JP2001143914A - 抵抗器の製造方法 - Google Patents

抵抗器の製造方法

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JP2001143914A
JP2001143914A JP32509799A JP32509799A JP2001143914A JP 2001143914 A JP2001143914 A JP 2001143914A JP 32509799 A JP32509799 A JP 32509799A JP 32509799 A JP32509799 A JP 32509799A JP 2001143914 A JP2001143914 A JP 2001143914A
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oxide film
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film
resistor
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Hidenori Nishiwaki
英謙 西脇
Mitsunari Nakatani
光成 中谷
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 負荷寿命試験による抵抗値の変化を小さくす
ることができる抵抗器の製造方法を提供することを目的
とする。 【解決手段】 絶縁基体の表面に複数層の酸化金属皮膜
を成膜して抵抗素子を形成する工程と、前記複数層の酸
化金属皮膜のうち最外層となる酸化金属皮膜の成膜温度
より50〜250℃低い温度で前記抵抗素子を熱処理す
る工程とを備えたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子回路用の回路素
子として用いられる抵抗器に関し、特に抵抗器の一種で
ある酸化金属皮膜抵抗器の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、酸化金属皮膜抵抗器はセラミッ
ク材料からなる棒状の絶縁基体の表面に酸化金属皮膜を
成膜した後、前記棒状の絶縁基体の両端にそれぞれ金属
製のキャップを嵌着して接続用の端子とし、さらに前記
キャップにリード線を接続した後、これらの表面を絶縁
塗料で被覆して外層保護膜を形成することにより製造さ
れている。このような抵抗器においては、高抵抗値化や
高精度化の要求が強いもので、これらの要求に対応する
ために酸化金属皮膜を多層化して高抵抗化や抵抗値温度
係数の改善をする試みがなされている。従来の酸化金属
皮膜に関する技術としては、特開平2−253601号
公報に記載された「吹き付け法」と呼ばれる製造方法が
知られている。
【0003】以下、従来の抵抗器の製造方法について説
明する。
【0004】図7は従来の酸化金属皮膜抵抗器の断面図
を示したもので、この図7において、1はアルミナを主
成分とするセラミックスからなる絶縁基体である。2は
絶縁基体1の表面に成膜された酸化スズを主成分とする
金属の酸化物からなる第1の酸化金属皮膜である。3は
酸化スズを主成分とする第1の酸化金属皮膜2とは組成
の異なる第2の酸化金属皮膜である。4は酸化スズを主
成分とする第2の酸化金属皮膜3とは組成の異なる第3
の酸化金属皮膜である。5は酸化金属皮膜を成膜した絶
縁基体1、すなわち抵抗素子の両端に嵌着された金属製
のキャップで、このキャップ5は鉄を主成分として構成
され、かつ表面にスズなどのめっきを施している。6は
キャップ5に溶接されたリード線で、このリード線6は
銅または鉄などで構成され、かつ表面にスズなどのめっ
きを施している。7は抵抗素子を構成する絶縁基体1と
キャップ5の表面に塗装された絶縁塗料からなる外層保
護膜である。
【0005】図8は抵抗素子にキャップを嵌着し外層保
護膜を形成した抵抗器の斜視図を示したもので、この図
8において、キャップ5は点線で表している。また図9
は従来の酸化金属皮膜の成膜装置の要部を示したもの
で、この図9において、8は炉、9は耐熱性の籠、10
は原料溶液供給装置、11は空気を圧縮する装置、14
は圧縮された空気によって原料を噴霧するノズルであ
る。12は原料溶液供給装置10とノズル14をつなぐ
パイプ、13は空気を圧縮する装置11とノズル14を
つなぐパイプである。15は原料溶液供給装置10の原
料溶液を噴霧して酸化金属皮膜を成膜させるための絶縁
基体である。この装置による成膜方法では、まず原料溶
液を原料溶液供給装置10に入れ、かつ籠9に絶縁基体
15を入れて籠9を回転させながら、炉8内の温度を約
500〜800℃に昇温し、その状態で圧縮空気によっ
て原料溶液をノズル14から噴霧する。次に噴霧を止
め、絶縁基体15を取り出し、別の炉に入れて、約20
0〜300℃の温度で数十分〜数時間熱処理をする。こ
の熱処理によって、絶縁基体15の表面に熱的および電
気的に安定な酸化金属皮膜が得られるものである。
【0006】次に、成膜された絶縁基体15の両端に金
属製のキャップを嵌着し、その後、絶縁基体15の表面
をスパイラル状にカット(図示せず)して所定の抵抗値
に抵抗値修正を行う。
【0007】最後に、リード線をキャップに溶接し、さ
らにリード線を除く絶縁基体15とキャップの表面を絶
縁塗料で被覆して外層保護膜を形成することにより、従
来の酸化金属皮膜抵抗値を製造していた。
【0008】また上記した従来の技術には、三層の酸化
金属皮膜として、絶縁基体1に直接密着した第1の酸化
金属皮膜2と、この第1の酸化金属皮膜2の表面に設け
られ、かつ第1の酸化金属皮膜2より比抵抗の小さい第
2の酸化金属皮膜3と、前記第1の酸化金属皮膜2より
比抵抗が小さく、かつ第2の酸化金属皮膜3とは比抵抗
が異なる第3の酸化金属皮膜4が開示されている。そし
て第1の酸化金属皮膜2としては、酸化スズを主成分と
して鉄、インジウム、ニッケル、リン、亜鉛、カドミウ
ム、アンチモンのうち少なくとも一つを補助成分とし、
かつ厚みが約0.05〜5μmである酸化金属皮膜が開
示されている。また第2の酸化金属皮膜3としては、酸
化スズを主成分としてアンチモン、ニッケル、クロム、
フッ素、リン、砒素、マンガン、バリウム、ビスマス、
コバルト、亜鉛、銅、ボロン、カドミウム、バナジウム
のうち少なくとも一つを補助成分とし、かつ厚みが約
0.003〜2μmである酸化金属皮膜が開示されてい
る。そしてまた第3の酸化金属皮膜4としては、酸化ス
ズを主成分としてアンチモン、ニッケル、クロム、フッ
素、リン、砒素、マンガン、バリウム、ビスマス、コバ
ルト、亜鉛、銅、ボロン、カドミウム、バナジウムのう
ち少なくとも一つを補助成分とし、かつ厚みが約0.0
03〜2μmである酸化金属皮膜が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の抵抗器の場合、約70℃の恒温室で定格電圧を
1.5時間印加、1.5時間切断という条件の負荷寿命
試験を行った場合、抵抗値が比較的大きく変化するとい
う課題があった(以下負荷寿命試験とはこの条件を指
す)。
【0010】酸化金属皮膜はIV族のスズにV族のアンチ
モンなどを添加して酸化スズの酸素欠陥を制御して特性
の安定化を図った半導体多結晶薄膜であるが、その成膜
過程でひずみが生じやすい性質を有している。特に、高
温で成膜後、常温に戻すと抵抗体である酸化金属皮膜に
ひずみが生じることは避けがたいものである。抵抗器が
完成したときに、抵抗体である酸化金属皮膜にこのひず
みが残っていると負荷寿命試験でこのひずみが徐々に緩
和されるため、抵抗値が変化することになる。したがっ
て負荷寿命試験による抵抗値変化の小さい抵抗器を得る
ためには前記ひずみを予め抵抗器が完成する前に緩和さ
せることが必要であった。
【0011】従来は前述した抵抗体である酸化金属皮膜
に生じたひずみを予め緩和させるために、酸化金属皮膜
を成膜後約200〜300℃の温度で数十分〜数時間の
熱処理を施していた。しかしながら、このように比較的
低い温度で長時間の熱処理を行っても、十分にひずみを
緩和させることは困難であり、その結果、負荷寿命試験
によって抵抗値に変化が生じるものであった。
【0012】本発明は上記従来の課題を解決するもの
で、負荷寿命試験による抵抗値の変化を小さくすること
ができる抵抗器の製造方法を提供することを目的とする
ものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の抵抗器の製造方法は、絶縁基体の表面に複数
層の酸化金属皮膜を成膜して抵抗素子を形成する工程
と、前記複数層の酸化金属皮膜のうち最外層となる酸化
金属皮膜の成膜温度より50〜250℃低い温度で前記
抵抗素子を熱処理する工程とを備えたもので、この製造
方法によれば、負荷寿命試験による抵抗値の変化を小さ
くすることができる抵抗器が得られるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、絶縁基体の表面に複数層の酸化金属皮膜を成膜して
抵抗素子を形成する工程と、前記複数層の酸化金属皮膜
のうち最外層となる酸化金属皮膜の成膜温度より50〜
250℃低い温度で前記抵抗素子を熱処理する工程とを
備えたもので、この製造方法によれば、抵抗素子の熱処
理が従来の熱処理温度の約2倍以上の高い温度で行われ
るため、酸化金属皮膜の成膜時のひずみは十分に除去さ
れることになり、これにより、負荷寿命試験による抵抗
値変化を小さくすることができるという作用を有するも
のである。
【0015】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、抵抗素子の原料溶液を予め加熱して気
化させ、それを所定の温度に保持した成膜炉に圧送する
工程と、絶縁基体を予め所定の温度に加熱し前記成膜炉
に入れて前記絶縁基体の表面に酸化金属皮膜を成膜する
工程とを繰り返すことにより複数層の酸化金属皮膜を成
膜するようにしたもので、この製造方法によれば、抵抗
素子の原料溶液を気化させた後、空気との混合量を制御
して、予め所定の温度に保持した成膜炉に圧送するよう
にしているため、成膜炉の雰囲気組成、雰囲気温度を一
定にすることができ、一方、絶縁気体も予め所定の温度
に保たれた後、前記成膜炉に入れられるため、成膜温度
を一定にすることができ、これにより、酸化金属皮膜の
成膜が安定した混合条件、温度条件で行われるため、負
荷寿命試験による抵抗値の変化も小さく、しかも、その
変化のバラツキも小さくなるという作用を有するもので
ある。
【0016】以下、本発明の一実施の形態における抵抗
器の製造方法について、三層構造の酸化金属皮膜抵抗器
を例にして説明する。なお、本発明の一実施の形態にお
ける酸化金属皮膜抵抗器の構造については図7および図
8に示した従来の酸化金属皮膜抵抗器と同じである。
【0017】図1は本発明の一実施の形態における三層
構造の酸化金属皮膜抵抗器の製造工程の概要を示す工程
図である。
【0018】図1に示すように、セラミック材料からな
る絶縁基材に第1の酸化金属皮膜を成膜し、この後、第
1の酸化金属皮膜の上面に第2の酸化金属皮膜を成膜
し、さらに第2の酸化金属皮膜の上面に第3の酸化金属
皮膜を成膜する。
【0019】このようにして三層に成膜された酸化金属
皮膜を有する抵抗素子を熱処理し、その後、前記抵抗素
子を常温に戻してから金属製のキャップを前記抵抗素子
の両端に嵌着させる。その後、前記抵抗素子の表面をス
パイラル状にカットして抵抗値を修正する。さらに、前
記キャップの両端にリード線を溶接して、前記抵抗素子
の表面とキャップの表面を覆うように絶縁塗料で被覆し
て外層保護膜を形成する。
【0020】図2は本発明の一実施の形態における抵抗
器の成膜装置の概要図を示したもので、この図2におい
て、21は塩化第2スズ、塩酸などを含んだ原料溶液の
入った原料容器である。22は原料溶液を気化させて圧
送する気化装置、23は酸化金属皮膜を成膜する成膜
炉、24は絶縁基体を加熱する加熱炉、25は原料容器
21と気化装置22とをつないで原料を送るパイプ、2
6は気化装置22と成膜炉23をつないで気化された原
料を送るパイプ、27は成膜炉23と加熱炉24をつな
いで加熱された絶縁基体を送るパイプである。
【0021】最初に、第1の酸化金属皮膜を成膜する方
法について説明する。原料としては、塩化第2スズ約5
kg、メチルアルコール約1350ml、塩酸約150
mlを用意し、これらを混合して第1の酸化金属皮膜を
成膜するための原料溶液(図示せず)とする。そしてこ
の原料溶液を約300℃に加熱された気化装置22内に
搬送して気化させ、その後、約300℃の高温の空気と
混合して成膜炉23内に圧送する。この場合、成膜炉2
3は約300℃に加熱されており、さらにこの成膜炉2
3に接続されたポンプ(図示せず)により成膜炉23の
内部のガスは適度の圧力および濃度に調整されている。
そして加熱炉24で約800℃に加熱された絶縁基体
(図示せず)が前記成膜炉23に入れられると、この絶
縁基体上で酸化スズの熱分解析出反応が起こって第1の
酸化金属皮膜が成膜される。
【0022】次に、第2の酸化金属皮膜を成膜する方法
について説明する。図3は第2の酸化金属皮膜を成膜す
る成膜装置の概要図を示したもので、この図3におい
て、31は塩化第2スズ、塩酸などを含んだ原料溶液の
入った原料容器である。32は原料溶液を気化させて圧
送する気化装置、33は酸化金属皮膜を成膜する成膜
炉、34は絶縁基体を加熱する加熱炉、35は原料容器
31と気化装置32とをつないで原料を送るパイプ、3
6は気化装置32と成膜炉33をつないで気化された原
料を送るパイプ、37は成膜炉33と加熱炉34をつな
いで加熱された絶縁基体を送るパイプである。原料とし
ては、塩化第2スズ約5kg、三塩化アンチモン約30
0g、メチルアルコール約1350ml、塩酸約150
mlを用意し、これらを混合して第2の酸化金属皮膜を
成膜するための原料溶液(図示せず)とする。そしてこ
の原料溶液を約300℃に加熱された気化装置32内に
搬送して気化させ、その後、約300℃の高温の空気と
混合して成膜炉33内に圧送する。この場合、成膜炉3
3は約300℃に加熱されており、さらにこの成膜炉3
3に接続されたポンプ(図示せず)により成膜炉33の
内部のガスは適度の圧力および濃度に調整接続されてい
る。そして加熱炉34で約700℃に加熱されて第1層
の酸化金属皮膜が成膜された絶縁基体(図示せず)が前
記成膜炉33に入れられると、絶縁基体上の第1層の酸
化金属皮膜上で酸化アンチモンを含む酸化スズの熱分解
析出反応が起こって第2の酸化金属皮膜が成膜される。
【0023】次に、第3の酸化金属皮膜を成膜する法法
について説明する。
【0024】図4は第3の酸化金属皮膜を成膜する成膜
装置の概要図を示したもので、この図4において41は
塩化第2スズ、塩酸などを含んだ原料溶液の入った原料
容器である。42は原料溶液を気化させて圧送する気化
装置、43は酸化金属皮膜を成膜する成膜炉、44は絶
縁基体を加熱する加熱炉、45は原料容器41と気化装
置42とをつないで原料を送るパイプ、46は気化装置
42と成膜炉43をつないで気化された原料を送るパイ
プ、47は成膜炉43と加熱炉44をつないで加熱され
た絶縁基体を送るパイプである。原料としては、塩化第
2スズ約5kg、メチルアルコール約1350ml、塩
酸約150mlを用意し、これらを混合して第3の酸化
金属皮膜を成膜するための原料溶液(図示せず)とす
る。そしてこの原料溶液を約300℃に加熱された気化
装置42内に搬送して気化させ、その後、約300℃の
高温の空気と混合して成膜炉43内に圧送する。この場
合、成膜炉43は約300℃に加熱されており、さらに
この成膜炉43に接続されたポンプ(図示せず)により
成膜炉43の内部のガスは適度の圧力および濃度に調整
されている。そして加熱炉44で約800℃に加熱され
て既に第2の酸化金属皮膜が成膜された絶縁基体(図示
せず)が前記成膜炉43に入れられると、絶縁基体上の
第2の酸化金属皮膜上で酸化スズの熱分解析出反応が起
こって第3の酸化金属皮膜が成膜される。
【0025】上記した本発明の一実施の形態において
は、酸化金属皮膜の成膜温度の一例として、約700
℃、約800℃の成膜温度について説明したが、これら
の成膜温度は約600〜850℃の範囲であれば、負荷
寿命試験による抵抗値の変化が小さい酸化金属皮膜抵抗
器を得ることができるものである。
【0026】次に、上記した本発明の一実施の形態によ
り製造された抵抗器と、従来の抵抗器および比較のため
に特別に作成した抵抗器の抵抗値の変化を比較するため
に負荷寿命試験を行った。この負荷寿命試験の結果を図
5に示す。負荷寿命試験用のサンプルとしてはそれぞれ
次のものを作成し、それらのサンプルについて負荷寿命
試験を行った。
【0027】まず、上記した本発明の一実施の形態にお
ける第3の酸化金属皮膜を約800℃で成膜した絶縁基
体、すなわち抵抗素子を熱処理炉に入れて第3の酸化金
属皮膜の成膜温度である約800℃より約200℃低い
約600℃の温度で約15分間熱処理することにより第
1のサンプルを作成した。この第1のサンプルの負荷寿
命試験結果を図5のaに示す。そしてこれとは別に、上
記した本発明の一実施の形態における第3の酸化金属皮
膜を約700℃で成膜した絶縁基体、すなわち抵抗素子
を熱処理炉に入れて第3の酸化金属皮膜の成膜温度であ
る約700℃より約250℃低い約450℃の温度で1
5分間熱処理することにより第2のサンプルを作成し
た。この第2のサンプルの負荷寿命試験結果を図5のc
に示す。さらに比較のために、三層の酸化金属皮膜が成
膜された絶縁基体、すなわち抵抗素子を熱処理しない第
3のサンプルを作成し負荷寿命試験を行った。この第3
のサンプルの負荷寿命試験結果を図5のbに示す。さら
にまた、三層の酸化金属皮膜が成膜された絶縁基体、す
なわち抵抗素子を熱処理炉に入れて第3の酸化金属皮膜
の成膜温度である約800℃より約600℃低い約20
0℃で約2時間熱処理することにより作成した従来の抵
抗器である第4のサンプルの負荷寿命試験結果を図5の
dに示す。すなわち、図5のaおよびcは本発明の一実
施の形態における第1、第2のサンプルの負荷寿命試験
結果である。図5のbは比較のための熱処理無しの第3
のサンプルの負荷寿命試験結果である。図5のdは従来
の熱処理条件による第4のサンプルの負荷寿命試験結果
である。
【0028】ここでいう負荷寿命試験は約70℃の恒温
室で定格電圧を1.5時間印加、1.5時間切断という
条件で試験を行うもので、抵抗値が過酷な使用状態で使
用された場合の変化の程度を調べる目的で行われる試験
である。
【0029】図5から明らかなように、本発明の一実の
形態における600℃、15分間の熱処理条件で作成し
た第1のサンプルaが最も抵抗値変化が小さい。次に他
の本発明の一実施の形態における450℃、15分間の
熱処理条件で作成した第2のサンプルcが小さい。従来
の抵抗器である熱処理しない第3のサンプルb、熱処理
条件が200℃、2時間である第4のサンプルdは抵抗
値の変化が大きいことがわかる。
【0030】また図5には示していないが、第3の酸化
金属皮膜の成膜温度と同じ800℃で15分間熱処理し
た場合は、酸化金属皮膜に再結晶化が起こり、さらに酸
化金属皮膜にひずみが追加されるため、負荷寿命試験に
よる抵抗値の変化が非常に大きくなる。
【0031】次に図6に熱処理温度を変えて作成したサ
ンプルの1000時間の負荷寿命試験結果を示す。
【0032】図6において、xは熱処理時間が15分
間、yは熱処理時間が2時間のサンプルの負荷寿命試験
結果である。
【0033】ここで、まずxについて説明する。熱処理
をしなかった場合、負荷寿命試験による抵抗値変化は
2.2%である。200℃、15分間の熱処理を行って
作成したサンプルの負荷寿命試験による抵抗値変化は
2.1%である。450℃、15分間の熱処理を行って
作成したサンプルの負荷寿命試験による抵抗値変化は
0.6%である。650℃、15分間の熱処理を行って
作成したサンプルの負荷寿命試験による抵抗値変化は−
0.6%である。
【0034】次に、yについて説明する。熱処理をしな
かった場合、負荷寿命試験による抵抗値変化は2.2%
である。200℃、2時間の熱処理を行って作成したサ
ンプルの負荷寿命試験による抵抗値変化は0.7%であ
る。450℃、2時間の熱処理を行って作成したサンプ
ルの負荷寿命試験による抵抗値変化は−1.5%であ
る。600℃、2時間の熱処理を行って作成したサンプ
ルの負荷寿命試験による抵抗値変化は−1.5%であ
る。
【0035】図6から明らかなように、xに示す熱処理
時間が15分間、熱処理温度が450℃〜650℃の場
合が抵抗値の変化率は最も小さいもので、この場合は熱
処理温度が450℃〜650℃の範囲内で変化しても抵
抗値の変化に与える影響は小さいものである。一方、図
6には表現していないが、成膜温度が850℃の場合に
おいては、熱処理温度は600℃の場合が抵抗値の変化
率は小さく、かつ成膜温度が600℃以下の場合は熱処
理温度が550℃でも抵抗値の変化率は小さい。すなわ
ち成膜温度より50〜250℃低い熱処理温度の場合が
抵抗値の変化率は小さい。熱処理時間が2時間の場合は
熱処理温度が約300℃のときに抵抗値の変化率が小さ
いが、これにおいては、熱処理温度条件の小さな変化に
より抵抗値が大きく変化することがわかる。このことか
らも熱処理時間は短い方が抵抗値の変化率の小さい抵抗
器を得るのに有効であることがわかる。熱処理時間は1
0〜30分間の条件が負荷寿命試験による抵抗値の変化
の小さい安定した抵抗器を製造するための条件として優
れているが、45分間以上になると負荷寿命試験による
抵抗値の変化は大きくなるものである。
【0036】なお、ここでは、三層の酸化金属皮膜を有
する抵抗器について熱処理条件の効果について説明した
が、二層の酸化金属皮膜を有する抵抗器についても、2
層目の酸化金属皮膜を成膜した後、2層目の成膜温度よ
り50〜250℃低い温度で熱処理を行うようにして
も、上記した本発明の一実施の形態における三層の酸化
金属皮膜を有する抵抗器と同様の効果を得ることができ
るものである。
【0037】また、上記本発明の一実施の形態における
抵抗器の製造方法においては、スズを主成分とし、補助
成分としてアンチモンを用いた酸化金属皮膜を多層化す
ることについて説明したが、このアンチモンを添加する
目的は酸化スズの酸化欠陥を埋めることによって抵抗器
の特性の安定化を図るものである。この目的に対して
は、アンチモンの他に、鉄、バナジウム、クロム、ニッ
ケル、モリブデン、マンガン、銅、亜鉛、ビスマス、コ
バルト、インジウムのうち少なくとも1元素を含む補助
成分でも同様の効果を得ることができるものである。
【0038】そしてまた、酸化金属皮膜を成膜する方法
としては、原料溶液を予め加熱・霧化し、一方絶縁基体
を加熱後成膜する場合について説明したが、この場合
は、原料溶液を高温で安定した温度で気化させてから成
膜炉に圧送するとともに、絶縁基体を高温で安定した温
度に加熱してから成膜炉に導入するようにしているた
め、従来行われていた他の方法に比べて、バラツキの少
ない均一な酸化金属皮膜が得られる。その結果、他の方
法で着膜したものに比べ負荷寿命試験による抵抗値変化
も小さく、またそのバラツキも小さいものである。
【0039】
【発明の効果】以上のように本発明の抵抗器の製造方法
は、絶縁基体の表面に複数層の酸化金属皮膜を成膜して
抵抗素子を形成する工程と、前記複数層の酸化金属皮膜
のうち最外層となる酸化金属皮膜の成膜温度より50〜
250℃低い温度で前記抵抗素子を熱処理する工程とを
備えたもので、この製造方法によれば、抵抗素子の熱処
理が従来の熱処理温度の約2倍以上の高い温度で行われ
るため、酸化金属皮膜の成膜時のひずみは十分に除去さ
れることになり、これにより、負荷寿命試験による抵抗
値の変化を従来のものに比べて著しく小さくすることが
できる抵抗器を提供できるというすぐれた効果を有する
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における三層構造の酸化
金属皮膜を有する抵抗器の製造工程の概要を示す工程図
【図2】本発明の一実施の形態における抵抗器の成膜装
置の概要図
【図3】同抵抗器における第2の酸化金属皮膜を成膜す
る成膜装置の概要図
【図4】同抵抗器における第3の酸化金属皮膜を成膜す
る成膜装置の概要図
【図5】負荷寿命試験結果を示す図
【図6】熱処理温度を変えて成作したサンプルの100
0時間の負荷寿命試験結果を示す図
【図7】従来の酸化金属皮膜抵抗器の断面図
【図8】従来の抵抗器の斜視図
【図9】従来の酸化金属皮膜の成膜装置の要部を示す概
要図
【符号の説明】
21,31,41 原料容器 22,32,42 気化装置 23,33,43 成膜炉 24,34,44 加熱炉 25,35,45 パイプ 26,36,46 パイプ 27,37,47 パイプ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基体の表面に複数層の酸化金属皮膜
    を成膜して抵抗素子を形成する工程と、前記複数層の酸
    化金属皮膜のうち最外層となる酸化金属皮膜の成膜温度
    より50〜250℃低い温度で前記抵抗素子を熱処理す
    る工程とを備えた抵抗器の製造方法。
  2. 【請求項2】 抵抗素子の原料溶液を予め加熱して気化
    させ、それを所定の温度に保持した成膜炉に圧送する工
    程と、絶縁基体を予め所定の温度に加熱し前記成膜炉に
    入れて前記絶縁基体の表面に酸化金属皮膜を成膜する工
    程とを繰り返すことにより複数層の酸化金属皮膜を成膜
    するようにした請求項1記載の抵抗器の製造方法。
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