JP2001133618A - 光伝送装置 - Google Patents
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Abstract
た金属フィルム10と、金属フィルム10の第1の表面
10aに実質的に隣接して設けられた屈折率nd1の第1
の誘電体層14aと、金属フィルム10の第2の表面1
0bに実質的に隣接して設けられた屈折率nd2の第2の
誘電体層14bとを有する。第1の誘電体層14aの屈
折率nd1と、第2の誘電体層14bの屈折率nd2とは実
質的に等しい。
Description
に1つ以上の開口が設けられた薄い金属フィルムを通す
ことにより光を強める伝送技術に関する。
月26日提出、(以下、‘432出願)、米国特許出願番号0
9/l68,265、1998年10月8日提出、(‘265出願)、米国
特許出願番号 09/208,116、1998年12月9日提出、(以
下、‘116出願)(ここでは、まとめて「先願」と呼
び、ここでは、これら先願のそれぞれは本明細書に含ま
れる)で詳細に記述されているように、波長未満の直径
の開口が1つ以上設けられている薄い金属フィルム(す
なわち、導電性であり、重要となる波長において不透明
である)を通しての光伝送は、周期的に配列された孔を
配置すること、および/または、開口と共に金属フィル
ムの金属フィルム上に設けられた周期的な表面形状(窪
みや突起といった表面形状)により大いに強化すること
が可能である。1000倍程のこの強化は、導電性フィ
ルムに入射する光が表面プラズモンモードと共振的に相
互作用する時に生ずる。
送装置に比べて、さらに強化された光伝送効率の光伝送
装置である。
の、新規の近接走査顕微鏡、光波長未満写真平版印刷用
マスクの新技術、波長選択フィルタ、および集光装置を
含む。
して光伝送がなされる装置が提供される。この装置は第
1および第2の表面を有する金属フィルムと、金属フィ
ルムに設けられ第1の表面から第2の表面に連通する少
なくとも1つの開口と、第1および第2の誘電体層とを
有する。第1の誘電体層は実質的に金属フィルムの第1
の表面に隣接して設けられており、また、第2の誘電体
層は実質的に金属フィルムの第2の表面に隣接して設け
られている。第1と第2の誘電体層のそれぞれの屈折率
は、実質的に等しい。金属フィルムの1つの表面に入射
する光が金属フィルムの少なくとも1つの表面上の表面
プラズモンモードと相互作用し、金属フィルムの少なく
とも1つの開口を通ずる光伝送を強化する。装置は単一
の開口、あるいは、複数の周期的に整えられた開口を有
するものでもよく、金属フィルム表面は、さらに伝送を
強化するため、周期的な表面形状が設けられていてもい
なくてもよい。波長選択光学装置、空間光学フィルタ、
集光装置、近接走査光学顕微鏡装置、写真平版印刷用マ
スクも提供される。
の両表面に実質的に隣接し、かつ、実質的に屈折率が等
しい2つの誘電体層を用い、屈折率がよく似た層のない
開口を通しての伝送に比較して伝送が強化されたよう
な、1つ以上の開口を通しての光伝送を行う装置を提供
することである。
の開口を通して行う装置を提供することである。
で強力な光伝送を1つ以上の開口を通して行う装置を提
供することである。
口を有し、強力な光伝送を行う波長選択光学装置を提供
することである。
を行う空間光学フィルタを提供することである。
口を有し、強力な光伝送を行う集光装置を提供すること
である。
口を有し、強力な光伝送を行う近接走査光学顕微鏡装置
を提供することである。
口を有し、強力な光伝送を行う写真平版印刷用マスクを
提供することである。
記述を参照することによりさらに容易に明らかとなるで
あろう。
第1および第2の表面を有する金属フィルムと、前記金
属フィルムに設けられ、前記第1の表面から前記第2の
表面に連通する少なくとも1つの開口と、前記金属フィ
ルムの前記第1の表面に実質的に隣接する第1の屈折率
の第1の誘電体層と、前記金属フィルムの前記第2の表
面に実質的に隣接する第2の屈折率の第2の誘電体層と
を有し、前記第2の屈折率は実質的に前記第1の屈折率
に等しく、前記金属フィルムの1つの表面に入射する光
が前記金属フィルムの少なくとも1つの表面の上の表面
プラズモンモードと相互作用し、前記金属フィルムの前
記開口の少なくとも1つを通ずる光伝送を強化する。
の誘電体層とは同様の誘電媒体からなることとしてもよ
い。
電体層とは異なる誘電媒体からなることとしてもよい。
第2の表面のうちの少なくとも1つが、周期的な表面形
状であるとしてもよい。
特殊形状からなるものとしてもよい。
開口からなるものとしてもよい。
開口からなるものとしてもよい。
ているとしてもよい。
であるとしてもよい。
ト状であるとしてもよい。
あるとしてもよい。
形状であるとしてもよい。
なくとも1つが選択的に可変な屈折率を有するとしても
よい。
第2の表面を有する金属フィルムと、前記金属フィルム
に設けられ、前記第1の表面から前記第2の表面に連通
する少なくとも1つの開口と、前記金属フィルムの前記
第1の表面に実質的に隣接する第1の屈折率の第1の誘
電体層と、前記金属フィルムの前記第2の表面に実質的
に隣接する第2の屈折率の第2の誘電体層とを有し、前
記第2の屈折率は実質的に前記第1の屈折率に等しく、
前記金属フィルムの1つの前記表面に入射する光が前記
金属フィルムの少なくとも1つの前記表面上の表面プラ
ズモンモードと相互作用し、前記金属フィルムの前記開
口の少なくとも1つを通ずる光伝送を強化し、さらに特
定範囲の波長の光のみが前記金属フィルムの前記開口を
通じて伝送されるように入射光線に関する前記金属フィ
ルムの方位を調整する手段を有する。
は、第1および第2の表面を有する金属フィルムと、前
記金属フィルムに設けられ、前記第1の表面から前記第
2の表面に連通する少なくとも1つの開口と、前記金属
フィルムの前記第1の表面に実質的に隣接する第1の屈
折率の第1の誘電体層と、前記金属フィルムの前記第2
の表面に実質的に隣接する第2の屈折率の第2の誘電体
層とを有し、前記第2の屈折率は実質的に前記第1の屈
折率に等しく、前記金属フィルムの1つの前記表面に入
射する光が前記金属フィルムの少なくとも1つの前記表
面上の表面プラズモンモードと相互作用し、前記金属フ
ィルムの前記開口の少なくとも1つを通ずる光伝送を強
化し、さらに各開口を通じて移動する光が対応する光フ
ァイバに入るように各開口と連通して配置された光ファ
イバを有する。
は、光源と光検出器を有する近接走査光学顕微鏡の集光
モードで使用する近接走査光学顕微鏡用プローブであっ
て、光源から受光するために前面が光源の近くに配置さ
れ、前記前面が第1の屈折率の第1の誘電体層を含む光
伝送装置と、前記第1の誘電体層に実質的に隣接する第
1の表面と、前記光源に向かい合う第2の表面とを有す
る金属フィルムと、前記金属フィルムに設けられ、前記
第1の表面から前記第2の表面に連通する少なくとも1
つの開口と、前記金属フィルムの前記第2の表面に実質
的に隣接する第2の屈折率の第2の誘電体層とを有し、
前記第2の屈折率は実質的に前記第1の屈折率に等し
く、これにより前記金属フィルムの前記第2の表面に入
射する前記光源からの光が前記金属フィルムの少なくと
も1つの前記表面上の表面プラズモンモードと相互作用
し、前記金属フィルムの前記開口の少なくとも1つを通
ずる光伝送を強化し、強化された伝送光が前記光伝送装
置を通じて前記光検出器に伝送される。
鏡用プローブは、光源と光検出器を有する近接走査光学
顕微鏡の放射モードで使用する近接走査光学顕微鏡用プ
ローブであって、光を前記光検出器に伝送するために前
面が前記光検出器の近くに配置され、前記前面が第1の
屈折率の第1の誘電体層を含む光伝送装置と、前記第1
の誘電体層に実質的に隣接する第1の表面と、前記光検
出器に向かい合っている第2の表面とを有する金属フィ
ルムと、前記金属フィルムに設けられ、前記第1の表面
から前記第2の表面に連通する少なくとも1つの開口
と、前記金属フィルムの前記第2の表面に実質的に隣接
する第2の屈折率の第2の誘電体層とを有し、前記第2
の屈折率は実質的に前記第1の屈折率に等しく、これに
より前記光源からの光が前記光伝送装置を通じて前記前
面まで伝送され、前記金属フィルムの少なくとも1つの
前記表面上の表面プラズモンモードと相互作用させるた
めに前記金属フィルムの前記第1の表面に入射され、前
記金属フィルムの前記開口の少なくとも1つを通ずる光
伝送を強化し、強化された伝送光が前記光検出器に伝送
される。
耐蝕膜を被覆した基板に画像を転写する写真平版印刷用
マスクであって、第1および第2の表面を有する金属フ
ィルムと、前記金属フィルムに設けられ、前記第1の表
面から前記第2の表面に連通し、転写する前記画像に対
応するパターンに配置された少なくとも1つの開口と、
前記金属フィルムの第1の表面に実質的に隣接する第1
の屈折率の第1の誘電体層と、前記金属フィルムの第2
の表面に実質的に隣接する第2の屈折率の第2の誘電体
層とを有し、前記第2の屈折率は実質的に前記第1の屈
折率に等しく、前記金属フィルムの1つの前記表面に入
射する光が前記金属フィルムの少なくとも1つの前記表
面上の表面プラズモンモードと相互作用し、前記金属フ
ィルム内の前記パターンに準拠して前記感光性耐蝕膜を
被覆した基板を露光するように前記金属フィルムの前記
開口の少なくとも1つを通ずる光伝送を強化し、前記画
像を転写する。
明の主要な要素である薄い金属板、すなわち、金属フィ
ルムを示す図である。
2の表面10bを有する。金属フィルム10は少なくと
も1つの孔、すなわち、開口12を有し、複数の開口1
2を有するものでもよい。開口12は直径がdであり、
金属フィルム10に複数の周期的に配列された複数の開
口12が形成されている場合、周期はPである。
属板からなるものであってもよい。金属フィルム10を
構成する材料は、すべての金属、または、ドープ処理を
した半導体のような、重要となる波長に対して不透明な
導伝性材料で、アルミニウム、銀、金あるいはクローム
が好ましい。
開口12、あるいは、複数の開口12を含むものでもよ
い。さらに、金属フィルム10は、単一の開口12、あ
るいは、複数の開口12を通しての光伝送を提供するた
めのどの先願の教示によって作られるものであってもよ
い。例えば、金属フィルム10は、'432出願に記載され
ているように周期的に配置された開口12の配列が備え
られたものでもよい。他の例として、金属フィルム10
は、'116出願に記述されているように金属フィルム10
の1つの面あるいは両面に周期的な表面形状(窪みや突
起といった表面形状を含む)が備えられているととも
に、単一の開口12あるいは複数の周期的に配列された
開口12が備えられているものであってもよい。開口1
2が単一の場合、周期的な表面形状は、金属フィルム1
0の少なくとも1つの表面に備えられているべきであ
る。開口12が複数の場合、周期的な表面形状は、複数
の開口12自身が周期的に配列されているのであれば、
周期的な表面形状は必ずしも必要ではないが、伝送効率
を最大にするため、金属フィルム10の少なくとも1つ
の表面に備えられているのが好ましい。開口12の、好
ましい大きさ、形状および配列、および、もし周期的な
表面形状があるのならば、その表面形状(周期的な表面
形状)は、金属フィルム10の好ましい厚さだけでな
く、先願で詳細に記述されている。
の金属フィルム10の構成と組み合わせるのが好ましい
が(簡単のため、ここでは、先願についてはさらには記
述しない)、特有の開口12の構成、および/または、
金属フィルム10の表面形状は、本発明では重要ではな
い。むしろ、本発明で生じる、以下に記述する金属フィ
ルム10の表面に実質的に隣接する媒体の特性が重要で
ある。
ルム10の表面に接する、あるいは非常に近傍の材料の
効果は十分には理解されていなかった。発明者らは、金
属フィルム10の各面上の誘電体層の屈折率が実質的に
等しいような、導電性フィルムの2つの表面の各々に実
質的に隣接している誘電体層とすることによって、伝送
効率をさらに強化できることを見出した。
ム10を含む本発明の光伝送装置20の一般的な構成を
示している。金属フィルム10は、第1の表面10aと
第2の表面10bとを有する。屈折率nd1の第1の誘電
体層14aは、金属フィルム10の第1の表面10aに
実質的に隣接して備えられている。屈折率nd2の第2の
誘電体層14bは、金属フィルム10の第2の表面10
bに実質的に隣接して備えられている。本発明によって
提供される強化された伝送効率は、第1の誘電体層14
aの屈折率nd1が第2の誘電体層14bの屈折率nd2と
実質的に等しい場合に、明らかとなる。
第1の誘電体層14aの屈折率nd1と第2の誘電体層1
4bの屈折率nd2とが実質的に同等でない装置との有効
性を比較するために、零次の伝送スペクトル(すなわ
ち、準線形な入射光の試料から現れる波長に依存する光
強度)が、以下のように記録された。
と第2の誘電体層14bとを有する、図2に示すような
構成のいくつかの試料が用意された。金属フィルム10
は、第1の誘電体層14aを構成するサファイアの基板
上あるいは石英の基板上に熱蒸着された、約300nm
の厚さの銀、あるいは金からなる。金属フィルム10は
光学的に不透明である。ついで金属フィルム10内に集
中イオンビーム機ミクリオン(Micrion)9500(5
0kevガリウムイオン、スポット径5nm)を使用し
て開口12が配列して加工された。個々の開口12の直
径dは150nmである。開口列の周期Pは、0.6μ
mである。伝送スペクトルは分光光度計ケイリー(Ca
ry)5内での垂直入射で得られた。
前に、本発明の有効性をより一層理解するために、1つ
以上の開口が開けられた金属フィルムを通しての強化さ
れた光伝送を発生させる物理的原理について記述する。
られた金属フィルムと、その他の一見滑らかな表面の
(すなわち、周期的表面形状の表面でない)金属フィル
ムとは、かなり明確なピークと強力に高められた伝送効
率とを伴う、全く異なった零次の伝送スペクトルを示
す。参照:T. W. Ebbesen 他、“波長未満口径の孔列に
よる驚くべき光伝送成果(Extraordinary optical tran
smission through sub-wavelength hole arrays)”,Na
ture,巻391,頁667-669, (1998年2月12日)。これらの
最大値は、金属フィルム10の両面10aおよび10b
上での表面プラズモンと入射光との相互共鳴の結果生じ
る。参照:H. F. Ghaemi 他、“表面プラズモンは波長
未満径の孔を通ずる光伝送を強化する(Surface Plasmo
ns Enhance Optical Transmission Through Subwavelen
gth Holes)", Physical Review B,巻58,第11号,頁6779
-9782(1998年9月15日)。
ける、出射光線の関連配置とその表面プラズモンとの結
合状態を示す図である。本発明により作られた光伝送装
置20を入射光線波長ベクトルkincおよび出射光線波
長ベクトルkoutと共に示す。波長ベクトルkincは光伝
送装置20の表面への垂線Nに対しθの角度で光伝送装
置20に入射する。波長ベクトルkoutは波長ベクトル
kincに平行である。波長ベクトルkxは光伝送装置20
の表面の平面内にある波長ベクトルkincの成分であ
る。
軸に平行で孔開き金属フィルムユニットがy軸の周りに
角度θだけ回転している)場合には、周期的構造(周期
的な表面形状、または、開口の周期的配列、または、両
者の結合等)を持つ金属フィルム10上の表面プラズモ
ンと入射光との結合は以下に示す運動量保存の法則に従
う。(参照:H. Raether,“平滑および粗な平面および
格子上における表面プラズモン(Surface Plasmons on
Smooth and Rough Surfaces and on Gratings)”,巻3,
Springer Tracts in Modern Physics (Springer 出版
社、ベルリン、1988))。
ある入射光線kincの波長ベクトルの成分;
の場合には
である。ここにPは表面形状の周期であり、θは図3に
示すような入射波長ベクトルkincと金属フィルム10
の表面垂線N間の角度、i、jは整数である。ベクトル
(参照:上記H. Raether)
はそれぞれ金属と誘電媒体の誘電率である。いま、εm
<0、および、|εm|>εdと仮定する。これはバルク
プラズモンエネルギ以下の金属とドープ処理をした半導
体に対する場合である。参照:上記 H. Reather; M. O
rdal 他 "赤外線領域および遠赤外線領域における Al,C
o, Cu, Au, Fe, Pb, Ni, Pd, Pt, Ag, Ti および W 等
金属の光学的性質(Optical Properties of the Metal
s, Al, Co, Cu, Au, Fe, Pb, Ni, Pd, Pt, Ag, Tiand W
in the infrared and far infrared)", Applied Opti
cs, 巻22, 第7号,頁1099-1119 (1983年4月1日)。
ースケール上に描くと、得られるエネルギ運動量(E、
kx)線図(分散線図として知られる)は一組の高伝送
帯を示し、この高伝送帯の組は(2)式で与えられる表
面プラズモン分散を再生する。伝送スペクトルは、金属
フィルム10に実質的に隣接する媒体がたとえ著しく異
なる種類のものであっても、孔開き金属フィルム10の
どちら側が照射されるかには無関係である。
折格子に対して接線方向に作用した時に回折格子に現れ
るWoodの異常の結果と同定される。参照:上記H.F.Ghae
mi他、;R. W. Wood,“回折格子スペクトルにおける光
の不均一分布の異常例について(On a Remarkable Case
of Uneven Distribution of Light in a Diffraction
Grating Spectrum)" Phylosophical Magazine, 巻4,頁
396-402、(1902))およびR. W. Wood,“変則的回折格子
(Anomalous Diffraction Gratings)"Physical Revie
w, 巻48,頁928-936 (1935))。Wood の異常の発生条件
は、
クトルで置換される以外は(1)式、(2)式と同じで
ある。擦過光ベクトルの大きさは、
ることにより、(E、kx)線図の表面プラズモン分枝
の分散に密接に関係する最小値の組合わせが得られる。
分散曲線の大部分は有限の勾配で(E、kx)平面を通
過するので、一定の光子エネルギE(あるいは一定の波
長)に対して伝送強度は入射角θが変動するにつれて最
大値、最小値を行き来する。したがって、入射角θを変
動させて、伝送光の波長または振幅を制御できる。
光エネルギは一定の入射角θに対して最小値、最大値を
示す。金属フィルム10に対して光線が垂直に入射(す
なわち、θ=0)すると、波長の最大値は(1)式と
(2)式を組み合わせた以下の式により得られる。
に一組の最大値、最小値が存在する。例えば、もし金属
フィルム10に接する媒体が、一表面については空気で
反対側がサファイアであれば、各表面に対する伝送スペ
クトル内の最大値と最小値はサファイアと空気間の屈折
率の相違で互いに識別できる。参照:上記Ebbessen他お
よび上記Ghaemi他。
ルム10の表面に実質的に隣接している誘電体層のそれ
ぞれの屈折率の関係がわかる。
記録された、金属フィルム10が銀のフィルムであり、
第1の誘電体層14aがサファイアの基板(サファイア
の屈折率:nd1(サファイア)√εd1〜1.75)であ
り、また、様々な屈折率の、様々な誘電媒体が第2の誘
電体層14bの異なる試料として用いられた場合の典型
的な伝送スペクトルを示す。特に、第2の誘電体層14
bとして用いられた材料の例は、:空気(nd2=1.
0);水(nd2=1.33);2つの市販の屈折率のよ
く似た液体(nd2=1.43、1.53);C10H7C
l(nd2=1.63)である。屈折率は入射光の波長に
依存することに留意すべきであり、ここで記述される入
射光は、約587nmの波長に概ね一致する。図4に、
各第2の誘電体層14bに対するスペクトルが描かれて
いる。
中で、太い実線によって表わされている)である場合に
生じたスペクトルを考える。(3)式を用いると、図4
中の伝送ピークは、金属フィルム−空気の界面10b上
(空気の屈折率:nd2(空気)=√εd2=1;図4中で
ピークは(i、j)Aあるいは(i、j)d2と表示)
あるいは金属フィルム−サファイアの界面10a上(サ
ファイアの屈折率:n d1(サファイア)=√εd1〜1.
75;図4中でピークは(i、j)Sと表示)のいずれ
かの表面プラズモンに特定することができる。
電体層14aであるサファイアの屈折率に近い材料から
なる場合に生じるスペクトルについて考える。これらの
様々な第2の誘電体層14bの材料に対するスペクトル
は、図4の記号に示されているように表される。
1の表面10aおよび第2の表面10bに実質的に隣接
する2つの誘電体層14aと14bとの屈折率が近づく
につれ、装置を通じての伝送強度を著しく増加させるこ
とを見出した。これは、図4にグラフで示されており、
伝送ピークは、第2の誘電体層14bが、試された材料
の中で最もサファイアの屈折率に近い、屈折率がnd2=
1.63である屈折率がよく似た液体の場合、最も強化
された伝送を示し、最大化される。
は、金属フィルム10の第2の表面10b((1、0)
d2)に対応するピークは、(3)式より予測されるよ
うに、より長い波長へと移行する。しかしながら、そし
て驚くことに、λ=1100nmでWoodの異常があるこ
とによるピークの歪みにも関わらず、伝送強度のピーク
が増加することが、第1の表面10aに対応する最長の
波長ピーク(1、0)Sの最も強い効果とともに観察さ
れる。換言すれば、第1の表面10a上の表面プラズモ
ンモードに対応する伝送強度は、対向する第2の表面1
0bの表面プラズモンモードのエネルギ(波長)に影響
される。第2の表面10bに実質的に隣接する誘電体層
の屈折率が増加すると、このように第1の表面10aに
実質的に隣接するサファイアの屈折率に近づくので、約
1130nmでのピークの強度は、連続的に増加する。
た、拡張するものである。図5は、図2の装置を通じて
の零次の伝送スペクトルを示しており、ここでは、金属
フィルム10は金であり、第1の誘電体層14aはサフ
ァイアではなく、石英(石英の屈折率:nd1(石英)=
〜1.5)である。再び、様々な誘電性の材料が第2の
誘電体層14bとして用いられてる。特に、第2の誘電
体層として用いられた材料の例は、:空気(nd2=1.
0);水(nd2=1.33);4つの市販の屈折率のよ
く似た液体(nd2=1.43、1.53、1.71、
1.80);C10H7Cl(nd2=1.63)である。
図からわかるように、第2の誘電体層14bが石英(こ
の場合、屈折率がnd2=1.53である屈折率のよく似
た液体)の屈折率に最も近い材料を含む場合、伝送ピー
クは最も高い。
顕著な特性は、金属の2つの面に(1、0)ピークが生
じる光子エネルギの差の関数として図6と図7中でまと
められている:ΔE=Ed2(1、0)−Ed1(1、
0); d1=Q、S(石英、サファイア):ΔEを減
少させることはnd2を増加させることに相当する:E=
[(hc)/λ]。図6は、最大伝送の(1、0)ピー
クであるTmaxを示し、第1の誘電体層d1側が丸印
で、第2の誘電体層d2側が四角印で、図4のサファイ
ア上に銀がある試料が白抜きの記号で、図5の石英上に
金がある試料が黒塗りの記号で示されている。金属フィ
ルム10中の開口12はここでは直径が光波長未満であ
るが、これらの試料で観察されたもののうち、nd2=
1.00で、石英上に金がある試料の場合の、Tmax
=0.72%となる最も小さな伝送ピークは、この波長
(950nm)での150nmの孔の集まりで通常予測
されるものより約30倍大きい。この既に高い伝送は、
2つの誘電体層の屈折率が実質的に同等でΔE=0であ
る場合、10倍以上押し上げる。
0)d2ピーク(図6と図7中の黒塗りの四角)のピー
ク伝送は高いままであるが、(1、0)Qピーク(図6
と図7中の黒塗りの丸)は抑制され、ΔEが十分に大き
く、かつ、負になる場合わずかに伝送強度が回復してい
る。上記抑制は、(1、0)Qピークがほとんど見られ
ないnd2=1.63(図5)の伝送スペクトルにおいて
特に明らかであり、このことは、より詳細に以下に記述
される。nd2を前のnd1(すなわち前のnquartz)と同
程度に変更しての伝送強度の最大値の観察は、強化が、
実効波長(λ/n d2)の減衰に起因する押し上げであ
る、誘電媒体の効果ではなく、金属フィルム10の表面
の2つの対向する表面上での表面プラズモンモードの共
鳴によって制御されることを示唆する。
を示す。この領域は、ピークの最大値の半分での全幅
(FWHM:半値前幅)にわたる積分
曲線(Lorenzian)といった特殊な線形状に曲線をあわ
せることをWoodの異常の存在が不可能にするため、この
現象学的な方法が用いられた。図7のデータは、図6の
データを確認する、すなわち、ΔE=0の場合、伝送は
共鳴して強化されることを確認する。伝送の最大値およ
び積分されたピーク強度は、nd2=1に対するそれらの
値と比較された場合、10倍以上に強化される。このこ
とは、単なる加算的な効果は4倍程度(強度を得るため
に電界を2倍にし、2乗することから)の強化を生じる
ので、さらなる共鳴の発生を指している。ピーク幅は金
属の誘電率の虚数部分だけでなく、ピークを割り込むWo
odの異常の深さにも依存し、したがって孔の質および配
列に依存するので、(1、0)Qピークおよび(1、
0)Sピークのピーク領域が一致するという事実は、偶
然かもしれない。
送スペクトルが、金属フィルム10の第1の表面10a
および第2の表面10bの両方に存在する表面プラズモ
ンモードによるものと考える。例えば、各金属フィルム
10の表面の物理的な構造が同じ場合、各表面上の表面
プラズモンモードに対応する伝送ピークは、各表面に接
触する誘電体層の屈折率の差によって互いの波長が相殺
される。本発明では、伝送は、各表面に実質的に隣接し
ている媒体の屈折率の差の減少により大幅に改善され
る。これは、各表面の表面プラズモンモードのエネルギ
が徐々に接近するようになるので、各表面の表面プラズ
モンモード間の結合を強化する。結果として、伝送効率
は10倍程度に大いに強化される。誘電体層の適切な組
み合わせは、伝送の絶対量を調整可能にする。
味で、2つの表面プラズモンモードの共鳴は非常にまれ
である。2つの伝送ピークが互いにより近づくように動
かすにつれ、長波長ピークの伝送効率が増加し、一方、
短波長の伝送効率は強く抑制される。抑制は共鳴点で最
も強い。 これは、ΔE=0で零に近づく、ΔE<0の
(1、0)Qピークの積分された強度(石英上に金を堆
積した試料;図7における黒塗りの丸印)において明白
である。サファイア上に銀を堆積した試料(図4)の場
合も同様の傾向が見られる。(1、0)Sピークと
(1、0)d2ピークとが近づくように動かすにつれ
(nd2が増加するにつれ)、(1、0)Sピークは強度
を驚異的に増すが、(1、0)d2ピークは実際にはよ
り弱くなる。
(白抜き四角)の(1.0)d2ピークも、ΔE=0で
零になる。非対称性は、長波長(低いエネルギ)ピーク
が金属フィルム基板上の表面プラズモンモードに対応す
るかどうか、すなわち、金属フィルム10と液体との界
面に対応するかどうかと無関係とし、また、第1または
第2の誘電体層(d1またはd2)が照射されるかどう
かに関わらないものとする。
態が、図2に示されている。装置20は、第1の表面1
0a、第2の表面10b、および、少なくとも1つの開
口12が開けられた金属フィルム10を含む。第1の誘
電体層14aは金属フィルム10の第1の表面10aに
実質的に隣接して備えられており、第2の誘電体層14
bは金属フィルム10の第2の表面10bに実質的に隣
接して備えられている。伝送強度は、第1の誘電体層1
4aの屈折率nd1が第2の誘電体層14bの屈折率nd2
と実質的に等しいことを確保することで最も強化され
る。この著しく改善された伝送強化は、広く配列された
開口12だけでなく少数の開口12あるいは単一の開口
12の場合でさえも生じる。
的に隣接している固体の誘電体層を図示しているように
見えるが、誘電体層の物理的な状態(固体、液体、気
体)によって発明が制限されていないことに注目すべき
であり、また、図2は、任意の物理的な状態の誘電体層
を図示することが意図されている。したがって、例え
ば、発明は、両表面が空気あるいは真空で囲まれた、独
立した金属フィルム10、固体の材料および気体、また
は、真空の屈折率が実質的に等しい場合に限り、金属フ
ィルム10の一方の面側上が固体あるいは液体の誘電体
層で、金属フィルム10の他方の面側上が気体あるいは
真空の金属フィルム10を含む。しかしながら、実際的
見地から言えば、固体の基板上に薄い金属フィルム10
を堆積させることにより薄い金属フィルム10を用意す
るのが一般的に最も容易であり、したがって、2つの誘
電体層のうちの1つは、多くの場合(必ずしもではない
が)固体の材料である。
ィルム10は別として、本発明は、金属フィルム10の
2つの表面のうちの1つに各々実質的に隣接している、
屈折率が実質的に等しい2つの誘電体層を必要とする。
本発明によれば、誘電体層が金属フィルム10の表面と
物理的に接触している場合、あるいは、誘電体層と金属
フィルム10の間の距離が、誘電体層と金属フィルム1
0の間にある媒体内での表面プラズモンの減衰長さ、す
なわち、浸透深さ未満あるいは等しい場合、誘電体層
は、金属フィルム10の表面に「実質的に隣接」してい
る。
14aと第2の誘電体層14bのそれぞれの誘電率は、
以下の場合“実質的に等しい”とみなす。伝送ピークは
(3)式によれば屈折率(i、j)の各セットに対して
生じる。さらに、金属フィルム10の各表面は、その金
属フィルム10の表面に実質的に隣接している誘電体層
の屈折率に依存する金属フィルム10自身のピークのセ
ットを生成する。
のピークのピーク波長(あるいはピーク光子エネルギ)
が、2つの波長のうちの長い波長の方の半値全幅(すな
わち、ピークの(伝送における)最大振幅での、(波長
における)ピークの幅)以下の差である場合、第1の誘
電体層14aの屈折率nd1と第2の誘電体層14bの屈
折率nd2とは実質的に等しいとみなされる。例えば、図
5での、第2の誘電体層14bが空気(太い実線によっ
て表示された)である伝送スペクトルを考える。よく知
られた関係E=[(hc)/λ]を用いると、金属−空
気の表面((1、0)A)および金属−石英の表面
((1、0)Q)の(1、0)ピークにおけるピークエ
ネルギが約0.7eVによって分けられるのに対して、
金属−空気の表面((1、0)A)および金属−石英の
表面((1、0)Q)の両方の(1、0)ピークの半値
全幅は、0.15eV以下である。従って、ピークエネ
ルギ(0.7eV)の差が半値全幅以上(<0.15e
V)であるので、空気とサファイアの屈折率は“実質的
に等しい”とみなされず、また、これらの2つの誘電性
材料は本発明によって提示された、強化された伝送を生
じない。対照的なのは、第2の誘電体層14bが、屈折
率nd2=1.53の、屈折率がよく似た液体であり、
(1、0)Qピークと(1、0)d2ピークのピークエ
ネルギが一致し、ΔE=0、すなわち、ΔE<半値全幅
の場合である。この最適な場合(ΔE=0)は、2つの
最大の表面プラズモンの強化を示す。長波長の伝送ピー
クで強化が生じることが注目されるべきである。実際
に、短波長ピークにおいては、ΔEが0(図7を参照)
に向かうにつれ、伝送は消える傾向にある。
層14bに用いられた材料は、伝送される光の波長にお
いて透明な、すべての誘電性の試料(空気あるいは真空
を含む)である。材料は固体、液体あるいは気体であ
る。誘電体材料の適切な例としては、サファイア、石
英、ガラス、ポリマ(PMMA(ポリメタクリル酸)の
ような)、マグネシウムフッ化物、二酸化ケイ素、窒化
ケイ素、極度にドープ処理された半導体、液晶、水、空
気および有機溶剤を含むが、限定されるものではない。
誘電性材料の屈折率は一定であってもよいし、あるい
は、‘265出願に記述されるように、屈折率は選択的に
可変であってもよい。誘電体層14aおよび14bは任
意の厚さであってもよいが、金属フィルム10の表面上
の表面プラズモンのエバネッセント波の浸透深さと少な
くとも同等の厚さ(例えば、一般的に、約100nmか
ら200nmの厚さは空気または石英の誘電体層に適切
である)が好ましい。
電体層14bは同じ材料であってもよいが、ほとんど実
質的に等しい屈折率を有する限り、第1の誘電体層14
aと第2の誘電体層14bは異なる材料でもよい。製造
することを考慮すると、第1の誘電体層14aと第2の
誘電体層14bに異なる誘電性の2つの媒体を使用して
装置を構成するほうがしばしばより容易であるため、第
1の誘電体層14aと第2の誘電体層14bに異なる材
料を使用して、本発明によって提示された伝送強度を利
用する技量は、重要である。例えば、固体の石英の基板
上で銀のフィルムのように薄い金属フィルム10を堆積
させることは比較的簡単である。しかし、石英で金属フ
ィルム10(基板の反対側)の残りの表面を被覆するこ
とはより困難である。それゆえ、石英の屈折率と実質的
に等しい屈折率を有している、適用が容易な別の材料
(PMMAのように)が、代わりに適用されるものであ
ってもよい。この方法により、本発明の強化された伝送
効率は、容易に製造された装置で実現できる。
外線、またマイクロ波領域を含む広範囲の波長の光で操
作可能であり、操作する波長は、開口/表面形状配列の
周期性およびnd1およびnd2によって決定される。
くの応用が可能であり、そのいくつかを以下に記述す
る。
10(そして、任意に、少なくとも1つの表面が周期的
な表面形状を示している)の伝送スペクトルは、表面上
の入射光の角度に依存する。この角度への依存性は、こ
こで記述される、改善された相互表面連結を備えた光伝
送装置20と結合して、図8に示されるような波長選択
光学フィルタ70をもたらす。上述したように構成され
た光伝送装置20は、基板といったような、支持部材7
2に搭載されるのが好ましく、また、支持部材72は回
転可能な軸74に搭載されるのも好ましい。この光学フ
ィルタの改善された性能は、独立した金属フィルム10
(すなわち、金属フィルム10の第1の表面10aおよ
び第2の表面10bは同じ気体あるいは真空に接してい
る)場合、あるいは、そうでなければ、金属フィルム1
0の両方の表面が、実質的に等しい屈折率の誘電性の材
料に実質的に隣接している(好ましくは被覆されてい
る)場合のいずれかにおいて、達成される。もし必要で
あるのならば、周期的な表面形状はさらに金属フィルム
10上に備えられていてもよいが、必須ではない。破線
は光学フィルタ70の表面に対する法線Nを表し、光学
フィルタ70への入射光角度は法線Nに対する角度θで
表す。光学フィルタ70を回転調整して入射角θを変更
し、光伝送が角度の関数としてピークになる波長を選択
的に変動することができる。この性質を利用して、1つ
以上の開口12と周期的表面形状を有する、少なくとも
1つの表面を有する金属フィルム10を含み、所定の入
射角を得るように調整できる光学フィルタを形成でき
る。フィルタの入射角が変動するにつれフィルタを通じ
る伝送光の波長もまた変動し、その値は選択した入射角
に基づいて選択できる。光学フィルタ70による伝送
は、金属フィルム10の各面の誘電体層の実質的に等し
い屈折率によって強化されることが重要である。
70は、紫外線、可視光線および長波長光線に対して使
用することができる。この光学フィルタ70の利点は、
出射光と入射光とが同一線上となるので、減衰が生じる
全反射装置に比べて、光線を再指向する必要が無いこと
である(参照:上記H.Raether)。
例として空間光学フィルタがある。空間光学フィルタ
は、フィルタの表面に沿った選択した位置で波長、およ
び/または、伝送光の強度の変動を行い得るフィルタで
ある。
に、周期的表面形状を含む表面特殊形状が周期的開口と
不整合、および/または、非同調である光伝送装置20
を利用する。表面特殊形状と開口間の整合性、および/
または、位相差を変えることにより、'116出願に示され
ているように、任意の指定位置でフィルタを通じて伝送
された伝送光の波長、および/または、強度を制御する
ことができる。例えば、周期的に配置された表面特殊形
状は金属フィルム10上において、いかなる指定位置に
おいても周期的に配置した開口12と同調、または、非
同調するように位置させることができる。この配置にお
いて、表面特殊形状、すなわち、周期的表面形状が、周
期的に配置された開口12と同調している場所では開口
12を通じて強い伝送が生じる。また、表面特殊形状が
周期的に配置された開口12と同調していない場所で
は、開口12を通じての強い伝送は発生しない。
載することもできるし、また、もし不整合、および/ま
たは、非同調配列の影響と角度伝送依存性とを組み合わ
せたいのであれば、空間光学フィルタは、図8に示すよ
うに回転可能に搭載することができる。
とも1つの表面特殊形状の金属フィルム10の表面を備
えた本発明の光伝送装置20は、従来の網配列、すなわ
ち、赤外線またはマイクロ波領域においてフィルタとし
て使用された粗な網、または、ワイヤー列と比較して、
光学フィルタとして改善された波長選択性を示す。参
照:R.Ulrich,"金属メッシュの遠赤外線領域特性とその
構造(Far-Infraed Properties Of Metallic Mesh And
Its Complimentary Structure)", Infrared Physics,
巻7、頁 37-55 (1967); L.C.Botten 他,"共振領域にお
ける誘導性グリッド:理論と実験(Inductive Grids In
The Resonant Region:Theory And Experiment)", Int
ernational Journal of Infrared and Millimeter Wave
s,巻6,第7号,頁511-575(1985)。
いて全ての波長において不活性、または、透過性である
光子バンドギャップ配列と異なり、本発明は結合が生ず
る波長を除いた全ての波長において不透明な材料を利用
できる。
す集光装置がある。Iincidentの矢印で表示される光が
光伝送装置20に入射する。光伝送装置20は誘電性の
基板14b上に堆積した金属フィルム10を有する。図
9に示すように、金属フィルム10は複数の開口12を
備え、かつ、金属フィルム10は、少なくともその1つ
の表面上に配置された周期的配列の表面形状40を含む
周期的表面特殊形状をさらに備え、金属フィルム10の
第1の表面10aに光が入射するのが好ましい。集光
は、金属フィルム10を通じての伝送後、複数の開口1
2を通じて、好ましくは各開口12にできるだけ近く連
通するように対応して設けられた複数の光ファイバ80
に移動する。あるいは、図10に示すように、単一の開
口12を金属フィルム10に設けても良い。ここでは単
一の光ファイバ80が単一の開口12と連通して集光し
ており、光が1つの光ファイバ80に伝送される。
的に開口12の光ファイバ80の端面に隣接(好ましく
は接触している)して備えられ、光ファイバ80の材料
の屈折率と実質的に等しい屈折率の誘電体層が備えられ
ている場合に最高の特性が達成される。
て、開口12を通り光ファイバ80に入る光の強度は、
上記のように本発明の光伝送装置20により強化され
る。
ように強力集光の波長を決定するには表面特殊形状40
の周期が重要である(参照:例えば上記の(3)式およ
び(4)式)。
ことは困難であった。光の方向を決めるのに複雑なレン
ズおよび調節装置が使用された。本発明においては、開
口のある面の表面範囲よりも多くの光が開口を伝送する
ため、金属開口と表面特殊形状の配列が集光器のように
作用する。結果的に、ファイバ(もし開口が光波長未満
の径ならばその長さのファイバを含む)への光の導入が
効率的になる。実際に本発明の集光器は、本発明に使用
された1つ以上の開口12と、屈折率が実質的に等しく
金属フィルム10の各面側に実質的に隣接する誘電体層
との組合わせに対する、開口12のみの列を利用する集
光器よりなお一層効率的である。
ては、近接走査光学顕微鏡法(NSOM:Near-field S
canning Optical Microscopy)における用途がある。図
11ないし図13のそれぞれは本発明により製造した近
接走査光学顕微鏡装置を示す図である。
には、様々な金属フィルムおよび誘電体層が示されてい
る)、光源90は支持材(図示せず)に支えられた試料
92を通じて、集光器として作用するプローブ100に
光を伝送する。プローブ100は前面102を有する光
伝送装置である。上記の光伝送装置20で利用された金
属フィルム10に相当する金属フィルム104を、例え
ば堆積により、装置の前面102に固定する。独立した
間に挟まる誘電体層を用いてもよいが、プローブ100
の前面102が、金属フィルム104に実質的に隣接す
る第1の誘電体層としての役割を果たすのが好ましい。
金属フィルム104はプローブ100が集めた光の強度
を増すために、単一の波長未満径の開口106と、好ま
しくは配列された窪み等の表面特殊形状108を含む。
このような表面形状108が備えられる場合、表面形状
108は、プローブ100の前面102に面する、金属
フィルム104の表面上に備えられるのが好ましい。第
1の誘電体層の屈折率と実質的に等しい屈折率の第2の
誘電体層110は、図示されるているように金属フィル
ム104に実質的に隣接している。
0が集めた光は、プローブ100を通じて従来公知のN
SOM信号処理作業に送られる。周期的な表面形状(も
し、用いられるなら)は、試料に対面する金属フィルム
104側に設けてもよいし、あるいは、試料の反対側で
プローブ100の前面102に隣接する金属フィルム1
04側に設けてもよいことに注目すべきである。
装置の他の実施例の構造を示す図である。ここで、プロ
ーブ100は、集光器(集光モード)としてではなく、
光源(放射モード)として作用する。プローブ100の
構造は図11および図12に示すものと同様である。図
13の矢印で示すように、光はプローブ100に入り前
面102に向かう。
して備えられた、屈折率が実質的に等しい2つの誘電体
層102および110と結合する(また、もし、備えら
れているなら、金属フィルム104上の表面形状108
の周期的な配列とも結合する)。続いて、光は前面10
2上の単一の波長未満径の開口106を経由して試料9
2を通り、従来から行われている信号処理のため光検出
器94に伝送される。本発明によれば、上記のNSOM
実施形態のすべてにおいて、金属フィルム104の両方
の表面が、屈折率が実質的に等しい誘電体層に実質的に
隣接している場合、最も高い伝送強度は達成される。
され、径が小さい程解像度が向上する。しかし実際に
は、上記のように波長未満径の開口の伝送量は(d/
λ)4で減少し、発生する信号の強度が非常に低くなる
ため、達成できる解像度には実際上の限度がある。した
がって、より良い解像度を達成するために開口がより小
さく作られるにつれて、本発明の単一の波長未満径の開
口106によるNSOMプローブ(周期的な表面形状と
組み合わせて)にて行われる強い光伝送は、周期的表面
形状とあいまって従来のNSOMに比べるとますます有
利となる。それは本発明の光伝送は、開口106の表面
積に線形的に依存し、波長は開口106を取り巻く表面
特殊形状の周期と規則性によってのみ決定されるからで
ある。換言すれば、本発明のNSOMプローブは上記の
(d/λ)4での依存性に妨害されない。
は、1つ、または、複数個の開口を有する本発明による
光伝送装置20を使用し、金属マスク内の周期的表面特
殊形状と開口の配置を工夫して、波長未満写真平板印刷
用の新規のマスクを作ることができる。
する金属フィルム120を含んでいる。金属フィルム1
20の第1の表面120aは、例えば第1の誘電体層1
30に金属フィルム120を堆積して、実質的に第1の
誘電体層130に隣接して設けられている。もし、さら
なる伝送強度が望まれるのであれば、金属フィルム12
0の少なくとも1つの表面上に周期的表面形状を構成す
るように、窪み等の複数の周期的に配置された表面特殊
形状126が金属フィルム120の少なくとも1つの表
面上に設けられる。このような表面特殊形状126が設
けられた場合、表面特殊形状126は、光150が入射
する金属フィルム120の表面120b上に設けられる
のが好ましい。第1の誘電体層130の屈折率と実質的
に等しい屈折率の第2の誘電体層140は、実質的に金
属フィルム120の第2の表面120bに隣接して設け
られている。開口124の直径よりずっと大きい波長λ
を有する入射光150が、マスク200に向けられる。
入射光150は、金属フィルム120と組み合わせられ
ている第1と第2の誘電体層130および140によっ
て与えられる相互表面結合と結合し、もし設けられてい
るのであれば、周期的表面形状とも結合し、(λ/2)
よりずっと小さい特異形状を持つ写真石版画像を作るた
めに、開口124を通り金属フィルム120に投影され
る。マスクを通して伝送された強度は、屈折率が実質的
に等しい第1と第2の誘電体層の存在によって大いに強
化される。
光材料を塗布した基板160上の文字Hの写しと二つの
点を図14と図15に示す。転写する画像(この場合文
字H)に対応する配置で、スリット状の開口124aが
金属フィルム120内に形成される。さらに、円形また
は点状の開口124bが、二つの点の画像として作られ
る。光130はマスク200を指向し、ついで光は上記
のように、屈折率が実質的に等しい第1と第2の誘電体
層による(もし設けられているのであれば、表面特殊形
状126がもたらした周期的表面形状にもよる)増強さ
れた伝送効果と共に、開口124aと124bを通り伝
送される。その結果、感光性耐蝕膜被覆の基板160が
希望した画像142のパターンで露光される。
紫外線およびX線源を使用することなく、感光性材料上
に波長未満の幅の点または線を描くことができる。強い
線源の代わりに、通常の紫外線源または可視光線源さえ
も使用できる。さらに、本発明ではX線感光性耐蝕膜の
代わりに、従来の感光材料、例えば紫外線感光性または
可視光感光性耐蝕膜を使用できる。
置につき記述、例示してきたが、当業者には明らかなよ
うに、ここに添付する請求の範囲に依ってのみ限定され
る本発明の精神および広い教義から逸脱することなく変
更、修正が可能である。
においては、強力な光伝送が行われる。
図である。
接している第1の誘電体層と金属フィルムの別の表面に
実質的に隣接している第2の誘電体層とを有する孔開き
金属フィルムを含む、本発明によって構成された光伝送
装置の断面図である。
射光の幾何学的配置を示す概略斜視図である。
電体層がサファイアの基板である場合の、図2で示され
た光伝送装置の、第2の誘電体層に用いられた様々な誘
電媒体用の零次伝送スペクトルを示すグラフである。
電体層が石英の基板である場合の、図2で示された光伝
送装置の、第2の誘電体層に用いられた様々な誘電媒体
用の零次伝送スペクトルを示すグラフである。
よび図5における様々な(1、0)ピークの、ピーク伝
送強度の変化を示すグラフである。
全幅にわたって積分された、図4および図5における様
々な(1、0)ピークとなる領域の変化を示すグラフで
ある。
的に変更する装置を示す斜視概略図で、かかる装置は波
長選択光学フィルタとして有効である。
の概略斜視図で、プローブは集光モードで操作されてい
る。
の概略分解図である。
の概略斜視図で、プローブは放射モードで操作されてい
る。
発明の光伝送装置の概略斜視図である。
り、光電性被覆を有する基板上に転写された最終的パタ
ーンを示す斜視概略図である。
Claims (18)
- 【請求項1】 光伝送装置であって、 第1および第2の表面を有する金属フィルムと、 前記金属フィルムに設けられ、前記第1の表面から前記
第2の表面に連通する少なくとも1つの開口と、 前記金属フィルムの前記第1の表面に実質的に隣接する
第1の屈折率の第1の誘電体層と、 前記金属フィルムの前記第2の表面に実質的に隣接する
第2の屈折率の第2の誘電体層とを有し、 前記第2の屈折率は実質的に前記第1の屈折率に等し
く、前記金属フィルムの1つの表面に入射する光が前記
金属フィルムの少なくとも1つの表面の上の表面プラズ
モンモードと相互作用し、前記金属フィルムの前記開口
の少なくとも1つを通ずる光伝送を強化する光伝送装
置。 - 【請求項2】 前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体
層とは同様の誘電媒体からなる、請求項1に記載の光伝
送装置。 - 【請求項3】 前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体
層とは異なる誘電媒体からなる、請求項1に記載の光伝
送装置。 - 【請求項4】 前記金属フィルムの前記第1および第2
の表面のうちの少なくとも1つが、周期的な表面形状で
ある請求項1に記載の光伝送装置。 - 【請求項5】 前記周期的な表面形状が複数の表面特殊
形状からなる、請求項4に記載の光伝送装置。 - 【請求項6】 前記開口の少なくとも1つが単一の開口
からなる、請求項1に記載の光伝送装置。 - 【請求項7】 前記開口の少なくとも1つが複数の開口
からなる、請求項1に記載の光伝送装置。 - 【請求項8】 前記複数の開口が周期的に配列されてい
る、請求項7に記載の光伝送装置。 - 【請求項9】 前記開口の少なくとも1つが円筒形であ
る、請求項1に記載の光伝送装置。 - 【請求項10】 前記開口の少なくとも1つがスリット
状である、請求項1に記載の光伝送装置。 - 【請求項11】 前記開口の少なくとも1つが矩形であ
る、請求項1に記載の光伝送装置。 - 【請求項12】 前記開口の少なくとも1つが任意の形
状である、請求項1に記載の光伝送装置。 - 【請求項13】 前記第1および第2の誘電体層の少な
くとも1つが選択的に可変な屈折率を有する、請求項1
に記載の光伝送装置。 - 【請求項14】 空間光学フィルタであって、 第1および第2の表面を有する金属フィルムと、 前記金属フィルムに設けられ、前記第1の表面から前記
第2の表面に連通する少なくとも1つの開口と、 前記金属フィルムの前記第1の表面に実質的に隣接する
第1の屈折率の第1の誘電体層と、 前記金属フィルムの前記第2の表面に実質的に隣接する
第2の屈折率の第2の誘電体層とを有し、 前記第2の屈折率は実質的に前記第1の屈折率に等し
く、前記金属フィルムの1つの前記表面に入射する光が
前記金属フィルムの少なくとも1つの前記表面上の表面
プラズモンモードと相互作用し、前記金属フィルムの前
記開口の少なくとも1つを通ずる光伝送を強化し、 さらに特定範囲の波長の光のみが前記金属フィルムの前
記開口を通じて伝送されるように入射光線に関する前記
金属フィルムの方位を調整する手段を有する空間光学フ
ィルタ。 - 【請求項15】 空間光学フィルタであって、 第1および第2の表面を有する金属フィルムと、 前記金属フィルムに設けられ、前記第1の表面から前記
第2の表面に連通する少なくとも1つの開口と、 前記金属フィルムの前記第1の表面に実質的に隣接する
第1の屈折率の第1の誘電体層と、 前記金属フィルムの前記第2の表面に実質的に隣接する
第2の屈折率の第2の誘電体層とを有し、 前記第2の屈折率は実質的に前記第1の屈折率に等し
く、前記金属フィルムの1つの前記表面に入射する光が
前記金属フィルムの少なくとも1つの前記表面上の表面
プラズモンモードと相互作用し、前記金属フィルムの前
記開口の少なくとも1つを通ずる光伝送を強化し、 さらに各開口を通じて移動する光が対応する光ファイバ
に入るように各開口と連通して配置された光ファイバを
有する空間光学フィルタ。 - 【請求項16】 光源と光検出器を有する近接走査光学
顕微鏡の集光モードで使用する近接走査光学顕微鏡用プ
ローブであって、 光源から受光するために前面が光源の近くに配置され、
前記前面が第1の屈折率の第1の誘電体層を含む光伝送
装置と、 前記第1の誘電体層に実質的に隣接する第1の表面と、
前記光源に向かい合う第2の表面とを有する金属フィル
ムと、 前記金属フィルムに設けられ、前記第1の表面から前記
第2の表面に連通する少なくとも1つの開口と、 前記金属フィルムの前記第2の表面に実質的に隣接する
第2の屈折率の第2の誘電体層とを有し、 前記第2の屈折率は実質的に前記第1の屈折率に等し
く、これにより前記金属フィルムの前記第2の表面に入
射する前記光源からの光が前記金属フィルムの少なくと
も1つの前記表面上の表面プラズモンモードと相互作用
し、前記金属フィルムの前記開口の少なくとも1つを通
ずる光伝送を強化し、強化された伝送光が前記光伝送装
置を通じて前記光検出器に伝送される近接走査光学顕微
鏡用プローブ。 - 【請求項17】 光源と光検出器を有する近接走査光学
顕微鏡の放射モードで使用する近接走査光学顕微鏡用プ
ローブであって、 光を前記光検出器に伝送するために前面が前記光検出器
の近くに配置され、前記前面が第1の屈折率の第1の誘
電体層を含む光伝送装置と、 前記第1の誘電体層に実質的に隣接する第1の表面と、
前記光検出器に向かい合っている第2の表面とを有する
金属フィルムと、 前記金属フィルムに設けられ、前記第1の表面から前記
第2の表面に連通する少なくとも1つの開口と、 前記金属フィルムの前記第2の表面に実質的に隣接する
第2の屈折率の第2の誘電体層とを有し、 前記第2の屈折率は実質的に前記第1の屈折率に等し
く、これにより前記光源からの光が前記光伝送装置を通
じて前記前面まで伝送され、前記金属フィルムの少なく
とも1つの前記表面上の表面プラズモンモードと相互作
用させるために前記金属フィルムの前記第1の表面に入
射され、前記金属フィルムの前記開口の少なくとも1つ
を通ずる光伝送を強化し、強化された伝送光が前記光検
出器に伝送される近接走査光学顕微鏡用プローブ。 - 【請求項18】 感光性耐蝕膜を被覆した基板に画像を
転写する写真平版印刷用マスクであって、 第1および第2の表面を有する金属フィルムと、 前記金属フィルムに設けられ、前記第1の表面から前記
第2の表面に連通し、転写する前記画像に対応するパタ
ーンに配置された少なくとも1つの開口と、 前記金属フィルムの第1の表面に実質的に隣接する第1
の屈折率の第1の誘電体層と、 前記金属フィルムの第2の表面に実質的に隣接する第2
の屈折率の第2の誘電体層とを有し、 前記第2の屈折率は実質的に前記第1の屈折率に等し
く、前記金属フィルムの1つの前記表面に入射する光が
前記金属フィルムの少なくとも1つの前記表面上の表面
プラズモンモードと相互作用し、前記金属フィルム内の
前記パターンに準拠して前記感光性耐蝕膜を被覆した基
板を露光するように前記金属フィルムの前記開口の少な
くとも1つを通ずる光伝送を強化し、前記画像を転写す
る写真平版印刷用マスク。
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