JP2001140005A - 希土類系磁石用合金粉の製造方法およびその方法により製造された合金粉 - Google Patents

希土類系磁石用合金粉の製造方法およびその方法により製造された合金粉

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JP2001140005A
JP2001140005A JP32356799A JP32356799A JP2001140005A JP 2001140005 A JP2001140005 A JP 2001140005A JP 32356799 A JP32356799 A JP 32356799A JP 32356799 A JP32356799 A JP 32356799A JP 2001140005 A JP2001140005 A JP 2001140005A
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Katsuya Kase
克也 加瀬
Kaname Takeya
要 武谷
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ほぼSm2Fe17単相でほぼ球状で粒径
が1〜5μm程度のシャープな粒度分布を有する合金粉
末と、製造可能な方法の提供を課題とする。 【解決手段】 希土類金属酸化物又は金属塩と遷移金属
塩とを、希土類金属:遷移金属=1:3〜1:5とし、
アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩の少なくとも1種
を、総量で、希土類金属酸化物又は金属塩と遷移金属塩
の総重量の1〜10倍量加え、アルカリ土類金属やアル
カリ土類金属水素化物を、還元に必要な化学量諭量の
1.2〜2.0倍量加え、加熱溶解し、800〜100
0℃に保持して還元拡散反応を起こさせ、得られた反応
生成物を水中崩壊させ、概ね球状粒子を主とし、その大
多数の粒子径が1〜5μmであり、粒子径1μm以上の
全合金粉末において、これに含まれる粒子径5μm以上
の全合金粉末の割合が個数基準で2.5%以下である希
土類系磁石原料合金粉末を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、希土類系磁石原料合金
粉末およびその製造方法、特に詳しくはSm−Fe−N
系磁石用に好適なSm−Fe合金粉末およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、希土類元素・遷移金属元素の金属
間化合物は磁性材料、水素吸蔵合金などの機能性材料と
して急激に利用開発が進んでいる。中でもSm−Fe−
N系磁石合金粉は従来のボンド磁石用Sm−Co合金粉
に比して大きな保磁力を有するため、ボンド磁石用合金
粉末としての開発が進められている。
【0003】Sm−Fe−N系合金の磁石特性発現の中
心となるのはSm2Fe17x(x=2〜3)相である
が、通常この相はSm2Fe17金属間化合物を窒化処理
して得られる。Sm2Fe17合金の工業的製造方法とし
ては、大きく分けて溶解鋳造法と直接還元拡散法とがあ
る。溶解鋳造法では構成成分となる金属または母合金を
目的組成になるように配合し、溶解し、鋳造して鋳塊を
得て、これを粗粉砕する。
【0004】直接還元拡散法では、希土類酸化物粉末、
Fe等の金属粉末に、アルカリ土類金属などの還元剤を
混合し、加熱し、原料酸化物を還元して拡散反応によっ
て合金化し、更に得られた反応生成物を水で洗浄処理し
て不要成分を除去して合金粉末を得る。
【0005】この直接還元拡散法には、安価な希土類酸
化物を使用できること、粒子レベルの局所反応により合
金化するため均一な組成の合金が得られること、合金は
粉末として得られるので磁石化工程での粉砕処理の負荷
が少ないこと、などの利点が挙げられる。
【0006】上記のようにして得られた合金粉末に水素
を少量含む窒素、アンモニアなどで窒化処理を行いSm
2Fe17x(x=2〜3)を生成させた後、ボンド磁石
用合金粉末に通した粒径に微粉砕する。なお、このよう
にして得られた合金粉末をボンド磁石とするには、合金
粉末と樹脂などとを混合し、成形し、着磁する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】保磁力および角形性の
良好な高性能のSm−Fe−N系磁石用合金粉末の性状
としては以下のような点が要求される。第1に原料とな
るSm−Fe合金粉末はそのほとんどがSm2Fe17
属間化合物からなりα−Fe相、Sm相、Sm2Fe17
以外の金属間化合物相を含まないことが重要である。
【0008】第2に合金粉末形状としては表面に凹凸の
ない球状であることが望ましい。これはSm2Fe17x
(x:2〜3)合金粉表面の逆磁区生成部位を極力減ら
すことが保磁力向上のために有効であり、またボンド磁
石製造時に良好な充填性、成形性をえるために必墓であ
る。
【0009】第3に合金粉末の粒度としては直径1〜5
μm程度で、粒度分布がシャープであることが望まし
い。これはSm2Fe17x(x:2〜3)の単磁区粒子
の臨界径は2〜3μm程度であり、磁石化工程中でのS
2Fe17x(x=2〜3)粒子の配向度を向上させる
ためには粒子直径として1〜5μm程度が適しているた
めである。
【0010】しかし、溶解鋳造法で得られるSm2Fe
17合金粉では、冷却時にFe相などが初晶として析出す
るためSm2Fe17単相を得ることは非常に困難であ
り、粉砕過程で発生する高Sm相微粉末を含む。これに
対して直接還元拡散法で得られるSm2Fe17金属間化
合物は均質である。
【0011】これらの合金を窒化後に微粉砕するが、粒
度100〜数10μm程度の粗い粒子を微粉砕すること
により上記のような表面に凹凸のない球状で1〜5μm
程度の粒度の合金粉末を得ることは難しい。仮に窒化前
のSm2Fe17合金の段階で、ほぼSm2Fe17単相
でほぼ球状な1〜5μm程度の合金粉末が得られると、
窒化後に微粉砕工程を経ることなく、あるいは解砕する
程度の弱い粉砕で、上記のような高性能なSm− Fe
−N系磁石用合金粉末が容易に製造されることになる
が、未だそのような技術は開示されていない。
【0012】本発明は上記状況に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、従来の製造方法では困難であった、
ほぼSm2Fe17単相でほぼ球状で粒径が1〜5μm程
度のシャープな粒度分布を有する合金粉末を、容易、か
つ低コストで製造可能な方法等の提供である。
【0013】
【問題を解決するための手段】発明者らは鋭意研究をか
さねた結果、加熱溶解させた希土類金属塩−遷移金属塩
融液中で目的とする遷移金属を還元し微小な球状粉を生
成させると共に、同時に生成する希土穎金属と拡散反応
を起こさせることで、目的とする金属間化合物の球状粒
子を得ることができることを見いだし、本発明に至っ
た。
【0014】即ち上記目的を達成するための本発明は、
希土類金属(但し、希土類金属はYを含む希土類元素の
うち少なくとも1種)酸化物又は塩と、遷移金属塩と、
アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩の少なくとも1種
と、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属水酸化物の少
なくとも1種とを配合して原料混合物を得、この原料混
合物を不活性雰囲気中において加熱溶解させて還元反応
を起こさせ、反応生成物を得る第1工程と、この第1工
程より得られた反応生成物を水中崩壊させて不要なアル
カリ土類金属酸化物、アルカリ金属塩又はアルカリ土類
金属塩、未反応のアルカリ土類金属等を洗浄除去し、乾
燥する第2工程とからなり、第1工程における原料混合
物は、希土類金属酸化物又は金属塩と遷移金属塩とを、
希土類金属:遷移金属=1:3〜1:5とし、アルカリ
金属塩、アルカリ土類金属塩の少なくとも1種を、総量
で、希土類金属酸化物又は金属塩と遷移金属塩の総重量
の1〜10倍量加え、アルカリ土類金属、アルカリ土類
金属水素化物のうち少なくとも1種を、希土類金属酸化
物又は金属塩及び遷移金属塩の還元に必要な化学量諭量
の1.2〜2.0倍量加え、調合されたものであり、該
原料混合物を加熱溶解し、還元拡散反応を起こさせるに
際して、800〜1000℃に保持することを特徴とす
るものである。
【0015】そして、本第2の発明は、本第1の発明の
方法により作成された希土類系磁石原料合金粉末であ
り、概ね球状粒子を主とし、その大多数の粒子径が1〜
5μmであり、粒子径1μm以上の全合金粉末におい
て、これに含まれる粒子径5μm以上の全合金粉末の割
合が個数基準で2.5%以下であることを特徴とする希
土類系磁石原料合金粉末である。
【0016】なお、希土類酸化物又は金属塩として、酸
化物又は塩化物のいずれかもしくは両方を用い、遷移金
属塩として遷移金属塩化物を用い、アルカリ金属塩、ア
ルカリ土類金属塩の少なくとも1種としてアルカリ金属
塩化物又はアルカリ土類金属塩化物の少なくとも1種を
用いることが本発明の実施上好ましく、希土穎として主
にSm、遷移金属としてFeを用いた場合により好まし
い希土類系磁石原料合金粉末が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明において、反応を均一に進
めるためには加熱溶融時に均一な溶融塩浴が形成されて
いることが望ましいが、還元により生成する希土類金属
が溶融塩浴に対して少しでも溶解度を有していれば支障
はない。このことから希土類金属酸化物又は金属塩とし
ては酸化物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩などを用いること
ができる。
【0018】また遷移金属塩としては塩化物、硫酸塩、
硝酸塩などを用いることができるが、加熱溶解時にアル
カリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と混合塩浴を生成す
ることが必要であり、使用するアルカリ金属塩又はアル
カリ土類金属塩により選択することが好ましい。
【0019】アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と
しては塩化物、硫酸塩、硝酸塩など、またはその混合塩
を使用できるが、所望の温度範囲で溶融塩浴を形成する
系であることが必要である。
【0020】アルカリ土類金属やアルカリ土類金属水素
化物は熱力学的に希土類金属イオンや遷移金属イオンを
還元できるもので、かつアルカリ金属塩やアルカリ土類
金属塩を還元しないものが望ましく、アルカリ金属塩や
アルカリ土類金属塩と同じ元素の金属や水素化物を用い
ることが望ましい。
【0021】本発明において、原料混合物を得るための
量関係は以下のように考える。希土類金属酸化物又は金
属塩と遷移金属塩との配合比は、金属換算で目的金属間
化合物の比とすれば良い。例えば、本発明の目的物であ
る磁石材料用とすれば、Sm 2Fe17、Nd2Fe14B,
Pr2Fe14Bなどがあり、歩留などを考慮すると希土
類金属:還移金属を1:3〜1:5とすることが好まし
い。
【0022】アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩の量
は、希土類金属酸化物又は金属塩と遷移金属塩との混合
物総重量の1〜10倍量とすると好ましい結果が得られ
る。アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩の添加量が1
倍量未満では生成した合金粒子同士の融着が起こりやす
く、目的とする粒径の合金粉末が得られず、10倍量を
越えるとアルカリ土類金属やアルカリ土類金属水素化物
による希土類金属イオンや遷移金属イオンの還元が進み
にくい。
【0023】アルカリ土類金属やアルカリ土類金属水素
化物の量は、希土類金属イオンと遷移金属イオンの還元
に必要とされる化学量論量の1.2〜2.0倍が望まし
い。この値より少ないと希土類金属イオンや遷移金属イ
オンが完全に還元されない場合があり、2.0倍より多
くしても更なる効果は得られず、経済性を損なうことに
なるため望ましくない。
【0024】不活性雰囲気中での加熱は、原料混合物中
の少な<とも遷移金属塩と、アルカリ金属塩やアルカリ
土類金属塩とが溶解する温度まであげなければならな
い。これらが溶解した状態にて還元拡散反応を起こさせ
る必要があるからであり、この温度は各原料の融点から
容易に決定することができる。しかし、この温度が極度
に高い場合は生成した合金粒子の融着が起こりやすく目
的とする粒径の合金粉末を得ることが困難になる。また
この温度が極端に低いと、希土類金属と遷移金属の拡散
反応が進み難く、目的の金属間化合物を得ることが困難
になる。特に原料混合物を得るに際して、例えば、Sm
23、SmCl3、FeCl2、FeCl3、CaCl2
Ca等を用いた場合には、800℃以上でFeCl2
FeCl3とCaCl2は混合塩浴を形成し、1000℃
以上では粗大な金属間化合物粒子が生成しやすくなるた
め、加熱溶解反応温度は800〜1000℃とすること
が好ましい。尚、保持時間、冷却速度は生成する金属粉
粒子の粒度、結晶子径などに影響するが、用いる原材料
とも密接に関連するため一義的に定めることはできな
い。原料等を適正な条件とした場合、保持時間は1〜2
4時間、冷却速度は100℃/min以下とすると良好
な結果が得られるがこれに限定されるものでもない。
【0025】本発明において、概ね球状粒子を主とし、
その大多数の粒子径が1〜5μmのものとするのは、1
ミクロン未満の合金粉の比率や、5μmを越える合金粉
の比率が高くなると磁石特性が、その度合いに応じて低
下するためである。
【0026】本発明の方法に従っても、原理的に粒径1
μm以下の粒子の発生を0とすることはできない。しか
し、その発生量は比較的少なく、得られる磁石の特性に
対してさほど大きな影響を引き起こさない。これと比較
して粒子径5μm以上の合金粉末の影響は無視できな
い。本発明の合金粉は、この粒子径5μm以上の全合金
粉末の割合が個数基準で2.5%以下であり、得られる
磁石特性が好ましいものとなる。
【0027】本発明において希土類系磁石原料合金粉末
の粒子径は次のように評価・定義される、合金粉末を樹
脂に埋め込み、切断し、得た断面を研磨し、光学顕微鏡
や走査型電子顕微鏡などを用いて、1試料につき1視野
以上の写真を撮影する。得られた写真に、同一の合金粉
末に重ならないように、平行な複数本の直線を引く。こ
のとき1個の合金粉末と直線との交点間距離をもって、
その合金粉末の粒子径と定籔する。粒度分布の評価にあ
たっては。100個以上、好ましくば200個以上の合
金粉末について粒子径を測定する。得られたデータから
粒子径1μm未潜の合金粉末のものを除き、1μm以上
の合金粉末について粒子径の対数に対する個数基準の粒
度分布を作成し、5μm以上の合金粉末の含有率を求め
る。
【0028】本発明の合金粉末は従来のものに比べて粒
度が細かいため、窒化工程において窒素が拡散するため
に必要とされる時間が短縮されるので磁石粉末の生産性
が向上する。また窒化後の微粉砕工程が不要、または簡
略化できる。
【0029】
【実施例1】本発明の利点、及び技術的進歩を以下の実
施例で具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は以下
の実施例によって制限されるものではない。 (実施例1)Sm23粉末(純度99%)14.5g、
無水FeCl2粉末(純度99%)85.0g、無水C
aCl2粉末(純度99%)149.3g、金属Ca穎
粒(純度99%以上)47.8gを乾燥窒素雰囲気下で
混合して原料混合物を得た。この原料混合物を鉄製ルツ
ボ中に充填し、さらにステンレス製反応容器中に装入し
Ar気流中にて900℃で4.5時間加熱し、反応を終
了させた。
【0030】反応生成物を容器中にて冷却し、その後反
応生成物を取り出し水中に投入し、崩壊させ、水洗して
不用なCaCl2及ぴCa分を除去した。得られた粉末
スラリーをアルコール中に投入し、固液分離し、真空乾
燥して合金粉末を得た。
【0031】得られた合金粉末は、Sm24.8重量
%、残部Feからなる合金粉末であった。合金粉末をS
EM観察したところ、粒径3〜5μm程度の球状粒子が
認められた。またEDXによる粒子表面の組成分析で
は、合金粉末の成分分析結果とほぼ同様の結果が得ら
れ、均質な組成の球状粉であることが確認された。
【0032】またこれらの合金粉末を樹脂に埋め込み端
面を研磨した後。SEMを用いて2000倍の写真を3
視野ずつ撮影した。次に6μm間隔で複数本の直線を写
真上に引き、先に述べた方法で合金粉末の粒子径を測定
した。得られたデータから1μm以上のものを抽出し、
その粒径の対数に対する個数基準粒度分布を求めた。抽
出した合金粉末粒子数は200個以上である。このデー
タから5μm以上の粒子径を持つ合金粉末の含有率を調
べたところ2.3%だった。
【0033】づいてこの粉末を管状炉中に装填し、アン
モニア分圧0.35のアンモニアー水素混合ガス雰囲気
中465℃で3時間加熱(窒化処理)し、その後アルゴ
ンガス中465℃で1時間加熱(アニール処理)してS
m−Fe−N系合金粉末を得た。この合金粉末をX線解
析したところ、菱面体晶系のTh2Zn17型結晶構造の
回折線(Sm2Fe173金眉間化合物)を示した。また
このSm−Fe−N系合金粉末の磁気特性を、微粉砕せ
ずにそのまま振動試料型磁力計(VSM)で測定したと
ころ保磁力Hc11.2kOe角形性Hk3.9kOe
と良好な値を示した。
【0034】(実施例2)無水SmCl3粉末(純度9
9%)21.3g、無水FeCl2粉末(純度99%)
85.0g、無水CaCl2粉末(純度99%)15
9.6g、金属Ca顆粒(純度99%以上)34.4g
を乾燥窒素雰囲気下で混合した。以下実施例1と同様
に、加熱溶解し還元拡散反応を起こさせ、湿式処理し合
金粉末を得た。得られた合金粉末は、Sm24.5重量
%、残部Feからなる合金粉末であった。合金粉末をS
EM観察したところ、一部に2次凝集を含む粒径1〜5
μm程度の球状粒子が認められた。またEDXlこよる
粒子表面の組成分析では、合金粉末の成分分析結果とほ
ぼ同様の結果が得られ、均質な組成の球状粉であること
が確認された。
【0035】また実施例1と同様の評価方法で5μm以
上の粒子径を持つ合金粉末の含有率を調べたところ1.
8%だった。ついで実施例1と同様にして窒化しSm−
Fe−N系合金粉末を得た。
【0036】この合金粉末をX線解析したところ、菱面
体晶系のTh2Zn17型結晶構造の回折線(Sm2Fe17
3金属間化合物)を示した。次にこの合金粉末を旋回
型ジェットミルにかけて凝集を解砕した。得られた合金
粉末の磁気特性を振動試料型磁力計(VSM)で測定し
たところ保磁力Hc13.2kOe角形性Hk4.2k
Oeと良好だった。
【0037】(比較例1)金属Sm塊13.5g、金属
Fe塊37.5gをルツボに装入し、Ar雰囲気下、高
周波加熱炉中、1300℃で加熱溶解した。これを水冷
用銅製鋳型に鋳込み、冷却して鋳塊とした後、ジョーク
ラッシャーにて150メッシュアンダーまで粉砕した。
得られた合金粉末は、Sm25.1%、残部Feからな
る合金粉末であった。次いで、この粉末を管状炉中に装
填し、アンモニア分圧0.35のアンモニア−水素混合
ガス雰囲気中465℃で6時間加熱(窒化処理)し。そ
の後アルゴンガス中465℃で2時間加熱(アニール処
理)しSm−Fe−N系合金粉末を得た。
【0038】この合金粉末をX線解析したところ、菱面
体晶系のTh2Zn17型結晶構造の回折線(Sm2Fe17
3金属間化合物)を示した。これを振励ボールミルに
て3μm程度に微粉砕した。この合金粉末をSEM視察
したところ、針状、板状等、様々な形状の粒子からな
り、また0.nμmの微細な高Sm金属間化合物相が多
量に存在した。得られた合金粉末の磁気特性を振動試料
型磁力計(VSM)で測定したところ保磁力Hc8.4
kOe角形性Hk2.7kOoと低い値を示した。
【0039】(比較例2)Sm23粉末(純度99%)
15.0g,Fe粉末(純度99%)37.5g、無水
CaCl2粉末(純度99%)3.0g、金属Ca顆粒
(純度99%以上)7.5gを乾燥窒素雰囲気下で混合
した。以下実施例1と同様に、加熱溶解して還元拡散反
応を行い、引き続き湿式処理し合金粉末を得た。本条件
は、無水CaCl2の量が本発明の条件より低く外れる
ものである。得られた合金粉末は、Sm24.9重量
%、残部Feからなる合金粉末であった。合金粉末をS
EM饒察したところ、一部に2次凝集を含む粒径1〜数
100μm程度の多様な形状の粒子が認められた。また
EDXによる粒子表面の組成分析では、合金粉末の成分
分析結果とほぼ同様の結果が得られ、均質な組成の球状
粉であることが宿認された。また実施例1と同様の評価
方法で5μm以上の粒子径を持つ合金粉末の含有率を調
べたところ42.8%であった。
【0040】ついで実施例1と同様にして窒化しSm−
Fe−N系合金粉末を得た。この合金粉末をX線解析し
たところ。菱面体晶系のTh2Zn17型結晶構造の回折
線(Sm2Fe173金属間化合物)を示した。次にこの
合金粉末を旋回型ジェットミルにかけて微粉砕した。得
られた合金粉末の磁気特性を振動試料型磁力計(VS
M)で測定したところ保磁力Hc9.2kOe角形性H
k3.4kOeと低い値を示した。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、粒子のほとんどが概ね
球状であり、その大多数の粒子径が1〜5μmである希
土類系磁石原料合金粉末を、容易に低コストで得ること
ができる。またこの合金粉末を使ったSm−Fe−N系
磁石用合金粉末は窒化時間が短縮され、微粉砕工程が簡
略化されることから工業的価値が大きい。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】希土類金属(但し、希土類金属はYを含む
    希土類元素のうち少なくとも1種)酸化物又は塩と、遷
    移金属塩と、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩の少
    なくとも1種と、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属
    水素化物の少なくとも1種とを配合して原料混合物を
    得、この原料混合物を不活性雰囲気中において加熱溶解
    させて還元反応を起こさせ、反応生成物を得る第1工程
    と、この第1工程より得られた反応生成物を水中崩壊さ
    せて不要なアルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属塩又
    はアルカリ土類金属塩、未反応のアルカリ土類金属等を
    洗浄除去し、乾燥する第2工程とからなり、 第1工程における原料混合物は、希土類金属酸化物又は
    金属塩と遷移金属塩とを、希土類金属:遷移金属=1:
    3〜1:5とし、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩
    の少なくとも1種を、総量で、希土類金属酸化物又は金
    属塩と遷移金属塩の総重量の1〜10倍量加え、アルカ
    リ土類金属、アルカリ土類金属水素化物のうち少なくと
    も1種を、希土類金属酸化物又は金属塩及び遷移金属塩
    の還元に必要な化学量諭量の1.2〜2.0倍量加え、
    調合されたものであり、 該原料混合物を加熱溶解し、還元拡散反応を起こさせる
    に際して、800〜1000℃に保持することを特徴と
    する希土類系磁石用合金粉の製造方法。
  2. 【請求項2】概ね球状粒子を主とし、その大多数の粒子
    径が1〜5μmであり、粒子径1μm以上の全合金粉末
    において、これに含まれる粒子径5μm以上の全合金粉
    末の割合が個数基準で2.5%以下である請求項1記載
    の方法により作成された希土類系磁石用合金粉。
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