下降接触させると共
に、材料を載せた型台をモーター８その他の回転手段で
回転させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】打撃面に多数のビットを突設した
成形ハンマーをサーボシリンダー等で強力高速上下振動
する一方、回転する型台の受型上に材料を載せ、成形ハ
ンマーのビットで材料を打鍛展延しつつ目的形状に成形
するようにした、材料の打鍛展延成形装置及び方法に係
り、特に通常の圧し出しプレス成形、型絞り出し成形等
では加工が困難とされる展性が低い、堅い、脆い等の性
質の材料で比較的大形品を加工できるようにしたことを
特徴とする、材料の打鍛展延成形装置及び方法を提供す
る。

【０００２】

【従来技術と課題】金属材料を皿形、トレー形、ボウル
形（深鉢形）、レンズ形、半球形、及びそれらの複合形
等に成形加工する場合、鉄、銅、アルミニューム等の展
性の優れた材料の場合は圧し出しプレス成形加工、型絞
り出し成形加工等で加工するのが通常であるが、展性の
低い、堅い、脆い等の材料（例、チタン、タンタル等）
の場合は、やむなく施盤等による削り出し加工で行って
いる。然して、削り出し加工の場合、比較的おおきな物
（例、１０〜３０ｃｍ位）になると加工が大変である上
に材料の無駄が大量に発生して極めて不経済でありコス
ト高になる課題があった。

【０００３】

【発明による課題の解決】そこで、本発明は主として展
性の低い、堅い、脆い等の性質で、上記従来の加工手段
に適さないような材料で、しかも比較的大形な物（例、
３０ｃｍ位）を簡単かつ高能率に、また安価に加工でき
るようにした、材料の打鍛展延成形装置及び方法を提供
して、上記従来の課題を解決したものである。

【０００４】

【課題を解決する手段】即ち、本発明は、下面を打撃面
とした成形ハンマーと上面を受型とした型台を、各中心
線を一致させて対設したものであり、成形ハンマーの打
撃面は平面状、若しくは型台の受型と凹凸相対する皿
状、半球状、その他成形目的形状の凸型または凹型に形
成すると共に、多数の半球状等のビットを突設したもの
であり、型台の受型は平面状、若しくは上記打撃面と凹
凸相対する皿状、半球状、その他成形目的形状の凹部ま
たは凸部に形成し、その中心に材料を載せるものであっ
て、

【０００５】成形ハンマーをサーボシリンダーその他の
震動手段で強力高速上下震動し、その打撃面を型台の受
型上の材料に下降接触するように備えると共に、材料を
載せた型台をモーターその他の回転手段で回転するよう
に備えたものである、材料の打鍛展延成形装置によっ
て、課題を解決したものである。

【０００６】

【実施例】本発明の実施例を説明する。（図面参照） 下面を打撃面２とした成形ハンマー１と上面を受型４と
した型台３を、各中心線を一致させて対設したものであ
り、成形ハンマー１の打撃面２は平面状、若しくは型台
３の受型４と凹凸相対する皿状、半球状、その他成形目
的形状の凸型または凹型に成形すると共に、多数の半球
状等のビット５を突設したものであり、型台３の受型４
は平面状、若しくは上記打撃面２と凹凸相対する皿状、
半球状、その他成形目的形状の凹部または凸部に形成
し、その中心に材料６を載せるものであって、

【０００７】成形ハンマー１をサーボシリンダー７その
他の震動手段で強力高速上下震動し、その打撃面２を型
台３の受型４上の材料６に下降接触するように備えると
共に、材料６を載せた型台３をモーター８その他の回転
手段で回転するように備えた、材料の打鍛展延成形装置
である。

【０００８】本発明装置は、材料６の成形加工時に、型
台３と成形ハンマー１の一方（図示例は型台３）または
両者をモーターその他の回転手段で回転するように備
え、両方を回転するときは相互に逆回転するように備え
る。

【０００９】型台３の受型４に材料６の位置決め用兼空
回り防止用の十形その他の形状の凹部９を設ける。

【００１０】成形ハンマー１の打撃面２に突設する、先
端が半球状等のビット５は、成形ハンマー１と一体のも
のまたは別設のビットを焼き嵌めその他の手段で固定し
たものであり、また、各ビット５の先端を設定方向、角
度、例えば、打撃面２の中心から円周部に向い放射状に
傾斜して突設するなどの手段で、ビットの打撃力が材料
を展延する方向に向って加わるように備える。

【００１１】成形ハンマー１の打撃面２を型台３の受型
４上の材料６に接触するとき、調節加圧し乍ら接触する
ように、成形ハンマー１側（図１）若しくは型台３側の
一方または両方に加圧シリンダー１０その他の加圧手段
を備える。

【００１２】主軸１１の下端に成形ハンマー１を備え、
該主軸１１から成形ハンマー１を通り打撃面２のビット
５の付近に潤滑、冷却等用の液体を流す流路１２を形成
する。

【００１３】符号、１３はフレーム、１４は成形品、１
５はギヤ、１６はサーボバルブである。

【００１４】

【課題を解決する手段】また、本発明は、成形ハンマー
をサーボシリンダーその他の振動手段で振幅、振動数、
及び打撃力等を調節しつつ強力高速上下振動し、該成形
ハンマーの打撃面を型台の受型上の材料に加圧接触し、
同時に材料を載せた型台若しくは成形ハンマーの一方ま
たは両方をモーターその他の回転手段で調節回転して、
受型上の材料を成形ハンマーの打撃面の多数のビットで
万遍なく強打鍛し受型若しくは打撃面の型形状に倣って
順次展延して目的形状に成形するようにしたことを特徴
とする、材料の打鍛展延成形法によって課題を解決した
ものである。

【００１５】

【作用】型台３の受型４中心に材料６を載せ、型台３を
モーター８、ギヤ１５等の回転手段で回転（毎分１００
回転位）し、成形ハンマー１をサーボバルブ１６で調整
作動するサーボシリンダー７（毎分１０００〜４０００
回位上下振動）等の振動手段で強力（例、油圧調整）高
速上下振動させつつ加圧シリンダー１０を下降して、そ
の打撃面２を材料６に接触加圧する。

【００１６】回転する材料６を打撃面２の多数のビット
５が強力高速かつ万遍なく打鍛し順次材料６を受型４
（若しくは打撃面２）の型形状に倣って展延しつつ目的
型形状に成形する。

【００１７】即ち、本発明の打鍛展延は、古来の伝統技
術である金槌（ビットに相当）による薬缶、鍋等の打ち
出し加工法を機械化、自動化したようなものである。

【００１８】上記の打鍛展延が開始されると、打撃力で
材料６の下面の一部が受型４の凹部９内に打ち出されて
凸出し、これによって材料６が受型４の定位置に位置決
めされ、よって型台３と確実に同転し、型台３だけの空
回りが防止される。

【００１９】必要に応じ、型台３と形成ハンマー１の両
方を適宜の回転手段で回転（相当に逆回転）し、また
は、一方だけを回転（上記例、図示例は型台だけ）す
る。

【００２０】また、材料６に対する打撃面２の加圧も、
図示例の如く成形ハンマー１を加圧シリンダー１０等に
よる加圧手段で加圧する他、型台３の方を同様の加撃手
段で加圧する。更に、成形ハンマー１と型台３の両方か
ら行ってもよい。

【００２１】成形ハンマー１の主軸１１から打撃面２に
備えた流路１２に潤滑、冷却液等を流して、打鍛展延時
に材料面を傷めたり熱を持ったりしないようにする。

【００２２】成形ハンマー１の各ビット５の先端を材料
６の展延方向、例えば、打撃面２の中心から円周方向に
向って放射状をなすように傾斜して備えて、展延作用を
助長する。

【００２３】

【効果】サーボシリンダー等の振動手段で極めて強力か
つ高速上下振動する成形ハンマーの打撃面の多数のビッ
トを、型台の受型上で回転する材料に加圧し乍ら接触
し、前記振動と回転を相乗作用して材料を完全にむらな
く万遍なく極めて強力に打鍛しつつ順次展延するため、
展性の低い、堅い、脆い等の性質の材料でもひび割れ、
材料の劣化等の恐れなしに極めて効率的に展延でき、ま
た、展延の過程で受型若しくは打撃面の型形状に倣って
展延することによって目的型形状に成形することができ
る優れた特長がある。

【００２４】材料を多数のビットで莫大回数打ち鍛えつ
つ展延するため、一種の冷間（常温）鍛造法でもあり、
また、古来の伝統技術である金槌による薬缶、鍋等の打
ち出し製法にも通じる技術であるため、成形加工が効率
的なばかりでなく、従来の材料から削り出しただけのも
の（強度等は材料の時と同じ）や、材料を強引に絞り出
す型絞り加工（材料を強引に引き延ばし展開するため強
度等低下）したもの等に比し、強度的にも格段に優れ、
また仕上りの美麗な製品が得られる。

【００２５】振動手段を調節して成形ハンマーの打撃
力、振幅、振動数等を調節し、回転手段で型台、成形ハ
ンマーの回転数を調節し、また加圧手段で打撃面と材料
の加圧力を調節する等して、材料の素性、大小、目的型
形状等に適応した成形加工を行うことができる。

【００２６】成形ハンマーの打撃面のビットの先端を設
定方向、角度に傾斜して突設するなどによって、ビット
の打撃力が材料を展延する方向に向って加わるようにし
て、展延効果を向上することができる。

【００２７】型台の受型の中心に凹部を形成し、打鍛展
延時に材料の下面の一部が凹部内に凸出するようにした
ので、それによって材料を定位置に位置決めできると共
に、材料が確実に型台と同転して空回りしないようにで
きる。

【００２８】打撃面と材料の間に潤滑、冷却等用の液を
流すようにしたので、打鍛展延時にビットが材料を傷付
けたり、熱をもったりすることを防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例装置（成形ハンマー凹型、受型
凸型）の構成概略を示す一部切断正面図。

【図２】他の実施例成形ハンマー（凸型）及び型台の受
型（凹型）の実施例の説明図。

【図３】図示実施例による成形品の縦断正面図及び平面
図。

【符号の説明】

１ 成形ハンマー ２ 打撃面 ３ 型台 ４ 受型 ５ ビット ６ 材料 ７ サーボシリンダー ８ モーター ９ 凹部 １０ 加圧シリンダー １１ 主軸 １２ 流路 １３ フレーム １４ 成形品 １５ ギヤ １６ サーボバルブ

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】下面を打撃面とした成形ハンマーと上面を
   受型とした型台を、各中心線を一致させて対設したもの
   であり、 成形ハンマーの打撃面は平面状、若しくは型台の受型と
   凹凸相対する皿状、半球状、その他成形目的形状の凸型
   または凹型に形成すると共に、多数の半球状等のビット
   を突設したものであり、 型台の受型は平面状、若しくは上記打撃面と凹凸相対す
   る皿状、半球状、その他成形目的形状の凹部または凸部
   に形成し、その中心に材料を載せるものであって、 成形ハンマーをサーボシリンダーその他の振動手段で強
   力高速上下振動し、その打撃面を型台の受型上の材料に
   下降接触するように備えると共に、材料を載せた型台を
   モーターその他の回転手段で回転するように備えたもの
   である、 材料の打鍛展延成形装置。
2. 【請求項２】材料の成形加工時に、型台と成形ハンマー
   の一方または両者をモーターその他の回転手段で回転す
   るように備え、両者を回転するときは相互に逆回転する
   ように備えた、 請求項１の材料の打鍛展延成形装置。
3. 【請求項３】型台の受型に材料の位置決め用兼空回り防
   止用の十形その他の形状の凹部を設けた、 請求項１の材料の打鍛展延成形装置。
4. 【請求項４】成形ハンマーの打撃面に突設する、先端が
   半球状等のビットは、成形ハンマーと一体のものまたは
   別設のビットを焼き嵌めその他の手段で固定したもので
   あり、また、各ビットの先端を設定方向、角度に傾斜し
   て突設するなどの手段で、ビットの打撃力が材料を展延
   する方向に向って加わるように備えた、 請求項１の材料の打鍛展延成形装置。
5. 【請求項５】成形ハンマーの打撃面を型台の受型上の材
   料に接触するとき、調節加圧し乍ら接触するように、成
   形ハンマー側若しくは型台側の一方または両方に加圧シ
   リンダーその他の加圧手段を備えた、 請求項１の材料の打鍛展延成形装置。
6. 【請求項６】主軸の下端に成形ハンマーを備え、該主軸
   から成形ハンマーを通り打撃面のビットの付近に潤滑、
   冷却等用の液体を流す流路を形成した、 請求項１の材料の打鍛展延成形装置。
7. 【請求項７】成形ハンマーをサーボシリンダーその他の
   振動手段で振幅、振動数、及び打撃力等を調節しつつ強
   力高速上下振動し、該成形ハンマーの打撃面を型台の受
   型上の材料に加圧接触し、同時に材料を載せた型台若し
   くは成形ハンマーの一方または両方をモーターその他の
   回転手段で調節回転して、受型上の材料を成形ハンマー
   の打撃面の多数のビットで万遍なく強打鍛し受型若しく
   は打撃面の型形状に倣って順次展延して目的形状に成形
   するようにしたことを特徴とする、 材料の打鍛展延成形法。