JP2001136999A - 微生物atpの測定法において添加使用されるatp消去前処理剤および同処理剤を用いる微生物atpの高感度測定法 - Google Patents

微生物atpの測定法において添加使用されるatp消去前処理剤および同処理剤を用いる微生物atpの高感度測定法

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JP2001136999A
JP2001136999A JP32195399A JP32195399A JP2001136999A JP 2001136999 A JP2001136999 A JP 2001136999A JP 32195399 A JP32195399 A JP 32195399A JP 32195399 A JP32195399 A JP 32195399A JP 2001136999 A JP2001136999 A JP 2001136999A
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microorganisms
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Yasuhiro Harada
靖広 原田
Seiji Murakami
成治 村上
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Kikkoman Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】微生物を含有する試料、例えば微生物に汚染さ
れた魚介畜肉類やその加工食品を試料として用いる汚染
微生物ATPの高感度測定法の提供。 【解決手段】蛋白質分解活性を有する酵素を有効成分と
して含有する、微生物ATPの測定法において添加使用
されるATP消去前処理剤、蛋白質分解活性を有する酵
素および界面活性剤をそれぞれ有効成分として含有す
る、微生物ATPの測定法において添加使用されるAT
P消去前処理剤、および微生物を含有する試料にATP
消去剤を添加作用せしめて該試料中の遊離ATPを消去
する第一工程、これに微生物ATP抽出剤を添加作用せ
しめて微生物由来のATPを試料中に遊離せしめる第二
工程、ここで遊離したATPを測定する第三工程をこの
順序で行う微生物ATPの測定法において、第一工程と
同時または同工程に先立ち、前記ATP消去前処理剤を
添加作用せしめ、微生物ATPを高感度で測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は微生物ATPの測定
法において添加使用されるATP消去前処理剤およびそ
の処理剤を用いる微生物ATPの高感度測定法に関す
る。特に、微生物を含有する試料、例えば微生物に汚染
された魚介畜肉類やその加工食品を試料として用いる微
生物ATPの測定法において、体細胞ATP抽出剤およ
びATP消去剤によって処理できない、魚介畜肉類由来
のATP結合蛋白質、ATP結合ペプチド、ATPと結
合した細胞片およびATPと結合した組織片など、AT
P結合体の該ATPを、試料中に効率よく遊離せしめる
ための処理剤、(以下、「ATP消去前処理剤」とい
う)およびその処理剤を用いる微生物ATPの高感度測
定法に関する。
【0002】
【従来の技術】飲食品を問わず様々な分野で行われてい
る微生物検査法のひとつに、バイオルミネッセンス法が
ある。この方法は、ルシフェリンの酸化発光量とATP
(アデノシン三リン酸)量が比例することから微生物の
ATP量を指標として菌数を測定する方法である。しか
し、魚介畜肉類やその加工食品には、微生物以外の体細
胞や、遊離ATPが含まれており、試料中の生菌数を通
常のバイオルミネッセンス法で測定しようとしても、体
細胞由来のATP、遊離ATP、微生物由来のATPの
合計のATP量を測定することとなり、微生物由来のA
TP量のみを測定して生菌数を求めることができない問
題を有していた。そこで、これら微生物以外の成分を低
減する以下のような前処理技術を組込んだ方法が提案さ
れた。即ち、試料に、微生物以外の細胞に含まれている
ATPを選択的に抽出する体細胞ATP抽出試薬を添加
し、体細胞由来のATPを抽出し、フリー(遊離)AT
Pと共にATP分解試薬で分解後、これに微生物ATP
抽出試薬を加え微生物由来のATPを抽出し、これにル
シフェリン−ルシフェラーゼ発光試薬を加えて生じた発
光をルミノメータで測定することにより、前記微生物A
TP量を求める方法(月刊フードケミカル「ATPバイ
オルミネッセンス法の微生物汚染対策への有効性」、1
995−5、第55〜63:特開平4−228097:
特表平6−500462号:特開平9−75098参
照)。
【0003】しかし、ここで用いられる体細胞ATP抽
出試薬は、本発明者らの実験によれば、試料に含まれる
ATP結合蛋白質や、ATP結合ペプチド、ATPと結
合した細胞片およびATPと結合した組織片などのAT
P結合体には殆ど作用せず、したがって、該ATP結合
体はその後に行われるATP分解試薬による処理では分
解を受けることなく試料中にそのまま残存し、最後に行
われる微生物ATP抽出試薬による処理により遊離AT
Pとして試料中に抽出されることが判明した。
【0004】従って、微生物以外の成分の影響を低減す
る上記前処理技術を用いて、体細胞ATP抽出剤および
ATP消去剤で処理しても、魚介畜肉類由来のATP結
合蛋白質、ATP結合ペプチド、ATPと結合した細胞
片およびATPと結合した組織片など、ATPと結合し
た物質の該ATPを、試料中に効率よく遊離せしめ、ま
た前記物質と結合したATPを消去することはできず、
最後にATP結合体由来のATPと微生物由来のATP
の合計のATP量を測定することとなって、微生物AT
P量のみを測定して生菌数を求めることはできない場合
がある問題を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような問題点を解決するため、汚染された魚介畜肉
類、その加工食品などを試料として用い、その汚染微生
物ATPを測定する方法において、体細胞ATP抽出剤
やATP消去剤によって処理できない、肉組織由来のA
TP結合蛋白質、ATP結合ペプチド、ATPと結合し
た細胞片、ATPと結合した組織片などの該ATPを、
試料中に効率よく遊離せしめるための処理剤を提供す
る。また、同処理剤を用いる微生物ATPの高感度測定
法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討を重ねた結果、汚染された魚介
畜肉類、その加工食品を試料として用い、これにプロテ
アーゼ活性を有する酵素を添加作用せしめるときは、体
細胞ATP抽出剤や、ATP消去剤によって処理できな
い、試料由来の、体細胞ATPを遊離すると共に、AT
P結合蛋白質、ATP結合ペプチド、ATPと結合した
細胞片およびATPと結合した組織片などの該ATP
を、試料中に効率よく遊離できることを知った。また、
プロテアーゼ活性を有する酵素と共に界面活性剤を添加
作用せしめるときは、ATPを、さらに効率よく、しか
も殆ど完全に遊離できることを知った。
【0007】本発明は、これらの知見に基づいて完成し
たものであって、すなわち(1)本発明はプロテアーゼ
活性を有する酵素を有効成分として含有する、微生物A
TPの測定法において添加使用されるATP消去前処理
剤である。また(2)本発明はプロテアーゼ活性を有す
る酵素と界面活性剤とをそれぞれ有効成分として含有す
る、微生物ATPの測定法において添加使用されるAT
P消去前処理剤である。また(3)本発明はプロテアー
ゼ活性を有する酵素が、ATP結合蛋白質分解活性を有
する酵素である前記記載の微生物ATPの測定法におい
て添加使用されるATP消去前処理剤である。また
(4)本発明は微生物を含有する試料にATP消去剤を
添加作用せしめて該試料中の遊離ATPを消去する第一
工程、これに微生物ATP抽出剤を添加作用せしめて微
生物由来のATPを試料中に遊離せしめる第二工程、こ
こで遊離したATPを測定する第三工程をこの順序で行
う微生物ATPの測定法において、第一工程と同時また
は同工程に先立ち、前記に記載されたATP消去前処理
剤を該試料に添加作用せしめることを特徴とする微生物
ATPの高感度測定法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明で用いる試料としては、微生物ATPを含むと思わ
れるものであれば特に限定されないが、例えば飲食品、
医薬品、化粧品等の各工業製品、その半製品、その原
料、海水、河川水、工業用水、下水、土壌、尿、糞便、
血液、喀痰、膿汁、細胞の培養液等が挙げられる。ま
た、細菌汚染検査、清浄度検査、拭き取り検査等の各種
検査における検体も、本発明の試料として挙げることが
できる。しかし、本発明の効果が顕著に現れる魚介畜肉
類またはその加工食品、処理物を含有する試料が好まし
い。試料は、適当な溶媒(例えば、蒸留水、生理的食塩
水、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝
液等)に懸濁した溶液として使用することが好ましい。
試料が固形分を含む場合には、磨砕、圧潰(ストマッカ
ー処理)またはミキサー処理などにより該試料の組織を
破壊したのち、上記溶媒に懸濁して使用する。
【0009】拭き取り検査における検体を試料とする場
合は、綿棒のような拭き取りスティックを無菌水で湿ら
せ検査箇所を拭き取った後に、無菌水又は試薬液を入れ
た試験管の中ですすぎ、その液体部分を試料とする。
【0010】測定対象のATPが、微生物ATPである
場合は、微生物を含むと思われる溶液あるいは微生物の
培養液等を試料として使用する。また、上記の溶液ある
いは培養液を、親水性または疎水性の濾過膜で濾過して
細胞を捕捉した後に該濾過膜を試料として使用してもよ
い。
【0011】本発明を実施するには、前記した微生物を
含有する試料にATP消去剤を添加作用せしめて該試料
中の遊離ATPを消去する第一工程、これに微生物AT
P抽出剤を添加作用せしめて微生物由来のATPを試料
中に遊離せしめる第二工程、ここで遊離したATPを測
定する第三工程を従来公知の微生物ATPの測定法(従
来法)に行う。しかし、第一工程と同時または同工程に
先立ち、(1)プロテアーゼ活性を有する酵素を有効成
分として含有するATP消去前処理剤、または(2)プ
ロテアーゼ活性を有する酵素と界面活性剤とをそれぞれ
有効成分として含有するATP消去前処理剤、を添加作
用せしめ点は従来法と異なる。
【0012】プロテアーゼ活性を有する酵素は、例え
ば、試料、培地、各種試薬、容器、測定器具、測定装置
など(以下、「測定系」ということがある)に含有され
る蛋白質を分解する活性を有する酵素が挙げられるが、
特にATP結合蛋白質を分解し、試料にATPを遊離す
る活性を有する酵素、具体的にはStreptomyc
es g riseus属微生物が生産するプロテアーゼ
および市販酵素プロナーゼ(商品名、ロッシュ社製)が
好ましい。また生物由来で精製した天然のプロテアーゼ
や、遺伝子工学的手法により調製した組み換えのプロテ
アーゼ、さらには天然のプロテアーゼのアミノ酸配列中
の1または複数のアミノ酸に付加、欠失、置換等の変異
を導入した変異プロテアーゼを用いてもよい。
【0013】本発明においてプロテアーゼ活性を有する
酵素を用いると、「肉片などをストマッカー処理し、滅
菌水に希釈した溶液を試料とした場合、試料中に含有さ
れるATP結合蛋白質、ATP結合ペプチド、ATPと
結合した細胞片およびATPと結合した組織片などに、
付着あるいは内蔵されるATPを溶液中に遊離させる作
用」を期待することが可能となる。
【0014】なお、界面活性剤とプロテアーゼ活性を有
する酵素とを併用すると、プロテアーゼが効率よく作用
し、ATPが遊離し易くなるので好ましい。
【0015】プロテアーゼを添加作用せしめるときの条
件は、試料の種類、性状等に応じて適宜設定すること好
ましく、通常は以下の要領で行うことが好ましい。 (1)プロナーゼの終濃度:1〜70U/ml(Uは国
際単位)(特に10U〜30U/mlが好ましい) (2)pH条件:弱酸性〜弱アルカリ性(特にpH6.
0〜8.5が好ましい) (3)反応温度:20〜50℃(特に30〜45℃が好
ましい) (4)反応時間:10秒〜2時間(特に15〜60分が
好ましい)
【0016】また、本発明のATP消去前処理剤として
用いられる界面活性剤としては、ATP結合体の該AT
Pを選択的に遊離または抽出できる界面活性剤が使用で
きるが、特に非イオン系界面活性剤(例えば、ドデシル
マルトシド、ジギトニン、Tween80、オクチルグ
ルコシド)および陰イオン界面活性剤(例えばコール酸
ナトリウム)などが好ましい。
【0017】界面活性剤の終濃度は、界面活性剤や試料
の種類などによっても異なるが、例えばドデシルマルト
シドを用い、魚介畜肉類の処理液を試料とした場合、濃
度は、0.001〜5%が好ましく、特に0.01〜1
%が好ましい。pH条件、反応温度、反応時間は、それ
ぞれプロテアーゼを添加作用せしめるときの条件と同一
とすることが好ましい。
【0018】本発明のATP消去前処理剤は、固体状
(例えば、顆粒状、粉末状、錠剤状等)であっても、液
体状であってもよいが、操作の簡便性からすると、液体
状であることが好ましい。その場合、有効成分であるプ
ロテアーゼを、滅菌処理した水や適当な緩衝液(例え
ば、リン酸緩衝液、ヘペス(HEPES)緩衝液、メス
(MES)緩衝液)に溶解すればよい。そして、上記の
成分以外に、他の成分、たとえば賦形剤、分散剤、乳化
剤、保存剤、防腐剤、pH緩衝剤、吸湿剤等が使用可能
である。これらの成分の種類や、添加量は特に限定され
ず、試料の用途、操作性、測定系の種類、試料の形態等
に応じて適宜設定すれば良い。
【0019】以下に、本発明の微生物ATPの測定法の
一具体例を以下に示す。 第一工程:細胞を含む試料に、本発明のATP結合蛋白
質分解活性を有する酵素を有効成分として含有するAT
P消去前処理剤を添加し、試料中に含まれる蛋白質ある
いはペプチドに付着あるいは内蔵されるATPを溶液中
に遊離させる。
【0020】第二工程:試料に遊離させたATPおよび
元来から存在する遊離ATPを測定系に影響がないよう
に処理する。すなわち、フィルターを用いる方法や遠心
分離による方法、さらには、溶液中にATP分解活性を
有する酵素(以下「ATP分解酵素」ということがあ
る)を添加作用せしめATPを分解する方法など任意の
方法により、遊離ATPの影響を取り除く。このうち、
簡便性や迅速性を考えた場合、ATP分解酵素を用いる
方法がより好ましい。ATP分解酵素としては、例え
ば、アデノシンリン酸デアミナーゼを単独で使用する
か、または、アピラ−ゼ、アルカリホスファタ−ゼ、酸
性ホスファタ−ゼ、ヘキソキナ−ゼ及びアデノシントリ
ホスファタ−ゼからなる群の少なくとも1種と、アデノ
シンリン酸デアミナーゼとを併用する。この工程におい
て、ATP分解酵素がプロテアーゼにより分解されにく
い性質を有する場合は、プロテアーゼを併用することが
好ましい。なお、この第二工程で添加したATP分解酵
素は、次の工程に入る前に失活させておくことが好まし
い。なぜなら、この後につづく微生物ATP抽出時に、
先に添加したATP消去剤(ATP分解酵素試薬)が、
試料(検体)中に残存するため、抽出される微生物由来
のATPが分解され、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反
応の結果生じる発光量の減少がおこり、微生物細胞感度
が低下するからである。酵素活性を失活させる方法とし
ては、特に限定されないが、例えば、活性阻害剤を添加
することにより酵素を失活させる方法が挙げられる。酵
素の活性阻害剤としては、後述するATP抽出試薬を添
加使用することができる。さらには、酸またはアルカリ
を添加することにより、試料のpHを、該酵素が失活す
る範囲に変化させる方法が使用できる。
【0021】第三工程:微生物ATP抽出剤を添加作用
せしめて微生物由来のATPを試料中に抽出する。微生
物細胞内ATPを抽出する方法としては、試料にATP
抽出試薬を添加する方法が好適である。ATP抽出試薬
としては、例えば、界面活性剤、エタノールとアンモニ
アの混合液、メタノール、エタノール、トリクロル酢
酸、過塩素酸等が使用できるが、このうち界面活性剤は
ATPの抽出効率が高いの好ましい。界面活性剤として
は、アニオン界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリ
ウム(SDS)、ラウリル硫酸カリウム、モノラウロイル
リン酸ナトリウム、アルキルベン スルホン酸ナトリウ
ム)、カチオン界面活性剤(例えば、塩化ベンザルコニ
ウム(BAC)、塩化ベンゼトニウム(BZC)、塩化セチル
ピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩
化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム)、両性
(ツイッター)界面活性剤(例えばTwittergent Deterg
ent 3-08, 3-10,3-12, 3-14, 3-16、Tego)、非イオン
性界面活性剤(例えば、 Tween 20, 60, 80、Span 60,
80、 Triton X-45, X-100, ポリオキシエチレンエーテ
ル、ポリオキシエチレンラウリ ルエーテル)が使用で
きる。
【0022】第四工程:抽出されたATPを測定する。
抽出された細胞内ATPの測定法は、従来公知のATP
の測定法により実施することができる(特開平10−1
46199参照)。このうち特にルシフェリン−ルシフ
ェラーゼ発光試薬を用いる方法(生物発光法)が簡便、
迅速に測定可能で、かつ測定値の信頼性が高い結果が得
られるので好適である。この場合は、抽出されたATP
を含む試料を、ルシフェリン−ルシフェラーゼ発光試薬
と接触させ、生成した発光量を測定して微生物内ATP
量を求める。生物発光試薬中のルシフェラーゼがホタル
ルシフェラーゼである場合、生物発光試薬は、ルシフェ
リン、ルシフェラーゼおよびマグネシウムイオンを含む
ことが好ましい。生成した発光量は、ルミノメーター、
例えばルミテスター C−100、K−100、K−2
00、K−210(いずれもキッコーマン社製)、ルミ
ネッセンスリーダーBLR−201改良型(アロカ社
製)、Lumat LB9501(ベルトールド社製)により測定
することができる。また、微生物を捕捉した濾過膜を試
料とする場合、生物発光画像解析システム装置、例えば
ARGUS−50/CL〔テーパーファイバー付:浜松
ホトニクス(株)社製〕を用いて濾過膜上の輝点を撮像
することにより、微生物数を測定することが可能であ
る。
【0023】
【実施例】以下実施例によりさらに詳細に説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】実施例1 (ATP消去前処理剤の調製例)ATP結合蛋白質分解
活性を有する酵素プロナーゼ(ロッシュ社製)を終濃度
3mg/mlとなるように滅菌蒸留水に溶解調製して、
微生物ATPの測定法において添加使用されるATP消
去前処理剤を調製した。
【0025】実施例2 (ATP消去前処理剤の調製例)ATP結合蛋白質分解
活性を有する酵素プロナーゼ(ロッシュ社製)および界
面活性剤ドデシルマルトシド(ロッシュ社製)を終濃度
がそれぞれ3mg/ml、0.05重量%となるように
滅菌蒸留水に溶解して、微生物ATPの測定法において
添加使用されるATP消去前処理剤を調製した。
【0026】実施例3 微生物が含まれる鳥肉「ささみ」を低温室で保管し、経
時的に約10gサンプリングしたものを試料とし、プロ
テアーゼおよび界面活性剤を有効成分とするATP消去
前処理剤を用いて、該試料の前処理を行い、次に遊離A
TPを消去し、さらに微生物内ATP由来の発光量を測
定し、微生物数と発光量の相関性を検討した。
【0027】(1)試料の調製:低温室で保管しておい
たささみを約10g随時サンプリングし、重さを測定
し、9倍容の滅菌したペプトン加生理食塩水を試料とと
もにストマフィルターPに移し、ストマッカー400−
T(オルガノ社製)でNORM、60SECの条件で処
理を行い、フィルターをとおって出てきた溶液を試料液
とした。
【0028】第一工程:試料のATP消去前処理 試料0.1mlに、実施例2で得られたATP消去前処
理剤0.2mlを添加した後、37℃で30分間処理
し、試料のATP消去前処理を行った。
【0029】第二工程:試料中の遊離ATPの消去 反応処理液(試料)にルシフェールMilk希釈液(キ
ッコーマン社製)0.6mlを添加し、そこに、ATP
消去試薬(キッコーマン社製、付属の発光試薬溶解液で
溶解したもの)0.1mlを添加して、攪拌後、室温で
30分間反応することにより遊離ATPの消去を行っ
た。
【0030】第三工程:微生物内ATPの抽出 遊離ATPを消去した試料を0.1ml採取し、そこ
に、ATP抽出試薬(キッコーマン社製)0.1mlを
添加して、攪拌後、20秒間放置することにより微生物
内ATPの抽出を行った。
【0031】第四工程:発光量の測定 ATP抽出を行った試料0.2mlに、ルシフェール発
光試薬−HS(キッコーマン社製付属の発光試薬溶解液
で溶解したもの)0.1mlを添加し、直ちに、キッコ
ーマン社製ルミテスター(Lumitester)C−
100を用いて、その発光量を測定した。このときの発
光量を、消去されてない遊離ATPと微生物内ATPの
トータルの発光量(T)とした。
【0032】試料のかわりに、滅菌ペプトン加生理食塩
水を用いて、ATP消去の前処理、ATPの消去、AT
P抽出剤の添加、発光量の測定を行った。このときの発
光量を、消去できなかった遊離ATP量(フリー値)F
とした。
【0033】トータル値Tからフリー値Fを減すること
により、微生物内ATPの正確な発光量を求めることが
でき、これを補正発光量として求めた。
【0034】(混釈培養法により試料の微生物数CFU
/mlの算出試験)通常の混釈培養法を用いて、試料中
に含まれる微生物数を求めた。得られた値を微生物数の
実測値とした。
【0035】まず、試料と滅菌済みペプトン加生理食塩
水で希釈系列を作成し、滅菌シャーレに0.1mlの上
記希釈試料を滅菌ピペットで無菌的に採取し、あらかじ
め、121℃20分間で滅菌処理を行い、その後、約5
0℃に冷却した溶解済みの標準寒天培地(0.25%酵
母エキス、0.5%トリプトン、0.1%ブドウ糖、p
H7.1、2.0%寒天)を加え、均一に混和した後、
平板として固めた。次に、その平板を30℃で48時間
培養し、出現したコロニーの計測を行った。そのコロニ
ー数より微生物を求め、微生物CFUとした。
【0036】上記により求められた微生物数と補正発光
量(RLU)との相関関係を、図1(本発明のATP消
去前処理剤の結果)に示す。
【0037】
【比較例】(比較例1)上記実施例3の「微生物数と発
光量の相関性検討試験」において、「ATP消去前処理
剤を用いない」以外は全く同様にして、微生物数と発光
量の相関性検討試験を行った。その結果を図2に示す。
【0038】図1および図2の結果から、先ず図1で
は、微生物数と補正発光量(RLU)との相関関係が高
く、傾きが1の直線関係になっているが、本発明のAT
P消去前処理剤を使用していない図2では、微生物数と
補正発光量(RLU)との相関関係が低く、傾き1の直
線性になっていない。このことから、本発明のATP消
去前処理剤を使用した場合は、発光量より試料中の微生
物数を類推することは容易であるが、比較例では、微生
物以外のATPすなわち標的外ATPも標的ATPと共
に測定していることから、発光量より試料中の微生物数
を類推することが困難になっている。この結果、本発明
のATP消去前処理剤が、微生物内ATPの測定法にお
いて好適に使用できることが示された。
【0039】実施例4 実施例3と同様にして、低温室で保管しておいたささみ
を約10gサンプリングし、重さを測定し、9倍容の滅
菌したペプトン加生理食塩水を試料とともにストマフィ
ルターPに移し、ストマッカー400−T(オルガノ社
製)でNORM、60SECの条件で処理を行い、フィ
ルターをとおって出てきた溶液を試料液とした。次い
で、実施例3の「微生物数と発光量の相関性検討試験」
において、「実施例2のATP消去前処理剤(プロナー
ゼと界面活性剤の併用)」を用いる代わりに「実施例1
のATP消去前処理剤(プロナーゼ単独使用)」を用い
る以外は、全く同様にして微生物数と発光量の相関性検
討試験を行った。そして、微生物数と補正発光量(RL
U)の関係を調べた。結果をまとめて表1に示す。
【0040】 表1:本発明のATP消去前処理剤を用いたときの補正発光量と微生物数の値 補正発光量 微生物数 (RLU) (CFU/ml) プロナーゼ単独使用 9327 1.9×105 (実施例1のATP消去前処理剤) プロナーゼと界面活性剤の併用 1268 1.9×105 (実施例2のATP消去前処理剤)
【0041】表1の結果から、ささみに含有される微生
物数が、混釈培養法で微生物数1.9×105/mlで
あるとき、(1)ATP消去前処理剤を用いないとき
は、図2に示す如く105〜106のRLUを示すが、
(2)実施例1のATP消去前処理剤(プロナーゼ単独
使用)を用いるときは、RLUを9327、即ち約10
4のレベルまで低減することが可能となり、また(3)
実施例2のATP消去前処理剤(プロナーゼと界面活性
剤の併用)を用いるときは、RLUを1268、即ち1
3のレベルまで低減することが可能となることが判
る。このことから、ATP消去前処理剤としてATP結
合蛋白質分解活性を有する酵素プロナーゼを使用するこ
とにより、補正発光量と菌数の相関は改善されるが、さ
らにATP消去前処理剤にプロナーゼと界面活性剤を併
用することにより、微生物以外のATPをより効果的に
消去できることが判る。
【0042】
【発明の効果】従来の微生物ATPの測定法において
は、体細胞ATP抽出剤およびATP消去剤によって処
理できない、試料由来のATP結合蛋白質、ATP結合
ペプチド、ATPと結合した細胞片、およびATPと結
合した組織片など、ATP結合体を含有する試料中の該
ATPは、前述した理由によりバックグラウンドとして
検出されるため、試料の微生物数を正確に測定できない
という問題があったが、本発明によれば、上記ATP結
合体の該ATPを、試料中に効率よく遊離せしめるた
め、正確に微生物数を測定することが可能となる。ま
た、穀類、豆類、果実、野菜、それらの加工食品を試料
とする場合でも、同様に正確に微生物数を測定すること
が可能となる。そして特に、微生物に汚染された魚介畜
肉類加工食品(特に食肉、その加工食品)を試料として
用い、上記汚染微生物ATPを測定しようとするとき、
この試料中のバックグラウンドATPの消去(または低
減)は非常に困難で、微生物ATPの検出限界が低くな
り、このため微生物汚染度の低い試料中の該微生物数を
測定しようとする場合、微生物ATPの測定法を利用で
きない場合が多いという問題があったが、本発明によれ
ば、試料中のバックグラウンドATPの消去(または低
減)が容易となり、高感度に微生物数を測定することが
可能となる。本発明のATP消去前処理剤を用いると、
測定系から生じる発光を測定することにより、ATPの
消去状況の確認を簡単に行なうことができる。本発明
は、遊離ATPの消去する方法として好適である。ま
た、本発明のATP消去剤は特に、試料中の遊離ATP
を消去して細胞内ATPを測定する方法において好適に
使用できる。本発明によれば、飲食物、医薬品、化粧品
等の各工業製品、その半製品、その原料、海水、河川
水、工業用水、下水、土壌、尿、糞便、血液、喀痰、膿
汁、細胞の培養液および空気などに含まれる微生物AT
Pの測定法に利用され、また細菌汚染検査、清浄度検
査、拭き取り検査などにも利用され、高感度な微生物数
の測定が可能となる。また、測定系(例えば、試料、培
地、各種試薬、容器、測定器具、測定装置等)にATP
やATP結合体が混入することによる測定感度の低下が
問題となっていた試料の微生物ATPの高感度測定が可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3における微生物数と補正発光量との相
関性を示す図
【図2】比較例1における微生物数と補正発光量との相
関性を示す図

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プロテアーゼ活性を有する酵素を有効成分
    として含有する、微生物ATPの測定法において添加使
    用されるATP消去前処理剤。
  2. 【請求項2】プロテアーゼ活性を有する酵素と界面活性
    剤とをそれぞれ有効成分として含有する、微生物ATP
    の測定法において添加使用されるATP消去前処理剤。
  3. 【請求項3】プロテアーゼ活性を有する酵素が、ATP
    結合蛋白質分解活性を有する酵素である請求項1または
    請求項2に記載されたATP消去前処理剤。
  4. 【請求項4】微生物を含有する試料にATP消去剤を添
    加作用せしめて該試料中の遊離ATPを消去する第一工
    程、これに微生物ATP抽出剤を添加作用せしめて微生
    物由来のATPを試料中に遊離せしめる第二工程、ここ
    で遊離したATPを測定する第三工程をこの順序で行う
    微生物ATPの測定法において、第一工程と同時または
    同工程に先立ち、請求項1〜請求項3のいずれかに記載
    されたATP消去前処理剤を該試料に添加作用せしめる
    ことを特徴とする微生物ATPの高感度測定法。
  5. 【請求項5】遊離したATPを測定する手段として、ル
    シフェリン−ルシフェラーゼ発光試薬を使用することを
    特徴とする請求項4に記載された微生物ATPの高感度
    測定法。
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