JP2001135867A - 熱電素子モジュール - Google Patents

熱電素子モジュール

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JP2001135867A
JP2001135867A JP31584899A JP31584899A JP2001135867A JP 2001135867 A JP2001135867 A JP 2001135867A JP 31584899 A JP31584899 A JP 31584899A JP 31584899 A JP31584899 A JP 31584899A JP 2001135867 A JP2001135867 A JP 2001135867A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 基板の熱伝導性が優れ、熱効率が良く、かつ
基板の熱膨張率が半導体のそれと類似し、有害な大きな
熱応力が発生することなく信頼性が高い、高性能の熱電
素子モジュールを提供すること。 【解決手段】 複数枚の基板が対向して配置されてお
り、該対向する複数枚の各基板の対向面にそれぞれ金属
電極が接合されており、該金属電極を介して複数のn型
およびp型の半導体が交互に接続されている熱電素子モ
ジュールにおいて、上記複数枚の基板を炭素質材料から
なる炭素質基板で構成し、上記金属電極の基板への接合
を電気絶縁性を備えた接合手段で行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゼーベック効果を利用
する発電用素子モジュールとしても、或いはペルチェ効
果を利用する冷却又は加熱用素子モジュールとしても用
い得る熱電素子モジュールに関する。さらに詳しくは、
基板として炭素質基板を用いた、熱効率に優れ、かつ信
頼性の高い熱電素子モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、複数枚の基板が対向して配置
されており、該対向する複数枚の各基板の対向面にそれ
ぞれ金属電極が接合されており、該金属電極を介して複
数のn型及びp型の半導体が交互に接続されている熱電
素子モジュールは知られている。この熱電素子モジュー
ルは、一般に、いわゆるゼーベック効果、すなわちn型
半導体とp型半導体を接続し、該接続部を高温側端部と
して高温に保持し、該高温側端部と反対側のn型半導体
及びp型半導体の各脚部を低温側端部として低温に保持
して、該高温側端部と該低温側端部の間に温度差をつけ
たときに起電力が発生するゼーベック効果を利用して、
発電用熱電素子モジュールとして利用されたり、或い
は、いわゆるペルチェ効果、すなわちn型半導体とp型
半導体を接続し、該接続部とは反対側のn型半導体の脚
部にプラス電圧を、p型半導体の脚部にはマイナス電圧
をそれぞれ掛け、n型半導体からp型半導体へ電流を流
すと、n型半導体とp型半導体の接合部で熱が吸収さ
れ、n型半導体及びp型半導体の各脚部に熱が発生さ
れ、逆に、p型半導体からn型半導体へ電流を流すと、
n型半導体とp型半導体の接合部に熱が発生され、n型
半導体及びp型半導体の各脚部で熱が吸収されるペルチ
ェ効果を利用して、冷却又は加熱用熱電素子モジュール
として利用される。
【0003】上記従来の熱電素子モジュールには、1段
モジュール或いは多段モジュールがあるが、対向して配
置される基板が2枚である1段モジュールの場合の基本
的構造は、図6に模式的断面図として示したような構造
である。すなわち、熱電素子モジュールAは、対向する
2枚の基板1、1´の対向面2、2´にそれぞれ金属電
極4、4´が接合されており、これらの金属電極4、4
´を介して複数のn型半導体5及びp型半導体6が交互
に接続されて構成されている。図6において図示を省略
したが、一般に、金属電極4、4´は基板1、1´に例
えば接着剤層等の接合手段で接合されており、またn型
半導体5及びp型半導体6は金属電極4、4´に例えば
半田層等の接合手段で接合されている。また、同様に図
6において図示を省略したが、基板1、1´の外面3、
3´には、一般に、加熱手段、冷却手段或いは被冷却物
等の部品ないし設備が接合される。すなわち、当該熱電
素子モジュールがゼーベック効果を利用する発電用熱電
素子モジュールとして用いられる場合であって、基板1
の対向面2側がn型半導体5とp型半導体6の各脚部の
低温側端部側であり、基板1´の対向面2´側がn型半
導体5とp型半導体6の接合部の高温側端部側であると
すれば、基板1の外面3には、例えば放熱フィン等の上
記各脚部の低温側端部を低温に保持するための冷却手段
が接合され、一方基板1´の外面3´には、例えば受熱
フィン等の上記接続部の高温側端部を高温に保持するた
めの加熱手段が接合される。また、当該熱電素子モジュ
ールがペルチェ効果を利用する例えば冷却用熱電素子モ
ジュールとして利用される場合であって、電流がp型半
導体6からn型半導体5へ流され、基板1の対向面2側
がn型半導体5とp型半導体6の各脚部の吸熱側端部側
であり、基板1´の対向面2´側がn型半導体5とp型
半導体6の接合部の発熱側端部側であるとすれば、基板
1の外面3には、上記各脚部の吸熱側端部により冷却す
る被冷却物が接合され、一方基板1´の外面3´には、
例えば放熱フィン等の上記接続部の発熱側端部の熱を放
熱するための冷却手段が接合される。
【0004】また、対向して配置される基板が3枚であ
る2段モジュールの場合の基本的構造は、図7に模式的
断面図として示したような構造である。すなわち、熱電
素子モジュールBは、第一段目のモジュールb1 と第二
段目のモジュールb2 からなる。そして、第一段目のモ
ジュールb1 は、図6の熱電素子モジュールAと同様の
構成であって、対向する2枚の基板1、1´、基板1、
1´の対向面2、2´にそれぞれ接合された金属電極
4、4´、金属電極4、4´を介して交互に接続された
複数のn型半導体5及びp型半導体6からなっている。
また、第二段目のモジュールb2 も、第一段目のモジュ
ールb1 と同様の構成であって、対向する2枚の基板1
´、1´´の対向面2´´、2´´´にそれぞれ金属電
極4´´、4´´´が接合されており、これらの金属電
極4´´、4´´´を介して複数のn型半導体5´及び
p型半導体6´が交互に接続されて構成されている。そ
して、第一段目のモジュールb1 の熱電素子モジュール
(交互に接続された複数のn型半導体5及びp型半導体
6)と第二段目のモジュールb2 の熱電素子モジュール
(交互に接続された複数のn型半導体5´及びp型半導
体6´)は直列に接続されている。図7において図示を
省略したが、一般に、金属電極4´´、4´´´は基板
1´、1´´に例えば接着剤層等の接合手段で接合され
ており、またn型半導体5´及びp型半導体6´は金属
電極4´´、4´´´に例えば半田層等の接合手段で接
合されている。しかして、同様に図7において図示を省
略したが、基板1、1´´のそれぞれの外面3、3´´
には、一般に、図6の熱電素子モジュールAにおける基
板1、1´のそれぞれの外面3、3´の場合と同様、加
熱手段、冷却手段或いは被冷却物等の部品ないし設備が
接合される。また、2段モジュールは、対向して配置さ
れる基板を4枚用いて構成されることもある。すなわ
ち、その基本的構造を図8に模式的断面図として示した
ように、第一段目のモジュールb1 及び第二段目のモジ
ュールb2 をそれぞれ、図6の熱電素子モジュールAと
同様の1段モジュールのような構造とし、第一段目のモ
ジュールb1 の基板1´の外面3´と、第二段目のモジ
ュールb2 の基板1の外面3とを、図8において図示を
省略したが、例えば接着剤層等の接合手段で接合して構
成されることもある。さらにまた、多段モジュールにお
けるモジュール段数は、一般に6段程度までである。
【0005】上記従来の熱電素子モジュールにおいて
は、一般に、基板として、セラミック板が用いられてい
る。しかし、この基板としてセラミック板を用いた従来
の熱電素子モジュールにおいては、セラミック板は熱伝
導性が劣るので、熱効率が悪いという問題がある。すな
わち、ゼーベック効果を利用する発電用熱電素子モジュ
ールとして用いる場合は、高温側端部を高温保持するた
めの加熱も、低温側端部を低温保持するための冷却も熱
伝導性が劣るセラミック基板を通して行うこととなり、
必然的に熱効率は低下する。また、ペルチェ効果を利用
する冷却又は加熱用熱電素子モジュールとして用いる場
合も、吸熱側端部による被冷却物の冷却も、発熱側端部
による被加熱物の加熱も熱伝導性が劣るセラミック基板
を通して行うこととなり、必然的に熱効率は低下する。
【0006】上記の基板としてセラミック板を用いた熱
電素子モジュールの熱効率が悪いという問題を改善する
ものとして、基板として例えばアルミニウム等の金属板
を用いた熱電素子モジュールなども知られている。しか
し、この基板としてアルミニウム等の金属板を用いた熱
電素子モジュールにおいては、金属板は、熱伝導性は良
好であるが、熱膨張率が半導体やセラミック板等と比べ
て非常に大きいので、基板の金属板と半導体との間など
に大きな熱応力が生じ、それらの接合部の剥離、半導体
の破損等の恐れがあるという信頼性に関する別の問題が
ある。当該熱電素子モジュールがゼーベック効果を利用
する発電用として、あるいペルチェ効果を利用する冷却
又は加熱用として機能するいずれの場合でも、上記のよ
うに構成部位に高温部と低温部があって、基板を金属板
とした場合、大きな熱応力が発生する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の状況に鑑み、基板の熱伝導性が優れ、熱効率が良
く、かつ基板の熱膨張率が半導体のそれと類似し、有害
な大きな熱応力が発生することなく信頼性が高い、高性
能の熱電素子モジュールを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記本発明
の目的を達成すべく鋭意研究した結果、熱電素子モジュ
ールを構成するに当たり、基板として炭素質材料からな
る炭素質基板を用いること、及び、該炭素質基板と金属
電極の接合を電気絶縁性を備えてなすことにより、上記
本発明の目的を達成できることを見出して本発明を完成
した。
【0009】すなわち、本発明は、上記本発明の目的を
達成するために、複数枚の基板が対向して配置されてお
り、該対向する複数枚の各基板の対向面にそれぞれ金属
電極が接合されており、該金属電極を介して複数のn型
及びp型の半導体が交互に接続されている熱電素子モジ
ュールにおいて、上記複数枚の基板が炭素質材料からな
る炭素質基板で構成され、上記金属電極の基板への接合
が電気絶縁性を備えてなされていることを特徴とする熱
電素子モジュールを提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の熱電素子モジュールに用
いる炭素質基板としては、一般に、炭素繊維を補強材と
し、炭素をマトリックスとする炭素繊維強化炭素複合材
料、或いは等方性高密度炭素材料などの炭素質材料から
なる板状物が用いられる。この炭素質基板の厚さは、必
要に応じて適宜設定することができるが、一般に、強度
やコストの点から0.3〜5mmが適当である。
【0011】上記炭素質基板に用いる炭素繊維強化炭素
複合材料としては、従来から知られた種々の炭素繊維強
化炭素複合材料を適宜選択して用いることができる。炭
素繊維強化炭素複合材料には、一般に、炭素繊維の配列
の仕方に種々あり、炭素繊維を一方向にそろえて配列し
て束にした1次配向のもの、炭素繊維を平織、綾織、朱
子織等の織布にした2次配向のもの、炭素繊維をいわゆ
る立体織した3次配向のものなどがあり、また炭素繊維
をフェルトや短繊維にして用いたもの等がある。本発明
においては、種々の炭素繊維の配列の仕方のものを適宜
選択して用いることができる。また、炭素繊維強化炭素
複合材料は、一般に、上記各種の配向の仕方の炭素繊維
集合体に、フェノール樹脂などのような熱硬化性合成樹
脂、或いは石油ピッチなどのようなピッチ等のマトリッ
クス材を含浸させてプリプレグを調製し、かかるプリプ
レグを、必要に応じて複数枚積層して、加圧下に加熱し
てマトリックス材を硬化させ、さらに不活性雰囲気中で
高温焼成してマトリックス材を炭素化して製造される。
また、炭素繊維が短繊維の場合は、一般に、マトリック
ス材に炭素繊維の短繊維を混合し、該混合物を所定形状
に成形し、該成形物を加圧下に加熱してマトリックス材
を硬化させ、さらに不活性雰囲気中で高温焼成してマト
リックス材を炭素化して、炭素繊維強化炭素複合材料が
製造される。炭素質基板に用いる炭素繊維強化炭素複合
材料は、炭素質基板としての所定の厚さの板状に製造さ
れたものでも良いし、或いはブロック状に製造された炭
素繊維強化炭素複合材料から、それを炭素質基板として
の所定の厚さの板状に切断して切り出されたものでも良
い。また、上記各種炭素繊維強化炭素複合材料を構成す
る炭素繊維、炭素マトリックスは黒鉛化されていても差
し支えない。
【0012】上記各種炭素繊維強化炭素複合材料の中で
も、炭素繊維が一方向にそろえて配列された1次配向の
炭素繊維強化炭素複合材料のブロックから、それを該炭
素繊維の配列方向に対して直角方向に所定の厚さの板状
に切断して切り出されるような、炭素マトリックス中に
おいて厚さ方向に炭素繊維が配列してなる板状物が、特
に厚さ方向への熱伝導性に優れているので、炭素質基板
として好ましく用いられる。上記炭素繊維強化炭素複合
材料のブロックからの板状物の切り出しは、ワイヤーソ
ー、回転ダイヤモンドソー等のそれ自体公知の切断手段
により行うことができる。図1に、上記のような板状物
を炭素質基板として用いた場合の本発明の熱電素子モジ
ュールの一例における炭素質基板の金属電極が接合され
ている部分の断面を模式的に図示する。図1に示した例
においては、炭素マトリックス11a中において厚さ方
向に炭素繊維11bが配列してなる炭素質基板11の片
面に、電気絶縁性を備えた接合手段12よって金属電極
13が接合されている。金属電極13には、図示を省略
したが、n型及びp型の半導体が接合される。この図1
に示した例においては、炭素質基板11の片面のみに金
属電極13が接合されているが、炭素質基板11には、
それが多段モジュールにおける中間のモジュールの形成
に用いられるような場合、その両面に金属電極13を接
合することができる。また、図1の(a)は、金属電極
13の接合、形成が、後記の金属貼り積層板にフォト
リソグラフィー技術を適用する方法で行われ、その際、
金属電極パターン形成のためのエッチングが余分の金属
箔と共に、余分の金属箔部分の接着剤層(接合手段1
2)まで除去して行われた場合、又は、後記の所望の
金属電極パターンのリードフレームを接合手段12によ
って炭素質基板11に接合する方法で行われ、その際、
接合手段12が金属電極13を形成するリードフレーム
と炭素質基板11の間にのみ設けられた場合の例であ
る。(b)は、金属電極13の接合、形成が、上記の
方法で行われ、その際、エッチングが余分の金属箔のみ
を除去して(接着剤層は除去されない)行われた場合、
又は、上記の方法で行われ、その際、接合手段12が
炭素質基板11の表面を覆うように設けられた例であ
る。(c)は、金属電極13の接合、形成が、上記の
方法で行われ、その際、金属電極13を形成するリード
フレームを接合手段12中にめり込ませ、金属電極13
を形成するリードフレームの表面と接合手段12の表面
が、リードフレームの金属電極パターンの間隙におい
て、平坦になるように設けられた例である。なお、図2
の(b)及び(c)においては、炭素マトリックス11
a及び炭素繊維11bを示すための炭素質基板11の部
分拡大図は省略した。
【0013】また、上記炭素質基板に用いる等方性高密
度炭素材料としても、従来から知られた種々の等方性高
密度炭素材料を適宜選択して用いることができる。等方
性高密度炭素材料は、一般に、生コークスやメソカーボ
ンマイクロビーズ等の焼結性を有する黒鉛前駆体の微粒
子を加圧成形しつつ高温で焼成することにより、或いは
黒鉛微粒子やカーボンウイスカー粉体等をピッチや合成
樹脂等の炭素前駆体からなるバインダーと混合して加圧
成形、焼成することにより製造される。炭素質基板に用
いる等方性高密度炭素材料は、炭素質基板としての所定
の厚さの板状に製造されたものでも良いし、或いはブロ
ック状に製造された等方性高密度炭素材料から、それを
炭素質基板としての所定の厚さの板状に切断して切り出
されたものでも良い。また、上記各種等方性高密度炭素
材料は黒鉛化されていても差し支えない。
【0014】上記の炭素繊維強化炭素複合材料或いは等
方性高密度炭素材料のいずれも、一般に、その製造過程
に由来する微細孔を有していてポーラスである。そし
て、これらの材料の微細孔に無機コーティング剤或いは
金属を含浸させ、非多孔質化することによって、当該材
料の熱伝導性が一層向上される。したがって、本発明で
は、必要に応じて、上記各炭素質材料を、その微細孔に
無機コーティング剤或いは金属を含浸させて炭素質基板
として用いることができ、基板の熱伝導性の一層の向上
という観点からは、そうすることが好ましい。
【0015】上記の各炭素質材料に含浸させる無機コー
ティング剤としては、液状であって炭素質材料の微細孔
に含浸させることができ、含浸後に硬化して炭素質材料
を非多孔質化する無機質硬化物を形成する各種無機コー
ティング剤を適宜選択して用いることができる。その例
として、常温或いは加熱下に架橋反応が進行してセラミ
ック様の硬化物を形成する無機のケイ素含有ポリマー、
アルミナセメントのようなセメント、水ガラス類等を含
有する無機系バインダーが挙げられる。これらの無機コ
ーティング剤は、その含浸性を高めるために、有機溶媒
で希釈することができる。また、上記無機コーティング
剤のなお一層具体的な例を挙げれば、ケイ素含有ポリマ
ーを形成するHEATLESS GLASS GAシリ
ーズ(商品名:ホーマーテクノロジー社製)、ポリシラ
ザン類である東燃ポリシラザン(商品名:東燃社製)、
無機バインダーであるレッドプルーフ MR−100シ
リーズ(商品名:熱研社製)等が挙げられる。
【0016】炭素質材料の微細孔に無機コーティング剤
を含浸させる方法としては、炭素質材料に無機コーティ
ング剤を刷毛等により塗布する方法、炭素質材料を無機
コーティング剤中に浸漬する方法、高圧にて炭素質材料
に無機コーティング剤を圧入する方法、高真空にて炭素
質材料に無機コーティング剤を吸入する方法等が挙げら
れる。炭素質材料に含浸された無機コーティング剤は硬
化される。この際、無機コーティング剤の硬化条件は、
用いた無機コーティング剤の種類に応じて適宜設定する
ことができるが、例えば無機コーティング剤がHEAT
LESS GLASSである場合は、一般に約130℃
で60分間加熱するのが適当である。
【0017】上記の各炭素質材料に含浸させる金属とし
ては、一般に、アルミニウム、銅、或いはこの両者が好
ましい。炭素質材料の微細孔に金属を含浸させる方法と
しては、溶融したアルミニウムや銅などの金属を高温高
圧下にて含浸させる等の方法を用いることができる。ア
ルミニウムを含浸させた炭素質材料としては、CC−M
A(商品名:炭素繊維を一次配列させた先端材料社製の
C/Cコンポジットベース)やC−MA(商品名:先端
材料社製の等方性高密度炭素材料ベース)等が挙げら
れ、また、銅を含浸させた炭素質材料としては、MB−
18(商品名:炭素繊維を一次配列させたメビウス・A
・T社製のC/Cコンポジットベース)等が挙げられ
る。
【0018】本発明の熱電素子モジュールに用いるn型
半導体及びp型半導体としては、従来から知られた各種
のn型半導体及びp型半導体を適宜選択して用いること
ができ、これらの例として、Bi−Te系、Si−Ge
系等のp型或いはn型の半導体が挙げられる。
【0019】本発明の熱電素子モジュールにおいて、n
型半導体とp型半導体を接続する金属電極の金属として
は、銅やニッケル等が好ましく用いられる。
【0020】また、本発明の熱電素子モジュールにおい
て、炭素質材料からなる炭素質基板と金属電極との接合
には、薄くても十分に絶縁性があり、炭素質基板と金属
電極とを十分強固に接着することができる手段であれ
ば、種々の手段を適宜選択して用いることができる。こ
の接合には、(イ)炭素質基板に設けられたポリイミド
塗膜と、該ポリイミド塗膜に設けられた接着剤層とから
構成されてなる接合手段、又は(ロ)炭素質基板に設け
られた金属メッキ層と、該金属メッキ層に設けられた接
着剤層とから構成されてなる接合手段、又は(ハ)炭素
質基板に設けられたプライマー層と、該プライマー層に
設けられたエラストマー系の接着剤層とから構成されて
なる接合手段が、炭素質基板と金属電極の接着性に一層
優れている点において好ましい。すなわち、一般に、炭
素質材料は、多くの接着剤と比較的馴染み難く、上記の
ような、ポリイミド塗膜や、或いは金属メッキ層やプラ
イマー層といった下地を予め設けておく場合に、一層好
適に強固に炭素質材料と金属電極とを接着することがで
きる。また、この接合手段は、一般に、熱電素子モジュ
ールにおける厚さ方向への熱伝導性を阻害しないように
薄い方が好ましい。
【0021】上記(イ)の接合手段においては、ポリイ
ミド塗膜は、従来から知られた種々のポリイミド塗料を
炭素質基板へ塗布する等して形成することができる。な
お、ポリイミド塗料は、ポリアミド酸を溶剤に溶かした
タイプと、ポリイミド樹脂を溶剤に溶かしたタイプのど
ちらも適用可能であるが、後者の方が、加熱による脱水
イミド化の工程が不要であり、比較的低温で絶縁性に優
れた塗膜が得られるため好ましい。このような例とし
て、リカコート(商品名:新日本理化社製)が挙げられ
る。また、ポリイミド塗料には、絶縁性や塗膜の安定性
を向上させるために各種添加剤を添加することができ
る。そして、上記ポリイミド塗膜には、さらに接着剤層
を介して金属電極を積層し、その後加熱又は常温にて加
圧接着されて、これらポリイミド塗膜及び接着剤層から
構成されてなる接合手段によって金属電極が炭素質基板
に接合される。上記接着の処理条件は、用いたポリイミ
ド塗料の種類等に応じて適宜設定することができる。図
2に、上記(イ)の接合手段を採用した場合の、本発明
の熱電素子モジュールの一例における炭素質基板の金属
電極が接合されている部分の断面を模式的に図示する。
図2に示した例においては、炭素質基板21の片面に、
ポリイミド塗膜22aと接着剤層22bとから構成され
てなる電気絶縁性を備えた接合手段22が設けられ、該
接合手段22によって金属電極23が接合されている。
金属電極23には、図示を省略したが、n型及びp型の
半導体が接合される。なお、上記においては、ポリイミ
ド塗膜及び接着剤層からなる複数の層を介して炭素質基
板と金属電極とを接合する場合について述べたが、この
他に、熱電素子モジュールの用途やポリイミド塗料の種
類によって、1つのポリイミド層で、上記おける「ポリ
イミド塗膜」と「接着剤層」とを兼用することができ
る。
【0022】また、上記(イ)の接合手段におけるポリ
イミド塗膜の好適な一形態として、ポリイミド電着塗膜
が挙げられる。ポリイミド電着塗膜は、従来から知られ
た樹脂成分がポリイミドであって媒体がカチオン溶液で
ある種々のポリイミド電着塗料から形成することができ
る。なお、ポリイミド電着塗料には、絶縁性や、塗膜の
安定性を向上させるために各種添加剤を添加することが
できる。ポリイミド電着塗膜は、上記のようなポリイミ
ド電着塗料を炭素質基板へ電着塗りすることにより得る
ことができる。電着塗りの方法は、従来から知られた方
法を適宜選択、採用して行うことができる。そして、上
記ポリイミド電着塗膜には、さらに接着剤層を介して金
属電極を積層し、その後加熱又は常温にて加圧接着され
て、これらポリイミド塗膜及び接着剤層から構成されて
なる接合手段によって金属電極が炭素質基板に接合され
る。上記接着の処理条件は、用いたポリイミド電着塗料
の種類等に応じて適宜設定することができる。図3に、
上記(イ)の接合手段においてポリイミド塗膜としてポ
リイミド電着塗膜を採用した場合の、本発明の熱電素子
モジュールの一例における炭素質基板の金属電極が接合
されている部分の断面を模式的に図示する。図3に示し
た例においては、炭素質基板31の片面に、ポリイミド
電着塗膜32aと接着剤層32bとから構成されてなる
電気絶縁性を備えた接合手段32が設けられ、該接合手
段32によって金属電極33が接合されている。金属電
極33には、図示を省略したが、n型及びp型の半導体
が接合される。
【0023】上記(ロ)の接合手段においては、金属メ
ッキ層は、従来から知られた無電解メッキ方法あるいは
電解メッキ方法を適宜選択、採用して形成することがで
きる。メッキする金属の例として、銅、ニッケル等が挙
げられる。そして、上記金属メッキ層には、さらに接着
剤層を介して金属電極を積層し、その後加熱又は常温に
て加圧接着されて、これら金属メッキ層及び接着剤層か
ら構成されてなる接合手段によって金属電極が炭素質基
板に接合される。図4に、上記(ロ)の接合手段を採用
した場合の、本発明の熱電素子モジュールの一例におけ
る炭素質基板の金属電極が接合されている部分の断面を
模式的に図示する。図4に示した例においては、炭素質
基板41の片面に、金属メッキ層42aと接着剤層42
bとから構成されてなる電気絶縁性を備えた接合手段4
2が設けられ、該接合手段42によって金属電極43が
接合されている。金属電極43には、図示を省略した
が、n型及びp型の半導体が接合される。
【0024】しかして、上記(イ)或いは(ロ)の接合
手段において接着剤層に用いる接着剤としては、エポキ
シ樹脂系接着剤、シリコーン系接着剤等が挙げられる。
例えば、シリコーン系接着剤では、KE1800T(商
品名:信越シリコーン社製)、TES−3260(商品
名:東芝シリコーン社製)等が好適に用いられる。な
お、炭素質材料に含浸させる材料として挙げた上記ヒー
トレスガラス等の無機コーティング剤も、上記の接着剤
として用いることができる。これらの接着剤を、上記の
ポリイミド塗膜、或いは金属メッキ層(以下、この段落
において「下地」という)の上に塗布する等して接着剤
層を形成するが、その方法は従来から知られた各種塗布
方法を適宜選択、採用して行うことができる。接着剤の
塗布に当たっては、(a)まず炭素質基板に設けた下地
の上に接着剤を塗布し、その塗膜の上に金属電極を積層
することもできるし、(b)まず金属電極の片面に接着
剤を塗布し、この金属電極を、その接着剤の塗膜面が炭
素質基板に設けた下地に接触するように積層することも
できるし、(c)炭素質基板に設けた下地の上、及び金
属電極の片面の両方に接着剤を塗布し、各接着剤の塗膜
面が相互に接触するように積層することもできるし、或
いは(d)炭素質基板に設けた下地の上に、半硬化状態
のフィルム状に成形された接着剤及び金属電極を順次積
層しても良い。なお、金属電極を積層するにあたって
は、エアーの残留を無くし確実に密着させるため、ロー
ルや平板プレス等で加圧すると良い。また、接着させる
に当たっては、下地及び金属電極に対し、予め後述する
ような各種プライマーを刷毛塗りする等してプライマー
処理を施しておくことができる。上記接着剤の乾燥ない
し加熱硬化の処理条件は、用いた接着剤の種類等に応じ
て適宜設定することができる。例えば、接着剤として上
記のTES−3260(商品名:東芝シリコーン社製)
を用いた場合には、150℃60分加熱加圧して形成す
ると良い。
【0025】上記(ハ)の接合手段においては、炭素質
基板のプライマー処理に用いるプライマーの例として
は、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のプライマ
ーA(商品名)、プライマーX(商品名)とプライマー
Y(商品名)の混合物等が挙げられる。また、プライマ
ー層に設ける接着剤層を形成する接着剤の例としては、
東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSOTEFA
−70(商品名:シリコーンエラストマー系接着剤)等
のエラストマー系接着剤が好適に用いられる。なお、こ
のエラストマー系の接着剤は、上記(イ)及び(ロ)の
接合手段における接着剤層にも用いることができる。ま
た、このエラストマー系の接着剤には、必要に応じて、
SiN、SiC、Al2 3 等の微細粒子状の熱伝導性
フィラーを適量添加することができる。なお、上記熱伝
導性フィラーは、上述の(イ)及び(ロ)の接合手段に
おける各種の接着剤層にも添加することができる。そし
て、上記プライマー層に設けられたエラストマー系の接
着剤層は乾燥ないし加熱硬化され、これらプライマー層
及び接着剤層から構成されてなる接合手段によって金属
電極が炭素質基板に接合される。上記エラストマー系の
接着剤層の乾燥ないし加熱硬化の処理条件は、用いたエ
ラストマー系の接着剤の種類等に応じて適宜設定するこ
とができる。図5に、上記(ハ)の接合手段を採用した
場合の、本発明の熱電素子モジュールの一例における炭
素質基板の金属電極が接合されている部分の断面を模式
的に図示する。図5に示した例においては、炭素質基板
51の片面に、プライマー層52aとエラストマー系の
接着剤層52bとから構成されてなる電気絶縁性を備え
た接合手段52が設けられ、該接合手段52によって金
属電極53が接合されている。金属電極53には、図示
を省略したが、n型及びp型の半導体が接合される。
【0026】また、上記(ロ)及び(ハ)の接合手段に
おいては、必要に応じて、用いる各接着剤に微細粒子状
のスペーサー機能を有するフィラーを適量添加すること
ができる。このスペーサー機能を有するフィラーの例と
して、シリカ、球状アルミナ、中空バルーン等が挙げら
れる。
【0027】また、本発明の熱電素子モジュールにおい
て、金属電極とn型半導体及びp型半導体との接合に
は、半田付け或いはロウ付け等の、従来の熱電素子モジ
ュールにおける金属電極とn型半導体及びp型半導体と
の接合手段として知られた各種接合手段を適宜選択して
用いることができる。
【0028】本発明の熱電素子モジュールの製造は、例
えばそれが1段モジュールである場合、一般に次のよう
に行われる。すなわち、まず、上記のような炭素質材料
からなる炭素質基板上に、必要に応じてその微細孔に上
記のような無機コーティング剤又は金属を含浸させた
後、金属電極が接合、形成される。
【0029】上記炭素質基板上への金属電極の接合、形
成は、一つの方法として、まず、炭素質基板に、金属電
極と同等の金属箔を、電気絶縁性を備え、金属箔を炭素
質基板に接合できる接合手段によって、好ましくは上記
(イ)、(ロ)或いは(ハ)の接合手段によって接合し
て、金属貼り積層板を作製する。この金属貼り積層板
は、必要に応じて、炭素質基板の片面のみに金属箔の積
層された金属貼り積層板とすることも、また両面に金属
箔の積層された金属貼り積層板とすることもできる。次
いで、この得られた金属貼り積層板の金属箔面に、両面
に金属箔の積層された金属貼り積層板の場合は一方の面
の金属箔面に、プリント配線板製造技術として確立され
ているフォトリソグラフィー技術を適用して、すなわち
フォトレジストを利用して電極形成に必要な金属箔部分
の所望のパターンを描き、該パターンに準拠してエッチ
ング等を行って電極形成に不要な金属箔部分の除去を行
うこと等により、この炭素質基板上への金属電極の接
合、形成を行うことができる。
【0030】また、上記炭素質基板上への金属電極の接
合、形成は、他の一つの方法として、炭素質基板に、金
属板を金属電極の所望のパターンに打ち抜いて作製され
た所謂リードフレームを、電気絶縁性を備え、リードフ
レームを炭素質基板に接合できる接合手段によって、好
ましくは上記(イ)、(ロ)或いは(ハ)の接合手段に
よって接合することにより、エッチング等を行う要なく
直接的に行うこともできる。一般に、上記フォトリソグ
ラフィー技術を適用する方法は、金属電極の接合、形成
工程が比較的繁雑であるが、微細加工に適しており、一
方、上記リードフレームを利用する方法は、微細加工に
は適さないが、金属電極の接合、形成工程が比較的簡便
であり、相応の厚さのあるリードフレームを用いて接
合、形成される金属電極を相応の厚さのあるものとする
ことによって、大電流に対応でき、抵抗損失の低減され
た金属電極を接合、形成することに適している。
【0031】次いで、上記の如くして得られた金属電極
の接合、形成された炭素質基板2枚を対向させ、それら
に接合、形成されている金属電極を介して、n型半導体
及びp型半導体を交互に接続して、本発明の熱電素子モ
ジュールが製造される。この際、金属電極とn型半導体
及びp型半導体との接合は、半田付け等の従来から知ら
れた接合手段で接合することができる。また、本発明の
一段の熱電素子モジュールは、基板として炭素質基板が
用いられること、及び炭素質基板への金属電極の接合に
電気絶縁性を有する接合手段が用いられ、好ましくは上
記(イ)、(ロ)或いは(ハ)の接合手段が用いられる
ことの二点を除けば、その基本的構造は、図6に断面を
模式的に示した従来の1段の熱電素子モジュールの基本
的構造と同様である。また、本発明の多段の熱電素子モ
ジュールも、その基本的構造は、上記二点を除けば、従
来の多段の熱電素子モジュールの基本的構造と同様であ
る。なお、上述のような、複数枚の基板の全て(例えば
1段の熱電素子モジュールにおける2枚の基板)に炭素
質材料からなる炭素質基板を用いる場合の他、複数枚の
基板の内の一部に炭素質基板を用いる場合も本発明に包
含される。したがって、例えば、受熱側の基板のみに炭
素質基板を用い、放熱側の基板は従来のセラミック基板
とすることもできる。
【0032】また、本発明の熱電素子モジュールにおい
ては、例えばそれが1段モジュールである場合、炭素質
基板の外面に、従来の一段の熱電素子モジュールと同様
に、加熱手段、冷却手段或いは被冷却物等の部品ないし
設備を接合することができる。この炭素質基板の外面へ
のこれらの部品ないし設備の接合に当たっては、その接
合手段は特に電気絶縁性である必要はなく、またこれら
の部品ないし設備を強固に炭素質基板に接合できる手段
であれば適宜選択して用いることができるが、当該接合
に際しても、上記(イ)、(ロ)或いは(ハ)の接合手
段が好ましく用いられる。また、本発明の熱電素子モジ
ュールにおいては、例えばそれが1段モジュールである
場合、炭素質基板の外面に例えば受熱あるいは放熱用フ
ィンを一体成形することもできる。具体例として、炭素
質基板にディスクカッターや鋸刃等でスリットを形成す
ることにより、炭素質基板自体をフィン形状に加工する
場合が挙げられる。
【0033】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明をさら
に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって
限定されるものではない。
【0034】実施例1 炭素マトリックス中において厚
さ方向に炭素繊維が配列してなる、厚さ1mmの板状の
炭素繊維強化炭素複合材料(以下「C/Cコンポジッ
ト」という)であるCC(商品名:先端材料社製)を炭
素質基板として用いた。この板状のC/Cコンポジット
の片面に、ポリイミド電着塗料を、30Vで2.5分、
常温にて電着塗りし、80℃で10分乾燥させ、さらに
250℃で30分焼付することによりポリイミド電着塗
膜を形成した。そして、上記のポリイミド電着塗膜上
に、シリコーン系接着剤・KE1800T(商品名:信
越シリコーン社製)を塗布した厚さ70μmの銅箔を、
接着剤塗布面が上記ポリイミド電着塗膜上に接触するよ
うに積層させた。なお、積層に当たっては、ポリイミド
電着塗膜、及び接着剤を塗布する前の銅箔に対して、予
めプライマーA(商品名:東レ・ダウコーニング・シリ
コーン社製)を刷毛塗りすることによりプライマー処理
を施しておいた。続いて、120℃で3分間ヒートプレ
スにて294N/cm2 の押圧状態としてエアーや余剰
の接着剤を排除し、その後押圧状態から開放して120
℃で60分間加熱処理することにより接着剤を硬化さ
せ、銅貼り積層板(40×40mm)を作製した。な
お、このときの銅貼り積層板におけるポリイミド電着塗
膜の厚さは20μmであり、接着剤層の厚さは100μ
mであった。
【0035】上記の如くして得られた銅貼り積層板の一
方の面に、ドライフィルム系のネガ型ホトレジストを被
覆し、所定の銅電極パターンを露光し、エッチングし
て、上記板状のC/Cコンポジットの一方の面に所定の
電極パターンで127個の銅電極が接合、形成された基
板を作製した。この得られた基板を2枚用い、それらの
一方の面に形成されている銅電極を介して、寸法1.5
mm×1.5mm×1.5mmのSi系のn型半導体素
子とGe系のp型半導体素子を交互に127個半田付け
して直列接続となるよう熱電素子モジュールを作製し
た。そして、この得られた熱電素子モジュールの片面に
前記シリコーン系接着剤を用いてアルミニウム製の放熱
フィンを接合した。
【0036】実施例2 上記厚さ1mmの板状C/Cコ
ンポジットの片面に、実施例1のポリイミド電着塗膜に
代えて、ポリイミド塗料であるリカコートPN−20
(商品名:新日本理化社製)を刷毛塗りし、200℃で
30分焼付してポリイミド塗膜を形成したこと以外は、
実施例1と同様に操作して、片面にアルミニウム製の放
熱フィンを接合した熱電素子モジュールを作製した。な
お、このときの銅貼り積層板におけるポリイミドの塗膜
厚さは30〜60μmと部位によりバラツキがあった。
【0037】実施例3 上記厚さ1mmの板状C/Cコ
ンポジットの片面に、実施例1のポリイミド電着塗膜に
代えて、無電解メッキにてニッケルメッキを施し、その
ニッケルメッキ層に対して銅箔を接着しようとしたこと
以外は、実施例1と同様に操作して、片面にアルミニウ
ム製の放熱フィンを接合した熱電素子モジュールを作製
した。なお、このときの銅貼り積層板におけるニッケル
メッキ層の厚さは50μmであり、接着剤層の厚さは絶
縁性を十分確保する上で150μmとした。
【0038】実施例4 上記厚さ1mmの板状C/Cコ
ンポジットの片面に、実施例1のポリイミド電着塗膜に
代えて、プライマーX(商品名:東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製)を刷毛塗りし、このプライマー層に
フィルム状のシリコーンエラストマー系接着剤・SOT
EFA−70(商品名:東レ・ダウコーニング・シリコ
ーン社製)を用いて銅箔を接着したこと以外は、実施例
1と同様に操作して、片面にアルミニウム製の放熱フィ
ンを接合した熱電素子モジュールを作製した。なお、こ
のときの銅貼り積層板におけるプライマー層の厚さは1
μmであり、シリコーンエラストマー系の接着剤層の厚
さは100μmであった。
【0039】実施例5 30〜50μmにふるい分けし
た球状アルミナをポリイミド塗料の塗布面へ均一に散布
したことと、銅泊を貼り付ける際の温度を230℃とし
たこと以外は、実施例2と同様に操作して、片面にアル
ミニウム製の放熱フィンを接合した熱電素子モジュール
を作製した。なお、このときの銅貼り積層板におけるポ
リイミド塗膜層の厚さは50μmとほぼ均一になった。
【0040】実施例6 上記厚さ1mmの板状C/Cコ
ンポジットを、ヒートレスガラスGA−4(N)(商品
名:ホーマーテクノロジー社製の常温硬化型シリカ溶
液)中に9.31kPa減圧下にてディッピングし、該
板状C/Cコンポジットの微細孔にヒートレスガラスを
含浸させ、その後常温で50分放置し、続いて120℃
で60分加熱することによりヒートレスガラスを硬化さ
せ、ヒートレスガラスの含浸された板状C/Cコンポジ
ットを得た。このヒートレスガラスの含浸された板状C
/Cコンポジットを炭素質基板として用いたこと以外
は、実施例1と同様に操作して、片面にアルミニウム製
の放熱フィンを接合した熱電素子モジュールを作製し
た。
【0041】実施例7 実施例1で用いた板状C/Cコ
ンポジットに代えて、銅を高温高圧下で含浸させた厚さ
1mmのMB−18(商品名:炭素繊維を一次配列させ
たメビウス・A・T社製のC/Cコンポジットベース)
を炭素質基板として用いたこと以外は、実施例1と同様
に操作して、片面にアルミニウム製の放熱フィンを接合
した熱電素子モジュールを作製した。
【0042】実施例8 銅箔の代わりに、厚さ300μ
mの銅板を打ち抜いて127個の銅電極を点在形成した
リードフレームを、予めプライマーA(商品名:東レ・
ダウ・コーニングシリコーン社製)を刷毛塗りして接着
したこと以外は、実施例7と同様に操作して、片面にア
ルミニウム製の放熱フィンを接合した熱電素子モジュー
ルを作製した。
【0043】比較例 実施例1と同一寸法の外径(40
×40mm)、及び同一材料、同一寸法、同一個数の半
導体材料で製作された市販の熱電素子モジュールを用
い、実施例1と同様に操作して、片面にアルミニウム製
の熱交換フィンを接合して比較例とした。なお、この熱
電素子モジュールは、セラミック基板であり、最大電流
値8.5A、最大電圧値17.5Vの特性を有するとカ
タログ表示されているものである。
【0044】そこで、これら実施例の熱電素子モジュー
ルが比較例の熱電素子モジュールに比べて、効熱率が向
上したかどうかの確認実験を行った。この実験は、室温
25℃下において、熱電素子モジュールの放熱フィンを
接合しない方の基板面を、ガスライターの炎先端から3
cm上方に位置させて60秒間の加熱するもので、ゼー
ベック効果による起電力の電圧カーブを観察するもので
ある。なお、この際に熱電素子モジュールにおける他方
の基板面への強制冷却は行わず、ほぼ無風下での放熱フ
ィンによる自然冷却とした。このため、この実験条件下
では、何れの実施例でも、放熱能力が加熱に追いついて
ゆけず、電圧カーブは、開始後、10数秒から数10秒
間後にピークを迎え、その後、次第に低下する山形カー
ブを示した。
【0045】この実験では、電圧ピークを示すまで急上
昇カーブを、熱電素子モジュールとしての熱効率の良さ
とし、これを良いものから順に並べてみると、実施例7
=実施例8>実施例6>実施例1>実施例2=実施例5
>実施例3>実施例4>>比較例の順となった。したが
って、炭素質基板で作製された実施例の各熱電素子モジ
ュールでは、セラミック基板で作製された比較例のもの
と比べて、電圧上昇が素早く、効率良く温度差を生じ得
ることが分かる。なお、実施例の中でも、実施例6、実
施例7、実施例8が多少とも優れた理由としては、炭素
質基板の微細孔に金属や無機コーティング剤が含浸され
ているために熱伝導率がより向上したからであり、実施
例4が劣った理由としては、シリコーンエラストマー系
接着剤の熱伝導率およびその厚みが影響したものと考え
られる。
【0046】その後、これら実施例の各熱電素子モジュ
ールを用い、受熱側と放熱側との温度差が所定となるよ
う加熱と冷却の調節を行った上で長時間の発電を行わせ
てみたが、炭素質基板、銅電極、半導体素子との熱膨張
率の差などによる不具合は一切観察されなかった。ま
た、具体的な温度の上昇あるいは降下カーブなどは測定
しなかったが、これら実施例の各熱電素子モジュールに
おけるn型半導体素子とp型半導体素子へと通電するこ
とにより、ペルチェ効果を奏することも確認された。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、基板の熱伝導性が優
れ、熱効率が良く、かつ基板の熱膨張率が半導体のそれ
と類似し、有害な大きな熱応力が発生することなく信頼
性が高い、高性能の熱電素子モジュールが提供される。
本発明の熱電素子モジュールは、熱効率が良く、かつ信
頼性が高くて、ゼーベック効果を利用する発電用として
も、或いはペルチェ効果を利用する冷却又は加熱用とし
ても機能することができ、種々の分野において有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の熱電素子モジュールの一例における
炭素質基板の金属が接合されている部分の実施態様の模
式的断面図である。
【図2】 本発明の熱電素子モジュールの一例における
炭素質基板の金属が接合されている部分の他の実施態様
の模式的断面図である。
【図3】 本発明の熱電素子モジュールの一例における
炭素質基板の金属が接合されている部分のさらに他の実
施態様の模式的断面図である。
【図4】 本発明の熱電素子モジュールの一例における
炭素質基板の金属が接合されている部分のなおさらに他
の実施態様の模式的断面図である。
【図5】 本発明の熱電素子モジュールの一例における
炭素質基板の金属が接合されている部分のなお一層さら
に他の実施態様の模式的断面図である。
【図6】 1段の熱電素子モジュールの基本的構造を示
す模式的断面図である。
【図7】 2段の熱電素子モジュールの一つの基本的構
造を示す模式的断面図である。
【図8】 2段の熱電素子モジュールの他の一つの基本
的構造を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1 :基板 1´ :基板 1´´ :基板 2 :基板の対向面 2´ :基板の対向面 2´´ :基板の対向面 2´´´:基板の対向面 3 :基板の外面 3´ :基板の外面 3´´ :基板の外面 4 :金属電極 4´ :金属電極 4´´ :金属電極 4´´´:金属電極 5 :n型半導体 5´ :n型半導体 6 :p型半導体 6´ :p型半導体 11 :炭素質基板 11a :炭素マトリックス 11b :炭素繊維 12 :接合手段 13 :金属電極 21 :炭素質基板 22 :接合手段 22a :ポリイミド塗膜 22b :接着剤層 23 :金属電極 31 :炭素質基板 32 :接合手段 32a :ポリイミド電着塗膜 32b :接着剤層 33 :金属電極 41 :炭素質基板 42 :接合手段 42a :金属メッキ層 42b :接着剤層 43 :金属電極 51 :炭素質基板 52 :接合手段 52a :プライマー層 52b :エラストマー系の接着剤層 53 :金属電極 A :熱電素子モジュール B :熱電素子モジュール b1 :第一段目のモジュール b2 :第二段目のモジュール

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数枚の基板が対向して配置されてお
    り、該対向する複数枚の各基板の対向面にそれぞれ金属
    電極が接合されており、該金属電極を介して複数のn型
    及びp型の半導体が交互に接続されている熱電素子モジ
    ュールにおいて、上記複数枚の基板が炭素質材料からな
    る炭素質基板で構成され、上記金属電極の基板への接合
    が電気絶縁性を備えてなされていることを特徴とする熱
    電素子モジュール。
  2. 【請求項2】 前記金属電極の基板への接合が、炭素質
    基板に設けられたポリイミド塗膜と、該ポリイミド塗膜
    に設けられた接着剤層とから構成されてなる請求項1に
    記載の熱電素子モジュール。
  3. 【請求項3】 前記ポリイミド塗膜が、ポリイミド電着
    塗膜である請求項2に記載の熱電素子モジュール。
  4. 【請求項4】 前記金属電極の基板への接合が、炭素質
    基板に設けられた金属メッキ層と、該金属メッキ層に設
    けられた接着剤層とから構成されてなる請求項1に記載
    の熱電素子モジュール。
  5. 【請求項5】 前記金属電極の基板への接合が、炭素質
    基板に設けられたプライマー層と、該プライマー層に設
    けられたエラストマー系の接着剤層とから構成されてな
    る請求項1に記載の熱電素子モジュール。
  6. 【請求項6】 前記接着剤層に、スペーサー機能を有す
    るフィラーが含有されてなる請求項4又は5に記載の熱
    電素子モジュール。
  7. 【請求項7】 前記炭素質基板の炭素質材料の微細孔
    に、無機コーティング剤又は金属が含浸されてなる請求
    項1〜6の何れか一つに記載の熱電素子モジュール。
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