JP2001110011A - 軟磁性薄膜及びこれを用いた磁気ヘッド - Google Patents

軟磁性薄膜及びこれを用いた磁気ヘッド

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JP2001110011A JP29153099A JP29153099A JP2001110011A JP 2001110011 A JP2001110011 A JP 2001110011A JP 29153099 A JP29153099 A JP 29153099A JP 29153099 A JP29153099 A JP 29153099A JP 2001110011 A JP2001110011 A JP 2001110011A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた軟磁気特性と優れた耐腐食性とを両立
し、さらに膜応力の低減を図る。 【解決手段】 Fe、Si、Ta、Nを基本組成とする
軟磁性薄膜にCuを微量添加する。この軟磁性薄膜の組
成をFevSiwTaxCuyz なる組成式で表した場
合、0.65≦v/(v+w+x+y)≦0.85、
0.1≦w/(v+w)≦0.3、0.02≦y/(v
+w+x+y)≦0.05なる組成範囲に設定する。さ
らに、RuやGaを5原子%以下の割合で添加してもよ
い。Cuの微量添加により、優れた軟磁気特性と耐腐食
性能を維持したまま膜応力が低減される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆるメタルテ
ープ、蒸着テープ等の高保磁力磁気記録媒体に対して記
録・再生を行う磁気ヘッドに用いて好適な軟磁性薄膜に
関し、優れた軟磁気特性と高信頼性を併せ持つ新規な軟
磁性薄膜に関する。さらには、かかる軟磁性薄膜を用い
た磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録の分野においては、記録
信号の高密度化が進行しており、高い保磁力と高い残留
磁束密度を有する磁気記録媒体、例えば強磁性金属材料
を非磁性支持体上に直接被着せしめてなる,いわゆる蒸
着テープ等が使用されるようになっている。
【0003】これに伴って磁気ヘッドに対しては、コア
材料が高飽和磁束密度、高透磁率を有することが要求さ
れている。
【0004】かかる要求を満たすために、従来から補助
コア材にフェライトを用い、そのフェライト上に高飽和
磁束密度を有する金属磁性薄膜を主コア材として形成
し、ギャップ部が上記金属磁性薄膜より形成されてな
る,いわゆるメタル・イン・ギャップ(MIG)型の磁
気ヘッドが提案されており、蒸着テープ等の記録・再生
に好適なものとなっている。
【0005】ところで、この種の磁気ヘッドにおいて
は、近年の高密度化の著しい進展に伴い、上記蒸着テー
プ等のように高保磁力を有する記録媒体に対して良好に
記録・再生する必要があることから、記録磁界を十分取
るためにより高い飽和磁束密度を持ち、かつ高周波領域
でも優れた軟磁気特性を有する金属磁性材料が求められ
ている。
【0006】このような状況の中、Feを主成分とする
微結晶金属磁性薄膜は、高い飽和磁束密度を持ち、優れ
た軟磁気特性を示すことから、従来の磁気ヘッド用金属
磁性材料を置き換える形で実用化され始めている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記F
e基微結晶金属軟磁性薄膜は、純鉄に近い組成の微細結
晶が薄膜の体積のほとんどを占める構造であることか
ら、一般に耐食性が低く、これを用いたデバイスの信頼
性が低下するという問題を抱えている。
【0008】そこで、本願出願人は、上記Fe基微結晶
金属軟磁性薄膜の優れた軟磁気特性を維持しながら耐腐
食性能を示す材料として、FeSiTaNあるいはFe
SiRuGaTaNなる組成の軟磁性膜を提案してい
る。
【0009】しかしながら、これら軟磁性膜は成膜直
後、及び熱処理後の膜応力がともに1GPa程度と大き
な値となっており、例えば磁気ヘッドプロセスの際、フ
ェライト等からなる補助コアから軟磁性膜が剥離する
等、膜応力に起因する不良の発生が懸念される。
【0010】本発明は、このような従来の実情に鑑みて
提案されたものであり、優れた軟磁気特性と耐腐食性に
加え、低膜応力化を実現し得る軟磁性薄膜を提供し、さ
らなる高性能、高信頼性を有する磁気ヘッドを提供する
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、FeSiT
aNあるいはFeSiRuGaTaNなる組成を有する
軟磁性薄膜に微量のCuを添加することで、優れた軟磁
気特性と耐腐食性を維持したっま、膜応力の低減が図れ
ることを見いだした。
【0012】本発明は、かかる知見に基づいて完成され
たものである。すなわち、本発明の軟磁性薄膜は、F
e、Si、Ta、Cu及びNを含んでなり、Feの組成
をv原子%、Siの組成をw原子%、Taの組成をx原
子%、Cuの組成をy原子%としたときに、0.65≦
v/(v+w+x+y)≦0.85であることを特徴と
するものである。
【0013】また、本発明の軟磁性薄膜の製造方法は、
Fe、Si、Ta及びCuを含む合金ターゲット又は複
合ターゲットを用い、5〜50体積%の窒素を含む雰囲
気中でスパッタリングを行った後、温度400℃〜60
0℃で熱処理することを特徴とするものである。
【0014】さらに、本発明の磁気ヘッドは、磁気コア
により閉磁路が構成され、且つ前記閉磁路内に磁気ギャ
ップを有してなる磁気ヘッドにおいて、上記磁気コアの
少なくとも一部が軟磁性薄膜により構成され、当該軟磁
性薄膜は、Fe、Si、Ta、Cu及びNを含んでな
り、Feの組成をv原子%、Siの組成をw原子%、T
aの組成をx原子%、Cuの組成をy原子%としたとき
に、0.65≦v/(v+w+x+y)≦0.85であ
ることを特徴とするものである。
【0015】上記組成の軟磁性薄膜は、微結晶析出型軟
磁性薄膜であることにより、高飽和磁束密度、及び優れ
た軟磁気特性が実現されるとともに、核となる部分が高
い耐食性を示す合金で置き換えられることにより、優れ
た耐腐食性能が併せて実現される。
【0016】また、Cuの微量添加により、軟磁気特性
や耐腐食性能を損なうことなく膜応力が大幅に低減され
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した軟磁性薄
膜及び磁気ヘッドについて、図面を参照しながら詳細に
説明する。
【0018】本発明の軟磁性薄膜は、Fe、Si、T
a、Cu、Nを主な構成元素とするものである。これら
構成元素からなる基本組成に、RuやGaが5原子%以
下の割合で添加されていてもよい。
【0019】本発明の軟磁性薄膜は、5体積%から50
体積%の窒素を含むアルゴンガス雰囲気中でスパッタリ
ングすることにより作製され、400℃から600℃で
の熱処理を経ることにより軟磁気特性を発揮する。
【0020】スパッタリングの際のターゲットは、例え
ばFeSiTaCuの合金ターゲットでもよいし、Fe
ターゲットの上にSiやTa、Cuのチップを配置した
複合ターゲットでもよい。
【0021】以下、上記Fe、Si、Ta、Cuの最適
組成範囲の検討結果について述べる。
【0022】ここでは、FeSiTaターゲット上にF
eやSi、Cuチップを配置する複合ターゲットを用
い、10体積%の窒素を含むアルゴンガス雰囲気中で成
膜(スパッタリング)を行い、550℃で1時間の熱処
理を行った。その際、FeSiTaターゲット上に配置
する各元素チップの数を調整することで得られる膜の組
成比を変化させた。
【0023】軟磁気特性及びNaCl溶液浸漬法による
腐食試験には、結晶化ガラス基板を用いた。
【0024】先ず、軟磁気特性が得られるFe量の範囲
について検討したところ、組成をFevSiwTaxCuy
z で表した場合、v/(v+w+x+y)の値が0.
85を越えると保磁力の増大が見られた。逆に、v/
(v+w+x+y)の値が0.65より小さくなると飽
和磁束密度の低下が観察された。これらのことから、v
/(v+w+x+y)の値は、0.65から0.85の
間に設定することが好ましい。
【0025】次に、Si量の範囲について検討したとこ
ろ、組成をFevSiwTaxCuyz で表した場合、w
/(v+w)の値が0.3を越えると飽和磁束密度の低
下が見られた。逆に、w/(v+w)の値が0.1より
も小さくなると保磁力の増大が観察された。これらのこ
とから、w/(v+w)の値は0.1から0.3の間に
設定することが好ましい。
【0026】続いて、y/(v+w+x+y)の値を0
から0.06まで変化させたサンプルを作製し、軟磁気
特性の測定及び腐食試験を行った。その結果を図1〜図
4に示す。
【0027】図1は、1MHzにおける磁化困難軸方向
の透磁率を示すものである。この図1からも明らかなよ
うに、y/(v+w+x+y)の値が0.04を越える
あたりまでは透磁率はほぼ一定の値を示すが、それを越
えると低下し始める。
【0028】図2は、保磁力の変化を示すものである。
保磁力は、y/(v+w+x+y)の値が増加するのに
伴って最初は若干の減少傾向を示すが、0.04を越え
るあたりから一転して増加傾向を示す。
【0029】図3は、熱処理後の膜応力の変化を示すも
のである。膜応力は、y/(v+w+x+y)の値が増
加するのに伴い低下し、0.03付近で初期の膜応力の
ほぼ1/2程度の値を示している。その後は、ほぼ一定
の値を保っている。
【0030】図4は、NaCl浸漬法による腐食試験の
結果を示すものである。各サンプルを0.5規定濃度の
NaCl溶液に600時間浸漬し、その前後での飽和磁
化量の比を%で表示してある。数値が高いものほど腐食
し難く、逆に数値が低いものほど腐食しやすいことを示
している。腐食が全くない場合の飽和磁化量の比は10
0%である。
【0031】もともとFeSiTaN膜は高い腐食性能
を有しているが、今回の測定結果により、微量のCuの
添加であれば、その耐腐食性能は損なわれないことが明
らかとなった。ただし、y/(v+w+x+y)の値が
0.06まで大きくなると、飽和磁化量比で10%程度
の腐食が見られるため、Cuの添加量はy/(v+w+
x+y)の値で0.05以下の範囲にとどめておくのが
好ましい。
【0032】以上の検討結果より、軟磁性薄膜の組成を
FevSiwTaxCuyz なる組成式で表した場合、 0.65≦v/(v+w+x+y)≦0.85 0.1≦w/(v+w)≦0.3 0.02≦y/(v+w+x+y)≦0.05 なる組成範囲に設定することが好ましいと言える。
【0033】上記組成範囲に設定することにより、良好
な軟磁気特性と高い耐腐食性能を有し、しかも膜応力の
低い磁性膜を実現することができる。
【0034】上記においては、FeSiTaNを基本組
成とし、これにCuを添加した場合について述べたが、
耐摩耗性能を向上させるために微量のRu,Gaを添加
したFeSiTaRuGaNを基本組成とし、これにC
uを添加した磁性膜についても同様の結果が得られてい
る。
【0035】この場合、基本組成であるFeSiTaR
uGaNの組成は、FeaSibTacRudGaef(た
だし、式中a,b,c,d,e,fは、各元素の組成を
原子%で表す。)なる組成式で示したときに、その組成
範囲が、 62原子%<a<75原子% 7原子%<b<18原子% 3原子%<c<10原子% 0原子%≦d<10原子% 0原子%≦e< 6原子% 5原子%<f<12原子% であり、且つb+c>13原子%であることが好まし
い。
【0036】上記基本組成のうち窒素を除く組成と、5
50度にて1時間保持した後の保磁力Hc、飽和磁束密
度Bs、磁化困難軸方向の透磁率μHardとを表1〜表4
に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】また、図5として、表1のデータをFeと
Taの原子分率に着目して組成マップ上に配置した図を
示す。
【0042】なお、基本組成の組成分率を窒素を除いた
組成分率で表したのは、軽元素である窒素の分析精度が
他の元素に比較して悪いためであり、以下、組成は窒素
を除く構成元素の原子分率の和を100%として表示す
る。
【0043】何れの組成でも、軟磁気特性が得られる窒
素の原子分率は、5〜12%の範囲である。
【0044】図5からわかるように、Taの原子分率が
5〜7%以上の領域に保磁力が40A/m以下の良好な
軟磁気特性を示す組成範囲がある。Taは成膜時の非晶
質化を促進する元素として知られており、Taの原子分
率が5〜7%以下の領域で良好な軟磁気特性が得られな
いのは、この領域では微結晶析出型の軟磁性薄膜に必要
な熱処理前の非晶質構造が形成されないためであると考
えられる。
【0045】また、図6に、表1〜表4に示される全て
の磁性薄膜を0.5規定濃度のNaCl水溶液中に20
0時間浸漬した前後の飽和磁化量の比を、Feの原子分
率に対してプロットしたグラフを示す。
【0046】飽和磁化量の比が1である磁性薄膜は、全
く腐食しないことを示し、零に近くなるに従って腐食の
度合が大きいことを示している。
【0047】図5より、Feの原子分率が高い程より高
い飽和磁束密度Bsが得られるものの、図6より窒素を
除く構成元素の原子分率の和を100%としたときのF
eの原子分率が76%を超える領域から耐食性が劣化し
ていることがわかる。
【0048】さらに、Siの原子分率とSiとFeの原
子分率の和による飽和磁束密度と飽和磁歪定数の変化を
図7に示す。
【0049】上記和が0.1〜0.21の範囲でHc<
80A/m以下の軟磁気特性が得られでいるが、飽和磁
束密度を1.3T以上に、旦つ飽和磁歪定数を1×10
-6以下にするためには、上記組成比(和)を0.15〜
0.17の範囲にすることがより望ましいことを見い出
した。
【0050】かかる組成範囲は、FeaSibTacRud
Gaefの組成式において、おおよそ4.5<a/b<
6.0であると言い替えることができる。
【0051】また、SiはTaと同様に熱処理前の非晶
質構造形成に寄与する元素であるために、Taの原子分
率を減らした影響をSiの原子分率を増すことである程
度相殺することができる。
【0052】Ruは、添加量増加に対する飽和磁束密度
Bsの低下が小さく、また耐食性向上に効果的であり、
表1より0〜11原子%の広い原子分率範囲でHc<8
0A/mの軟磁気特性が得られているが、より高い飽和
磁束密度を達成するためには、5原子%以内にすること
が望ましい。
【0053】Gaは、軟磁性薄膜の磁気異方性の低減と
耐食性向上に寄与する元素であり、表1より0〜5原子
%の原子分率範囲でHc<80A/mの軟磁気特性が得
られている。
【0054】以上の検討結果により、FeaSibTac
RudGaef(ただし、式中a,b,c,d,e,f
は、各元素の組成を原子%で表す。)なる組成式で示し
たときに、その組成範囲が、 62原子%<a<75原子% 7原子%<b<18原子% 3原子%<c<10原子% 0原子%≦d<10原子% 0原子%≦e< 6原子% 5原子%<f<12原子% であり、且つb+c>13原子%であることが好ましい
と言える。
【0055】さらに、磁気ヘッド等への応用を考慮する
と、上記組成式の各原子分率が、 65原子%<a<70原子% 10原子%<b<16原子% 5原子%<c< 9原子% 0原子%≦d< 5原子% 0原子%≦e< 3原子% 5原子%<f<12原子% であり、且つ4.5<a/b<6であることがより好ま
しい。
【0056】また、Fe,Si,Ta,Ru,Ga,N
以外の元素として、例えばHfを添加した場合、磁性薄
膜中の微結晶粒の粒界相を形成するTa元素と同様な効
果を示し、またAl,Cr,Ti,Co等の元素を添加
した場合は微結晶粒中に固溶することでGaと同様、磁
気異方性の低減及ぴ耐食性の向上といった効果を発揮す
る。したがって、上記基本組成にAl,Cr,Ti,C
o,Hfの少なくとも1種以上の金属元素を0〜6原子
%程度添加しても、ほぼ同等の軟磁気特性と耐食性が得
られる。
【0057】次に、本発明の軟磁性薄膜をMlG型ヘッ
ドに適用した具体的な例について図面を参照しながら説
明する。
【0058】本例の磁気ヘッドは、図8及び図9に示す
ように、記録媒体対接触面の略中央に位置する磁気ギャ
ップgを境として左右別々に作製された一対の磁気コア
半体1,2が磁気ギャップ形成面を突き合わせて接合一
体化されてなるものである。
【0059】上記磁気コア半体1,2は、補助コアであ
る基体3,4と、主コア部である金属磁性薄膜5,6と
から構成されている。
【0060】上記基体3,4は、例えばMn−Zn系フ
ェライトやNi−Zn系フェライト等の酸化物磁性材料
からなり、上記金属磁性薄膜5,6と共に閉磁路を構成
する補助コア部となっている。
【0061】上記基体3,4の前記磁気ギャップ形成面
と対向する面には、上記磁気ギャップgのトラック幅T
wを規制するための円弧状のトラック幅規制溝7,8,
9,10が、磁気ギャップgの両端縁近傍部よりそれぞ
れデプス方向に形成されている。
【0062】なお、上記トラック幅規制溝7,8,9,
10内には、それぞれ磁気記録媒体との当たり特性を確
保すると共に、摺接による偏摩耗を防止する目的で、ガ
ラス等の非磁性材11が充填されている。
【0063】また、上記基体3,4のうち一方の基体
(ここでは基体4)の上記磁気ギャップ形成面と対向す
る面には、上記磁気ギャップgのデプスを規制すると共
にコイル(図示は省略する。)を巻装するための巻線溝
12が側面形状を略矩形状として形成されている。な
お、上記巻線溝12は、上記一方の基体4のみならず、
他方の基体3にも同様に形成されていてもよい。
【0064】一方、金属磁性薄膜5,6は、上記基体
3,4と共に閉磁路を構成する主コア部となるもので、
当該基体3、4の対向面にそれぞれフロントギャップ部
よりバックギャップ部に亘って成膜されている。したが
って、これらの金属磁性薄膜5,6の対向面がすなわち
上記磁気コア半体1,2の磁気ギャップ形成面となって
いる。
【0065】なお、本例では、上記金属磁性薄膜5,6
は、上記基体3,4の対向面のみならず上記トラック幅
規制溝7,8,9,10内にも成膜されている。また、
巻線溝12内の全面、もしくは少なくとも一部に上記金
属磁性薄膜5,6が成膜されていてもよい。
【0066】上記構成のMIG型ヘッドにおいて、軟磁
性薄膜としてFevSiwTaxzなる組成式で示される
軟磁性薄膜を用い、その特性を評価した。
【0067】ここで用いた軟磁性薄膜5,6は、y/
(v+w+x+y)の値を0.03としたFeSiTa
CuN膜である。
【0068】また、比較のため、軟磁性薄膜としてy/
(v+w+x+y)の値が0,すなわちCuを添加して
いないFeSiTaN膜を用いたMIG型ヘッドを作製
し、先のMIG型ヘッドと記録再生特性を比較した。
【0069】これら磁気ヘッドを用いてヘッド特性の比
較を行った結果、記録特性、再生特性ともに差異が見ら
れなかった。これは、使用した軟磁性膜の軟磁気特性に
大きな違いがないことを反映した結果と言え、本発明の
磁気ヘッドがFeSiTaN膜を用いた磁気ヘッドと比
べ、ヘッド特性的に遜色のないことが示された。
【0070】次に、両方の磁気ヘッドを0.6Kmol・
-3のNaCl溶液に浸漬し、磁性膜の腐食の様子を観
察したところ、いずれのヘッドにおいても120時間経
過後でも初期の状態を保っており、高い耐腐食性能を有
することが確認された。
【0071】したがって、Cuを添加したFeSiTa
N系軟磁性膜を用いることにより、膜応力に起因するヘ
ッド作製プロセス上の問題を解消することができ、ヘッ
ド特性、耐腐食性能に優れ、効率的な製造が可能で信頼
性の高い磁気ヘッドを実現することができる。
【0072】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の軟磁性薄膜は、優れた軟磁気特性や高い耐腐食性能
を有するばかりでなく、膜応力も小さい。
【0073】したがって、かかる軟磁性薄膜を磁気ヘッ
ドに用いることにより、記録再生特性に優れ、高い信頼
性を有するとともに、効率的な製造が可能な磁気ヘッド
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】FeSiTaCuN膜におけるCu組成比と磁
化困難軸方向の透磁率(1MHz)の関係を示す特性図
である。
【図2】FeSiTaCuN膜におけるCu組成比と保
磁力の関係を示す特性図である。
【図3】FeSiTaCuN膜におけるCu組成比と熱
処理後の膜応力の関係を示す特性図である。
【図4】FeSiTaCuN膜における腐食試験結果を
示すものであり、Cu組成比と飽和磁化量比の関係を示
す特性図である。
【図5】Fe−Ta−(Ru+Si+Ga)3元組成図
における磁気特性の分布を示す特性図である。
【図6】Feの原子分率と耐食性の関係を示す特性図で
ある。
【図7】Si/(Si+Fe)と飽和磁束密度Bs及び
飽和磁歪定数λsの関係を示す特性図である。
【図8】MIG型ヘッドの一構成例を示す概略斜視図で
ある。
【図9】MIG型ヘッドの磁気記録媒体摺動面を示す概
略平面図である。
【符号の説明】
1,2 磁気コア半体、5,6 金属磁性薄膜、g 磁
気ギャップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5D033 BA03 CA06 DA01 DA03 5D093 AA02 BB05 BB18 FA09 FA16 HA01 HA17 JA01 5E049 AA01 AA09 BA06 BA12 EB06 GC01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe、Si、Ta、Cu及びNを含んで
    なり、 Feの組成をv原子%、Siの組成をw原子%、Taの
    組成をx原子%、Cuの組成をy原子%としたときに、
    0.65≦v/(v+w+x+y)≦0.85であるこ
    とを特徴とする軟磁性薄膜。
  2. 【請求項2】 0.1≦w/(v+w)≦0.3である
    ことを特徴とする請求項1記載の軟磁性薄膜。
  3. 【請求項3】 0.02≦y/(v+w+x+y)≦
    0.05であることを特徴とする請求項1記載の軟磁性
    薄膜。
  4. 【請求項4】 Ru及び/又はGaが5原子%以下の割
    合で添加されていることを特徴する請求項1記載の軟磁
    性薄膜。
  5. 【請求項5】 Fe、Si、Ta及びCuを含む合金タ
    ーゲット又は複合ターゲットを用い、5〜50体積%の
    窒素を含む雰囲気中でスパッタリングを行った後、温度
    400℃〜600℃で熱処理することを特徴とする軟磁
    性薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 磁気コアにより閉磁路が構成され、且つ
    前記閉磁路内に磁気ギャップを有してなる磁気ヘッドに
    おいて、 上記磁気コアの少なくとも一部が軟磁性薄膜により構成
    され、 当該軟磁性薄膜は、Fe、Si、Ta、Cu及びNを含
    んでなり、 Feの組成をv原子%、Siの組成をw原子%、Taの
    組成をx原子%、Cuの組成をy原子%としたときに、
    0.65≦v/(v+w+x+y)≦0.85であるこ
    とを特徴とする磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】 上記軟磁性薄膜において、0.1≦w/
    (v+w)≦0.3であることを特徴とする請求項6記
    載の磁気ヘッド。
  8. 【請求項8】 上記軟磁性薄膜において、0.02≦y
    /(v+w+x+y)≦0.05であることを特徴とす
    る請求項6記載の磁気ヘッド。
  9. 【請求項9】 上記軟磁性薄膜は、Ru及び/又はGa
    が5原子%以下の割合で添加されていることを特徴する
    請求項6記載の磁気ヘッド。
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