JP2014503623A - ルテニウムポリピリジン錯体を主体とした二酸化チタン増感色素の前駆体錯体の合成のための方法 - Google Patents

ルテニウムポリピリジン錯体を主体とした二酸化チタン増感色素の前駆体錯体の合成のための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、カルボキシル官能化ルテニウムポリピリジン錯体を主体とした前駆体錯体及び増感剤に対する、高圧下且つ水性環境系中でのマイクロ波照射を含む、ルテニウムポリピリジン錯体を主体とした前駆体錯体及び二酸化チタン増感色素の合成のための方法に関する。

Description

本発明は、ルテニウムポリピリジン錯体を主体とした二酸化チタン増感色素の前駆体錯体の合成のための方法に関する。
より詳細には、本発明は、高圧下且つ水を主体とした系でマイクロ波照射を用いる、カルボキシル官能化ルテニウムポリピリジン錯体を主体とする前駆体錯体及び増感剤の合成技法、並びにそれらから生成された増感色素に関する。
このような色素は、英語の用語法に従って色素増感太陽電池又はDSSCとも呼称される光電気化学電池、即ち太陽電池に用いられるワイドバンドギャップ半導体である二酸化チタンのための増感剤として使用される(O’Reagan,B.;Graetzel,M.Nature 1991.353.737〜739[色素増感コロイド状TiOフィルムを主体とした低コスト高効率太陽電池(A low cost high−efficiency solar cell based on dye−sensitized colloidal TiO films)])。
DSSCは、少なくとも1種の発色団化合物により増感された、導電性ガラス基板上に被覆された二酸化チタン半導体層が存在する光アノードと、対向電極と、それらの間の電解質とから成る光再生型太陽電池である。
周知のように、良好なスペクトルの半導体増感剤としてみなされ得るよう色素分子が示さなければならない主要な要件は、下記の事項に従って改めて想定することができる:
−電解質の存在下での半導体表面における安定な吸着、
−可視スペクトル領域及び近赤外線スペクトル領域内での高い光吸収、
−半導体の伝導帯中への電子のジャンプを保証するほど十分に負の励起状態レドックス電位、
−電子的メディエーターの効率的な酸化を可能にするような基底状態レドックス電位、
−それぞれ励起状態及び基底状態への電子移動に伴うエネルギー損失を最小化するために、このようなプロセスに伴う再配列エネルギーが低い。
多くの有機化合物及び無機化合物、例えば葉緑素誘導体、ポルフィリン、フタロシアニン、蛍光性プラチナ錯体、色素、カルボキシル官能性アントラセン誘導体、ポリマーフィルム、二酸化チタン結合型低バンドギャップ半導体等のような物が、半導体増感剤として評価されてきた。また、植物性抽出物も、天然の増感剤として太陽電池のために用いられてきた(Garcia,C.G.;Pole,A.S;Murakami Iha,N.Y.J photochem.Photobiol.A2003.160.87[光化学電池におけるTiO増感に応用される天然色素(Natural dyes applied to TiO sensitization in photochemical cells)])。しかしながら、これらの研究から浮かび上がる基本的な事項は、電力への太陽エネルギーの最良の変換効率は、依然として、二酸化チタン増感剤として用いられたカルボキシル配位子がその中に存在するルテニウム(II)ポリピリジン錯体によって得られるということである。これらの分子種は、金属−配位子間電荷移動(MLCT)遷移に帰する、強度の可視吸収帯をもたらす。
一般式cis−[Ru(Hdcbpy)(X)](XはCl、Br、I、NCS及びCNから選択される)を有する錯体の系列に関しては、MLCT吸収帯及び最大発光が、配位子Xの電場強度(field strength)の低下に応じてより高い波長の値にシフトし、CN>NCS>ハロゲン化物という予想順序に従って基底状態レドックス電位E1/2Ru(III)/(II)が低下することが見出された。大まかに言うと、これらの錯体は、ナノ結晶性でTiOの効率的な増感剤であり、その伝導帯中への電荷注入を可視光(400〜800nm)の照射により可能にする。特に、NCS配位子(N3と呼ばれている)を有する錯体(1)の性能は優れていると証明され(Nazeeruddin,M.K.;Kay,To;Rodicio,R.;Humphry−Baker,R.;Muller,And;Liska,P.;Vlachopoulos,M.;Graetzel,M.J.Am.Chem.Soc.1993.115.6382[新たな系統の非常に効率的な色素についての調製及び光電気化学特性決定が報告されている])、10%程度の総合的変換効率をもたらす。
Gratzelが監督した実験室において、N719と呼称され模擬太陽光照射(AM1.5)下で10.85%の効率を示す色素(2)が見出された2000年代までに、順次、多数の色素が合成されてきたが、N3増感剤効率には到達しなかった(Nazeeruddin,K.;Zakeeruddin,S.M.;Humphry−Baker,R.,Jirousek,M.;Liska,P.;Vlachopoulos.N;Shklover,V.;Fisher,C.H.;Gratzel,M.Inorg.Chem.,38.26.6298〜6305.1999)。
上記増感剤は、電池効率の値の決定において鍵となる役割を果たす。外気中でのDSSCの応用に関して、具体的には幅広い領域での応用に関して、多くの要因が重要であることが示される:技術的な性能及び構造、環境適合性、コスト、染色性、設計及び長期的安定性。
しかしながら、N3色素及びN719色素の従来の熱合成では、開示された化学的プロセス及び精製手順により、非常に高価な色素となる。ジメチルホルムアミド(DMF)のような有毒溶媒を使用すると、環境への影響の観点から、大規模な合成を行うことができない。
これらの化合物の合成手順の一例は、欧州特許出願第EP1798222号及び同第EP2116534号で開示されており、マイクロ波照射及び大気圧下において、N,N−ジメチルホルムアミド中でのHdcbpyとRuCl・3HOとの反応を含む(HdcbpyRuCl錯体の合成に言及している。
上記に照らすと、環境に適合した溶媒及び短縮された反応時間を用いて、より経済的な代替技法に従ってこのような増感色素を生成する必要性は明白である。
これに関連して、水を主体とした溶媒と加圧されたマイクロ波反応器とを用いて種々の色素の合成収率の改善を可能にする、ルテニウムポリピリジンを主体とした前駆体錯体と二酸化チタン増感剤の合成手順を提供することを目的とした、本発明による解決法が開示される。
本発明の対象である方法は、有毒でない溶媒を用いて様々な分子種を生成し、高い生成物収率を達成し、従来の熱合成と比較して非常に短い反応時間を利用することを可能にする。
したがって、本発明の目的は、公知の技術による欠点を克服し、上記で報告した技術的成果を達成することを可能にする、前駆体錯体及び二酸化チタン増感剤のための合成方法を提案することである。
本発明の更なる目的は、前記合成方法を、生成コスト及び運転コストの両方に関して、大幅に低減されたコストで実施できるようにすることである。
最終ではない本発明の目的は、非常に簡単で、安全で、信頼性のある前駆体錯体及び二酸化チタン増感剤のための合成方法を提案することである。
したがって、本発明の第1の具体的な対象は、カルボキシル基官能化ルテニウムポリピリジンを主体とする前駆体錯体及び増感剤に対する、690kPaと5500kPaの間(100〜800PSI)に含まれる圧力値の高圧系下且つ水性系下における、300MHzと300GHzの間に含まれる周波数のマイクロ波照射を含む、ルテニウムポリピリジン錯体を主体とする二酸化チタン増感色素の前駆体錯体の合成のための方法である。
本発明によれば、使用される前駆体は、好ましくは、それぞれ、20重量%から100重量%までの水及び0%から80%までのHCl(37%)を含み金属前駆体1グラム当たり60〜70mLの量の溶液中に溶解された、Hdcbpy 4,4’−ジカルボキシ−2−2’−ビピリジル、5,5’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジル、4,4’,4”−トリカルボキシ−2,2’,6’,2”−ターピリジル、4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジル、4,4’−bis−3.4−ジオクチルオキシスチリル−2,2’−ビピリジル、6−フェニル−2,2’−ビピリジル、6−(2,4−ジフルオロフェニル)−2,2’−ビピリジル;及びRuCl・3(HO)([RuCl2−、[Ru(DMSO)(X)]式中、XはPF、ClO、Cl、Brから選択される)である。
更に本発明によれば、前記マイクロ波照射が、80℃と250℃の間に含まれる温度において、400Wと1600Wの間に含まれる電力で、10分と60分の間に含まれる時間をかけて実施される。
更にまた本発明によれば、前記マイクロ波照射に続いて、合成生成物が室温まで冷却され、濾過により分離され、水又はHCl溶液で洗浄されて乾燥される。
本発明の第2の具体的な対象は、上述で規定された方法に従って得ることができる二酸化チタン増感剤の前駆体錯体である。
本発明の第三の具体的な対象は、NCS又はCN塩(10当量から50当量まで)と混合された、又は、ポリピリジン、ポリトリアゾール、ポリテトラアゾール及びアセチルアセトネートの誘導体(1当量から4当量まで)を主体としたキレート化発色団配位子と混合された、上述で規定された方法により得ることができる前駆体錯体及び増感剤に対する、690kPaと5500kPaの間(100〜800PSI)に含まれる圧力値の高圧系下、且つ水性系下における、300MHzと300GHzの間に含まれる周波数のマイクロ波照射を含む、ルテニウムポリピリジン錯体を主体とした二酸化チタン増感染色錯体の合成方法である。
本発明によれば、前記マイクロ波照射は、好ましくは80℃と250℃の間に含まれる温度において、400Wと1600Wの間に含まれる電力で、10分と60分の間に含まれる時間をかけて実施され、前記マイクロ波照射に続いて、合成生成物が周囲温度まで冷却され、沈殿により分離され、洗浄され、乾燥される。
本発明の第4の具体的な対象は、上記の2つの段落で規定された方法に従って得ることができる二酸化チタン増感染色錯体を表す。
本発明の第5の具体的な対象は、電気光化学電池における、上述で規定された方法に従って得ることができる二酸化チタン増感染色錯体の使用を表す。
かくして、従来の熱合成と比較したとき、有毒でない溶媒及び非常に短い反応時間を用いて様々な分子種を生成し、高い生成物収率を達成することを可能にする、本発明の前駆体錯体及び二酸化チタン増感剤の合成方法の有効性は明白である。
本発明を例示的であるが限定的ではない方法により、特に幾つかの例示的な実施例及び付属の図面を参照しながら記述する。
例1による錯体の塩基性水溶液におけるUV−Visスペクトルを示す図である。 例1による錯体のDO及びNaODにおけるH NMRスペクトルを示す図である。 例3による錯体のMeOH+NaOHにおけるUV−Visスペクトルを示す図である。 例4による錯体のEtOHにおけるUV−Visスペクトルを示す図である。 例4による錯体のFT−IRスペクトルを示す図である。 例4による錯体(a)と、公知技術に従って配位された21%S及び79%Nを含有する前記錯体の試料(b)とについて、2000cm−1から2200cm−1までの範囲のFT−IRスペクトルを示す図である。 (a)二塩素Ru(II)(HDCBPyCl錯体、(b)チオシアネートとの反応に続いて55℃で1時間加熱した後、(c)55℃で更に1時間後、(d)室温で12時間後、(e)55℃で2時間後、(f)55℃で更に2時間後、(g)75℃で16時間後のそれぞれについてのH NMRスペクトルを示す図である。 例4による錯体のDO及びNaODにおけるH NMRスペクトルを示す図である。 例5による錯体のEtOHにおけるUV−Visスペクトルを示す図である。 例5による錯体のDO及びNaODにおけるH NMRスペクトルを示す図である。 例5による錯体のFT−IRスペクトルを示す図である。 公知技術により得られた錯体と比較した、例5による錯体のJ/Vプロットを示す図である。 例6による錯体のHO+NaOHにおけるUV−Visスペクトルを示す図である。 例6による錯体のCDODにおけるH NMRスペクトルを示す図である。 公知技術により得られた錯体と比較した、例6による錯体のJ/Vプロットを示す図である。 例7による[Ru(Hdcbpy)(dnbpy)](PF錯体のUV−Visスペクトルを示す図である。 例7による錯体[Ru(Hdcbpy)(dnbpy)](PFH NMRスペクトルを示す図である。 例7による錯体[Ru(HDCBPy)(dnbpy)]2+のサイクリックボルタモグラムを示す図である。 例7による錯体[Ru(HDCBPy)(dnbpy)]2+のJ/Vプロットを示す図である。 比較例8による錯体[Ru(HDCBPy)(dnbpy)]2+のサイクリックボルタモグラムを示す図である。 比較例8による錯体[Ru(HDCBPy)(dnbpy)]2+のJ/Vプロットを示す図である。
特に、下記の実施例においては、例示的であるが制限的ではない範囲に従って、cis−ジクロロビス((4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ピリジル)ルテニウム(II)、Ru(II)(HDCBPy(Cl)、及びcis−ジクロロビス((5,5’−ジカルボキシ−2,2’−ピリジル)ルテニウム(II)型の前駆体化合物並びにそれらから生成された染色増感剤を検討する:
1)cis−ジチオシアネートビス(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ピリジル)ルテニウム(II)、Ru(II)(HDCBPy(NCS)(N)、及び対応する脱プロトン化された形態、
2)cis−ジチオシアネートビス(5,5’−ジカルボキシ−2,2’−ピリジル)ルテニウム(II)、Ru(II)(HDCBPy(NCS)(5,5’−N)、及び対応する脱プロトン化された形態、
3)[cis−Ru(HDCBPy(DNBPy)]2+(式中、DNBPyは4,4’−ジノニル−2,2’−ピリジルを意味する)。
マイクロ波放射を用いれば反応時間の顕著な短縮並びに生成物収率の増大がしばしば可能になることがすでに知られている(Whittaker,G.,「マイクロ波加熱の化学的応用(Chemical Applications of Microwave Heating)」,1997)。この事柄に関して、化学反応を加速するためのマイクロ波の使用に関して初期の実験成果が報告された(Gedye,R.N.,W.Rank and K.C.Westaway,Can.J.Chem.,69.706.1991)(Hicks,R.and.Majetich,G J.Microwave Power Electromagn.Eng.,30.27.1995)1986年より、有機合成分野では2000を超える文献がすでに公開されてきた。
当初、この技術は、プロセス制御及び信頼性がよくないことからそれほどの注意を寄せられてはいなかった。次第に、マイクロ波補助有機合成(MAOS)に関する文献の数が指数関数的に増加しており、技術の発展により、従来式に加熱される反応器を置き換える、工業規模での使用に適したマイクロ波反応器の製造が可能になると予想されている。
Ru(LL)(X)(XはCl、NCS、CNから選択され、LはHDCBPyである)という錯体の種類の従来の熱合成に関する別の顕著な観点は、前記錯体が通常、それらの沈殿が等電点において得られるように、様々なRu(LL)(X) 4−(XはCl、NCS、CNから選択され、LはDCBPyである)アニオン種に酸を添加することにより単離されるという点である。この手順は、これらの条件下における様々な分子種の溶解度のため、顕著な生成物損失を伴う。
本発明によれば、水を主体とした溶媒と、2450MHz及び1600Wの最大電力で稼働するマイクロ波反応器(MARS−MD)において高圧下で実施される反応の使用を伴う手順が記述される。これらの条件下では、cis−ジクロロビス((4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ピリジル)ルテニウム(II)前駆体とcis−ジチオシアネートビス((4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ピリジル)ルテニウム(II)(N3)色素の両方が、それらの等電点における沈殿を必要とせずに、高収率で得られる。
cis−[Ru(HDCBPyCl]及びチオシアネートアニオンから出発するN3錯体の従来の熱合成によれば、望ましくない異性体、すなわち、チオシアネートアニオンが硫黄原子(S/S型、又は混在した方式、即ち硫黄原子と窒素原子の両方(N/S型)により配位している錯体が形成され得ることが更に指摘される(Kohle;O.;Ruile,S.;Graetzel,M.Inorg.Chem.1996.35.4779〜4787)。これらの異性体は次いで、Sephadex LH20カラム上での分子篩クロマトグラフィーを用いた高価なクロマトグラフィー式の手順により分離しなければならない。DMFのような高沸点溶媒の使用は、これらの異性体の低減は可能にしたが、排除は可能にしなかった。
これに対して、本発明で記述する高圧水下での合成では、以下で報告するFT−IRスペクトル(図5)及びH NMRスペクトル(図8)により示されているように、単一のN/N配位型異性体の形成をもたらした。
以下で報告する記述において、同じ合成方法を用いて高収率且つ高純度で同様に得られる[cis−Ru(HDCBPy(dnbpy)]2+(dnbpyは、4,4’−ジノニル−2,2’−ピリジルを意味する)錯体について更に言及する。前記錯体に関して、高圧水下でのマイクロ波補助式合成は、従来の熱合成と比較して明らかに有利である。従来の熱合成に対して短縮された反応時間(8hに対して2h)の他にも、使用される前駆体は、従来の熱合成に必要な、[Ru(p−シメン)Cl錯体よりずっと安価なRuCl種である。最後に、合成生成物は、それぞれ図19及び比較図21に示されているように、より純粋であり、且つより良好な電気光化学性能を表す。
以下の実施例は、本発明の目的である合成手順を記述するものである。
(例1)cis−ジクロロビス((4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ピリジル)ルテニウム(II)、Ru(II)(HDCBPy Cl 錯体の合成
反応フラスコ(HP500)中に、RuCl3HO(100mg、0.38mmol)、 HDCBPy(170mg、0.70mmol)、3mlのHCl(37%)、及び3ml の水を装入する。反応器温度を約200PSIの圧力下で180℃まで上昇し、一方で、反応器電力を800Wに設定しておく。これらの条件を、30分の反応時間の間維持する。室温まで冷却した後、得られた赤橙色の生成結晶を、濾過により多孔質ガラスフィルター(G4)上に分離し、0.2M HCl溶液で洗浄すると、オーブンでの乾燥後に207mg(収率=90%)が得られた。Ru(II)(HDCBPyCl錯体の、塩基性水溶液におけるUV−visスペクトル並びにDO及びNaODにおけるH NMRスペクトルが、それぞれ図1及び図2に報告されている。
(比較例2)公知技術によるRu(II)(HDCBPy Cl 錯体の合成
欧州特許出願第EP1798222号及び同第EP2116534号の開示によれば、Ru(II)(HDCBPyClの合成を窒素雰囲気下で実施して、500ml三つ首フラスコに市販のRuCl3HO(2.53g、9.68mmol)、Hdcbpy(4.50g、18.4mmol)、及び300mlのN,N−ジメチルホルムアミドを装入し、この混合物を、2.45GHzマイクロ波を照射しながら還流下で45分間加熱する。冷却後、混合物を濾過して、真空下で乾燥するまで蒸発させる。得られた残渣をアセトン/ジエチルエーテル(1:4)で洗浄し、300mlの2M塩酸を加えた後、混合物を撹拌下で20分間音波処理し、次いで、超音波なしで2時間撹拌する。撹拌後、濾過により集めた不溶物を、2M塩酸、アセトン/ジエチルエーテル(1:4)及びジエチルエーテルで洗浄する。
例1で報告した合成方法は、マイクロ波反応時間が同等(例1では30分、例2では45分)ではあるが、比較例2と比較して顕著な利点を表し、例1で記述した手順は、ジメチルホルムアミド(発癌性且つ高価)の代わりの溶媒として水及びHCl溶液の使用を伴い、所望の生成物は90%の収率で得られ、単純な室温までの冷却、濾過による半結晶性赤橙色沈殿物の多孔質ガラスフィルター上への分離、及び0.2HCl溶液での洗浄を伴う迅速な後処理を用いて集められる。比較例2の後処理は、冷却後に、DMF真空蒸着、続いてのアセトン及びジエチルエーテルによる洗浄、2M塩酸水溶液の添加、並びに、超音波下での20分間の撹拌及び超音波なしでの更なる20分の撹拌、2M塩酸とアセトン/ジエチルエーテル(1:4)と次いでジエチルエーテルとを用いた生成物の濾過及び洗浄を包含し、収率85%である。
(例3)cis−ジクロロビス((5,5’−ジカルボキシ−2,2’−ピリジル)ルテニウム(II)、Ru(II)(HDCBPy Cl 錯体の合成
800mgのRuCl3HO及び1.360gの5,5’HDCBPyを含有する高圧HP500反応容器に、25mlのHO及び25mlの37%HClを加える。反応器温度を約200PSIの圧力下で180℃に上昇し、一方で、反応器電力を800Wに設定した。これらの条件を、撹拌し続けながら45分の反応時間の間維持する。室温までゆっくりと冷却した後、得られた沈殿物を多孔質フィルター上に濾過し、洗浄液が無色になるまでHOで洗浄した 。得られた生成物をオーブンで乾燥させた(収率78%)。
図3は、得られた錯体のUV−vis分光法による特性決定を示している。錯体の高スピンのため、H NMRスペクトルを得ることはできなかった。
(例4)(N3)としても知られているcis−ジチオシアネートビス((4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ピリジル)ルテニウム(II)、Ru(II)(HDCBPy (NCS) の合成
反応容器(HP500)中で、例1で得られた200mg(0.30mmol)のcis−ジクロロビス((4,4’−ジカルボキシ−2−2’−ピリジル)ルテニウム(II)と、8mlの水に溶解した900mgのNaNCSとを撹拌した。反応器温度を約200PSIの圧力下で130℃に上昇し、一方で、反応器電力を800Wに設定した。これらの条件を、30分の反応時間の間維持する。室温まで冷却した後、得られた黒色沈殿物を、濾過により多孔質ガラスフィルター(G4)上に分離し、水で洗浄し、乾燥して、200mgを得た(85%の収率)。生成物のUV−Visスペクトル、FT−IRスペクトル及びH NMRスペクトルを、それぞれ図4、図5及び図8に示す。
FT−IRスペクトル及びH NMRスペクトルを用いると、マイクロ波加熱を利用して高圧水下実施した反応により、単一のN/N配位型Cis[Ru(HDCBPy(NCS)]異性体の生成をもたらしたことが観察された。実際、2つのチオシアネート基の吸収帯が生じる2000〜2200cm−1の範囲のFT−IRスペクトルを分析すると、N配位型錯体の形態のみが存在する結果として、単一の2127cm−1バンドが観察される。N/S配位型異性体が存在すると、文献データ(Kohle,O.;Ruile,S.;Graetzel,M.Inorg.Chem.1996.35.4779〜4787)によれば吸収帯の二重化(doubling)を生じ図6にも示されている。図6では、例4(a)の錯体と、比較するための公知技術に従った21%S及び79% を含有するその配位試料とによる2000〜2200cm−1の範囲のFT−IRスペクトルが示されている。
本特許により請求した反応によって得られたCis[Ru(HDCBPy(NCS)]、N/N配位型錯体の単一化合物としての存在の更なる確認は、H NMRスペクトルによる。先述した調査(図7)によれば、下記スキーム

(式中、(a)はS/S異性体であり、(b)はN/S異性体であり、(c)はN/N異性体である)
に従って、Ru(II)(HDCBPy)(NCS)(N3)錯体の形成をもたらす、Ru(II)(HDCBPy)Cl錯体とチオシアネートアニオンとの従来の熱反応中に、番号6と名付けたプロトンの化学シフトが観測された。
反応進行中に、上で報告した反応スキームにおいて報告した異性体形成に起因する様々な信号の出現を観察した。75℃にして16時間後(図7の符合g)、Ru(II)(HDCBPy)(NCS)(N3)反応生成物のプロトン6のH NMRスペクトルは、N/N異性体に帰する強い信号と、N/S異性体の存在に帰するその他の2つのより強度が小さな信号を示していた。
図8のH NMRスペクトルでは、本特許出願による合成により得られたRu(II)(HDCBPy)(NCS)(N3)錯体の特徴的な化学シフトが報告されている。上で報告したプロトン6の化学シフトによるN/S異性体の不在が指摘される。
このようにして合成されたN3錯体は順次、光電気化学分野における応用のため、以下で報告するように文献の手順に従ってN719と呼称される、部分的に脱プロトン化された形態に変換される。
(例5)N3錯体のN719.(TBA) Ru((4−カルボキシ−4’カルボキシレート−2,2’−ピリジル)(NCS) 、Ru(II)(TBAHDCBPy) (NCS) 錯体への変換
100mg(0.13mmol)のRu(II)(HDCBPy)(NCS)(N3)を、安定値としては最高でpH=7の40%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAOH)水溶液の滴下により、40mlの水中に溶解する。
N719錯体を、最高でpH3.8の上述した溶液への0.1M硝酸の添加により沈殿させた。沈殿物を、濾過により多孔質ガラスフィルター(G4)上に分離し、pH=3.8の硝酸水溶液で洗浄する。収率85〜90%。
錯体を、分光学的と光電気化学的の両方から完全に特性決定した。
図9、図10、図11及び図12は、それぞれ、得られた錯体のUv−Visスペクトル、H NMRスペクトル、FT−IRスペクトル及びJVプロットを示している。
特に、図12は、N719DYESOL Company(点線)錯体と、高圧水(実線)下でのマイクロ波補助式合成を用いて得られた化合物とについて、以下の設定による模擬的なAM1.5(70mW cm−2)照射条件下におけるJ/Vプロットを示している。Ptカソード。透明TiO。電解質組成:メトキシプロピオニトリル中、N−プロピル−N−メチルイミダゾールヨージド0.6M、Lil0.1M、tert−ブチルピリジン0.5M、ヨウ素0.2M。
図12に対応する光起電変数(Jsc、Voc、FF、及びη)は、高圧水下でマイクロ波補助式合成を用いて本発明によって得られたN719錯体に関しては、それぞれ、13.12mA cm−2、677mV、0.4、及び5%であり、公知技術(DYESOL)によって得られたN719錯体に関しては、13.69mA cm−2、682mV、0.41及び5.4%である。
(例6)(N3)として知られているcis−ジチオシアネートビス((5,5’−ジカルボキシ−2,2’−ピリジル)ルテニウム(II)錯体Ru(II)(5.5’H2DCBPy) (NCS) の合成
例3で高圧水下で本方法によって得られた1.4g(2.12モル)のRu(5,5’HDCBPyCl及び 10gのNaNCSを、高圧マイクロ波反応HP500 反応器中に装入し、次いで、50mlのHOを加える。反応器温度を130℃に上昇し、反応器電力を800Wに設定した。これらの条件を、撹拌し続けながら45分の反応時間の間維持する。室温までゆっくり冷却した後、得られた沈殿物を多孔質フィルター上に濾過し、洗浄液が無色になるまでHO及びpH=3.8のHClO水溶液で洗浄した。得られた生成物を、オーブンで乾燥しておく(85%の収率)。
図13、図14及び図15は、それぞれ、得られた錯体のUv−Visスペクトル、H NMRスペクトル及びJVプロットを示す。
特に、図15は、N719DYESOL Company(黒色の実線)錯体と、高圧水下でのマイクロ波補助式合成を用いて得られた5,5’−N3錯体とについて、以下の設定による模擬的なAM1.5(70mW cm−2)照射条件下におけるJ/Vプロットを示している。カソード:定電位で電着されたPEDOT(20”)(ポリエチレンジオキシドチオフェン)FTO(4.9mF/cm)。電解質組成:メトキシプロピオニトリル中、N−プロピル−N−メチルイミダゾールヨージド0.6M、Lil0.1M、tert−ブチルピリジン0.5M、ヨウ素0.2M。
図16に対応する光起電変数(Jsc、Voc、FF、及びη)は、それぞれ、マイクロ波加熱を用いた高圧水下での合成により本発明に従って得られた5,5’N3錯体に関しては、それぞれ、5.32mA cm−2、440mV、0.57、及び2.0%であり、N719DYESOL標準錯体に関しては、12.67mA cm−2、559mV、0.55、及び5.8%である。
(例7)[cis−Ru(HDCBPy (dnbpy)] 2+ (dnbpy=4,4’−ジノニル−2,2’−ピリジル)錯体の合成
例1で報告した高圧合成を用いて得られた100mg(0.15mmol)のcis−ジクロロビス((4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ピリジル)ルテニウム(II)と12mlの水に懸濁された61.8mg(0.15mmol)のdnbpyとを反応容器(HP500)に加える。反応器の反応器温度を約200PSIの圧力下で180℃に上昇し、一方で、反応器の電力を800Wに設定した。これらの条件を120分の反応時間の間維持する。室温まで冷却した後、得られた沈殿物を、多孔質ガラスフィルター(G4)を通す濾過により分離し、塩基性水中に溶解させ、濾過して約pH2のHPF水溶液の添加により沈殿させる。150mg(77%の収率)の固体状結晶、赤色結晶性固体を得た。得られた生成物は、更なる精製はなしで、UV−vis分光法(図16)、H NMR(図17)、並びにCVサイクリックボルタンメトリー(図18)及び光電気化学測定(図19のJVプロット)によって特性決定される。
特に、図18は、以下の実験条件に従って、高圧水下でマイクロ波反応器を用いて得られた[cis−Ru(HDCBPy(dnbpy)]2+生成物についてのサイクリックボルタモグラムを示している。電解液:アセトニトリル中LiClO0.1N、作用電極:ガラス状炭素、参照電極:HgSO
図19は、マイクロ波合成(AM1.5(74mW cm−2)により本発明に従って得られた[cis−Ru(HDCBPy(dnbpy)]2+色素について、以下の模擬実験照射条件(AM1.5(74mW cm−2)下でのDSSC JVプロットを示している。メディエーター/電解質:アセトニトリル中Co(DTB)(OTf)0.15M、Fe(DMB)(PF0,015M、Li(OTf)0.5M。(DTB=4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジル、DMB=4,4’−ジターブチル−2,2’−ビピリジル、OTf=p−トルエンスルホネート)。カソード:定電位で(15s)電着されたPEDOT(20”)(ポリエチレンジオキシドチオフェン)FTO。透明TiO。図19に対応する光起電変数(Jsc、Voc、FF、e η)は、それぞれ、3.53mA cm−2、531mV、0,52、及び1.3%である。
(比較例8)[cis−Ru(HDCBPy (dnbpy)] 2+ (dnbpy=4,4’−ジノニル−2−2’−ピリジル)錯体の熱合成
0.3g(0.49mmol)の[Ru(p−シメン)Clを、窒素不活性雰囲気下で大気圧において60mlのDMFに加え、この溶液に、0,4g(0,98mmol)の4,4’−ジノニル−2,2’−ピリジル(dnbpy)を加え、得られた混合物を60℃で2hの間加熱する。順次、0,24g(0,98mmol)の4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ピリジル(Hdcbpy)を加え、反応混合物を還流(160℃)下で4hの間加熱する。0.24g(0.98mmol)のHdcbpy及び0.157g(3.9mmol)のNaOHを3mlの水中に溶解させ、次いで反応混合物に加え、次いで更に2h超還流する 。
反応混合物を熱濾過し、溶媒を真空蒸着下で除去する。得られた固体を塩基性NaOH溶液中に溶解させ、HPF水溶液の添加によりpH=2において生成物が沈殿した。溶解及び沈殿の手順を2回反復し、沈殿物をHPF水溶液で洗浄し、最後にエチルエーテルで洗浄する。収率60%。
得られた生成物は、更なる精製はなしで、サイクリックボルタンメトリー(図20)及びJVプロット(図21)によって特性決定される。
特に、図20は、以下の実験条件下で従来の熱合成に従って得られた[cis−Ru(HDCBPy(dnbpy)]2+生成物のサイクリックボルタモグラムを示している。 電解液:アセトニトリル中LiClO0.1N、作用電極:ガラス状炭素、参照電極:SCE。
図21は、熱合成により公知技術に従って得られた[cis−Ru(HDCBPy(dnbpy)]2+色素について、以下の模擬実験照射条件(AM1.5 75mW cm−2)下でのDSSC JVプロットを示している。メディエーター/電解質:アセトニトリル中Co(DTB)(OTf)0.15M、Fe(DMB)(PF0,015M、Li(OTf)0.5M。(DTB=4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジル、DMB=4,4’−ジターブチル−2,2’−ビピリジル、OTf=p−トルエンスルホネート)。カソード:定電位で(15s)電着されたPEDOT(ポリエチレンジオキシドチオフェン)FTO。透明TiO。図21に対応する光起電変数(Jsc、Voc、FF、e η)は、それぞれ、2.56mA cm−2、369mV、0.49、及び0.66%である。
圧力下で水を主体とした溶媒中でマイクロ波反応器を用いて例7で記述した方法に従って実施される合成は、例8で記述したような従来の熱合成より良好な結果をもたらした。図19及び図21に示されているように、短縮された反応時間及びより良好な光電気化学的性能の他にも、例8で報告した従来の熱合成のために必要とされる[Ru(p−シメン)Clよりずっと安価な前駆体RuCl化合物のようなものが使用される。
結論として、従来の熱合成と、大気圧においてのジメチルホルムアミド中でのマイクロ波照射補助合成との両方と比較して生成物の単離手順(反応後処理)を考えると、高圧水(発癌性ではなく非常に安価)下での合成と組み合わせたマイクロ波源の使用は、高い収率及び非常に短い反応時間で、cis−ジクロロビス((4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ピリジル)ルテニウム(II)Ru(II)(HDCBPy(Cl)前駆体と、cis−ジチオシアネート((4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ピリジル)ルテニウム(II)、Ru(II)(HDCBPy(NCS)(N3)と、[cis−Ru(HDCBPy(dnbpy)]2+(dnbpy=4,4’−ジノニル−2,2’−ピリジル)色素との合成をもたらした。
同じ合成技法が、類似の錯体の合成に関しても成功裏に用いられており、ここでは、5,5’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジル−を4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジルの代わりに用いている。
記述した合成手順は、完全に普遍的なものであると考えられ、多様な種類のRu(II)金属系有機錯体に適用することができ、更には、従来の熱合成のために用いられたジメチルホルムアミドのような有毒溶媒が、 水を主体とした溶媒に置き換えられるので、環境への影響が低くなる。合成された化合物は、高価なクロマトグラフィー式精製方法の使用なしでも、濾過のような簡単な手順により単離され、分光学的に純粋である。本発明による溶媒に基づいて高圧水下でマイクロ波式技法を用いて合成された色素のDSSC電池性能は、古典的な熱合成により得られた対応する色素と同等又はより良好であることが判明した。
本発明を、その好ましい実施形態に従って、例示的であって限定的ではない方法により記述してきたが、変更形態及び/又は修正形態が、当業者により、付属の特許請求の範囲に従って規定されるその範囲から逸脱することなく実施され得ると理解されたい。

Claims (7)

  1. dcbpy4,4’−ジカルボキシ−2−2’−ビピリジル、5,5’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジル、4,4’,4”−トリカルボキシ−2,2’,6’,2”−ターピリジル、4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジル、4,4’−bis−3,4−ジオクチルオキシスチリル−2,2’−ビピリジル、6−フェニル−2,2’−ビピリジル、6−(2,4−ジフルオロフェニル)−2,2’−ビピリジル;及びRuCl・3(HO)([RuCl2−、[Ru(DMSO)(X)]式中、XはPF、ClO、Cl、Brから選択される)から選択される、カルボキシル基官能化ルテニウムポリピリジン錯体を主体とした前駆体錯体及び増感剤に対する、690kPaと5500kPaの間(100〜800PSI)に含まれる圧力値の高圧系下、且つ、水性系下における、300MHzと300GHzの間に含まれる周波数のマイクロ波照射を含む、ルテニウムポリピリジン錯体を主体とした二酸化チタン増感色素の前駆体錯体の合成のための方法。
  2. 使用される前駆体が、20wt%から100wt%までの水及び0%から80%までのHCl(37%)を含む、金属前駆体1g当たり60〜70mlの量の溶液中に溶解されていることを特徴とする、請求項1に記載の合成方法。
  3. 前記マイクロ波照射が、80℃と250℃の間に含まれる温度において、400Wと1600Wの間に含まれる電力により、10分と60分の間に含まれる時間をかけて実行されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の合成方法。
  4. 前記マイクロ波照射に続いて、合成生成物が周囲温度まで冷却され、濾過により分離され、水又はHCl溶液によって洗浄され、乾燥されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の合成方法。
  5. NCS又はCN塩(10当量から50当量まで)と混合された、又は、ポリピリジン、ポリトリアゾール、ポリテトラアゾール及びアセチルアセトネートの誘導体(1当量から4当量まで)を主体としたキレート化発色団配位子と混合された、請求項1から4に規定された方法ステップに従って得られる錯体に対する、690kPaと5500kPaの間(100〜800PSI)に含まれる圧力値の高圧系下、且つ、水性環境下における、300MHzと300GHzの間に含まれる周波数のマイクロ波照射という最終ステップを更に含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の合成方法。
  6. 前記更なるマイクロ波照射ステップが80℃と250℃の間に含まれる温度において、400Wと1600Wの間に含まれる電力で、10分と60分の間に含まれる時間をかけて実施されることを特徴とする、請求項5に記載の合成方法。
  7. 前記更なるマイクロ波照射ステップに続いて、合成生成物が周囲温度まで冷却され、沈殿により分離され、洗浄されて乾燥されることを特徴とする、請求項6に記載の合成方法。
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