JP2001148617A - Sawフィルターの製造方法 - Google Patents

Sawフィルターの製造方法

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JP2001148617A
JP2001148617A JP32851399A JP32851399A JP2001148617A JP 2001148617 A JP2001148617 A JP 2001148617A JP 32851399 A JP32851399 A JP 32851399A JP 32851399 A JP32851399 A JP 32851399A JP 2001148617 A JP2001148617 A JP 2001148617A
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wafer
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Hideki Kato
英樹 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ウェハー全体のSAWフィルターの中心周波
数を精度よく微調整でき、かつ、ウェハーを再利用する
という手間をかけず、不合格品をできるだけ無くして製
造上の歩留まりを向上できるSAWフィルターの製造方
法を提供する。 【解決手段】 複数のSAWフィルターを個々に分割す
るように基板(ウェハー)を切断し、各SAWフィルタ
ー毎に中心周波数確認を行い、周波数ずれに応じてグル
ープ分けし、各グループ毎にイオン交換法により中心周
波数の調整を行う。SAWフィルターの中心周波数の微
調整をほぼ個別に行うことが可能であり、微調整の精度
向上が図れ、その分、ロスが少なくなる。また、ウェハ
ー全体を広範囲に有効利用できることになり、この分、
有効面積が広がることになる。また、グループ毎に中心
周波数の微調整を行うので、微調整の迅速化及び精度向
上が図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、SAW(表面弾性
波)フィルターの製造方法、特にSAWフィルターの中
心周波数の調整を行う技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】SAWは、周波数が同じならその波長が
電磁波の10-5程度で極めて短く、弾性体の表面あるい
は界面に集中して伝搬する波であり、その発生、制御、
検出を固体表面上で処理することが可能である。具体的
には中心周波数fと波長λと伝搬速度vとの間には、 λ=v/f という関係が成り立つ。
【0003】電磁波の場合(自由空間)、その伝搬速度
vはv=3×108 m/sであり、SAWの場合はその
伝搬速度vは約4×103 m/s(LiTaO3 基板の
場合)となる。従って、上述したようにSAWは、その
波長が電磁波の10-5程度で極めて短くなる。仮にIF
帯SAWフィルターの中心周波数が240MHz程度で
あるとすると、このSAWフィルターの波長λ(SA
W)は、 λ(SAW)=(4×103 )/(240×106 )=16.7×10-6m =16.7μm 〔対応する電磁波の波長λ(電磁波)=(3×108 )/(240×106 ) =1.25mである。〕 となり、電極が100対ならばSAWを用いた素子(S
AWフィルター)は835μm程度の大きさにしかなら
ず、SAWを使用する(SAWフィルターを構成する)
ことによりフィルターを小型化できることになる。
【0004】SAWフィルターの基本構成を図7に示
す。図7において、SAWフィルター1は、水晶やLi
NbO3 等の圧電体結晶製の基板2にSAWを励起する
ための薄膜の入力用櫛形電極3と薄膜の出力用櫛形電極
4を作製して得られる。そして、入力用櫛形電極3に信
号源5から高周波信号を入力すると圧電体結晶製の基板
2に信号の正負に応じた歪みが生じるため、電極間隔の
2倍に等しい波長のSAWが誘起され、このSAWが出
力用櫛形電極4へ伝搬され電気信号に変換されて検出さ
れる。このとき、圧電体結晶製の基板2の表面では特定
の周波数帯域の弾性波しか伝搬できないため、SAWフ
ィルター1はフィルター機能を発揮することになる。
【0005】従来のSAWフィルター1は図8に示すよ
うに、圧電基板(圧電体結晶製の基板)2上に金属膜6
を形成し、次にフォトエッチングにより図9に示すごと
く圧電基板2上にパターン7(入力用櫛形電極3、出力
用櫛形電極4)を形成することにより製造するようにし
ている。そして、上記パターン7の形成後、図10に示
すごとく圧電基板2上にパターン7を形成したものをウ
ェハーの状態(複数のSAWフィルター1に分割されて
いない状態)のままでプローブPによって各SAWフィ
ルター1の中心周波数を測定し、中心周波数特性が異な
るものは圧電基板2上にSiO2 膜を付与、あるいはウ
ェハー全体(圧電基板2全体)の電極(パターン7)ま
たは圧電基板2における入力用、出力用の電極(パター
ン7)の間の部分をエッチングすることによって等価的
に電極膜厚を変えることにより中心周波数の微調整を行
っていた。この製造工程を模式的に示したのが図11で
ある。
【0006】また、従来のSAWフィルターの製造方法
の他の例として、特開昭59−94910号公報に提案
されているように、SAWフィルターの電極を形成した
後に、Ag,Au,Cr,Niなどの金属あるいは非金
属の化合物を付加蒸着することによって中心周波数を微
調整しようとするものがある。さらに他の従来例とし
て、特開平7−99418号公報に示すように、電磁
波、粒子線、蛍光X線などを用いて金属膜の単位面積当
たりの質量を測定し、その後、SAWフィルターの電極
(パターン)を形成し、次に中心周波数の確認を行うも
のがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図8〜図1
1に示される従来のSAWフィルター1の製造方法で
は、パターン7を形成する必要があり、その膜厚がウェ
ハー上の位置により異なること及び作製する度にその膜
質が異なること等からウェハー内の各SAWフィルター
1のパターン7を均一な厚さで作製することは困難であ
り、これによりウェハー内の各SAWフィルター1の中
心周波数にずれを生じる。通常、ウェハー内で最大の膜
厚と最小の膜厚で約10〜12%の厚さの違いが生じ、
これによりSAWフィルターの中心周波数も電極膜厚、
電極構造などにもよるがウェハー内で最大と最小の中心
周波数で0.1〜1%程度のずれを生じる。
【0008】そして、上述した中心周波数のずれは隣接
チャンネルとの重なりを招くことになり、このような隣
接チャンネルとの重なりを防止する等のために、その中
心周波数を精度高く微調整することが望まれている。こ
のことは、例えばAMPS・PDC用の狭帯域SAWフ
ィルターを考えた場合、次のような事情があることから
明らかである。すなわち、これらのSAWフィルター
は、中心周波数(f)が80〜130MHzで、3dB
帯域幅がf±13〜19kHz必要な上に、隣接チャン
ネルがf±50〜100kHzと非常に近い。従って、
中心周波数が130MHzの場合、中心周波数から隣接
チャンネル(f±50〜100kHz)までの周波数は
0.0385〜0.077%程度しか離れていない。こ
のため、中心周波数がウェハー内で0.1%以上も変化
して(ずれて)しまうと素子(SAWフィルター)によ
っては隣接チャンネルと重なる虞がある。このような隣
接チャンネルとの重なりを招かないようにする上で、上
述したように微調整の正確さが必要とされることにな
る。
【0009】しかしながら、図8〜図11に示される製
造方法では、SiO2 膜を付与して中心周波数を微調整
するが、この微調整を行うためにはウェハー状態で膜を
作製しなければならず、SiO2 の膜厚に関しても、上
述した電極膜厚の問題(膜厚の均一化が困難であるこ
と)と同様の問題を惹起することとなり、膜全体を均一
に微調整することが困難である。また、この製造方法で
は、電極(パターン7)または基板2を、例えばIBE
(Ion Beam Etching)でエッチングすることにより中心
周波数を微調整するが、そのエッチングはウェハー状態
(複数のSAWフィルター1に分割されていない状態)
で行わなければならず、ウェハー全体を均一に微調整す
ることは困難である。
【0010】また、他の製造方法の例として、電極膜厚
の均一性が不十分なウェハーは電極膜を除去してウェハ
ーを再利用するという方法があるが、この方法では、毎
回、電極膜厚の均一性を確認し、均一性が不十分なウェ
ハーがあった場合は金属膜を除去しなければならないた
め手間がかかる。更に、SiO2 の膜厚を付与したもの
やIBEを行った基板2はウェハーを再利用することは
困難であり、検査に不合格の素子は廃棄しなければなら
ず、この製造方法は、非常に大きなロスを伴うという問
題があった。
【0011】また、前記特開昭59−94910号公報
に提案されている製造方法では、SAWフィルターの電
極を形成した後に、Ag,Au,Cr,Niなどの金属
あるいは非金属の化合物を付加蒸着することによって中
心周波数を微調整するようにしているが、現実には基板
全体(ウェハー全体)を均一に微調整することは容易に
は行えない。また特開平7−99418号公報に示され
る製造方法では、SAWフィルターの電極を形成する前
に、電磁波、粒子線、蛍光X線などを用いて金属膜の単
位面積当たりの質量を測定し、中心周波数の確認を行う
ようにしているが、この製造方法によって得られたSA
Wフィルターでは、付与した電極膜の厚みのばらつきに
起因して中心周波数のばらつきを生じる。
【0012】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、ウェハー全体のSAWフィルターの中心周波数を精
度よく微調整でき、かつ、ウェハーを再利用するという
手間をかけず、不合格品をできるだけ無くして製造上の
歩留まりを向上させることができるSAWフィルターの
製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、基板上に金属膜を形成し、該金属膜をエッチングす
ることにより複数のSAWフィルターの電極パターンを
形成し、前記複数のSAWフィルターを個々に分割する
ように前記基板を切断し、その後、前記各SAWフィル
ター毎にその電極パターンに基づく中心周波数確認を行
い、当該中心周波数確認により周波数ずれがあったSA
Wフィルターに関して周波数ずれに応じてグループ分け
し、各グループ毎に中心周波数の調整を行うことを特徴
とする。請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構
成において、中心周波数の調整をイオン交換法により行
うことを特徴とする。請求項3に記載の発明は、請求項
1に記載の構成において、中心周波数の調整をプロトン
交換法により行うことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態のS
AWフィルターの製造方法を図1ないし図7に基づいて
説明する。まず、図1及び図2に示すように、ガラス製
の基板10の上面に、Al等の導電体よりなる厚さ数千
オングストロームの金属膜6がスパッタにより形成され
る(ステップS1)。なお、基板10はガラス製のものに
代えてLiNbO3 製、LiTaO3 製又はLi24
7 製としてもよい。次に、金属膜6がある程度の膜厚
になるように、膜厚確認を行い(ステップS2)、ある程
度の精度の膜厚が形成されると、次のステップS3に進
む。
【0015】このように電極膜厚を管理する(ステップ
S2)のは次の理由に基づくものである。すなわち、金属
膜6の膜厚は成膜する度に一致するものとは限らないた
め、成膜する度にズレを生じる。したがって、膜厚を完
全に制御するのは困難であるため、膜厚を精密に管理す
るよりも最後に微調整を行った方が適切な中心周波数管
理が行えるが、微調整は時間がかかるため、この段階
(ステップS2)で、ある程度の膜厚になるように電極膜
厚を管理するようにしている。
【0016】ステップS2に続く前記ステップS3でエッチ
ング処理により電極パターン7を作製し、次に、その電
極パターン7をウェハー上で検査する(ステップS4)。
ステップS4の検査で電極パターン7が良好であることが
確認される(OKと判定される)とステップS5に進む一
方、電極パターン7が良好でないとされる(NOと判定さ
れる)とステップS6に進む。ステップS6では金属膜6の
除去を行いステップS1に戻る。
【0017】ステップS5では、ウェハーが切断されて複
数のSAWフィルター1(素子)に分割される。続い
て、分割された複数のSAWフィルター1について個々
に中心周波数を測定し(ステップS7)、中心周波数がず
れていないものについては、ステップS8で図4に示すよ
うにパッケージ15に取付ける(パッケージ15への合
格品の取付けを行う)一方、中心周波数がずれているも
のについてはその周波数ずれの大きさに応じてグループ
分けする(ステップS9)。
【0018】ステップS9の処理により、グループ内のS
AWフィルター1が一定量集まると、これらに対してイ
オン交換法を用いて中心周波数を微調整する(ステップ
S10)。この際、Al等の導電体は金属であるためイオ
ン交換(及び後述するプロトン交換)されることがな
く、安定な状態に維持される。ステップS10 で中心周波
数の微調整が行われたSAWフィルター1に対して中心
周波数の確認が行われる(ステップS11 )。
【0019】ステップS11 において、中心周波数のずれ
がないことが確認される(OKと判定される)とステップ
S8の処理(パッケージ15への合格品の取付け)が行わ
れる一方、中心周波数のずれがあると判定される(NOと
判定される)と前記ステップS10 に戻り、再度、イオン
交換が行われる。
【0020】前記ステップS8に続いて、中心周波数の確
認が行われる(ステップS12 )。ステップS12 で中心周
波数のずれがないことが確認される(OKと判定される)
と製品が完成される(ステップS13 )一方、中心周波数
のずれがある(NOと判定される)とそのSAWフィルタ
ー1は廃棄される(ステップS14 )。
【0021】ここで、前記ステップS10 でSAWフィル
ター1に施されるイオン交換法について説明する。通
常、ガラス製の基板(基板10)はSiO2 やB23
などのガラス形成酸化物中にNa2 O,K2 O,CaO
等の添加酸化物が転在している構造を持っている。高温
中では、この添加酸化物はイオン化し、例えば、SiO
2 の網目構造の中を動き回る。したがって、ガラスをあ
る温度以上に熱し、外部から別のイオンをガラス内部へ
拡散させ、内部のNa+ イオンなどと置き換えることが
できる。そうすると、ガラスの表面密度が変化すること
によって、後述するように密度(表面密度)と一定の対
応関係にあるSAW速度が変化することになる。したが
って、中心周波数を正確に微調整することができる。こ
の場合、ガラス製の基板(基板10)に電界を印加する
と、イオンの拡散は促進される。
【0022】そして、前記ステップS10 ではイオン交換
法により次のようにして中心周波数の微調整を行ってい
る。まず、図3に示すようなるつぼ11の中に適当な一
価の金属イオン(Ag+ ,K+ ,Tl+ など)を含む中
性塩12を用意し、これを恒温槽13の中に入れて融点
以上に加熱して、この中にガラス14を一定時間浸す。
これによって、ガラス14の表面近くでNa+ イオンが
一価の金属イオンに置換される。中性塩12としてはA
gNO3 (融点208℃)、KNO3 (339℃)、T
INO3 (230℃)等を用いる。イオン源としている
AgNO3 、KNO3 は、アルミナのるつぼ11の中に
入れ、恒温槽13中で溶融する。これらの溶融塩の中に
ガラス14を浸す。イオン交換後、溶融塩中からガラス
製の基板10を取り出し、十分に冷却してから水洗いす
れば、ガラス製の基板10に付着して固まった塩を容易
に取り除くことができる。
【0023】密度(表面密度)とSAW速度とは次のよ
うな一定の対応関係にあり、イオン交換することにより
表面密度を調整することによりSAW速度ひいては中心
周波数を調整できることになる。ここでは、簡単な例と
してSH波(horizontal shear waves)を例にして説明
する。例えば半無限圧電体では(例えば、六方晶系の圧
電結晶、または圧電セラミック板のc軸、または分極軸
が結晶表面に平行なとき)、粒子速度が波の伝搬方向に
垂直で、かつ表面に平行な成分だけを持つSH波的な波
が存在する。
【0024】この表面波の伝搬速度は、表面を電気的に
短絡した場合、次式(1)のように短絡時伝搬速度V
metallizedで示される。また、表面を電気的に解放した
場合、表面波の伝搬速度は、次式(2)のように開放時
伝搬速度Vfreeで示される。
【数1】 なお、式(1)、(2)で、 ρ :質量密度 ε0 :真空の誘電率 εij S :誘電率 eij :圧電係数 cij E :弾性率 K :電気機械結合係数 を示す。
【0025】式(1)または式(2)に示されるよう
に、表面の質量密度ρと表面波(SAW)速度とは一定
の対応関係があり、上述したように表面の質量密度ρを
変えることによりSAWの速度を変えること、ひいては
中心周波数を調整できることになる。
【0026】上述したように、本実施の形態では、基板
10の上面に金属膜6を形成し(ステップS1)、エッチ
ング処理により電極パターン7を作製し(ステップS
3)、基板10を切断して(ステップS5)、複数のSA
Wフィルター1を個々に分割し、その後、前記各SAW
フィルター1毎にその電極パターン7に基づく中心周波
数確認を行い(ステップS7)、ステップS7の中心周波数
確認により周波数ずれがあったSAWフィルター1に関
して周波数ずれに応じてグループ分けし(ステップS
9)、各グループ毎にその周波数ずれの大きさに応じて
イオン交換法により中心周波数の微調整を行い(ステッ
プS10 )、その後、ステップS10 で中心周波数の微調整
が行われたSAWフィルター1に対して中心周波数の確
認が行われ(ステップS11 )、ステップS11 で検査対象
となったSAWフィルター1のうち合格品となったもの
がパッケージ15に取り付けられ、この後、ステップS1
2 で中心周波数のずれがないことが確認されて製品が完
成される(ステップS13 )。
【0027】そして、ウェハーを切断して複数のSAW
フィルター1を得た後に、中心周波数のずれの大きさに
応じてSAWフィルター1(素子)をグループ分けし、
全てのSAWフィルター1についてその中心周波数をほ
ぼ個別に調整することが可能となるため、廃棄する基板
2が少なくて済む(すなわち、ロスを必要最小限に抑え
ることができる)。すなわち、ウェハー状態で中心周波
数の微調整を行う従来技術に比して、SAWフィルター
1がほぼ個別に微調整されることにより、精度高く微調
整を行うことが可能であり、その分、ロスが少なくなる
(歩留りの向上を図ることができる)。
【0028】また、ウェハーを切断して複数のSAWフ
ィルター1を得た後に、中心周波数のずれの大きさに応
じてSAWフィルター1(素子)をグループ分けし、グ
ループ毎に中心周波数の微調整を行うので、中心周波数
のずれの大きさにかかわらずに一括して微調整する場合
に比して、各SAWフィルター1が均等に微調整され
(すなわち、ばらつきが少なくなり)、微調整の精度向
上及び迅速化を図ることができる。また、SAWフィル
ター1の中心周波数をほぼ個別に微調整できるので、ウ
ェハー全体を広範囲に有効利用できることになり、この
分、有効面積が広がることになる。
【0029】上記実施の形態では、ステップS11 におい
て中心周波数のずれがあると判定される(NOと判定され
る)とステップS10 に戻り、再度、イオン交換(微調
整)が行われるので、一旦は不合格品となったものも再
度イオン交換(微調整)する(ステップS10 )ことによ
り合格品とすることが可能であり、この分、不合格品が
少なくなり、ロスを少なくできる。なお、金属膜6の膜
厚がある程度以上あり、中心周波数が大きくずれていな
ければ、上述したようにイオン交換することにより、合
格品とすることが可能であるので、従来技術で行うよう
な金属膜6の除去による基板10の再利用を行わずにロ
スの低減を図ることができるので、金属膜6の除去作業
を廃止でき、ひいては生産性を向上できる。
【0030】上記実施の形態では、ステップS10 におけ
る中心周波数の微調整をイオン交換法により行う場合を
例にしたが、これに代えてプロトン交換法により行うよ
うに構成してもよい。ここで、プロトン交換法について
説明する。通常、安息香酸(C65 COOH)やH3
PO4 を用意し、これを融点以上に加熱してこの中にL
iNbO3 製やLiTaO3 製のような圧電性部材から
なる基板を一定時間浸すことによって、Li+ ←→H+
(「←→」は双方向変化を示すために便宜上用いた記号
である。)の交換がおこり、結晶表面にHx Li1- x
bO3 なる層を得る。そうすると、基板の表面密度が変
化することによってSAW速度が変化することになる。
したがって、中心周波数を微調整することができる。
【0031】そして、ステップS10 においてプロトン交
換法により次のようにして中心周波数の微調整を行う。
まず、るつぼ等に安息香酸とLiNbO3 やLiTaO
3 等の結晶を入れ、これを恒温槽にいれ、融点以上に加
熱してLiNbO3 製又はLiTaO3 製の基板を一定
時間浸してプロトン交換を行う。そして、ある時間プロ
トン交換を行った後、恒温槽からるつぼを取り出す。冷
却後、エチルアルコールにるつぼを浸し、安息香酸を溶
かす。プロトン交換後、結晶を大気中でアニールすると
結晶は安定する。
【0032】LiNbO3 製またはLiTaO3 製の基
板に対してプロトン交換することにより例えば図5及び
図6に示すようなデータが得られ、これにより、プロト
ン交換層の厚さとSAW速度との間には一定の対応関係
(略比例する関係)があることが分かる。図5は128
°LiNbO3 製の基板をH3 PO4 でプロトン交換し
た時のSAWの速度変化を示す(Jpn.J.Appl.Phys.Vo13
2(1993)pp2359-2361に記載)。また、図6は、36°L
iTaO3 製の基板をC65 COOHでプロトン交換
した時のSAWの速度変化を示す(Jpn.J.Appl.Phys.Vo
136(1997)pp3064-3067に記載)。図5及び図6で横軸の
kd(k:SAWの波数、d:プロトン交換した層の厚
さ)は、プロトン層の厚さを電極波長で割った値で、正
規化したプロトン交換層の厚さとなる。このkdの値が
1に近づくほどプロトン交換層の厚さとSAWの波長は
等しくなる。縦軸はSAW速度VP (Phase Velocity)
である。よって、プロトン交換層の厚さとSAW速度は
ほぼ比例しており、これにより中心周波数を正確に微調
整できる。
【0033】なお、イオン交換法を用いた上記実施の形
態は、上述したように、一旦は不合格品となったものも
再度イオン交換する(ステップS10 )ことにより合格品
とすることが可能であり、この分、ロスを少なくできる
ものであるが、このことは、プロトン交換法を用いた場
合にも言えることである。また、上述したイオン交換法
の場合と同様に、プロトン交換法を用いた場合にも、従
来技術で行うような、金属膜の除去による基板の再利用
を行わずにロスの低減を図ることができるので、金属膜
の除去作業を廃止でき、ひいては生産性を向上できる。
【0034】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、基板上
に金属膜を形成し、該金属膜をエッチングすることによ
り複数のSAWフィルターの電極パターンを形成し、前
記複数のSAWフィルターを個々に分割するように前記
基板を切断し、その後、前記各SAWフィルター毎にそ
の電極パターンに基づく中心周波数確認を行い、当該中
心周波数確認により周波数ずれがあったSAWフィルタ
ーに関して周波数ずれに応じてグループ分けし、各グル
ープ毎に中心周波数の調整を行っており、SAWフィル
ターの中心周波数がほぼ個別に微調整されることにな
り、精度高く微調整を行うことが可能であり、その分、
ロスが少なくなる(歩留りの向上を図ることができ
る)。また、グループ毎に中心周波数の微調整を行うの
で、中心周波数のずれの大きさにかかわらずに一括して
微調整する場合に比して、各SAWフィルターが均等に
微調整され(すなわち、ばらつきが少なくなり)、微調
整の精度向上及び迅速化を図ることができる。また、S
AWフィルターの中心周波数をほぼ個別に微調整できる
ので、ウェハー全体を広範囲に有効利用できることにな
り、この分、有効面積が広がることになる。請求項2ま
たは請求項3に記載の発明によれば、SAWフィルター
の中心周波数の確認で一旦は不合格品となったものも再
度イオン交換法またはプロトン交換法を行うことにより
合格品とすることが可能であり、この分、ロスを少なく
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のSAWフィルターの製
造方法を示すフローチャートである。
【図2】図1の製造方法が適用される基板を示す断面図
である。
【図3】図1の製造方法における一工程を説明するため
の断面図である。
【図4】パッケージに入れたSAWフィルターを示す断
面図である。
【図5】128°LiNbO3 製の基板をH3 PO4
プロトン交換した時のSAWの速度変化を示す図であ
る。
【図6】36°LiTaO3 製の基板をC65 COO
Hでプロトン交換した時のSAWの速度変化を示す図で
ある。
【図7】SAWフィルターを模式的に示す平面図であ
る。
【図8】電極膜成膜後の基板を示す断面図である。
【図9】フォトエッチング後の基板を示す断面図であ
る。
【図10】SAWフィルターの中心周波数の測定方法の
一例を模式的に示す図である。
【図11】SAWフィルターの製造方法の従来の一例を
示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 SAWフィルター 2 基板 6 金属膜 7 電極パターン

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に金属膜を形成し、該金属膜をエ
    ッチングすることにより複数のSAWフィルターの電極
    パターンを形成し、前記複数のSAWフィルターを個々
    に分割するように前記基板を切断し、その後、前記各S
    AWフィルター毎にその電極パターンに基づく中心周波
    数確認を行い、当該中心周波数確認により周波数ずれが
    あったSAWフィルターに関して周波数ずれに応じてグ
    ループ分けし、各グループ毎に中心周波数の調整を行う
    ことを特徴とするSAWフィルターの製造方法。
  2. 【請求項2】 中心周波数の調整をイオン交換法により
    行うことを特徴とする請求項1に記載のSAWフィルタ
    ーの製造方法。
  3. 【請求項3】 中心周波数の調整をプロトン交換法によ
    り行うことを特徴とする請求項1に記載のSAWフィル
    ターの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007535275A (ja) * 2004-04-28 2007-11-29 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング Mem共振器の周波数を調整するための方法
CN102412802A (zh) * 2011-11-24 2012-04-11 中国电子科技集团公司第二十六研究所 基片级声表面波器件的频率修正方法
JP2018042209A (ja) * 2016-09-09 2018-03-15 株式会社ディスコ 表面弾性波デバイスチップの製造方法

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