JPH11279188A - ルテニウム錯体の製造方法 - Google Patents
ルテニウム錯体の製造方法Info
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Abstract
で利用される光触媒の原料として利用しうる高純度なビ
ピリジンーカルボン酸ールテニウム錯体二水和物の収率
よい製造方法を提供する。 【解決手段】 3価に純化した塩化ルテニウム(RuCl
3・3H2O)と配位子(L;2,2'−ビピリジン−
4,4'−ジカルボン酸)を有機溶媒中で加熱反応して
RuL2Cl2・2H2Oを生成させ、次いで、得られた反
応生成物を有機溶媒に溶解し、該溶解物をチオシアン酸
ナトリウムと加熱反応させ、得られた[RuL2(SC
N)2]・2H2Oをヒドロキシプロピル基含有架橋デキ
ストランを充填剤として用いるカラム精製法により精製
することを特徴とする、一般式(1) 【化1】 [RuL2(SCN)2]・2H2O (1) (上記一般式(1)においてLは、2,2'−ビピリジ
ン−4,4'−ジカルボン酸である)で表わされるルテ
ニウム錯体の製造方法。
Description
酸を配位子とし、チオシアノ基を橋かけ原子団とするル
テニウム錯体二水和物の製造方法に関し、さらに詳しく
は、高純度のシス−ジ(チオシアノ)−N,N−ビス
(2,2'−ビピリジン−4,4'−ジカルボン酸)ルテ
ニウム(II)二水和物、[RuL2(SCN)2]・H
2O(以下、ビピリジンーカルボン酸ールテニウム錯体
二水和物と略称する。)に関する。
体二水和物は、光増感作用を有する増感色素として有用
な物質であることが知られている。このような光増感作
用を有するビピリジンーカルボン酸ールテニウム錯体二
水和物は、例えば、太陽電池などの光電変換材料に使用
されている。上記のビピリジンーカルボン酸ールテニウ
ム錯体二水和物の製造方法としては、例えば、ジャーナ
ル オブ アメリカン ケミカル ソサイティ(J.A
m.Chem.Soc.)、第110巻、第3686〜
3687頁、1988年及びジャーナル オブ アメリ
カン ケミカル ソサイティ(J.Am.Chem.S
oc.)、第115巻、第6382〜6390頁、19
93年に記載されている。上記公知の製法によると、市
販品RuCl3・3H2O(RuCl460〜70重量
%、RuCl330〜40重量%の混合物)を使用し、
第一段階の反応は、N,N―ジメチルホルムアミド中1
53℃の温度で不活性ガス下、加熱還流し、RuL2C
l2・2H2Oを生成する。次いで、第二段階で再びアル
カリ性N,N―ジメチルホルムアミド中において温度1
20℃で不活性ガス下、加熱還流後、溶媒を除去して生
成物を水に溶解し、濾過後、これにHClO4を加えp
H2.5として結晶を析出させ、該結晶を水、アセトン
/ジエチルエーテル(1:10)、無水ジエチルエーテ
ルを用いて洗浄後、風乾してビピリジンーカルボン酸ー
ルテニウム錯体二水和物の結晶を得る方法が知られてい
る。上記の従来技術によるビピリジンーカルボン酸ール
テニウム錯体二水和物の製造方法は、原料として使用す
る塩化ルテニウムの純度が低いため、収率悪く、また、
光増感色素として用いる場合、性能の障害となるRuL
3が混入し、純度が向上しないという問題があった。し
たがって、太陽電池などの光電変換材料として用いる高
純度のビピリジンーカルボン酸ールテニウム錯体二水和
物の開発が望まれていた。
事情の下で、光電気化学電池の増感色素、あるいは光化
学で利用される光触媒の原料として利用しうる高純度な
ビピリジンーカルボン酸ールテニウム錯体二水和物の収
率よい製造方法を提供することを目的としてなされたも
のである。
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、塩化ルテニウ
ムの結晶を3価に純化したものを原料とし、これに配位
子2,2'−ビピリジン−4,4'−ジカルボン酸を遮光
下、有機溶媒中、特定温度で反応させ、得られた反応生
成物にチオシアン酸ナトリウムを遮光下、有機溶媒中、
特定温度で反応させることにより、高純度なビピリジン
ーカルボン酸ールテニウム錯体二水和物が得られること
を知見して本発明を完成するに至った。すなわち、本発
明は、3価に純化した塩化ルテニウム(RuCl3・3H2
O)と配位子(L;2,2'−ビピリジン−4,4'−ジ
カルボン酸)を有機溶媒中で加熱反応してRuL2Cl2
・2H2Oを生成させ、次いで、得られた反応生成物を
有機溶媒に溶解し、該溶解物をチオシアン酸ナトリウム
と加熱反応させ、得られた[RuL2(SCN)2]・2
H2Oをヒドロキシプロピル基含有架橋デキストランを
充填剤として用いるカラム精製法により精製することを
特徴とする、一般式(1)
ン−4,4'−ジカルボン酸である)で表わされるルテ
ニウム錯体の製造方法。また、本発明を実施するための
好ましい実施態様は、(2)加熱反応を温度110〜1
50℃で行うことを特徴とする請求項1記載のルテニウ
ム錯体の製造方法、(3)加熱反応を不活性ガスの存在
下、遮光して行うことを特徴とする請求項1記載のルテ
ニウム錯体の製造方法である。
化ルテニウム(III)は、例えば、市販品RuCl3
・3H2O(RuCl460〜70重量%、RuCl33
0〜40重量%の混合物)を公知の還元方法である水素
中で400℃に加熱して調製することができる。本発明
では、3価に純化した塩化ルテニウム(III)に2,
2'−ビピリジン−4,4'−ジカルボン酸を反応させて
RuL2Cl2・2H2Oを生成せしめるが、上記反応
は、遮光し、不活性ガス、例えば、窒素、アルゴン等の
雰囲気下で有機溶媒中にて行う。反応温度は、110〜
150℃で行うのが好ましい。上記反応に用いる有機溶
媒としては、例えば、N,N―ジメチルホルムアミド
(DMF)、メチルアルコール、エチルアルコール、イ
ソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、ブチ
ルアルコール、クロロホルムなどが挙げられる。上記反
応によって得られたRuL2Cl2・2H2Oは分別し、
アセトン等により晶析し、精製し、乾燥を行う。精製し
た錯体RuL2Cl2・2H2Oは、再びDMFに溶解
し、アルカリ性下チオシアン酸ナトリウムと反応させ
る。この反応も遮光し、不活性ガス、例えば、窒素、ア
ルゴン等の雰囲気下、加熱反応して行う。反応温度は、
90〜130℃で行うのが好ましい。上記の反応により
得られた[RuL2(SCN)2]・2H2O、シス−ジ
(チオシアノ)−N,N−ビス(2,2'−ビピリジン
−4,4'−ジカルボン酸)ルテニウム(II)二水和
物は、溶媒を除去して乾燥後、メタノールに溶解、濾過
し、充填剤にヒドロキシプロピル基含有架橋デキストラ
ンを用いたカラムで精製を行う。
説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定
されるものではない。 実施例1 N,N−ジメチルホルムアミド中に3価に純化したRu
(III)Cl3・3H2Oを3.0g/l及び2,2'
−ビピリジン−4,4'−ジカルボン酸を5.7g/l
となるように配合し、遮光したアルゴン雰囲気のもとで
温度110℃〜150℃に保ち、5時間反応させる。反
応終了後、放冷し、濾過してRuL3を除き、N,N−
ジメチルホルムアミドを留去してからアセトンを添加し
て結晶を析出させる。この結晶を濾過し、アセトン洗浄
を行った後、常温で減圧乾燥してRuL2Cl2・2H2
Oを得た。次いで、上記のRuL2Cl2・2H2Oを
N,N−ジメチルホルムアミドに溶解(9.4g/l)
した後、遮光下で0.1N−水酸化ナトリウム水溶液を
加え(N,N−ジメチルホルムアミド:0.1N−水酸
化ナトリウム水溶液=3:2)、これにチオシアン酸ナ
トリウム(RuL2Cl2・2H2Oに対して10倍モル
数)の飽和水溶液を加えてアルゴン雰囲気中で遮光下、
還流しながら6時間反応させた。次いで、反応液を室温
まで冷却し、反応生成物から溶媒を留去して乾固させた
後、メタノールに溶解、濾過し、別に準備したヒドロキ
シプロピル基導入架橋デキストランを充填剤とするカラ
ムに上記のメタノール溶解溶液を通して不純物を分離
し、メタノールを留去して得た結晶をジエチルエーテル
で洗浄後、乾燥して[RuL2(SCN)2]・2H2O
を得た。
N)2]・2H2Oの紫外可視吸収スペクトル測定結果を
表1及び図1、図2に示す。316nmは、1.34×
10-5Mエタノール溶液、400nm、537nmは、
3.34×10-5Mエタノール溶液にて測定した。収率
は、次のとおりであった。 RuL2Cl2・2H2O 92% [RuL2(SCN)2]・2H2O 51% トータルの収率 47%
I)Cl3・3H2Oを3.0g/l及び2,2'−ビピ
リジン−4,4'−ジカルボン酸を5.7g/lとなる
ように配合し、遮光した窒素雰囲気のもとで温度110
℃〜150℃に保ち、5時間還流を行う。反応終了後、
放冷し、濾過してRuL3を除き、N,N−ジメチルホ
ルムアミドを留去してからアセトンを添加して結晶を析
出させる。この結晶を濾過し、アセトン洗浄を行った
後、常温で乾燥してRuL2Cl2・2H2Oを得た。次
いで、上記のRuL2Cl2・2H2OをN,N−ジメチ
ルホルムアミドに溶解(9.4g/l)した後、遮光下
で0.1N−水酸化ナトリウム水溶液を加え(N,N−
ジメチルホルムアミド:0.1N−水酸化ナトリウム水
溶液=3:2)、これにチオシアン酸ナトリウム(Ru
L2Cl2・2H2Oに対して10倍モル数)の飽和水溶
液を加えてアルゴン雰囲気中で遮光下、還流しながら6
時間反応させた。次いで、反応液を室温まで冷却し、反
応生成物から溶媒を留去して乾固させた後、水に溶解し
てから希釈した過塩素酸を滴下してpH2.5として結
晶を析出させ、冷蔵庫に一昼夜放置する。これを室温に
戻した後、濾過して水、アセトン:ジエチルエーテル
(1:10)で充分洗浄し、さらに無水ジエチルエーテ
ルで洗浄した後、1時間風乾して[RuL2(SC
N)2]・2H2Oを得た。
N)2]・2H2Oの紫外可視吸収スペクトル測定結果を
表2及び図3に示す。試料溶液は2.4×10-5Mエタ
ノール溶液にて測定した。収率は、次のとおりであっ
た。 RuL2Cl2・2H2O 45% [RuL2(SCN)2]・2H2O 55% トータルの収率 20%
と同様にして得られた[RuL2(SCN)2]・2H2
Oの紫外可視吸収スペクトル測定結果を表3及び図4に
示す。試料溶液は2.4×10-5Mエタノール溶液にて
測定した。収率は、次のとおりであった。 RuL2Cl2・2H2O 52% [RuL2(SCN)2]・2H2O 61% トータルの収率 32%
カルボン酸ールテニウム錯体二水和物を収率よく製造す
ることができる。また、本発明によって製造されたビピ
リジンーカルボン酸ールテニウム錯体二水和物を二酸化
チタン、酸化すず等の表面に被覆して得た材料は、電気
化学応答が速く安定性に優れているため、光電変換材料
として有用である。
N)2]・2H2Oを1.34×10-5Mエタノール溶液
として測定した場合の紫外可視吸収スペクトルを示す。
N)2]・2H2Oを3.34×10-5Mエタノール溶液
として測定した場合の紫外可視吸収スペクトルを示す。
N)2]・2H2Oを2.4×10-5Mエタノール溶液と
して測定した場合の紫外可視吸収スペクトルを示す。
N)2]・2H2Oを2.4×10-5Mエタノール溶液と
して測定した場合の紫外可視吸収スペクトルを示す。
Claims (3)
- 【請求項1】 3価に純化した塩化ルテニウム(RuCl
3・3H2O)と配位子(L;2,2'−ビピリジン−
4,4'−ジカルボン酸)を有機溶媒中で加熱反応して
RuL2Cl2・2H2Oを生成させ、次いで、得られた反
応生成物を有機溶媒に溶解し、該溶解物をチオシアン酸
ナトリウムと加熱反応させ、得られた[RuL2(SC
N)2]・2H2Oをヒドロキシプロピル基含有架橋デキ
ストランを充填剤として用いるカラム精製法により精製
することを特徴とする、一般式(1) 【化1】 [RuL2(SCN)2]・2H2O (1) (上記一般式(1)においてLは、2,2'−ビピリジ
ン−4,4'−ジカルボン酸である)で表わされるルテ
ニウム錯体の製造方法。 - 【請求項2】 加熱反応を温度110〜150℃で行う
ことを特徴とする請求項1記載のルテニウム錯体の製造
方法。 - 【請求項3】 加熱反応を不活性ガスの存在下、遮光し
て行うことを特徴とする請求項1記載のルテニウム錯体
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9515198A JPH11279188A (ja) | 1998-03-25 | 1998-03-25 | ルテニウム錯体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9515198A JPH11279188A (ja) | 1998-03-25 | 1998-03-25 | ルテニウム錯体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11279188A true JPH11279188A (ja) | 1999-10-12 |
Family
ID=14129803
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9515198A Pending JPH11279188A (ja) | 1998-03-25 | 1998-03-25 | ルテニウム錯体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11279188A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1404655A1 (en) * | 2001-05-16 | 2004-04-07 | Dyesol Pty Ltd | Method for large-scale manufacture of dye for dye-sensitised solar cells |
WO2002010286A3 (en) * | 2000-07-31 | 2007-10-18 | Neomat S A | Process for the preparation of carboxylate and phosphonate ruthenium polypyridine dyes and a process for the preparation of reaction intermediates used in such process |
JP2010241810A (ja) * | 2009-04-01 | 2010-10-28 | Sony Corp | ルテニウム錯体の製造方法 |
-
1998
- 1998-03-25 JP JP9515198A patent/JPH11279188A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002010286A3 (en) * | 2000-07-31 | 2007-10-18 | Neomat S A | Process for the preparation of carboxylate and phosphonate ruthenium polypyridine dyes and a process for the preparation of reaction intermediates used in such process |
EP1404655A1 (en) * | 2001-05-16 | 2004-04-07 | Dyesol Pty Ltd | Method for large-scale manufacture of dye for dye-sensitised solar cells |
EP1404655A4 (en) * | 2001-05-16 | 2009-04-22 | Dyesol Pty Ltd | METHOD FOR THE INDUSTRIAL MANUFACTURE OF DYE FOR COLOR-SENSITIZED SOLAR CELLS |
JP2010241810A (ja) * | 2009-04-01 | 2010-10-28 | Sony Corp | ルテニウム錯体の製造方法 |
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