JP2001146001A - ノズルピッチの整数倍の副走査送りを行う印刷 - Google Patents

ノズルピッチの整数倍の副走査送りを行う印刷

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JP2001146001A
JP2001146001A JP32741699A JP32741699A JP2001146001A JP 2001146001 A JP2001146001 A JP 2001146001A JP 32741699 A JP32741699 A JP 32741699A JP 32741699 A JP32741699 A JP 32741699A JP 2001146001 A JP2001146001 A JP 2001146001A
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Toshihisa Saruta
稔久 猿田
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コックリングによる画質の劣化を緩和する 【解決手段】 それぞれのラスタライン上におけるドッ
トの記録は、印刷ヘッドのs回(sは2以上の整数)の
主走査によって完了する。各s回の副走査送りは、ノズ
ルピッチの整数倍の送り量の副走査送りを(s−1)回
連続して行うとともに、ノズルピッチの整数倍でない送
り量の副走査送りを1回行うことによって完了する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷媒体上にイン
クドットを形成する印刷技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータの出力装置として、
数色のインクを印刷ヘッドから吐出するタイプのカラー
プリンタが普及している。それに伴い、印刷速度および
印刷画像の画質の向上が要求されている。これらの要求
を満足するために、多数のノズルを有する印刷ヘッドを
用いて、いわゆる「インターレース方式」や「オーバー
ラップ方式」の印刷が行われている。これらの印刷方式
においては、印刷媒体へのインクのにじみやインク滴を
吐出するノズルの特性のバラツキを考慮して、連続しな
い複数回の主走査で各ラスタライン上にドットを形成す
るのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ドットの形成
を繰り返すうちに印刷媒体にインクがしみこんでゆく
と、いわゆるコックリング(印刷媒体のたわみ)が発生
する。コックリングが発生するとインク滴の着弾位置が
ずれてしまい、印刷画像の画質を劣化させてしまうこと
があった。
【0004】図15は、コックリングが発生する様子を
示す説明図である。この図は印刷用紙Pと、プラテンの
断面を示している。図15(a)に示すように、印刷用
紙Pは、初めはプラテン上に設けられたリブの上に水平
に保たれている。ところが、図15(b)に示すよう
に、ドットの形成を繰り返すうちに印刷用紙Pはインク
を含んで徐々に変形してゆき、図15(c)に示すよう
に、大きくたわんでしまう。
【0005】図16は、コックリングの発生によりイン
ク滴の着弾位置がずれる様子を示す説明図である。図か
ら解かるように、コックリングが発生しているときに
は、コックリングが未発生のときに比べて、インク滴I
pの着弾位置が主走査方向に約Δpずれる。これによっ
て、印刷画像の画質を劣化させてしまうのである。
【0006】本発明は、上記の課題を解決することを目
的としてなされたものであり、コックリングによる画質
の劣化を緩和する印刷技術を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明は、
印刷媒体上に形成し得るドットの副走査方向の最小間隔
をDとしたときに、副走査方向にピッチk・D(kは3
以上の整数)で配置されたN個(Nは4以上の整数)の
ノズルを有する印刷ヘッドを主走査および副走査して印
刷を行う。それぞれのラスタライン上におけるドットの
記録は、印刷ヘッドのs回(sは2以上の整数)の主走
査によって完了する。k・s回の副走査送りの中の各s
回の副走査送りは、mi・k・D(miは正の整数,iは
1〜k・(s−1)の整数)の送り量の副走査送りを
(s−1)回連続して行うとともに、qj・D(qjはk
の整数倍でない正の整数,jは1〜kの整数)の送り量
の副走査送りを1回行うことによって完了する。なお、
各パラメータk,N,s,mi,qjは、以下の条件
(1),(2)を満足するように設定される。
【数4】
【0008】こうすれば、印刷可能なほとんどのラスタ
ライン上において、s回の連続した主走査でドットの記
録が完了するので、このs回の主走査の間はインク滴の
着弾位置のずれを少なく抑えることができる。この結
果、コックリングの発生に起因した画質の劣化を緩和す
ることができる。
【0009】なお、qjは一定値としてもよいし、少な
くとも1回は異なる値としてもよい。
【0010】更に、それぞれのラスタライン上で行われ
るs回の主走査を行う際に、1回の主走査において(s
−1)ドットおきに間欠的にドットを形成するととも
に、s回の主走査でそれぞれのラスタライン上のすべて
の画素位置におけるドットの記録を完了するようにして
もよい。
【0011】こうすることによっても、印刷可能なほと
んどのラスタライン上において、s回の連続した主走査
でドットの記録が完了するので、このs回の主走査の間
はインク滴の着弾位置のずれを少なく抑えることができ
る。この結果、コックリングの発生に起因した画質の劣
化を緩和することができる。
【0012】なお、本発明は、以下のような種々の形態
で実現可能である。 (1)印刷制御装置および方法。 (2)印刷装置および方法。 (3)印刷装置と印刷制御装置とを備える印刷システ
ム。 (4)これらの装置や方法の機能をコンピュータに実現
させるためのプログラム。 (5)そのプログラムを記録した記録媒体。 そのプログラムを含み、搬送波上に具現化されたデータ
信号。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、実施例に基づき以下の順で説明する。 A.印刷装置の構成: B.ソフトウェアの構成: C.プリンタの概略構成: D.通常の記録方式の基本的条件: E.本発明の記録方式: F.記録方式の比較例: G.記録方式の第1実施例: H.記録方式の第2実施例: I.変形例:
【0014】A.印刷装置の構成:図1は、本発明の実
施例としての印刷装置の構成を示すブロック図である。
図示するように、コンピュータ90にスキャナ12とプ
リンタ22とが接続されている。このコンピュータ90
は、所定のプログラムがロードされ実行されることによ
り印刷制御装置として機能する。また、プリンタ22と
コンピュータ90との組合せは、広義の印刷装置(印刷
システム)として機能する。このコンピュータ90は、
プログラムに従って印刷に関わる動作を制御するための
各種演算処理を実行するCPU81を中心に、バス80
により相互に接続された次の各部を備える。ROM82
は、CPU81で各種演算処理を実行するのに必要な各
種プログラムやデータを予め格納しており、RAM83
は、同じくCPU81で各種演算処理を実行するのに必
要な各種プログラムやデータが一時的に読み書きされる
メモリである。入力インタフェース84は、スキャナ1
2やキーボード14からの信号の入力を司り、出力イン
タフェース85は、プリンタ22へのデータの出力を司
る。CRTC86は、カラー表示可能なCRT21への
信号出力を制御する。ディスクコントローラ(DDC)
87は、ハードディスク16やフレキシブルドライブ1
5あるいは図示しないCD−ROMドライブとの間のデ
ータの授受を制御する。ハードディスク16には、RA
M83にロードされて実行される各種プログラムやデバ
イスドライバの形式で提供される各種プログラムなどが
記憶されている。
【0015】この他、バス80には、シリアル入出力イ
ンタフェース(SIO)88が接続されている。このS
IO88は、モデム18に接続されており、モデム18
を介して、公衆電話回線PNTに接続されている。コン
ピュータ90は、このSIO88およびモデム18を介
して、外部のネットワークに接続されており、特定のサ
ーバSVに接続することにより、印刷に必要なプログラ
ムをハードディスク16にダウンロードすることも可能
である。また、必要なプログラムをフレキシブルディス
クFDやCD−ROMによりロードし、コンピュータ9
0に実行させることも可能である。
【0016】B.ソフトウェアの構成:図2は、本発明
の印刷制御装置のソフトウェアの構成を示すブロック図
である。コンピュータ90では、所定のオペレーティン
グシステムの下で、アプリケーションプログラム95が
動作している。オペレーティングシステムには、ビデオ
ドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれてお
り、アプリケーションプログラム95からは、これらの
ドライバを介して、プリンタ22に転送するための印刷
データFNLが出力されることになる。画像のレタッチ
などを行うアプリケーションプログラム95は、スキャ
ナ12から画像を読み込み、これに対して所定の処理を
行いつつビデオドライバ91を介してCRT21に画像
を表示している。スキャナ12から供給されるデータO
RGは、カラー原稿から読み取られ、レッド(R),グ
リーン(G),ブルー(B)の3色の色成分からなる原
カラー画像データORGである。
【0017】このアプリケーションプログラム95が、
印刷命令を発すると、コンピュータ90のプリンタドラ
イバ96が、画像データをアプリケーションプログラム
95から受け取り、これをプリンタ22に供給する印刷
データFNLに変換している。図2に示した例では、プ
リンタドライバ96の内部には、解像度変換モジュール
97と、色変換モジュール98と、ハーフトーンモジュ
ール99と、ラスタライザ100が備えられている。ま
た、色変換テーブルLUTも設けられている。この色変
換テーブルLUTはCD−ROM等の外部記憶装置から
読み込むことができる。あるいは、プリンタ22内のR
OMに記憶しておき、これから読み込むようにしても良
い。
【0018】解像度変換モジュール97は、アプリケー
ションプログラム95が扱っているカラー画像データの
解像度、即ち、単位長さ当りの画素数をプリンタドライ
バ96が扱うことができる解像度に変換する役割を果た
す。こうして解像度変換された画像データは、まだRG
Bの3色からなる画像情報である。色変換モジュール9
8は、色変換テーブルLUTを参照しつつ、各画素ごと
にプリンタ22が使用するシアン(C),ライトシアン
(LC),マゼンタ(M),ライトマゼンタ(LM),
イエロ(Y),ブラック(K)の各色の多階調データに
変換する。
【0019】色変換された多階調データは、例えば25
6階調の階調値を有している。ハーフトーンモジュール
99は、インクドットを分散して形成することにより、
プリンタ22でこの階調値を表現するためのハーフトー
ン処理を実行する。ハーフトーン処理された画像データ
は、ラスタライザ100によりプリンタ22に転送すべ
きデータ順に並べ替えられ、最終的な印刷データFNL
として出力される。なお、この印刷データFNLには、
副走査送り量に関するデータも含まれている。本実施例
では、プリンタ22は印刷データFNLに従ってインク
ドットを形成する役割を果たすのみであり画像処理は行
っていない。しかし、プリンタドライバ96内で行われ
る処理の一部をプリンタ22で行うようにしてもよい。
【0020】なお、プリンタドライバ96は、副走査送
り量を示すデータと、各主走査時のドットの記録状態を
示すラスタデータとを含む印刷データを生成する機能を
実現するためのプログラムに相当する。
【0021】プリンタドライバ96の各モジュールの機
能を実現するためのプログラムは、コンピュータ読み取
り可能な記録媒体に記録された形態で供給される。この
ような記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD
−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカート
リッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷さ
れた印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやR
OMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュ
ータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。
【0022】C.プリンタの概略構成:図3は、プリン
タ22の概略構成図である。図示するように、このプリ
ンタ22は、紙送りモータ23によって用紙Pを搬送す
る機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ3
1をプラテン26の軸方向に往復動させる機構と、キャ
リッジ31に搭載された印刷ヘッド28を駆動してイン
クの吐出およびドット形成を制御する機構と、これらの
紙送りモータ23,キャリッジモータ24,印刷ヘッド
28および操作パネル32との信号のやり取りを司る制
御回路40とから構成されている。
【0023】キャリッジ31をプラテン26の軸方向に
往復動させる機構は、プラテン26の軸と平行に架設さ
れ、キャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34と
キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を
張設するプーリ38と、キャリッジ31の原点位置を検
出する位置検出センサ39等から構成されている。
【0024】このキャリッジ31には、ブラックインク
用のカートリッジ71とシアン,ライトシアン,マゼン
タ,ライトマゼンタ,イエロの5色のインクを収納した
カラーインク用カートリッジ72が搭載可能である。な
お、ライトシアンインクはシアンインクと色相がほぼ同
一で濃度がシアンインクよりも低いインクである。ライ
トマゼンタインクについても同様である。キャリッジ3
1の下部の印刷ヘッド28には、これらのインクに対応
して計6個のインク吐出用ヘッド61〜66が形成され
ている。また、キャリッジ31の底部には、この各色用
ヘッドにインクタンクからのインクを導く導入管が立設
されている。
【0025】以上説明したハードウェア構成を有するプ
リンタ22は、紙送りモータ23により用紙Pを搬送し
つつ、キャリッジ31をキャリッジモータ24により往
復動させる。それと同時に印刷ヘッド28のインク吐出
用ヘッド61〜66のピエゾ素子を駆動して、各色イン
ク滴の吐出を行い、インクドットを形成して用紙P上に
多色多階調の画像を形成する。
【0026】図4は、インク吐出用ヘッド61〜66に
おけるノズルNzの配列を示す説明図である。これらの
インク吐出用ヘッド61〜66には、それぞれブラック
インク(K)と、シアンインク(C)と、ライトシアン
インク(LC)と、マゼンタインク(M)と、ライトマ
ゼンタインク(LM)と、イエロインク(Y)との6色
のインクを吐出するためのノズルNzが設けられてい
る。インク吐出用ヘッド61〜66の副走査方向の位置
は、互いに一致している。また、インク吐出用ヘッド6
1〜66は、副走査方向に沿って一定のノズルピッチk
で千鳥状に配列された48個のノズルNzをそれぞれ備
えている。なお、ノズルNzは、製造上ノズルピッチを
小さく設定し易いように千鳥状に配列されているが、一
直線上に配置しても良い。
【0027】D.通常の記録方式の基本的条件:本発明
の実施例に用いられている記録方式の詳細を説明する前
に、以下ではまず、通常の記録方式の基本的な条件につ
いて説明する。なお、本明細書においては、「記録方
式」と「印刷方式」とは同義語である。
【0028】図5は、通常のドット記録方式の基本的条
件を示すための説明図である。図5(A)は、4個のノ
ズルを用いた場合の副走査送りの一例を示しており、図
5(B)はそのドット記録方式のパラメータを示してい
る。図5(A)において、数字を含む実線の丸は、各パ
スにおける4個のノズルの副走査方向の位置を示してい
る。ここで、「パス」とは1回分の主走査を意味してい
る。丸の中の数字0〜3は、ノズル番号を意味してい
る。4個のノズルの位置は、1回の主走査が終了する度
に副走査方向に送られる。但し、実際には、副走査方向
の送りは紙送りモータ23(図3)によって用紙を移動
させることによって実現されている。
【0029】図5(A)の左端に示すように、この例で
は副走査送り量Lは4ドットの一定値である。従って、
副走査送りが行われる度に、4個のノズルの位置が4ド
ットずつ副走査方向にずれてゆく。各ノズルは、1回の
主走査中にそれぞれのラスタライン上のすべてのドット
位置(「画素位置」とも呼ぶ)を記録対象としている。
なお、本明細書では、各ラスタライン(「主走査ライ
ン」とも呼ぶ)上で行われる主走査の延べ回数を、「ス
キャン繰り返し数s」と呼ぶ。
【0030】図5(A)の右端には、各ラスタライン上
のドットを記録するノズルの番号が示されている。な
お、ノズルの副走査方向位置を示す丸印から右方向(主
走査方向)に伸びる破線で描かれたラスタラインでは、
その上下のラスタラインの少なくとも一方が記録できな
いので、実際にはドットの記録が禁止される。一方、主
走査方向に伸びる実線で描かれたラスタラインは、その
前後のラスタラインがともにドットで記録され得る範囲
である。このように実際に記録を行える範囲を、以下で
は有効記録範囲(または「有効印刷範囲」、「印刷実行
領域」、「記録実行領域」)と呼ぶ。
【0031】図5(B)には、このドット記録方式に関
する種々のパラメータが示されている。ドット記録方式
のパラメータには、ノズルピッチk[ドット]と、使用
ノズル個数N[個]と、スキャン繰り返し数sと、実効
ノズル個数Neff[個]と、副走査送り量L[ドット]
とが含まれている。
【0032】図5の例では、ノズルピッチkは3ドット
である。使用ノズル個数Nは4個である。なお、使用ノ
ズル個数Nは、実装されている複数個のノズルの中で実
際に使用されるノズルの個数である。スキャン繰り返し
数sは、各ラスタライン上においてs回の主走査が実行
されることを意味している。例えば、スキャン繰り返し
数sが2のときには、各ラスタライン上において2回の
主走査が実行される。このとき、通常は、一回の主走査
において1ドットおきに間欠的にドットが形成される。
図5の場合には、スキャン繰り返し数sは1である。実
効ノズル個数Neeffは、使用ノズル個数Nをスキャン繰
り返し数sで割った値である。この実効ノズル個数N
effは、一回の主走査でドット記録が完了するラスタラ
インの正味の本数を示しているものと考えることができ
る。
【0033】図5(B)の表には、各パスにおける副走
査送り量Lと、その累計値ΣLと、ノズルのオフセット
Fとが示されている。ここで、オフセットFとは、最初
のパス1におけるノズルの周期的な位置(図5では4ド
ットおきの位置)をオフセットが0である基準位置と仮
定した時に、その後の各パスにおけるノズルの位置が基
準位置から副走査方向に何ドット離れているかを示す値
である。例えば、図5(A)に示すように、パス1の後
には、ノズルの位置は副走査送り量L(4ドット)だけ
副走査方向に移動する。一方、ノズルピッチkは3ドッ
トである。従って、パス2におけるノズルのオフセット
Fは1である(図5(A)参照)。同様にして、パス3
におけるノズルの位置は、初期位置からΣL=8ドット
移動しており、そのオフセットFは2である。パス4に
おけるノズルの位置は、初期位置からΣL=12ドット
移動しており、そのオフセットFは0である。3回の副
走査送り後のパス4ではノズルのオフセットFは0に戻
るので、3回の副走査を1サイクルとして、このサイク
ルを繰り返すことによって、有効記録範囲のラスタライ
ン上のすべてのドットを記録することができる。
【0034】図5の例からも解るように、ノズルの位置
が初期位置からノズルピッチkの整数倍だけ離れた位置
にある時には、オフセットFはゼロである。また、オフ
セットFは、副走査送り量Lの累計値ΣLをノズルピッ
チkで割った余り(ΣL)%kで与えられる。ここで、
「%」は、除算の余りをとることを示す演算子である。
なお、ノズルの初期位置を周期的な位置と考えれば、オ
フセットFは、ノズルの初期位置からの位相のずれ量を
示しているものと考えることもできる。
【0035】スキャン繰り返し数sが1の場合には、有
効記録範囲において記録対象となるラスタラインに抜け
や重複が無いようにするためには、以下のような条件を
満たすことが必要である。
【0036】条件c1:1サイクルの副走査送り回数
は、ノズルピッチkに等しい。
【0037】条件c2:1サイクル中の各回の副走査送
り後のノズルのオフセットFは、0〜(k−1)の範囲
のそれぞれ異なる値となる。
【0038】条件c3:副走査の平均送り量(ΣL/
k)は、使用ノズル数Nに等しい。換言すれば、1サイ
クル当たりの副走査送り量Lの累計値ΣLは、使用ノズ
ル数Nとノズルピッチkとを乗算した値(N・k)に等
しい。
【0039】上記の各条件は、次のように考えることに
よって理解できる。隣接するノズルの間には(k−1)
本のラスタラインが存在するので、1サイクルでこれら
(k−1)本のラスタライン上で記録を行ってノズルの
基準位置(オフセットFがゼロの位置)に戻るために
は、1サイクルの副走査送りの回数はk回となる。1サ
イクルの副走査送りがk回未満であれば、記録されるラ
スタラインに抜けが生じ、一方、1サイクルの副走査送
りがk回より多ければ、記録されるラスタラインに重複
が生じる。従って、上記の第1の条件c1が成立する。
【0040】1サイクルの副走査送りがk回の時には、
各回の副走査送りの後のオフセットFの値が0〜(k−
1)の範囲の互いに異なる値の時にのみ、記録されるラ
スタラインに抜けや重複が無くなる。従って、上記の第
2の条件c2が成立する。
【0041】上記の第1と第2の条件を満足すれば、1
サイクルの間に、N個の各ノズルがそれぞれk本のラス
タラインの記録を行うことになる。従って、1サイクル
ではN・k本のラスタラインの記録が行われる。一方、
上記の第3の条件c3を満足すれば、図5(A)に示す
ように、1サイクル後(k回の副走査送り後)のノズル
の位置が、初期のノズル位置からN・kラスタライン離
れた位置に来る。従って、上記第1ないし第3の条件c
1〜c3を満足することによって、これらのN・k本の
ラスタラインの範囲において、記録されるラスタライン
に抜けや重複を無くすることができる。
【0042】図6は、スキャン繰り返し数sが2以上の
場合のドット記録方式の基本的条件を示すための説明図
である。スキャン繰り返し数sが2以上の場合には、同
一のラスタライン上でs回の主走査が実行される。以下
では、スキャン繰り返し数sが2以上のドット記録方式
を「オーバーラップ方式」と呼ぶ。
【0043】図6に示すドット記録方式は、図5(B)
に示すドット記録方式のパラメータの中で、スキャン繰
り返し数sと副走査送り量Lとを変更したものである。
図6(A)からも解るように、図6のドット記録方式に
おける副走査送り量Lは2ドットの一定値である。但
し、図6(A)においては、偶数回目のパスのノズルの
位置を、菱形で示している。通常は、図6(A)の右端
に示すように、偶数回目のパスで記録されるドット位置
は、奇数回目のパスで記録されるドット位置と、主走査
方向に1ドット分だけずれている。従って、同一のラス
タライン上の複数のドットは、異なる2つのノズルによ
ってそれぞれ間欠的に記録されることになる。例えば、
有効記録範囲内の最上端のラスタラインは、パス2にお
いて2番のノズルで1ドットおきに間欠的に記録された
後に、パス5において0番のノズルで1ドットおきに間
欠的に記録される。このオーバーラップ方式では、各ノ
ズルは、1回の主走査中に1ドット記録した後に(s−
1)ドット記録を禁止するように、間欠的なタイミング
でノズルが駆動される。
【0044】このように、各主走査時にラスタライン上
の間欠的な画素位置を記録対象とするオーバーラップ方
式を、「間欠オーバーラップ方式」と呼ぶ。なお、間欠
的な画素位置を記録対象とする代わりに、各主走査時に
ラスタライン上のすべての画素位置を記録対象としても
よい。すなわち、1本のラスタライン上でs回の主走査
を実行するときに、同じ画素位置でドットの重ね打ちを
許容してもよい。このようなオーバーラップ方式を、
「重ね打ちオーバーラップ方式」または「完全オーバー
ラップ方式」と呼ぶ。
【0045】なお、間欠オーバーラップ方式では、同一
ラスタを記録する複数のノズルの主走査方向の位置が互
いにずれていればよいので、各主走査時における実際の
主走査方向のずらし量は、図6(A)に示すもの以外に
も種々のものが考えられる。例えば、パス2では主走査
方向のずらしを行わずに丸で示す位置のドットを記録
し、パス5において主走査方向のずらしを行なって菱形
で示す位置のドットを記録するようにすることも可能で
ある。
【0046】図6(B)の表の最下段には、1サイクル
中の各パスのオフセットFの値が示されている。1サイ
クルは6回のパスを含んでおり、パス2からパス7まで
の各パスにおけるオフセットFは、0〜2の範囲の値を
2回ずつ含んでいる。また、パス2からパス4までの3
回のパスにおけるオフセットFの変化は、パス5からパ
ス7までの3回のパスにおけるオフセットFの変化と等
しい。図6(A)の左端に示すように、1サイクルの6
回のパスは、3回ずつの2組の小サイクルに区分するこ
とができる。このとき、1サイクルは、小サイクルをs
回繰り返すことによって完了する。
【0047】一般に、スキャン繰り返し数sが2以上の
整数の場合には、上述した第1ないし第3の条件c1〜
c3は、以下の条件c1’〜c3’のように書き換えら
れる。
【0048】条件c1’:1サイクルの副走査送り回数
は、ノズルピッチkとスキャン繰り返し数sとを乗じた
値(k・s)に等しい。
【0049】条件c2’:1サイクル中の各回の副走査
送り後のノズルのオフセットFは、0〜(k−1)の範
囲の値であって、それぞれの値がs回ずつ繰り返され
る。
【0050】条件c3’:副走査の平均送り量{ΣL/
(k・s)}は、実効ノズル数Nef f(=N/s)に等
しい。換言すれば、1サイクル当たりの副走査送り量L
の累計値ΣLは、実効ノズル数Neffと副走査送り回数
(k・s)とを乗算した値{Neff・(k・s)}に等
しい。
【0051】上記の条件c1’〜c3’は、スキャン繰
り返し数sが1の場合にも成立する。従って、条件c
1’〜c3’は、スキャン繰り返し数sの値に係わら
ず、ドット記録方式に関して一般的に成立する条件であ
る。すなわち、上記の3つの条件c1’〜c3’を満足
すれば、有効記録範囲において、記録されるドットに抜
けや不要な重複が無いようにすることができる。但し、
間欠オーバーラップ方式を採用する場合には、同じラス
タラインを記録するノズルの記録位置を互いに主走査方
向にずらすという条件も必要である。また、重ね打ちオ
ーバーラップ方式を採用する場合には、上記の条件c
1’〜c3’が満足されていればよく、各パスにおいて
すべての画素位置が記録対象とされる。
【0052】E.本発明の記録方式:図7は、本発明に
よる記録方式を示す概念図である。本発明における記録
方式では、印刷媒体上に形成し得るドットの副走査方向
の最小間隔をDとしたときに、副走査方向にピッチk・
D(kは3以上の整数)で配置されたN個(Nは4以上
の整数)のノズルを有する印刷ヘッドを主走査および副
走査して印刷を行う。それぞれのラスタライン上におけ
るドットの記録は、印刷ヘッドのs回(sは2以上の整
数)の主走査によって完了する。k・s回の副走査送り
の中の各s回の副走査送りを、mi・k・D(miは正の
整数,iは1〜k・(s−1)の整数)の送り量の副走
査送りを(s−1)回連続して行うとともに、qj・D
(qjはkの整数倍でない正の整数,jは1〜kの整
数)の送り量の副送りを1回行うことによって完了す
る。なお、前記各パラメータk,N,s,mi,qjは、
以下の条件(1),(2)を満足するように設定され
る。
【0053】
【数5】
【0054】図7の例では、k=3,N=4,s=2,
1=m2=m3=1,q1=q2=q3=1であり、上述の
条件(1),(2)を満足している。このような記録方
式では、mi・k・Dの送り量で(s−1)回の副走査
送りを行ったときに、同一のラスタライン上でs回の主
走査がほぼ連続して行われる。このs回の主走査の間
は、インク滴の着弾位置のずれ量を少なくすることがで
きるが、この理由については、後述する第1実施例にお
いて説明する。
【0055】E.記録方式の比較例:図8は、ドット記
録方式の比較例を示す説明図である。図8(A)に示す
ように、この記録方式は、ノズルピッチkが4,使用ノ
ズル個数Nが20,スキャン繰り返し数sが4,実効ノ
ズル数Neffが5である。また、この図の下部の表に
は、1回目から17回目までの各パスに関するパラメー
タを示している。1サイクルを構成する16(=k・
s)回分の副走査送り量Lは、すべて5ドットである。
【0056】図8(A)の表の最下段には、1サイクル
中の各パスのオフセットFの値が示されている。1サイ
クルは16回のパスを含んでおり、パス2〜パス17ま
での各パスにおけるオフセットFは、0〜3の範囲の値
を4回ずつ含んでいる。また、パス2〜パス5までの4
回のパスにおけるオフセットFの変化は、パス6〜パス
9,パス10〜パス13,パス14〜パス17までの4
回のパスにおけるオフセットFの変化とそれぞれ等し
い。
【0057】図8(B)は、図8(A)の各パス番号に
対応した,各パスにおける各ラスタライン上のドット記
録に用いるノズル番号を示している。左端に示した各ラ
スタラインのライン番号は、有効記録範囲内の連続番号
である。この図から解かるように、各ラスタラインはそ
れぞれ4パス毎に記録される。また、図示していない
が、同一ラスタライン上の複数のドットは、異なる4つ
のノズルによってそれぞれ間欠的に記録されている(間
欠オーバーラップ方式)。例えば、太線で囲った領域の
最上端のラスタラインは、パス1,パス5,パス9,パ
ス13においてそれぞれノズル19,14,9,4を用
いて3ドットおきに間欠的に記録される。
【0058】図9は、比較例のドット記録方式における
コックリングの発生によるインク滴の着弾位置のずれを
説明するための説明図である。図9(A)は、図8
(B)の太線で囲った領域の各画素位置での記録順を示
している。各マスは各画素位置を示している。また、マ
ス内の数字は、ドット記録を行うパス番号を示してい
る。例えば、(R2,C1)の画素は、パス14によっ
て記録される。
【0059】図9(B)は、各画素位置におけるインク
滴の主走査方向の絶対的な着弾位置のずれ量を示してい
る。なお、この例では、パス番号が1のときの着弾位置
のずれ量を0μmとし、パス番号が1増える毎にコック
リングにより7.32μmずつ着弾位置が所定の位置か
ら主走査方向にずれていくものと仮定している。ただ
し、着弾位置のずれ量の最大値は58.6μmとしてい
る。また、解像度を720DPI(即ち、1画素の幅は
35.3μm),ドット径を50μmとしている。従っ
て、例えば、(R1,C2)の画素については、インク
滴の着弾位置が所定の位置から主走査方向に29.28
μmずれていることを示している。
【0060】図9(C)は、ドット間の相対的な着弾位
置のずれ量を示している。列を示す「C」の後の数字
は、列間の番号を表している。例えば、図9(C)の
(R1,C23)は、(R1,C2),(R1,C3)
間の相対的な着弾位置のずれ量を示している。図9
(B)より、(R1,C2)の着弾位置のずれ量は2
9.28μmであり、(R1,C3)の着弾位置のずれ
量は58.56μmであるので、(R1,C23)は約
29.3μmとなる。
【0061】図9(D)は、ドット間の未被覆領域の長
さを示している。ここで、ドット間未被覆領域の長さと
は、主走査方向に隣り合うドット間の隙間のことを言
う。通常は、主走査方向に隣り合うドットは、一部が重
複し隙間ができないように設計されている。しかし、コ
ックリングが発生するとインク滴の着弾位置にずれが生
じ、隙間が生じることがある。従って、このドット間未
被覆領域の長さが長いほど、また、多いほど、画質が劣
化していると言える。
【0062】図10は、ドット間の未被覆領域を示す説
明図である。図示の便宜上、主走査方向に隣り合う2つ
のドットD1,D2のみを示した。点O1および点O
2は、それぞれ2つのドットD1,D2の中心点を示し
ている。上述したように、1画素の幅Wは35.3μm
であり、ドット径2Rは50μmであるので、着弾位置
のずれがない場合には、図10(a)に示すように、2
つのドットD1,D2は一部が重複する。
【0063】図10(b)は、インク滴の着弾位置がず
れて未被覆領域が生じた場合を示している。この図にお
いて、点O1および点O2は、それぞれ2つのドットD
1,D2のずれがない場合の中心点を示している。ま
た、点Oe1および点Oe2は、それぞれ2つのドットD
1,D2にずれが生じた場合の中心点を示している。e
1(=Oe2−O1)およびe2(=Oe2−O2)は、図9
(B)に示したインク滴の主走査方向の絶対的な着弾位
置のずれ量である。また、e2−e1が図9(C)に示
したドット間の相対的な着弾位置のずれ量を示してい
る。図10(b)から解かるように、未被覆領域の長さ
UCは、{(e2+e1)+W−2R}で求められる。こ
こで、Wは1画素の幅であり、Rはドットの半径であ
る。図9(D)に示されているように、この比較例で
は、未被覆領域の長さUCが15μmにも達する部分が
かなり存在する。このような未被覆領域は、インクが塗
布されていないので、画質劣化の原因となる。なお、図
9(D)において、未被覆領域の長さUCが負の場合は
0と表している。
【0064】このように、連続しないパスを用いてドッ
トの記録を行うとコックリングの発生によって画質が劣
化することがあることが理解できる。
【0065】G.記録方式の第1実施例:図11は、記
録方式の第1実施例を示す説明図である。図11(A)
に示すように、この記録方式は、ノズルピッチkが4,
使用ノズル個数Nが19,スキャン繰り返し数sが4,
実効ノズル数Neffが19/4である。また、図11
(A)の下部の表には、1回目から17回目までの各パ
スに関するパラメータを示している。1サイクルは、1
6(=k・s)回分の副走査を含んでいる。16回分の
副走査は、送り量が(4,4,4,7)ドットである4
回の副走査を4回繰り返すことによって完了する。
【0066】図11(A)の表の最下段には、1サイク
ル中の各パスのオフセットFの値が示されている。1サ
イクルは16回のパスを含んでおり、パス2〜パス17
までの各パスにおけるオフセットFは、0〜3の範囲の
値を4回ずつ含んでいる。また、パス1〜パス4,パス
5〜パス8,パス9〜パス12,パス13〜パス16の
それぞれにおける各オフセットFは同じである。
【0067】図11に示した第1実施例では、k=4,
N=19,s=4,m1=m2=m3=m4=m5=m6=m
7=m8=m9=m10=m11=m12=1,q1=q2=q3
4=7であり、上述したパラメータの条件(1),
(2)を満足している。
【0068】図11(B)は、図11(A)の各パス番
号に対応した,各パスにおける各ラスタライン上のドッ
ト記録に用いるノズル番号を示している。左端に示した
各ラスタラインのライン番号は、有効記録範囲内の連続
番号である。この図から解かるように、各ラスタライン
はそれぞれほぼ4パス連続的に記録される。また、図示
していないが、同一ラスタライン上の複数のドットは、
異なる4つのノズルによってそれぞれ間欠的に記録され
ている(間欠オーバーラップ方式)。例えば、太線で囲
った領域の最上端のラスタラインは、パス1,パス2,
パス3,パス4においてそれぞれノズル18,17,1
6,15を用いて3ドットおきに間欠的に記録される。
【0069】図12は、記録方式の第1実施例における
コックリングによるインク滴の着弾位置のずれを説明す
るための説明図である。この図は、図9と同様に図11
の太線で囲った領域に着目した場合について記録順(図
12(A)),各画素位置におけるインク滴の主走査方
向の絶対的な着弾位置のずれ量(図12(B)),ドッ
ト間の相対的な着弾位置のずれ量(図12(C)),ド
ット間の未被覆領域の長さ(図12(D))表してい
る。図12(D)から解かるように、この領域において
インク滴の着弾位置のずれは発生しているが(図12B
参照)、連続するパスを用いて各ラスタライン上ドット
の記録を行うことによってドット間の未被覆領域の長さ
が0になっている。
【0070】上述した第1実施例の記録方式によれば、
連続的なパスを用いて各ラスタライン上にドットの記録
を行うので、上述した比較例の記録方式と比較して、コ
ックリングの発生に起因したインク滴の着弾位置のずれ
による画質の劣化を緩和することができる。
【0071】H.記録方式の第2実施例:図13は、記
録方式の第2実施例を示す説明図である。図13(A)
に示すように、この記録方式は、ノズルピッチkが4,
使用ノズル個数Nが19,スキャン繰り返し数sが4,
実効ノズル数Neffが19/4である。また、この図の
下部の表には、1回目から17回目までの各パスに関す
るパラメータを示している。1サイクルは、16(=k
・s)回分の副走査を含んでいる。16回分の副走査
は、送り量が((4,4,4,5),(4,4,4,
2),(4,4,4,3),(4,4,4,18))ド
ットである副走査によって完了する。
【0072】図13(A)の表の最下段には、1サイク
ル中の各パスのオフセットFの値が示されている。1サ
イクルは16回のパスを含んでおり、パス2〜パス17
までの各パスにおけるオフセットFは、0〜3の範囲の
値を4回ずつ含んでいる。また、パス1〜パス4,パス
5〜パス8,パス9〜パス12,パス13〜パス16の
それぞれにおける各オフセットFは同じである。
【0073】図12に示した第2実施例では、k=4,
N=19,s=4,m1=m2=m3=m4=m5=m6=m
7=m8=m9=m10=m11=m12=1,q1=5,q2
2,q3=3,q4=18であり、図11に示した第1実
施例と同様に、本発明の記録方式の条件(1),(2)
を満足している。
【0074】図13(B)は、各パスにおける各ラスタ
ライン上のドット記録に用いるノズル番号を示してい
る。この図から解かるように、図11に示した第1実施
例と同様に、各ラスタラインはそれぞれほぼ4パス連続
的に記録される。なお、第2実施例においても第1実施
例において説明したように、いわゆる間欠オーバーラッ
プを採用している。
【0075】このような第2実施例によっても、第1実
施例と同様に連続的なパスを用いて各ラスタライン上に
ドットの記録を行うので、上述した比較例の記録方式と
比較してコックリングの発生に起因したインク滴の着弾
位置のずれによる画質の劣化を緩和することができる。
【0076】I.変形例:以上、本発明のいくつかの実
施の形態について説明したが、本発明はこのような実施
の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸
脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能で
ある。例えば、次のような変形も可能である。
【0077】I1.変形例1:図14は、記録方式の変
形例を示す説明図である。図14(A)に示すように、
この変形例においても、ノズルピッチkが4,使用ノズ
ル個数Nが19,スキャン繰り返し数sが4,実効ノズ
ル数Neffが19/4である。また、この図の下部の表
には、1回目から17回目までの各パスに関するパラメ
ータを示している。1サイクルは、16(=k・s)回
分の副走査を含んでいる。16回分の副走査は、送り量
が((8,4,4,5),(4,4,8,2),(1
2,4,4,3),(4,4,4,2))ドットである
副走査によって完了する。
【0078】図14(A)の表の最下段には、1サイク
ル中の各パスのオフセットFの値が示されている。1サ
イクルは16回のパスを含んでおり、パス2〜パス17
までの各パスにおけるオフセットFは、0〜3の範囲の
値を4回ずつ含んでいる。また、パス1〜パス4,パス
5〜パス8,パス9〜パス12,パス13〜パス16の
それぞれにおける各オフセットFは同じである。
【0079】図14に示した変形例1では、k=4,N
=19,s=4,m1=m6=2,m 2=m3=m4=m5
8=m9=m10=m11=m12=1,m7=3,q1=5,
2=q4=2,q3=3であり、上記実施例と同様に、
本発明の記録方式の条件(1),(2)を満足してい
る。
【0080】図14(B)は、各パスにおける各ラスタ
ライン上のドット記録に用いるノズル番号を示してい
る。この図から解かるように、上記実施例と同様に、各
ラスタラインはそれぞれほぼ4パス連続的に記録され
る。
【0081】上記実施例では、miは一定値としていた
が、変形例1のように、一定値でなくてもよい。但し、
iを一定値にすると、副走査送りを簡略化できるとい
う利点がある。
【0082】I2.変形例2:上記各実施例では、間欠
オーバーラップ方式を採用していたが、この代わりに、
各パスにおいて、走査されるラスタライン上のすべての
画素位置を記録対象とする完全オーバーラップ方式を採
用することも可能である。但し、間欠オーバーラップ方
式を採用した方がインク滴の打ち込み回数が少なくな
り、コックリングを抑制することができる。
【0083】以上で説明した本実施例の印刷装置は、コ
ンピュータによる処理を含んでいることから、この処理
を実現するためのプログラムを記録した記録媒体として
の実施の態様を採ることもできる。このような記録媒体
としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁
気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチ
カード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コ
ンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモ
リ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読み取り
可能な種々の媒体を利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例としての印刷装置の構成を示す
ブロック図である。
【図2】ソフトウェアの構成を示すブロック図である。
【図3】プリンタの概略構成図である。
【図4】ノズルの配列を示す説明図である。
【図5】通常のドット記録方式の基本的条件を示すため
の説明図である。
【図6】オーバーラップ記録方式の基本的条件を示すた
めの説明図である。
【図7】本発明の記録方式を示す概念図である。
【図8】ドット記録方式の比較例を示す説明図である。
【図9】比較例のドット記録方式におけるコックリング
の発生によるインク滴の着弾位置のずれを説明するため
の説明図である。
【図10】ドット間の未被覆領域を示す説明図である。
【図11】ドット記録方式の第1実施例を示す説明図で
ある。
【図12】第1実施例におけるインク滴の着弾位置のず
れを説明するための説明図である。
【図13】ドット記録方式の第2実施例を示す説明図で
ある。
【図14】ドット記録方式の変形例を示す説明図であ
る。
【図15】コックリングが発生する様子を示す説明図で
ある。
【図16】コックリングの発生によりインク滴の着弾位
置がずれる様子を示す説明図である。
【符号の説明】
12…スキャナ 14…キーボード 15…フレキシブルドライブ 16…ハードディスク 18…モデム 21…CRT 22…プリンタ 23…紙送りモータ 24…キャリッジモータ 26…プラテン 28…印刷ヘッド 31…キャリッジ 32…操作パネル 34…摺動軸 36…駆動ベルト 38…プーリ 39…位置検出センサ 40…制御回路 42…PROM 61〜66…インク吐出用ヘッド 71…ブラックインク用カートリッジ 72…カラーインク用カートリッジ 80…バス 81…CPU 82…ROM 83…RAM 84…入力インタフェース 85…出力インタフェース 86…CRTC 87…ディスクコントローラ(DDC) 88…シリアル入出力インタフェース 90…コンピュータ 91…ビデオドライバ 95…アプリケーションプログラム 96…プリンタドライバ 97…解像度変換モジュール 98…色変換モジュール 99…ハーフトーンモジュール 100…ラスタライザ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印刷媒体上に形成し得るドットの副走査
    方向の最小間隔をDとしたとき、副走査方向にピッチk
    ・D(kは3以上の整数)で配置されたN個(Nは4以
    上の整数)のノズルを有する印刷ヘッドを備えた印刷部
    に供給すべき印刷データを生成する印刷制御装置であっ
    て、 前記印刷ヘッドのs回(sは2以上の整数)の主走査に
    よってそれぞれのラスタライン上におけるドットの記録
    を完了し、 k・s回の副走査送りの中の各s回の副走査送りを、m
    i・k・D(miは正の整数,iは1〜k・(s−1)の
    整数)の送り量の副走査送りを(s−1)回連続して行
    うとともに、qj・D(qjはkの整数倍でない正の整
    数,jは1〜kの整数)の送り量の副走査送りを1回行
    うことによって完了するように印刷データを生成し、 前記各パラメータk,N,s,mi,qjは、以下の条件
    (1),(2)を満足するように設定されている、印刷
    制御装置。 【数1】
  2. 【請求項2】 請求項1記載の印刷制御装置であって、 前記qjは一定値である、印刷制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の印刷制御装置であって、 前記qjは前記k・s回の副走査送り中に少なくとも1
    回は異なる値をとる、 印刷制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の印
    刷制御装置であって、 前記それぞれのラスタライン上で行われるs回の主走査
    を行う際に、1回の主走査において(s−1)ドットお
    きに間欠的にドットを形成するとともに、前記s回の主
    走査で前記それぞれのラスタライン上のすべての画素位
    置におけるドットの記録を完了するように印刷データを
    生成する、 印刷制御装置。
  5. 【請求項5】 印刷媒体上に形成し得るドットの副走査
    方向の最小間隔をDとしたとき、副走査方向にピッチk
    ・D(kは3以上の整数)で配置されたN個(Nは4以
    上の整数)のノズルを有する印刷ヘッドを備え、インク
    滴を印刷媒体上に吐出してドットを形成することによっ
    て印刷を行う印刷装置であって、 印刷を行う印刷部と、 請求項1ないし4のいずれかに記載の印刷制御装置と、
    を備える、印刷装置。
  6. 【請求項6】 印刷媒体上に形成し得るドットの副走査
    方向の最小間隔をDとしたとき、副走査方向にピッチk
    ・D(kは3以上の整数)で配置されたN個(Nは4以
    上の整数)のノズルを有する印刷ヘッドを備え、インク
    滴を前記印刷媒体上に吐出してドットを形成することに
    よって印刷を行う印刷部を制御する印刷制御方法であっ
    て、 前記印刷ヘッドのs回(sは2以上の整数)の主走査に
    よってそれぞれのラスタライン上におけるドットの記録
    を完了し、 k・s回の副走査送りの中の各s回の副走査送りを、m
    i・k・D(miは正の整数,iは1〜k・(s−1)の
    整数)の送り量の副走査送りを(s−1)回連続して行
    うとともに、qj・D(qjはkの整数倍でない正の整
    数,jは1〜kの整数)の送り量の副走査送りを1回行
    うことによって完了するように印刷データを生成する
    (前記各パラメータk,N,s,mi,qjは、以下の条
    件(1),(2)を満足するように設定される)工程を
    備える、印刷制御方法。 【数2】
  7. 【請求項7】 印刷媒体上に形成し得るドットの副走査
    方向の最小間隔をDとしたとき、副走査方向にピッチk
    ・D(kは3以上の整数)で配置されたN個(Nは4以
    上の整数)のノズルを有する印刷ヘッドを備え、インク
    滴を前記印刷媒体上に吐出してドットを形成することに
    よって印刷を行う印刷部を制御するためのコンピュータ
    プログラムをコンピュータに読み取り可能にした記録媒
    体であって、 前記印刷ヘッドのs回(sは2以上の整数)の主走査に
    よってそれぞれのラスタライン上におけるドットの記録
    を完了し、 k・s回の副走査送りの中の各s回の副走査送りを、m
    i・k・D(miは正の整数,iは1〜k・(s−1)の
    整数)の送り量の副走査送りを(s−1)回連続して行
    うとともに、qj・D(qjはkの整数倍でない正の整
    数,jは1〜kの整数)の送り量の副走査送りを1回行
    うことによって完了するように印刷データを生成する
    (前記各パラメータk,N,s,mi,qjは、以下の条
    件(1),(2)を満足するように設定される)機能、 を前記コンピュータに実現させるためのコンピュータプ
    ログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒
    体。 【数3】
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