JP2001143580A - ガス分離回収装置 - Google Patents

ガス分離回収装置

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JP2001143580A
JP2001143580A JP32033599A JP32033599A JP2001143580A JP 2001143580 A JP2001143580 A JP 2001143580A JP 32033599 A JP32033599 A JP 32033599A JP 32033599 A JP32033599 A JP 32033599A JP 2001143580 A JP2001143580 A JP 2001143580A
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gas
adsorption
purge
adsorption cylinder
adsorbent
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Hiroshi Murase
洋 村瀬
Yoshihiko Hirano
嘉彦 平野
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Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 SF6 ガスを含む混合ガスからSF6 ガスを
極めて高い回収率でしかも効率良く迅速に回収可能なガ
ス分離回収装置を提供する。 【解決手段】 吸着筒4には、SF6 ガスを吸着せず、
窒素ガスや酸素ガスなどの自然ガスを吸着しやすい吸着
剤が充填され、吸着筒4は、吸着過程と脱着(再生)過
程を繰返す。吸着過程において吸着剤に吸着されずに吸
着筒4を通過したSF6 ガス濃度の高いガスを、コンプ
レッサ2b、熱交換器6からなる液化装置33により液
化回収する。吸着過程と脱着(再生)過程の繰返し中に
おける、吸着過程後の脱着(再生)過程の前に、非吸着
ガスパージ系統31により乾燥圧縮空気や窒素ガスなど
のパージガスを注入して吸着筒4内のガスを追い出す。
脱着(再生)過程においては、吸着剤に吸着されたガス
とパージガスを、吸着ガス放出系統31により大気中に
放出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力機器に使用さ
れるガス絶縁機器に関するもので、特に絶縁性ガスとし
て窒素ガス等の自然界に存在する自然ガスにSF6 ガス
を少量添加したものを使用する環境対応型機器のSF6
ガス分離回収装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】変電所には、系統切換えや保守点検など
に使用するため、遮断器や断路器等の機器が設置されて
いる。これらの機器のうち、特に大型のものには、内部
にSF6 ガスが充填されており、ガス絶縁開閉装置(G
IS)と総称されている。SF6 ガスは絶縁性能と消弧
性能に優れており、また、化学的にも安定で無害な気体
であるため、上記のような各種の電力機器の絶縁媒体と
して広く用いられている。
【0003】しかし、SF6 ガスは、温室効果がきわめ
て高いことが最近になって指摘されており、また、分解
までの寿命も長いことから、今後の長期にわたる地球環
境保護の目的で、排出規制対象として指定されるに至っ
ている。そのため、SF6 ガスを用いた装置の試験後や
現地での内部点検時には、SF6 ガスを外部に排出しな
いように回収する必要がある。現在では、加圧装置で加
圧液化して液体としてタンクに回収、保管されるのが普
通である。特に、純度の高いSF6 ガスの場合には、室
温下でも比較的低圧で液化でき、回収・保管が容易であ
る。
【0004】図5は、以上のようにSF6 ガスを液化し
て回収するガス回収装置の代表例として、ガス絶縁機器
に連結したガス回収装置の一例を示す構成図である。こ
の図5に示すように、ガス絶縁開閉装置等のガス絶縁機
器1に接続されたガス回収装置は、コンプレッサ2、熱
交換器6、SF6 タンク7、真空ポンプ9、フィルタ1
0、および各種のバルブ11〜13等から構成されてい
る。
【0005】すなわち、ガス絶縁機器1には、2つの連
動バルブ12a,12bが接続されており、第1の連動
バルブ12aは、減圧バルブ11を介してフィルタ10
に接続され、第2の連動バルブ12bは、真空ポンプ9
を介して同じフィルタ10に接続されている。そして、
フィルタ10は、コンプレッサ2に接続され、さらに、
熱交換器6およびSF6 タンク7に順次接続されてい
る。
【0006】このような構成を有する図5のガス回収装
置の動作原理は次の通りである。まず、ガス絶縁機器1
のガス圧が高い時には、第1の連動バルブ12aを開と
し、第2の連動バルブ12bを閉とすることにより、ガ
ス絶縁機器1内のガスは自動的にフィルタ10を通過し
て異物や塵を除去され、コンプレッサ2に流入する。こ
の時、減圧バルブ11は、コンプレッサ2の入口側のガ
ス圧が高くなり過ぎないように、流入ガス量を調節す
る。一方、ガス絶縁機器1からのガスの回収がある程度
進み、ガス絶縁機器1のガス圧が大気圧に近づいた時点
で、第1の連動バルブ12aを閉とすると同時に第2の
連動バルブ12bを開として、真空ポンプ9を作動させ
ることにより、ガス絶縁機器1内のガスを完全にコンプ
レッサ2に移動することができる。
【0007】このようにしてコンプレッサ2に移された
ガスは、このコンプレッサ2で加圧された後に熱交換器
6により冷却されることで液化し、その体積を極めて小
さくした状態でSF6 タンク7に貯蔵される。この時、
SF6 タンク7には気相も存在するが、殆どがガス状の
SF6 であって、これにわずかに不純物としてのガスが
加わるのみである。そして、このSF6 タンク7に貯蔵
されたSF6 ガスを再び使用する場合には、ガスバルブ
13を介してSF6 タンク7をガス使用先の装置に接続
し、ガスバルブ13を開とすることにより、その使用先
の装置にSF6ガスを充気していた。
【0008】ところで、長期にわたる地球環境を考えた
場合には、SF6 ガスの排出量を今後さらに削減する必
要があるが、そのためには、排出の要因にもなる全体の
使用量自体を削減する必要がある。このようなSF6 ガ
スの削減を実現するために、機器の小型化や他のガスへ
の変換等も考えられているが、その一方で、他の自然ガ
スの中にSF6 ガスを少量添加した混合ガスを使用する
方式が考えられ、注目されている。
【0009】このような混合ガスを用いた方式において
は、SF6 ガスを液化回収してリサイクルすることが必
要であるが、液化されないSF6 以外のガスには、自然
ガスを用い、この自然ガスをSF6 ガス回収時に大気に
放出するのが最も経済的である。この場合には、大気に
放出される前に混合ガス中のSF6 を完全に分離回収し
て、大気に放出されるガス中にSF6 が含まれないよう
にする必要がある。
【0010】混合ガスの分離回収技術に関しては、空気
から様々な成分の単体ガス(例えば酸素ガス)を分離す
る目的で、すでに各種の技術が開発され実使用されてい
る。図6は、このように空気から酸素を分離回収するた
めの従来の分離回収装置の一例を示す構成図である。こ
の図6に示すように、分離回収装置は、コンプレッサ2
a,2b、吸着筒4、真空ポンプ9、放気装置14、ガ
スタンク17、および複数のガスバルブ13等から構成
されている。
【0011】この分離回収装置の動作原理は次の通りで
ある。まず、第1のコンプレッサ2aで空気を圧縮し、
吸着筒4に送り込む。この吸着筒4には、ある特定のガ
ス分子(ここでは窒素分子)を吸着しやすい吸着剤が装
填されており、この吸着剤によって空気中の窒素が吸着
される一方で、この吸着剤に吸着されにくい酸素は吸着
筒4を通過する。吸着筒4を通過したガスを第2のコン
プレッサ2bで再び圧縮し、ガスタンク17で貯蔵す
る。この場合、吸着筒4を通過するガスは殆どが酸素ガ
スとなる。
【0012】以上の吸着過程を継続すると、最終的に、
吸着筒4はもはや窒素ガスを吸着しきれない状態とな
る。このような状態となる前に、コンプレッサ2a,2
bを停止し、真空ポンプ9により吸着筒4内のガス圧を
下げることにより、吸着剤が吸着していた窒素ガスを放
出させ、再び窒素ガスを吸着できる状態に戻す。この場
合、吸着剤から放出させた窒素ガスは大気中に放出す
る。このように、吸着筒4の吸着と脱着(再生)を交互
に繰返すことにより、この吸着筒4の半永久的な使用が
可能となる。
【0013】例えば、オゾナイザー用の酸素発生器用の
窒素ガス吸着剤として、合成ゼオライトが使用されてい
る。合成ゼオライトは、含水アルミノケイ酸塩鉱物群の
総称で、一般式MeO・Al2 O3 ・mSiO2 ・nH
2 Oで示される。結晶構造中に金属陽イオンを包蔵し、
これが極性基を静電気的に引き付けたり、分極性分子を
分極して引き付ける作用を示して吸着するため、中性分
子の吸着に有利である。このような合成ゼオライトは、
具体的には、モレキュラーシーブス(U.C.C)、ゼ
オラム、モレキュライト(栗田工業)、ニッカペレット
(日本活性白土)等の商品名で知られている。
【0014】また、合成ゼオライトは、上記のような分
極による吸着の他に、その表面に均一な細孔を有し、こ
の細孔よりも小さい分子のみが孔路を通って空洞の内部
に吸着されるため、優れた選択吸着性(分子篩効果)を
示す。このため、合成ゼエライトは、細孔の大きさでも
分類され、例えば、3Å型、4Å型、5Å型、9Å型、
10Å型等が開発されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、SF
6 ガス削減のため、機器の小型化や他のガスへの変換等
が考えられている一方で、他の自然ガスの中にSF6 ガ
スを少量添加した混合ガスを使用する方式が考えられ、
有望視されている。特に実現可能性の高い方式として、
例えば窒素ガスを母体としてSF6 ガスを少量添加した
混合ガスを使用することが考えられている。
【0016】しかし、このように窒素ガスにSF6 ガス
を少量添加した混合ガスを使用した場合には、以下の表
1に示すように、高圧力にしないとSF6 ガスが液化し
ないため、SF6 ガスの液化回収が困難である。ここ
で、表1は、SF6 ガスの混合割合と液化圧力との関係
を示している。
【表1】
【0017】この表1に示すように、現在の純SF6 ガ
スの場合、比較的低圧力で液化できるものの、SF6 ガ
スを低い割合で添加した混合ガスの場合、液化には高圧
力が必要となる。例えば、10vol%SF6 ガスの場合、
室温下では約20MPa以上の非常に高い圧力が必要で
あり、そのような高圧力を用いて液化することは、実際
上困難である。これに対して、大型の冷凍装置や液体窒
素による冷却を併用して液化圧力を下げることも考えら
れるが、この場合には、全体の装置構成が大型化してし
まい、このことがSF6 ガスの回収・リサイクルの大き
な障害になり得る。
【0018】また、大量のガスを気体の状態のままで保
管するには、大型のタンクに回収し、再使用していく必
要があるが、この方法は、きわめて大きな体積のタンク
を必要とするため、やはり、装置構成の大型化につなが
る。さらに、ガスの体積を小さくしてタンクを小型化す
るために、大量のガスを高圧力の状態で保管することも
考えられるが、この場合には安全面での問題が生じてく
る。
【0019】一方、図6に示したような従来の分離回収
装置を使用して吸着筒で窒素ガスを吸着させることも考
えられるが、自然ガスの分離を目的としている図6の装
置の回収率はSF6 ガスを含む混合ガスに要求される回
収率のレベルにはほど遠く、図6の装置によって混合ガ
ス中のSF6 を完全に分離回収することは不可能であ
る。この点について以下に説明する。
【0020】まず、図6に示した分離回収装置は、先に
述べたように、空気から単体ガスを分離回収する技術に
関するものである。この技術においては、材料である空
気が無尽蔵に存在し、しかも分離回収しようとしている
空気の成分である単体ガスを多く含んだ状態で空気中に
放出しても何ら問題がないことから、回収率はそれ程問
題とならない。そのため、図6の分離回収装置の回収率
はそれ程高くない。
【0021】これに対して、本発明において分離回収し
ようとしている混合ガス量は有限であり、また、この混
合ガス中に含まれているSF6 ガスは、環境問題という
重要な問題に関わる規制対象であり、回収後に空気中に
放出する残ガス中に含まれるSF6 量は殆ど零としなけ
ればならない。そのため、混合ガス中のSF6 の回収率
には、極めて高いレベルが要求されるが、図6の分離回
収装置によって、そのような極めて高レベルの回収率を
実現することは不可能である。
【0022】また、高レベルの回収率だけでなく、ガス
を効率良く回収することも、経済的側面のみならず、環
境の面からも極めて重要である。すなわち、温室効果ガ
スであるSF6 ガスを回収するために多量の電力(エネ
ルギー)を必要とするようでは、逆に多量のCO2 ガス
を排出して温室効果を助長することになり、本末転倒で
ある。したがって、ガス回収の効率は極めて重要な要素
である。
【0023】これに関連して、ガス回収に必要な時間を
短くすることも強く要求される。すなわち、変電所での
ガス回収の目的の一つに機器の内部点検があることはす
でに述べたが、この内部点検時に機器は停止状態にあ
る。ところが電力の安定供給を達成するためには、この
ような機器の停止時間を極力短くしなければならない。
したがって、内部点検に必要な時間はできる限り短くす
ることが要求され、迅速なガス回収が要求される。
【0024】以上述べたように、混合ガスを使用する技
術だけでなく、混合ガスからSF6ガスを回収する技術
に関しても大きな課題が存在しており、混合ガスの絶縁
特性に関する研究と同時にその回収法を早急に確立する
ことが必要になっている。したがって、本発明の目的
は、SF6 ガスを含む混合ガスからSF6 ガスを極めて
高い回収率でしかも効率良く迅速に回収可能なガス分離
回収装置を提供することである。
【0025】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載のガス分
離回収装置は、SF6 ガスの回収率を向上し、大気に放
出するガス中へのSF6 残留濃度を低くするための基本
構成を有するものである。すなわち、請求項1のガス分
離回収装置は、SF6 ガスを含む混合ガスからSF6 ガ
スを分離して液化回収し、他のガスを外部に放出するガ
ス分離回収装置において、吸着筒、液化装置、非吸着ガ
スパージ系統、および吸着ガス放出系統を有することを
特徴とするものである。
【0026】このガス分離回収装置において、吸着筒
は、SF6 ガスをほとんど吸着せず、SF6 以外のガス
を吸着する吸着剤を充填してなり、吸着過程と脱着(再
生)過程を繰返すように構成される。そして、液化装置
は、吸着筒の吸着過程において吸着剤に吸着されずに吸
着筒を通過したガスを液化回収する装置である。また、
非吸着ガスパージ系統は、吸着筒の吸着過程と脱着(再
生)過程の繰返し中における、吸着過程後の脱着(再
生)過程の前に、吸着筒内にパージガスを注入して吸着
筒内のガスを追い出すように構成される。さらに、吸着
ガス放出系統は、吸着筒の脱着(再生)過程において吸
着剤に吸着されたガスとパージガスを外部に放出するよ
うに構成される。
【0027】なお、このガス分離回収装置において、吸
着筒に充填される吸着剤は、一般的には、大気中に存在
する窒素ガスや酸素ガスのような自然ガスを吸着しやす
く、SF6 ガスは吸着しない種類の吸着剤である。ま
た、液化装置は、一般的には、コンプレッサや熱交換機
等から構成される。そしてまた、パージガスは、一般的
には、ガスタンク内に保存されており、配管を介して吸
着筒内に注入される。
【0028】以上のような構成を有する請求項1のガス
分離回収装置において、吸着剤を充填した吸着筒は、窒
素ガスや酸素ガスなどの自然ガスの吸着過程と脱着(再
生)過程を繰返し、半永久的に動作する。吸着過程にお
いて吸着されないで吸着筒を通過したガスは、液化装置
に送られて液化回収され、一方、脱着(再生)過程にあ
る吸着筒のガスは大気に放出される。
【0029】この脱着(再生)過程に入る直前に、ガス
タンクに保存した自然ガス(パージガス)により、吸着
過程に吸着剤間等の間隙に充満したSF6 ガスを含む混
合ガスを追い出し、脱着(再生)過程では吸着されたガ
スと追い出しに使用したパージガスのみを大気に放出す
ることができる。これにより、大気に放出するガス中の
SF6 ガス残留濃度を極めて低くすることができ、SF
6 ガスの高い回収率を実現できる。
【0030】請求項2〜5に記載の各ガス分離回収装置
は、請求項1のガス分離回収装置において使用するパー
ジガスの種類を特定したものであり、パージガスとして
請求項2は乾燥圧縮空気、請求項3は窒素ガス、請求項
4と5は吸着筒に吸着されたガスを使用する構成であ
る。
【0031】このうち、請求項4、5の各ガス分離回収
装置は、吸着筒の脱着(再生)過程において吸着剤に吸
着されたガスの一部を保存する吸着ガス保存系統をさら
に有する。これらの装置の非吸着ガスパージ系統は、パ
ージガスとしてガスタンクに保存されたガスを使用し、
吸着ガス放出系統は、吸着筒の脱着(再生)過程におい
て吸着剤に吸着されたガスのうち、ガスタンクに保存さ
れた一部を除く残りのガスを外部に放出するように構成
される。
【0032】特に、請求項4の装置は、吸着ガスの一部
を保存する際に、圧縮機を用いて吸着筒のガス圧より高
いガス圧でガスタンクに保存し、ガスタンクに保存され
た高圧のガスをそのままパージガスとして使用するよう
に構成される。これに対して、請求項5の装置は、ガス
タンクに保存されたガスを圧縮機を用いて吸着筒に注入
するように構成される。
【0033】以上のような構成を有する請求項2〜5の
各ガス分離回収装置の基本的な作用、効果は、請求項1
に関して記載した前述の作用、効果と同様であり、互い
に共通である。ただし、請求項2〜5の各々の構成には
一長一短があり、使用条件によって最適な構成は異な
る。
【0034】請求項6に記載のガス分離回収装置は、請
求項1〜5のガス分離回収装置において使用する吸着剤
の種類を特定したものである。すなわち、請求項6に記
載のガス分離回収装置は、吸着剤として、細孔径が公称
4Å〜5Åのゼオライトを用いることを特徴とするもの
である。この構成によれば、大気中に存在する自然ガス
を吸着しやすく、SF6 ガスを吸着しない吸着剤を、容
易に実現することができる。この点について以下に説明
する。
【0035】すなわち、本発明者らの計算によれば、窒
素ガスや酸素ガスなどの自然ガスの最小分子径は3Å程
度であるのに対し、SF6 ガスの最小分子径は5.5Å
程度である。したがって、吸着点に通ずる孔の有効直径
が4Å〜5Åの吸着剤を選べば、自然ガスのみが吸着点
に到達して吸着されるが、SF6 ガスは吸着剤の内部に
入れず吸着されない。このように、SF6 ガスが吸着剤
の内部に入れないことから、吸着筒の内部にSF6 ガス
が充満できるスペースが極めて限定されるため、パージ
ガスによる吸着筒内の充満ガスの追い出しを、少ないパ
ージガス量で極めて効率的に実施できる。
【0036】請求項7〜10に記載の各ガス分離回収装
置は、請求項1〜5のガス分離回収装置において、パー
ジガスを注入する位置、吸着筒から追い出されたガスの
行き先、あるいは外部に放出するためのガスを吸着筒か
ら取り入れる位置を特定することにより、吸着筒内のガ
スの追い出しに関する具体的な手法を特定したものであ
る。
【0037】請求項7に記載のガス分離回収装置は、パ
ージガスを注入する位置と吸着筒からガスを取り入れる
位置を特定したものである。すなわち、請求項7のガス
分離回収装置は、吸着ガス放出系統によって外部に放出
するためのガスを吸着筒内から取り入れるためのガス配
管と、パージガスを吸着筒内に注入するためのガス配管
の両方が、吸着筒内に処理すべき混合ガスを送り込むた
めのガス配管に接続されることを特徴とするものであ
る。
【0038】この構成によれば、パージガス注入口を処
理すべき混合ガスの吸着筒への入口のガス配管に接続し
ているので、SF6 ガス濃度の低い入口付近にパージガ
スを注入することができるため、パージガスの注入によ
り吸着筒からSF6 ガスを最も効率的に追い出すことが
できる。
【0039】特に、パージガス注入口と吸着ガス取り入
れ口の両方を処理すべき混合ガスの吸着筒への入口のガ
ス配管に接続しているので、脱着(再生)過程において
吸着ガスを大気に放出する際に、吸着筒内の一部のガス
を残すことにより、残されるガスは、SF6 ガス濃度の
高いガスとなる。すなわち、吸着筒内のSF6 ガス濃度
の低いガスだけが大気中に放出され、吸着筒内の出口付
近のSF6 ガス濃度の最も高いガスについては、吸着筒
内に確実に残すことができる。したがって、省電力で高
効率かつ迅速な回収が可能となり、しかも、大気中に放
出するSF6 ガス量を極めて少なくすることができる。
【0040】請求項8、9に記載のガス分離回収装置
は、吸着筒から追い出されたガスの行き先を特定したも
のである。すなわち、請求項8のガス分離回収装置は、
液化装置により液化されなかったガスを導入して再び吸
着筒に戻し入れるためのバッファタンクをさらに有し、
パージガスの注入によって吸着筒から追い出されたガス
がバッファタンクに導入されるように構成されたことを
特徴とするものである。また、請求項9のガス分離回収
装置は、吸着筒が2本用意され、一方の吸着筒が吸着過
程にある場合に他方の吸着筒が脱着(再生)過程となる
シーケンスを有し、パージガスの注入によって一方の吸
着筒から追い出されたガスが他方の吸着筒に移されるよ
うに構成されたことを特徴とするものである。
【0041】以上のような構成を有する請求項8、9の
ガス分離回収装置によれば、パージガスにより追い出さ
れたSF6 ガス濃度の低いガスが、バッファタンクに移
された後、再び吸着筒に送り込まれるか(請求項8)、
あるいは吸着過程に入ろうとしている他方の吸着筒に送
り込まれる(請求項9)。したがって、パージガスによ
り追い出されたSF6 ガス濃度の低いガスを液化装置に
よって液化する必要がなく、液化装置に対する負担を軽
減できるため、高効率でのSF6 ガス分離回収が可能と
なる。
【0042】請求項10に記載のガス分離回収装置は、
パージガスを注入する位置と吸着筒からガスを取り入れ
る位置を特定し、その位置関係を特定したものであり、
次のような特徴を有するものである。すなわち、吸着筒
にガスを送り込むための導入用ガス配管の異なる位置
に、吸着ガス放出系統によって外部に放出するためのガ
スを吸着筒内から取り入れるためのガス配管と、パージ
ガスを吸着筒内に注入するためのガス配管とがそれぞれ
接続されることにより、導入用ガス配管に吸着筒に関す
る遠近関係を持つ近位置接続点と遠位置接続点がそれぞ
れ形成される。そして、導入用ガス配管における近位置
接続点と遠位置接続点の間にガスバルブが設けられる。
【0043】この構成によれば、ガス配管内に充満した
ガスをパージガスによって完全に追い出すことができ
る。すなわち、ガス配管内に充満しているガスをパージ
ガスで追い出した後、パージガス注入口より吸着筒に近
いガスバルブを閉にして脱着(再生)過程に移行するこ
とにより、ガス配管に充満している混合ガスを完全に除
去することができ、大気に放出するガス中のSF6 ガス
濃度をさらに低くすることができる。
【0044】請求項11に記載のガス分離回収装置は、
請求項1〜5のガス分離回収装置において、吸着筒から
ガスを追い出すための構成を特定したものである。すな
わち、このガス分離回収装置は、パージガスの注入によ
って吸着筒からガスを追い出すためのガス配管に、吸着
筒のガス圧がある一定値以上となった場合に開状態とな
るガスバルブが設けられたことを特徴とするものであ
る。
【0045】この構成によれば、パージガスの注入によ
り、パージガスや吸着筒内の吸着剤に吸着しているガス
と吸着筒に充満しているガスとの混合を生じることなし
に、吸着筒に充満しているガスのみを効率よく追い出す
ことができる。すなわち、吸着筒からのガスの出口に設
けた圧力バルブにより、吸着筒内のガス圧がある値に保
たれるため、パージガスの流入によりガス圧が高くなっ
た分だけ吸着筒内からガスが逃げていく。したがって、
パージガス注入前から吸着していたガスは脱着すること
がなく、吸着筒に充満しているガスのみを効率よく追い
出すことができるため、回収の効率を高め、大気に放出
するガス中のSF9 ガス濃度をさらに低くすることがで
きる。
【0046】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)図1は、本
発明による第1の実施の形態として、特に、請求項1〜
3、6、7の発明を適用したガス分離回収装置の一つの
形態を示す構成図である。図中において、すでに動作を
説明した従来技術による図5のガス回収装置や図6の分
離回収装置と同一構成要素には同一記号を付して説明を
省略する。
【0047】(構成)図1に示すように、第1の実施の
形態において、ガス絶縁開閉装置等のガス絶縁機器1に
接続されたガス分離回収装置は、コンプレッサ2a,2
b、パージガスタンク3a、吸着筒4、バッファタンク
5、熱交換器6、SF6 タンク7、貯蔵タンク8、真空
ポンプ9a,9b、フィルタ10、各種のバルブ11〜
13、および放気装置14等から構成されている。構成
の詳細は次の通りである。
【0048】まず、ガス絶縁機器1には、フィルタ10
を介してガス配管21により2つの連動バルブ12a,
12bが接続されている。第1の連動バルブ12aは、
減圧バルブ11aを介して混合ガス導入用のガスバルブ
13aに接続されており、第2の連動バルブ12bは、
真空ポンプ9aおよびコンプレッサ2aを介して同じガ
スバルブ13aに接続されている。この混合ガス導入用
のガスバルブ13aは、混合ガス導入用のガス配管22
によって吸着筒4の一方の端部に接続されており、これ
らの混合ガス導入用のガスバルブ13a、ガス配管22
を介して吸着筒4内に混合ガスが送り込まれるようにな
っている。
【0049】そして、混合ガス導入用のガス配管22に
は、ガスバルブ13bを介して、真空ポンプ9bおよび
放気装置14からなる吸着ガス放出系統31が接続され
ている。また、この混合ガス導入用のガス配管22にお
ける混合ガス導入用のガスバルブ13aと吸着ガス放出
系統31側のガスバルブ13bの間には、減圧バルブ1
1bおよびパージガスタンク3aからなる非吸着ガスパ
ージ系統32が接続されている。なお、パージガスタン
ク3aには、パージガスとして市販の乾燥圧縮空気もし
くは窒素ガスが貯蔵されている。
【0050】吸着筒4には、吸着剤として、回収しよう
としているSF6 ガスを吸着せず、他の自然ガス(例え
ば窒素ガスや酸素ガス)を吸着しやすい吸着剤が充填さ
れている。例えば、細孔径が公称4Åのゼオライト、も
しくは、細孔径が公称5Åのゼオライトが充填されてい
る。吸着筒4の他方の端部には、ガスバルブ13cを含
む通過ガス送出用のガス配管23を介して、コンプレッ
サ2b、熱交換器6からなる液化装置33が接続されて
おり、熱交換器6には、液化したSF6 ガスを保存する
SF6 タンク7が接続されている。
【0051】SF6 タンク7の上部には、ガスバルブ1
3dを介してガス配管24の一端が接続されており、こ
のガス配管24の他端は、バッファタンク5およびガス
バルブ13eを介してフィルタ10と連動バルブ12
a,12bを接続するガス配管21に接続されている。
また、SF6 タンク7の下部には、ガスバルブ13を介
して貯蔵タンク8が接続されている。
【0052】(動作原理)以上の構成を有する第1の実
施の形態に係るガス分離回収装置の動作原理は次の通り
である。
【0053】(1) 吸着過程 まず、ガス絶縁機器1の混合ガスは、フィルタ10を通
過した後、図5に示す従来技術によるガス回収装置と同
様の連動バルブ12a,12bを利用したガスライン技
術により、開状態にある混合ガス導入用のガスバルブ1
3aを通して吸着筒4に送られる。このとき、吸着筒4
と吸着ガス放出系統31との間のガスバルブ13bを閉
じ、吸着筒4と液化装置33との間のガスバルブ13c
を開くことにより、吸着筒4に送られたガスは、ガスバ
ルブ13cを通して送り出される。この場合、吸着筒4
には、自然ガスを吸着しやすくSF6 ガスを吸着しない
吸着剤が装填されており、吸着筒4に送り込まれた混合
ガスのうち自然ガスのみが吸着されるため、吸着筒4か
ら送り出されるガスは、SF6 ガス濃度が高いガスとな
る。
【0054】(2) 液化回収過程 そして、吸着筒4からガスバルブ13cを通過して送り
出されたガスは、コンプレッサ2bにより圧縮され、熱
交換器6により冷却されて液化し、SF6 タンク7に保
存される。この場合、前述したように、コンプレッサ2
bにより圧縮されるガスは、SF6 ガス濃度が高くなっ
ているため、低い圧縮圧力で液化することができる。液
化したSF6 ガスは、SF6 タンク7の下部から貯蔵タ
ンク8に移され、純粋な液化SF6 が得られる。
【0055】(3) 混合ガス閉ループ 一方、SF6 タンク7の上部には、液化しなかったガス
が滞留するが、この滞留ガスには吸着筒4において吸着
しきれなかった自然ガスも含まれている。この滞留ガス
は、ガスバルブ13dを通してバッファタンク5に送ら
れた後、さらにガス配管21に送られて、開状態にある
混合ガス導入用のガスバルブ13aを通して吸着筒4に
送られる。このように、混合ガスの通路は、ガス配管2
1から吸着筒4、液化装置33、およびバッファタンク
5を介して再びガス配管21に至る閉ループを形成して
いる。
【0056】(4) ガスパージ過程 吸着筒4に混合ガスを送り続けて吸着過程を継続する
と、最終的に、吸着筒4はもはや自然ガスを吸着しきれ
ない状態となる。このような状態になった時点あるいは
その前の時点で、混合ガス導入用のガスバルブ13aを
閉じて吸着筒4の吸着過程を終了する。この状態で非吸
着ガスパージ系統32の減圧バルブ11bを開とし、パ
ージガスタンク3aにパージガスとして貯蔵された乾燥
圧縮空気もしくは窒素ガスを吸着筒4に送り込み、吸着
剤間や吸着剤とタンク間等の間隙や各ガス配管に残留し
ているガスを追い出す。なお、一般に市販されている乾
燥圧縮空気や窒素ガスはかなりの高圧であり、吸着筒4
の通常運転時の圧力よりかなり高い。したがって、この
ガス分離回収装置においては、パージガスタンク3aと
吸着筒4の間に設けた減圧バルブ11bにより、吸着筒
4内の圧力が高くなり過ぎないように調整している。
【0057】(5) 脱着(再生)・ガス放出過程 その後、非吸着ガスパージ系統32の減圧バルブ11
b、および吸着筒4と液化装置33との間のガスバルブ
13cを閉じ、吸着ガス放出系統31の真空ポンプ9b
を動作させてこの真空ポンプ9bと吸着筒4の間のガス
バルブ13bを開く。この一連の操作により、吸着筒4
に吸着されたガスが脱着して放気装置14から大気中に
放出されるとともに、吸着筒4に充填された吸着剤が再
生されて再び自然ガスを吸着できる状態になる。
【0058】ここで、発明者らの計算によれば、窒素ガ
スや酸素ガスなどの自然ガスの最小分子径は3Å程度で
あるのに対し、SF6 ガスの最小分子径は5.5Å程度
である。したがって、前述したように、吸着点に通ずる
孔の有効直径が4Åもしくは5Åの吸着剤を選ぶことに
より、自然ガスのみが吸着点に到達して吸着される一方
で、SF6 ガスは吸着剤の内部に入れず吸着されない。
【0059】(作用・効果)以上のような第1の実施の
形態に係るガス分離回収装置によれば、次のような作用
・効果が得られる。まず、混合ガスを循環させるための
コンプレッサ2aの圧力は高くても数気圧程度であるの
に対し、SF6 ガスを液化するためには純粋なSF6 ガ
スといえども常温で2MPa以上の圧力が必要となり、
混合ガスではさらに高い圧縮能力のコンプレッサが必要
となる。したがって、仮に混合ガスをそのまま圧縮する
場合には、液化装置33のコンプレッサ2bは混合ガス
循環用のコンプレッサ2aに比較して格段に大きな電力
を必要とする。
【0060】これに対し、本実施の形態において、コン
プレッサ2bにより圧縮されるガスは、吸着筒4によっ
てSF6 以外のガスを取り除かれたガスであり、SF6
ガス濃度が極めて高くなっていることから、コンプレッ
サ2bとしては、純粋なSF6 ガスを液化する場合と同
程度の圧縮能力を持つコンプレッサを使用することがで
きる。すなわち、純粋なSF6 ガスを液化するために必
要な2MPaに近い圧縮圧力で液化装置33のコンプレ
ッサ2bを動作させることができるため、SF6 ガスの
回収のための電力消費量を極力少なくすることができ
る。
【0061】一方、大気に放出する窒素ガス中に含まれ
るSF6 ガス量は、地球環境の観点から極力少なくする
必要がある。SF6 ガスの地球温暖化指数は二酸化炭素
ガスの24000倍といわれていることから、大気に放
出するガスにSF6 ガスが含まれている場合の等価的な
電力消費量は、他の機器に必要な電力とは比較にならな
いほど大きいといえる。
【0062】これに対して、本実施の形態においては、
吸着筒4内に吸着されないで充満しているSF6 ガス
を、効率よく、市販の安価でかつ自然の大気中に豊富に
存在するガスによって置換えることができる。そのた
め、吸着筒4を脱着(再生)過程に移し、吸着されたガ
スを大気中に放出する際、SF6 ガスの残留濃度を極め
て低くすることができる。
【0063】また、本実施の形態においては、吸着筒4
内の吸着されないで充満しているSF6 ガスを追い出す
ためのパージガスとして、乾燥圧縮空気や窒素ガスを利
用している。これらのガスは、最も安価に、しかも多量
に入手できることから、手軽に利用できる。ただし、大
気中に存在する主要ガスである窒素ガスと酸素ガスを比
較した場合に、吸着剤であるゼオライトは、窒素ガスを
より吸着しやすい。したがって、窒素ガスをパージガス
として利用すれば、このガスが脱着(再生)過程におい
て完全に大気に放出されず、吸着筒4内に残ったとして
も、その後の処理はより効率的に実施できる。
【0064】そしてまた、吸着剤に関しては、吸着点に
通ずる孔の有効直径(細孔径)が4Åもしくは5Åの吸
着剤を利用することにより、自然ガスのみが吸着点に到
達して吸着される一方で、SF6 ガスは吸着剤の内部に
入れず吸着されない。このように、SF6 ガスが吸着剤
の内部に入れないことから、吸着筒4の内部にSF6ガ
スが充満できるスペースは、吸着剤間や吸着剤とタンク
壁間等のわずかな間隙に限られ、その体積が極めて少な
くなる。したがって、パージガスによる充満ガスの追い
出しを、少ないパージガス量で極めて効率的に実施でき
る。
【0065】さらに、本実施の形態においては、非吸着
ガスパージ系統32のパージガス注入口を、処理すべき
混合ガスの吸着筒4への入口となるガス配管22に接続
しているので、SF6 ガス濃度の低い入口付近にパージ
ガスを注入することができるため、パージガスの注入に
より吸着筒4からSF6 ガスを最も効率的に追い出すこ
とができる。この点について以下に説明する。
【0066】すなわち、吸着筒4の吸着過程において、
吸着筒4内のSF6 ガス濃度は混合ガスの入口付近で最
も少なく、出口付近で最大となる。この場合、本実施の
形態に係るガス分離回収装置においては、非吸着ガスパ
ージ系統32のパージガス注入口を、処理すべき混合ガ
スの吸着筒4への入口となるガス配管22に接続してい
るため、SF6 ガス濃度の低い入口付近にパージガスを
注入することができる。そして、このように、SF6 ガ
ス濃度の低い入口付近にパージガスを注入することによ
り、吸着筒からSF6 ガスを最も効率的に追い出すこと
ができる。
【0067】特に、本実施の形態においては、非吸着ガ
スパージ系統32のパージガス注入口と吸着ガス放出系
統31の吸着ガス取り入れ口の両方を、処理すべき混合
混合ガスの吸着筒4への入口となるガス配管22に接続
しているので、吸着筒4内の出口付近のSF6 ガス濃度
の最も高いガスを吸着筒4内に残すことができるため、
大気中に放出するSF6 ガス量を極めて少なくすること
ができる。この点について以下に説明する。
【0068】まず、吸着ガス放出系統31の吸着ガス取
り入れ口に関しては、吸着ガスを大気中に放出する際、
吸着筒4内が完全に真空となるまで真空ポンプ9bを動
作させる限り、吸着ガス取り入れ口をどこに接続しても
差はない。しかしながら、ガス回収の総合的な効率を考
えた場合、吸着筒4内が完全な真空になるまで脱着(再
生)過程を実施するのは、得策ではない。吸着筒4内に
一部のガスが残る程度に排気する方が、省電力で高効率
かつ迅速な回収が可能となる。
【0069】そして、このように吸着筒4内に一部のガ
スを残す場合には、大気中に放出されるSF6 ガス量を
少なくするために、吸着筒4の出口付近に存在している
SF6 ガス濃度の高いガスが残ることが望ましい。この
場合、本実施の形態に係るガス分離回収装置において
は、吸着ガス放出系統31の吸着ガス取り入れ口を、処
理すべき混合ガスの吸着筒4への入口となるガス配管2
2に接続しているため、SF6 ガス濃度の低い入口側か
らガスを取り入れる一方で、吸着筒4の出口付近に存在
していたSF6 ガス濃度の高いガスを吸着筒4内に残す
ことができる。
【0070】さらに、吸着筒4内にパージガスを注入す
る過程においても、前述したようなパージガス注入口の
配置により、パージガスが吸着筒4の入口から注入され
るため、SF6 ガス濃度は入口付近でより低くなり、出
口付近でより高くなる。そのため、吸着ガス取り入れ口
とパージガス注入口の配置による相乗効果により、吸着
筒4内のSF6 ガス濃度の低いガスだけが大気中に放出
され、吸着筒4内の出口付近のSF6 ガス濃度の最も高
いガスについては、吸着筒4内に確実に残すことができ
る。すなわち、大気中に放出されるSF6 ガス量を極め
て少なくすることができる。
【0071】以上のように、本実施の形態に係るガス分
離回収装置によれば、混合ガス中のSF6 ガスを、電力
消費量を極めて低く抑えながら、高効率かつ迅速に回収
可能であり、しかも大気に放出するSF6 ガス量を極め
て少なくすることができる。また、ガスを気体の状態の
ままで保管するための大型のタンクや、液化圧力を下げ
るための大型の冷却設備等が不要であるため、装置構成
が大型化することもない。
【0072】(第2の実施の形態)図2は、本発明によ
る第2の実施の形態として、特に、請求項1、4、5の
発明を適用したガス分離回収装置の一つの形態を示す構
成図である。このガス分離回収装置は、一部の構成を除
けば、前述した第1の実施の形態に係る図1のガス分離
回収装置と同様の構成を有するため、図1のガス分離回
収装置と同一構成要素には同一記号を付して説明を省略
する。
【0073】(構成)図2に示すように、第2の実施の
形態においては、非吸着ガスパージ系統32の構成が、
第1の実施の形態と異なる。まず、パージガスタンク3
b内には、パージガスとして、自然ガスではなく、吸着
筒4に吸着されたガスの一部が保存されるようになって
いる。そして、混合ガス導入用のガス配管22における
混合ガス導入用のガスバルブ13aと吸着ガス放出系統
31側のガスバルブ13bの間には、ガスバルブ13f
を介して、コンプレッサ2c、ガスバルブ13g、およ
びパージガスタンク3bからなる非吸着ガスパージ系統
32が接続されている。ここで、コンプレッサ2cのガ
ス圧縮方向は、パージガスタンク3bに圧縮ガスを送り
込む方向、あるいは吸着筒4に圧縮ガスを送り込む方向
のいずれかとされる。なお、他の部分については前述し
た第1の実施の形態と全く同様に構成されている。
【0074】(動作原理)以上の構成を有する第2の実
施の形態に係るガス分離回収装置の動作原理は、非吸着
ガスパージ系統32に関連する部分を除けば、前述した
第1の実施の形態と同様であるため、以下には、本実施
の形態に係るガス分離回収装置に特徴的な動作原理につ
いてのみ説明する。なお、本実施の形態に係るガス分離
回収装置の動作原理は、非吸着ガスパージ系統32のコ
ンプレッサ2cのガス圧縮方向に応じて異なるため、こ
こではまず、コンプレッサ2cのガス圧縮方向を、パー
ジガスタンク3bに圧縮ガスを送り込む方向とした場合
の動作原理について説明する。
【0075】吸着筒4が脱着(再生)過程にある時、す
なわち、混合ガス導入用のガスバルブ13aと、吸着筒
4と液化装置33との間のガスバルブ13cを閉じた後
には、吸着ガス放出系統31の真空ポンプ9bを動作さ
せ、ガスバルブ13bを開いて吸着されたガスを大気に
放出するが、この場合に、本実施の形態においては、次
のようにして、吸着ガスの一部をパージガスタンク3b
に保存する。
【0076】すなわち、以上のような脱着(再生)過程
の開始と同時に、もしくは、この過程の直前に、非吸着
ガスパージ系統32のコンプレッサ2cを動作させると
ともに、このコンプレッサ2cの両側のガスバルブ13
f,13gを開くことにより、吸着ガスの一部が圧縮さ
れ、パージガスタンク3bに高圧(吸着筒のガス圧より
高いガス圧)で保存される。
【0077】そして、パージガスタンク3bがある一定
の圧力に到達した時点でガスバルブ13f,13gを閉
じるとともに、コンプレッサ2cの動作を停止する。一
方、吸着ガス放出系統31の真空ポンプ9bは動作を続
け、吸着筒4の吸着ガスを大気に放出する。十分に脱着
が進行した時点で、ガスバルブ13bを閉じて真空ポン
プ9bを停止し、脱着(再生)過程を終了する。
【0078】この後、再びガスバルブ13a,13cを
開いて吸着過程に移行する。この吸着過程が終了した
時、混合ガス導入用のガスバルブ13aを閉じ、非吸着
ガスパージ系統32のガスバルブ13f,13gを開け
ば、パージガスタンク3bに圧縮保存されていたガスに
より吸着筒4内に充満しているガスを追い出すことがで
きる。この後、再びガスバルブ13a,13cを閉じ
て、すでに説明したパージガスタンク3bへの吸着筒4
の吸着ガスの圧縮保存と大気への放出からなる脱着(再
生)過程に移行する。
【0079】一方、非吸着ガスパージ系統32のコンプ
レッサ2cのガス圧縮方向を、吸着筒4に圧縮ガスを送
り込む方向とした場合には、パージガスタンク3bへの
ガスの保存は吸着筒4から自然に移行するガス圧とな
る。そして、吸着筒4に充満したガスを追い出すガスパ
ージ過程の際にコンプレッサ2bを動作させ、パージガ
スタンク3bのガスを圧縮して吸着筒4に送り込む。
【0080】(作用・効果)以上のような第2の実施の
形態に係るガス分離回収装置によれば、前述した第1の
実施の形態の作用・効果に加えて、さらに、次のような
作用・効果が得られる。まず、本実施の形態では、パー
ジガスとして処理すべき混合ガス中に含まれている自然
ガスを利用するため、特別なガスを用意する必要はな
い。したがって、例えば、現地でのガス処理中にパージ
ガスが空になるようなことはなく、常に安定した動作を
行うことができる。このことは、SF6 ガス回収作業に
おいて、SF6 ガスの大気への放出量を極力少なくする
上で極めて重要な要素である。
【0081】なぜならば、このような作業では人為的な
要素がかなり強く現れるからである。すなわち、パージ
ガスが消費尽くされた後でも、本ガス分離回収装置は機
能的な支障なくSF6 ガスを回収する。ただし、大気に
放出するガス中のSF6 ガス残留濃度が高くなるのみで
ある。現地の作業で、パージガスの予備が手元にない場
合、SF6 ガスの残留濃度が高いままガス回収を実施し
てしまう可能性も存在することになる。本実施の形態を
採用すれば、このような可能性がなくなり、常に高い回
収率でSF6 ガスを回収することができる。
【0082】そして、吸着ガスの一部を圧縮して高圧保
存する場合には、脱着(再生)過程の長い時間の間にゆ
っくりとパージガスをパージガスタンク3bに充気すれ
ば良いことから、コンプレッサ2cは、それ程多くの電
力を必要としない。一方、パージガス注入時にガスを圧
縮する場合には、吸着筒4のガス圧よりわずかに高いガ
ス圧までパージガスタンク3bのガスを圧縮すれば十分
であることから、この場合にもコンプレッサ2cは大き
な電力を必要としない。したがって、コンプレッサ2c
によるガス圧縮方向に関わらず、電力消費量を低く抑え
ることができる。
【0083】(第3の実施の形態)図3は、本発明によ
る第3の実施の形態として、特に、請求項1〜3、8、
11の発明を適用したガス分離回収装置の一つの形態を
示す構成図である。このガス分離回収装置は、一部の構
成を除けば、前述した第1の実施の形態に係る図1のガ
ス分離回収装置と同様の構成を有するため、図1のガス
分離回収装置と同一構成要素には同一記号を付して説明
を省略する。
【0084】(構成)図3に示すように、第3の実施の
形態においては、液化装置33のコンプレッサ2bとガ
スバルブ13cとの間に、ガスバルブ13hが設けられ
ており、通過ガス送出用のガス配管23は、このガスバ
ルブ13hとガスバルブ13cとを接続している。そし
て、この通過ガス送出用のガス配管23と、SF6 タン
ク7の上部とバッファタンク5を結ぶガス配管24との
間が、定ガス圧バルブ15を含むガス配管25により接
続されている。ここでは、定ガス圧バルブを、「このバ
ルブに印加されるガス圧が大気圧に対してある一定の圧
力以上になった時に開となるバルブ」と定義する。
【0085】(動作原理)以上の構成を有する第3の実
施の形態に係るガス分離回収装置の動作原理は、吸着筒
4とバッファタンク5との間を定ガス圧バルブ15を介
して接続した構成に関連する部分を除けば、前述した第
1の実施の形態と同様であるため、以下には、本実施の
形態に係るガス分離回収装置に特徴的な動作原理につい
てのみ説明する。
【0086】吸着過程が終了した時点で、混合ガス導入
用のガスバルブ13aを閉じ、減圧バルブ11bを開い
てパージガスタンク3aに貯蔵されている乾燥圧縮空気
もしくは窒素ガスを注入し、吸着筒4に充満しているガ
スを追い出すガスパージ過程に入るが、この時、吸着筒
4の出口側のガスバルブ13cは開のままとするが、液
化装置33側のガスバルブ13hは閉とし、定ガス圧バ
ルブ15は開とする。また、SF6 タンク7側のガスバ
ルブ13dは閉とする。
【0087】定ガス圧バルブ15は、すでに定義した通
り、吸着筒4内のガス圧が、大気圧に比較してある一定
値以上となった時にのみ開となる動作をするものである
が、パージガスタンク3aからのガスが吸着筒4に流入
してガス圧がわずかに高くなった時に初めて開となるよ
うに調節しておく。その結果、吸着筒4に充満していた
ガスは、パージガスタンク3aに貯えられたガスにより
追い出されて、定ガス圧バルブ15を通り、バッファタ
ンク5に移動する。このように、定ガス圧バルブ15を
用いることにより、吸着筒4内のガス圧は大きく変動す
ることなく、ほぼ一定に保たれる。
【0088】(作用・効果)以上のような第3の実施の
形態に係るガス分離回収装置によれば、前述した第1の
実施の形態の作用・効果に加えて、さらに、次のような
作用・効果が得られる。まず、パージガスにより追い出
されたガスは、通常の吸着過程により吸着筒4から排出
されるガスに比較してSF6 ガス濃度は低い。したがっ
て、このガスをそのまま液化装置33に送り込むことは
液化装置33の負担増になりかねず、これは、液化装置
3の無駄な電力の消費につながる可能性がある。
【0089】これに対して、本実施の形態においては、
コンプレッサ2b、熱交換器6等から構成される液化装
置33により液化されなかったガスを吸着筒4に戻し入
れるために設置されたバッファタンク5を活用し、この
バッファタンク5内に吸着筒4から追い出されたガスを
移している。この方式により、吸着筒4から追い出され
たガスは、再び吸着筒4によって処理されるので、前記
のような問題を解決できる。
【0090】この場合、定ガス圧バルブ15は、パージ
ガスや吸着筒4内の吸着剤に吸着しているガスと、吸着
筒4に充満しているガスが混ざることなく、吸着筒4に
充満しているガスのみを効率よく追い出すことを可能に
している。すなわち、吸着筒4にパージガスを流入させ
る際に、追い出し口が大きく開き、吸着筒4内のガス圧
が低下した場合には、吸着していたガスが脱着して充満
していたガスと混ざり、このガスが追い出されることに
なるため、出口付近に吸着されていたガスが主に出てし
まい、充満していたガスがうまく追い出されなくなる。
【0091】本実施の形態においては、このような不都
合な現象を回避することができる。すなわち、本実施の
形態においては、定ガス圧バルブ15により、吸着筒4
の出口からのガス流出量を調節して吸着筒4内のガス圧
をある一定値に保つことができるため、パージガスの流
入によりガス圧が高くなった分だけ吸着筒4内からガス
が逃げていく。したがって、パージガスの流入前から吸
着していたガスが脱着することはなく、充満していたガ
スのみを効率よく追い出すことができる。したがって、
SF6 ガスの回収率をさらに高め、大気中に放出するガ
ス中のSF9 ガス濃度をさらに低くすることができる。
【0092】(第4の実施の形態)図4は、本発明によ
る第4の実施の形態として、特に、請求項1〜3、9〜
11の発明を適用したガス分離回収装置の一つの形態を
示す構成図である。このガス分離回収装置は、一部の構
成を除けば、前述した第1の実施の形態に係る図1のガ
ス分離回収装置と同様の構成を有するため、図1のガス
分離回収装置と同一構成要素には同一記号を付して説明
を省略する。
【0093】(構成)図4に示すように、第4の実施の
形態においては、同一容量の2本の吸着筒4,4´が、
混合ガス導入先切換用のガスバルブ13i,13i´と
通過ガス送出先切換用のガスバルブ13c,13c´に
より並列に接続されている。この場合、混合ガス導入用
のガス配管22は、混合ガス導入先切換用のガスバルブ
13i,13i´間を接続するとともに、これらのガス
バルブ13i,13i´と混合ガス導入用のガスバルブ
13aを接続している。
【0094】そして、真空ポンプ9bおよび放気装置1
4からなる吸着ガス放出系統31は、混合ガス導入用の
ガス配管22における混合ガス導入先切換用のガスバル
ブ13iと吸着筒4の間、およびガスバルブ13i´と
吸着筒4´の間に、個別のガスバルブ13b,13b´
を介して接続されている。また、減圧バルブ11bおよ
びパージガスタンク3aからなる非吸着ガスパージ系統
32は、混合ガス導入用のガス配管22における混合ガ
ス導入先切換用のガスバルブ13i,13i´と混合ガ
ス導入用のガスバルブ13aとの間に接続されている。
【0095】したがって、ガス配管22における吸着ガ
ス放出系統31の接続点と、非吸着ガスパージ系統32
の接続点の間に、混合ガス導入先切換用のガスバルブ1
3b,13b´が設置されている。また、通過ガス送出
先切換用のガスバルブ13c,13c´と液化装置33
のコンプレッサ2bとの間には、ガスバルブ13hが設
けられており、通過ガス送出用のガス配管23は、通過
ガス送出先切換用のガスバルブ13c,13c´間を接
続するとともに、これらのガスバルブ13c,13c´
と液化装置33側のガスバルブ13hを接続している。
この通過ガス送出用のガス配管23において、一方の吸
着筒4と通過ガス送出先切換用のガスバルブ13cとを
接続するガス配管26、および他方の吸着筒4´とガス
バルブ13c´とを接続するガス配管26´は、定ガス
圧バルブ15を含むガス配管27により接続されてい
る。
【0096】(動作原理)以上の構成を有する第4の実
施の形態に係るガス分離回収装置の動作原理は、2本の
吸着筒4、4´とその周辺の接続構成に関連する部分を
除けば、前述した第1の実施の形態と同様であるため、
以下には、本実施の形態に係るガス分離回収装置に特徴
的な動作原理についてのみ説明する。
【0097】吸着筒4と吸着筒4´は、互いに吸着過程
と脱着(再生)過程を交互に繰返し、一方の吸着筒が吸
着過程にある時、他方の吸着筒は脱着(再生)過程とさ
れる。例えば、ガスバルブ13a,13i,13c,1
3hを開として、一方の吸着筒4を吸着過程とする場合
には、ガスバルブ13i´,13c´,13bを閉じ、
ガスバルブ13b´を開として、吸着ガス放出系統31
の真空ポンプ9bを動作させることにより、他方の吸着
筒4´は脱着(再生)過程となる。この場合には、一方
の吸着筒4の吸着が十分に進行した時点で、この吸着筒
4の吸着課程、および、他方の吸着筒4´の脱着(再
生)過程を終わらせるために、ガスバルブ13a,13
c,13b´を閉じる。
【0098】この後、非吸着ガスパージ系統32の減圧
バルブ11bを開とするとともに、定ガス圧バルブ15
を開とすることにより、パージガスタンク3a内のガス
が吸着筒4に注入され、吸着筒4内の圧力がわずかに高
くなると、定ガス圧バルブ15が動作して、一方の吸着
筒4に充満していたガスが他方の吸着筒4´に追い出さ
れる。充満していたガスが十分に追い出された後、減圧
バルブ11b、ガスバルブ13i、および定ガス圧バル
ブ15を閉とし、ガスバルブ13bを開として、一方の
吸着筒4を脱着(再生)過程に移行すると同時に、ガス
バルブ13a,13i´13c´を開とすることで他方
の吸着筒4´を吸着過程に移行する。
【0099】なお、このように、2本の吸着筒4,4´
の動作を組み合わせた場合、すなわち、装置全体として
考えた場合に、この装置は、吸着過程と脱着(再生)過
程の両方を同時に実施しており、液化装置33のコンプ
レッサ2bと吸着ガス放出系統31の真空ポンプ9bは
連続的に運転されることになる。
【0100】次に、上記の一連の動作中において、減圧
バルブ11bを開とし、パージガスタンク3aからのガ
スを吸着筒4に注入する過程から、次の吸着筒4の脱着
(再生)過程への移行に特に注目する。パージガスタン
ク3aからのガスを吸着筒4に注入する過程において
は、混合ガス導入用のガスバルブ13aは閉とし、混合
ガス導入先切換用のガスバルブ13iは開とする。この
後実施される脱着(再生)過程は、この状態からガスバ
ルブ13iを閉じることにより実施される。
【0101】(作用・効果)以上のような第4の実施の
形態に係るガス分離回収装置によれば、前述した第1の
実施の形態の作用・効果に加えて、さらに、次のような
作用・効果が得られる。まず、本実施の形態において
は、吸着筒を2本用意することで装置全体としてみれば
定常的な運転が可能となる。そのため、コンプレッサ2
a,2b、および、真空ポンプ9a,9bの運転、停止
の繰返しが不要となり、常に動作状態を維持することが
できることから、電力消費量の少ない効率的な運転が可
能となる。
【0102】また、本実施の形態においては、パージガ
スにより一方の吸着筒から追い出された充満ガスは、こ
れから吸着過程に入ろうとしている他方の吸着筒に移さ
れる。この他方の吸着筒は、常にその内部が真空に近い
状態になっており、各過程の繰返し毎に同一の条件にて
パージガスを吸着筒に注入することができることから、
再現性の良い動作が可能となる。さらに、パージガスを
注入する吸着筒と充満ガスを移す先の吸着筒の内部圧力
の差が大きいことから、定ガス圧バルブ15の動作を安
定にすることができる。したがって、本実施の形態によ
り、再現性よく、しかも充満していたガスを効率的に追
い出すことができるようになり、回収の効率を高め、大
気に放出するガス中のSF6 ガス濃度をさらに低くする
ことができる。
【0103】そしてまた、本実施の形態によれば、パー
ジガスによって吸着筒内に充満しているガスを追い出し
た後、パージガスの通路のより吸着筒に近い方のバルブ
13iを閉にして脱着(再生)過程に移行することによ
り、吸着ガス放出系統31が接続されている側のガス配
管に充満している混合ガスを完全に除去することができ
る。したがって、大気中に放出するガス中のSF6 ガス
濃度をさらに低くすることができる。
【0104】(他の実施の形態)なお、本発明は、前述
した実施の形態に限定されるものではなく、当業者であ
れば、本発明の範囲内で他にも多種多様な形態を実施可
能である。例えば、前述した第1〜第4の実施の形態を
適宜組み合わせることも可能である。さらに、本発明に
おいて、吸着筒、液化装置、非吸着ガスパージ系統、吸
着ガス放出系統、および各部を構成し、あるいは接続す
るガス配管や各種ガスバルブなどの各部の具体的な構成
は自由に選択可能である。すなわち、本発明は、混合ガ
ス中のSF6 以外の自然ガスを吸着筒によって吸着し
て、SF6 ガス濃度の高いガスを取り出して液化回収す
るとともに、吸着筒内に吸着されずに残ったガスをパー
ジガスによって追い出した後、自然ガスのみを大気中に
放出することができる限り、その具体的な構成は自由に
選択可能である。
【0105】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
吸着剤の特異な吸着作用によりSF6ガスと自然ガスの
混合物を効率よく分離することができるため、SF6 ガ
ス濃度の高いガスを容易に液化することができるように
なる。その結果、回収後の保管体積を大幅に小さくで
き、安全にかつ高純度に維持できる。また、SF6 ガス
回収時に大気に放出する自然ガス中にSF6 ガスを含ま
ないようにすることが比較的容易であることから、効率
的にSF6 ガスを回収できる。したがって、本発明によ
れば、SF6 ガスを含む混合ガスからSF6 ガスを極め
て高い回収率でしかも効率良く迅速に回収可能なガス分
離回収装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の実施の形態に係るガス
分離回収装置を示す構成図である。
【図2】本発明を適用した第2の実施の形態に係るガス
分離回収装置を示す構成図である。
【図3】本発明を適用した第3の実施の形態に係るガス
分離回収装置を示す構成図である。
【図4】本発明を適用した第4の実施の形態に係るガス
分離回収装置を示す構成図である。
【図5】従来のガス回収装置の一例を示す構成図であ
る。
【図6】空気から酸素を分離回収する従来の分離回収装
置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
1…ガス絶縁機器 2…コンプレッサ 3…パージガスタンク 4…吸着筒 5…バッファタンク 6…熱交換器 7…SF6 タンク 8…貯蔵タンク 9…真空ポンプ 10…フィルタ 11…減圧バルブ 12…連動バルブ 13…ガスバルブ 14…放気装置 15…定ガス圧バルブ 21〜27…ガス配管 31…液化装置 32…吸着ガス放出系統 33…非吸着ガスパージ系統
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D012 CA20 CB12 CD03 CD07 CE03 CF03 CF04 CF05 CG05 CH06 CJ02 CJ05 5G017 DD07 5G028 GG05 GG24

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SF6 ガスを含む混合ガスからSF6 ガ
    スを分離して液化回収し、他のガスを外部に放出するガ
    ス分離回収装置において、 SF6 ガスをほとんど吸着せず、SF6 以外のガスを吸
    着する吸着剤を充填してなり、吸着過程と脱着(再生)
    過程を繰返す吸着筒と、 前記吸着筒の吸着過程において前記吸着剤に吸着されず
    に吸着筒を通過したガスを液化回収する液化装置と、 前記吸着筒の吸着過程と脱着(再生)過程の繰返し中に
    おける、吸着過程後の脱着(再生)過程の前に、前記吸
    着筒内にパージガスを注入して吸着筒内のガスを追い出
    す非吸着ガスパージ系統と、 前記吸着筒の脱着(再生)過程において前記吸着剤に吸
    着されたガスと前記パージガスを外部に放出する吸着ガ
    ス放出系統とを有することを特徴とするガス分離回収装
    置。
  2. 【請求項2】 前記非吸着ガスパージ系統は、前記パー
    ジガスとして乾燥圧縮空気を使用するように構成された
    ことを特徴とする請求項1に記載のガス分離回収装置。
  3. 【請求項3】 前記非吸着ガスパージ系統は、前記パー
    ジガスとして窒素ガスを使用するように構成されたこと
    を特徴とする請求項1に記載のガス分離回収装置。
  4. 【請求項4】 前記吸着筒の脱着(再生)過程において
    前記吸着剤に吸着されたガスの一部を圧縮機を用いて前
    記吸着筒のガス圧より高いガス圧でガスタンクに保存す
    る吸着ガス保存系統をさらに有し、 前記非吸着ガスパージ系統は、前記パージガスとして前
    記ガスタンクに保存された高圧のガスを使用し、 前記吸着ガス放出系統は、前記吸着筒の脱着(再生)過
    程において前記吸着剤に吸着されたガスのうち、前記ガ
    スタンクに保存された一部を除く残りのガスを外部に放
    出するように構成されたことを特徴とする請求項1に記
    載のガス分離回収装置。
  5. 【請求項5】 前記吸着筒の脱着(再生)過程において
    前記吸着剤に吸着されたガスの一部をガスタンクに保存
    する吸着ガス保存系統をさらに有し、 前記非吸着ガスパージ系統は、前記パージガスとして前
    記ガスタンクに保存されたガスを使用し、この保存ガス
    を圧縮機を用いて前記吸着筒に注入するように構成さ
    れ、 前記吸着ガス放出系統は、前記吸着筒の脱着(再生)過
    程において前記吸着剤に吸着されたガスのうち、前記ガ
    スタンクに保存された一部を除く残りのガスを外部に放
    出するように構成されたことを特徴とする請求項1に記
    載のガス分離回収装置。
  6. 【請求項6】 前記吸着剤として、細孔径が公称4Å〜
    5Åのゼオライトを用いることを特徴とする請求項1〜
    5のいずれか1項に記載のガス分離回収装置。
  7. 【請求項7】 前記吸着ガス放出系統によって外部に放
    出するためのガスを前記吸着筒内から取り入れるための
    ガス配管と、前記パージガスを前記吸着筒内に注入する
    ためのガス配管の両方が、前記吸着筒内に処理すべき混
    合ガスを送り込むためのガス配管に接続されることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス分離
    回収装置。
  8. 【請求項8】 前記液化装置により液化されなかったガ
    スを導入して再び前記吸着筒に戻し入れるためのバッフ
    ァタンクをさらに有し、 前記パージガスの注入によって前記吸着筒から追い出さ
    れたガスが前記バッファタンクに導入されるように構成
    されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に
    記載のガス分離回収装置。
  9. 【請求項9】 前記吸着筒は2本用意され、一方の吸着
    筒が吸着過程にある場合に他方の吸着筒が脱着(再生)
    過程となるシーケンスを有し、 前記パージガスの注入によって一方の吸着筒から追い出
    されたガスが他方の吸着筒に移されるように構成された
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    ガス分離回収装置。
  10. 【請求項10】 前記吸着筒にガスを送り込むための導
    入用ガス配管の異なる位置に、前記吸着ガス放出系統に
    よって外部に放出するためのガスを前記吸着筒内から取
    り入れるためのガス配管と、前記パージガスを前記吸着
    筒内に注入するためのガス配管とがそれぞれ接続される
    ことにより、前記導入用ガス配管に前記吸着筒に関する
    遠近関係を持つ近位置接続点と遠位置接続点がそれぞれ
    形成され、前記導入用ガス配管における前記近位置接続
    点と遠位置接続点の間にガスバルブが設けられたことを
    特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス分
    離回収装置。
  11. 【請求項11】 前記パージガスの注入によって前記吸
    着筒からガスを追い出すためのガス配管に、吸着筒のガ
    ス圧がある一定値以上となった場合に開状態となるガス
    バルブが設けられたことを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれか1項に記載のガス分離回収装置。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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EP3146531B1 (en) 2014-05-20 2018-03-21 ABB Schweiz AG Electrical apparatus for the generation, transmission, distribution and/or usage of electrical energy and method for recovering a substance from an insulation medium of such an apparatus
CN114146528A (zh) * 2021-12-31 2022-03-08 南京亿碳科技有限公司 一种降低co2回收系统温室co2气体排放装置

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