JP2001134904A - 磁気ヘッド - Google Patents

磁気ヘッド

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JP2001134904A
JP2001134904A JP31429099A JP31429099A JP2001134904A JP 2001134904 A JP2001134904 A JP 2001134904A JP 31429099 A JP31429099 A JP 31429099A JP 31429099 A JP31429099 A JP 31429099A JP 2001134904 A JP2001134904 A JP 2001134904A
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atomic
atom
magnetic
thin film
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Yoshihiko Inoue
喜彦 井上
Junichi Honda
順一 本多
Fusashige Tokutake
房重 徳竹
Atsushi Suzuki
篤 鈴木
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Original Assignee
Sony Corp
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    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/127Structure or manufacture of heads, e.g. inductive
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
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    • G11B5/187Structure or manufacture of the surface of the head in physical contact with, or immediately adjacent to the recording medium; Pole pieces; Gap features
    • G11B5/1875"Composite" pole pieces, i.e. poles composed in some parts of magnetic particles and in some other parts of magnetic metal layers
    • G11B5/1877"Composite" pole pieces, i.e. poles composed in some parts of magnetic particles and in some other parts of magnetic metal layers including at least one magnetic thin film
    • G11B5/1878"Composite" pole pieces, i.e. poles composed in some parts of magnetic particles and in some other parts of magnetic metal layers including at least one magnetic thin film disposed immediately adjacent to the transducing gap, e.g. "Metal-In-Gap" structure

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い飽和磁束密度を持ち、耐食性に優れると
ともに、優れた軟磁気特性及び再生特性を有する。 【解決手段】 磁気コアにより閉磁路が構成され、且つ
前記閉磁路内にギャップを有してなる。磁気コアの少な
くとも一部は、軟磁性薄膜層14,17と貴金属層1
5,18とを積層してなる軟磁性積層膜5,6により構
成される。軟磁性薄膜層14,17は、FeaSibTa
cRudGaef(ただし、式中a,b,c,d,e,f
は、各元素の組成を原子%で表す。)なる組成式で示さ
れる。その組成範囲は、62原子%<a<75原子%、
7原子%<b<18原子%、3原子%<c<10原子
%、0原子%≦d<10原子%、0原子%≦e<6原子
%、5原子%<f<12原子%であり、且つb+c>1
3原子%である。貴金属層15,18はPt、Au、A
g及びPdのうち、少なくとも1種を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆる蒸着テー
プ等の高保磁力磁気記録媒体に対して記録・再生を行う
磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録の分野においては、記録
信号の高密度化が進行しており、高い保磁力と高い残留
磁束密度を有する磁気記録媒体、例えば強磁性金属材料
を非磁性支持体上に直接被着せしめてなる,いわゆる蒸
着テープ等が使用されるようになっている。
【0003】これに伴って磁気ヘッドに対しては、コア
材料が高飽和磁束密度、高透磁率を有することが要求さ
れている。
【0004】かかる要求を満たすために、従来から補助
コア材にフェライトを用い、そのフェライト上に高飽和
磁束密度を有する金属磁性薄膜を主コア材として形成
し、ギャップ部が上記金属磁性薄膜より形成されてな
る,いわゆるメタル・イン・ギャップ(MIG)型の磁
気ヘッドが提案されており、蒸着テープ等の記録・再生
に好適なものとなっている。
【0005】ところで、この種の磁気ヘッドにおいて
は、近年の高密度化の著しい進展に伴い、上記蒸着テー
プ等のように高保磁力を有する記録媒体に対して良好に
記録・再生する必要があることから、記録磁界を十分取
るためにより高い飽和磁束密度を持ち、かつ高周波領域
でも優れた軟磁気特性を有する金属磁性材料が求められ
ている。
【0006】このような状況の中、Feを主成分とする
微結晶金属軟磁性薄膜は、高い飽和磁束密度を持ち、優
れた軟磁気特性を示すことから、従来の磁気ヘッド用金
属磁性材料を置き換える形で実用化され始めている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記F
e基微結晶金属軟磁性薄膜は、純鉄に近い組成の微細結
晶が薄膜の体積のほとんどを占める構造であることか
ら、一般に耐食性が低く、これを用いたデバイスの信頼
性が低下するという問題を抱えている。
【0008】また、上記Fe基微結晶金属軟磁性薄膜を
用いたMIG型磁気ヘッドでは、面内方向の軟磁気特性
には優れるが、膜厚方向の軟磁気特性に劣っていた。す
なわち、膜厚方向の透磁率が低くなり、上記Fe基微結
晶金属軟磁性薄膜全体の軟磁気特性を下げてしまってい
た。言い換えると、上記Fe基微結晶金属軟磁性薄膜を
用いたMIG型磁気ヘッドの、本来の再生特性が発揮さ
れていなかった。
【0009】そこで本発明はこのような従来の実情に鑑
みて提案されたものであり、高い飽和磁束密度を持ち、
耐食性に優れるとともに、優れた軟磁気特性及び再生特
性を有する磁気ヘッドを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明にかかる磁気ヘッドは、磁気コアにより閉
磁路が構成され、且つ前記閉磁路内にギャップを有して
なる磁気ヘッドにおいて、上記磁気コアの少なくとも一
部が、軟磁性薄膜層と貴金属層とを積層してなる軟磁性
積層膜により構成され、上記軟磁性薄膜層が、Fea
bTacRudGaef(ただし、式中a,b,c,
d,e,fは、各元素の組成を原子%で表す。)なる組
成式で示され、その組成範囲が、 62原子%<a<75原子% 7原子%<b<18原子% 3原子%<c<10原子% 0原子%≦d<10原子% 0原子%≦e<6原子% 5原子%<f<12原子% であり、且つ b+c>13原子%であり、上記貴金属
層がPt、Au、Ag及びPdのうち、少なくとも1種
を含有することを特徴とする。
【0011】以上のように構成された磁気ヘッドでは、
軟磁性薄膜層が、微結晶析出型軟磁性薄膜であることに
より、高飽和磁束密度、及び優れた軟磁気特性が実現さ
れるとともに、核となる部分が高い耐食性を示すFe−
Ru−Ga−Si合金で置き換えられることにより、優
れた耐腐食性能が併せて実現される。それとともに、上
記軟磁性積層膜が軟磁性薄膜層と貴金属層とを積層して
なることにより、熱処理後にα−Fe(110)配向が
起こり、優れた軟磁気特性が実現するとともに、膜厚方
向の透磁率が大幅に向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる磁気ヘッド
の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳
細に説明する。
【0013】本例の磁気ヘッドは、図1及び図2に示す
ように、記録媒体対接触面の略中央に位置する磁気ギャ
ップgを境として左右別々に作製された一対の磁気コア
半体1,2が磁気ギャップ形成面を突き合わせて接合一
体化されてなるものである。
【0014】上記磁気コア半体1,2は、補助コアであ
る基体3,4と、主コア部である軟磁性積層膜5,6と
から構成されている。
【0015】上記基体3,4は、例えばMn−Zn系フ
ェライトやNi−Zn系フェライト等の酸化物磁性材料
からなり、上記軟磁性積層膜5,6と共に閉磁路を構成
する補助コア部となっている。
【0016】上記基体3,4の前記磁気ギャップ形成面
と対向する面には、上記磁気ギャップgのトラック幅T
wを規制するための円弧状のトラック幅規制溝7,8,
9,10が、磁気ギャップgの両端縁近傍部よりそれぞ
れデプス方向に形成されている。
【0017】なお、上記トラック幅規制溝7,8,9,
10内には、それぞれ磁気記録媒体との当たり特性を確
保すると共に、摺接による偏摩耗を防止する目的で、ガ
ラス等の非磁性材11が充填されている。
【0018】また、上記基体3,4のうち一方の基体
(ここでは基体4)の上記磁気ギャップ形成面と対向す
る面には、上記磁気ギャップgのデプスを規制すると共
にコイル(図示は省略する。)を巻装するための巻線溝
12が側面形状を略矩形状として形成されている。な
お、上記巻線溝12は、上記一方の基体4のみならず、
他方の基体3にも同様に形成されていてもよい。
【0019】一方、軟磁性積層膜5,6は、上記基体
3,4と共に閉磁路を構成する主コア部となるもので、
当該基体3、4の対向面にそれぞれフロントギャップ部
よりバックギャップ部に亘って成膜されている。したが
って、これらの軟磁性積層膜5,6の対向面がすなわち
上記磁気コア半体1,2の磁気ギャップ形成面となって
いる。
【0020】なお、本例では、上記軟磁性積層膜5,6
は、上記基体3,4の対向面のみならず上記トラック幅
規制溝7,8,9,10内にも成膜されている。また、
巻線溝12内の全面、もしくは少なくとも一部に上記軟
磁性積層膜5,6が成膜されていてもよい。
【0021】ところで本実施の形態では、軟磁性積層膜
5,6は、軟磁性薄膜層と貴金属層とを積層してなる構
造である。
【0022】軟磁性薄膜層は、Fe、Si、Ta、R
u、Ga、Nを主な構成元素とするもので、FeaSib
TacRudGaef(ただし、式中a,b,c,d,
e,fは、各元素の組成を原子%で表す。)なる組成式
で示したときに、その組成範囲が、 62原子%<a<75原子% 7原子%<b<18原子% 3原子%<c<10原子% 0原子%≦d<10原子% 0原子%≦e< 6原子% 5原子%<f<12原子% であり、且つb+c>13原子%である。
【0023】本発明の軟磁性薄膜層は、上記組成からN
を除いた組成のターゲットを用い、5〜20モル%の窒
素を含むアルゴンガス雰囲気中で、RFもしくはDCマ
グネトロンスパッタリングを行うことにより作製され、
450℃〜600℃の熱処理を経ることにより軟磁気特
性を発現する。
【0024】実際に10モル%の窒素を含むアルゴンガ
ス雰囲気でRFマグネトロンスパッタリングにより作製
された軟磁性薄膜層の窒素を除く組成と、550度にて
1時間保持した後の保磁力Hc、飽和磁束密度Bs、磁
化困難軸方向の透磁率μHardとを表1〜表4に示
す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】また、図3として、表1のデータをFeと
Taの原子分率に着目して組成マップ上に配置した図を
示す。
【0030】なお、軟磁性薄膜層の組成分率を窒素を除
いた組成分率で表したのは、軽元素である窒素の分析精
度が他の元素に比較して悪いためであり、以下、組成は
窒素を除く構成元素の原子分率の和を100%として表
示する。
【0031】何れの組成でも、軟磁気特性が得られる窒
素の原子分率は、5〜12%の範囲である。
【0032】図3からわかるように、Taの原子分率が
5〜7%以上の領域に保磁力が40A/m以下の良好な
軟磁気特性を示す組成範囲がある。Taは成膜時の非晶
質化を促進する元素として知られており、Taの原子分
率が5〜7%以下の領域で良好な軟磁気特性が得られな
いのは、この領域では微結晶析出型の軟磁性薄膜層に必
要な熱処理前の非晶質構造が形成されないためであると
考えられる。
【0033】また、図4に、表1〜表4に示される全て
の磁性薄膜を0.5規定濃度のNaCl水溶液中に20
0時間浸漬した前後の飽和磁化量の比を、Feの原子分
率に対してプロットしたグラフを示す。
【0034】飽和磁化量の比が1である磁性薄膜は、全
く腐食しないことを示し、零に近くなるに従って腐食の
度合が大きいことを示している。
【0035】図3より、Feの原子分率が高い程より高
い飽和磁束密度Bsが得られるものの、図4より窒素を
除く構成元素の原子分率の和を100%としたときのF
eの原子分率が76%を超える領域から耐食性が劣化し
ていることがわかる。
【0036】さらに、Siの原子分率とSiとFeの原
子分率の和による飽和磁束密度と飽和磁歪定数の変化を
図5に示す。
【0037】上記和が0.1〜0.21の範囲でHc<
80A/m以下の軟磁気特性が得られでいるが、飽和磁
束密度を1.3T以上に、旦つ飽和磁歪定数を1×10
−6以下にするためには、上記組成比(和)を0.15
〜0.17の範囲にすることがより望ましいことを見い
出した。
【0038】かかる組成範囲は、FeaSibTacRud
Gaefの組成式において、おおよそ4.5<a/b<
6.0であると言い替えることができる。
【0039】また、SiはTaと同様に熱処理前の非晶
質構造形成に寄与する元素であるために、Taの原子分
率を減らした影響をSiの原子分率を増すことである程
度相殺することができる。
【0040】Ruは、添加量増加に対する飽和磁束密度
Bsの低下が小さく、また耐食性向上に効果的であり、
表1より0〜11原子%の広い原子分率範囲でHc<8
0A/mの軟磁気特性が得られているが、より高い飽和
磁束密度を達成するためには、5原子%以内にすること
が望ましい。
【0041】Gaは、軟磁性薄膜層の磁気異方性の低減
と耐食性向上に寄与する元素であり、表1より0〜5原
子%の原子分率範囲でHc<80A/mの軟磁気特性が
得られているが、より高い飽和磁束密度を得るために原
子分率は3原子%以内にすることが望ましい。
【0042】以上の検討結果により、FeaSibTac
RudGaef(ただし、式中a,b,c,d,e,f
は、各元素の組成を原子%で表す。)なる組成式で示し
たときに、その組成範囲が、 62原子%<a<75原子% 7原子%<b<18原子% 3原子%<c<10原子% 0原子%≦d<10原子% 0原子%≦e< 6原子% 5原子%<f<12原子% であり、且つb+c>13原子%であることが好ましい
と言える。
【0043】さらに、磁気ヘッド等への応用を考慮する
と、上記組成式の各原子分率が、 65原子%<a<70原子% 10原子%<b<16原子% 5原子%<c< 9原子% 0原子%≦d< 5原子% 0原子%≦e< 3原子% 5原子%<f<12原子% であり、且つ4.5<a/b<6であることがより好ま
しい。
【0044】また、Fe,Si,Ta,Ru,Ga,N
以外の元素として、例えばHfを添加した場合、磁性薄
膜中の微結晶粒の粒界相を形成するTa元素と同様な効
果を示し、またAl,Cr,Ti,Co等の元素を添加
した場合は微結晶粒中に固溶することでGaと同様、磁
気異方性の低減及ぴ耐食性の向上といった効果を発揮す
る。したがって、本発明の軟磁性薄膜層へAl,Cr,
Ti,Co,Hfの少なくとも1種以上の金属元素を0
〜6原子%程度添加しても、ほぼ同等の軟磁気特性と耐
食性が得られる。
【0045】貴金属層はPt、Au、Ag及びPdのう
ち、少なくとも一種類を含有する構成である。
【0046】ここで、上記軟磁性積層膜5,6は、上記
軟磁性薄膜層と上記貴金属層とが交互に積層された多層
膜である。このとき、基体3,4上に軟磁性積層膜5,
6を直接成膜すると、基体3,4を構成するフェライト
と軟磁性積層膜5,6との間で拡散反応が起こり、擬似
ギャップを生じるため、反応防止膜を介して軟磁性積層
膜5,6を成膜することが好ましい。
【0047】例えば、図6に示すように、基体3に成膜
される軟磁性積層膜5は、反応防止膜13上に、軟磁性
薄膜層14、貴金属層15の順で交互に成膜することに
より形成される。このとき、反応防止膜13として、貴
金属層15を用いても良い。
【0048】また、例えば、図6に示されるのとは逆
に、軟磁性積層膜5は、反応防止膜13上に、貴金属層
15、軟磁性薄膜層14の順で交互に成膜することによ
り形成されても良い。
【0049】さらに、軟磁性積層膜5を構成する多層膜
の最上層は、軟磁性薄膜層14であっても、貴金属層1
5であっても構わない。
【0050】なお、基体4上に成膜される反応防止膜1
6、軟磁性積層膜6、軟磁性積層膜6を構成する軟磁性
薄膜層17及び貴金属層18の成膜順序等に関して、上
述の基体3上に成膜される反応防止膜13及び軟磁性積
層膜5と同様に構成することができる。
【0051】軟磁性薄膜層14,17は、成膜直後はア
モルファス状態であるが、熱処理後に微結晶化が生じ
る。すなわち、軟磁性積層膜5,6は、軟磁性薄膜層1
4,17と貴金属層15,18とを交互に積層すること
で、熱処理後に強いα−Fe(110)配向が起こる。
したがって、軟磁性積層膜5,6は、磁性の均一性が高
まり、軟磁気特性が向上する。このような配向は、軟磁
性薄膜層14,17の膜厚が厚くなると分散する傾向に
あるが、貴金属層15,18の層数を増やし、軟磁性薄
膜層14,17の膜厚をある程度薄くすることで、貴金
属層15,18による優先配向が軟磁性積層膜5,6全
体にわたって生じることとなる。
【0052】また、軟磁性積層膜5,6は、軟磁性薄膜
層14,17と貴金属層15,18とを交互に積層され
てなることにより、Fe−貴金属化合物を生じ、磁気的
にハードな部分を生じる。この部分は磁区の移動を防止
する働きをするため、回転磁化が促進され、高周波領域
の透磁率を高める働きをする。
【0053】軟磁性薄膜層14,17の一層あたりの膜
厚は、貴金属層15,18を積層することにより表れる
効果を十分に得るために、0.05μm〜1μmの範囲
とすることが好ましい。軟磁性薄膜層14,17の一層
あたりの膜厚が0.05μm未満である場合には、軟磁
性積層膜5,6の実用範囲の膜厚である、合計3μm〜
6μm程度の膜厚を得るためのスパッタリング等の成膜
工程が増大し、生産性が劣化するとともに、貴金属層1
5,18の層数が増えることとなる。これにより、軟磁
性積層膜5,6の実効的な飽和磁束密度が低下する虞が
ある。一方、軟磁性薄膜層14,17の一層あたりの膜
厚が1μmを上回る場合には、貴金属層15,18を積
層する効果が薄れる虞がある。
【0054】貴金属層15,18の一層あたりの膜厚
は、貴金属層15,18を積層することにより表れる効
果を十分に得るために、0.3nm〜10nmの範囲と
することが好ましい。貴金属層15,18の一層あたり
の膜厚が0.3nm未満である場合には、貴金属層1
5,18を積層する効果が表れない虞がある。一方、貴
金属層15,18の一層あたりの膜厚が10nmを上回
る場合には、当該貴金属層15,18が擬似ギャップと
して動作し、再生出力特性でのうねりを生じる虞があ
る。
【0055】軟磁性薄膜層14,17及び貴金属層1
5,18の一層あたりの膜厚を上記のように規定するこ
とで、軟磁性積層膜5,6に占める貴金属層15,18
の割合が適度に抑えられ、実効的な飽和磁束密度の低下
を非常に小さくすることができる。また、貴金属層1
5,18は磁気ギャップgと平行に配列されているが、
擬似ギャップとして動作することがない。
【0056】軟磁性薄膜層14,17及び貴金属層1
5,18の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリ
ング法、イオンプレーティング法等に代表される真空薄
膜形成技術を何れも適用できる。このとき、スパッタリ
ング工程数の増加は、装置を多ターゲット化することに
より解決できる。
【0057】次に、MIG型ヘッドにおいて、主コア部
として、上記FeaSibTacRudGaefなる組成式
で示される軟磁性薄膜層14,17を単層で用い、その
記録再生特性及び耐腐食性を評価した。
【0058】ここで用いた軟磁性薄膜層14,17は、
Fe74.0原子%、Si15.0原子%、Ru2.5
原子%、Ga1.0原子%、Ta7.5原子%のターゲ
ットを用い、窒素10モル%添加アルゴン雰囲気中でD
Cスパッタリングすることにより作製した。作製された
軟磁性薄膜層の保磁力Hcは15A/m、飽和磁束密度
Bsは1.35T、磁化困難軸方向の透磁率μHardは3
200であった。このとき、上記基体3,4上に上記軟
磁性薄膜層14,17を直接成膜すると、フェライトと
磁性薄膜間で拡散反応が起こり疑似ギャップを生じるた
め、反応防止膜を介して上記軟磁性薄膜層14,17を
成膜することが好ましい。
【0059】また、比較のため、軟磁性薄膜層としてF
e78原子%、Ta10原子%、N12原子%なる組成
を有する微結晶析出型軟磁性薄膜(Hc=15A/m、
Bs=1.6T、μHard=4500)を用いたMIG型
ヘッド、及び軟磁性薄膜層としてFe66原子%、Si
14原子%、Ru8原子%、Ga12原子%なる組成を
有する結晶質軟磁性薄膜(Hc=25A/m、Bs=
1.1T、μHard=1500)を用いたMIG型ヘッド
をそれぞれ作製し、先のMIG型ヘッドと記録再生特性
を比較した。
【0060】図7に、保磁力Hc132kA/m、磁性
層の厚さ0.53μmの磁気記録媒体を用いてオーバー
ライト特性を測定した結果を示す。また、図8に、再生
出力の周波数依存性を測定した結果を示す。
【0061】上述のような軟磁性薄膜層14,17を用
いたMIGヘッドは、結晶質の軟磁性薄膜を用いたMl
Gヘッドに比べて、使用した軟磁性薄膜層14,17の
高い飽和磁束密度を反映した優れたオーバーライト特性
に加え、良好な軟磁気特性を反映して再生出力も全周波
数帯域に亘って高く、Feを核とする微結晶析出型軟磁
性薄膜を用いたMIGヘッドとほぼ同等の記録再生特性
を示していることがわかる。
【0062】また、上記3種類の軟磁性薄膜を適用した
MlGヘッドを、0.5規定濃度のNaCl水溶液中に
1時間浸漬した後、磁気記録媒体摺動面を観察した。そ
の結果、Feを核とする微結晶析出型軟磁性薄膜を用い
たMIGヘッドでは、軟磁性薄膜表面が腐食してしまっ
ていた。これに対して、上述の軟磁性薄膜層14,17
を用いたMIGヘッドは、結晶質軟磁性薄膜を用いたM
IGヘッド同様に腐食は全く観察されず、高い信頼性を
有することが確認された。
【0063】以上の結果より、上述のような軟磁性薄膜
層14,17をMIGヘッドに用いることで、優れた記
録再生特性と高い信頼性を付与することができることが
わかる。
【0064】次に、上記構成のMIG型ヘッドにおい
て、主コア部として、FeaSibTacRudGaef
る組成式で示される軟磁性薄膜層14,17と貴金属層
15,18とを交互に成膜した軟磁性積層膜5,6を用
い、再生特性を評価した。
【0065】ここで用いた軟磁性薄膜層14,17は、
Fe74.0原子%、Si15.0原子%、Ru2.5
原子%、Ga1.0原子%、Ta7.5原子%のターゲ
ットを用い、窒素10モル%添加アルゴン雰囲気中でD
Cスパッタリングすることにより作製した。貴金属層1
5,17は、Ptを用い、アルゴン雰囲気中でRFスパ
ッタリングすることにより作製した。軟磁性積層膜5,
6は、一層の膜厚が0.415μmである軟磁性薄膜層
14,17を、一層の膜厚が2nmである貴金属層1
5,18を介して12層積層することにより作製した。
作製された軟磁性積層膜5,6に、550℃、1時間の
保持熱処理を施した。保持熱処理後の軟磁性積層膜5,
6の保磁力Hcは12A/m、飽和磁束密度Bsは1.
38T、磁化困難軸方向の透磁率μHardは3500であ
った。
【0066】また、比較のため、上記軟磁性積層膜5,
6の代わりとして、主コア部に、Fe74.0原子%、
Si15.0原子%、Ru2.5原子%、Ga1.0原
子%、Ta7.5原子%なる組成を有する微結晶析出型
軟磁性薄膜層を単層で用いたMIG型ヘッドを作製し
た。上記軟磁性薄膜層の膜厚は、5μmである。
【0067】上記軟磁性積層膜5,6及び軟磁性薄膜層
の単層膜の、X線回折パターンを、図9に示す。また、
主コア部として、上述の軟磁性積層膜5,6又は軟磁性
薄膜層の単層膜を用いた磁気ヘッドの、再生出力の周波
数依存性を測定した結果を、図10に示す。記録ヘッド
としては、Fe−Ru−Ga−Siなる組成を有する膜
を、ギャップ面に平行に成膜したMIG型ヘッドを用い
た。
【0068】図9からも明らかなように、軟磁性薄膜層
14,17と貴金属層15,18とを積層した軟磁性積
層膜5,6では、α−Fe(110)配向が強まってい
ることがわかる。また、図10からも明らかなように、
α−Fe(110)配向が強い軟磁性積層膜5,6を主
コア部として用いた磁気ヘッドは、軟磁性薄膜層の単層
膜を主コア部として用いた磁気ヘッドに比べて、再生出
力が全周波数領域にわたって向上していることがわか
る。
【0069】以上のように、軟磁性積層膜5,6を有す
る磁気ヘッドでは、軟磁気特性が向上し、特に膜厚方向
での透磁率が向上し、再生特性が大幅に向上する。
【0070】なお、以上の説明は、軟磁性積層膜5,6
が、磁気ギャップgに対して平行に配された磁気ヘッド
についての説明であるが、本発明はこれに限定されるも
のではない。例えば、斜めに削り落とした磁気ギャップ
g形成面の斜面に、軟磁性積層膜5,6をそれぞれ成膜
し、これら軟磁性積層膜5,6同士の突き合わせ面に磁
気ギャップgが構成される磁気ヘッドや、磁気ギャップ
gに対してアジマスを持っている磁気ヘッドに対して適
用することも可能である。また、本発明は、本発明の思
想を逸脱することのない範囲内で種々の変更が可能であ
る。
【0071】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、上述
の組成の微結晶析出型軟磁性薄膜を用いることで、高い
飽和磁束密度を持ち、耐食性に優れるばかりでなく、併
せて優れた軟磁気特性を有するものとなる。また、微結
晶析出型軟磁性薄膜と貴金属層とを積層した構造である
軟磁性積層膜を用いることにより、磁気ヘッドは、さら
に優れた軟磁気特性を実現するとともに、透磁率が大幅
に向上することとなる。
【0072】したがって、高い信頼性を有し、優れた記
録特性及び再生特性を有する磁気ヘッドを提供すること
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】MIG型ヘッドの一構成例を示す概略斜視図で
ある。
【図2】MIG型ヘッドの磁気記録媒体摺動面を示す概
略平面図である。
【図3】Fe−Ta−(Ru+Si+Ga)3元組成図
における磁気特性の分布を示す特性図である。
【図4】Feの原子分率と耐食性の関係を示す特性図で
ある。
【図5】Si/(Si+Fe)と飽和磁束密度Bs及び
飽和磁歪定数λsの関係を示す特性図である。
【図6】軟磁性積層膜の一構成例を示す要部概略断面図
である。
【図7】各種軟磁性薄膜を用いたMIG型ヘッドにおけ
るオーバーライト特性の相違を示す特性図である。
【図8】各種軟磁性薄膜を用いたMIG型ヘッドにおけ
る再生出力の周波数特性の相違を示す特性図である。
【図9】軟磁性積層膜及び軟磁性薄膜層の単層膜のX線
回折パターンを示す特性図である。
【図10】軟磁性積層膜又は軟磁性薄膜層の単層膜を用
いたMIG型ヘッドにおける再生出力の周波数特性の相
違を示す特性図である。
【符号の説明】
1,2 磁気コア半体、5,6 軟磁性積層膜、14,
17 軟磁性薄膜層、15,18 貴金属層
フロントページの続き (72)発明者 徳竹 房重 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 鈴木 篤 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 5D093 AA02 BB05 BB18 BC07 BC18 JA01 JB01 5D111 AA13 AA22 BB17 BB35 BB39 BB48 FF02 FF05 FF44 FF47

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気コアにより閉磁路が構成され、且つ
    前記閉磁路内にギャップを有してなる磁気ヘッドにおい
    て、 上記磁気コアの少なくとも一部が、軟磁性薄膜層と貴金
    属層とを積層してなる軟磁性積層膜により構成され、 上記軟磁性薄膜層が、FeaSibTacRudGae
    f(ただし、式中a,b,c,d,e,fは、各元素の
    組成を原子%で表す。)なる組成式で示され、その組成
    範囲が、 62原子%<a<75原子% 7原子%<b<18原子% 3原子%<c<10原子% 0原子%≦d<10原子% 0原子%≦e<6原子% 5原子%<f<12原子% であり、且つ b+c>13原子% であり、上記貴金属層がPt、Au、Ag及びPdのう
    ち、少なくとも1種を含有することを特徴とする磁気ヘ
    ッド。
  2. 【請求項2】 上記組成範囲が、 65原子%<a<70原子% 10原子%<b<16原子% 5原子%<c<9原子% 0原子%≦d<5原子% 0原子%≦e<3原子% 5原子%<f<12原子% であり、且つ 4.5<a/b<6 であることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 上記軟磁性薄膜層が、Al、Cr、T
    i、Co、及びHfの少なくとも1種を6原子%以下の
    範囲で含有することを特徴とする請求項1記載の磁気ヘ
    ッド。
  4. 【請求項4】 上記軟磁性薄膜層の一層の厚みは、0.
    05μm〜1.0μmの範囲であることを特徴とする請
    求項1記載の磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 上記貴金属層の一層の厚みは、0.3n
    m〜5.0nmの範囲であることを特徴とする請求項1
    記載の磁気ヘッド。
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