JP2001139587A - ルテニウム錯体の製造方法 - Google Patents
ルテニウム錯体の製造方法Info
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Abstract
で利用される光触媒の原料として利用しうる高純度なビ
ピリジン−カルボン酸−ルテニウム錯体二水和物の収率
よい製造方法を提供する。 【解決手段】 3価に純化した塩化ルテニウム(RuC
l3・3H2O)と配位子(L;2,2’−ビピリジン
−4,4’−ジカルボン酸)を有機溶媒中で加熱反応し
てRuL2Cl2・2H2Oを生成させ、次いで、得ら
れた反応生成物を有機溶媒に溶解し、該溶解物をチオシ
アン酸ナトリウムと加熱反応させ、得られた[RuL2
(SCN)2]・2H2Oをアルコール性水酸基を有す
る不溶性架橋高分子から成るゲル濾過担体により精製す
ることを特徴とする一般式(1) 【化1】[RuL2(SCN)2]・2H2O
(1) (上記一般式(1)においてLは、2,2’−ビピリジ
ン−4,4’−ジカルボン酸である)で表わされるルテ
ニウム錯体の製造方法。
Description
酸を配位子とし、チオシアノ基を橋かけ原子団とするル
テニウム錯体二水和物の製造方法に関し、さらに詳しく
は、高純度のシス−ジ(チオシアノ)−N,N−ビス
(2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸)ル
テニウム(II)二水和物、[RuL2(SCN)2]
・2H2O(以下、ビピリジン−カルボン酸−ルテニウ
ム錯体二水和物と略称する。)に関する。
体二水和物は、光増感作用を有する増感色素として有用
な物質であることが知られている。このような光増感作
用を有するビピリジン−カルボン酸−ルテニウム錯体二
水和物は、例えば、太陽電池などの光電変換材料に使用
されている。上記のビピリジン−カルボン酸−ルテニウ
ム錯体二水和物の製造方法としては、例えば、ジャーナ
ル オブ アメリカン ケミカル ソサイティ(J.A
m.Chem.Soc.)、第110巻、第3686〜
3687頁、1988年及びジャーナル オブ アメリ
カン ケミカル ソサイティ(J.Am.Chem.S
oc.)、第115巻、第6382〜6390頁、19
93年に記載されている。上記公知の製法によると、市
販品RuCl3・3H2O(RuCl460〜70重量
%、RuCl330〜40重量%の混合物)を使用し、
第一段階の反応は、N,N−ジメチルホルムアミド中1
53℃の温度で不活性ガス下、加熱還流し、RuL2C
l2・2H2Oを生成する。次いで、上記の生成物溶液
にチオシアン酸ナトリウム溶液を加える。再びアルカリ
性N,N−ジメチルホルムアミド中において温度120
℃で不活性ガス下、加熱還流する。その後、反応精製物
を放冷し、溶媒を除去して生成物を水に溶解し、濾過
後、これにHClO4を加えpH2.5として結晶を析
出させ、該結晶を水、アセトン/ジエチルエーテル
(1:10)、無水ジエチルエーテルを用いて洗浄後、
風乾してビピリジン−カルボン酸−ルテニウム錯体二水
和物の結晶を得る方法が知られている。上記の従来技術
によるビピリジン−カルボン酸−ルテニウム錯体二水和
物の製造方法は、原料として使用する塩化ルテニウムの
純度が低いため、収率悪く、また、光増感色素として用
いる場合、性能の障害となるRuL3が混入し、純度が
向上しないという問題があった。したがって、太陽電池
などの光電変換材料として用いる高純度のビピリジン−
カルボン酸−ルテニウム錯体二水和物の開発が望まれて
いた。
事情の下で、光電気化学電池の増感色素、あるいは光化
学で利用される光触媒の原料として利用しうる高純度な
ビピリジン−カルボン酸−ルテニウム錯体二水和物の収
率よい製造方法を提供することを目的としてなされたも
のである。
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、塩化ルテニウ
ムの結晶を3価に純化したものを原料とし、これに配位
子2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸を遮
光下、有機溶媒中、特定温度で反応させ、得られた反応
生成物にチオシアン酸ナトリウムを遮光下、有機溶媒
中、特定温度で反応させることにより、高純度なビピリ
ジン−カルボン酸−ルテニウム錯体二水和物が得られる
ことを知見して本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明は、3価に純化した塩化ルテニウム(RuCl3
・3H2O)と配位子(L;2,2’−ビピリジン−
4,4’−ジカルボン酸)を有機溶媒中で加熱反応して
RuL2Cl2・2H2Oを生成させ、次いで、得られ
た反応生成物を有機溶媒に溶解し、該溶解物をチオシア
ン酸ナトリウムと加熱反応させ、得られた[RuL
2(SCN)2]・2H2Oをアルコール性水酸基を有
する不溶性架橋高分子から成るゲル濾過担体により精製
することを特徴とする一般式(1)
ン−4,4’−ジカルボン酸である)で表わされるルテ
ニウム錯体の製造方法。また、本発明を実施するための
好ましい実施態様は、(2)アルコール性水酸基を有す
る不溶性架橋高分子から成るゲル濾過担体が親水性ポリ
(メタ)アクリル酸エステル又はポリビニルアルコール
を主体とする半硬質ゲル及び架橋アガロースゲルである
請求項1記載のルテニウム錯体の製造方法。(3)加熱
反応を温度110〜150℃で行うことを特徴とする請
求項1記載のルテニウム錯体の製造方法、(4)加熱反
応を不活性ガスの存在下、遮光して行うことを特徴とす
る請求項1記載のルテニウム錯体の製造方法である。
化ルテニウム(III)は、例えば、市販品RuCl3
・3H2O(RuCl460〜70重量%、RuCl3
30〜40重量%の混合物)を公知の還元方法である水
素中で400℃に加熱して調製することができる。本発
明では、3価に純化した塩化ルテニウム(III)に
2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸を反応
させてRuL2Cl2・2H2Oを生成せしめるが、上
記反応は、遮光し、不活性ガス、例えば、窒素、アルゴ
ン等の雰囲気下で有機溶媒中にて行う。反応温度は、1
10〜150℃で行うのが好ましい。上記反応に用いる
有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムア
ミド(DMF)、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコー
ル、ブチルアルコール、クロロホルムなどが挙げられ
る。上記反応によって得られたRuL2Cl2・2H2
Oは分別し、アセトン等により晶析し、精製し、乾燥を
行う。精製した錯体RuL2Cl2・2H2Oは、再び
DMFに溶解し、アルカリ性下チオシアン酸ナトリウム
と反応させる。この反応も遮光し、不活性ガス、例え
ば、窒素、アルゴン等の雰囲気下、加熱反応して行う。
反応温度は、90〜130℃で行うのが好ましい。上記
の反応により得られた[RuL2(SCN)2]・2H
2O、シス−ジ(チオシアノ)−N,N−ビス(2,
2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウ
ム(II)二水和物は、溶媒を除去して乾燥後、メタノ
ールに溶解、濾過し、充填カラムにアルコール性水酸基
を有する不溶性架橋高分子から成るゲル濾過担体を用い
たゲル濾過法で精製を行う。
架橋高分子から成るゲル濾過担体としては、例えば、親
水性ポリ(メタ)アクリル酸エステル又はポリビニルア
ルコールを主体とする半硬質ゲル及び架橋アガロース等
の親水性ゲル濾過担体が挙げられる。該親水性ゲル濾過
担体は、流通特性を考慮すると多孔質球状のものが好ま
しい。
説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定
されるものではない。
(III)Cl3・3H2Oを3.0g/l及び2,
2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸を5.7g
/lとなるように配合し、遮光したアルゴン雰囲気のも
とで温度110℃〜150℃に保ち、5時間反応させ
る。反応終了後、放冷し、濾過してRuL3を除き、
N,N−ジメチルホルムアミドを留去してからアセトン
を添加して結晶を析出させる。この結晶を濾過し、アセ
トン洗浄を行った後、常温で減圧乾燥してRuL2Cl
2・2H2Oを得た。次いで、上記のRuL2Cl2・
2H2OをN,N−ジメチルホルムアミドに溶解(9.
4g/l)した後、遮光下で0.1N−水酸化ナトリウ
ム水溶液を加え(N,N−ジメチルホルムアミド:0.
1N−水酸化ナトリウム水溶液=3:2)、これにチオ
シアン酸ナトリウム(RuL2Cl2・2H2Oに対し
て10倍モル数)の飽和水溶液を加えてアルゴン雰囲気
中で遮光下、還流しながら6時間反応させた。次いで、
反応液を室温まで冷却し、反応生成物から溶媒を留去し
て乾燥させた後、乾燥物をメタノールに溶解、濾過し、
濾液を別に準備したアルコール性水酸基を有する親水性
ゲル濾過担体[商品名:トヨパール−HW55F、東ソ
ー(株)製品]を充填したカラムに上記のメタノール溶
解溶液を通して不純物を分離し、メタノールを留去して
得た結晶をジエチルエーテルで洗浄後、乾燥して[Ru
L2(SCN)2]・2H2Oを得た。実施例1によっ
て得た[RuL2(SCN)2]・2H2Oの紫外可視
吸収スペクトル測定結果を表1及び図1に示す。316
nm、399nm及び538nmは、1.34×10
−5Mエタノール溶液にて測定した。収率は、次のとお
りであった。 RuL2Cl2・2H2O 92% [RuL2(SCN)2]・2H2O 75% トータルの収率 69%
I)Cl3・3H2Oを3.0g/l及び2,2’−ビ
ピリジン−4,4’−ジカルボン酸を5.7g/lとな
るように配合し、遮光した窒素雰囲気のもとで温度11
0℃〜150℃に保ち、5時間還流を行う。反応終了
後、放冷し、濾過してRuL3を除き、N,N−ジメチ
ルホルムアミドを留去してからアセトンを添加して結晶
を析出させる。この結晶を濾過し、アセトン洗浄を行っ
た後、常温で乾燥してRuL2Cl2・2H2Oを得
た。次いで、上記のRuL2Cl2・2H2OをN,N
−ジメチルホルムアミドに溶解(9.4g/l)した
後、遮光下で0.1N−水酸化ナトリウム水溶液を加え
(N,N−ジメチルホルムアミド:0.1N−水酸化ナ
トリウム水溶液=3:2)、これにチオシアン酸ナトリ
ウム(RuL2Cl2・2H2Oに対して10倍モル
数)の飽和水溶液を加えてアルゴン雰囲気中で遮光下、
還流しながら6時間反応させた。次いで、反応液を室温
まで冷却し、反応生成物から溶媒を留去して乾固させた
後、水に溶解してから希釈した過塩素酸を滴下してpH
2.5として結晶を析出させ、冷蔵庫に一昼夜放置す
る。これを室温に戻した後、濾過して水、アセトン:ジ
エチルエーテル(1:10)で充分洗浄し、さらに無水
ジエチルエーテルで洗浄した後、1時間風乾して[Ru
L2(SCN)2]・2H2Oを得た。
N)2]・2H2Oの紫外可視吸収スペクトル測定結果
を表2及び図2に示す。試料溶液は2.4×10−5M
エタノール溶液にて測定した。収率は、次のとおりであ
った。 RuL2Cl2・2H2O 45% [RuL2(SCN)2]・2H2O 55% トータルの収率 20%
カルボン酸−ルテニウム錯体二水和物を収率よく製造す
ることができる。また、本発明によって製造されたビピ
リジン−カルボン酸−ルテニウム錯体二水和物を二酸化
チタン、酸化すず等の表面に被覆して得た材料は、電気
化学応答が速く安定性に優れているため、光電変換材料
として有効である。
2]・2H2Oを1.34×10−5Mエタノール溶液
として測定した場合の紫外可視吸収スペクトルを示す。
2]・2H2Oを2.4×10−5Mエタノール溶液と
して測定した場合の紫外可視吸収スペクトルを示す。
Claims (4)
- 【請求項1】 3価に純化した塩化ルテニウム(RuC
l3・3H2O)と配位子(L;2,2’−ビピリジン
−4,4’−ジカルボン酸)を有機溶媒中で加熱反応し
てRuL2Cl2・2H2Oを生成させ、次いで、得ら
れた反応生成物を有機溶媒に溶解し、該溶解物をチオシ
アン酸ナトリウムと加熱反応させ、得られた[RuL2
(SCN)2]・2H2Oをアルコール性水酸基を有す
る不溶性架橋高分子から成るゲル濾過担体により精製す
ることを特徴とする 一般式(1) 【化1】 [RuL2(SCN)2]・2H2O (1) (上記一般式(1)においてLは、2,2’−ビピリジ
ン−4,4’−ジカルボン酸である)で表わされるルテ
ニウム錯体の製造方法。 - 【請求項2】アルコール性水酸基を有する不溶性架橋高
分子から成るゲル濾過担体が親水性ポリ(メタ)アクリ
ル酸エステル又はポリビニルアルコールを主体とする半
硬質ゲル及び架橋アガロースゲルである請求項1記載の
ルテニウム錯体の製造方法。 - 【請求項3】加熱反応を温度110〜150℃で行うこ
とを特徴とする請求項1記載のルテニウム錯体の製造方
法。 - 【請求項4】加熱反応を不活性ガスの存在下、遮光して
行うことを特徴とする請求項1記載のルテニウム錯体の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36142999A JP2001139587A (ja) | 1999-11-16 | 1999-11-16 | ルテニウム錯体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36142999A JP2001139587A (ja) | 1999-11-16 | 1999-11-16 | ルテニウム錯体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001139587A true JP2001139587A (ja) | 2001-05-22 |
Family
ID=18473546
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP36142999A Pending JP2001139587A (ja) | 1999-11-16 | 1999-11-16 | ルテニウム錯体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001139587A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100847554B1 (ko) | 2006-11-30 | 2008-07-21 | 한국과학기술연구원 | 시스-디(티오시아나토)-n,n'-비스(2,2'-비피리딜-4,4'-디카르복시산)루테늄(ⅱ)의 개선된 제조방법 |
JP2010241810A (ja) * | 2009-04-01 | 2010-10-28 | Sony Corp | ルテニウム錯体の製造方法 |
US9546188B2 (en) | 2012-01-25 | 2017-01-17 | Obschesno S Ogranichennoi Otvetstvennostyu “Wds Farma” | Complexes of germanium with amino acids and carboxylic acids and method for preparing same |
-
1999
- 1999-11-16 JP JP36142999A patent/JP2001139587A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100847554B1 (ko) | 2006-11-30 | 2008-07-21 | 한국과학기술연구원 | 시스-디(티오시아나토)-n,n'-비스(2,2'-비피리딜-4,4'-디카르복시산)루테늄(ⅱ)의 개선된 제조방법 |
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US9546188B2 (en) | 2012-01-25 | 2017-01-17 | Obschesno S Ogranichennoi Otvetstvennostyu “Wds Farma” | Complexes of germanium with amino acids and carboxylic acids and method for preparing same |
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